(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077462
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構
(51)【国際特許分類】
B41C 1/18 20060101AFI20170130BHJP
B41F 9/06 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
B41C1/18
B41F9/06
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-548261(P2013-548261)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(86)【国際出願番号】JP2012081487
(87)【国際公開番号】WO2013084927
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2014年9月17日
【審判番号】不服2016-5449(P2016-5449/J1)
【審判請求日】2016年4月13日
(31)【優先権主張番号】特願2011-267525(P2011-267525)
(32)【優先日】2011年12月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000131625
【氏名又は名称】株式会社シンク・ラボラトリー
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(72)【発明者】
【氏名】重田 龍男
【合議体】
【審判長】
黒瀬 雅一
【審判官】
植田 高盛
【審判官】
吉村 尚
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/135898(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/125926(WO,A1)
【文献】
特表平10−509383(JP,A)
【文献】
特開2002−283532(JP,A)
【文献】
特開昭64−12309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41C 1/18, B41C 1/04, B25J 15/08, C25D 17/08, G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被製版ロールに対して一連の処理を行い製版ロールとする全自動グラビア製版処理システムの処理ユニットに用いられるグラビアシリンダチャック機構であり、
前記被製版ロールの両端面をチャックするため相対向して設けられた一対のチャックコーンと、
前記一対のチャックコーンを前記被製版ロールの両端面に対し接離自在とするためのチャックコーン移動手段と、
前記チャックコーン移動手段を駆動させるための単一モータとを有し、
前記単一のモータで前記一対のチャックコーンを前記被製版ロールの両端面に対し接離自在とし、前記被製版ロールをチャックしてなり、
前記チャックコーン移動手段が、螺子軸にボール螺子ナットを螺合してなる相対向して設けられた一対のボール螺子と、前記ボール螺子ナットに取り付けられ、チャックコーンの後端部を把持するためのチャックコーン把持部材と、を含み、
前記チャックコーン移動手段が、前記単一モータで回転せしめられる長尺ロッド部材をさらに含み、前記長尺ロッド部材に前記一対のボール螺子が係合せしめられることにより、前記一対のチャックコーンが前記被製版ロールの両端面に対し同期して接離自在とされてなることを特徴とする単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構。
【請求項2】
前記モータが位置制御及びトルク制御を切り替え可能なモータ制御回路を有し、前記チャックコーン移動手段が位置制御及びトルク制御されてなり、前記一対のチャックコーンが前記被製版ロールの両端面に対して所定位置に到達するまで位置制御を行い、前記一対のチャックコーンがさらに前記被製版ロールの両端面に近接して前記両端面を押圧し始めると所定トルクに達するまでトルク制御を行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構。
【請求項3】
前記処理ユニットが、銅メッキ装置、感光膜塗布装置、電子彫刻装置、レーザ露光装置、脱脂装置、砥石研磨装置、超音波洗浄装置、表面硬化皮膜形成装置、現像装置、腐食装置、レジスト画像除去装置、ペーパー研磨装置から選ばれる少なくとも1つの処理装置であることを特徴とする請求項1記載の単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全自動グラビア製版用処理システムの処理ユニットに用いられる単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、全自動グラビア製版用処理システムとして、例えば特許文献1〜3に開示されたものが知られている。
【0003】
そして、本願出願人は、グラビア製版ロールの製造を従来よりも迅速に行うことが出来、省スペース化をはかることが出来、また夜間であっても無人操業が可能であり、さらに、製造ラインをフレキシブルにカスタマイズすることができ、顧客の様々なニーズに応えることができる自由度の高い全自動グラビア製版用処理システムを提案している(特許文献4)。
【0004】
上記した全自動グラビア製版用処理システムは、被製版ロールに対して一連の処理を行い製版ロールとするもので、各処理にあたっては、処理ユニットで処理が行われる。
【0005】
従来の処理ユニットとしては、例えば特許文献5又は6に記載されたものがあり、これら従来の処理ユニットでは、被製版ロールの両側をチャックする各チャックコーンにモータを設け、チャックコーンを移動させて、被製版ロールをチャックしていた。
【0006】
しかし、このような両側にモータを設けるチャック機構では、チャックコーンが別々に被製版ロールをチャックするため、被製版ロールに対するチャックコーンの密着性が悪いという問題があった。
【0007】
特に、メッキ装置では、チャックコーンの密着性が悪いとメッキ不良が生じてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−193551号公報
【特許文献2】WO2007/135898号公報
【特許文献3】WO2007/135899号公報
【特許文献4】WO2011/125926
【特許文献5】特開平11−61488号公報
【特許文献6】特開平11−254276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みなされたもので、全自動製版システムの各処理ユニットでの被製版ロールに対するチャックコーンの密着性を向上させるようにした単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構は、被製版ロールに対して一連の処理を行い製版ロールとする全自動グラビア製版処理システムの処理ユニットに用いられるグラビアシリンダチャック機構であり、前記被製版ロールの両端面をチャックするため相対向して設けられた一対のチャックコーンと、前記一対のチャックコーンを前記被製版ロールの両端面に対し接離自在とするためのチャックコーン移動手段と、前記チャックコーン移動手段を駆動させるための単一モータとを有し、前記単一のモータで前記一対のチャックコーンを前記被製版ロールの両端面に対し接離自在とし、前記被製版ロールをチャックしてなり、前記チャックコーン移動手段が、螺子軸にボール螺子ナットを螺合してなる相対向して設けられた一対のボール螺子と、前記ボール螺子ナットに取り付けられ、チャックコーンの後端部を把持するためのチャックコーン把持部材と、を含み、前記チャックコーン移動手段が、前記単一モータで回転せしめられる長尺ロッド部材をさらに含み、前記長尺ロッド部材に前記一対のボール螺子が係合せしめられることにより、前記一対のチャックコーンが前記被製版ロールの両端面に対し
同期して接離自在とされてなることを特徴とする。
【0011】
単一のモータで前記一対のチャックコーンが同期して接離自在となるようにすることで、被製版ロールに対するチャックコーンの密着性を向上するという利点がある。前記単一モータとしては、サーボモータが好ましく、ACサーボモータ又はDCサーボモータのいずれも適用可能である。
【0012】
単一のモータを使用するため、被製版ロールに対するチャックコーンの押圧の管理が正確にでき、これにより、被製版ロールに対するチャックコーンの密着性が向上する。
【0013】
前記チャックコーン移動手段が、螺子軸にボール螺子ナットを螺合してなる相対向して設けられた一対のボール螺子と、前記ボール螺子ナットに取り付けられ、チャックコーンの後端部を把持するためのチャックコーン把持部材と、を含む構成とするのが好ましい。
【0014】
また、前記チャックコーン移動手段が、前記単一モータで回転せしめられる長尺ロッド部材をさらに含み、前記長尺ロッド部材に前記一対のボール螺子が係合せしめられることにより、前記一対のチャックコーンが前記被製版ロールの両端面に対し接離自在とされてなるのが好適である。
【0015】
前記単一モータが位置制御及びトルク制御を切り替え可能なモータ制御回路を有し、前記チャックコーン移動手段が位置制御及びトルク制御されてなり、前記一対のチャックコーンが前記被製版ロールの両端面に対して所定位置に到達するまで位置制御を行い、前記一対のチャックコーンがさらに前記被製版ロールの両端面に近接して前記両端面を押圧し始めると所定トルクに達するまでトルク制御を行うようにされるのが好ましい。
【0016】
前記単一モータとしては、フィードバック・ループを切り替えることで位置制御及びトルク制御とを切り替え可能とした公知のモータ制御回路を有するモータが使用できる。そして、このような単一のモータを使用した位置制御により、1μm単位で位置を調整することができ、かつ、0〜数百kgまでトルクを自在に調整することができる。したがって、前記一対のチャックコーンによって被製版ロールの両端面を押圧する際の押圧力のコントロールが正確にできる。
【0017】
また、あわせて電力制御も行うことで、例えば、2000W〜3000Wの電力量の調整も自在に行うことができる。
【0018】
さらに、前記処理ユニットが、銅メッキ装置、感光膜塗布装置、電子彫刻装置、レーザ露光装置、脱脂装置、砥石研磨装置、超音波洗浄装置、表面硬化皮膜形成装置、現像装置、腐食装置、レジスト画像除去装置、ペーパー研磨装置から選ばれる少なくとも1つの処理装置であるのが好適である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、全自動製版システムの各処理ユニットでの被製版ロールに対するチャックコーンの密着性を向上させるようにした単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構を提供することができるという著大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構の一つの実施の形態を示す正面図である。
【
図2】
図1のチャックコーン移動手段18aの左側面図である。
【
図3】
図1のチャックコーン移動手段18bの右側面図である。
【
図4】処理ユニットに被製版ロールが移送されているところを示す要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これら実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。また、同一の部材は同一の符号で示される。
【0022】
図1〜3において、符号10は本発明の単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構である。
【0023】
単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構10は、被製版ロール12に対して一連の処理を行い製版ロールとする全自動グラビア製版処理システムの処理ユニットに用いられるグラビアシリンダチャック機構であり、前記被製版ロール12の両端面14a,14bをチャックするため相対向して設けられた一対のチャックコーン16a,16bと、前記一対のチャックコーン16a,16bを前記被製版ロール12の両端面14a,14bに対し接離自在とするためのチャックコーン移動手段18a,18bと、前記チャックコーン移動手段18a,18bを駆動させるための単一モータ20(図示例では、ACサーボモータ)とを有している。
【0024】
そして、前記単一モータ20で前記一対のチャックコーン16a,16bを前記被製版ロール12の両端面14a,14bに対し接離自在とし、前記被製版ロール12をチャックするようにされている。なお、図において、符号42は、単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構10の台座部材である。なお、符号44a,44bは被製版ロール12の内孔であり、内孔44a,44bに一対のチャックコーン16a,16bが嵌着される。
【0025】
図示例では、前記チャックコーン移動手段18a,18bとしては、螺子軸22a,22bにボール螺子ナット24a,24bを螺合してなる相対向して設けられた一対のボール螺子26a,26bと、前記ボール螺子ナット24a,24bに取り付けられ、チャックコーン16a,16bの後端部を把持するためのチャックコーン把持部材28a,28bと、を含む構成とされている。なお、単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構10をメッキ装置などの処理ユニットに取り付ける場合には、必要に応じて、防水パッキン30a,30bを前記チャックコーン16a,16bに被せて使用する。
【0026】
さらに、図示例では、前記チャックコーン移動手段18a,18bが、前記単一モータ20で回転せしめられる長尺ロッド部材32をさらに含み、前記長尺ロッド部材32に前記一対のボール螺子26a,26bが係合せしめられることにより、前記一対のチャックコーン16a,16bが前記被製版ロール12の両端面14a,14bに対し接離自在とされている。このようにして、単一モータ20で前記一対のチャックコーン16a,16bが同期して接離自在となるようにされている。
【0027】
また、前記単一モータ20が位置制御及びトルク制御を切り替え可能なモータ制御回路を有しており、前記チャックコーン移動手段18a,18bが位置制御及びトルク制御されている。制御された位置合わせの方法を次に示す。
【0028】
まず、前記一対のチャックコーン16a,16bが前記被製版ロール12の両端面14a,14bに対して所定位置(例えば、両端面14a,14bから10cm等)に到達するまで位置制御を行い、前記所定位置で前記一対のチャックコーン16a,16bは待機する。
【0029】
次に、
図4に示すように、産業用ロボット34(又はスタッカクレーン)によって運ばれてきた前記被製版ロール12が、処理ユニット36(図示例では、銅メッキ装置)内に入れられると、
図1に示す前記一対のチャックコーン16a,16bがさらに前記被製版ロール12の両端面14a,14bに近接して前記両端面14a,14bを押圧し始める。そして、所定トルクに達するまで(例えば、被製版ロール12であるシリンダの質量に応じて150kg〜1000kgに設定)トルク制御を行うように構成されている。
【0030】
なお、
図4において、符号38は、被製版ロール12を把持するために産業用ロボット34のロボットアーム先端に設けられた把持部材である。把持部材38は、被製版ロール12のサイズに応じて広狭自在とされている。また、符号40は、被製版ロール12の処理作業中には閉じられる天蓋部材である。
【0031】
また、前記処理ユニット36としては、銅メッキ装置、感光膜塗布装置、電子彫刻装置、レーザ露光装置、脱脂装置、砥石研磨装置、超音波洗浄装置、表面硬化皮膜形成装置、現像装置、腐食装置、レジスト画像除去装置、ペーパー研磨装置から選ばれる少なくとも1つの処理装置に適用することができ、図示例では、銅メッキ装置の例を示した。
【0032】
表面硬化皮膜形成装置としては、クロムメッキ装置、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜形成装置、ペルヒドロポリシラザン溶液を用いた二酸化珪素膜形成装置などが使用できる。クロムメッキ装置としては例えば特許文献1に記載の装置、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜形成装置としては例えば特許文献2に記載の装置、ペルヒドロポリシラザン溶液を用いた二酸化珪素膜形成装置としては例えば特許文献3に記載の装置がそれぞれ使用できる。
【0033】
このように、単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構10を用いれば、全自動製版システムの各処理ユニットでの被製版ロールに対するチャックコーンの密着性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
10:単一モータ駆動グラビアシリンダチャック機構、12:被製版ロール、14a,14b:両端面、16a,16b:チャックコーン、18a,18b:チャックコーン移動手段、20:単一モータ、22a,22b:螺子軸、24a,24b:ボール螺子ナット、26a,26b:ボール螺子、28a,28b:チャックコーン把持部材、30a,30b:防水パッキン、32:長尺ロッド部材、34:産業用ロボット、36:処理ユニット、38:把持部材、40:天蓋部材、42:台座部材、44a,44b:内孔。