特許第6077699号(P6077699)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6077699
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】筒状木製集成柱およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27M 3/00 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   B27M3/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-83247(P2016-83247)
(22)【出願日】2016年4月18日
【審査請求日】2016年8月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500100888
【氏名又は名称】共力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】志賀 一成
【審査官】 本村 眞也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−039354(JP,A)
【文献】 特開昭62−275704(JP,A)
【文献】 特開平11−225582(JP,A)
【文献】 特開平11−159057(JP,A)
【文献】 実開昭61−192014(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27M 3/00
A01G 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状木製集成柱であって、
断面が等脚台形の柱状木材を少なくとも5本組み合わせて成形され、
前記柱状木材の第1斜面に凹部が設けられ、前記第1斜面に対向する第2斜面に凸部が設けられ、
前記柱状木材の短辺を内側にして、前記柱状木材の前記凹部のそれぞれに、隣接する前記柱状木材の前記凸部をはめ込むことによって形成され
前記凹部および凸部が、前記柱状木材の前記第1斜面および前記第2斜面において、短辺側に近接して設けられた筒状木製集成柱。
【請求項2】
前記柱状木材が、長軸方向に向けて徐々に短辺および長辺が変化するテーパ状の柱に形成されることにより、外形が円錐台形状に形成された請求項1に記載の筒状木製集成柱。
【請求項3】
N本の前記柱状木材を組み合わせた筒状集成材であって、前記等脚台形の長辺側の内角が、(N−2)×180/2Nより小さい請求項1または2に記載の筒状木製集成柱。
【請求項4】
筒状木製集成柱の製造方法であって、
断面が等脚台形であって、第1斜面の短辺側に凹部が設けられ、前記第1斜面に対向する第2斜面の短辺側に凸部が設けられた柱状木材を少なくとも5本用意する工程と、
前記少なくとも5本柱状木材を、前記柱状木材の短辺を内側にして、放射状に配置する工程と、
前記放射状に配置された前記柱状木材の凹部および凸部を組み合わせて成形する実はめ工程と、
を含む筒状木製集成柱の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状木製集成柱およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、木製の円柱を成形する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−231614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、柱を形成するため、複数の角材を層状に貼着してから角を落とす方法であり、中実構造のため、重くなってしまっていた。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る筒状木製集成柱は、
筒状木製集成柱であって、
断面が等脚台形の柱状木材を少なくとも5本組み合わせて成形され、
前記柱状木材の第1斜面に凹部が設けられ、前記第1斜面に対向する第2斜面
に凸部が設けられ、
前記柱状木材の短辺を内側にして、前記柱状木材の前記凹部のそれぞれに、隣
接する前記柱状木材の前記凸部をはめ込むことによって形成され
前記凹部および凸部が、前記柱状木材の前記第1斜面および前記第2斜面において、短辺側に近接して設けられた
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、
筒状木製集成柱の製造方法であって、
断面が等脚台形であって、第1斜面の短辺側に凹部が設けられ、前記第1斜面に対向する第2斜面の短辺側に凸部が設けられた柱状木材を少なくとも5本用意する工程と、
前記少なくとも5本柱状木材を、前記柱状木材の短辺を内側にして、放射状に配置する工程と、
前記放射状に配置された前記柱状木材の凹部および凸部を組み合わせて成形する実はめ工程と、
を含む筒状木製集成柱の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軽量で自然の風合いを残しつつ強度的に優れた筒状木製集成柱を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る筒状木製集成柱の構成を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る柱状部材の断面形状を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る柱状部材の製造方法を説明するフローチャートである。
図4】本発明の第1実施形態に係る柱状部材の製造方法を説明する図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る筒状木製集成柱の構成を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る筒状木製集成柱の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての筒状木製集成柱100について、図1を用いて説明する。図1は、筒状木製集成柱100の部分破断斜視図である。筒状木製集成柱100は、断面が等脚台形の柱状木材101を少なくとも5本組み合わせて成形された集成材である。
【0012】
図1に示すように、柱状木材101の斜面110には凹部111が形成され(ほぞ加工)、斜面110に対向する斜面120には凸部121が形成されている。
【0013】
そのような柱状木材101の短辺130を内側、長辺140を外側にして、柱状木材101の凹部111のそれぞれに、隣接する柱状木材101の凸部121をはめ込むことによって、筒状木製集成柱100を形成している。
【0014】
特に、図1では、底角が75度の等脚台形を断面としてもつ柱状木材101を12本組み合わせた筒状木製集成柱100が示されており、このように12本組み合わせれば、略円筒形状の柱状部材を実現できる。しかし、本願発明はこれに限定されるものではなく、5本以上であれば十分にほぼ円筒状の集成柱を形成できる。
【0015】
図2は、筒状木製集成柱100の断面を拡大した図である。凹部111および凸部121が、柱状木材101の斜面110および斜面120において、短辺130側に近接して設けられている。等脚台形の長辺140側の内角αは、組み合わせる柱状木材の数Nに対して、(N−2)×180/2Nに形成され、または、(N−2)×180/2Nよりも所定角度(例えば1度〜2度)小さく形成されている。つまり12本の柱状木材を組み合わせて筒状木製集成柱100を形成する場合には、内角αは、75度または、75度よりも少し小さく、例えば74度、73度となるように形成されている。これにより、複数の柱状木材101を組み合わせた場合に、隣り合う長辺140同士の間に隙間ができず、高い品質の筒状木製集成柱100を形成できる。
【0016】
図2において、柱状部材101の厚みDは、最終的に筒状木製集成柱100の厚みを規定する。また、長辺Lは、筒状木製集成柱100の外径Dを決定する。例えば12本の柱状部材101を組み合わせる場合には、D=(2+√3)Lの関係がなりたつ。つまり、筒状木製集成柱100の丸さ、外径および厚みに応じて、柱状部材101の数、長辺および厚みを決定すればよい。
【0017】
図3は、筒状木製集成柱100の製造方法を示すフローチャートである。まずステップS301において、できあがりのポール(筒状木製集成柱100)の長さ、直径、厚みを決定する。
【0018】
次に、ステップS303において、断面が等脚台形で、実としての凹凸を有するように、ラミナの削り加工を行ない、柱状部材101を必要な数だけ形成する。さらにステップS305においては、必要に応じて、柱状部材101に対して、防腐加工または防火加工あるいはそれら両方の加工を行なう。
【0019】
次に、ステップS307において、柱状部材101の斜面110、120に対して、使用場所に応じた接着剤を塗布する。屋外で使用する場合や強度が必要な場合には、特殊な接着剤を使用する。ここで、柱状部材101の斜面110と斜面120とで、異なる成分の接着剤を塗布し、隣り合う柱状部材101を当接させる際にその2種類の接着剤が混ざることにより、接着能力を発揮させるように製造してもよい。
【0020】
接着剤の塗布後はステップS309に進み、くみ上げおよび実はめを同時に行なう。例えば、図4に示すように、放射状(円錐台状)に大きく広がった状態で、複数の柱状部材101を配置しておき、端部から組み上げると共に、リング状部材401の一方の開口から内部を通して、他方の開口へと移動させる。この場合、出口側の開口から、くみ上げられた複数の柱状部材101を引っ張れば、効率的に組み上げを行なうことができる。組み上がった筒状木製集成柱100に対しては、内側に向けて付勢しつつ養生(接着剤の乾燥)を行なうことがの望ましい。柱状部材101は、短辺側(内径側)に凹凸を設けたので、内側向きの付勢力を凹凸で受け止めさせて、しっかりと組み上げることができる。なお、ここでは、、S303→S305→S307となっているが、場合によっては、S303→S307→S305または、S305→S303→S307もあり得る。
【0021】
本実施形態によれば、軽量で自然の風合いを残しつつ強度的に優れた筒状木製集成柱を提供できる。
【0022】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る筒状木製集成柱について、図5および図6に示す図 は、本実施形態に係る筒状木製集成柱500の外観を示す図であり、図6は、その組み立て構成を示す図である。
【0023】
柱状木材501を、長軸方向に向けて徐々に短辺および長辺が変化するテーパ状の柱に形成することにより、筒状木製集成柱500の外形を円錐台形状に形成することができる。柱状木材501を用意するためには、例えば、ラミナの削り加工の際に、長軸方向に向けて徐々に短辺および長辺が小さくなるように形成すればよい。
【0024】
他の構成および製造方法については、上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0025】
本実施形態によれば、先が細くなるような筒状木製集成柱を作ることができ、例えば電柱や街灯などに用いることが可能となる。
【0026】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範疇で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【要約】
【課題】軽量で自然の風合いを残しつつ強度的に優れた筒状木製集成柱を提供すること。
【解決手段】断面が等脚台形の柱状木材を少なくとも5本組み合わせて成形され、前記柱状木材の第1斜面に凹部が設けられ、前記第1斜面に対向する第2斜面に凸部が設けられ、前記柱状木材の短辺を内側にして、前記柱状木材の前記凹部のそれぞれに、隣接する前記柱状木材の前記凸部をはめ込むことによって形成され、それによって軽量で自然の風合いを残しつつ強度的に優れた筒状木製集成柱。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6