特許第6077514号(P6077514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077514
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/322 20060101AFI20170130BHJP
   E06B 9/262 20060101ALI20170130BHJP
   E06B 9/42 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   E06B9/322
   E06B9/262
   E06B9/42 Z
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-229826(P2014-229826)
(22)【出願日】2014年11月12日
(62)【分割の表示】特願2013-239826(P2013-239826)の分割
【原出願日】2009年11月2日
(65)【公開番号】特開2015-28297(P2015-28297A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2014年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
【審査官】 渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−101069(JP,A)
【文献】 特開2005−207161(JP,A)
【文献】 特開2004−016422(JP,A)
【文献】 特開2005−200942(JP,A)
【文献】 特開2002−115474(JP,A)
【文献】 特開2004−169473(JP,A)
【文献】 特開2008−163578(JP,A)
【文献】 特開2007−197952(JP,A)
【文献】 特開2009−2121(JP,A)
【文献】 特開平7−324572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/322
E06B 9/262
E06B 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックスから中間レールとボトムレールとを昇降可能に吊下支持し、少なくとも中間レールとボトムレールとの間に遮蔽材を吊下支持し、前記中間レールを吊下支持する第一の昇降コードと、前記ボトムレールを吊下支持する第二の昇降コードを前記ヘッドボックス内で巻取り、あるいは巻き戻して前記中間レールとボトムレールを昇降することにより前記遮蔽材を上下方向に引き出しあるいは畳み込み可能とした昇降装置を備えた遮蔽装置において、
前記昇降装置は、
前記ヘッドボックスから垂下される無端状の操作コードと、
前記操作コードの一方への操作により前記中間レールを昇降可能とし、他方への操作により前記ボトムレールを昇降可能とした選択操作手段と、
前記ボトムレールで前記中間レールを押し上げて前記ボトムレールと前記中間レールとを一括して引き上げるとき、前記第一の昇降コードを前記ヘッドボックス内の第一の巻取軸に巻き取る中間クラッチと
を備え、
前記選択操作手段は、前記ヘッドボックスの一方の端部に設けられ、
前記中間クラッチは、ケース内に保持されて、前記選択操作手段とは独立して前記ヘッドボックス内に設けられていることを特徴とする遮蔽装置。
【請求項2】
前記ヘッドボックス内で前記第一の巻取軸を回転可能に支持する支持部材を備え、
前記中間クラッチは、前記支持部材と前記選択操作手段との間に配設される請求項1記載の遮蔽装置。
【請求項3】
ヘッドボックスから中間レールとボトムレールとを昇降可能に吊下支持し、少なくとも中間レールとボトムレールとの間に遮蔽材を吊下支持し、前記中間レールを吊下支持する第一の昇降コードと、前記ボトムレールを吊下支持する第二の昇降コードを前記ヘッドボックス内で巻取り、あるいは巻き戻して前記中間レールとボトムレールを昇降することにより前記遮蔽材を上下方向に引き出しあるいは畳み込み可能とした昇降装置を備えた遮蔽装置において、
前記第一の昇降コードは、第一の駆動軸により回転駆動される第一の巻取軸に巻き取ら
れ、
前記第二の昇降コードは、第二の駆動軸により回転駆動される第二の巻取軸に巻き取られ、
前記昇降装置は、前記ヘッドボックスから垂下される無端状の操作コードを備えるとともに、該操作コードの一方への操作により前記第一の駆動軸を回転駆動して、前記中間レールを昇降可能とし、他方への操作により前記第二の駆動軸を回転駆動して、前記ボトムレールを昇降可能とし、
前記昇降装置は、
前記第一及び第二の巻取軸を前記ヘッドボックス内で回転可能に支持する支持部材と、
前記第一の巻取軸に前記中間レールの荷重が作用しないとき、前記第一の駆動軸を前記第一の昇降コードを巻き取る方向に回転駆動するように前記第二の駆動軸の回転を前記第一の駆動軸に伝達させる中間クラッチと
を備え、
前記中間クラッチは、ケース内に保持されて、前記支持部材の一側に配置されていることを特徴とする遮蔽装置。
【請求項4】
前記第一の巻取軸に前記中間レールの荷重が作用しないとき、前記第二の駆動軸の回転を前記第一の駆動軸に伝達する伝達装置を前記中間クラッチのケース内に設け、
前記中間クラッチのケース外に前記伝達装置の回転を伝達して前記第一の巻取軸を回転させる請求項記載の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボトムレールと中間レールとをそれぞれ昇降可能としたプリーツスクリーン、横型ブラインド、たくし上げカーテン等で、スクリーン、スラット、カーテン等を昇降する昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリーツスクリーンは、上下方向にジクザグ状に折り曲げ可能としたスクリーンをヘッドボックスから吊下支持し、そのスクリーンを操作装置により昇降して採光量を適宜に調節するものである。
【0003】
このようなプリーツスクリーンの一種類として、ボトムレールと中間レールとを備え、ヘッドボックスから吊下支持される上部スクリーンの下端に中間レールを取着し、中間レールから吊下支持される下部スクリーンの下端にボトムレールを取着したものがある。上部スクリーンは、例えばレース生地等の光を一部透過させる半透過性の生地で形成され、下部スクリーンは遮光性を備えた生地で形成される。
【0004】
そして、中間レール及びボトムレールを昇降する操作装置がそれぞれ備えられ、各操作装置により中間レール及びボトムレールをそれぞれ独立して昇降可能となっている。
このような構成により、ボトムレール及び中間レールを下限まで下降させると、半透過性の上部スクリーンで窓面を覆うことが可能であり、ボトムレールを下限まで下降させるとともに中間レールを上限まで引き上げれば、遮光性を備えた下部スクリーンで窓面を覆うことが可能である。
【0005】
また、ボトムレールを下限まで下降させるとともに中間レールを中間位置まで下降させれば、窓面の上部を半透過性のスクリーンで覆い、窓面の下部を遮光性のスクリーンで覆うこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3131044号
【特許文献2】特開2008−163578号公報
【特許文献3】特開2009−2121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたプリーツスクリーンでは、一本の操作コードの操作により、中間レールとボトムレールとの同時引き上げ操作及び同時下降動作が可能であるが、中間レールを中間位置に保持した状態でボトムレールを昇降操作することはできない。また、ボトムレール及び中間レールを自重降下により下降操作することはできないため、下降操作が煩雑となる。
【0008】
一方、中間レールの引き上げ操作は、巻取りパイプに昇降コードを逆巻する操作を行う必要があるため、その操作手順が操作者にとってわかり難い。
特許文献2に記載されたプリーツスクリーンでは、中間レール及びボトムレールの引き上げ操作と、中間レール及びボトムレールの下降操作とを別の操作手段で行う必要があるため、引き上げ操作と下降操作とを連続して行うとき、その操作が煩雑となる。
【0009】
また、中間レールとボトムレールの下降操作をそれぞれ独立して行うことができるが、引き上げ操作時には、中間レールのみの引き上げ操作及びボトムレールのみの引き上げ操作を独立して行うことができない。従って、中間レール及びボトムレールを所望高さに昇降するための昇降操作が煩雑となる。
【0010】
特許文献3に記載されたプリーツスクリーンでは、中間レール及びボトムレールの引き上げ操作と、中間レール及びボトムレールの下降操作とを別の操作手段で行う必要がある。また、ボトムレールの引き上げ操作を行うためには、あらかじめ中間レールを上限まで引き上げる必要があるので、ボトムレール及び中間レールを所望高さに昇降するための操作が煩雑となる。
【0011】
この発明の目的は、中間レールとボトムレールを共通の操作コードでそれぞれ独立して昇降操作可能とした遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1では、ヘッドボックスから中間レールとボトムレールとを昇降可能に吊下支持し、少なくとも中間レールとボトムレールとの間に遮蔽材を吊下支持し、前記中間レールを吊下支持する第一の昇降コードと、前記ボトムレールを吊下支持する第二の昇降コードを前記ヘッドボックス内で巻取り、あるいは巻き戻して前記中間レールとボトムレールを昇降することにより前記遮蔽材を上下方向に引き出しあるいは畳み込み可能とした昇降装置を備えた遮蔽装置において、前記昇降装置は、前記ヘッドボックスから垂下される無端状の操作コードと、前記操作コードの一方への操作により前記中間レールを昇降可能とし、他方への操作により前記ボトムレールを昇降可能とした選択操作手段と、前記ボトムレールで前記中間レールを押し上げて前記ボトムレールと前記中間レールとを一括して引き上げるとき、前記第一の昇降コードを前記ヘッドボックス内の第一の巻取軸に巻き取る中間クラッチとを備え、前記選択操作手段は、前記ヘッドボックスの一方の端部に設けられ、前記中間クラッチは、ケース内に保持されて、前記選択操作手段とは独立して前記ヘッドボックス内に設けられている。
【0013】
請求項2では、前記ヘッドボックス内で前記第一の巻取軸を回転可能に支持する支持部材を備え、前記中間クラッチは、前記支持部材と前記選択操作手段との間に配設される
【0014】
請求項3では、ヘッドボックスから中間レールとボトムレールとを昇降可能に吊下支持し、少なくとも中間レールとボトムレールとの間に遮蔽材を吊下支持し、前記中間レールを吊下支持する第一の昇降コードと、前記ボトムレールを吊下支持する第二の昇降コードを前記ヘッドボックス内で巻取り、あるいは巻き戻して前記中間レールとボトムレールを昇降することにより前記遮蔽材を上下方向に引き出しあるいは畳み込み可能とした昇降装置を備えた遮蔽装置において、前記第一の昇降コードは、第一の駆動軸により回転駆動される第一の巻取軸に巻き取られ、前記第二の昇降コードは、第二の駆動軸により回転駆動される第二の巻取軸に巻き取られ、前記昇降装置は、前記ヘッドボックスから垂下される無端状の操作コードを備えるとともに、該操作コードの一方への操作により前記第一の駆動軸を回転駆動して、前記中間レールを昇降可能とし、他方への操作により前記第二の駆動軸を回転駆動して、前記ボトムレールを昇降可能とし、前記昇降装置は、前記第一及び第二の巻取軸を前記ヘッドボックス内で回転可能に支持する支持部材と、前記第一の巻取軸に前記中間レールの荷重が作用しないとき、前記第一の駆動軸を前記第一の昇降コードを巻き取る方向に回転駆動するように前記第二の駆動軸の回転を前記第一の駆動軸に伝達させる中間クラッチとを備え、前記中間クラッチは、ケース内に保持されて、前記支持部材の一側に配置されている。
【0015】
請求項では、前記第一の巻取軸に前記中間レールの荷重が作用しないとき、前記第二の駆動軸の回転を前記第一の駆動軸に伝達する伝達装置を前記中間クラッチのケース内に設け、前記中間クラッチのケース外に前記伝達装置の回転を伝達して前記第一の巻取軸を回転させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、中間レールとボトムレールを共通の操作コードでそれぞれ独立して昇降操作可能とした遮蔽装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】プリーツスクリーンを示す正面図である。
図2】プリーツスクリーンを示す側面図である。
図3】プリーツスクリーンを示す平面図である。
図4】操作装置を示す断面図である。
図5】ストッパー装置を示す断面図である。
図6】ドラムのガイド溝を示す展開図である。
図7】(a)〜(c)はスクリーンの昇降動作を示す説明図である。
図8】第二の実施形態のプリーツスクリーンを示す正面図である。
図9】第二の実施形態のプリーツスクリーンを示す平面図である。
図10】中間クラッチを示す断面図である。
図11】中間クラッチを示す断面図である。
図12】中間クラッチを示す分解斜視図である。
図13】(a)(b)は中間クラッチの動作を示す断面図である。
図14】第三の実施形態の中間クラッチを示す断面図である。
図15】第三の実施形態の中間クラッチを示す側面図である。
図16】第三の実施形態のストッパー装置のガイド溝を示す展開図である。
図17】第四の実施形態の中間クラッチを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第一の実施形態)
以下、この発明を具体化した第一の実施形態を図面に従って説明する。図1図3に示すプリーツスクリーンは、ヘッドボックス1から上部スクリーン2が吊下支持され、上部スクリーン2の下端に中間レール3が取着されている。前記中間レール3から下部スクリーン4が吊下支持され、下部スクリーン4の下端にボトムレール5が取着されている。
【0019】
前記上部スクリーン2はレース生地等の半透過性の生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものであり、下部スクリーン4は遮光性を備えた生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものである。
【0020】
前記上部スクリーン2の幅方向両側には第一及び第二の昇降コード6,7が挿通され、第一の昇降コード6の下端は前記中間レール3に取着されている。第二の昇降コード7は、中間レール3を貫通し、さらに下部スクリーン4に挿通され、下端が前記ボトムレール5に取着されている。
【0021】
前記第一及び第二の昇降コード6,7の上端部は、前記ヘッドボックス1内で支持部材8に回転可能に支持される第一及び第二の巻取軸9,10にそれぞれ巻着されている。すなわち、図3に示すように、第一及び第二の巻取軸9,10はヘッドボックス1内において前記第一及び第二の昇降コード6,7の上方位置で水平方向に並列する状態で支持部材8に回転可能に支持されている。
【0022】
そして、第一の昇降コード6の上端部が第一の巻取軸9に巻着され、第二の昇降コード7の上端部が第二の巻取軸10に巻着され、第一及び第二の昇降コード6,7は、第一及び第二の巻取軸9,10に対し互いに逆方向に巻着されている。また、第一及び第二の昇降コード6,7は、第一及び第二の巻取軸9,10の回転に基づいて、螺旋状に巻き取られ、あるいは巻戻されるようになっている。
【0023】
前記第一の巻取軸9には六角棒状の第一の駆動軸11が相対回転不能に挿通され、第二の巻取軸10には同じく六角棒状の第二の駆動軸12が相対回転不能に挿通されている。そして、第一の駆動軸11が前記第一の昇降コード6の巻取り方向に回転されると、第一の巻取軸9に第一の昇降コード6が巻き取られ、第二の駆動軸12が前記第二の昇降コード7の巻取り方向に回転されると、第二の巻取軸10に第二の昇降コード7が巻き取られるようになっている。
【0024】
前記ヘッドボックス1の一方の端部には、前記第一及び第二の駆動軸11,12を回転駆動するための操作装置13が取着されている。図4に示すように、前記操作装置13のケース14内の基端側にはプーリー15が回転可能に支持され、そのプーリー15には無端状のボールチェーン16が掛装されて下方へ垂下されている。そして、ボールチェーン16の操作によりプーリー15を回転駆動可能となっている。
【0025】
前記プーリー15には歯車15aが一体に形成され、その歯車15aに前記ケース14に回転可能に支持された伝達歯車17が噛み合わされている。従って、プーリー15が回転されると、伝達歯車17が回転される。
【0026】
前記伝達歯車17には、同伝達歯車17の径方向両側において前記ケース14に回転可能に支持された一対の第一及び第二のクラッチ歯車18,19が噛み合わされている。そして、前記伝達歯車17が回転されると、第一及び第二のクラッチ歯車18,19が同方向に回転される。
【0027】
前記ケース14の先端側には、同一構成の第一及び第二の伝達クラッチ20,21が収容され、その第一及び第二の伝達クラッチ20,21の入力軸22が前記第一及び第二のクラッチ歯車18,19の中心部に嵌着されている。従って、前記第一及び第二のクラッチ歯車18,19が回転されると、第一及び第二の伝達クラッチ20,21の入力軸22が同方向に回転されるようになっている。
【0028】
前記第一及び第二の伝達クラッチ20,21は、入力軸22の一方向の回転のみを各出力軸23に伝達する公知の機能を備え、伝達する回転方向は互いに逆方向である。そして、第一の伝達クラッチ20の出力軸23に前記第一の駆動軸11の端部が嵌着され、第二の伝達クラッチ21の出力軸23に前記第二の駆動軸12の端部が嵌着されている。
【0029】
このような構成により、ボールチェーン16を例えば図2に示す矢印A方向に操作すると、第二の駆動軸12のみが回転されて、第二の巻取軸10が第二の昇降コード7の巻取り方向に回転される。
【0030】
また、ボールチェーン16を図2に示す矢印B方向に操作すると、第一の駆動軸11のみが回転されて、第一の巻取軸9が第一の昇降コード6の巻取り方向に回転される。
前記第一及び第二の駆動軸11,12は、前記ヘッドボックス1の中間部においてストッパー装置24に挿通されている。このストッパー装置24は、前記中間レール3若しくはボトムレール5の引き上げ操作の後にボールチェーン16を手放したとき、中間レール3及びボトムレール5の自重降下を防止する公知の作用をなす。
【0031】
前記ストッパー装置24の具体的構成を説明すると、前記ストッパー装置24のケース25は前記ヘッドボックス1内に固定され、図5に示すように、二つの円筒部26a,26bが形成されている。そして、前記円筒部26a,26b内には第一のドラム27及び第二のドラム28が回転可能に保持されている。なお、第一及び第二のドラム27,28は円筒部26a,26bに対し互いに逆方向から挿入可能となっている。
【0032】
前記第一のドラム27には前記第一の駆動軸11が相対回転不能に挿通され、前記第二のドラム28には前記第二の駆動軸12が相対回転不能に挿通されている。そして、第一のドラム27は第一の駆動軸11と一体に回転し、第二のドラム28は第二の駆動軸12と一体に回転するようになっている。
【0033】
前記円筒部26a,26bの内周面には、断面半円形のスライド溝29が前記第一及び第二の駆動軸11,12の軸方向に沿ってそれぞれ形成され、そのスライド溝29内に鋼球で形成されるクラッチボール30が同スライド溝29に沿って移動可能に支持されている。
【0034】
前記第一及び第二のドラム27,28の外周面には、前記クラッチボール30を案内する断面半円形のガイド溝31が形成されている。そして、第一及び第二のドラム27,28が回転されると、前記クラッチボール30はスライド溝29に沿って移動しながら、ガイド溝31に沿って周回する。
【0035】
前記第一及び第二のドラム27,28のガイド溝31は同一構成であり、前記ケース25に対し左右方向に入れ替えて取着することにより、第一及び第二のドラム27,28の回転方向の違いに対応している。前記第一のドラム27について、前記ガイド溝31の構成を図6に示す展開状態で説明する。
【0036】
図6において、中間レール3が下降する方向に第一のドラム27が回転されるとき、前記クラッチボール30はガイド溝31に沿って相対的に矢印C方向に移動する。また、中間レール3が上昇する方向に第一のドラム27が回転するとき、前記クラッチボール30はガイド溝31に沿って相対的に矢印D方向に移動する。
【0037】
前記第一のドラム27の周面の両側部には下降溝32a,32bが形成され、中央部には上昇溝33が形成されている。前記上昇溝33には、クラッチボール30が上昇溝33内に位置する状態で第一のドラム27が中間レール3の下降方向に回動されるとき、僅かな回転の後にクラッチボール30の移動を阻止する係止部34が連通して形成されている。係止部34は周方向等間隔に4箇所形成されている。
【0038】
また、クラッチボール30が係止部34に係合している状態から、第一のドラム27が中間レール3の上昇方向に回動されるとき、クラッチボール30は前記下降溝32a,32bのいずれかに案内される。
【0039】
前記下降溝32a,32bには、クラッチボール30が下降溝32a,32bのいずれかに位置している状態から、第一のドラム27が中間レール3の上昇方向に回動されるとき、クラッチボール30を上昇溝33に案内する戻り溝35が周方向等間隔に4箇所形成されている。
【0040】
このような第一のドラム27を備えたストッパー装置24の動作を説明すると、ボールチェーン16の操作により第一の駆動軸11が第一の昇降コード6の巻取り方向に回転されて中間レール3が引き上げられるとき、クラッチボール30は上昇溝33内を矢印D方向に相対移動している。
【0041】
中間レール3を所望高さまで引き上げた後、ボールチェーン16を手放すと、中間レール3の重量によりクラッチボール30は上昇溝33内を矢印C方向に移動して、係止部34に係合する。すると、クラッチボール30の矢印C方向の移動が阻止されて、第一のドラム27の回転が阻止され、中間レール3の自重降下が阻止される。
【0042】
この状態から、ボールチェーン16を操作して中間レール3を僅かに引き上げると、クラッチボール30は係止部34から下降溝32a,32bのいずれかに移動する。この状態でボールチェーン16を手放すと、クラッチボール30は下降溝32a,32bのいずれかを矢印C方向へ周回する状態となり、中間レール3が自重降下する。
【0043】
また、中間レール3が下限まで下降した後、あるいは下降動作中にボールチェーン16を中間レール3の引き上げ方向に操作すると、クラッチボール30は下降溝32a,32bのいずれかから戻り溝35を経て上昇溝33に移動する。そして、クラッチボール30が上昇溝33内を矢印D方向に周回して、中間レール3が引き上げられる。
【0044】
前記ストッパー装置24では、第二のドラム28の動作により、ボトムレール5の昇降動作に対し、中間レール3の昇降動作に対する機能と同様な機能を備えている。
図1及び図3に示すように、前記ストッパー装置24の側方において、前記第一及び第二の駆動軸11,12はガバナー装置36,37にそれぞれ挿通されている。各ガバナー装置36,37は、前記第一及び第二の駆動軸11,12の回転速度を所定値以下に抑制して、中間レール3及びボトムレール5の自重降下時の下降速度を所定速度以下に抑制する。
【0045】
前記ヘッドボックス1の他方の端部には、前記第二の巻取軸10からの第二の昇降コード7の最大巻戻し量を設定して、前記ボトムレール5の下限位置を設定する下限リミット装置38が配設されている。
【0046】
図2に示すように、前記第一及び第二の昇降コード6,7の挿通位置において、前記上部スクリーン2及び下部スクリーン4の背面側にはピッチ保持コード39が配設されている。このピッチ保持コード39は、上部スクリーン2と下部スクリーン4の折り目のピッチを一定にするように動作する。
【0047】
次に、上記のように構成されたプリーツスクリーンの動作を説明する。ボールチェーン16を矢印A方向に引き下げると、第二の駆動軸12のみが回転されて第二の巻取軸10に第二の昇降コード7が巻き取られ、ボトムレール5が引き上げられる。そして、ボトムレール5を所望高さまで引き上げた後ボールチェーン16を手放すと、ストッパー装置24の自重降下防止動作により、ボトムレール5が所望高さに保持される。
【0048】
この状態から、ボールチェーン16を矢印A方向に引いた後に手放すと、ストッパー装置24の自重降下防止動作が解除され、ボトムレール5が自重降下する。
ボールチェーン16を矢印B方向に引き下げると、第一の駆動軸11のみが回転されて第一の巻取軸9に第一の昇降コード6が巻き取られ、中間レール3が引き上げられる。そして、中間レール3を所望高さまで引き上げた後ボールチェーン16を手放すと、ストッパー装置24の自重降下防止動作により、中間レール3が所望高さに保持される。
【0049】
この状態から、ボールチェーン16を矢印B方向に引いた後に手放すと、ストッパー装置24の自重降下防止動作が解除され、中間レール3が自重降下する。
図7(a)に示すように、中間レール3が昇降範囲の中間に保持され、ボトムレール5が下限近傍に位置する状態からボトムレール5を引き上げるとき、同図(b)に示すように、ボトムレール5が中間まで引き上げられると、ボトムレール5が中間レール3を押し上げる状態となる。
【0050】
次いで、ボトムレール5をさらに引き上げると、ボトムレール5とともに中間レール3が押し上げられ、同図(c)に示すように、ボトムレール5及び中間レール3を上限まで引き上げた状態でボールチェーン16を手放すと、ボトムレール5及び中間レール3がヘッドボックス1の直下に保持される。
【0051】
この状態から、ボールチェーン16を矢印A方向に引いて手放すと、ストッパー装置24のボトムレール5の自重降下防止動作が解除されるため、ボトムレール5が自重降下する。
【0052】
このとき、中間レール3はボトムレール5とともに自重降下し、図7(b)に示す高さまで下降した後は、ストッパー装置24の中間レール3に対する自重降下防止動作が機能して、中間レール3が当該高さに保持される。
【0053】
上記のように構成されたプリーツスクリーンでは、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)共通のボールチェーン16の操作により、中間レール3及びボトムレール5を独立して昇降操作することができる。
(2)中間レール3及びボトムレール5を独立した自重降下動作により容易に下降操作することができる。
(3)ボトムレール5の引き上げ操作を行うとき、ボトムレール5で中間レール3を押し上げながら引き上げることができる。従って、ボトムレール5を引き上げることにより、中間レール3を一括して引き上げることができる。
(4)一括して引き上げたボトムレール5及び中間レール3を、ストッパー装置24の動作により所望の位置に保持することができる。
(5)ボトムレール5及び中間レール3を一括して引き上げた後、ボトムレール5を自重降下させるとき、ボトムレール5及び中間レール3を一括して下降させることができる。そして、ストッパー装置24の動作により、中間レール3の自重降下動作をボトムレール5による押し上げ開始位置で自動的に停止させることができる。
(第二の実施形態)
図8図13は第二の実施形態を示す。この実施形態は、ボトムレール5で中間レール3を押し上げるとき、第一の巻取軸9で中間レール3を吊下支持する第一の昇降コード6を巻き取って、第一の昇降コード6がヘッドボックス1内あるいは上部スクリーン2の折り目の間で弛まないようにする中間クラッチ41を備えたものである。中間クラッチ41以外の構成は、前記第一の実施形態と同様であり、第一の実施形態と同一構成部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
図8及び図9に示すように、一方の支持部材8の一側には中間クラッチ41が配設されている。前記中間クラッチ41は、図10及び図12に示すように、ケース42内の後部には駆動ドラム43が回転可能に支持され、その駆動ドラム43の中心部に形成された六角孔に前記第二の駆動軸12が相対回転不能に挿通されている。従って、駆動ドラム43は第二の駆動軸12と一体に回転する。
【0055】
前記駆動ドラム43の先端部には内筒部44と外筒部45が形成され、その内筒部44の外周面に伝達軸46の基端部が回転可能に嵌合されている。前記伝達軸46の基端部外周面にはコイル状のスリップバネ47が嵌着され、そのスリップバネ47の一端は前記駆動ドラム43の係止溝48に係合している。そして、常にはスリップバネ47と伝達軸46との摩擦により、駆動ドラム43と伝達軸46とが一体に回転するようになっている。
【0056】
前記伝達軸46の先端側において、前記ケース42には駆動ギヤ49が回転可能に支持され、その駆動ギヤ49と前記伝達軸46との間にはワンウェイクラッチ50が介在されている。
【0057】
このワンウェイクラッチ50は、第二の駆動軸12及び前記伝達軸46がボトムレール5の引き上げ方向に回転されるとき、ロック状態となって前記駆動ギヤ49に同方向の回転トルクを伝達する。また、第二の駆動軸12及び前記伝達軸46がボトムレール5の下降方向に回転されるとき、フリー状態となって前記駆動ギヤ49に回転トルクを伝達しない。
【0058】
前記スリップバネ47は、前記駆動ギヤ49の回転が阻止された状態で第二の駆動軸12をボトムレール5の引き上げ方向に回転させるトルクが作用したとき、伝達軸46に対し駆動ドラム43を空回りさせて、ワンウェイクラッチ50の破損を防止するように動作する。
【0059】
前記ケース42内の前部には、前記駆動ギヤ49に噛み合う被動ギヤ51が回転可能に支持され、その被動ギヤ51の中心部にはギヤ軸52が相対回転可能に挿通されている。また、ギヤ軸52と前記ケース42との間にはコイルスプリングで構成される切り替えバネ53が配設され、ケース42を支点とする切り替えバネ53の付勢力によりギヤ軸52は図10に示す矢印E方向に常時付勢されている。
【0060】
前記ギヤ軸52の外周面にはT字状の係合突部54が形成され、前記被動ギヤ51の内周面にはギヤ軸52が回転しながら矢印E方向に移動したとき係合突部54に係合する係合凹部55が形成されている。そして、係合突部54が係合凹部55に係合すると、ギヤ軸52が被動ギヤ51と一体に回転するようになっている。
【0061】
前記ギヤ軸52の先端にはカム軸56の基端部が嵌着され、カム軸56がギヤ軸52と一体に回転するようになっている。前記カム軸56の外周面には径方向に線対称状に突出する突起57が形成されている。
【0062】
前記カム軸56の先端部は、カム筒58の基端部に嵌合されている。前記カム筒58には、前記カム軸56の突起57を案内するガイド孔59が斜め方向に形成され、カム軸56はカム筒58に対し回転しながら第一の駆動軸11の軸方向に移動可能となっている。
【0063】
前記カム筒58の先端部は、前記第一の巻取軸9に嵌着され、カム筒58と第一の巻取軸9とは一体に回転するようになっている。また、前記カム軸56の中心部には六角孔60が形成され、その六角孔60に前記第一の駆動軸11が相対回転不能に挿通されている。なお、前記第一の駆動軸11は前記ギヤ軸52及びカム筒58の中心部に相対回転可能に挿通されている。
【0064】
前記被動ギヤ51の基端側の周囲には、前記ケース42に回転不能に固定された金属製の摺動筒62の内周面に嵌着されるブレーキスプリング61が配設されている。前記ブレーキスプリング61は、捩じりコイルスプリングで構成され、その一端が前記被動ギヤ51に掛止めされ、被動ギヤ51が中間レール3の下降方向に回転されるとき、拡径されて前記摺動筒62との摩擦が増大し、被動ギヤ51の同方向の回転を阻止するようになっている(ブレーキ装置)。
【0065】
また、前記ブレーキスプリング61は被動ギヤ51が中間レール3の引き上げ方向に回転されるとき、前記摺動筒62との摩擦が減少し、被動ギヤ51の同方向の回転を許容するようになっている。
【0066】
上記のように構成された中間クラッチ41では、第一の巻取軸9に中間レール3の荷重が作用している状態では、図10に示すように、カム軸56とカム筒58との作用によりカム軸56が矢印F方向に押圧されて移動している。この状態では、図13(a)に示すようにギヤ軸52の係合突部54と被動ギヤ51の係合凹部55との係合が解除され、被動ギヤ51とギヤ軸52とは独立して回転する。
【0067】
この状態では、第二の駆動軸12がボトムレール5の引き上げ方向に回転されると、駆動ギヤ49及び被動ギヤ51が回転されるが、被動ギヤ51の回転はギヤ軸52に伝達されない。
【0068】
また、第一の駆動軸11が回転されると、カム軸56を介してギヤ軸52が回転されるが、その回転が被動ギヤ51に伝達されることはない。
一方、第二の駆動軸12がボトムレール5の引き上げ方向に回転されている状態で、第一の巻取軸9に中間レール3の荷重が作用しなくなると、切り替えバネ53の付勢力と、カム軸56及びカム筒58(カム機構)との作用により、ギヤ軸52が図10に示す矢印E方向に移動する。
【0069】
すると、図13(b)に示すように、ギヤ軸52の係合突部54が被動ギヤ51の係合凹部55に係合して、被動ギヤ51とギヤ軸52とが一体に回転する状態となり、駆動ギヤ49の回転に基づいて第一の駆動軸11及び第一の巻取軸9が中間レール3の引き上げ方向に回転される(伝達装置)。この結果、中間レール3とボトムレール5が同時に引き上げられる。
【0070】
次に、上記のような中間クラッチ41を備えたプリーツスクリーンの動作を説明する。
中間レール3を独立して昇降する場合及びボトムレール5を独立して昇降する場合の動作は、前記第一の実施形態と同様であり、中間クラッチ41は第一及び第二の駆動軸11,12の回転に対し、何ら影響しない。
【0071】
ボトムレール5で中間レール3を押し上げて、ボトムレール5及び中間レール3を一括して引き上げるとき、第一の巻取軸9に中間レール3の荷重が作用しなくなる。すると、ギヤ軸52が図10に示す矢印E方向に移動して被動ギヤ51に係合して、同被動ギヤ51と一体に回転される。
【0072】
この結果、第一の巻取軸9が第一の昇降コード6の巻取り方向に回転され、第一の巻取軸9に第一の昇降コード6が巻き取られる。そして、ボトムレール5を所望高さまで引き上げてボールチェーン16を手放せば、ストッパー装置24の動作によりボトムレール5の自重降下が阻止され、中間レール3はボトムレール5上に保持される。
【0073】
ボトムレール5及び中間レール3を一括して引き上げた状態からボトムレール5を下降させる場合には、ボールチェーン16を図2に示す矢印A方向にわずかに引いて手放すと、ストッパー装置24の自重降下防止動作が解除され、ボトムレール5が自重降下する。
【0074】
このとき、ワンウェイクラッチ50の動作により、第二の駆動軸12の回転は駆動ギヤ49に伝達されない。
ボトムレール5を自重降下させるとき、中間レール3は引き上げ位置に保持することが望ましいが、ストッパー装置24で自重降下防止動作が効いておらず、クラッチボール30が下降溝32a,32bのいずれかに存在している可能性がある。
【0075】
しかし、被動ギヤ51の中間レール3下降方向の回転はブレーキスプリング61により常時阻止されているため、中間レール3が自重降下することはない(自重降下制限装置)。そして、ボールチェーン16を図2に示す矢印B方向に操作して第一の駆動軸11を回転させると、ギヤ軸52と被動ギヤ51との係合が解除され、中間レール3を独立して昇降可能な状態に復帰する。
【0076】
ボトムレール5と中間レール3とを一括して引き上げ、次いでボトムレール5を自重降下させ、続いてボトムレール5を引き上げ操作する場合、未だギヤ軸52と被動ギヤ51が係合状態にあり、中間レール3も引き上げられることがある。
【0077】
そして、中間レール3が上限まで引き上げられると、第一の駆動軸11をそれ以上同方向へ回転駆動できなくなり、駆動ギヤ49の回転が阻止される。この状態で、ボトムレール5を引き上げるために第二の駆動軸12をさらに同方向へ回転させようとすると、スリップバネ47が滑って駆動ドラム43が伝達軸46に対し空回りする(伝達トルク制限装置)。この結果、過大なトルクによるワンウェイクラッチ50の破損が防止される。
【0078】
上記のような中間クラッチ41を備えたプリーツスクリーンでは、第一の実施形態で得られた作用効果に加えて、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)ボトムレール5を引き上げて、ボトムレール5と中間レール3を一括して引き上げるとき、第一の巻取軸9で第一の昇降コード6を巻き取ることができる。従って、第一の昇降コード6のヘッドボックス1内外での弛みの発生を防止して、第一の昇降コード6のヘッドボックス1内での引っ掛かりや、畳み込まれた上部スクリーン2からのはみ出し等を未然に防止することができる。
(2)ボトムレール5及び中間レール3を一括して引き上げた後にボトムレール5を自重降下させるとき、中間レール3の同時自重降下を防止することができる。
(3)ボトムレール5と中間レール3とを一括して引き上げ、次いでボトムレール5を自重降下させ、続いてボトムレール5を引き上げ操作する場合、中間レール3の引き上げが阻止された状態でボトムレール5を無理に引き上げようとしても、ワンウェイクラッチ50の破損を防止することができる。
(第三の実施形態)
図14図15は、第三の実施形態を示す。この実施形態は、第二の実施形態の中間クラッチ41とは異なる中間クラッチ71を備え、ストッパー装置24の構成を一部変更したものであり、その他の構成は第一及び第二の実施形態と同様である。第一及び第二の実施形態と同一構成部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0079】
図14に示す中間クラッチ71は、ケース72に駆動ギヤ73が回転可能に支持され、その駆動ギヤ73の一側にワンウェイクラッチ74が収容されている。前記ワンウェイクラッチ74の中心部にワンウェイクラッチシャフト75が挿通され、そのワンウェイクラッチシャフト75の中心部に六角孔76が形成されている。そして、その六角孔76に前記第二の駆動軸12が挿通されている。
【0080】
前記ワンウェイクラッチ74は、図15に示す矢印F方向、すなわち第二の駆動軸12のボトムレール下降方向の回転を駆動ギヤ73に伝達せず、図15に示す矢印G方向、すなわち第二の駆動軸12のボトムレール上昇方向の回転は駆動ギヤ73に伝達する。
【0081】
前記駆動ギヤ73の側方において、前記ケース72には第一のバネクラッチシャフト77が回転可能に支持され、その第一のバネクラッチシャフト77に前記駆動ギヤ73に噛み合う被動ギヤ78が回転可能に支持されている。
【0082】
前記被動ギヤ78の基端側の軸部79と、前記第一のバネクラッチシャフト77の基端部80とはほぼ同一径で形成され、その軸部79と基端部80の外周面にはクラッチバネ81が嵌着されている。前記第一のバネクラッチシャフト77は金属で形成され、基端部80の外径は合成樹脂で形成された前記被動ギヤ78の軸部79の外径より僅かに小さく形成されて、クラッチバネ81と第一のバネクラッチシャフト77の基端部80との間の摩擦は、クラッチバネ81と被動ギヤ78の軸部79との摩擦より小さくなるように設定されている。
【0083】
そして、第一のバネクラッチシャフト77に中間レール3の荷重が作用している状態では、被動ギヤ78が回転されてもクラッチバネ81が第一のバネクラッチシャフト77に対し空回りして、被動ギヤ78の回転が第一のバネクラッチシャフト77に伝達されないようになっている。
【0084】
一方、第一のバネクラッチシャフト77に中間レール3の荷重が作用していない状態では、第一のバネクラッチシャフト77の基端部80とクラッチバネ81との摩擦により、被動ギヤ78の回転がクラッチバネ81を介して第一のバネクラッチシャフト77に伝達されるようになっている。
【0085】
前記第一のバネクラッチシャフト77の基端側において、前記ケース72に設けられた支持筒82とその周囲に位置するハウジング83との間にはワンウェイクラッチ84が配設されている。ワンウェイクラッチ84は前記支持筒82を支点として動作して、前記ハウジング83の図15に示す矢印H方向、すなわち中間レール3の引き上げ方向の回転を許容し、矢印J方向すなわち中間レール3の下降方向の回転を阻止する。
【0086】
前記ハウジング83と前記第一のバネクラッチシャフト77の基端部に延びる係合片85との間に第二のバネクラッチシャフト86が回転可能に支持され、その第二のバネクラッチシャフト86の中心部には六角孔87が形成されている。そして、その六角孔87に前記第一の駆動軸11が相対回転不能に挿通されている。また、第一の駆動軸11は、前記第一のバネクラッチシャフト77及び前記支持筒82に相対回転可能に挿通されている。
【0087】
前記第二のバネクラッチシャフト86の外周面にはクラッチバネ88が嵌着され、そのクラッチバネ88の両端は前記第一のバネクラッチシャフト77の係合片85及び前記ハウジングに係合可能となっている。また、第一のバネクラッチシャフト77が回転してその係合片85がクラッチバネ88の端部に当接するまでには所定の空転角が確保されている(空転手段)。
【0088】
また、前記クラッチバネ88と第二のバネクラッチシャフト86との摩擦は、前記クラッチバネ81と第一のバネクラッチシャフト77との摩擦より小さくなるように設定されている。
【0089】
この実施形態では、ストッパー装置24に収容されるドラムのうち、第二の駆動軸12が挿通される第二のドラムのガイド溝の構成が前記第一及び第二の実施形態と異なっている。
【0090】
図16に第二のドラム28のガイド溝89を示す。このガイド溝89は、クラッチボール30を係止部34で係止してボトムレール5の自重降下を阻止している状態から、自重降下動作を解除するために第二の駆動軸12をボトムレール5の引き上げ方向(図16において矢印D方向)に回動させるとき、第二の駆動軸12の回動角を規制する係止部(制限手段)34aが形成されている。その他の構成は、前記実施形態のガイド溝31と同様である。
【0091】
そして、クラッチボール30が係止部34に位置してボトムレール5の自重降下が阻止されている状態から、ボールチェーン16を操作して、第二の駆動軸12をボトムレール5の引き上げ方向に回動してクラッチボール30を係止部34aまで移動させ、この状態でボールチェーン16を手放す。
【0092】
すると、クラッチボール30が下降溝32a,32bのいずれかを移動して、ボトムレール5が自重降下する。
前記第二のドラム28でクラッチボール30を前記係止部34から係止部34aまで移動させるために必要とする第二の駆動軸12の回転角は、次のように設定される。すなわち、前記第一のバネクラッチシャフト77が前記クラッチバネ88の端部に当接するまでの空転角と、前記第一のドラム27でクラッチボール30を係止部34から下降溝32a,32bのいずれかに案内するために要する角度との和より小さくなるように設定されている。
【0093】
次に、上記のように構成された中間クラッチ71を備えたプリーツスクリーンの動作を説明する。
中間レール3及びボトムレール5を独立して昇降操作するとき、第一のバネクラッチシャフト77には第一の駆動軸11と第二のバネクラッチシャフト86とクラッチバネ88を介して中間レール3の荷重が作用している。
【0094】
この状態で、ボールチェーン16を操作して、第一の駆動軸11を中間レール3の引き上げ方向に回転させると、中間クラッチ71では第一の駆動軸11の回転が第二のバネクラッチシャフト86からクラッチバネ88、第一のバネクラッチシャフト77及びクラッチバネ81を介して被動ギヤ78に伝達され、駆動ギヤ73が回転される。しかし、ワンウェイクラッチ74が空転して、駆動ギヤ73の回転は第二の駆動軸12に伝達されない。この結果、中間レール3が引き上げられ、ボールチェーン16を手放すとストッパー装置24の動作により中間レール3が所望高さに保持される。
【0095】
この状態から、ボールチェーン16を操作して第一の駆動軸11に対するストッパー装置24の動作を解除すると、第一の駆動軸11には中間レール3の荷重が作用する。ワンウェイクラッチ84は、ハウジング83の中間レール3下降方向の回転を阻止しているため、中間レール3の荷重により第二のバネクラッチシャフト86とクラッチバネ88との間にすべりが生じ、第一の駆動軸11及び第二のバネクラッチシャフト86が回転する。この結果、中間レール3が自重降下する。
【0096】
ボールチェーン16を操作して、第二の駆動軸12をボトムレール5の引き上げ方向に回転すると、中間クラッチ71ではワンウェイクラッチ74を介して駆動ギヤ73が回転され、被動ギヤ78が回転される。
【0097】
第一のバネクラッチシャフト77には中間レール3の荷重が作用しているので、被動ギヤ78の回転は第一のバネクラッチシャフト77に伝達されない。従って、中間レール3は引き上げられない。
【0098】
ストッパー装置24の動作により、ボトムレール5を所望高さで保持している状態から、ボールチェーン16の操作によりストッパー装置24の第二の駆動軸12に対する自重降下防止動作を解除すると、ボトムレール5の荷重により第二の駆動軸12が回転されてボトムレール5が自重降下する。
【0099】
このとき、中間クラッチ71ではワンウェイクラッチ74により第二の駆動軸12が自在に回転可能であり、駆動ギヤ73は回転されない。
ストッパー装置24により中間レール3の自重降下が阻止されている状態から、ボトムレール5で中間レール3を押し上げて、ボトムレール5及び中間レール3を一括して引き上げるとき、第二の駆動軸12の回転は駆動ギヤ73を介して被動ギヤ78に伝達される。
【0100】
被動ギヤ78の回転に基づいてクラッチバネ81が被動ギヤ78と一体に回転される。そして、第一のバネクラッチシャフト77には中間レール3の荷重が作用していないので、被動ギヤ78と第一のバネクラッチシャフト77がクラッチバネ81を介して一体に回転され、第二のバネクラッチシャフト86が第一のバネクラッチシャフト77と一体に回転される。
【0101】
この結果、第一の駆動軸11が中間レール3の引き上げ方向に回転されて、第一の昇降コード6が第一の巻取軸9に巻き取られる。
ボトムレール5及び中間レール3を所望高さまで一括して引き上げた後、ボールチェーン16を手放すと、ストッパー装置24によりボトムレール5の自重降下が阻止され、ボトムレール5及び中間レール3が所望高さに保持される。
【0102】
この状態から、ボールチェーン16を操作して、第二の駆動軸12をボトムレール5の引き上げ方向に操作して、図16に示すように、第二のドラム28においてクラッチボール30を係止部34から係止部34aに移動させ、ボールチェーン16を手放すと、ボトムレール5が自重降下する。
【0103】
このとき、第一のドラム27ではクラッチボール30が下降溝32a,32bのいずれにも達せず、ボールチェーン16を手放すことによりクラッチボール30が係止部34に復帰するので、ボトムレール5と中間レール3の同時自重降下が阻止される。
【0104】
上記のような中間クラッチ71及びストッパー装置24を備えたプリーツスクリーンでは、第一の実施形態で得られた作用効果に加えて、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)ボトムレール5を引き上げて、ボトムレール5と中間レール3を一括して引き上げるとき、第一の巻取軸9で第一の昇降コード6を巻き取ることができる。従って、第一の昇降コード6のヘッドボックス1内外での弛みの発生を防止して、第一の昇降コード6のヘッドボックス1内での引っ掛かりや、畳み込まれた上部スクリーン2からのはみ出し等を未然に防止することができる。
(2)ボトムレール5及び中間レール3を一括して引き上げた後にボトムレール5を自重降下させるとき、中間レール3の同時自重降下を防止することができる。
(3)ボトムレール5と中間レール3が同時に引き上げられるとき、中間レール3の引き上げが阻止された状態でボトムレール5を無理に引き上げようとしても、第一のバネクラッチシャフト77に対し被動ギヤ78が空回りするので、中間クラッチ71の破損を未然に防止することができる。
(第四の実施形態)
図17は、第四の実施形態を示す。この実施形態は、第二の実施形態の中間クラッチ41とは異なる中間クラッチ91を備え、ストッパー装置24の構成を一部変更したものであり、その他の構成は第一及び第二の実施形態と同様である。第一及び第二の実施形態と同一構成部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0105】
図17に示す中間クラッチ91は、ケース92の両側にクラッチドラム93a,93bが回転可能に支持され、そのクラッチドラム93a,93bの先端部に駆動ギヤ94a,94bが回転可能に支持されている。
【0106】
前記クラッチドラム93a,93bの外周面には、捩じりコイルスプリングで構成されるクラッチバネ95a,95bが嵌着され、そのクラッチバネ95a,95bの一端は前記駆動ギヤ94a,94bに係合している。
【0107】
前記クラッチドラム93a,93bには前記第二の駆動軸12が相対回転不能に嵌挿されている。従って、前記クラッチドラム93a,93bは第二の駆動軸12と一体に回転される。
【0108】
また、前記クラッチバネ95a,95bは、第二の駆動軸12がボトムレール5の引き上げ方向に回転されたとき、その回転を前記駆動ギヤ94a,94bに伝達し、第二の駆動軸12がボトムレール5の下降方向に回転されると、クラッチドラム93a,93bに対し空回りする。
【0109】
前記駆動ギヤ94aに噛み合う被動ギヤ96aは、中間レール3のストッパー装置104を構成するストッパーケース97の一端部に回転可能に支持され、そのストッパーケース97の端部には一端が前記被動ギヤ96aに係合するクラッチバネ98が嵌着されている。前記ストッパーケース97は、この中間クラッチ91のケース92に対し90度の範囲で回動可能に支持されている。
【0110】
前記ストッパーケース97内には前記第一の実施形態のストッパー装置24の第一のドラム27と同様なガイド溝31が形成されたドラム99が収容され、そのドラム99とストッパーケース97の内周面との間に前記ガイド溝31に沿って移動するクラッチボール30が配設されている。前記ドラム99には前記第一の駆動軸11が挿通され、ドラム99は第一の駆動軸11と一体に回転する。
【0111】
前記ストッパーケース97の他端部に形成された筒部100内には、カム軸101が回転可能に支持され、そのカム軸101の中心部に形成された六角孔には前記第一の駆動軸11が嵌挿されて、カム軸101が第一の駆動軸11と一体に回転するようになっている。
【0112】
前記筒部100には、前記第二の実施形態のカム筒58に形成されたガイド孔59と同様に、斜め方向のガイド孔102が形成されている。前記カム軸101の基端部には、前記ガイド孔102内に突出する突起103が形成されている。そして、ストッパーケース97が回動されると、突起103がガイド孔102沿って案内されて、カム軸101が回動しながら矢印K方向に移動するようになっている。
【0113】
前記駆動ギヤ94bに噛み合う被動ギヤ96bは、前記ケース92に回転可能に支持されている。そして、前記カム軸101が矢印K方向に移動したとき、カム軸101の係止片105が被動ギヤ96bに係合して、被動ギヤ96bとカム軸101が一体に回転されるようになっている。
【0114】
前記第二の駆動軸12は、中間クラッチ91の外部で前記第一の実施形態のストッパー装置24の第二のドラム28と同様な自重降下防止機能を備えたドラムに挿通される。また、第一の駆動軸11はドラム99で自重降下防止機能を備えているので、別のストッパー装置を必要としない。
【0115】
次に、上記のように構成された中間クラッチ91の動作を説明する。ボールチェーン16を操作してボトムレール5の引き上げ操作を行うとき、第二の駆動軸12がボトムレール5の引き上げ方向に回転されると、クラッチドラム93a,93bを介して駆動ギヤ94a,94bが回転される。
【0116】
駆動ギヤ94aの回転に基づいて被動ギヤ96aが回転されるが、第一の駆動軸11からドラム99及びクラッチボール30を介してストッパーケース97に中間レール3の荷重が作用しているため、クラッチバネ98がストッパーケース97に対し空回りして、ストッパーケース97は回動されない。
【0117】
駆動ギヤ94bの回転は被動ギヤ96bに伝達されるが、被動ギヤ96bはカム軸101に係合していない。従って、ボトムレール5の引き上げ動作時には中間クラッチ91は何ら機能しない。
【0118】
ボトムレール5の下降操作時には、ボールチェーン16の操作によりストッパー装置の自重降下防止動作が解除され、第二の駆動軸12がボトムレール5の下降方向に回転される。このとき、第二の駆動軸12の回転は駆動ギヤ94a,94bに伝達されず、中間クラッチ91は何ら機能しない。
【0119】
中間レール3の引き上げ操作時には、第一の駆動軸11が中間レール3の引き上げ方向に回転される。すると、ドラム99が回転されてクラッチボール30がドラム99のガイド溝31に沿って移動する。そして、ボールチェーン16を手放すと、ストッパー装置104により中間レール3が所望高さに保持される。
【0120】
ボールチェーン16の操作により、第一の駆動軸11を回転させて、ストッパー装置104の自重降下防止動作を解除すると、第一の駆動軸11が中間レール3の下降方向に回転されて、中間レール3が自重降下する。
【0121】
ボトムレール5で中間レール3を押し上げて、ボトムレール5及び中間レール3を一括して引き上げるとき、ストッパーケース97には中間レール3の荷重が作用しなくなる。この状態で第二の駆動軸12がボトムレール5の引き上げ方向に回転されると、駆動ギヤ94a,94bが回転されるとともに、駆動ギヤ94bに噛み合う被動ギヤ96a,96bが回転される。
【0122】
被動ギヤ96aが回転されると、クラッチバネ98を介してストッパーケース97が90度回動される。すると、カム軸101が矢印K方向に移動して被動ギヤ96bと一体に回転する状態となる。この結果、第二の駆動軸12の回転が第一の駆動軸11に伝達され、中間レール3の上昇にともなって第一の昇降コード6が第一の巻取軸9に巻き取られる。
【0123】
上記のような中間クラッチ91及びストッパー装置104を備えたプリーツスクリーンでは、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)ボトムレール5を引き上げて、ボトムレール5と中間レール3を一括して引き上げるとき、第一の巻取軸9で第一の昇降コード6を巻き取ることができる。従って、第一の昇降コード6のヘッドボックス1内外での弛みの発生を防止して、第一の昇降コード6のヘッドボックス1内での引っ掛かりや、畳み込まれた上部スクリーン2からのはみ出し等を未然に防止することができる。
【0124】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・プリーツスクリーン、横型ブラインド、たくし上げカーテン等で、スクリーン、スラット、カーテン等を昇降する昇降装置以外にも、スクリーンの昇降により空気の流通及び遮断、断熱性を制御する装置、あるいは映写用スクリーン、防虫用スクリーン等の昇降装置に利用してもよい。
【符号の説明】
【0125】
1…ヘッドボックス、2…遮蔽材(上部スクリーン)、3…中間レール、4…遮蔽材(下部スクリーン)、5…ボトムレール、6…第一の昇降コード、7…第二の昇降コード、13…操作装置、16…操作コード(ボールチェーン)。
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