特許第6077470号(P6077470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6077470高スチレン高ビニルスチレン−ブタジエンゴムおよびそれらの調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077470
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】高スチレン高ビニルスチレン−ブタジエンゴムおよびそれらの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 236/10 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   C08F236/10
【請求項の数】22
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-555874(P2013-555874)
(86)(22)【出願日】2012年3月1日
(65)【公表番号】特表2014-506951(P2014-506951A)
(43)【公表日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】EP2012053524
(87)【国際公開番号】WO2012119918
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2015年2月16日
(31)【優先権主張番号】11156987.7
(32)【優先日】2011年3月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510288530
【氏名又は名称】トリンゼオ ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(72)【発明者】
【氏名】エフェマリー ハマン
(72)【発明者】
【氏名】シルビア バレンティ
(72)【発明者】
【氏名】カリン シュミデル
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−239909(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/119708(WO,A1)
【文献】 特表2013−515162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 236/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の特性を有するポリマー:
(a)ポリマー中の合計スチレン含有量基準で27〜50質量パーセントの4〜6のスチレン単位を含有するブロックスチレン含有量;
(b)重合した1,3−ブタジエンの合計質量基準で30〜80質量パーセントのビニル含有量;
(c)ポリマーの合計質量基準で40〜70質量パーセントのスチレン含有量、および
(d)ポリマー中の合計スチレン含有量基準で、25質量パーセント未満の6より多い連続スチレン単位を有するブロックスチレン含有量を有するブロックスチレン含有量、
を有するポリマー。
【請求項2】
合計スチレン含有量基準で、30〜73質量パーセントの4より少ない連続スチレン単位が組み入れられたスチレン量を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
1.05〜2の分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
1.5〜2.5の分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項5】
80,000g/モル以上の数平均分子量を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項6】
84,000g/モル以上の重量平均分子量を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項7】
20〜150のムーニー粘度を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマーを含む組成物。
【請求項9】
ポリマーの質量基準で5〜40質量パーセントの量で油をさらに含む、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
請求項8または請求項9記載の組成物から形成される少なくとも1つ成分を含む、物品。
【請求項11】
スチレンモノマーおよび1,3−ブタジエンモノマー由来のモノマー単位を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマーの重合のための過程であって、前記過程が:
前記モノマー単位を開始剤および極性剤の存在下で重合することを含み;
前記極性剤が構造I:
【化1】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立してアルキル基である;
、R、R、R、RおよびR8はそれぞれ独立してアルキル基および水素からなる群から選択される)
を含み;
極性剤と活性開始剤とのモル比が0.5より大きく;
重合で添加されるモノマー混合物のスチレン含有量が、添加されるモノマーの合計質量基準で40質量パーセントよりも大きく;そして
前記重合が80℃未満の温度で実施される、過程。
【請求項12】
およびRがそれぞれ独立してC〜Cアルキル基である、請求項11記載の過程。
【請求項13】
、R、R、R、RおよびRがそれぞれ独立して水素およびC〜Cアルキル基からなる群から選択される、請求項11または12に記載の過程。
【請求項14】
前記極性剤がジテトラヒドロフリルプロパンを含む、請求項11〜13のいずれか1項に記載の過程。
【請求項15】
前記開始剤がn−ブチルリチウムを含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載の過程。
【請求項16】
合計モノマー変換率が供給されたモノマーの合計量基準で96質量パーセントより高い、請求項11〜15のいずれか1項に記載の過程。
【請求項17】
前記ポリマーが、重合した1,3−ブタジエンの合計量基準で、30〜80質量パーセントのビニル含有量を含む、請求項11〜16のいずれか1項に記載の過程。
【請求項18】
前記極性剤と活性開始剤の前記モル比が0.5より大きく10以下である、請求項11〜17のいずれか1項に記載の過程。
【請求項19】
前記重合が、10℃以上80℃未満の温度で実施される、請求項11〜18のいずれか1項に記載の過程。
【請求項20】
前記ポリマーが前記ポリマー中の合計スチレン含有量基準で、27〜50質量パーセントの4〜6個のスチレン単位を含有するブロックスチレン含有量を有する、請求項11〜19のいずれか1項に記載の過程。
【請求項21】
前記ポリマーが前記ポリマー中の合計スチレン含有量基準で25質量パーセント未満の6個より多い連続したスチレン単位を有するブロックスチレン含有量を有するブロックスチレン含有量を有する、請求項11〜20のいずれか1項に記載の過程。
【請求項22】
重合が炭化水素溶媒中で行われる、請求項11〜21のいずれか1項に記載の過程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教唆は、概して、高スチレン高ビニルの溶液ベースのスチレン−ブタジエンゴム(SSBR)、特にスチレンの所定の取り込みを有する高スチレン高ビニルSSBRに関し、またそれらの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高スチレンおよび高ビニルSSBRは、共重合の動力学のために製造するのが困難である。典型的には、ランダムなスチレン組み入れを達成するために、ランダマイザーとして知られる極性剤を重合系に添加する。
【0003】
あるランダマイザーの使用は、10%未満の低いブロックスチレン含有量(>6のスチレンの連続単位)を有する高ビニルSSBRをもたらす可能性がある。長いブロックスチレンは、例えばS. Futamura and G. Dayによって報告されているようにヒステリシスを悪化させる可能性があり、彼らは、ブロックスチレン含有量が2%から約7%まで増加する場合に、カーボンブラック充填化合物において60℃でタン・デルタを約18%悪化させることを観察した(Kautschuk Gummi Kunststoffe, 1987, 40, No. 1, 39−43)。それに反して、小さなスチレンブロックの組み入れは、I. Hattori et al. (143rd Meeting of the Rubber Division of the ACS, Spring 1993, paper 22)で報告されるように、改善された摩耗および引張強度を、特にシリカ化合物においてもたらす可能性がある。
【0004】
ある用途では、4〜6単位のブロックとしてのスチレンの所定の組み入れを有する高スチレン高ビニルSSBRを得ることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定され、この概要の範囲内の記載によってどのようにでも影響を受けない。
【0006】
前置きとして、本教唆の特性を例示するポリマーは、少なくとも以下の特性を有する:(a)ポリマー中の合計スチレン含有量基準で約27〜約50質量パーセントの、4〜6のスチレン単位を含むブロックスチレン含有量;(b)重合した1,3−ブタジエンの合計量基準で約30〜約80質量パーセントのビニル含有量;および(c)ポリマーの合計質量基準で約40〜約70質量パーセントのスチレン含有量。
【0007】
本教唆の特徴を例示するスチレンモノマーおよび1,3−ブタジエンモノマー由来のモノマー単位を含むポリマーの重合のための過程は、モノマー単位を開始剤および極性剤の存在下で重合することを含む。極性剤は構造I:
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立してアルキル基である;式中、R、R、R、R6、RおよびRはそれぞれ独立してアルキル基および水素からなる群から選択される)を含み;極性剤の活性開始剤に対するモル比は約0.5より大きく;重合で添加されるモノマー混合物のスチレン含有量は、添加されるモノマーの合計質量基準で約40質量パーセントよりも大きく;そして重合は約80℃より低い温度で実施される。
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、そして意外にも、狭い分子量分布を有し、スチレンが約27〜約50%にわたり4〜6単位のブロックで組み入れられ、6を超える連続した単位を有するブロックスチレン含有量が約20%未満である、高スチレン高ビニルSSBR見出した。
【0011】
さらに、本発明者らは、驚くべきことに、そして意外にも、開始剤(例えば、ブチルリチウム)およびランダマイザー(例えば、ジテトラヒドロフリルプロパン、2,2−ジ(2−オキソラニル)プロパンまたはDOPとしても知られる)を以下の条件下で使用して前述の高スチレン高ビニルSSBRを調製することが可能であることを更に見出した:スチレン含有量≧40質量%;DOP/活性開始剤のモル比≧0.5;および重合温度≦80℃。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この記載および添付の特許請求の範囲全体を通して、以下の定義が理解されるべきである:
【0013】
「ポリマー」という用語は、広範にモノマー単位の重合により調製される物質を指す。本明細書中で用いられる場合、「ポリマー」という用語は、「ホモポリマー」(単一種のモノマーから調製されるポリマー物質)、「コポリマー」(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマー物質)、および「インターポリマー」(3以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマー物質)という用語を包含する。
【0014】
「アルキル基」という語句は、好ましくは1〜20個の炭素原子を含む、置換もしくは非置換直鎖、分枝または環状炭化水素鎖を指す。本教唆にしたがって使用される非置換アルキル基の代表例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、シクロブチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
重合反応に関連して用いられる「過程」という用語には、バッチ、セミバッチ、および/または連続過程が含まれる。
【0016】
重合に関連して使用される「バッチ−」または「セミバッチ」という語句は、開始剤の装入によって重合を開始する前に60%を超える溶媒がさらなる重合成分とともにリアクター中に装入される重合を指す。モノマーは、開始剤の添加前に一度に、開始剤の添加前に部分的に、開始剤の添加後に部分的に、または開始剤の添加後に一定期間にわたって連続して一度に添加することができる。
【0017】
「連続重合」という語句は、溶媒、モノマー(複数可)、および任意のさらなる重合成分が連続してリアクターに特定の容積比で供給される重合過程を指す。いくつかの実施形態では、直列に連結された2以上の重合リアクターが使用される。いくつかの実施形態では、試薬は1つのリアクターだけに供給される。
【0018】
「ビニル含有量」という語句は、ポリマー鎖中の、1,2位で組み込まれたブタジエンの質量(または重量)百分率を指し、ポリマー中のブタジエン部分(重合したブタジエンの合計量)を基準とする。
【0019】
「スチレン含有量」という語句は、ポリマー中のスチレンの質量(または重量)百分率を指し、ポリマーの合計質量基準である。
【0020】
「ブロックスチレン含有量」という語句は、ポリマー中の重合したスチレンの合計量基準でスチレン単位の連続した配列として組み込まれたスチレンの質量分率を指す。
【0021】
「組成物」という用語は、ポリマー物質ならびに、場合によって反応生成物および/またはポリマー物質から形成される分解生成物を含む物質の混合物を指す。
【0022】
「活性開始剤」(nBL,pm)という用語は、重合反応に関与し、反応媒体中に含まれる不純物によって不活性化されない開始剤(例えば、有機リチウム(organlithium))の量を指す。「過剰の開始剤」(nBL,exc)という用語は、系中の不純物を不活性化させるために装入される開始剤の量を指す。
【0023】
「モノマーフィードの合計量」という語句は、連続重合リアクター中、そして典型的には、第1連続重合リアクター中に供給される、スチレンおよびブタジエンの合計量(g/min)を指す。
【0024】
「合計モノマー変換率」という語句は、最終重合リアクターについて測定されたモノマー変換率(例えば、スチレンおよびブタジエンの最終的な合計変換率)を指す。
【0025】
一般的な前置きとして、本教唆によるポリマーは少なくとも以下の特性を有する:(a)ポリマー中に合計スチレン含有量基準で約27〜約50質量パーセントの4〜6のスチレン単位を含有するブロックスチレン含有量;(b)重合した1,3−ブタジエンの合計量基準で約30〜約80質量パーセントのビニル含有量;および(c)ポリマーの合計質量基準で約40〜約70質量パーセントのスチレン含有量。
【0026】
いくつかの実施形態では、本教唆によるポリマーは、ポリマー中の合計スチレン含有量基準で約10質量パーセント未満の6より多い連続したスチレン単位を有するブロックスチレン含有量を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、本教唆によるポリマーは、ポリマー中の合計スチレン含有量基準で約25質量パーセント未満の6より多い連続したスチレン単位を有するブロックスチレン含有量を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、本教唆によるポリマーは、組み込まれたスチレンの合計質量基準で約30〜約73質量パーセントの4より少ない連続したスチレン単位とともに組み込まれたスチレンの量を有する。いくつかの実施形態では、4より少ない連続したスチレン単位で組み込まれたスチレンの量は、組み込まれたスチレンの合計質量基準で約35〜約70質量%である。
【0029】
いくつかの実施形態において、本教唆によるバッチ過程で製造されるポリマーは、約1.05〜約2の分子量分布(Mw/Mn)を有する。いくつかの実施形態では、分子量分布は約1.1〜約1.8であり、いくつかの実施形態では、分子量分布は約1.2〜約1.6である。
【0030】
いくつかの実施形態では、本教唆による連続過程で製造されるポリマーは、約1.5〜約2.5の分子量分布(Mw/Mn)を有する。いくつかの実施形態では、約1.6〜約2.4の分子量分布を有する。いくつかの実施形態では、分子量分布は約1.8〜約2.2である。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明の教唆によるポリマーは約80,000g/モル以上の数平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、数平均分子量は約150,000g/モル以上である。いくつかの実施形態において、数平均分子量は約300,000g/モル以上である。
【0032】
いくつかの実施形態では、本教唆によるポリマーは、約84,000g/モル以上の重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、重量平均分子量は約155,000g/モル以上である。いくつかの実施形態において、重量平均分子量は約310,000g/モル以上である。
【0033】
いくつかの実施形態では、本教唆によるポリマーは約20〜約150のムーニー粘度(ML1+4、10℃)を有する。いくつかの実施形態では、本教唆によるポリマーは約30〜約120のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有する。いくつかの実施形態において、本教唆によるポリマーは約30〜約90のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を有する。
【0034】
さらなる一般的な前置きとして、本教唆によるスチレンモノマーおよび1,3−ブタジエンモノマー由来のモノマー単位を含むポリマーの重合のための過程は、開始剤および極性剤の存在下でモノマー単位を重合することを含み、ここで、極性剤は構造I:
【0035】
【化2】
【0036】
を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれ独立してアルキル基である。いくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれ独立してC〜Cアルキル基である。いくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれメチルである。
【0038】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立してアルキル基および水素からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素およびC〜Cアルキル基からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R、R、R、R、RおよびR8は、それぞれ独立して水素およびメチルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ水素である。
【0039】
いくつかの実施形態では、極性剤と活性開始剤のモル比は約0.5よりも大きい。いくつかの実施形態では、極性剤と活性開始剤のモル比は約0.5〜約10である。
【0040】
いくつかの実施形態では、重合で添加されるモノマー混合物のスチレン含有量は、添加されるモノマーの合計質量基準で約40質量パーセントより高い。
【0041】
いくつかの実施形態では、本教唆による重合は約80℃未満の温度で実施される。いくつかの実施形態では、本教唆による重合は約10℃〜約80℃の温度で実施される。
【0042】
本教唆にしたがった使用に現在好ましい開始剤には、アニオン重合に好適なものが含まれる。いくつかの実施形態では、本教唆にしたがって使用される開始剤は有機リチウム(例えば、アルキルリチウム)である。本教唆したがって使用される代表的なアルキルリチウム剤としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウムなど、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、開始剤はn−ブチルリチウムを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、合計モノマー変換率は供給されたモノマーの合計量基準で約96質量パーセントより高い。いくつかの実施形態では、合計モノマー変換率は約98質量パーセントより高い。いくつかの実施形態では、合計モノマー変換率は約99質量パーセントより高い。
【0044】
いくつかの実施形態では、本教唆によるポリマーは、重合した1,3−ブタジエンの合計質量基準で約30〜約80質量パーセントのビニル含有量を有する。いくつかの実施形態では、ビニル含有量は約40〜約70質量パーセントである。
【0045】
いくつかの実施形態では、本教唆によるポリマーは、ポリマー中の合計スチレン含有量基準で約27〜約50質量パーセントの4〜6のスチレン単位を含有するブロックスチレン含有量を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、本教唆によるポリマーは、ポリマー中の合計スチレン含有量基準で約10質量パーセント未満の6より多い連続したスチレン単位を有するブロックスチレン含有量を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、本教唆によるポリマーは、ポリマー中の合計スチレン含有量基準で約25質量パーセント未満の6より多い連続スチレン単位を有するブロックスチレン含有量を有する。
【0048】
本教唆による重合を溶媒中でおこなうのが現在好ましく、炭化水素溶媒が現在のところ好ましい。いくつかの実施形態では、重合溶媒はアルカンを含む。いくつかの実施形態では、重合溶媒はシクロヘキサンを含む。いくつかの実施形態では、重合溶媒はシクロヘキサンと1以上のさらなるアルカンとの混合物を含む。
【0049】
さらなる一般的な前置きとして、本教唆によるポリマーは本明細書中で記載される種類の過程によって形成される。
【0050】
いくつかの実施形態では、本教唆によるポリマーを変性剤(または修飾剤)で修飾する。代表的な変性剤としては、アミン、アミド、チオグリコール、ケイ素アルコキシド、シラン−スルフィド修飾剤など、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
いくつかの実施形態では、本教唆によるリビングポリマーは、鎖末端修飾および/またはカップリング反応によって化学的に修飾することができる。適切な鎖末端修飾剤および/またはカップリング剤は、目標の用途およびフィラーにしたがって選択することができる。代表的なカップリング剤としては、四塩化スズ、四塩化ケイ素、ジビニルベンゼン、アルコキシシランなど、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
代表的な修飾剤としては、欧州特許文献第EP1016674号で記載されているハロゲン化スルフェニル、ベンゾフェノン、イソシアネート、欧州特許文献第EP0464478号で記載されているヒドロキシルメルカプタンおよび欧州特許文献第EP0334042号で記載されているアクリルアミド化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない、さらなる修飾剤としては、欧州特許文献第EP548799号、同第EP510410号、同第EP451604号、および同第EP180141号、ならびに米国特許第4,412,041号で記載されるアミン、アミド、イミド、ならびにニトリル修飾剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、エポキシ含有シランを含むがこれらに限定されないシランは、例えば欧州特許文献第EP−A−299074号、同第EP−A−102045号、同第EP0447066号、および同第EP0692493号で記載されるようなシリカフィラーで使用されるポリマー鎖末端を修飾するために使用される。さらなる代表的な修飾剤および/またはそれらに関する特許文献は、国際公開特許文献第WO2009/134665号で提供される。
【0053】
さらなる一般的前置きとして、本教唆の特性を例示する組成物には、本明細書中で記載される種類のポリマーが含まれる。いくつかの実施形態では、本教唆による組成物は油を更に含む。いくつかの実施形態では、本教唆による組成物は油をポリマーの質量基準で約5〜約40質量パーセントの量で更に含む。いくつかの実施形態では、本教唆による組成物は油を含まない。
【0054】
いくつかの実施形態では、本教唆による組成物は、本明細書中で記載される種類のポリマーおよび少なくとも1つ添加剤を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーを、1以上のフィラー、加硫剤、および/または場合によって、促進剤、カップリング剤、非修飾、非架橋弾性ポリマー(すなわち、修飾剤と反応していないが、調製され、停止された通常の非架橋弾性ポリマー)など、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない1以上のさらなる添加剤と組み合わせる、および/または反応させる。
【0055】
いくつかの実施形態では、本教唆による組成物には、強化剤としての役目を果たす1以上のフィラーが含まれる。好適なフィラーの代表例としては、カーボンブラック、シリカ、炭素−シリカ二重相フィラー、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、カーボンブラックとシリカの組み合わせ、炭素−シリカ二重相フィラーまたは炭素−シリカ二重相フィラーとカーボンブラックおよび/またはシリカの組み合わせが使用される。
【0056】
いくつかの実施形態では、カーボンブラックは炉内法によって製造され、約50〜約200m/gの窒素吸着比表面積および約80〜約200ml/100グラムのDBP吸油量を有する(例えば、FEF、HAF、ISAFまたはSAFクラスのカーボンブラック)。いくつかの実施形態では、「高凝集型」カーボンブラックが使用される。いくつかの実施形態では、カーボンブラックまたはシリカを100質量部の全ポリマーについて約2〜約100質量部の量で添加する。いくつかの実施形態では、カーボンブラックまたはシリカを約5〜約100質量部の量で添加する。いくつかの実施形態では、カーボンブラックまたはシリカを約10〜約100質量部の量で添加する。いくつかの実施形態では、カーボンブラックまたはシリカを約10〜95質量部の量で添加する。
【0057】
最後に、さらなる一般的前置きとして、本教唆の特性を例示する物品は、そのような組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む。いくつかの実施形態では、物品はタイヤであり、いくつかの実施形態では、物品は靴の構成要素である。
【0058】
以下の実施例および代表的な手順は本教唆による特性を説明し、そして単に例として提供される。それらは添付の特許請求の範囲またはそれらの等価物の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0059】
モノマー変換率は、重合の終わりのポリマー溶液の固体濃度を測定することによって決定した。最大固形分は、TSCmax=(mBd+mSt)/(mBd+mSt+mpolar agent+mBL+mcyclohexane)×100%によって最終ポリマーについて装入されたブタジエン(mBd)およびスチレン(mSt)の100質量%変換で得られる。予想されるモノマー変換率に応じて約1gから約10gまで及ぶポリマー溶液の試料をリアクターから抜き出し、エタノール(50mL)で満たした200mLの三角フラスコ中に直接入れた。充填された三角フラスコの質量をサンプリングの前(「A」)およびサンプリングの後(「B」)に測定した。沈殿したポリマーを、秤量したろ紙(マイクロガラス繊維紙、φ90mm、MUNKTELL、質量「C」)上でろ過することによってエタノールから除去し、恒量になるまで湿度分析計HR73(Mettler−Toledo)を用いて140℃で乾燥した。基準5を使用した。最後に、スイッチオフ基準4を用いて第2乾燥期間を実施して、ろ紙上に最終量「D」の乾燥試料を得た。試料中のポリマー含有量は、TSC=(D−C)/(B−A)×100%として計算した。最終モノマー変換率はTSC/TSCmax×100%として計算した。
【0060】
ポリマーの分子量および分子量分布は、それぞれポリスチレン標準に基づいて40℃でサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して測定した。各ポリマー試料(9〜11mg)をテトラヒドロフラン(10mL)中に溶解させて、溶液を形成した。0.45μmフィルターを使用して溶液をろ過した。100μL試料をGPCカラム(3つのPLgel 10μm MIXED−Bカラムを有するHewlett Packardシステム1100)中に供給した。屈折率検出を、分子量を分析するための検出手段として使用した。分子量は、Polymer Laboratoriesから得られるEasiCal PS1(Easy AおよびB)でポリスチレン標準でのキャリブレーションに基づいてポリスチレンとして計算した。数平均分子量(Mn)値および重量平均分子量(Mw)値をポリスチレン標準基準で得た。分子量分布を分散度D=Mw/Mnとして表した。
【0061】
ビニルおよび合計スチレン含有量を、H−NMRを用い、ISO 21561−2005にしたがい、NMR分光計BRUKER Avance 400MHz)、および5−mm二重プローブを用いて測定した。CDCl/TMSを溶媒として0.05%:99.95%の質量比で使用した。Y. Tanaka et al. in Rubber Chemistry and Technology, 1981 , 54, No. 4, 685−691によって報告されている方法にしたがい、6.7ppmよりも高いオルトPh−プロトンシグナル共振の相対強度を用いて、6より多い連続スチレン単位からなるブロックスチレンの含有量を測定した。ドイツ国特許文献第DE69712962号で記載されている方法にしたがい、6.94〜6ppmの範囲のオルトPh−プロトンシグナル共振の相対強度を使用して、4以上の連続スチレン単位からなるブロックスチレンの含有量を測定した。4〜6の連続単位からなるブロックスチレンの含有量を、前述の2つのブロックスチレン含有量の差から算出した。
【0062】
Moonev粘度ML1+4(100℃)
【0063】
ポリマー(フィラー無し、油無し)のムーニー粘度を、ASTMD1646(2004)にしたがい、1分間の予熱時間、および4分のローター操作時間で100℃の温度にて、Alpha−Technologiesから得られるMV2000で測定した[ML1+4(100℃)]。
【0064】
比較実施例1(DOP(1モル/モル、モノマー中スチレン比21%)の使用、65℃)
【0065】
乾燥シクロヘキサン(255g)を、空気排除・窒素パージした2Lステンレス鋼リアクターに添加した。1,3−ブタジエン(35.55g)、スチレン(9.45g)、およびDOP(0.2727ミリモル、25質量%シクロヘキサン中溶液)をリアクター中に供給した(DOP/活性ブチルリチウムモル/モル=1)。以下の量のn−ブチルリチウムを、0.6278モル/kgシクロヘキサン中溶液として添加することによって反応を開始した:不純物の変換のためにnBL,exc=0.135ミリモル、そして反応のためにnBL,pm=0.2727ミリモル。混合物を撹拌しながら65℃まで加熱した。停止剤としてメタノールを添加することによって反応を30分後に停止させた。商標名IRGANOX1520(Ciba)で販売されている4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを抗酸化剤として導入した。
【0066】
栓と固形分の測定のための針とを有する試料採取管によって試料を抜き取った。100%の変換率が測定された。
【0067】
結果として得られるポリマーをGPCによって分析した:Mn=215586、Mw=236158、D=1.095。
【0068】
微細構造およびスチレンブロック含有量をH−NMRによって測定した。以下の結果が得られた:スチレン=21.2%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエンフラクションに関して算出)=62.2%、ブロックスチレン(>6スチレン単位):2%、4〜6スチレン単位を含むブロックスチレン:12%。
【0069】
DOP/nBL,pm比および温度は本発明の範囲内であったが、21%のスチレン含有量は、4〜6スチレン単位を含むブロックスチレンの含有量を得るには低すぎた。
【0070】
比較実施例2(DOP(0.4モル/モル、モノマー中スチレン比40%)を使用、60℃)
【0071】
乾燥シクロヘキサン(255g)を、空気排除・窒素パージした2Lのステンレス鋼リアクター中に装入した。1,3−ブタジエン(27g)、スチレン(18g)、およびDOP(0.1052ミリモル、23.38%シクロヘキサン中溶液)をリアクター中に供給した(DOP/活性ブチルリチウムモル/モル=0.3974)。0.4451モル/kgシクロヘキサン中溶液として以下の量のn−ブチルリチウムを添加することによって反応を開始した:不純物の変換のためにnBL,exc=0.32ミリモル、そして反応のためにnBL,pm=0.2647ミリモル。混合物を撹拌しながら60℃まで加熱した。TMS(0.075モル/モル)を添加することによってポリマーを120分後にカップリングさせた。残存する未カップリングポリマーは、停止剤としてメタノールを添加することによって30分後に停止させた。IRGANOX1520を抗酸化剤として導入した。
【0072】
栓および固形分の測定用の針を有する試料採取管によって試料を抜き取った。97.24%の変換率が測定された。
【0073】
結果として得られるカップリングしたポリマーをGPCによって分析した:Mn=222029、Mw=381586、23%のカップリングしたポリマーでD=1.719。
【0074】
微細構造およびスチレンブロック含有量をH−NMRによって測定した。以下の結果が得られた:スチレン=41.4%。ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエンフラクションに関して算出)=47%、ブロックスチレン(>6スチレン単位):3%、4〜6スチレン単位を含むブロックスチレン:24%。
【0075】
スチレン含有量および温度は本発明の範囲内であったが、0.3974のDOP/nBL,pm比は、4〜6スチレン単位を含むブロックスチレンの含有量を達成するには低すぎた。
【0076】
比較実施例3(DOP(0.4モル/モル、モノマー中スチレン比40%)の使用、85℃)
【0077】
乾燥シクロヘキサン(255g)を、空気排除・窒素パージした2Lステンレス鋼リアクターに添加した。1,3−ブタジエン(27g)、スチレン(18g)、およびDOP(0.1052ミリモル、23.38%シクロヘキサン中溶液)をリアクター中に供給した(DOP/活性ブチルリチウム(モル/モル)=0.3974)。以下の量のn−ブチルリチウムを0.4451モル/kgシクロヘキサン中溶液として添加することによって反応を開始した:不純物の変換のためにnBL,exc=0.32ミリモル、そして反応のためにnBL,pm=0.2647ミリモル。混合物を撹拌しながら85℃まで加熱した。TMS(0.075モル/モル)を添加することによってポリマーを30分後にカップリングさせた。残存する未カップリングポリマーは、停止剤としてメタノールを添加することによって30分後に停止させた。IRGANOX1520を抗酸化剤として導入した。
【0078】
栓および固形分測定のための針を有する試料採取管によって試料を抜き取った。95.62%の変換率が測定された。
【0079】
結果として得られるカップリングしたポリマーをGPCによって分析した:22.3%のカップリングしたポリマーで、Mn=210590、Mw=378049、D=1.795。
【0080】
微細構造およびスチレンブロック含有量をH−NMRによって測定した。以下の結果が得られた:スチレン=42.1%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエンフラクションに関して算出)=33.4%、ブロックスチレン(>6スチレン単位):14%、4〜6個のスチレン単位を含むブロックスチレン:20%。
【0081】
スチレン含有量は本発明の範囲内であったが、4〜6スチレン単位を含むブロックスチレンの本発明の含有量を達成するには、0.4のDOP/活性ブチルリチウム比は低すぎ、85℃の適用温度は高すぎた。
【0082】
実施例1(DOP(1モル/モル)を使用)
【0083】
乾燥シクロヘキサン(5208.11g)を、空気排除・窒素パージした10Lステンレス鋼リアクターに添加した。1,3−ブタジエン(317.28g)、スチレン(393.11g)、およびDOP(1.1866ミリモル)をリアクター中に供給した(DOP/活性ブチルリチウム=0.9808)。
【0084】
混合物を撹拌しながら50℃まで加熱した。ブチルリチウムを滴加することによって系中の不純物を滴定した。終点を認識して、1.2098ミリモル(0.2585モル/kgシクロヘキサン中溶液)の活性ブチルリチウムnBL,pmの量をポンプにより1分22秒以内に添加することによって重合を開始した。次いで重合が開始した。リアクター中の温度は30分以内で65℃まで上昇した。停止剤としてのメタノールの添加によって200分後に反応を停止させた。IRGANOX1520を抗酸化剤として導入した。
【0085】
栓と固形分の測定のための針とを有する試料採取管によって試料を採取した。99.26%の変換率が測定された。
【0086】
結果として得られるポリマーをGPCによって分析した:Mn=587535、Mw=755240、D=1.285。微細構造およびスチレンブロック含有量をH−NMRによって測定した。以下の結果が得られた:スチレン=55.9%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエンフラクションに関して算出)=49%、ブロックスチレン(>6スチレン単位):8%、4〜6スチレン単位を含むブロックスチレン:37%。
【0087】
実施例2(DOP(1モル/モル)を使用)
【0088】
乾燥シクロヘキサン(21236.38g)を、空気排除・窒素パージした40Lステンレス鋼リアクターに添加した。1,3−ブタジエン(838.13g)、スチレン(1018.1g)、およびDOP(4.1567ミリモル)をリアクター中に供給した(DOP/活性ブチルリチウム(モル/モル)=1.0924)。
【0089】
混合物を撹拌しながら50℃まで加熱した。ブチルリチウムを滴加することによって系中の不純物を滴定した。終点を認識して、3.8051ミリモルのn−ブチルリチウム(0.2585モル/kgシクロヘキサン中溶液)の活性ブチルリチウムnBL,pmの量をポンプにより約2分以内に添加することによって重合を開始した。次いで、重合が開始した。リアクター中の温度は30分以内に65℃まで上昇した。変換は90分後に完了した。試料を採取し、結果として得られるポリマーをGPCによって分析した:Mn=528631、Mw=638245、D=1.207。微細構造およびスチレンブロック含有量をH−NMRによって測定した。
【0090】
カップリング剤の添加によって反応を停止させ、残存する未カップリング鎖は、停止剤としてのメタノールの添加によってさらに30分後に最終的に停止させた。IRGANOX1520を抗酸化剤として導入した。
【0091】
以下の結果が得られた:スチレン=53.8%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエンフラクションに関して算出)=47.6%、ブロックスチレン(>6スチレン単位):8%、4〜6スチレン単位を含むブロックスチレン:37%。
【0092】
実施例3(DOP、41%スチレンを使用)
【0093】
乾燥シクロヘキサン(21194.98g)を、空気排除・窒素パージした40Lのステンレス鋼リアクターに添加した。1,3−ブタジエン(1008.13g)、スチレン(831.75g)、およびDOP(2.3106ミリモル)をリアクター中に供給した(DOP/活性ブチルリチウムモル/モル=0.9822)。
【0094】
混合物を撹拌しながら50℃まで加熱した。ブチルリチウムを滴加することによって系中の不純物を滴定した。終点を認識して、2.3524ミリモルのn−ブチルリチウム(0.2585モル/kgシクロヘキサン中溶液)の活性ブチルリチウムnBL,pmの量をポンプにより約1分以内に添加することによって、重合を開始した。次いで、重合が開始した。リアクター中の温度は30分以内で65℃まで上昇した。停止剤としてのメタノールの添加によって210分後に反応を停止させた。IRGANOX1520を抗酸化剤として導入した。
【0095】
栓および固形分の測定用の針を有する試料採取管によって試料を抜き取った。96.34%の変換率が測定された。
【0096】
結果として得られるポリマーをGPCによって分析した:Mn=1652619、Mw=2578087、D=1.56。微細構造およびスチレンブロック含有量をH−NMRによって測定した。以下の結果が得られた:スチレン=41%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエンフラクションに関して算出)=46.5%、ブロックスチレン(>6スチレン単位):3%、4〜6スチレン単位を含むブロックスチレン:29%。
【0097】
実施例4(DOP、46.5%スチレンを使用)
【0098】
乾燥シクロヘキサン(21215.19g)を、空気排除・窒素パージした40Lのステンレス鋼リアクター中に入れた。1,3−ブタジエン(974g)、スチレン(888.15g)、およびDOP(2.16129ミリモル)をリアクター中に供給した(DOP/活性ブチルリチウムモル/モル=0.9244)。
【0099】
混合物を撹拌しながら50℃まで加熱した。ブチルリチウムを滴加することによって系中の不純物を滴定した。終点を認識して、2.236ミリモルのn−ブチルリチウム(0.2585モル/kgのシクロヘキサン中溶液)の活性ブチルリチウムnBL,pmの量をポンプにより約1分以内で添加することによって、重合を開始した。次いで、重合を開始した。リアクター中の温度は30分以内で65℃まで上昇した。栓および固形分の測定のための針を有する試料採取管によって試料を120分後に抜き取った。99.17%の変換率が測定された。
【0100】
ポリマーをGPCによって分析した:Mn=868986、Mw=1117669、D=1.286。TMS(0.078モル/モル)を添加することによって30分後にポリマーをカップリングさせた。停止剤としてのメタノールの添加によって240分後に反応を停止させた。IRGANOX1520を抗酸化剤として導入した。
【0101】
ポリマーをGPCによって分析した:Mn=980410、Mw=1562027、17%カップリングでD=1.59。微細構造およびスチレンブロック含有量をH−NMRによって測定した。以下の結果が得られた:スチレン=46.5%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエンフラクションに関して算出)=40.3%、ブロックスチレン(>6スチレン単位):9%、4〜6スチレン単位を含むブロックスチレン:42%。
【0102】
比較実施例4(連続重合、T=85℃、DOP/活性開始剤=2)
【0103】
直列に連結された2つのCSTRリアクター中で反応を実施する。第1リアクターは6.3Lの容積を有し、第2リアクターは12.6Lの容積を有する。
【0104】
リアクターは高粘度溶液の混合に適した螺旋形スターラーを備えている。リアクターをフル稼働させる。リアクター壁中の外部水循環は所望の温度を調節する。成分(スチレン、ブタジエン、シクロヘキサン、DOP、1,2−ブタジエン(1,2−Bde)およびn−ブチルリチウムを、所望のフィードを調節でき一定流量を保証する質量流量計(Micromotion)で第1リアクターの頭部に供給する。アルミナカラムを通過させることによってシクロヘキサンを精製した。開始剤(シクロヘキサン中n−ブチルリチウム)を第1リアクターの入口で供給し、反応物の正確な量の投与を可能にするために、DOPおよび1,2−ブタジエンをシクロヘキサン中で希釈した。化学物質の希釈のための量は、シクロヘキサンフィードとしての溶媒と合わせて実施例で報告する。
【0105】
12%の全フィード中モノマー比を使用した。この試験では以下の条件を使用した:スチレン:ブタジエン=44質量%:56質量%;DOP/nBL,pm(モル/モル)=2.18。両リアクターの温度を85℃で維持した。第1リアクター中では45分、そして第2リアクター中では90分の滞留時間を達成するために、成分と溶媒との合計量の流れを調節した。以下の量を第1重合リアクターに供給した:Sty=5.31g/分、Bde=7.04g/分、シクロヘキサン=90.57g/分、nBL,pm=0.0692ミリモル/分、nBL,exc=0.0064ミリモル/分、DOP=0.151ミリモル/分。1,2−Bde=0.121ミリモル/分。
【0106】
停止剤としてのメタノールおよび抗酸化剤としてのIRGANOX1520(0.15phr)を、第2リアクターから得られるポリマー溶液に添加した。第1リアクターから95%の合計変換率が得られ、第2リアクターからは完全変換が得られた。
【0107】
第2リアクターから得られるポリマーをポリスチレンキャリブレーションしたGPCによって分析した:Mn=254704g/モル、Mw=507879g/モル、MWD=1.994。微細構造およびスチレンブロック含有量をH−NMRによって測定した。以下の結果が得られた:スチレン=44.5%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエンフラクションに関して算出)=55%、ブロックスチレン(>6スチレン単位):3%、4〜6スチレン単位を含むブロックスチレン:25%。
【0108】
生成物のムーニー粘度ML1+4は69.1であった。
【0109】
DOP/nBL,pm比およびスチレン含有量は本発明の範囲内に含まれるが、反応温度は高すぎるので、25%の4〜6スチレン単位を含むブロックスチレンを有するSSBRが得られた。
【0110】
実施例5(連続重合、T=40℃、DOP/活性開始剤=2)
【0111】
スチレン−ブタジエン共重合を、前述の条件を用いて実施した。12%のモノマー/全フィード比を用いた。この試験では以下の条件を使用した:
【0112】
スチレン:ブタジエン=44質量%:56質量%;DOP/活性リチウム(モル/モル)=2.44。両リアクターの温度を40℃で維持した。第1リアクター中で70分、そして第2リアクター中で140分の滞留時間を達成するために成分および溶媒の総量の流れを調節した。以下の量を第1重合リアクターに供給した:Sty=3.41g/分、Bde=4.53g/分。シクロヘキサン=58.22g/分、nBL、pm=0.0574ミリモル/分、nBL,exc=0.00739ミリモル/分;DOP=0.14ミリモル/分、1,2−Bde=0.01037ミリモル/分。
【0113】
停止剤としてのメタノールおよび抗酸化剤としてのIRGANOX1520(0.15phr)を第2リアクターから得られるポリマー溶液に添加した。88.97%の合計変換率が第1リアクターから得られ、第2リアクターからは完全変換が得られた。
【0114】
第2リアクターから得られるポリマーをポリスチレンキャリブレーションしたGPCによって分析した:Mn=206700、Mw=375573、MWD=1.817。微細構造およびスチレンブロック含有量をH−NMRによって測定した。以下の結果が得られた:スチレン=46%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエンフラクションに関して算出)=71.5%、ブロックスチレン(>6スチレン単位):9%、4〜6スチレン単位を含むブロックスチレン:42%。
【0115】
生成物のムーニー粘度ML1+4は54.7であった。
【0116】
DOP/活性開始剤比、スチレン含有量、および温度は発明の範囲内にあった。結果として得られるSSBRは、20%を超える4〜6スチレン単位を含むブロックスチレンを有していた。
【0117】
前述の全ての特許および非特許文献の全内容は、参照することによって本明細書中に組み込まれる。ただし、矛盾した開示がある場合、または本明細書と異なる定義がある場合、本明細書中の開示または定義が優先されるものとする。
【0118】
前述の詳細な説明および添付の図面は説明および例証として提供され、添付の請求項の範囲を限定することを意図しない。本明細書中で例証される実施形態における現在好ましい多くの変形は当業者には明かであり、添付の請求項の残りおよびそれらの等価物の範囲内にある。