(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077608
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】PLCログデータを利用した異常発生予測システム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20170130BHJP
G05B 19/05 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
G05B23/02 R
G05B19/05 D
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-154999(P2015-154999)
(22)【出願日】2015年8月5日
(65)【公開番号】特開2016-62598(P2016-62598A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2015年8月5日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0123485
(32)【優先日】2014年9月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】キム スン チョン
【審査官】
稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】
特許第4557007(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PLCデータログモジュールと連結される下位装置から転送されるデータを受信し、受信したデータが異常発生関連データであると判断する場合、前記異常発生関連データをイベント格納部に格納する制御部と、
前記異常発生関連データを分析して、異常分析結果を生成する分析部と、
前記異常分析結果を格納する分析結果格納部と、で構成されて、
前記制御部は、前記下位装置から転送されるデータと前記異常分析結果の基盤となるデータとを比較して、前記下位装置から転送されるデータが前記異常分析結果の基盤となるデータと類似すると判断する場合、異常発生予測信号を生成することを特徴とする、PLCログデータを利用した異常発生予測システム。
【請求項2】
前記イベント格納部は、前記異常発生関連データと共に、時間データを格納する、請求項1に記載のPLCログデータを利用した異常発生予測システム。
【請求項3】
前記制御部から前記異常発生予測信号を受信して、異常発生が予測されたことを通知する通知部をさらに含む、請求項2に記載のPLCログデータを利用した異常発生予測システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記異常発生関連データと共に、時間データを転送する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のPLCログデータを利用した異常発生予測システム。
【請求項5】
前記分析部は、前記異常発生関連データの時間変化に基づくパターンを分析して、前記異常分析結果を生成する、 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のPLCログデータを利用した異常発生予測システム。
【請求項6】
前記分析部は、パターンを分析した結果、パターンが一定範囲内で変動推移が線形性を持つ場合、分析されるデータの平均と傾きを計算して、前記分析結果格納部に格納する、請求項5に記載のPLCログデータを利用した異常発生予測システム。
【請求項7】
前記分析部は、パターンを分析した結果、パターンが収束性質を持つ場合、収束されるデータ値を前記分析結果格納部に格納する、請求項5または6に記載のPLCログデータを利用した異常発生予測システム。
【請求項8】
前記分析部は、パターンを分析した結果、パターンが循環性質を持つ場合、データが一定に維持される時間を計算して、前記分析結果格納部に格納する、請求項5乃至7のいずれか一項に記載のPLCログデータを利用した異常発生予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常発生予測システムに関し、詳細にはPLCデータログモジュールで収集したデータのうち異常発生時のデータを分析した後、これと似た条件のデータが発生する場合、異常兆候発生を予報することができるように具現されたPLCログデータを利用した異常発生予測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来には機械や装置を単独で制御して工場システムを運営したが、現代産業がますます複雑になり多様化するにつれシステムの変化が要求された。即ち、システムが複雑になり重要設備の安全な動作を成すためには、これを補完できる装置が必要となり現場ラインを直接制御するPLC(Programmable Logic Controller)システムが開発されるに至った。
【0003】
主としてPLCは、無人で制御されるので、異常動作が発見された時これに対する事後措置を取るために、PLCは一連の動作をモニタリングしたり過去の履歴などのログデータを格納することによって、異常動作の原因を確認できるように具現される。
【0004】
従来、PLCのデータログモジュールは、ユーザが設定した条件を満たす時、関連デバイス値を時間と共に格納する。
【0005】
しかしながら、長時間の間データを格納する場合、データ量が多くなりこれを分析するための時間が多く必要とされる。
【0006】
また、ユーザが、データが格納されたメモリーカード内の情報を確認したり分析する前までデータログモジュールで格納されたデータは、何の役割
も果たせない。
【0007】
即ち、従来PLCのデータログモジュールは、ユーザが設定した条件を満たす時、関連デバイス値を格納する機能だけを行い、格納されたデータを分析してデータ傾向、変動、関連性に対する値は提供しなかった。
【0008】
そのため、既存データログモジュールは、異常兆候発生時、ユーザに異常兆候発生を提供する機能がなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものとして、PLCデータログモジュールで収集したデータのうち異常発生時のデータを分析した後、これと似た条件のデータが発生する場合、異常兆候発生を予報することができるように具現されたPLCログデータを利用した異常発生予測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記のような目的を達成するための本発明の実施形態に係るPLCログデータを利用した異常発生予測システムは、PLCデータログモジュールと連結される下位装置から転送されるデータを判断して、異常発生関連データである場合、イベント格納部に格納する制御部と、前記異常発生関連データを分析して、異常分析結果を生成する分析部と、前記異常分析結果を格納する分析結果格納部とで構成され、
【0011】
前記制御部は、前記下位装置から転送されるデータを前記分析結果格納部に格納された異常分析結果と比較して、転送されるデータが前記異常分析結果と類似したものと判断する場合、異常発生予測信号を生成することを特徴とする。
【0012】
前記イベント格納部は、前記異常発生関連データと共に時間データを格納してもよい。
【0013】
本発明のシステムは、前記制御部から前記異常発生予測信号を受信し、異常発生が予測されたことを知らせる通知部を含んでもよい。
【0014】
前記制御部は、前記異常発生関連データと共に時間データを転送してもよい。
【0015】
前記分析部は、前記異常発生関連データの時間変化に基づくパターンを分析して、前記異常分析結果を生成する。
【0016】
この時、前記分析部は、パターンを分析した結果、パターンが一定範囲内で変動推移が線形性を持つ場合、分析されるデータの平均と傾きを計算して、前記分析結果格納部に格納する。
【0017】
また、前記分析部は、パターンを分析した結果、パターンが収束性質を持つ場合、収束されるデータ値を前記分析結果格納部に格納する。
【0018】
また、前記分析部は、パターンを分析した結果、パターンが循環性質を持つ場合、データが一定に維持される時間を計算して、前記分析結果格納部に格納する。
【発明の効果】
【0019】
このような本発明の実施形態によれば、PLCのデータログモジュールで収集されたデータのうち異常発生時のデータを分析して、傾向、変動及び関連規則を把握した後、これと類似する条件でデータが発生する場合、異常兆候発生を予報することによってユーザが速かに対策を講じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るPLCログデータを利用した異常発生予測システムの構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る異常発生予測システムの分析部によって分析されるパターンの例を図示したグラフである。
【
図3】本発明の実施形態に係るPLCログデータを利用した異常発生予測方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付された図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。この過程で図面に図示された線の厚さや構成要素の大きさなどは、説明の明瞭性と便宜上誇張されるように図示されることがある。また、後述される用語は、本発明での機能を考慮して定義された用語として、これは、ユーザ、運用者の意図または慣例により変わることがある。従って、このような用語に対する定義は、本明細書全般にわたった内容に基づいてしなければならない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るPLCログデータを利用した異常発生予測システムの構成図である。
【0023】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係るPLCログデータを利用した異常発生予測システム(以下「異常発生予測システム」とする)100は、制御部110、メモリー120、イベント格納部130、分析部140、分析結果格納部150及び通知部160で構成されてもよい。
【0024】
この時、前記異常発生予測システム100は、PLCデータログモジュールに構成されてもよく、前記異常発生予測システム100の一部構成は、PLCデータログモジュールに構成されて、他の一部構成は、PLCデータログモジュールとは別に構成されてもよい。
【0025】
前記制御部110は、PLCデータログモジュールと連結される下位装置、例えばPLC基本モジュールから転送されるデータを受信してメモリー120に格納する。
【0026】
この時、前記PLC基本モジュールは、CPUモジュールであってもよく、前記CPUモジュールは、PLCデータログモジュールに設定されたパラメーターを認識して、CPUモジュールに格納された該当デバイス関連データを前記制御部110に転送する。
【0027】
この時、前記制御部110は、受信されたデータを判断して、異常発生関連データである場合、該当異常発生関連データをイベント格納部130に格納する。
【0028】
また、前記制御部110は、受信されたデータを前記分析結果格納部150に格納された異常分析結果と比較して、受信されたデータが、前記異常分析結果と類似したものであると判断する場合、異常発生予測信号を生成する。
【0029】
即ち、後述するように、前記異常分析結果は、前記分析部140が異常発生関連データを分析して生成したものであるため、前記異常分析結果と類似するデータが受信される場合、受信されたデータは異常発生関連データである可能性が高い。
【0030】
この時、前記
図2に図示された通り、時間に基づくデータを分析して異常分析結果を生成する。
【0031】
前記イベント格納部130は、前記制御部110から転送される異常発生関連データを格納して、異常発生関連データ別に区分して格納することが好ましい。
【0032】
また、前記イベント格納部130は、前記異常発生関連データと共に時間データを格納する。
【0033】
この時、前記時間データは、前記異常発生関連データと共に前記制御部110から転送されてもよく、前記イベント格納部130が、前記異常発生関連データを格納しながら、時間データを共に格納してもよい。
【0034】
前記分析部140は、前記イベント格納部130に格納された異常発生関連データを分析して、異常分析結果を生成して、前記分析部140により生成された異常分析結果は、分析結果格納部150に格納されてもよい。
【0035】
一方、前記分析部140は、時間変化に基づくデータのパターンを分析して、異常分析結果を生成する。
【0036】
前記通知部160は、前記制御部110から異常発生予測信号を受信して、異常発生が予測されたことを知らせる手段として、例えば、モニターのようなディスプレイ装置、アラームを生成するアラーム装置などを含んでもよく、通知のための装置は多様に具現してもよい。
【0037】
図2は、本発明の実施形態に係る異常発生予測システムの分析部によって分析されるパターンの例を図示したグラフである。
【0038】
図2(a)は、データ変化が大きくなく、一定の流れを持つ場合のグラフで、
図2(b)は、時間に基づくデータ変化は不規則であるが、特定時点での一定のデータ値に収束する場合のグラフであり、
図2(c)は、データが一定時間ごとに繰り返される場合のグラフである。
【0039】
従って、前記分析部140は、前記イベント格納部130に格納された異常発生関連データを分析して、前記
図2に図示された通り時間に基づくデータを分析して、異常分析結果を生成する。
【0040】
この時、前記分析部140は、前記時間変化に基づくデータのパターンを分析した結果、
図2(a)のようにデータのパターンが一定範囲内で変動推移が線形性を持つ場合、分析されるデータの平均と傾きを計算して、前記異常分析結果と共に、分析結果格納部150に格納する。
【0041】
また、前記分析部140は、前記時間変化に基づくデータのパターンを分析した結果、
図2(b)のようにデータのパターンが収束性質を持つ場合、収束されるデータ値を前記異常分析結果と共に分析結果格納部150に格納する。
【0042】
また、前記分析部140は、前記時間変換に基づくデータのパターンを分析した結果、
図2(c)のようにデータのパターンが循環性質を持つ場合、前記分析部は、データが一定に維持される時間を計算して、前記異常分析結果と共に、分析結果格納部150に格納する。
【0043】
一方、前述したように、前記制御部110は、受信されるデータを前記分析部140により生成された異常分析結果と比較して、受信されるデータが前記異常分析結果と類似すると判断する場合、異常発生予測信号を生成して、通知部160に転送する。
【0044】
また、前記制御部110は、前記異常分析結果と類似すると判断されたデータの特性を前記異常発生予測信号と共に、通知部160に転送して、通知部160が、異常発生が予測されたことを通知すると共に、データの特性も共に通知するようにしてもよい。
【0045】
ここで、前記異常分析結果と類似すると判断されたデータの特性は、異常分析結果と共に、分析結果格納部150に格納された分析対象データの平均と傾き、分析対象データが収束されるデータ値、分析対象データが一定に維持される時間であってもよい。
【0046】
図3は、本発明の実施形態に係るPLCログデータを利用した異常発生予測方法を説明するためのフローチャートである。
【0047】
図3を参照すると、制御部110が、下位装置からデータを受信して、異常分析結果と比較して、受信されたデータと異常分析結果が類似するか否かを判断するステップ(S110)が成される。
【0048】
この時、前記制御部110は、分析結果格納部150に格納された異常分析結果の提供を受けて、下位装置から受信されたデータを比較することができる。
【0049】
前記ステップ(S110)で、受信されたデータと前記異常分析結果が類似していると判断されると(S110−Yes)、通知部を利用して外部に、異常発生が予測されたことを通知するステップ(S120)が成される。
【0050】
この時、受信されたデータと前記異常分析結果が類似すると判断されると(S110−Yes)、前記制御部110は、前記通知部160に異常発生予測信号を転送し、前記通知部160は、前記異常発生予測信号を受信して、異常発生が予測されたことを通知する。
【0051】
また、前記制御部110は、前記異常分析結果と類似すると判断されたデータの特性を前記異常発生予測信号と共に転送してもよい。
【0052】
もし、ステップ(S110)で、受信されたデータと前記異常分析結果が類似していないと判断されると(S110−No)、前記制御部110は、受信されたデータが異常発生関連データであるか否かを判断する(S130)。
【0053】
この時、前記受信されたデータが異常発生関連データではないと判断されると(S130−No)、前記受信されたデータと異常分析結果が、類似しているか否かを判断するステップ(S110)に進行され、新しく受信されるデータと異常分析結果を比較する。
【0054】
もし、前記受信されたデータが異常発生関連データであると判断されると(S130−Yes)、分析部140が前記異常発生関連データを分析して異常分析結果を生成する(S140)。
【0055】
一方、前記受信されたデータが異常発生関連データであると判断されると(S130−Yes)、前記制御部110が、前記異常発生関連データを前記イベント格納部130に転送して前記イベント格納部130に格納し、前記分析部140が前記イベント格納部130に格納された前記異常発生関連データの提供を受けて分析して、異常分析結果を生成してもよい。
【0056】
前記分析部140は、時間変化に基づくデータのパターンを分析して、異常分析結果を生成して分析結果格納部150に格納する。
【0057】
この時、前記時間変化に基づくデータのパターンを分析した結果、データのパターンが一定範囲内で変動推移が線形性を持つ場合、前記分析部140は、分析されるデータの平均と傾きを計算して、前記異常分析結果と共に、分析結果格納部150に格納する。
【0058】
また、前記時間変化に基づくデータのパターンを分析した結果、データのパターンが収束性質を持つ場合、前記分析部140は、収束されるデータ値を前記異常分析結果と共に、分析結果格納部150に格納する。
【0059】
また、前記時間変換に基づくデータのパターンを分析した結果、データのパターンが循環性質を持つ場合、前記分析部140は、データが一定に維持される時間を計算して、前記異常分析結果と共に、分析結果格納部150に格納する。
【0060】
一方、前記制御部110は、前記異常発生関連データと共に、時間データを前記イベント格納部130に転送してもよい。
【0061】
一方、本発明に係るPLCログデータを利用した異常発生予測システム及び予測方法を実施形態により説明したが、本発明の範囲は、特定実施形態に限定されるのではなく、本発明と関連して通常の知識を有する者に自明な範囲内で様々な代案、修正及び変更して実施することができる。
【0062】
従って、本発明に記載された実施形態及び添付された図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態及び添付された図面によって、本発明の技術思想の範囲が限定されるのではない。本発明の保護範囲は、請求範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈されなければならないであろう。
【符号の説明】
【0063】
100 異常発生予測システム
110 制御部
120
メモリー
130 イベント格納部
140 分析部
150 分析結果格納部
160 通知部