特許第6077585号(P6077585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077585
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】運動案内装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/06 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   F16C29/06
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-67867(P2015-67867)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2015-200409(P2015-200409A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2015年10月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-72766(P2014-72766)
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(72)【発明者】
【氏名】冨田 重雄
(72)【発明者】
【氏名】坂井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】槇 信之
(72)【発明者】
【氏名】星出 薫
(72)【発明者】
【氏名】山村 勝則
(72)【発明者】
【氏名】岩本 無天
(72)【発明者】
【氏名】堀池 一也
(72)【発明者】
【氏名】奈良田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】中野 富久治
(72)【発明者】
【氏名】中村 重巳
(72)【発明者】
【氏名】入江 洋介
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇気
【審査官】 増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−132494(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3108833(JP,U)
【文献】 特開2005−207469(JP,A)
【文献】 特開2005−127474(JP,A)
【文献】 特開平10−47344(JP,A)
【文献】 特開平11−72119(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102007056860(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転動体転走部を有する軌道部材と、
前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、及び前記負荷転動体転走部と平行な戻し路を有する移動部材本体と、
前記軌道部材の前記転動体転走部と前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部との間に転がり運動可能に配置される複数の転動体と、
前記移動部材本体の移動方向の端面に配置され、前記負荷転動体転走部と前記戻し路を繋ぐ方向転換路の内周側を有する端部部材と、
前記方向転換路の外周側を有する蓋部材と、
前記軌道部材から前記移動部材本体を取り外したとき、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部から前記転動体が脱落するのを防止する保持部と、を備える運動案内装置において、
一対の前記端部部材の少なくとも一方は、前記方向転換路の内周側に繋がり、前記転動体を、前記負荷転動体転走部、前記方向転換路及び前記戻し路から構成される循環路に装入するための開口部を有し、
一対の前記端部部材の、前記移動部材本体との対向面は、平面に形成され、
前記保持部に一体に成形され、前記移動部材本体と別体の一対の前記端部部材が、前記移動部材本体の移動方向と直交する方向に前記移動部材本体に組み込まれ、
前記蓋部材が、前記端部部材の前記開口部を塞ぎ、
前記蓋部材は、ボスを有し、
前記端部部材は、前記ボスに嵌まる嵌合穴を有し、
前記移動部材本体は、前記ボスに嵌まるボス穴を有する運動案内装置。
【請求項2】
前記蓋部材の前記ボスには、前記移動部材本体に締結される締結部材が通される貫通穴が形成されることを特徴とする請求項1に記載の運動案内装置。
【請求項3】
前記蓋部材を前記端部部材に嵌めることによって、前記蓋部材に設けたボスが、前記端部部材の前記移動部材本体との対向面から突出して、前記移動部材本体に設けたボス穴に嵌まることを特徴とする請求項1又は2に記載の運動案内装置。
【請求項4】
記締結部材を前記移動部材本体の前記ボス穴に締結することによって、前記蓋部材及び前記端部部材が前記移動部材本体に取り付けられることを特徴とする請求項に記載の運動案内装置。
【請求項5】
前記移動部材本体を平面視及び側面視したとき、前記端部部材のみが視認できるように、前記蓋部材が前記端部部材によって囲まれることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の運動案内装置。
【請求項6】
転動体転走部を有する軌道部材と、
前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、及び前記負荷転動体転走部と平行な戻し路を有する移動部材本体と、
前記軌道部材の前記転動体転走部と前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部との間に転がり運動可能に配置される複数の転動体と、
前記移動部材本体の移動方向の端面に配置される端部部材と、
前記負荷転動体転走部と前記戻し路を繋ぐ方向転換路の外周側を有する蓋部材と、を備える運動案内装置において、
前記端部部材には、前記方向転換路の内周側、及び/又は前記軌道部材から前記移動部材本体を取り外したとき、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部から前記転動体が脱落するのを防止する保持部が一体に形成され、
前記蓋部材は、ボスを有し、
前記端部部材は、前記ボスに嵌まる嵌合穴を有し、
前記移動部材本体は、前記ボスに嵌まるボス穴を有し、
前記蓋部材の前記ボスには、前記移動部材本体に締結される締結部材が通される貫通穴が形成される運動案内装置。
【請求項7】
転動体転走部を有する軌道部材と、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、及び前記負荷転動体転走部と平行な戻し路を有する移動部材本体と、前記軌道部材の前記転動体転走部と前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部との間に転がり運動可能に配置される複数の転動体と、を備える運動案内装置の製造方法において、
前記軌道部材から前記移動部材本体を取り外したとき、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部から前記転動体が脱落するのを防止する保持部と、前記移動部材本体の移動方向の両端面に配置され、前記負荷転動体転走部と前記戻し路を繋ぐ方向転換路の内周側を有し、前記移動部材本体との対向面が平面に形成される一対の端部部材と、を一体に成形した部品であり、前記移動部材本体とは別体の前記部品を用意する工程と、
前記部品を前記移動部材本体の移動方向と直交する方向に前記移動部材本体に組み込む工程と、
一対の前記端部部材の少なくとも一方の、前記方向転換路に繋がる開口部から前記複数の前記転動体を、前記負荷転動体転走部、前記方向転換路及び前記戻し路から構成される循環路に装入する工程と、
前記端部部材の前記開口部を、前記方向転換路の外周側を有する蓋部材で塞ぐ工程と、を備え
前記蓋部材は、ボスを有し、
前記端部部材は、前記ボスに嵌まる嵌合穴を有し、
前記移動部材本体は、前記ボスに嵌まるボス穴を有する運動案内装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道部材と、軌道部材に転動体を介して移動可能に組み付けられた移動部材と、を備える運動案内装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
転動体の転がり運動を利用して、テーブル等の可動体の直線運動を案内する運動案内装置が知られている。運動案内装置は、リニアガイドとも呼ばれ、軌道レールと、軌道レールに転動体を介して移動可能に組み付けられる移動ブロックと、を備える。軌道レールには、長手方向に沿って転動体が転がり運動可能な転動体転走部が形成される。移動部材には、転動体を循環させるための循環路が形成される。循環路は、軌道レールの転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、負荷転動体転走部に平行な戻し路、戻し路の一端と他端とを繋ぐU字状の一対の方向転換路を備える。
【0003】
典型的な運動案内装置は、移動ブロック本体の移動方向の両端面にエンドキャップを組み合わせてなる。移動ブロック本体は、軌道レールの上面に対向する中央部と、軌道レールの側面に対向する一対の袖部を有し、コ字形に形成される。循環路の負荷転動体転走部は、移動ブロック本体の袖部の内側面に形成される。方向転換路の内周側は、Rピースとも呼ばれる半円筒状部材に形成される。方向転換路の外周側は、エンドキャップに形成される。Rピースをエンドキャップに組み込んだ後、エンドキャップを移動部材本体の移動方向の端面に取り付けることで、循環路が構成される。
【0004】
循環路に転動体を装入するとき、コ字形の移動ブロック本体の内側面から転動体を装入する。しかし、この転動体装入作業は狭い空間での作業になるので、手間がかかるという課題がある。この課題を解決するために、エンドキャップに開口を設け、この開口から軌道レールの長手方向に転動体を挿入する発明が提案されている(特許文献1参照)。転動体を循環路に装入したら、開口は閉鎖部材によって閉鎖される。この発明によれば、移動レールの長手方向の広い空間を利用して転動体を装入できるので、装入作業が容易になり、特に自動機を用いた転動体の自動装入に適した運動案内装置が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−205014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の発明にあっては、循環路に転動体を装入する前の循環路を組立てる作業に手間がかかるという課題がある。また、エンドキャップの開口を塞ぐ閉鎖部材が必要になり、部品点数が増えるという課題もある。
【0007】
そこで本発明は、組立て作業を容易にすることができる運動案内装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様は、転動体転走部を有する軌道部材と、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、及び前記負荷転動体転走部と平行な戻し路を有する移動部材本体と、前記軌道部材の前記転動体転走部と前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部との間に転がり運動可能に配置される複数の転動体と、前記移動部材本体の移動方向の端面に配置され、前記負荷転動体転走部と前記戻し路を繋ぐ方向転換路の内周側を有する端部部材と、前記方向転換路の外周側を有する蓋部材と、前記軌道部材から前記移動部材本体を取り外したとき、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部から前記転動体が脱落するのを防止する保持部と、を備える運動案内装置において、一対の前記端部部材の少なくとも一方は、前記方向転換路の内周側に繋がり、前記転動体を、前記負荷転動体転走部、前記方向転換路及び前記戻し路から構成される循環路に装入するための開口部を有し、一対の前記端部部材の、前記移動部材本体との対向面は、平面に形成され、前記保持部に一体に成形され、前記移動部材本体と別体の一対の前記端部部材が、前記移動部材本体の移動方向と直交する方向に前記移動部材本体に組み込まれ、前記蓋部材が、前記端部部材の前記開口部を塞ぎ、前記蓋部材は、ボスを有し、前記端部部材は、前記ボスに嵌まる嵌合穴を有し、前記移動部材本体は、前記ボスに嵌まるボス穴を有する運動案内装置である。
【0009】
本発明の第二の態様は、転動体転走部を有する軌道部材と、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、及び前記負荷転動体転走部と平行な戻し路を有する移動部材本体と、前記軌道部材の前記転動体転走部と前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部との間に転がり運動可能に配置される複数の転動体と、前記移動部材本体の移動方向の端面に配置される端部部材と、前記負荷転動体転走部と前記戻し路を繋ぐ方向転換路の外周側を有する蓋部材と、を備える運動案内装置において、前記端部部材には、前記方向転換路の内周側、及び/又は前記軌道部材から前記移動部材本体を取り外したとき、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部から前記転動体が脱落するのを防止する保持部が一体に形成され、前記蓋部材は、ボスを有し、前記端部部材は、前記ボスに嵌まる嵌合穴を有し、前記移動部材本体は、前記ボスに嵌まるボス穴を有し、前記蓋部材の前記ボスには、前記移動部材本体に締結される締結部材が通される貫通穴が形成される運動案内装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第一の態様によれば、保持部の両端部に一対の端部部材を一体に成形し、この部品を移動部材本体の移動方向と直交する方向に移動部材本体に組み込むので、移動部材本体の移動方向における一対の端部部材の位置決めをすることが可能になり、循環路の組立て作業が容易になる。
【0011】
本発明の第二の態様によれば、移動部材本体、蓋部材及び端部部材を、蓋部材のボスの位置で統一して位置決めできるので、各部品の寸法誤差の影響を少なくすることができ、運動案内装置の組立性、滑動性(すなわち転動体の円滑な動き)を向上させことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一の実施形態の運動案内装置の外観斜視図である。
図2】本発明の第一の実施形態の運動案内装置の分解斜視図である。
図3】本発明の第一の実施形態の移動ブロック本体の斜視図である。
図4】本発明の第一の実施形態の樹脂部品の斜視図である。
図5】本発明の第一の実施形態の蓋部材の斜視図である(図5(a)は正面側斜視図を示し、図5(b)は背面側斜視図を示す)。
図6】本発明の第一の実施形態のボールの循環路に沿った断面図である。
図7】本発明の第一の実施形態の運動案内装置の製造工程図である(図7(a)は移動ブロック本体に樹脂部品を組み込む前の状態を示し、図7(b)は移動ブロック本体に樹脂部品を組み込んだ後の状態を示し、図7(c)は樹脂部品に蓋部材を嵌め込む状態を示す)。
図8】本発明の第一の実施形態の運動案内装置の製造工程図である(図8(d)は樹脂部品から突出する蓋部材のボスを示し、図8(e)は蓋部材にねじを通す状態を示し、図8(f)はねじを移動ブロック本体に締結した状態を示す)。
図9】本発明の第一の実施形態の運動案内装置の製造工程図である(図9は循環路にボールを装入する状態を示す)。
図10】本発明の第二の実施形態の運動案内装置の移動ブロックの分解斜視図である。
図11】本発明の第二の実施形態の運動案内装置の、軌道レールの長さ方向に直交する断面図である。
図12】本発明の第二の実施形態の樹脂部品の斜視図である。
図13】本発明の第二の実施形態の蓋部材の斜視図である(図13(a)は正面側斜視図を示し、図13(b)は背面側斜視図を示す)。
図14】本発明の第三の実施形態の運動案内装置の移動ブロックの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態の運動案内装置を詳細に説明する。図1は、本実施形態の運動案内装置の斜視図を示す。運動案内装置は、軌道部材としての軌道レール1と、軌道レール1にスライド可能に組み付けられる移動部材としての移動ブロック2と、を備える。軌道レール1と移動ブロック2との間には、転動体として、多数のボールが転がり運動可能に介在される。軌道レール1は、図示しないベース等に取り付けられる。移動ブロック2は、図示しないテーブル等の可動体に取り付けられる。なお、以下の説明では、「上下」とは、軌道レール1を水平面に配置したときの運動案内装置の上下をいい、「左右」とは、軌道レール1を水平面に配置し、軌道レール1の長さ方向から見たときの運動案内装置の左右をいう。すなわち図1に示す上下方向、前後方向、左右方向を用いる。もちろん、運動案内装置の配置は、このような配置に限られることはない。
【0014】
図2は、運動案内装置の分解斜視図を示す。軌道レール1の上面には、長さ方向に所定間隔を空けて軌道レール1をベース等に取り付けるためのボルト挿入用の透し孔1bが形成される。軌道レール1の側面には、転動体転走部として、ボールが転がり運動する複数条のボール転走溝1aが長手方向に沿って形成される。この実施形態では、軌道レール1の上部には、幅方向に突出する左右一対の突出部1cが形成される。ボール転走溝1aは、突出部1cの上下に二条ずつ合計四条形成される。
【0015】
移動ブロック2は、移動ブロック本体3と、移動ブロック本体3の移動方向(言い換えれば軌道レール1の長さ方向)の両端面に配置される一対の端部プレート4a,4bと保持部5とを一体に成形した樹脂部品6と、一対の蓋部材7a,7bと、を備える。本実施形態において、移動ブロック本体3に、三つの部品だけ、すなわち樹脂部品6及び一対の蓋部材7a,7bを組み込むことで、四条の循環路を構成する。
【0016】
図3に示すように、移動ブロック本体3は、軌道レール1の上面に対向する中央部3−1と、軌道レール1の左右側面に対向する一対の袖部3−2を有し、全体が鞍形状又はコ字形状に形成される。移動ブロック本体3の袖部3−2の内側面には、負荷転動体転走部として、軌道レール1のボール転走溝1aに対向する四条の負荷ボール転走溝2aが形成される。移動ブロック本体3には、負荷ボール転走溝2aと平行に合計四つの戻し路2bが形成される。戻し路2bは、移動ブロック本体3の移動方向に伸びる貫通孔からなる。
【0017】
移動ブロック本体3の移動方向の両端面3aは、平面に形成される。移動ブロック本体3の移動方向の両端面3aには、ボス穴8が形成される。ボス穴8は、移動ブロック本体3の袖部3−2の上下の戻し路2bの間に配置される。このボス穴8は、位置決め手段として機能する蓋部材7a,7bのボス9(図2参照)に嵌まる。ボス穴8内には、ボス穴8の内径よりも内径を狭めた段付きの小径穴10が形成される。小径穴10の内周面には、ねじが加工される。なお、図3には、移動ブロック本体3の前面側のボス穴8しか示されていないが、移動ブロック本体3の背面側にもボス穴8が形成される。また、移動ブロック本体3の移動方向の両端面3aには、図2に示すエンドシール11a,11bを移動ブロック本体3に取り付けるためのねじ穴13が加工される。
【0018】
図4に示すように、樹脂部品6は、保持部5と、移動ブロック本体3の移動方向の両端面3aに配置される一対の端部プレート4a,4bと、を一体に樹脂成形したものである。
【0019】
保持部5は、軌道レール1から移動ブロック2を取り外したとき、ボールが負荷ボール転走溝2aから脱落するのを防止する。保持部5は、移動ブロック本体3の袖部3−2の上側の負荷ボール転走溝2aに沿って細長い第一の保持部5−1と、下側の負荷ボール転走溝2aに沿う第二の保持部5−2と、を備える。第一の保持部5−1は、上側の負荷ボール転走溝2aの上側に配置される。移動ブロック本体3の上側の負荷ボール転走溝2aと下側の負荷ボール転走溝2aとの間には、凸条2e(図3参照)が形成される。ボールが脱落するのを防止できるように、第一の保持部5−1と凸条2eとの間の間隔はボールの直径よりも狭い。同様に第二の保持部5−2は、下側の負荷ボール転走溝2aの下側に配置される。第二の保持部5−2と凸条2eとの間の間隔はボールの直径よりも狭い。
【0020】
端部プレート4a,4bは、軌道レール1の上面に対向する中央部4−1と、軌道レール1の左右側面に対向する一対の袖部4−2と、を有し、移動ブロック本体3の正面形状に合わせたコ字形(言い換えれば鞍形状)に形成される。端部プレート4a,4bは、移動ブロック本体3の負荷ボール転走溝2aと戻し路2bを繋げる方向転換路2c(図6参照)の内周側が形成されるRピース部16を備える。Rピース部16は、半円筒の表面に円周方向に断面円弧形の溝を形成した形をなす。Rピース部16の表面の溝が方向転換路2cの内周側を構成する。Rピース部16の戻し路2b側には、戻し路2bに繋がる連通孔17が形成される。
【0021】
端部プレート4a,4bの移動ブロック本体3との対向面18は、保持部5に一体に成形した一対の端部プレート4a,4bを、移動ブロック本体3の移動方向と直交する方向に組み込めるように平面に形成される。ここで、平面とは、移動ブロック本体3に向かって突出する位置決めのための突起等がないことを意味するものであり、本実施形態のように、対向面18に潤滑経路24の溝(図4参照)、グリースニップルを取り付けるための穴23(図4参照)等の凹部が形成されることを排除するものではない。端部プレート4a,4bの移動方向の端面19には、枠部19aと、枠部19aから一段掘り下げられた嵌合凹部19bと、が形成される。枠部19aの内側の嵌合凹部19bに後述する蓋部材7a,7bのプレート部31(図2参照)が嵌め込まれる。移動ブロック2を平面視(図1の矢視A)及び側面視(図1の矢視B)したとき、端部プレート4a,4bのみが視認できるように、蓋部材7a,7bは端部プレート4a,4bで囲まれる。
【0022】
図4に示すように、端部プレート4a,4bの嵌合凹部19bには、方向転換路2cの内周側に繋がると共に、ボールを循環路に装入するための開口部21が形成される。ボールは、開口部21から軌道レール1の長さ方向に装入される。開口部21の周囲には、ボールを装入するときのボールの脱落を防止する壁21aが形成される。軌道レール1の長さ方向から見たとき、壁21aは閉じた曲面には形成されておらず、軌道レール1に近い側が開放している。ボールを一列によろめかずに装入するために、ボールを装入するとき、移動ブロック2の内側にレール治具が組み込まれる。開口部21の壁21aの一部を開放することで、このレール治具との干渉を避けることができる。開口部21の数は、方向転換路2cと同じ数であり、この実施形態では、四個である。
【0023】
端部プレート4a,4bの袖部4−2の上下のRピース部16間には、蓋部材7a,7bのボス9が嵌まる嵌合穴22が形成される。この嵌合穴22は、端部プレート4a,4bと蓋部材7a,7bとの位置決めの基準になる。図2に示すように、蓋部材7a,7bのプレート部31は、端部プレート4a,4bの嵌合凹部19bに嵌められている。端部プレート4a,4bと蓋部材7a,7bとを、嵌合凹部19bとプレート部31とで位置決めするのではなく、嵌合穴22とボス9で位置決めできるように、嵌合穴22とボス9との公差は、プレート部31と嵌合凹部19bとの公差よりも厳しく設定される。
【0024】
端部プレート4a,4bには、グリースニップルを取り付けるための穴23が空けられる。端部プレート4a,4bの移動ブロック本体3との対向面18には、穴23から連通孔17まで至る潤滑経路24が形成される。穴23の左右には、移動ブロック2の内部に異物が浸入するのを防止するエンドシール11a,11b(図2参照)を移動ブロック本体3に取り付けるための通し穴25が空けられる。端部プレート4a,4bの袖部4−2の下端部には、移動ブロック2の内部に異物が浸入するのを防止するサイドシール27a,27b(図2参照)を取り付けるための差込み溝26が形成される。
【0025】
図5(a)は、蓋部材7a,7bの正面側斜視図を示し、図5(b)は、蓋部材7a,7bの背面側斜視図を示す。蓋部材7a,7bは、薄板状のプレート部31と、プレート部31から端部プレート4a,4bに向かって突出する方向転換路構成部32と、を備える。プレート部31は、軌道レール1の上面に対向する中央部31−1と、軌道レール1の側面に対向する一対の袖部31−2と、を備える。袖部31−2には、上下に方向転換路構成部32が設けられる。方向転換路構成部32には、方向転換路2c(図6参照)の外周側が形成される。方向転換路構成部32は、端部プレート4a,4bのRピース部16と凹凸嵌合し、Rピース部16と協働してU字状の方向転換路2cを構成する。プレート部31の上下の方向転換路構成部32間には、円筒形のボス9が端部プレート4a,4bに向かって突出して形成される。ボス9には、締結部材としてのねじ41(図2参照)が通される貫通穴が形成される。プレート部31には、ねじ41の頭がプレート部31から突出しないようにねじ41の頭部が着座する凹部31aが形成される。
【0026】
蓋部材7a,7bのプレート部31には、グリースニップルを取り付けるための円筒突部33が設けられる。この円筒突部33は、端部プレート4a,4bの穴23(図4参照)に嵌まる。円筒突部33の左右には、図2に示すエンドシール11a,11bを移動ブロック本体3に取り付けるための通し穴35が空けられる。プレート部31の下端部には、移動ブロック2の内部に異物が浸入するのを防止するインナーシール用の受部37(図5(b)参照)が形成される。
【0027】
図6は、移動ブロック2の循環路を示す。循環路は、負荷ボール転走溝2a、負荷ボール転走溝2aと平行な戻し路2b、負荷ボール転走溝2aと戻し路2bを繋ぐU字状の方向転換路2cで構成される。方向転換路2cの内周側は、端部プレート4a,4bのRピース部16に形成される。方向転換路2cの外周側は、蓋部材7a,7bの方向転換路構成部32に形成される。
【0028】
以下に、図7ないし図9を参照して、本実施形態の運動案内装置の組立て方法を説明する。まず、図7(a)に示すように、保持部5に一対の端部プレート4a,4bを成形した樹脂部品6を用意する。次に、移動ブロック本体3に樹脂部品6を移動ブロック2の下方から組み付ける。樹脂部品6を移動ブロック本体3に組み付けると、図7(b)に示すように、一対の端部プレート4a,4bが移動ブロック本体3の移動方向の両端面を挟むので、移動ブロック本体3の移動方向における一対の端部プレート4a,4bの位置決めがなされる。
【0029】
次に、図7(c)に示すように、一方の端部プレート4aに蓋部材7aを移動ブロック本体3の移動方向に嵌める。すると、図8(d)に示すように、蓋部材7aのボス9が端部プレート4aの嵌合穴22に嵌まり、端部プレート4aの移動ブロック本体3に対向する対向面18から蓋部材7aのボス9が突出する。この突出したボス9は、移動ブロック本体3のボス穴8(図7(a)参照)に嵌まる。このため、移動ブロック本体3の移動方向と直交する方向における樹脂部品6の位置決めが可能になる。同時に、移動ブロック本体3に対する樹脂部品6の仮止めも可能になる。図7(b)に示す状態では、樹脂部品6は移動ブロック本体3の移動方向と直交する方向には位置決めされていない。端部プレート4aに蓋部材7aを移動ブロック本体3の移動方向に嵌めることによって、初めて樹脂部品6の位置決めが可能になる。
【0030】
次に、図8(e)に示すように、蓋部材7aのボス9の貫通穴にねじ41を通し、ねじ41を移動ブロック本体3に締結する。図8(f)に示すように、蓋部材7aが移動ブロック本体3に固定される。蓋部材7aと移動ブロック本体3との間に挟まれる端部プレート4aも、移動ブロック本体3に固定される。
【0031】
次に、図9に示すように、他方の端部プレート4bの開口部21からボール42を装入する。ボール42を一列に装入するために、移動ブロック本体3には図示しないレール治具が組み込まれる。ボール42の装入は、自動機でも手作業でもよいが、低コストで組み立てるために自動機を使用するのが望ましい。このボール42を装入する段階では、端部プレート4bは、移動ブロック本体3に位置決めされていない。しかし、端部プレート4bは位置決めされた端部プレート4aと一体なので、ボール42を装入することは十分に可能である。
【0032】
ボール42の装入が終了したら、端部プレート4bに蓋部材7bを嵌め、開口部21を蓋部材7bで閉じる。そして、蓋部材7bのボス9を端部プレート4bの嵌合穴22及び移動ブロック本体3のボス穴8に嵌め(図7(c)参照)、移動ブロック本体3の移動方向と直交する方向における端部プレート4bの位置決めをする。最後に、ねじ41で蓋部材7b、端部プレート4bを移動ブロック本体3に固定する。
【0033】
以上に本実施形態の運動案内装置の構造及び製造方法を説明した。本実施形態の運動案内装置によれば、以下の効果を奏する。
【0034】
保持部5の両端部に一対の端部プレート4a,4bを一体に成形し、この樹脂部品6を移動ブロック本体3の移動方向と直交する方向に移動ブロック本体3に組み込むので、移動ブロック本体3の移動方向における一対の端部プレート4a,4bの位置決めが可能になる。
【0035】
位置決め手段(ボス9)によって、移動ブロック本体3の移動方向と直交する方向における端部プレート4a,4bの位置決めをするので、移動ブロック本体3に一対の端部プレート4a,4bを仮止めすることができ、端部プレート4a,4bの開口部21からボール42を挿入することができる。
【0036】
移動ブロック本体3、端部プレート4a,4b、蓋部材7a,7bを、ボス9の位置で統一して位置決めするので、各部品の寸法誤差の影響を少なくすることができ、組立性、滑動性(すなわちボール42の動き)が向上する。
【0037】
蓋部材7a,7bに設けたボス9が、可動式ボスのように端部プレート4a,4bの移動ブロック本体3との対向面18から突出するので、自動組み立てに適した位置決めが可能になる。
【0038】
蓋部材7a,7bに設けられるボス9は、ねじ41が通される貫通穴を有するので、ボス9の位置での締結が可能になると共に、ボス9の貫通穴をねじ41の通し穴として利用できる。
【0039】
移動ブロック2を平面視及び側面視したとき、端部プレート4a,4bのみが視認できるように、端部プレート4a,4bが蓋部材7a,7bを囲むので、端部プレート4a,4bの開口部21の壁21aの高さを高くすることができ、ボール42を装入するときに開口部21からボール42が脱落するのを防止できる。
【0040】
図10は、本発明の第二の実施形態の運動案内装置の移動ブロック52の分解斜視図を示す。第二の実施形態の移動ブロック52も第一の実施形態の移動ブロック2と同様に、移動ブロック本体53と、移動ブロック本体53の移動方向(図10中前後方向)の両端面に配置される一対の端部プレート54a,54bと保持部55とを一体に成形した樹脂部品56と、一対の蓋部材57a,7bと、を備える。
【0041】
第二の実施形態の移動ブロック52では、樹脂部品56に上側の第一の保持部55−1と下側の第二の保持部55−2だけでなく、上下方向の中央の第三の保持部55−3が一体に形成されている点、樹脂部品56が左右に二分割されている点が、第一の実施形態の移動ブロック2と異なる。
【0042】
図11に示すように、移動ブロック本体53の左右の袖部53−2それぞれには、上下二条の負荷ボール転走溝53aが形成される。保持部55は、移動ブロック本体53の上側の負荷ボール転走溝53aの上側に配置される第一の保持部55−1と、上下の負荷ボール転走溝53aの間に配置される第三の保持部55−3と、下側の負荷ボール転走溝53aの下側に配置される第二の保持部55−2と、を備える。ボール42の脱落を防止できるように、第一の保持部55−1と第三の保持部55−3との間の間隔はボール42の直径よりも狭い。同様に、第三の保持部55−3と第二の保持部55−2との間の間隔はボール42の直径よりも狭い。
【0043】
図10及び図12に示すように、第二の実施形態の樹脂部品56のその他の構成は、第一の実施形態の樹脂部品6と略同一である。すなわち、樹脂部品56の端部プレート54a,54bには、方向転換路の内周側のRピース部58が形成される。端部プレート54a,54bの移動ブロック本体53との対向面64は、樹脂部品56を移動ブロック本体53の左右一対の袖部53−2の内側から移動ブロック本体53の移動方向と直交する方向に組み込めるように平面に形成される(ここで、平面とは、移動ブロック本体53に向かって突出する突起等がないことを意味するものであり、対向面64に潤滑経路の溝、穴等の凹部が形成されることを排除するものではない)。端部プレート54a,54bには、ボール42を循環路に挿入するための開口部59が形成される。端部プレート54a,54bには、蓋部材57a,57bのボス61が嵌まる嵌合穴60が形成される。
【0044】
図13は、第二の実施形態の蓋部材57a,57bを示す。図13(a)は正面側斜視図を示し、図13(b)は背面側斜視図を示す。第一の実施形態の移動ブロック2では、図2に示すように、蓋部材7a,7bが端部プレート4a,4bに嵌まり込むが、第二の実施形態の移動ブロック52では、図10に示すように、端部プレート54a,54bが蓋部材57a,57bに嵌まり込む(言い換えれば、蓋部材57a,57bが端部プレート54a,54bを覆う)。
【0045】
第二の実施形態の蓋部材57a,57bのその他の構成は、第一の実施形態の蓋部材7a,7bと略同一である。すなわち、蓋部材57a,57bには、方向転換路の外周側62が形成される。上下の方向転換路の外周側62間には、例えば円筒形のボス61が端部プレート54a,54bに向かって突出して形成される。ボス61には、締結部材としてのねじが通される貫通穴が形成される。蓋部材57a,57bのボス61は、端部プレート54a,54bの嵌合穴60に嵌まり、また、移動ブロック本体53のボス穴63(図10参照)に嵌まる。このため、移動ブロック本体53、蓋部材57a,57b及び樹脂部品56を、蓋部材57a,57bのボス61の位置で統一して位置決めすることができる。
【0046】
本発明の第二の実施形態の運動案内装置によれば、以下の効果を奏する。樹脂部品56に第一ないし第三の保持部55−1〜55−3を一体に形成することで、樹脂部品56単体でボール42を保持することができ、また、ねじれに強い樹脂部品56にすることができる。さらに、移動ブロック本体53にボール42を抱える保持部を加工する必要がなくなるので、移動ブロック本体53の袖部53−2の内側の形状を簡素化できる。さらに、樹脂部品56を左右に二分割することで、移動ブロック本体53の左右一対の袖部53−2の下端部が内側に張り出していても、移動ブロック本体53に樹脂部品56を組み込むことができる。
【0047】
図14は、本発明の第三の実施形態の移動ブロック72の分解斜視図を示す。第三の実施形態の移動ブロック72も、移動ブロック本体73と、移動ブロック本体73の移動方向(図中前後方向)の両端面に配置される一対の端部プレート74a,74bと保持部75a,75bとを一体に成形した樹脂部品76a,76bと、一対の蓋部材77a,77bと、を備える。移動ブロック本体73、蓋部材77a,77bの構成は、第二の実施形態の移動ブロック本体53、蓋部材57a,57bと略同一である。
【0048】
第三の実施形態の移動ブロック72では、樹脂部品76a,76bが前後に二分割されている点が、第二の実施形態の樹脂部品56と異なる。すなわち、移動ブロック本体73の前方に配置される端部プレート74aには、右側の保持部75a(第一ないし第三の保持部75−1〜75−3からなる)が一体に形成される。移動ブロック本体73の後方に配置される端部プレート74bには、左側の保持部75b(第一ないし第三の保持部75−1〜75−3からなる)が一体に形成される。
【0049】
第三の実施形態の移動ブロック72のその他の構成は、第二の実施形態の移動ブロック52と略同一である。すなわち、樹脂部品76a,76bの端部プレート74a,74bには、蓋部材77a,77bのボス81が嵌まる嵌合穴82が形成される。移動ブロック本体73には、ボス81に嵌まるボス穴83が形成される。
【0050】
第三の実施形態の移動ブロック72では、移動ブロック72を組み立てるとき、まず、移動ブロック本体73の前側及び後ろ側から樹脂部品76a,76bを移動ブロック本体73の移動方向に組み込む。樹脂部品76a,76bを移動ブロック本体73に組み込むと、樹脂部品76aの保持部75aの先端部が樹脂部品76bの端部プレート74bに嵌まる。そして、樹脂部品76bの保持部75bの先端部が樹脂部品76aの端部プレート74aに嵌まる。蓋部材77a、77bを端部プレート74a,74bに嵌めると、移動ブロック本体73、樹脂部品76a,76b及び蓋部材77a,77bの位置決めが可能になる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲でさまざまな実施形態に具現化可能である。
【0052】
上記第一の実施形態では、ねじで蓋部材及び端部プレートを移動ブロック本体に固定した後、循環路にボールを装入しているが、ねじで固定する前の、蓋部材及び端部プレートを移動ブロック本体に仮止めした段階で、循環路にボールを装入することもできる。
【0053】
上記第一の実施形態では、端部プレートが左右に分割されていないが、端部プレートを軌道レールの長手方向に沿った切断面で左右に分割することもできる。
【0054】
上記第一ないし第三の実施形態では、位置決め手段として蓋部材に設けたボスを使用しているが、蓋部材とは分離したボスを使用することもできる。
【0055】
上記第一ないし第三の実施形態では、循環路の戻し路を移動ブロック本体の貫通穴から構成しているが、貫通穴に挿入した樹脂パイプ又は貫通穴に一体に成形した樹脂パイプから戻し路を構成することもできる。
【0056】
上記第一の実施形態では、移動ブロックを平面視及び側面視したとき、端部プレートのみが視認できるように、端部プレートが蓋部材を囲んでいるが、端部プレートと蓋部材の両方が視認できるように、端部プレートと蓋部材の合わせ面を、移動ブロック本体側に配置することもできる。
【0057】
上記第一ないし第三の実施形態では、軌道レールに四条のボール転走溝を形成し、移動ブロック本体に四条の負荷ボール転走溝を形成したが、ボール転走溝及び負荷ボール転走溝の条数は、運動案内装置の負荷荷重等に応じて適宜変更することができる。
【0058】
上記第一の実施形態では、保持部を第一及び第二の保持部から構成したが、保持部の個数は適宜変更することができ、例えば第一及び第二の保持部の間に第三の保持部を設けることも可能である。
【0059】
上記第一ないし第三の実施形態では、軌道レールが直線的に形成される例を示したが、軌道レールは曲線的に形成することもできる。この場合の運動案内装置は、可動体が曲線運動するのを案内するのに用いられる。
【0060】
例えば、上記第一ないし第三の実施形態では、樹脂部品の端部プレートに方向転換路の内周側及び保持部を一体に形成しているが、いずれか一方のみを端部プレートに一体に形成し、他方を端部プレートに組み込むようにすることもできる。
【符号の説明】
【0061】
1…軌道レール(軌道部材),1a…ボール転走溝(転動体転走部),2…移動ブロック(移動部材),2a…負荷ボール転走溝(負荷転動体転走部),2b…戻し路,2c…方向転換路,3…移動ブロック本体(移動部材本体),3a…両端面,4a,4b…端部プレート(端部部材),5…保持部,6…樹脂部品,7a,7b…蓋部材,8…ボス穴,9…ボス,16…Rピース部(方向転換路の内周側),18…端部プレート4a,4bの移動ブロック本体3との対向面,21…開口部,22…嵌合穴,32…方向転換路構成部(方向転換路の外周側),42…ボール(転動体),52…移動ブロック(移動部材),53…移動ブロック本体(移動部材本体),53a…負荷ボール転走溝(負荷転動体転走部),54a,54b…端部プレート(端部部材),55…保持部,56…樹脂部品,57a,57b…蓋部材,58…Rピース部(方向転換路の内周側),59…開口部,60…嵌合穴,61…ボス,62…方向転換路の外周側,63…ボス穴,72…移動ブロック(移動部材),73…移動ブロック本体(移動部材本体),74a,74b…端部プレート(端部部材),75a,75b…保持部,76a,76b…樹脂部品,77a,77b…蓋部材,81…ボス,82…嵌合穴,83…ボス穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14