特許第6077602号(P6077602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6077602-高速事故電流検出回路 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077602
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】高速事故電流検出回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/08 20060101AFI20170130BHJP
   G01R 19/165 20060101ALI20170130BHJP
   G01R 31/02 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   H02H3/08 T
   G01R19/165 Q
   G01R31/02
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-141161(P2015-141161)
(22)【出願日】2015年7月15日
(65)【公開番号】特開2016-21859(P2016-21859A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2015年7月15日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0089283
(32)【優先日】2014年7月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100170380
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】パク ヘ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シム チュン ウク
(72)【発明者】
【氏名】リ キョン ホ
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−014094(JP,A)
【文献】 特開昭62−173914(JP,A)
【文献】 特開昭49−125837(JP,A)
【文献】 特開2014−089955(JP,A)
【文献】 特開2002−084653(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0324747(US,A1)
【文献】 特開平04−017286(JP,A)
【文献】 特開平10−336874(JP,A)
【文献】 特開平11−164468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R19/00−19/32、
31/02−31/06
H02H3/08−3/253
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速事故電流検出回路において、
電力系統の電力回路に流れる電流を検出して電流検出信号を出力する一次変流器と、
前記一次変流器に接続され、前記一次変流器から出力される前記電流検出信号をそれぞれ小電流の二次変換信号に変換して供給する一対の二次変流器と、
前記一対の二次変流器のいずれか一方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号が示す電流値と所定の基準電流値との比較により前記電力回路に故障電流が発生したか否かを判定し、故障電流の発生が判定されると故障検出信号を出力する故障検出回路部と、
前記一対の二次変流器の他方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号が示す電流値と所定の基準電流値との比較により前記電力回路にサージ電流が発生したか否かを判定し、サージ電流の発生が判定されるとサージ検出信号を出力するサージ検出回路部と、
前記故障検出信号及び前記サージ検出信号を受信するように前記故障検出回路部及び前記サージ検出回路部の出力端に接続され、前記故障検出信号及び前記サージ検出信号のうち少なくとも一方が受信されるとトリップ制御信号を出力するトリップ決定回路部とを含む、高速事故電流検出回路。
【請求項2】
前記一対の二次変流器のいずれか一方の出力端と前記故障検出回路部との間に接続され、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号を前記故障検出回路部に出力する第1増幅回路部と、
前記一対の二次変流器のいずれか一方の出力端と前記故障検出回路部との間に接続され、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を前記故障検出回路部に出力する第1微分器と、
前記一対の二次変流器の他方の出力端と前記サージ検出回路部との間に接続され、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号を前記サージ検出回路部に出力する第2増幅回路部と、
前記一対の二次変流器の他方の出力端と前記サージ検出回路部との間に接続され、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を前記サージ検出回路部に出力する第2微分器とをさらに含む、請求項1に記載の高速事故電流検出回路。
【請求項3】
前記故障検出回路部は、
前記第1増幅回路部の出力端に接続され、前記第1増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第1基準値とを比較する第1比較器と、
前記第1微分器から出力される二次変換信号の変化勾配と所定の第2基準値とを比較する第2比較器とを含む、請求項2に記載の高速事故電流検出回路。
【請求項4】
前記サージ検出回路部は、
前記第2増幅回路部の出力端に接続され、前記第2増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第3基準値とを比較する第3比較器と、
前記第2微分器から出力される二次変換信号の変化勾配と所定の第4基準値とを比較する第4比較器とを含む、請求項3に記載の高速事故電流検出回路。
【請求項5】
前記一対の二次変流器のいずれか一方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号を出力する第1増幅回路部と、
前記一対の二次変流器のいずれか一方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を出力する第1微分器と、
前記第1微分器の出力端に接続され、前記第1微分器から出力される二次変換信号の変化勾配を増幅して出力する第3増幅回路部と、
前記一対の二次変流器の他方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号を出力する第2増幅回路部と、
前記一対の二次変流器の他方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を出力する第2微分器と、
前記第2微分器の出力端に接続され、前記第2微分器から出力される二次変換信号の変化勾配を増幅して出力する第4増幅回路部とをさらに含み、
前記故障検出回路部は、
前記第1増幅回路部の出力端に接続され、前記第1増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第1基準値とを比較し、前記第1増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値が前記第1基準値より小さくなければ第1故障検出信号を出力する第1比較器と、
前記第3増幅回路部の出力端に接続され、前記第3増幅回路部からの前記変化勾配の増幅値と所定の第2基準値とを比較し、前記第3増幅回路部からの前記変化勾配の増幅値が前記第2基準値より小さくなければ第2故障検出信号を出力する第2比較器とを含み、
前記サージ検出回路部は、
前記第2増幅回路部の出力端に接続され、前記第2増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第3基準値とを比較し、前記第2増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値が前記第3基準値より小さくなければ第1サージ検出信号を出力する第3比較器と、
前記第4増幅回路部の出力端に接続され、前記第4増幅回路部からの前記変化勾配の増幅値と所定の第4基準値とを比較し、前記第4増幅回路部からの前記変化勾配の増幅値が前記第4基準値より小さくなければ第2サージ検出信号を出力する第4比較器とを含み、
前記トリップ決定回路部は、
前記第1故障検出信号、前記第2故障検出信号、前記第1サージ検出信号及び前記第2サージ検出信号を受信するように前記故障検出回路部及び前記サージ検出回路部の出力端に接続され、前記第1故障検出信号、前記第2故障検出信号、前記第1サージ検出信号及び前記第2サージ検出信号のうち少なくとも1つが受信されるとトリップ制御信号を出力するように構成される、請求項1に記載の高速事故電流検出回路。
【請求項6】
前記第1増幅回路部の増幅率を第1増幅率、前記第2増幅回路部の増幅率を第2増幅率、前記第3増幅回路部の増幅率を第3増幅率、前記第4増幅回路部の増幅率を第4増幅率とすると、
第1増幅率>第2増幅率であり、第3増幅率>第4増幅率である、請求項5に記載の高速事故電流検出回路。
【請求項7】
前記トリップ決定回路部は、論理和回路で構成される、請求項1に記載の高速事故電流検出回路。
【請求項8】
高速事故電流検出回路において、
電力系統の電力回路に流れる電流を検出して電流検出信号を出力する一次変流器と、
前記一次変流器に接続され、前記一次変流器から出力される前記電流検出信号をそれぞれ小電流の二次変換信号に変換して供給する一対の二次変流器と、
前記一対の二次変流器のいずれか一方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号が示す電流値と所定の基準電流値との比較により前記電力回路に故障電流が発生したか否かを判定し、故障電流の発生が判定されると故障検出信号を出力する故障検出回路部と、
前記一対の二次変流器の他方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号が示す電流値と所定の基準電流値との比較により前記電力回路にサージ電流が発生したか否かを判定し、サージ電流の発生が判定されるとサージ検出信号を出力するサージ検出回路部と、
前記故障検出信号及び前記サージ検出信号を受信するように前記故障検出回路部及び前記サージ検出回路部の出力端に接続され、前記故障検出信号及び前記サージ検出信号が受信されるとトリップ制御信号を出力するトリップ決定回路部とを含む、高速事故電流検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受配電設備の1つである限流器(Fault Current Limiter; FCL)に関し、特に限流器用高速事故電流検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
受配電設備の1つである限流器は、電力系統を過電流や短絡電流などの事故電流(fault current)から保護する保護機器であって、電力系統に大きな事故電流が発生した場合、短時間で事故電流を適正値以下に抑制することにより、電力機器の機械的、熱的ストレスを防いで電力系統の信頼性を向上させる装置である。
【0003】
このような限流器に用いられる高速事故電流検出回路に関連する従来技術の一例としては、本発明の出願人による特許文献1を挙げることができる。
【0004】
特許文献1に開示された従来技術の高速事故電流検出回路は、故障電流及びサージ電流に対して1つの共通の二次変流器により検出された検出信号が共有される構成を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2014−0055129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高速事故電流検出回路で受信される電流信号においては、故障電流よりサージ電流のほうが非常に大きく、その差が大きいので、特許文献1のように共通の検出手段により検出を行い、共通の増幅回路部により増幅を行う場合、サージ電流に比べて故障電流の検出精度が低く、全体として高速事故電流検出回路の信頼性に問題が生じていた。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来技術の問題を解決するためになされたものであり、回路遮断器において定格電流を超える故障電流の検出精度を向上させることができると共に、サージ電流の検出も正確に行うことができるようにして、信頼性を向上させた高速事故電流検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、高速事故電流検出回路において、電力系統の電力回路に流れる電流を検出して電流検出信号を出力する一次変流器と、前記一次変流器に接続され、前記一次変流器から出力される前記電流検出信号をそれぞれ小電流の二次変換信号に変換して供給する一対の二次変流器と、前記一対の二次変流器のいずれか一方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号が示す電流値と所定の基準電流値との比較により前記電力回路に故障電流が発生したか否かを判定し、故障電流の発生が判定されると故障検出信号を出力する故障検出回路部と、前記一対の二次変流器の他方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号が示す電流値と所定の基準電流値との比較により前記電力回路にサージ電流が発生したか否かを判定し、サージ電流の発生が判定されるとサージ検出信号を出力するサージ検出回路部と、前記故障検出信号及び前記サージ検出信号を受信するように前記故障検出回路部及び前記サージ検出回路部の出力端に接続され、前記故障検出信号及び前記サージ検出信号のうち少なくとも一方が受信されるとトリップ制御信号を出力するトリップ決定回路部とを含む本発明による高速事故電流検出回路を提供することにより達成することができる。
【0009】
また、本発明の上記目的は、高速事故電流検出回路において、電力系統の電力回路に流れる電流を検出して電流検出信号を出力する一次変流器と、前記一次変流器に接続され、前記一次変流器から出力される前記電流検出信号をそれぞれ小電流の二次変換信号に変換して供給する一対の二次変流器と、前記一対の二次変流器のいずれか一方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号が示す電流値と所定の基準電流値との比較により前記電力回路に故障電流が発生したか否かを判定し、故障電流の発生が判定されると故障検出信号を出力する故障検出回路部と、前記一対の二次変流器の他方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号が示す電流値と所定の基準電流値との比較により前記電力回路にサージ電流が発生したか否かを判定し、サージ電流の発生が判定されるとサージ検出信号を出力するサージ検出回路部と、前記一対の二次変流器のいずれか一方の出力端と前記故障検出回路部との間に接続され、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号を前記故障検出回路部に出力する第1増幅回路部と、前記一対の二次変流器のいずれか一方の出力端と前記故障検出回路部との間に接続され、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を前記故障検出回路部に出力する第1微分器と、前記一対の二次変流器の他方の出力端と前記サージ検出回路部との間に接続され、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号を前記サージ検出回路部に出力する第2増幅回路部と、前記一対の二次変流器の他方の出力端と前記サージ検出回路部との間に接続され、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を前記サージ検出回路部に出力する第2微分器と、前記故障検出信号及び前記サージ検出信号を受信するように前記故障検出回路部及び前記サージ検出回路部の出力端に接続され、前記故障検出信号及び前記サージ検出信号のうち少なくとも一方が受信されるとトリップ制御信号を出力するトリップ決定回路部とを含む本発明による高速事故電流検出回路を提供することにより達成することができる。
【0010】
さらに、本発明の上記目的は、高速事故電流検出回路において、電力系統の電力回路に流れる電流を検出して電流検出信号を出力する一次変流器と、前記一次変流器に接続され、前記一次変流器から出力される前記電流検出信号をそれぞれ小電流の二次変換信号に変換して供給する一対の二次変流器と、前記一対の二次変流器のいずれか一方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号を出力する第1増幅回路部と、前記一対の二次変流器のいずれか一方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を出力する第1微分器と、前記第1微分器の出力端に接続され、前記第1微分器から出力される二次変換信号の変化勾配を増幅して出力する第3増幅回路部と、前記一対の二次変流器の他方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号を出力する第2増幅回路部と、前記一対の二次変流器の他方の出力端に接続され、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を出力する第2微分器と、前記第2微分器の出力端に接続され、前記第2微分器から出力される二次変換信号の変化勾配を増幅して出力する第4増幅回路部と、前記第1増幅回路部の出力端に接続され、前記第1増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第1基準値とを比較し、前記第1増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値が前記第1基準値より小さくなければ第1故障検出信号を出力する第1比較器、及び前記第3増幅回路部の出力端に接続され、前記第3増幅回路部からの前記変化勾配の増幅値と所定の第2基準値とを比較し、前記第3増幅回路部からの前記変化勾配の増幅値が前記第2基準値より小さくなければ第2故障検出信号を出力する第2比較器を含む故障検出回路部と、前記第2増幅回路部の出力端に接続され、前記第2増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第3基準値とを比較し、前記第2増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値が前記第3基準値より小さくなければ第1サージ検出信号を出力する第3比較器、及び前記第4増幅回路部の出力端に接続され、前記第4増幅回路部からの前記変化勾配の増幅値と所定の第4基準値とを比較し、前記第4増幅回路部からの前記変化勾配の増幅値が前記第4基準値より小さくなければ第2サージ検出信号を出力する第4比較器を含むサージ検出回路部と、前記第1故障検出信号、前記第2故障検出信号、前記第1サージ検出信号及び前記第2サージ検出信号を受信するように前記故障検出回路部及び前記サージ検出回路部の出力端に接続され、前記第1故障検出信号、前記第2故障検出信号、前記第1サージ検出信号及び前記第2サージ検出信号のうち少なくとも1つが受信されるとトリップ制御信号を出力するトリップ決定回路部とを含む本発明による高速事故電流検出回路を提供することにより達成することができる。
【0011】
本発明の好ましい一態様によれば、前記故障検出回路部は、前記第1増幅回路部の出力端に接続され、前記第1増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第1基準値とを比較する第1比較器と、前記第1微分器から出力される二次変換信号の変化勾配と所定の第2基準値とを比較する第2比較器とを含む。
【0012】
本発明の好ましい他の態様によれば、前記サージ検出回路部は、前記第2増幅回路部の出力端に接続され、前記第2増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第3基準値とを比較する第3比較器と、前記第2微分器から出力される二次変換信号の変化勾配と所定の第4基準値とを比較する第4比較器とを含む。
【0013】
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、前記第1増幅回路部の増幅率を第1増幅率、前記第2増幅回路部の増幅率を第2増幅率、前記第3増幅回路部の増幅率を第3増幅率、前記第4増幅回路部の増幅率を第4増幅率とすると、第1増幅率>第2増幅率であり、第3増幅率>第4増幅率である。
【0014】
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、前記トリップ決定回路部は、論理和回路で構成される。
【0015】
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、前記トリップ決定回路部は、論理積回路で構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明による高速事故電流検出回路は、二次変流器が一対(2つ)で構成され、これらの二次変流器のそれぞれが、回路遮断器の定格電流を超える故障電流を検出する故障検出回路部と、サージ電流を検出するサージ検出回路部とに別々に接続されるように構成されることにより、電流の大きさが大きく異なる故障電流とサージ電流とを独立して検出することで、検出精度を向上させることができるという効果がある。
【0017】
本発明による高速事故電流検出回路は、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号を前記故障検出回路部に出力する第1増幅回路部と、前記一対の二次変流器のいずれか一方から出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を前記故障検出回路部に出力する第1微分器と、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号を前記サージ検出回路部に出力する第2増幅回路部と、前記一対の二次変流器の他方から出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を前記サージ検出回路部に出力する第2微分器とを含むことにより、前記故障検出回路部が対応する二次変流器からの故障電流検出信号である二次変換信号を増幅した信号及び当該二次変換信号の変化率を受信することができ、前記サージ検出回路部が対応する二次変流器からのサージ検出信号である二次変換信号を増幅した信号及び当該二次変換信号の変化率を受信することができるという効果がある。
【0018】
本発明による高速事故電流検出回路において、前記故障検出回路部は、前記第1増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第1基準値とを比較する第1比較器と、前記第1微分器から出力される二次変換信号の変化勾配と所定の第2基準値とを比較する第2比較器とを含むことにより、基準電流を超える故障電流が発生したか否かを判定することができ、且つ、故障電流の変化勾配が基準値を超えたか否かを判定することができるという効果がある。
【0019】
本発明による高速事故電流検出回路において、前記サージ検出回路部は、前記第2増幅回路部からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第3基準値とを比較する第3比較器と、前記第2微分器から出力される二次変換信号の変化勾配と所定の第4基準値とを比較する第4比較器とを含むことにより、基準電流を超えるサージ電流が発生したか否かを判定することができ、且つ、サージ電流の変化勾配が基準値を超えたか否かを判定することができるという効果がある。
【0020】
本発明による高速事故電流検出回路において、前記第1増幅回路部の増幅率を第1増幅率、前記第2増幅回路部の増幅率を第2増幅率、第3増幅回路部の増幅率を第3増幅率、第4増幅回路部の増幅率を第4増幅率とすると、相対的に小さな電流値を有する故障電流又は故障電流の変化率を増幅する増幅部の増幅率を、故障電流より非常に大きな電流値を有するサージ電流又はサージ電流の変化率を増幅する増幅部の増幅率より大きくする(第1増幅率>第2増幅率、第3増幅率>第4増幅率)ことにより、故障電流とサージ電流の検出信頼性を共に向上させることができるという効果がある。
【0021】
本発明による高速事故電流検出回路は、トリップ決定回路部を論理和回路で構成して、故障電流が検出された場合、故障電流の変化率が急激な場合、サージ電流が検出された場合、又はサージ電流の変化率が急激な場合にトリップ制御信号が出力されるようにすることにより、これらの場合に回路遮断又は限流動作を行い、故障電流又はサージ電流から回路遮断器又は限流器の後段に接続される回路及びその回路に接続される負荷機器を保護することができるという効果がある。
【0022】
本発明による高速事故電流検出回路は、トリップ決定回路部を論理積回路で構成して、故障電流が検出され、故障電流の変化率が急激であり、サージ電流も検出され、且つ、サージ電流の変化率も急激な場合にトリップ制御信号が出力されるようにすることにより、急激な変化勾配を示す大きな検出電流に対して回路遮断又は限流動作を行い、回路遮断器又は限流器の誤動作を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態による高速事故電流検出回路の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第2実施形態による高速事故電流検出回路の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第3実施形態による高速事故電流検出回路の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
前述した本発明の目的とそれを達成する本発明の構成及びその作用効果は、添付図面を参照した本発明の好ましい実施形態についての以下の説明によりさらに明確に理解できるであろう。
【0025】
まず、図1を参照して本発明の第1実施形態による高速事故電流検出回路の構成を説明する。
【0026】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による高速事故電流検出回路は、一次変流器10a、一対の二次変流器10b、10c、故障検出回路部20、サージ検出回路部30及びトリップ決定回路部40を含む。
【0027】
一次変流器10aは、電流検出部10に含まれる回路部であり、一次的に電力系統の電力回路PLに流れる電流を検出して電流検出信号iを出力する。
【0028】
一対の二次変流器10b、10cは、いずれか一方の出力端が故障検出回路部20に接続されて一次変流器10aから供給される電流検出信号iを小電流の二次変換信号に変換して故障検出回路部20に供給し、他方の出力端がサージ検出回路部30に接続されて一次変流器10aから供給される電流検出信号iを小電流の二次変換信号に変換してサージ検出回路部30に供給する。ここで、区分を容易にするために、故障検出回路部20に接続されるものを第1二次変流器10bといい、サージ検出回路部30に接続されるものを第2二次変流器10cという。
【0029】
故障検出回路部20は、第1二次変流器10bの出力端に接続され、第1二次変流器10bから出力される二次変換信号が示す電流値と所定の基準電流値とを比較し、前記電流値が所定の基準電流値と同じかそれより大きければ前記電力回路に故障電流が発生したと判定し、故障電流の発生が判定されると故障検出信号として論理値1の信号を出力する。ここで、所定の基準電流値は、高速事故電流検出回路に接続される回路遮断器又は限流器の定格電流値に比例する電流値であり、予め定められる。
【0030】
サージ検出回路部30は、第2二次変流器10cの出力端に接続され、第2二次変流器10cから出力される二次変換信号が示す電流値と所定の基準電流値とを比較し、前記電流値が所定の基準電流値と同じかそれより大きければ前記電力回路にサージ電流が発生したと判定し、サージ電流の発生が判定されるとサージ検出信号として論理値1の信号を出力する。ここで、所定の基準電流値は、典型的なサージ信号とみなされる信号の電流値であり、予め定められる。
【0031】
トリップ決定回路部40は、前記故障検出信号及び前記サージ検出信号を受信するように故障検出回路部20及びサージ検出回路部30の出力端に接続され、前記故障検出信号及び前記サージ検出信号のうち少なくとも一方が受信されるとトリップ制御信号を出力する。このために、トリップ決定回路部40は、論理和回路又は論理積回路で構成されてもよい。
【0032】
次に、図2を参照して本発明の第2実施形態による高速事故電流検出回路の構成を説明する。
【0033】
図2に示すように、本発明の第2実施形態による高速事故電流検出回路は、一次変流器10a、一対の二次変流器10b、10c、第1増幅回路部51、第1微分器61、第2増幅回路部52、第2微分器62、故障検出回路部20、サージ検出回路部30及びトリップ決定回路部40を含む。
【0034】
本発明の第2実施形態による高速事故電流検出回路における、前述した本発明の第1実施形態による高速事故電流検出回路の構成との相違点は、第1増幅回路部51、第1微分器61、第2増幅回路部52及び第2微分器62をさらに含むという点にある。よって、重複した説明を避けるために、第1実施形態とは異なる構成要素についてのみ説明する。
【0035】
第1増幅回路部51は、第1二次変流器10bの出力端と故障検出回路部20との間に接続され、第1二次変流器10bから出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号を故障検出回路部20に出力する。
【0036】
第1微分器61は、第1二次変流器10bの出力端と故障検出回路部20との間に接続され、第1二次変流器10bから出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を故障検出回路部20に出力する。
【0037】
第2増幅回路部52は、第2二次変流器10cの出力端とサージ検出回路部30との間に接続され、第2二次変流器10cから出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号をサージ検出回路部30に出力する。
【0038】
第2微分器62は、第2二次変流器10cの出力端とサージ検出回路部30との間に接続され、第2二次変流器10cから出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配をサージ検出回路部30に出力する。
【0039】
次に、図3を参照して本発明の第3実施形態による高速事故電流検出回路の構成を説明する。
【0040】
図3に示すように、本発明の第3実施形態による高速事故電流検出回路は、一次変流器10a、一対の二次変流器10b、10c、第1増幅回路部51、第1微分器61、第3増幅回路部53、第2増幅回路部52、第2微分器62、第4増幅回路部54、故障検出回路部20、サージ検出回路部30及びトリップ決定回路部40を含む。
【0041】
本発明の第3実施形態による高速事故電流検出回路において、前述した本発明の第2実施形態による高速事故電流検出回路との構成の相違点は、第3増幅回路部53及び第4増幅回路部54をさらに含むという点にある。よって、重複した説明を避けるために、第2実施形態とは異なる構成要素についてのみ説明する。
【0042】
第3増幅回路部53は、第1微分器61の出力端と故障検出回路部20との間に接続され、第1微分器61から出力される二次変換信号の変化勾配を増幅して出力する。
【0043】
第4増幅回路部54は、第2微分器62の出力端とサージ検出回路部30との間に接続され、第2微分器62から出力される二次変換信号の変化勾配を増幅して出力する。
【0044】
一方、故障検出回路部20は、図3に示すように、第1比較器21と第2比較器22とを含む。
【0045】
第1比較器21は、第1増幅回路部51の出力端に接続され、第1増幅回路部51からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第1基準値とを比較し、第1増幅回路部51からの二次変換増幅信号が示す電流値が前記第1基準値より小さくなければ、すなわち前記第1基準値と同じかそれより大きければ、第1故障検出信号を出力する。ここで、第1故障検出信号は、論理値1を示す信号で構成されてもよい。
【0046】
第2比較器22は、第3増幅回路部53の出力端に接続され、第3増幅回路部53からの前記変化勾配の増幅値と所定の第2基準値とを比較し、第3増幅回路部53からの前記変化勾配の増幅値が前記第2基準値より小さくなければ、すなわち前記第2基準値と同じかそれより大きければ、第2故障検出信号を出力する。ここで、第2故障検出信号は、論理値1を示す信号で構成されてもよい。
【0047】
なお、第3実施形態による高速事故電流検出回路における第1比較器21と第2比較器22とを含む故障検出回路部20の構成を、前述した第1及び第2実施形態の故障検出回路部20にも同様に適用することができるが、重複した説明は省略する。
【0048】
また、サージ検出回路部30は、図3に示すように、第3比較器31と第4比較器32とを含む。
【0049】
第3比較器31は、第2増幅回路部52の出力端に接続され、第2増幅回路部52からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第3基準値とを比較し、第2増幅回路部52からの二次変換増幅信号が示す電流値が前記第3基準値より小さくなければ、すなわち前記第3基準値と同じかそれより大きければ、第1サージ検出信号を出力する。ここで、第1サージ検出信号は、論理値1を示す信号で構成されてもよい。
【0050】
第4比較器32は、第4増幅回路部54の出力端に接続され、第4増幅回路部54からの前記変化勾配の増幅値と所定の第4基準値とを比較し、第4増幅回路部54からの前記変化勾配の増幅値が前記第4基準値より小さくなければ、すなわち前記第4基準値と同じかそれより大きければ、第2サージ検出信号を出力する。ここで、第2サージ検出信号は、論理値1を示す信号で構成されてもよい。
【0051】
なお、第3実施形態による高速事故電流検出回路における第3比較器31と第4比較器32とを含むサージ検出回路部30の構成を、前述した第1及び第2実施形態のサージ検出回路部30にも同様に適用することができるが、重複した説明は省略する。
【0052】
本発明の好ましい一態様によれば、第1増幅回路部51の増幅率を第1増幅率、第2増幅回路部52の増幅率を第2増幅率、第3増幅回路部53の増幅率を第3増幅率、第4増幅回路部54の増幅率を第4増幅率とすると、第1増幅率>第2増幅率であり、第3増幅率>第4増幅率である。
【0053】
さらに、本発明の第3実施形態による高速事故電流検出回路において、トリップ決定回路部40は、前記第1故障検出信号、前記第2故障検出信号、前記第1サージ検出信号及び前記第2サージ検出信号を受信するように故障検出回路部20及びサージ検出回路部30の出力端に接続され、前記第1故障検出信号、前記第2故障検出信号、前記第1サージ検出信号及び前記第2サージ検出信号のうち少なくとも1つが受信されるとトリップ制御信号を出力する。このために、トリップ決定回路部40は、論理和回路又は論理積回路で構成されてもよい。
【0054】
このような第3実施形態による高速事故電流検出回路におけるトリップ決定回路部40の構成と作用を、前述した第1及び第2実施形態のトリップ決定回路部40にも同様に適用することができる。
【0055】
以下、前述したように構成される本発明の好ましい実施形態による高速事故電流検出回路の動作を説明する。
【0056】
まず、図1を参照して本発明の第1実施形態による高速事故電流検出回路の動作を説明する。
【0057】
一次変流器10aは、一次的に電力系統の電力回路PLに流れる電流を検出して電流検出信号iを出力する。
【0058】
一次変流器10aから出力される電流検出信号iは、大きな値を有し、比較器、微分回路、論理回路などのデジタル回路部の処理信号のレベルに合わないので、一対の二次変流器10b、10cは、それぞれ出力端が故障検出回路部20及びサージ検出回路部30に接続され、それぞれ一次変流器10aから供給される電流検出信号iを小電流の二次変換信号に変換して故障検出回路部20及びサージ検出回路部30に供給する。
【0059】
故障検出回路部20は、一対の二次変流器10b、10cのいずれか一方、すなわち第1二次変流器10bの出力端に接続され、第1二次変流器10bから出力される二次変換信号が示す電流値と所定の基準電流値とを比較し、前記二次変換信号が示す電流値が所定の基準電流値と同じかそれより大きければ前記電力回路に故障電流が発生したと判定し、故障電流の発生が判定されると故障検出信号として論理値1の信号を出力する。
【0060】
サージ検出回路部30は、一対の二次変流器10b、10cの他方、すなわち第2二次変流器10cの出力端に接続され、第2二次変流器10cから出力される二次変換信号が示す電流値と所定の基準電流値とを比較し、前記二次変換信号が示す電流値が所定の基準電流値と同じかそれより大きければ前記電力回路にサージ電流が発生したと判定し、サージ電流の発生が判定されるとサージ検出信号として論理値1の信号を出力する。
【0061】
トリップ決定回路部40が論理和回路で構成される場合、トリップ決定回路部40は、前記故障検出信号及び前記サージ検出信号のうち少なくとも一方が論理値1の信号であればトリップ制御信号を出力する。
【0062】
トリップ決定回路部40が論理積回路で構成される場合、トリップ決定回路部40は、前記故障検出信号及び前記サージ検出信号の両方ともが論理値1の信号であればトリップ制御信号を出力する。
【0063】
このようにして出力されたトリップ制御信号が回路遮断器(図示せず)に供給されると、当該回路遮断器がそれに応答してトリップ(自動回路遮断)動作を行い、又、当該トリップ制御信号が限流器(図示せず)に供給されると、当該限流器がそれに応答して限流動作を行う。このようにして、電力系統の電力回路PLに発生した故障電流及び/又はサージ電流を遮断又は制限することにより、回路遮断器又は限流器の後段に接続される回路及びその回路に接続される負荷機器を保護する。
【0064】
次に、図2を参照して本発明の第2実施形態による高速事故電流検出回路の動作を説明する。
【0065】
一次変流器10aは、一次的に電力系統の電力回路PLに流れる電流を検出して電流検出信号iを出力する。
【0066】
次いで、一対の二次変流器10b、10cは、それぞれ一次変流器10aから供給される電流検出信号iを小電流の二次変換信号に変換し、第1二次変流器10bは、第1増幅回路部51及び第1微分器61に二次変換信号を供給し、第2二次変流器10cは、第2増幅回路部52及び第2微分器62に二次変換信号を供給する。
【0067】
すると、第1増幅回路部51は、第1二次変流器10bから出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号を故障検出回路部20に出力する。
【0068】
第1微分器61は、第1二次変流器10bから出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を故障検出回路部20に出力する。
【0069】
第2増幅回路部52は、第2二次変流器10cから出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号をサージ検出回路部30に出力する。
【0070】
第2微分器62は、第2二次変流器10cから出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配をサージ検出回路部30に出力する。
【0071】
次いで、故障検出回路部20の第1比較器21は、第1増幅回路部51からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第1基準値とを比較し、前記二次変換増幅信号が示す電流値が前記第1基準値より小さくなければ、すなわち前記第1基準値と同じかそれより大きければ、論理値1の第1故障検出信号を出力する。
【0072】
故障検出回路部20の第2比較器22は、第1微分器61からの前記変化勾配と所定の第2基準値とを比較し、第1微分器61からの前記変化勾配が前記第2基準値より小さくなければ、すなわち前記第2基準値と同じかそれより大きければ、論理値1の第2故障検出信号を出力する。
【0073】
サージ検出回路部30の第3比較器31は、第2増幅回路部52からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第3基準値とを比較し、第2増幅回路部52からの二次変換増幅信号が示す電流値が前記第3基準値より小さくなければ、すなわち前記第3基準値と同じかそれより大きければ、論理値1の第1サージ検出信号を出力する。
【0074】
サージ検出回路部30の第4比較器32は、第2微分器62からの前記変化勾配と所定の第4基準値とを比較し、第2微分器62からの前記変化勾配が前記第4基準値より小さくなければ、すなわち前記第4基準値と同じかそれより大きければ、論理値1の第2サージ検出信号を出力する。
【0075】
すると、トリップ決定回路部40が論理和回路で構成される場合、トリップ決定回路部40は、前記第1故障検出信号、前記第2故障検出信号、前記第1サージ検出信号及び前記第2サージ検出信号のうち少なくとも1つが論理値1の信号であればトリップ制御信号を出力する。
【0076】
それに対して、トリップ決定回路部40が論理積回路で構成される場合、トリップ決定回路部40は、前記第1故障検出信号、前記第2故障検出信号、前記第1サージ検出信号及び前記第2サージ検出信号の全てが論理値1の信号であればトリップ制御信号を出力する。
【0077】
このようにして出力されたトリップ制御信号は、前述した第1実施形態と同様に、回路遮断器(図示せず)又は限流器(図示せず)に供給されてトリップ又は限流動作に活用される。
【0078】
次に、図3を参照して本発明の第3実施形態による高速事故電流検出回路の動作を説明する。
【0079】
一次変流器10aは、一次的に電力系統の電力回路PLに流れる電流を検出して電流検出信号iを出力する。
【0080】
次いで、一対の二次変流器10b、10cは、それぞれ一次変流器10aから供給される電流検出信号iを小電流の二次変換信号に変換し、第1二次変流器10bは、第1増幅回路部51及び第1微分器61に二次変換信号を供給し、第2二次変流器10cは、第2増幅回路部52及び第2微分器62に二次変換信号を供給する。
【0081】
すると、第1増幅回路部51は、第1二次変流器10bから出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号を故障検出回路部20に出力する。
【0082】
第1微分器61は、第1二次変流器10bから出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を第3増幅回路部53に出力する。
【0083】
第3増幅回路部53は、第1微分器61からの変化勾配を示す信号を増幅して故障検出回路部20に出力する。
【0084】
第2増幅回路部52は、第2二次変流器10cから出力される二次変換信号を増幅して二次変換増幅信号をサージ検出回路部30に出力する。
【0085】
第2微分器62は、第2二次変流器10cから出力される二次変換信号を微分して当該二次変換信号の変化勾配を第4増幅回路部54に出力する。
【0086】
第4増幅回路部54は、第2微分器62からの変化勾配を示す信号を増幅してサージ検出回路部30に出力する。
【0087】
次いで、故障検出回路部20の第1比較器21は、第1増幅回路部51からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第1基準値とを比較し、前記二次変換増幅信号が示す電流値が前記第1基準値より小さくなければ、すなわち前記第1基準値と同じかそれより大きければ、論理値1の第1故障検出信号を出力する。
【0088】
故障検出回路部20の第2比較器22は、第3増幅回路部53からの前記変化勾配の増幅値と所定の第2基準値とを比較し、第3増幅回路部53からの前記変化勾配の増幅値が前記第2基準値より小さくなければ、すなわち前記第2基準値と同じかそれより大きければ、論理値1の第2故障検出信号を出力する。
【0089】
サージ検出回路部30の第3比較器31は、第2増幅回路部52からの二次変換増幅信号が示す電流値と所定の第3基準値とを比較し、第2増幅回路部52からの二次変換増幅信号が示す電流値が前記第3基準値より小さくなければ、すなわち前記第3基準値と同じかそれより大きければ、論理値1の第1サージ検出信号を出力する。
【0090】
サージ検出回路部30の第4比較器32は、第4増幅回路部54からの前記変化勾配の増幅値と所定の第4基準値とを比較し、第4増幅回路部54からの前記変化勾配の増幅値が前記第4基準値より小さくなければ、すなわち前記第4基準値と同じかそれより大きければ、論理値1の第2サージ検出信号を出力する。
【0091】
すると、トリップ決定回路部40が論理和回路で構成される場合、トリップ決定回路部40は、前記第1故障検出信号、前記第2故障検出信号、前記第1サージ検出信号及び前記第2サージ検出信号のうち少なくとも1つが論理値1の信号であればトリップ制御信号を出力する。
【0092】
これは、電力系統の電流として現在の回路遮断器の定格電流より小さくない故障電流が検出された場合、検出電流の変化勾配が急激に増加した場合、検出電流がサージ電流とみなされる基準値より小さくない場合、又は検出電流の変化勾配がサージ電流の典型的な基準変化率より小さくない場合の全てにおいて、本発明による高速事故電流検出回路がトリップ制御信号を出力して、回路遮断器により回路を遮断したり限流器により電流を制限するように動作することを意味する。
【0093】
それに対して、トリップ決定回路部40が論理積回路で構成される場合、トリップ決定回路部40は、前記第1故障検出信号、前記第2故障検出信号、前記第1サージ検出信号及び前記第2サージ検出信号の全てが論理値1の信号であればトリップ制御信号を出力する。
【0094】
これは、電力系統の電流として現在の回路遮断器の定格電流より小さくない故障電流が検出された場合、検出電流の変化勾配が急激に増加した場合、検出電流がサージ電流とみなされる基準値より小さくない場合、及び検出電流の変化勾配がサージ電流の典型的な基準変化率より小さくない場合に同時に該当するときに、本発明による高速事故電流検出回路がトリップ制御信号を出力して、回路遮断器により回路を遮断したり限流器により電流を制限するように動作することを意味する。
【符号の説明】
【0095】
10a 一次変流器
10b 第1二次変流器
10c 第2二次変流器
20 故障検出回路部
21 第1比較器
22 第2比較器
30 サージ検出回路部
31 第3比較器
32 第4比較器
40 トリップ決定回路部
51 第1増幅回路部
52 第2増幅回路部
53 第3増幅回路部
54 第4増幅回路部
61 第1微分器
62 第2微分器
図1
図2
図3