(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077639
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】トランスデューサアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0408 20060101AFI20170130BHJP
A61B 5/0478 20060101ALI20170130BHJP
A61B 5/0492 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
A61B5/04 300J
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-501801(P2015-501801)
(86)(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公表番号】特表2015-510823(P2015-510823A)
(43)【公表日】2015年4月13日
(86)【国際出願番号】US2013032015
(87)【国際公開番号】WO2013142316
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年3月14日
(31)【優先権主張番号】61/652,073
(32)【優先日】2012年5月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/612,867
(32)【優先日】2012年3月19日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514099662
【氏名又は名称】コグニオニクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】COGNIONICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】チー、ユー マイク
(72)【発明者】
【氏名】エルコニン、マイケル ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】カース、トレバー オースティン
【審査官】
山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−019962(JP,A)
【文献】
米国特許第04967038(US,A)
【文献】
特開2005−152415(JP,A)
【文献】
米国特許第05038782(US,A)
【文献】
特開2003−260034(JP,A)
【文献】
米国特許第6201982(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04 − 5/0492
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスデューサアセンブリであって、
支持端子、及び
前記支持端子に取り付けられるとともに該支持端子から延びる少なくとも1つの独立したプローブ
を備えており、
前記少なくとも1つの独立したプローブは、乾式電極を支持する少なくとも1つの脚部構造を含み、乾式電極は、該乾式電極が前記脚部構造によって選択される対象エリアに適用されると、該選択される対象エリアの特定の性質の状態を感知又は刺激するように前記脚部構造の遠位端に配置され、
前記少なくとも1つの脚部構造は、当該トランスデューサアセンブリが、圧力下で前記選択される対象エリアに適用されるかどうかに関わらず、前記選択される対象エリアに適用されると、該対象エリアに対して垂直ではない角度で配置されるように、前記支持端子に対して配置され、
前記少なくとも1つの独立したプローブは、可撓性であるとともに屈曲可能なプラスチック材料を含んでいる、トランスデューサアセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの脚部構造は、前記乾式電極が圧力下で前記選択される対象エリアに適用されると撓み、それによって前記乾式電極を前記対象エリア上で摺動させるようになっている、請求項1に記載のトランスデューサアセンブリ。
【請求項3】
複数の前記プローブは前記支持端子から延びるように取り付けられている、請求項1又は2に記載のトランスデューサアセンブリ。
【請求項4】
個々の前記プローブは複数の前記脚部構造を含んでいる、請求項3に記載のトランスデューサアセンブリ。
【請求項5】
個々の前記プローブは上側脚部構造及び下側脚部構造を含んでおり、
1つの前記プローブの前記下側脚部構造は、隣接する前記プローブの前記上側脚部構造の下で交差するように配置され、前記脚部構造がそれぞれ撓むときの当該トランスデューサアセンブリの径方向の拡張を最小限に抑える、請求項4に記載のトランスデューサアセンブリ。
【請求項6】
個々の前記プローブは、前記支持端子に対して垂直ではない方向に該支持端子から外方に延びるループ形状の脚部構造を含んでいる、請求項3に記載のトランスデューサアセンブリ。
【請求項7】
個々の前記プローブは上側脚部構造及び下側脚部構造を含んでおり、
個々の前記脚部構造は、乾式電極を支持する足部及び可撓性ジョイントを含んでおり、それによって、それぞれの前記乾式電極が対象エリアと接触して圧力が前記支持端子に印加されると、前記上側脚部構造及び前記下側脚部構造はそれらのそれぞれのジョイントにおいて撓み、前記足部によって支持される乾式電極を前記対象エリア上で摺動させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトランスデューサアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、トランスデューサから外部装置への通信を可能にするセンサアセンブリのようなトランスデューサアセンブリに関し、特に、対象エリアに感知トランスデューサを適用することに関する。本明細書において用いられる場合、「対象エリア」という用語は、頭皮、胸又はヒトの身体の任意の他の領域を意味する。トランスデューサによって感知される生体電位等の、選択される対象エリアの特定の性質の状態が、トランスデューサアセンブリによって外部装置に通信される。
【背景技術】
【0002】
感知トランスデューサが電極であるEEG(脳波計)の用途の場合、生体電位の感知を可能にするように対象エリアに電極を適用するためにセンサアセンブリが用いられる。幾つかの対象エリアの場合、身体に付着するいわゆる湿式電極を含むセンサアセンブリが好ましい。従来の湿式電極センサアセンブリは、Ag/AgClディスク(又は何らかの他の導電材料のディスク)を含む。対象エリアとAg/AgClディスクとの間のいずれかの毛髪を通して電気的接続を確立するには、湿式導電ゲルが用いられる。対象エリアの表面の電位は、ゲルを通じてAg/AgClディスクに、及び電子増幅器に結合される。標準的な湿式電極センサアセンブリは、対象エリアと記録計器との間に確実で低インピーダンスの電気的接続を提供し、それによって質の高い信号感知を確実にする。しかしながら、電解ゲルの使用は、皮膚を整える必要性と組み合わせて、多くの場合に、ユーザにとってセットするのに時間がかかり、被検体にとっては皮膚に刺激があるとともに不都合である。代替的に、毛髪を通して押し付けられて頭皮に直接接触するとともに導電ゲル又は頭皮を整えることを必要としないように設計されている乾式電極が、湿式電極に代わるものとして研究されている。
【0003】
実際に、乾式電極には使い勝手に関して多くの問題がある。地肌(例えば前額部)において信号を取得することは比較的簡単であるが、たいていのEEGの設定は、毛髪によって覆われている頭部のエリアにおいても電極を必要とする。毛髪のパッチは、厚さに応じて、確実に入り込むのが多くの場合に難しく、センサが皮膚に物理的に到達するのを妨げる。毛髪の存在は、被検体が最小限の補助又は調整で容易かつ迅速に行うことができる乾式のEEGシステムを構築することを困難にしている。
【0004】
既知の従来技術の乾式EEG電極は通常、髪の毛を通して頭皮に押し当てられるように設計されている真っ直ぐで硬いフィンガを使用する。フィンガ電極は多くの異なるタイプの毛髪を通して頭皮に到達する上で有効であり得るが、幾つかの欠点を有する。フィンガの直径が毛髪の間に容易に入り込むほど十分に小さければ、尖った先端が頭皮に接触する高い応力の集中に起因して痛みを伴う可能性がある。頭部に対して不快さを生じないより大きい直径のフィンガは、多くの場合に、手で調整することなく毛髪の間に入り込むことができない。真っ直ぐなフィンガ電極はまた、硬質材料から作られる場合、衝撃条件下で負傷の危険を伴う。従来技術の乾式電極の例が、特許文献1及び特許文献2、並びに、g.tec medical engineeringのウェブサイトに「g.SAHARA ACTIVE DRY EEG ELECTRODE SYSTEM」(非特許文献1)という見出しで記載されている。
【0005】
湿式電極及び乾式電極はともに、電極を被検体の頭部に物理的に固定するために何らかの圧力印加機構を必要とする。湿式電極の場合、保持機構は接着剤であるものとすることができ、電極は頭皮に糊付けされる。乾式電極の場合、保持機構は、接着剤を用いない、弾性キャップ及び機械的なヘッドギア装置を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,967,038号
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0030298号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】g.tec medical engineering「g.SAHARA ACTIVE DRY EEG ELECTRODE SYSTEM」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、トランスデューサアセンブリであって、支持端子、及び、支持端子に取り付けられるとともに支持端子から延びる少なくとも1つのプローブを備え、少なくとも1つのプローブは、トランスデューサを支持する少なくとも1つの脚部構造を含み、トランスデューサは、トランスデューサが脚部構造によって選択される対象エリアに適用されると、選択される対象エリアの特定の性質の状態を感知又は刺激するように脚部構造の遠位端に配置され、少なくとも1つの脚部構造は、トランスデューサアセンブリが選択される対象エリアに適用されると、対象エリアに対して垂直ではない角度で配置されるように、支持端子に対して配置される、トランスデューサアセンブリを提供する。
【0010】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの脚部構造は、トランスデューサが圧力下で選択される対象エリアに適用されると撓み、それによってトランスデューサを対象エリア上で摺動させるようになっている。
【0011】
本発明のトランスデューサアセンブリの撓み・摺動特徴は、示される例示的な実施形態の説明に続いて以下で説明する。
本発明のトランスデューサアセンブリは、トランスデューサが、快適かつ安全であるままで、対象エリアを覆う毛髪のパッチを通して入り込むとともに摺動することを可能にする。不快であること及び損傷のリスクは、いずれの印加される圧力によっても、脚部によって支持されるトランスデューサを、身体内にではなく身体の表面上で摺動させるため、最小限に抑えられる。摺動作用は、毛髪を分けることも助け、トランスデューサを毛髪の下で皮膚の上に直接的に位置決めする。高い圧力又は衝撃下では、可撓性の脚部は、電極アセンブリ全体とともに平坦になるまで圧潰するように構成することができ、このことによって、損傷の可能性が更に低下する。
【0012】
好ましくは、機械的に安定させるように2つ以上のプローブが支持端子に取り付けられる。
本発明のトランスデューサアセンブリとともに用いることができるトランスデューサとしては、限定はされないが、電気的特性、温度及び光学特性を感知するトランスデューサ、並びに、経頭蓋刺激のための電流を送達するのに用いられるトランスデューサが挙げられる。
【0013】
幾つかの実施形態では、本発明による複数のトランスデューサアセンブリは、キャップ、ストラップ又はハーネスがトランスデューサアセンブリを複数の対象エリアにわたって位置決めするように配置されるときに、それらのそれぞれのトランスデューサを複数の対象エリアに適用するように、キャップ、ストラップ又はハーネスと組み合わせられる。
【0014】
本発明の付加的な特徴は、好ましい実施形態の詳細な説明を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明によるトランスデューサアセンブリの1つの実施形態の等角図である。
【
図2】
図1に示されているトランスデューサアセンブリの上面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示されているトランスデューサアセンブリに含まれる一対のプローブの上面図である。
【
図4】
図1に示されているトランスデューサアセンブリにおける異なるプローブの上側脚部構造及び下側脚部構造の交差配置を示す図である。
【
図5】トランスデューサアセンブリを対象エリアの表面に対して圧縮するように不十分な圧力がトランスデューサアセンブリに印加されているときの、
図1に示されているトランスデューサアセンブリの脚部構造の撓みを示す図である。
【
図6】トランスデューサアセンブリを対象エリアの表面に対して圧縮するように十分な圧力がトランスデューサアセンブリに印加されているときの、
図1に示されているトランスデューサアセンブリの脚部構造の折り曲げを示す図である。
【
図7】本発明によるトランスデューサアセンブリの別の実施形態の等角図である。
【
図8】
図7に示されているトランスデューサアセンブリに含まれるプローブの側面図である。
【
図9】対象エリアの表面に対してトランスデューサアセンブリに高い圧力が印加されているときの、
図7に示されているトランスデューサアセンブリの脚部構造の折り曲げを示す図である。
【
図10】本発明によるトランスデューサアセンブリの更なる実施形態の等角図である。
【
図11】
図10に示されているトランスデューサアセンブリに含まれるプローブの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び
図2を参照すると、本発明によるトランスデューサアセンブリ10の1つの例示的な実施形態は、支持端子12、並びに、支持端子12に取り付けられているとともに支持端子12から延びる複数のプローブ14a、14b、14cを含む。支持端子12は、プローブ14a、14b、14cを三角形の形態で接続する。支持端子12はまた、外部信号コネクタの取り付け地点として働く。支持端子12は
図1には三角形として示されているが、支持端子12は任意の形状であってもよい。この他の実施形態の形態では、6つよりも多いか又は少ないプローブがあってもよい。
【0017】
図3を参照すると、個々のプローブ14が、下側脚部構造18、上側脚部構造20、及び分岐部22を含み、プローブ14は分岐部22において支持端子12に接続される。下側脚部構造18は、トランスデューサ25を支持する足部24及び可撓性ジョイント26を含む。上側脚部構造20は、トランスデューサ29を支持する足部28及び可撓性ジョイント30を含む。それぞれのトランスデューサ25、29が対象エリアと接触して圧力が支持端子12に印加されると、下側脚部構造18及び上側脚部構造20は、それらのそれぞれのジョイント26、30において撓み、足部によって支持されるトランスデューサ25、29を対象エリア上で摺動させる。
【0018】
下側脚部構造18及び上側脚部構造20はともに同様の構成部材を含むが、
図1及び
図4に示されているように、異なる形状を有し、異なる向きに配置され、各脚部構造18、20が撓むときのトランスデューサアセンブリ10の径方向の拡張を最小限に抑える。
【0019】
更に、隣接するプローブ14bの上側脚部構造20bに対する1つのプローブ14aの下側脚部構造18aの配置を示す
図4を参照すると、1つのプローブ14aの下側脚部構造18aは、隣接するプローブ14bの上側脚部構造20bの下に交差するように配置されている。そのような交差は、上側脚部構造20のジョイント30bのこぶのある形状によって対応される。この実施形態では、各プローブ14a〜cの下側脚部構造18は、隣接するプローブ14a〜cの上側脚部構造20の下に嵌まり、交差する隣接する脚部構造18、20は、支持端子12の周囲に対して幾分接線方向の向きになる。この配置は、各下側脚部構造18が撓むときに上側脚部構造20の下に折り曲げられることを可能にし、それによって、トランスデューサアセンブリ10の全体的な面積を最小限に抑える。全体的な面積を最小限に抑えることは、複数のトランスデューサアセンブリ10を近接して配置しなければならない、トランスデューサアセンブリ10の高密度配列に特に有利である。
【0020】
脚部構造18、20の撓み及び折り曲げをより良く説明するために、
図5及び
図6は、それぞれ圧縮されていない状態及び圧縮された状態にあるセンサアセンブリ10を示している。センサアセンブリ10が平坦になると、脚部構造18、20は撓み、下側脚部構造18は上側脚部構造20の下に嵌まる。撓む作用によってトランスデューサ25、29が対象エリア上で摺動する。対象エリアに毛髪がある場合、皮膚又は頭皮とのより良好な直接的な接触のために、摺動作用が、トランスデューサ25、29を髪の毛の下に位置決めすることを助ける。プローブ14a〜cの全ての内部で脚部構造18、20が平坦であるため、本発明は、真っ直ぐなフィンガを有する従来技術の乾式電極アセンブリとは対照的に、被検体に対する損傷のリスクを低減する。
【0021】
図7を参照すると、本発明によるトランスデューサアセンブリ40の別の例示的な実施形態は、支持端子42、並びに、支持端子42に取り付けられるとともに支持端子42から延びる6つのプローブ44a、44b、44c、44d、44e、44fを含む。支持端子42は、6つのプローブ44a、44b、44c、44d、44e、44fを支持する。この他の実施形態の他の形態では、6つよりも多いか又は少ないプローブであってもよい。支持端子42はまた、外部信号コネクタの取り付け地点として働く。支持端子42は
図7には円形として示されているが、支持端子42は任意の形状であってもよい。
【0022】
図8を参照すると、個々のプローブ44は1つの脚部構造48しか含まない。脚部構造48は、プローブ44が支持端子42に接続される分岐部52、可撓性ジョイント54、及びトランスデューサ57を支持する足部56を含む。トランスデューサ57が対象エリアと接触して圧力が支持端子42に印加されると、脚部構造48はジョイント54において外方に撓み、足部によって支持されるトランスデューサ55を対象エリア上で摺動させる。対象エリアに毛髪がある場合、皮膚又は頭皮とのより良好な直接的な接触のために、摺動作用は、トランスデューサ57を髪の毛の下に位置決めすることを助ける。
図9に示されているように、十分な圧力が支持端子42に印加されているときにプローブ44の全ての内部で全ての脚部構造48が平坦であるため、本発明は、真っ直ぐなフィンガを有する従来技術の乾式電極アセンブリとは対照的に、被検体に対する損傷のリスクを低減する。
【0023】
図10を参照すると、本発明によるトランスデューサアセンブリ60の更なる例示的な実施形態は、支持端子62、並びに、支持端子62によって支持されるとともに、支持端子62に対して垂直ではない方向に支持端子62から外方に延びる5つのプローブ64a、64b、64c、64d、64eを含む。この他の実施形態の他の形態では、5つよりも多いか又は少ないプローブであってもよい。
【0024】
図11を参照すると、個々のプローブ64は、支持端子62に取り付けられる2つの端子68a、68bを有する単一のループ形状の脚部構造66を含む。ループ形状の脚部構造66の少なくとも一部は、圧力が支持端子62に印加されると脚部構造66が支持端子62から外方に撓むように配置される可撓性材料から作られる。この更なる実施形態の他の形態では、ループ形状の脚部構造66は、端子68a、68bに隣接する領域に配置されるジョイントを含み、ジョイントは、圧力が支持端子62に印加されると脚部構造66が支持端子62から外方に撓むことを可能にする。
【0025】
トランスデューサ70が、支持端子62に圧力が印加されるときに脚部構造66によって選択される対象エリアに適用されることによって対象エリア上で摺動すると、選択される対象エリアの特定の性質の状態を感知又は刺激するように、脚部構造の遠位端に配置される。
【0026】
脚部構造66のループ形状の1つの利点は、撓み作用が支持端子62に対して径方向外側方向にのみより良好に強いられ、それによって、脚部構造66の完全性を損なう可能性のある、脚部構造66が最適とは言えない方向に(例えば横に)曲がることを防止することである。ループ形状の第2の利点は、トランスデューサ70をループの一部に作ることができ、これによって、トランスデューサ70が圧力下で曲がることを可能にし、被検体の表面に対してより良い快適さ及び接触面積を提供することである。
【0027】
図12及び
図13を参照して本発明のトランスデューサアセンブリの撓み・摺動特徴を説明する。その遠位端にトランスデューサ82を有する汎用プローブ80が、印加される力Dに対して平行ではない方向の向きでありながら、対象エリア84に対して垂直ではない角度で配置される。典型的な従来技術のEEGシステムでは、ヘッドキャップ、ストラップ又は他のハーネスシステムが通常は対象エリア84に対して垂直にこの力Dを与える。本発明のトランスデューサアセンブリは、プローブ80を対象エリア84に対して垂直ではない方向の向きにするため、力Dによってプローブ80が方向Sに撓み、接触トランスデューサ82が対象エリア84上で摺動することを可能にする。接点82は、対象エリア84から電気信号を取得するように導電材料から作られる。摺動作用は、トランスデューサ82の先端部が髪を押しのけ、対象エリア84への良好な接触を達成することを可能にする。極端な圧力下で、プローブ80は単にその側面において対象エリア84に対して平坦になり、それによって対象エリア84にわたって広く広がる。本発明のこの摺動作用は、プローブ80が極端な圧力下で平坦になることが可能であることと組み合わせて、快適さ及び安全性を維持しながらも、トランスデューサ82が髪に入り込むとともに押しのけることを可能にする。
【0028】
電気変換を使用する本発明の実施形態では、トランスデューサアセンブリの支持端子及びプローブは、トランスデューサと外部装置との間で電気信号を伝達することが可能である。これは様々な技法によって達成することができる。幾つかの実施形態では、支持端子及びプローブは、ナイロン、又は、可撓性であるとともに屈曲可能な任意の他のエラストマプラスチックから作られる。そして、銀の塗料が表面に塗布されて、支持端子及びプローブを導電性にする。代替的な技法では、プラスチック支持端子及びプラスチックプローブを、それらの表面を導電材料でコーティングする電気めっき浴に浸漬することを伴う。代替的には、トランスデューサアセンブリの全体を、炭素充填プラスチック、導電銀−シリコーン化合物又は固体金属等の導電材料から作ることができる。更なる代替形態として、プローブの遠位端のトランスデューサの接触面積のみが導電性である必要があるため、トランスデューサの接触面積のみが塗装/コーティングされるか又は導電材料から作られる。そして、信号は、トランスデューサアセンブリの残りの部分に沿って埋め込まれるか又は延びる導電ワイヤによってトランスデューサに対して通信される。
【0029】
脚部構造にジョイントを含むような例示的な実施形態では、明白なジョイントは必要ではない。ジョイントは単に、支持端子に取り付けられる脚部構造によって提供される撓み機能であるものとすることができるか、又は、ジョイントの可撓性機能は、脚部構造が十分に可撓性の材料から形成される場合のように脚部構造に固有である。
【0030】
本発明のトランスデューサアセンブリは、生体電位を感知するのに用いられる実施形態に加えて、人の表面上にトランスデューサを配置することを伴う種々の他の実施形態に広く適用可能である。1つの実施形態では、毛髪を通して頭部の温度を感知するように、プローブの脚部構造によってサーミスタが支持される。別の用途は、血液酸素飽和度又は近赤外分光法を測定する光センサを脚部構造の遠位端に配置することを伴う。また別の実施形態では、トランスデューサアセンブリは、経頭蓋刺激のために、生体電位を感知するのではなく、又は生体電位を感知することに加えて、電流を送達するのに用いられる。
【0031】
EEGシステムにおいて本発明のトランスデューサアセンブリを用いる方法の例示的な実施形態では、トランスデューサは、EEGシステムの入力部に接続される電極であり、複数の電極は、被検体に複数のチャネルを配置することを容易にするように、ヘッドセットキャップ、ストラップ又はハーネス内に配置される。
【0032】
キャップによって印加される軽い下向きの圧力は、脚部構造の先端部を対象エリアに沿って接線方向に押し、毛髪を押しやって電極が皮膚と接触することを可能にする効果を有する。複数電極の構成では、各電極は通常、圧力を印加して全ての電極をそれぞれの対象エリア上で同時に摺動させることができ、それによって圧力の迅速な印加を可能にするヘッドセットキャップに組み込まれる。
【0033】
記録が終了すると、ユーザは単に電極及び/又はヘッドセット、ストラップ若しくはハーネスを取り外す。
本明細書において具体的に記載される利点は、本発明の全ての考えられる実施形態に必ずしも当てはまらない。さらに、本発明のそのような記載される利点は、例示に過ぎず、本発明の唯一の利点であるものと解釈されるべきではない。
【0034】
上記の説明は多くの具体的な説明を含むが、これらは、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、本明細書において説明される好ましい実施形態の例として解釈される。他の変形形態が可能であり、本発明の範囲は、本明細書において説明される例示的な実施形態によっては決まらず、特許請求の範囲及びそれらの法的な均等物によって決まるものとする。