(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この写真台紙100は印画紙20がその下面から保護される(支えられる)ことなく折り曲げられるので、印画紙20において天側から地側に皺Sが発生してしまうという問題がある。
すなわち、印画紙20には下地がない箇所において折り曲げられるので、その位置では
図14に示すように印画紙20の表面が凹み、
図13に示すように隣り合うページの境目に折り目(皺S)がついてしまう。
このように生じる皺Sに写真の顔や体の部分が掛かると記念の写真が台無しになってしまうので、写真の顔の部分が折曲部11を跨がないようにレイアウトする必要がある等、画像のレイアウトが制限されてしまう。
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、折り曲げ易く、かつ印画紙に皺が発生し難い写真台紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の写真台紙(200)は、天側から地側に延びるように形成された第一折曲部(41)及び第二折曲部(42)において折り曲げ可能で三つ折りにされる
一枚の芯紙(40)と、写真等の画像が印刷され前記芯紙(40)の上面に前記第一折曲部(41)及び前記第二折曲部(42)を跨ぐように貼着される
一枚の印画紙(20)と、前記芯紙(40)の下面に貼着された
一枚の表紙(50)を備える写真台紙(200)であって、前記表紙(50)の上面を凹ませてなる天側から地側に延びる第一溝部(51)と、前記第一折曲部(41)と前記第二折曲部(42)との距離だけ前記第一溝部(51)から離間して前記表紙(50)の上面を断面コ字状に凹ませてなる、天側から地側に延び前記第一溝部(51)よりも幅広でかつ深さも深い第二溝部(52)を備え、前記芯紙(40)の第一折曲部(41)及び第二折曲部(42)に天側から地側に延びる
複数のスリット(43)を
それぞれ前記芯紙(40)の下面から上面側に向かって設けるとともに、前記第一溝部(51)に前記第一折曲部(41)が相対するとともに前記第二溝部(52)に前記第二折曲部(42)が相対するように前記表紙(50)と前記芯紙(40)が配置され、平面状とした前記芯紙(40)の下面に前記表紙(50)が前記第一溝部(51)及び第二溝部(52)を除いて貼着されたことを特徴とする。
ここでいうスリット(43)とは、幅を有するものに限られず、例えば刃物を芯紙(40)に垂直に入れることのみで形成した切込みも含む。
【0013】
また、
請求項2に記載の写真台紙(200)は、天側から地側に延びるように形成された折曲部(
42)において折り曲げ可能で二つ折りにされる
一枚の芯紙(40)と、写真等の画像が印刷され前記芯紙(40)の上面に前記折曲部(
42)を跨ぐように貼着される
一枚の印画紙(20)と、前記芯紙(40)の下面に貼着された
一枚の表紙(50)を備える写真台紙(200)であって、前記表紙(50)の上面を断面コ字状に凹ませてなる天側から地側に延びる溝部(
52)を備え、
前記芯紙(40)の折曲部(42)に天側から地側に延びる複数のスリット(43)を前記芯紙(40)の下面から上面側に向かって設けるとともに、前記溝部(
52)に前記折曲部(
42)が相対するように前記表紙(50)と前記芯紙(40)が配置され、平面状とした前記芯紙(40)の下面に前記表紙(50)が前記溝部(
52)を除いて貼着されたことを特徴とする。
【0015】
ここで、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、芯紙の折曲部に天側から地側に延びるスリットを設けたので、折り曲げたときに芯紙がスリットにおいて広がるので折り曲げ易い。
しかも印画紙が芯紙の上面に折曲部を跨ぐように貼着されるので、印画紙の下面が芯紙で保護される。すなわち、折曲部においても芯紙が印画紙の下地となるので、印画紙に皺が発生し難い。
【0017】
また、
本発明によれば、スリットは芯紙の下面から上面側に向かって刻設されてなるので、印画紙同士を向かい合わせるように折り曲げるとき、つまり通常の折り曲げにおいてスリットが下面側から開き、芯紙が円滑に折り曲げられる。
【0020】
また、
本発明によれば、芯紙の第一折曲部及び第二折曲部に天側から地側に延びるスリットを設けるので、折り曲げたときに芯紙がスリットにおいて広がり折り曲げ易い。
また、印画紙が芯紙の上面に第一折曲部及び第二折曲部を跨ぐように貼着されるので、芯紙を三つ折りにするタイプの写真台紙であっても、印画紙の下面が芯紙で保護され、印画紙に皺が発生し難い。
また、第一溝部に第一折曲部が相対するとともに第二溝部に第二折曲部が相対するように表紙と芯紙が配置され、平面状とした芯紙の下面に表紙が第一溝部及び第二溝部を除いて貼着されたので、折り曲げたときに第一溝部に第一折曲部が入り込むとともに第二溝部に第二折曲部が入り込む。よって、円滑に折り曲げ可能であるとともに第一折曲部や第二折曲部に貼着された印画紙に皺がより発生し難い。
【0023】
なお、本発明の写真台紙のように、印画紙が芯紙の上面に折曲部を跨ぐように貼着され、芯紙の折曲部に天側から地側に延びるスリットを設けた点は、上述した特許文献1には全く記載されていない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第一実施形態)
図1乃至
図4を参照して、本発明の第一実施形態に係る写真台紙200を説明する。
この写真台紙200は、三つ折りにされるいわゆる三面台紙であって、芯紙40と、印画紙20と、表紙50と、を備え、特に芯紙40に特徴を有する。
従来例で示したものと同一部分には同一符号を付した。
【0026】
芯紙40は、印画紙20の下地材となる横長の矩形状の紙で、その厚さは印画紙20の厚さよりも厚く、表紙50の厚さよりも薄い。
芯紙40の右端から芯紙40の横幅の略1/3の位置には、第一折曲部41が天側から地側に延びるように形成されるとともに、芯紙40の左端から芯紙40の横幅の略1/3の位置には、第二折曲部42が天側から地側に延びるように形成される。
また、芯紙40の第一折曲部41及び第二折曲部42には、天側から地側に延びる複数のスリット43がそれぞれ芯紙40の下面から上面側に向かって刻設されてなる。
【0027】
詳しくは、スリット43は
図2に示すように、芯紙40の下面から刃物を垂直に入れて形成されるもので、写真台紙200を完全に開いた状態ではほとんどスリット43は幅を有さず、閉じている。また、スリット43の深さは芯紙40の厚さの略2/3である。
そして、このような第一折曲部41及び第二折曲部42において芯紙40は折り曲げ可能で、本実施形態においては三つ折りにされる。
また、芯紙40の上面及び下面の両面には、印画紙20や表紙50を貼着するための粘着剤がそれぞれ施されている。
【0028】
印画紙20は、芯紙40と略等しい大きさの矩形状であって、上面には写真等の画像が印刷されている。
そして、印画紙20は芯紙40の上面に第一折曲部41及び第二折曲部42を跨ぐように貼着される。つまり、印画紙20は芯紙40の上面全面を上から覆うように貼着され、特に芯紙40の折曲部41,42の上面全面が印画紙20に貼着されている点が重要である。
【0029】
表紙50は、芯紙40よりも一回り大きくかつ芯紙40よりも厚い矩形状の紙である。
また、表紙50の右端から表紙50の横幅の略1/3の位置に、第一溝部51が表紙50の上面を略半円状に凹ませて形成されており、その第一溝部51が天側から地側に延びる。
一方、表紙50の左端から表紙50の横幅の略1/3の位置には、第二溝部52が表紙50の上面を断面コ字状に凹ませて形成され、その第二溝部52も天側から地側に延びている。
つまり、第二溝部52は、第一折曲部41と第二折曲部42との距離だけ第一溝部51から離間している。
また、第二溝部52は第一溝部51よりも幅広でかつ深さも深い。
なお、この断面コ字状の第二溝部52の下面は、写真台紙200の断面略矩形状の背表紙となる。
そして、第一溝部51に第一折曲部41が相対するとともに第二溝部52に第二折曲部42が相対するように表紙50と芯紙40が配置されて、
図2に示すような平面状とした芯紙40の下面に表紙50が第一溝部51及び第二溝部52を除いて貼着されている。すなわち、印画紙20や芯紙40を平面状に配置した写真台紙200の開状態においては、第一溝部51や第二溝部52は表紙50に芯紙40が貼着された後であっても、その内部に断面半円状(第一溝部51)又は断面略矩形状(第二溝部52)の空隙が形成されたままの状態を保っている。
【0030】
このような写真台紙200を第一折曲部41や第二折曲部42において折り曲げた場合について説明する。
ここでは、第二折曲部42のみの説明を行うが、第一折曲部41においても第二折曲部42と同様になっている。なお、最初に第一折曲部41において折り曲げられ、次に第二折曲部42において折り曲げられる。
【0031】
写真台紙200を折り畳む際には、開状態から印画紙20同士が向かい合うように折り曲げられ、まず
図3に示す状態となる。つまり、芯紙40の上面が印画紙20の下面に貼着されたままスリット43の下面側が開き、第二折曲部42の一部が第二溝部52に入り込む。
さらに折り曲げて、
図4に示すように写真台紙200が完全に閉じた写真台紙200の閉状態では、よりスリット43の開きが大きくなるとともに、第二折曲部42が第二溝部52にさらに入り込む。しかし、第二折曲部42が第二溝部52に最大限に入り込んだときであっても、第二折曲部42は第二溝部52の底面から離間している。
【0032】
以上のように構成された写真台紙200によれば、芯紙40の第一折曲部41及び第二折曲部42に天側から地側に延びるスリット43を設けるので、折り曲げたときに芯紙40がスリット43において広がり折り曲げ易い。
また、そのスリット43は芯紙40の下面から上面側に向かって刻設されてなるので、印画紙20同士を向かい合わせるように折り曲げるとき、つまり通常の折り曲げにおいてスリット43が下面側から開き、芯紙40が円滑に折り曲げられる。
【0033】
また、印画紙20が芯紙40の上面に第一折曲部41及び第二折曲部42を跨ぐように貼着されるので、芯紙40を三つ折りにするタイプの写真台紙200であっても、印画紙20の下面が芯紙40で保護され、印画紙20に皺が発生し難い。
また、第一溝部51に第一折曲部41が相対するとともに第二溝部52に第二折曲部42が相対するように表紙50と芯紙40が配置され、平面状とした芯紙40の下面に表紙50が第一溝部51及び第二溝部52を除いて貼着されたので、折り曲げたときに第一溝部51に第一折曲部41が入り込むとともに第二溝部52に第二折曲部42が入り込む。よって、円滑に折り曲げ可能であるとともに第一折曲部41や第二折曲部42に貼着された印画紙20に皺がより発生し難い。
【0034】
特に、芯紙40を折り曲げたときに第一折曲部41が第一溝部51の底面から離間したままであるとともに、第二折曲部42が第二溝部52の底面から離間したままであるので、第一折曲部41や第二折曲部42が第一溝部51や第二溝部52の底面から押圧されない。よって、溝部51,52の底面から押圧されることによる第一折曲部41や第二折曲部42の変形がないので、第一折曲部41や第二折曲部42に貼着された印画紙20の部分にも皺が発生し難い。
【0035】
また、第二溝部52は断面コ字状に凹ませてなるので、第二溝部52自体が変形し難い。よって、折り曲げ時に第二折曲部42が第二溝部52からさらに押圧され難いので、印画紙20に皺が発生し難く、また円滑に折り曲げ可能である。
【0036】
(第二実施形態)
次に
図5と
図6を参照して、本発明の第二実施形態に係る写真台紙200を説明する。なお、第一実施形態と同一部分には同一符号を付した。
本実施形態の第一実施形態との違いは、スリット43の深さであり、その他の構成要素に関しては第一実施形態と同一である。
【0037】
本実施形態においては、
図5に示すようにスリット43を芯紙40の厚さと同じだけ深く形成した。
よって、この写真台紙200を折り曲げたときには、
図6に示すように芯紙40の上端からスリット43が開く。
この場合であっても、常に芯紙40が印画紙20に貼着されたままで、印画紙20を下面から支持して保護しているので、印画紙20には皺が発生し難い。
【0038】
なお、第一、第二実施形態において、芯紙40の折曲部に形成されたスリット43はほとんど幅を有さないとしたが、これに限られるものではなく、写真台紙200が開状態であっても、
図7に示すようにスリット43が一定の幅を有した断面矩形状に形成され、折曲部が櫛歯状となっていてもよい。
また、スリット43は他の形状であってもよく、例えば
図8に示すように略三角形であってもよい。
【0039】
また、スリット43は芯紙40の下面から上面側に向かって刻設されたものに限られず、例えば
図9に示すように芯紙40の上面から下面側に向かって刻設されたものを含んでいてもよい。
【0040】
また、スリット43は芯紙40の下面から刃物を垂直に入れて形成するものに限られず、
図10に示すように斜めに入れて形成されていてもよい。
【0041】
さらには、スリット43は折曲部だけに形成されたものに限られず、製造の効率の観点から
図11に示すように芯紙40全体にスリット43を形成してもよい。このように、芯紙40全体にスリット43を形成しても、芯紙40は表紙50にも貼着しているので印画紙20の下地材としての機能を失うことはない。
【0042】
また、折曲部にスリット43が形成されていることが好ましいが、
図12に示すように折曲部にスリット43が形成されていなくても、第一溝部51や第二溝部52が形成されている場合には、それらが形成されていない場合よりは折り曲げ易い。
【0043】
また、溝部は断面コ字状のものに限られず、第一溝部51と第二溝部52がともに断面略円形であってもよい。
また、写真台紙200は三つ折りであるとしたが、これに限られるものではなく、二つ折りのものであってもよい。
【0044】
加えて、
図7の二重鎖線で示すように、芯紙40は、互いに離間され折り曲げられない複数の芯紙40本体と、スリット43が形成され隣接する芯紙40本体間に配置された、芯紙40本体とは別部材の折曲部からなってもよい。
【0045】
また、芯紙40を折り曲げたときに折曲部が溝部の底面から離間するとしたが、離間していなくても折曲部の上面が印画紙20に貼着されていれば印画紙20の皺の発生をある程度抑制することは可能である。
【0046】
また、スリット43を折曲部につき複数本形成したとしたが、少なくとも一本以上形成されていればよい。
また、芯紙40は紙からなるとしたが、材質は特に問わない。同様に、印画紙20や表紙50の材質も特に問わない。