(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蓄圧器内の水素温度、前記蓄圧器の温度、又は前記蓄圧器周囲の外気温が所定温度以下である場合における前記蓄圧器からの水素放出は、前記蓄圧器に水素充填しながら行う、請求項1に記載の水素ステーション。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による水素ステーションの構成を示している。
図1に示すように、水素ステーション1は、水素を昇圧する昇圧装置としての圧縮機2と、圧縮機2で昇圧された水素を貯蔵可能な蓄圧ユニット3と、ディスペンサー4と、制御装置5と、バイパス管7と、このバイパス管7に設けられた第3開閉弁8及び逆止弁9と、を有する。
【0011】
圧縮機2は、水素供給源としての水素貯蔵容器60から供給された水素を昇圧して蓄圧ユニット3へと供給する。水素貯蔵容器60は、主として他の場所で水素が充填されて水素ステーション1に搬送されてきたものであり、例えば、水素トレーラー、水素カードル、水素タンクが該当する。但し、これに限るものではなく、圧縮機2は、オンサイトで製造されて水素供給管等を介して供給された水素を昇圧して蓄圧ユニット3に供給してもよい。圧縮機2の作動は、制御装置5によって制御される。
【0012】
蓄圧ユニット3は、圧縮機2で昇圧された水素(高圧水素)を貯蔵する例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製で水素充填口と水素放出口が共通の蓄圧器31と、蓄圧ユニット3の入口部3aと蓄圧器31の間に設けられた逆止弁32及び第1開閉弁(電磁弁)33と、蓄圧器31と蓄圧ユニット3の出口部3bの間に設けられた第2開閉弁(電磁弁)34及び逆止弁35と、を有する。入口部3aは、接続管を介して圧縮機2に接続されており、蓄圧器31は第1開閉弁33を介して圧縮機2と接続する。出口部3bは、接続管を介してディスペンサー4に接続されている。逆止弁32は、蓄圧器31から圧縮機2に向かって水素が流れることを防止する。第1開閉弁33は、圧縮機2で昇圧された水素の蓄圧器31への充填を許容し又は停止する。第2開閉弁34は、蓄圧器31からの水素の放出を許容し又は停止する。逆止弁35は、ディスペンサー4から蓄圧器31に向かって水素が流れることを防止する。第1開閉弁33及び第2開閉弁34の作動は、制御装置5によって制御される。
【0013】
ディスペンサー4は、蓄圧器31に貯蔵された水素、より具体的には蓄圧器31から放出された水素を、燃料電池自動車(FCV)の車載タンク等の水素燃料タンクに供給することのできる装置であり、前記水素燃料タンクに装着されるノズル部(図示省略)を有している。また、ディスペンサー4には、前記燃料電池自動車(FCV)等から前記水素燃料タンクに関する情報(内圧、最高使用圧力等)が入力されるようになっている。
【0014】
バイパス管7は、水素貯蔵容器60と水素燃料タンクとを、蓄圧器31をバイパスして接続して水素貯蔵容器60内の水素を直接的に水素燃料タンクに供給するためのものであり、具体的には、水素貯蔵容器60内の水素が圧縮機2及び蓄圧ユニット3を迂回してディスペンサー4に供給される。第3開閉弁8は、バイパス管7を介した水素貯蔵容器60内の水素の水素燃料タンクへの直接供給を許容し又は停止する。逆止弁9は、ディスペンサー4から水素貯蔵容器60に向かって水素が流れることを防止する。
【0015】
制御装置5は、圧力センサ51等の圧力検知部によって検知された蓄圧器内の圧力(蓄圧器内圧)Pa、温度センサ52等の温度検知部によって検知された蓄圧器温度Ta、前記水素燃料タンクに関する情報等の各種情報を入力する。そして、制御装置5は、入力された各種情報やオペレータによる動作指令に基づいて、圧縮機2、第1開閉弁33、第2開閉弁34及び第3開閉弁8を適宜制御する。例えば、オペレータが、ディスペンサー4の前記ノズル部を前記水素燃料タンクに装着した後に、当該水素燃料タンクへの水素供給指令を入力すると、制御装置5は、第2開閉弁34を開いて蓄圧器31から水素を放出させるか、又は第2開閉弁34と第3開閉弁8を開いてバイパス管7から水素燃料タンクに水素を供給しながら蓄圧器31から水素を放出させる。そして、蓄圧器31から放出された水素、又は蓄圧器31から放出された水素とバイパス管7を介した水素貯蔵容器60内の水素がディスペンサー4を介して前記水素燃料タンクへと供給される。
【0016】
ここで、前記水素燃料タンクへの水素供給は、主に蓄圧器31と前記水素燃料タンクの差圧を利用して行われる。前記水素燃料タンクへの水素供給によって蓄圧器31内から水素が放出されると、蓄圧器31内の水素量の減少により蓄圧器31内の圧力が低下し、蓄圧器31内で高圧の水素が断熱的に膨張し、蓄圧器31内の温度が急激に低下する。そこで、制御装置5は、蓄圧器31内の水素を水素燃料タンクへ供給する際に、水素放出による温度低下が蓄圧器31に対して悪影響を及ぼすような条件下では、蓄圧器31内の水素の水素減少又は圧力低下を抑制するよう水素燃料タンクへの水素供給を行う処理(水素燃料タンクへの水素供給処理)を実施する。具体的には、制御装置5は、
図2のフローチャートに示すように、温度センサ52の検知した蓄圧器温度Taが所定温度以下の場合に、第1開閉弁33を閉じた状態で、第2開閉弁34及び第3開閉弁7を開き、蓄圧器31への水素充填を停止し水素貯蔵容器60からバイパス管7を介して水素燃料タンクへの水素供給を行いながら蓄圧器31から水素燃料タンクへの水素供給を行うよう、第1開閉弁33、第2開閉弁34及び第3開閉弁8を制御し、蓄圧器31と水素貯蔵容器60の両方から水素燃料タンクへ水素を供給することにより、蓄圧器31内の水素の減少量を少なくし、以て、蓄圧器31内の圧力の低下を小さくする。
【0017】
図2は、制御装置5によって実施される水素燃料タンクへの水素供給処理を示すフローチャートである。
図2において、ステップS1では、水素燃料タンクへの水素供給指令が入力されているか否かを判定する。燃料電池自動車(FCV)が到来し車載タンクへの水素補給の要求により、例えばオペレータにより前記水素燃料タンクへの水素供給指令が入力されていればステップS2に進み、前記水素燃料タンクへの水素供給指令が入力されていなければ、水素供給指令の入力を待機する。
【0018】
ステップS2では、蓄圧器温度Taを読み込む。蓄圧器温度Taは、蓄圧器31の温度と相関のある温度であればよく、特に制限されないが、本実施形態においては、蓄圧器31の表面温度(特に、蓄圧器31の下部の表面温度)を蓄圧器温度Taとしている。
【0019】
ステップS3では、蓄圧器温度Taが所定温度Td以下であるか否かを判定する。そして、蓄圧器温度Taが所定温度Td以下であれば、水素放出による温度低下が蓄圧器31に対して悪影響を及ぼすと判断してステップS4に進み、蓄圧器温度Taが所定温度Tdより高ければステップS7に進む。所定温度Tdは、水素ステーション1において使用される蓄圧器31に応じて任意に設定可能であり、例えば、蓄圧器31の許容下限温度よりも数度高い温度とすることができる。
【0020】
ステップS4では、蓄圧器温度Taが所定温度Tdより高い場合の水素燃料タンクへの通常の水素供給(ステップ7で実施する)に比べて、蓄圧器31内の水素の減少又は圧力低下を抑制するように、前記水素燃料タンクに対して蓄圧器31からの水素供給を実施すると共に、水素貯蔵容器60からの水素供給も実施して、蓄圧器31内の水素の減少量を抑制する。即ち、第1開閉弁33を閉じた状態で第2開閉弁34を開いて蓄圧器31から水素を放出させると共に、第3開閉弁8を開いて水素貯蔵容器60からバイパス管7を介して水素を供給する。
【0021】
ステップS5では、前記水素燃料タンクが満タンになったか否かを判定し、満タンになるまで水素の供給を継続し、前記水素燃料タンクが満タンになればステップ6に進む。例えば、図示省略した流量センサなどによって蓄圧器31から前記水素燃料タンクに向かう水素の流れをモニタし、当該水素の流れがほとんどなくなった場合に前記水素燃料タンクは満タンと判定する。
【0022】
ステップ6では、前記水素燃料タンクへの水素供給を終了する。即ち、第2開閉弁34と第3開閉弁8を閉じる。
【0023】
ステップS7では、前記水素燃料タンクへの通常の水素供給を行う。即ち、蓄圧器温度Taが所定温度Tdより高い場合には、第3開閉弁8を閉じて水素貯蔵容器60からの水素供給は行わず、第1開閉弁33を閉じた状態で第2開閉弁34を開いて蓄圧器31への水素充填は行わず蓄圧器31からだけ水素を放出して前記水素燃料タンクへ水素を供給する。そして、ステップ5で前記水素燃料タンクが満タンと判定されれば、ステップ6に進み、前述のようにして水素燃料タンクへの水素供給を終了する。
【0024】
尚、前記水素燃料タンクへの水素供給が終了した後は、速やかに蓄圧器31へ水素を充填する。即ち、第2開閉弁34を閉じ、第1開閉弁33を開くことによって圧縮機2で昇圧された水素を蓄圧器31に充填する。これにより、蓄圧器内圧Paが所定圧力以上の蓄圧器を常時準備し、燃料電池自動車(FCV)の到来に備える。これにより、燃料電池自動車(FCV)が到来したときに、蓄圧器31内の圧力不足により水素供給ができないという事態を回避できる。
【0025】
以上の水素供給処理により、前記水素燃料タンクへの水素供給を行う際に、蓄圧器温度Taが所定温度Td以下の場合に、蓄圧器31からだけではなく水素貯蔵容器60からも水素供給を行うことにより、蓄圧器31単独で水素燃料タンクへ水素を供給する通常の水素供給(蓄圧器温度Taが所定温度Tdより高い場合に実施する)の場合に比べて、蓄圧器31から放出される水素量を抑制でき、蓄圧器31内の圧力低下を抑制できる。これにより、水素燃料タンクへの水素供給に伴う蓄圧器31内の水素減少量が抑制され、蓄圧器31内の圧力低下が抑制されて蓄圧器温度Taの過剰な温度低下を防止しつつ、水素燃料タンクへの水素供給を行うことができる。
【0026】
このように、本実施形態による水素ステーション1は、水素燃料タンクに水素を供給するときに、蓄圧器温度Taが所定温度Td以下である場合には、蓄圧器31から水素を放出して水素燃料タンクへ供給すると共に、水素貯蔵容器60からも水素供給を行う。これにより、蓄圧器温度Taが所定温度Tdより高い場合の通常の水素供給処理に比べて、水素燃料タンクへの水素供給による蓄圧器31内の水素の減少が抑制されることとなり、蓄圧器31内の圧力低下が抑制されて蓄圧器温度Taが過剰に低下して蓄圧器31の耐久性等が低下してしまうことを防止できる。
【0027】
尚、上述の実施形態では、蓄圧器温度Taが所定温度Td以下である場合に、前記水素燃料タンクへの水素供給を蓄圧器31と水素貯蔵容器60から行っている。しかし、これに限るものではなく、蓄圧器31内の水素温度や蓄圧器31周囲の外気温(例えば、蓄圧器31周囲の雰囲気温度)が所定温度Td2(≦Td)以下である場合に、前記水素燃料タンクへの水素供給を蓄圧器31と水素貯蔵容器60から行うようにしてもよい。この場合であっても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0028】
また、上述の実施形態では、水素貯蔵容器60から水素燃料タンクへ圧縮機2を迂回して直接的に水素を供給しているが、バイパス管7を圧縮機2と蓄圧ユニット3との間の接続管に接続し、水素貯蔵容器60の水素を圧縮機2で昇圧して水素燃料タンクへ供給するようにしてもよい。
【0029】
また、上述の実施形態では、蓄圧ユニット3が一つの蓄圧器31を有しているが、複数の蓄圧器31を有してもよいことはもちろんである。この場合には、各蓄圧器31に対して上述の処理が実施されることになる。
【0030】
次に、本発明の第2実施形態による水素ステーションを説明する。
第1実施形態による水素ステーションにおいて、蓄圧器は、水素を充填する水素充填口と水素を放出する水素放出口とが共通であり、蓄圧器への水素の充填と蓄圧器からの水素の放出とを同時に行えない。これに対し、第2実施形態による水素ステーションでは、蓄圧器における前記水素充填口と前記水素放出口が別々に設けられており、蓄圧器への水素の充填と蓄圧器からの水素の放出とを同時に行えるという点で第1実施形態による水素ステーションとは相違している。尚、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成要素については同一の符号を付し、その機能も同じであるものとする。
【0031】
図3は、第2実施形態による水素ステーションの構成を示している。
図3に示すように、第2実施形態による水素ステーション10は、水素を昇圧する圧縮機2と、圧縮機2で昇圧された水素を貯蔵可能な蓄圧ユニット30と、ディスペンサー4と、制御装置50と、を有する。
【0032】
蓄圧ユニット30は、圧縮機2で昇圧された水素を貯蔵する水素充填口と水素放出口が別々に設けられた蓄圧器31と、蓄圧ユニット30の入口部30aと蓄圧器31の水素充填口の間に設けられた逆止弁32及び第1開閉弁33と、蓄圧器31の水素放出口と蓄圧ユニット30の出口部30bの間に設けられた第2開閉弁34及び逆止弁35と、を有する。入口部30aは、接続管を介して圧縮機2に接続されており、蓄圧器31が第1開閉弁33を介して圧縮機2に接続される。出口部30bは、接続管を介してディスペンサー4に接続されており、ディスペンサー4が第2開閉弁34を介して蓄圧器31に接続される。
【0033】
制御装置50は、第1実施形態の制御装置5と同様に、蓄圧器内圧Pa、蓄圧器温度Ta及び前記水素燃料タンクに関する情報等の各種情報を入力する。そして、制御装置50は、入力された各種情報やオペレータによる動作指令に基づいて、圧縮機2、第1開閉弁33と第2開閉弁34を適宜制御して、前記水素燃料タンクへの水素供給や蓄圧器31への水素充填を行う。具体的には、制御装置5は、蓄圧器31内の水素を水素燃料タンクへ供給する際に、水素放出による温度低下が蓄圧器31に対して悪影響を及ぼすような条件下、即ち、温度センサ52の検知した蓄圧器温度Taが所定温度以下の場合には、
図4のフローチャートに示すように、蓄圧器31から水素燃料タンクへの水素供給を行いながら蓄圧器31への水素充填を行うように第1開閉弁33と第2開閉弁34を制御することにより、蓄圧器31内の水素の減少量を抑制し、以て、蓄圧器31内の圧力低下を抑制する。即ち、温度センサ52における検出温度が、前記所定温度以下である場合には、第1開閉弁33及び第2開閉弁34を開くと共に圧縮機2を作動させて蓄圧器31に水素を充填しながら蓄圧器31からの水素送出を行う。一方、前記所定温度より高い場合には、第1開閉弁33を閉じた状態で、第2開閉弁34を開いて蓄圧器31からの水素放出を行う。
【0034】
図4は、制御装置50によって実施される水素燃料タンクへの水素供給処理を示すフローチャートである。
図4において、ステップS11〜S13は、
図2のステップS1〜S3と同様である。即ち、ステップS11で、水素燃料タンクへの水素供給指令が入力されているか否かを判定して水素供給指令が入力されていれば、ステップS12で、蓄圧器温度Taを読み込み、ステップS13で、蓄圧器温度Taが所定温度Td以下であるか否かを判定する。ステップS13において、蓄圧器温度Taが所定温度Td以下であれば水素放出による温度低下が蓄圧器31に対して悪影響を及ぼすと判断してステップS14に進み、蓄圧器温度Taが所定温度Tdより高ければステップS17に進む。
【0035】
ステップS14では、蓄圧器温度Taが所定温度Tdより高い場合の水素燃料タンクへの通常の水素供給(ステップ17で実施する)に比べて、蓄圧器31内の水素減少又は圧力低下を抑制するように、蓄圧器31から水素を放出して前記水素燃料タンクへ水素供給を行うと同時に、前記蓄圧器31への水素充填を行う。即ち、第2開閉弁34を開いて蓄圧器31から水素燃料タンクに水素を供給すると共に、圧縮機2を稼動し第1開閉弁33を開いて、圧縮機2で昇圧した水素を蓄圧器31に充填する。
【0036】
ステップS15では、
図2のステップS5と同様に、前記水素燃料タンクが満タンになったか否かを判定し、満タンになるまで水素の供給を継続し、前記水素燃料タンクが満タンになればステップ16に進む。
【0037】
ステップS16では、前記水素燃料タンクへの水素供給と蓄圧器31への水素充填を終了する。即ち、第2開閉弁34を閉じると共に、圧縮器2を停止し第1開閉弁33を閉じる。
【0038】
ステップS17では、前記水素燃料タンクへの通常の水素供給を行う。即ち、第1開閉弁33を閉じた状態で第2開閉弁34を開いて、蓄圧器31への水素充填は行わずに蓄圧器31から水素を放出して前記水素燃料タンクへ供給する。
【0039】
ステップ18では、ステップ15と同様に前記水素燃料タンクが満タンになったか否かを判定し、満タンになるまで水素の供給を継続し、前記水素燃料タンクが満タンになればステップ19に進む。
【0040】
ステップ19では、前記水素燃料タンクへの水素供給を終了する。即ち、第2開閉弁34を閉じる。尚、前記水素燃料タンクへの水素供給が終了した後は、速やかに蓄圧器31へ水素を充填することは第1実施形態と同様である。
【0041】
以上の水素供給処理により、前記水素燃料タンクへの水素供給を行う際に、蓄圧器温度Taが所定温度Td以下の場合に、蓄圧器31からの水素燃料タンクへの水素供給と同時に蓄圧器31への水素充填を行うことにより、蓄圧器温度Taが所定温度Tdより高い場合に実施するステップ17の通常の水素供給の場合に比べて蓄圧器31から放出される水素量を抑制できる。これにより、水素燃料タンクへの水素供給に伴う蓄圧器31内の水素減少量が抑制され、蓄圧器31内の圧力低下が抑制されて蓄圧器温度Taの過剰な温度低下を防止しつつ、水素燃料タンクへの水素供給を行うことができる。
【0042】
このように、本実施形態による水素ステーション10は、水素充填口と水素放出口が別々に設けられた蓄圧器31の場合において、水素燃料タンクに水素を供給するときに、蓄圧器温度Taが所定温度Td以下である場合には、蓄圧器31から水素を放出して水素燃料タンクへ水素を供給すると同時に、蓄圧器31への水素充填を行う。これにより、蓄圧器温度Taが所定温度Tdより高い場合に比べて水素燃料タンクへの水素供給による蓄圧器31内の水素減少量が抑制されることとなり、蓄圧器31内の圧力低下が抑制されて蓄圧器温度Taが過剰に低下して蓄圧器31の耐久性等が低下してしまうことを防止できる。
【0043】
尚、本実施形態による水素ステーション10においても、第1実施形態による水素ステーション1と同様、蓄圧器31内の水素温度や蓄圧器31周囲の外気温(例えば、蓄圧器31周囲の雰囲気温度)が所定温度Td2(≦Td)以下である場合に、蓄圧器31からの水素放出を行って前記水素燃料タンクへ水素を供給すると同時に蓄圧器31への水素充填を行うようにしてもよい。この場合であっても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、本実施形態による水素ステーション10においても、第1実施形態による水素ステーション1と同様、バイパス管7を設けて水素貯蔵容器60から直接的に水素燃料タンクへ水素供給できるようにしてもよい。この場合、水素貯蔵容器60から水素燃料タンクへの水素供給を併用することで、蓄圧器31の水素放出に伴う水素減少量を更に抑制でき、蓄圧器31内の圧力低下を更に抑制することが可能になる。
【0045】
次に、本発明の第3実施形態による水素ステーションを説明する。
図5は、第3実施形態による水素ステーションの構成を示している。
図5に示すように、第1実施形態による水素ステーション1との主な相違は、第3実施形態による水素ステーション20においては、バイパス管7が設けられていないこと、及び蓄圧ユニット30が複数(ここでは、二つ)の蓄圧器31a,31bを有していることである。ここで、蓄圧器31aが第1蓄圧器に相当し,蓄圧器31bが第2蓄圧器に相当する。そして、各蓄圧器31a,31bに対応させて開閉弁及び逆止弁が設けられている。即ち、蓄圧器31aは、第1開閉弁群33の開閉弁33aを介して圧縮機2に接続され、第2開閉弁群34の開閉弁34aを介してディスペンサー4が接続される。蓄圧器31bは、第1開閉弁群33の開閉弁33bを介して圧縮機2に接続され、第2開閉弁群34の開閉弁34bを介してディスペンサー4が接続される。ここで、本実施形態において、開閉弁33aが第1開閉弁に相当し、開閉弁33bが第2開閉弁に相当し、開閉弁34aが第3開閉弁に相当し、開閉弁34bが第4開閉弁に相当する。逆止弁32aは、蓄圧器31aから圧縮機2に向かって水素が流れることを防止し、逆止弁32bは、蓄圧器31bから圧縮機2に向かって水素が流れることを防止する。また、逆止弁35aは、ディスペンサー4から蓄圧器31aに向かって水素が流れることを防止し、逆止弁35bは、ディスペンサー4から蓄圧器31bに向かって水素が流れることを防止する。尚、圧力センサ51及び温度センサ52もそれぞれの蓄圧器31a,31bに対応させて設けられている。それ以外の構成については第1実施形態による水素ステーション1と同様である。
【0046】
第3実施形態による水素ステーション20においても、水素燃料タンクへの水素供給指令が入力されたときに、蓄圧器温度Taが所定温度Td以下である場合には、各蓄圧器31a,31bへの水素充填を行いながら水素燃料タンクへの水素供給を行う。具体的には、以下のようにして制御装置50により水素燃料タンクへの水素供給を制御することにより、水素供給に伴う各蓄圧器31a,31b内の水素減少量を抑制し、以て、各蓄圧器31a,31b内の圧力低下を抑制する。
【0047】
即ち、本実施形態において、水素充填口と水素放出口が共通の蓄圧器31a,31bから水素燃料タンクへ水素を供給する際に、制御装置50は、温度センサ52の検知する蓄圧器温度Taが所定温度Td以下である場合には、蓄圧器31a,31bを所定の切り替えタイミングで切り替えながら前記水素燃料タンクへの水素供給を行い、水素の供給が終了した蓄圧器側に対して水素充填を行うよう開閉弁33a,33b,34a,34bを制御する。具体的には、温度センサ52の検出温度が、所定温度以下である場合には、開閉弁33a及び開閉弁34bを閉じた状態で、開閉弁33b及び開閉弁34aを開くと共に圧縮機2を作動させて蓄圧器31bへ水素充填を行いながら蓄圧器31aからの水素放出を行い、又は、開閉弁33b及び開閉弁34aを閉じた状態で、開閉弁33a及び開閉弁34bを開くと共に圧縮機2を作動させて蓄圧器31aへ水素充填を行いながら蓄圧器31bからの水素放出を行う。そして、蓄圧器31aからの水素放出と蓄圧器31bからの水素放出を所定の切替えタイミングで切替える。一方、温度センサ52の検出温度が、所定温度より高い場合には、開閉弁33a及び開閉弁33bを閉じた状態で、開閉弁34a及び開閉弁34bの少なくとも一方を開いて蓄圧器31a及び蓄圧器31bの少なくとも一方からの水素放出を行う。
【0048】
水素放出を行う蓄圧器31a,31bの切り替えタイミングは、任意に設定することができる。例えば、水素放出を開始してからの経過時間や水素放出に伴う蓄圧器温度の変化量(低下量)に基づいて蓄圧器31a,31bを切り替えるように構成することができる。また、各蓄圧器31a,31bからの水素放出は、対応する開閉弁34a,34bを開くことにより行い、各蓄圧器31a,31bへの水素の充填は、圧縮機2を稼働すると共に、対応する開閉弁33a,33bを開くことにより行う。
【0049】
この第3実施形態による水素ステーションにおいても、水素燃料タンクへの水素供給を行う際に、各蓄圧器31a,31bについて、蓄圧器温度Taが所定温度Td以下である場合には、蓄圧器温度Taが所定温度Tdより高い場合に実施する1つの蓄圧器で水素供給を行う場合に比べて、各蓄圧器31a,31bの水素放出に伴う水素減少量がそれぞれ抑制されて各蓄圧器31a,31b内の圧力低下が抑制されることとなり、蓄圧器温度Taが過剰に低下して蓄圧器31a,31bの耐久性等が低下することを防止できる。
【0050】
尚、上述の実施形態においては、複数の蓄圧器を切り替えて水素燃料タンクへの水素供給を行いながら水素供給停止側の蓄圧器に水素を充填するようにしたが、複数の蓄圧器の切り替えによる水素燃料タンクへの水素供給が終了した後に、各蓄圧器へ一斉に水素を充填するようにしてもよい。
【0051】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、さらなる改良や変更が可能である。
例えば、水素ステーションが複数の蓄圧ユニットを含み、各蓄圧ユニットが複数の蓄圧器を有してもよい。この場合であっても各蓄圧器に対して上述の処理を適用することができる。また、蓄圧器に水素を充填したり、水素燃料タンクへ水素を供給したりするための構成(特に弁機構)は、蓄圧ユニットの構成や蓄圧器の構造等に応じて適宜設定することができる。更に、上記各実施形態では、前記水素供給源からの水素を昇圧する手段として圧縮機2を用いているが、これに限るものではない。蓄圧器31に充填可能な状態に水素を昇圧できる昇圧装置であればよく、圧縮機2に代えて又は加えて、昇圧ポンプ及び気化器等を設けてもよい。また、蓄圧器から放出した水素をディスペンサーによって水素燃料タンクに供給しているが、水素供給手段(配管や開閉弁等)によって、水素を使用する又は必要とする水素使用装置(例えば、併設の燃料電池システム)に供給するようにしてもよい。この場合、蓄圧器内の水素温度、蓄圧器温度、又は蓄圧器周囲の外気温が所定温度以下である場合における蓄圧器からの水素放出は、蓄圧器に水素を充填しながら行うように水素ステーションを構成してもよい。