(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0018】
本発明に係るIP無線装置10は、ネットワーク11を介してサーバ12と通信可能に接続されている。ここで、IP無線装置10は、例えば、携帯電話、タッチパネル付きの携帯端末装置(スマートフォン)、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型端末装置等である。
【0019】
IP無線装置10は、IP無線アプリケーションのソフトウェアに基づき、IP無線の機能を実現するが、ハードウェアによりIP無線の機能を実現しても構わない。又、IP無線装置10は、画面を表示する表示部と、ユーザの操作により所定の指示の入力を受け付ける受付部(入力部)と、アプリケーションの起動や終了を制御する制御部とを備えている。IP無線装置10が、スマートフォンの場合、タッチパネルが表示受付部として機能する。
【0020】
ここで、IP無線装置10の制御部(OS)は、例えば、Android(登録商標)である(以下、「モバイルOS」と称する)。モバイルOSの場合、アプリケーションは、ユーザインタフェイスに係る処理を実行するActivityと、内部処理を実行するServiceとを備える。アプリケーションは、ActivityとServiceとで分離して実装されており、モバイルOS上では、別個独立に動作する。例えば、Activityの動作により、画面が全面に表示される状態をフォアグラウンド状態(FG状態)と称する。一方、Activityの動作の休止又は中止により、画面の表示が隠れた状態をバックグラウンド状態(BG状態)と称する。Serviceは、Activityの動作と無関係に、常時動作可能である。
【0021】
IP無線装置10には、IP無線通話をするためのIP無線アプリケーションと、IP無線通話以外の特定の機能を実行するための機能アプリケーションとが予めダウンロードされている。
【0022】
ネットワーク11は、基地局11aを介したWAN(Wide Area Network)、アクセスポイント11bを介したLAN(Local Area Network)を含む。WANは、例えば、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)等であり、LANは、例えば、WiFi(Wireless Fidelity)を含む。WANの通信周波数は、例えば、W−CDMA、800MHz、2100MHzを採用している。
【0023】
又、サーバ12は、複数のIP無線装置10の間における音声データの送受信、制御、監視を行う。サーバ12は、ネットワーク11を介して、一方のIP無線装置10から送信された、特定の宛先に対する音声データを受信すると、当該特定の宛先に対応する他方のIP無線装置10の送信先を指定し、ネットワーク11を介して当該音声データを当該送信先の他方のIP無線装置10に送信する。他方のIP無線装置10が音声データを受信すれば、音声データを再生する。
【0024】
ここで、前記宛先が、複数の宛先から構成されるグループ(例えば、「グループ01」)の場合には、サーバ12は、グループに紐付けされた複数の宛先にそれぞれ対応するIP無線装置10に前記音声データを一斉送信する。この場合には、他のグループ(例えば、「グループ02」、「グループ03」等)のIP無線装置10には、音声データが送信されない。又、IP無線装置10から緊急で音声データがサーバ12に送信された場合には、サーバ12は、予め登録されている全ての宛先(又は全てのグループ)のIP無線装置10に前記音声データをそれぞれ一斉送信する。この場合、IP無線装置10が前記音声データを受信すると、アラームを鳴らすとともに、当該音声データを再生する。このように、複数のIP無線装置10の間で音声データの送受信がなされる。サーバ12の管理は、例えば、仮想移動体サービス事業者(MVNO:Mobile Virtual Network Operator)等により行われる。
【0025】
IP無線装置10、サーバ12は、図示しないCPU、ROM、RAM、SSD等を内蔵しており、CPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM、SSD等に記憶されているプログラムを実行する。又、後述する各部についても、CPUがプログラムを実行することで当該各部を実現する。
【0026】
次に、
図2、
図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。先ず、ユーザが自分のIP無線装置10に電源を入れると、IP無線装置10のモバイルOSが、予め登録された初期アプリケーションを動作する。
【0027】
ここで、初期アプリケーションに特に限定は無いが、IP無線装置10がIP無線通話の専用端末である場合には、初期アプリケーションとしてIP無線アプリケーションが登録される。後述するように、初期アプリケーションは、ホーム画面制御アプリケーション(ランチャー)とされる場合もある。
【0028】
モバイルOSのIP無線アプリ動作部201が、初期アプリケーションのIP無線アプリケーションを動作し(
図3:S101)、IP無線アプリケーションのユーザインタフェイスに係る処理を実行するActivityをフォアグラウンド状態にして、IP無線通話用画面を全面に表示させる。ここで、全面表示とは、表示される画面のみ表示され、他の画面は表示されないことを意味する。
【0029】
ここで、IP無線装置10がタッチパネル付きの携帯端末装置の場合、前記IP無線アプリケーションのActivityが、タッチパネル上に画面を表示する。IP無線装置10がタッチパネル無しの携帯端末装置の場合、前記IP無線アプリケーションのActivityが、携帯端末装置の液晶ディスプレイ上に画面を表示する。
【0030】
IP無線通話用画面400には、
図4Aに示すように、「個別」キー401と、「グループ」キー402と、「アプリ」キー403と、音量表示404と、ステータス表示405とが表示される。「個別」キー401は、特定のIP無線装置10と通話をするためのキーであり、「グループ」キー402は、複数のIP無線装置10から構成される特定のグループと通話するためのキーである。「アプリ」キー403は、IP無線アプリケーションと異なる機能アプリケーションを選択するためのキーであり、音量表示404は、スピーカーの音量を示す。ステータス表示405は、IP無線装置10の通話状況を示し、例えば、初期設定が「グループ01」と通話可能な状態である場合は、「グループ01 待機中」を示す。尚、IP無線装置10がタッチパネル無しの携帯端末装置の場合、上述のキーは、当該携帯端末装置に予め設けられる。
【0031】
更に、IP無線アプリ動作部201が、IP無線アプリケーションの内部処理を実行するServiceを動作させて、他のIP無線装置からの音声データの受信及び他のIP無線装置への音声データの発信を受け付ける。
【0032】
IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのActivityでユーザのキー操作を受け付けると、モバイルOSのカーネルにあるBinder Driverを介して、キー操作に対応する指示をIP無線アプリケーションのServiceに送信し、IP無線アプリケーションのServiceで前記指示に対応する内部処理を実行させる。そして、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのServiceによる実行結果を、IP無線アプリケーションのActivityに返し、IP無線アプリケーションのActivityで、実行結果に基づいたIP無線通話用画面400の表示を行う。後述するように、機能アプリケーションの動作であっても同様である。
【0033】
ここで、ユーザは、IP無線通話用画面400の「アプリ」キー403を選択すると、IP無線アプリ動作部201が、IP無線アプリケーションのActivityで「アプリ」キー403の選択指示を受け付け、機能選択用画面を全面に表示する。
【0034】
機能選択用画面406には、
図4Aに示すように、例えば、IP無線アプリケーション用のアイコン407と、メール送受信機能アプリケーション(メールアプリケーション)用のアイコン408とが表示される。表示されるアイコンは、IP無線装置10に予めダウンロードされたアプリケーションに対応する。
【0035】
ユーザが、機能選択用画面406を見ながら、メールアプリケーション用のアイコン408を選択すると(
図3:S102YES)、IP無線アプリ動作部201が、当該アイコン408に対応するメールアプリケーションの選択を受け付け、モバイルOSの機能アプリ動作部202が、メールアプリケーションを動作する(
図3:S103)。
【0036】
具体的には、機能アプリ動作部202が、メールアプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態にして、メール送受信用画面を全面に表示するとともに、メールアプリケーションのServiceを動作させて、メール送受信の機能を実行させる。
【0037】
メール送受信用画面409には、
図4Bに示すように、送信先入力欄410と、宛先入力欄411と、件名412と、メールの内容413と、キーボードキー414とが表示される。これにより、ユーザがキーボードキー414を用いてメールを作成し送信することが出来る。
【0038】
ここで、ユーザの操作により、IP無線アプリケーションから機能アプリケーションへ動作が切り替わると、当該機能アプリケーションのActivityが、フォアグラウンド状態となり、その結果、IP無線アプリケーションのActivityが、バックグラウンド状態となり、IP無線通話用画面の表示を隠す。一方、IP無線アプリケーションのServiceにおいて、IP無線音声受付部203は、メールアプリケーションの動作中に、他のIP無線装置からの音声データの受信を受け付ける(
図3:S104)。つまり、IP無線アプリケーションのServiceは常時動作する。
【0039】
ここで、アプリケーションのActivityの状態を模式的に示すと、
図5Aに示すように、IP無線通話用画面400が全面に表示される場合には、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態とする(FG状態)。次に、第一の時点T1において、ユーザの選択により、メールアプリケーションが起動し、メール送受信用画面409が全面に表示される場合には、機能アプリ動作部202は、メールアプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態とし(FG状態)、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのActivityをバックグラウンド状態とする(BG状態)。
【0040】
ユーザは、メール送受信用画面409を見ながら、メールアプリケーションを終了することなく(
図3:S105NO)、
図5Bに示すように、例えば、送信先入力欄410に「ABC@def」を、宛先入力欄411に「DEF@ghi」を、件名412に「ghijl」を、メールの内容413に「mnopq」をそれぞれ入力する。
【0041】
すると、機能アプリ動作部202が、メールアプリケーションのActivityでユーザのキー入力を受け付け、メールアプリケーションのServiceにキー入力に対応する内部処理を実行させる。メールアプリケーションのServiceはユーザによるキー入力を一時記憶する。そして、機能アプリ動作部202は、メールアプリケーションのServiceによる実行結果を、メールアプリケーションのActivityに返し、ユーザのキー入力に対応してメール送受信用画面409の表示を変更する。
【0042】
ここで、ユーザがメール作成中に、「グループ01」に属する他のユーザが他のIP無線装置10でIP無線装置10へ音声データを発呼として送信した場合、サーバ12が、他のIP無線装置10からの音声データをIP無線装置10に送信する。すると、IP無線アプリケーションのServiceにおいて、IP無線音声受付部203は、他のIP無線装置10からの音声データを着呼として受信する(
図3:S106YES)。
【0043】
そして、IP無線アプリケーションのServiceにおいて、IP無線音声再生部204は、IP無線音声受付部203による音声データの受信に基づいて、当該音声データの再生を開始する(
図3:S107)。IP無線アプリケーションのServiceの常時動作により、音声データは直ぐに再生される。これにより、ユーザに音声データを漏れなく伝えることが可能となる。
【0044】
更に、IP無線アプリケーションのServiceにおいて、IP無線切替要求部205は、前記音声データの再生が開始すると、IP無線装置10のモバイルOSに対して、IP無線アプリケーションへの切り替えを要求する(
図3:S108)。この要求は、IP無線アプリケーションから行われる。
【0045】
これに対して、モバイルOSにおいて、IP無線アプリ切替部206が、前記要求を受け付けると、IP無線アプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態にして、他のIP無線装置10の送信元を反映したIP無線通話用画面を全面に表示させるとともに、メールアプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態からバックグラウンド状態にする(
図3:S109)。ここで、IP無線アプリケーションのActivityが、フォアグラウンド状態となると、その結果、メールアプリケーションのActivityが、バックグラウンド状態となり、メール送受信用画面409の表示を隠すことになる。
【0046】
図5Bに示すように、IP無線装置10が音声データを着呼で受信すると、当該音声データがIP無線装置10のスピーカー等で直ぐに再生され、ユーザに着呼があることを直接的に知らせる。そして、IP無線装置10の画面がメール送受信用画面409からIP無線通話用画面400に切り替わる。IP無線通話用画面400のステータス表示500は、
図5Bに示すように、送信元(他のIP無線装置10)の「グループ01」からの音声データの受信中の状態を示す「グループ01 受信中」に変更される。これにより、ユーザは、メールアプリケーションでメールを作成中であっても、他のIP無線装置10からの発呼があることを直ぐに認識することが可能となり、他のIP無線装置10からの連絡を漏れなく受け取ることが可能となる。又、IP無線アプリケーションのActivityは、他のIP無線装置10の送信元に対応してIP無線通話用画面400を表示することで、ユーザに送信元を確実に伝えることが可能となる。
【0047】
ところで、IP無線音声再生部204が、他のIP無線装置10からの音声データの再生を終了すると、IP無線アプリケーションのActivityがフォアグラウンド状態であることから、ユーザは、引き続き他のIP無線装置10と通話することが出来る。IP無線通話の形態は、例えば、個別通話、グループ通話、一斉通話、緊急通話を挙げることが出来る。
【0048】
<個別通話>
例えば、他のIP無線装置10からの音声データの再生を終了すると、
図6Aに示すように、IP無線通話用画面400のステータス表示が「グループ01 待機中」600になる。この状態において、ユーザが、個別通話するために、IP無線通話用画面400の「個別」キー401を選択する。すると、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのActivityで「個別」キー401の選択を受け付け、IP無線アプリケーションのServiceで選択指示に対応する内部処理を行わせ、IP無線アプリケーションのActivityで個別宛先設定画面を全面に表示させる。
【0049】
個別宛先設定画面601には、
図6Aに示すように、特定の宛先を入力するためのテンキー602と、予め登録された登録宛先を入力するための登録キー603と、宛先選択のためのOKキー604と、キャンセルキー605とが表示される。
【0050】
ここで、ユーザが、例えば、テンキー602を用いて特定の宛先(例えば、「1001」)を入力し、OKキー604を選択すると、IP無線アプリケーションのActivityは、特定の宛先の入力を受け付ける。特定の宛先が選択された時点では、IP無線装置10は、サーバ12との通信を行わずに、IP無線通話用画面400のステータス表示は、「個別 1001 待機中」となる。
【0051】
この状態で、ユーザが、IP無線装置10に設けられた特定のスイッチを押した状態、又はIP無線通話用画面400における通話用の特定のキーを選択した状態で、発音すれば、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのServiceで、ユーザの発音を音声データに変換し、サーバ12を介して特定の宛先の他のIP無線装置10に送信する。そして、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのActivityで、IP無線装置10の画面を個別宛先設定画面601からIP無線通話用画面400に切り替えさせる。切り替え後のIP無線通話用画面400のステータス表示は、「個別 1001 送信中」606となる。一方、他のIP無線装置10は、音声データを受信すると、当該音声データを再生する。
【0052】
<グループ通話>
ユーザが、特定のグループと通話するために、IP無線通話用画面400の「グループ」キー402を選択する。すると、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのActivityで、上述と同様の処理を行って、「グループ」キー402の選択を受け付け、グループ設定画面を全面に表示する。
【0053】
グループ設定画面607には、
図6Bに示すように、予め登録された特定のグループを入力するためのグループ登録キー608と、通話開始のためのOKキー609と、キャンセルキー610とが表示される。
【0054】
ユーザが、例えば、グループ登録キー608を用いて特定のグループ(例えば、「02」)を入力し、OKキー609を選択すると、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのActivityで特定のグループの入力を受け付ける。
【0055】
ユーザが、上述と同様に、例えば、通話用の特定のスイッチを選択した状態で、発音すれば、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのServiceで、サーバ12を介して特定のグループのIP無線装置10に音声データを送信する。IP無線装置10が特定のグループと接続すると、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのActivityで、IP無線装置10の画面をグループ設定画面607からIP無線通話用画面400に切り替える。切り替え後のIP無線通話用画面400のステータス表示は、「グループ 02 送信中」611となり、ユーザは、特定のグループに属する複数の他のIP無線装置10と通話可能の状態となる。
【0056】
ここで、IP無線通話用画面400のステータス表示が「グループ01 待機中」600である状態において、例えば、IP無線装置10が、特定の送信先(例えば、「1000」)の他のIP無線装置10から個別通話で音声データを受信した場合、IP無線音声再生部204は、受信した音声データを再生し、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのActivityで、「グループ01 待機中」から「個別1000 受信中」に移行する。音声データの再生が終了すると、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのServiceで、特定の時間(例えば、10秒間)だけ、他のIP無線装置10との個別通話の状態を維持し、IP無線通話用画面400のステータス表示を「個別1000 待機中」とする。これにより、ユーザは、特定の時間内であれば、他のIP無線装置10と個別通話を行うことが可能となる。そして、特定の時間が経過後、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのServiceで、最初の(予め登録された)グループとの接続に戻し、IP無線アプリケーションのActivityで、IP無線通話用画面400のステータス表示を「グループ01 待機中」とする。
【0057】
<一斉通話>
ユーザがIP無線装置10で一斉通話を行う場合は、上述の処理と同様であり、ユーザが、一斉通話のためのキーを選択し、音声を発すると、IP無線装置10が、ユーザの音声データを全てのIP無線装置10に送信する。
【0058】
一方、ユーザが第一のIP無線装置10で特定のグループ(又は特定の宛先の第二のIP無線装置10)に音声データを送信している最中に、第三のIP無線装置10が音声データを一斉通話で送信した場合は、以下のようになる。即ち、第一のIP無線装置10のIP無線アプリ動作部201は、先ず、IP無線アプリケーションのServiceで、第二のIP無線装置10への音声データの送信を維持し、IP無線アプリケーションのActivityで、
図7Aに示すように、IP無線通話用画面400のステータス表示を「グループ02 送信中」700とする。これは、第一のIP無線装置10が第二のIP無線装置10と個別通話で接続している最中であっても同様である。これにより、ユーザの既存通話を妨害せずに済む。
【0059】
そして、第二のIP無線装置10への音声データの送信が終了すると、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのActivityで、IP無線通話用画面400のステータス表示を「グループ02 送信中」700から「グループ02 待機中」701に移行する。この時に、第三のIP無線装置10が音声データを一斉通話で送信すると、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのServiceで、第三のIP無線装置10からの音声データを再生し、IP無線アプリケーションのActivityで、IP無線通話用画面400のステータス表示を「グループ02 待機中」701から「一斉 受信中」702に移行することになる。
【0060】
<緊急通話>
ユーザがIP無線装置10で緊急通話を行う場合は、一斉通話の処理とほぼ同様であるが、緊急通話の場合、音声データを受け取った他のIP無線装置10が音声データの再生とともにアラームを発する。
【0061】
一方、ユーザが第一のIP無線装置10で特定のグループ(又は特定の宛先の第二のIP無線装置10)に音声データを送信している最中に、第三のIP無線装置10が音声データを緊急通話で送信した場合は、以下のようになる。即ち、第一のIP無線装置10のIP無線アプリ動作部201は、先ず、IP無線アプリケーションのServiceで、第二のIP無線装置10への音声データの送信を停止するとともに、第三のIP無線装置10からの音声データの受信を行う。そして、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのServiceで、第三のIP無線装置10からの音声データを再生し、アラームを発し、IP無線アプリケーションのActivityで、
図7Bに示すように、IP無線通話用画面400のステータス表示を「グループ02 送信中」703から「緊急 受信中」704に切り替える。これは、第一のIP無線装置10が第二のIP無線装置10と個別通話で接続している最中であっても同様である。緊急通話の場合、先に通話していた第二のIP無線装置10よりも第三のIP無線装置10の通話を優先させることで、ユーザに重要な情報を適切に知らせることが出来る。
【0062】
そして、第三のIP無線装置10への音声データの送信が終了すると、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのActivityで、IP無線通話用画面400のステータス表示を「緊急 受信中」704から「緊急 待機中」705に移行する。この時に、ユーザがIP無線装置10で音声データを返信すると、当該音声データは緊急通話として全てのIP無線装置10へ送信されることになる。
【0063】
ところで、S102において、ユーザが、機能選択用画面406で、IP無線アプリケーション用のアイコン407を選択する、又はIP無線通話用画面400へ戻る操作を選択すると(
図3:S102NO)、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態にする(
図3:S110)。
【0064】
又、S106において、IP無線音声受付部203が、他のIP無線装置10からの音声データを着呼として受信することなく(
図3:S106NO)、ユーザが、メールアプリケーションを終了すると(
図3:S105YES)、IP無線アプリ動作部201は、IP無線アプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態にする(
図3:S110)。又、機能アプリ動作部202は、メールアプリケーションの動作を終了させるか、メールアプリケーションのActivityをバックグラウンド状態にさせて、メールアプリケーションのServiceの動作を継続させる。IP無線アプリケーションのActivityがフォアグラウンド状態に切り替わった後の機能アプリケーションの動作について、特に限定は無い。
【0065】
<他の構成>
ところで、既に、IP無線アプリケーションが起動していたことから、S109では、IP無線アプリケーションの切り替えにおいて、IP無線アプリ切替部206は、IP無線アプリケーションのActivityをバックグラウンド状態からフォアグラウンド状態に切り替え、メールアプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態からバックグラウンド状態にしたが、この場合、下記のように構成することが出来る。
【0066】
例えば、メールアプリケーションのActivityがバックグラウンド状態に移行する場合は、機能アプリ動作部202は、メールアプリケーションのServiceの動作を維持し、メールアプリケーションのServiceは、メール送受信用画面409で入力された内容を一時保持する。この場合は、ユーザの入力途中の内容が一時保持される。そのため、例えば、ユーザーのメールアプリケーションの選択により、メールアプリケーションのActivityがフォアグラウンド状態に移行した場合には、メールアプリケーションのActivityが、入力途中の内容でメール送受信用画面409を全面に表示する。従って、ユーザは、途中であったメールの作成等を再開することが可能となる。ここで、メールアプリケーションのActivityが、フォアグラウンド状態となると、IP無線アプリケーションのActivityが、再度、バックグラウンド状態となり、IP無線通話用画面の表示を隠すことになる。
【0067】
又、IP無線アプリ切替部206が、上述のように、前記切り替えを行った場合、
図8Aに示すように、前記フォアグラウンド状態への切り替え時点T2(他のIP無線装置10からの音声データを受信した時点)から特定の時間TC(例えば、1分、5分等)までIP無線アプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態に維持し、メールアプリケーションのActivityが、バックグラウンド状態となる。そして、IP無線アプリ切替部206が、特定の時間TC経過後(第三の時点T3)に、メールアプリケーションのActivityをバックグラウンド状態からフォアグラウンド状態に切り替え、その結果、IP無線アプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態からバックグラウンド状態にしても良い。
【0068】
例えば、IP無線アプリケーションのActivityがバックグラウンド状態からフォアグラウンド状態に切り替わると、IP無線アプリ切替部206が、特定のタイマーを用いて切り替え時点T2からの経過時間をカウントし、カウントした経過時間が特定の時間TCを超過するか否かを判定する。切り替え時点T2から特定の時間TCまでは、IP無線アプリケーションのActivityが、IP無線通話用画面400を全面に表示し、IP無線アプリケーションのServiceが、他のIP無線装置10への音声データの送信、又は他のIP無線装置10からの音声データの受信及び再生を行う。一方、メールアプリケーションのActivityが、メール送受信用画面409の表示を隠すことになる。
【0069】
そして、経過時間が特定の時間TCを超過すると、IP無線アプリ切替部206が、メールアプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態に切り替えて、IP無線アプリケーションのActivityは、その結果、バックグラウンド状態となる。
図8Bに示すように、メールアプリケーションのActivityが、IP無線通話用画面400から、メール送受信用画面409を全面に切り替え表示する。
【0070】
これにより、ユーザが他の機能アプリケーションを操作中に、IP無線アプリケーションに切り替わって、ユーザが暫く他のIP無線装置10とIP無線通話したとしても、後から、他の機能アプリケーションに再度切り替わるため、ユーザが他の機能アプリケーションの操作を忘れずに再開することが出来る。
【0071】
又、上述した切り替えについて、例えば、IP無線アプリ切替部206が、他のIP無線装置10からの音声データの再生が終了するまで、IP無線アプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態に維持し、IP無線アプリケーションのServiceのIP無線音声再生部204により当該音声データの再生が終了すると、IP無線アプリ切替部206は、メールアプリケーションのActivityをバックグラウンド状態からフォアグラウンド状態に切り替え、IP無線アプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態からバックグラウンド状態にしても良い。この場合は、ユーザは、他のIP無線装置10からの音声を聞き終えた時点で他の機能アプリケーションに再度切り替わるため、ユーザは、途中であった他の機能アプリケーションの操作を直ぐに再開することが出来る。仮に、他のIP無線装置10からの通話に対して返答する場合には、ユーザが、IP無線アプリケーションを選択し、IP無線アプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態にさせれば良い。
【0072】
又、上述では、IP無線アプリケーションとメールアプリケーションの二つの機能アプリケーションを想定したが、更に、三つ以上の機能アプリケーションを想定しても同様である。ここで、メールアプリケーションの他に、IP無線装置10にダウンロードされた複数の機能アプリケーションのアイコンを一覧表示させ、特定の機能アプリケーションの選択を可能とするホーム画面制御アプリケーション(ランチャー)を追加した場合は、下記のようになる。
【0073】
例えば、ユーザがIP無線装置10に電源を入れると、
図9Aに示すように、機能アプリ動作部202が、ホーム画面制御アプリケーションを動作し、ホーム画面制御アプリケーションのActivityで、ホーム画面を全面に表示させ、ホーム画面制御アプリケーションのServiceで、内部処理を実行させる。
【0074】
この場合、IP無線アプリケーションのServiceにおいて、IP無線音声受付部203が、ホーム画面制御アプリケーションの動作中に、他のIP無線装置からの音声データの受信を受け付ける。
【0075】
ホーム画面制御アプリケーションが動作すると、
図9Bに示すように、機能アプリ動作部202が、ホーム画面制御アプリケーションのActivityで、ホーム画面900に、IP無線装置10にダウンロードされている複数の機能アプリケーション毎のアイコンを表示させて、ユーザからアイコンの選択を受け付ける。
【0076】
ここで、機能アプリケーションの機能は、メール送受信機能の他に、例えば、GPS(Global Positioning System)に基づいた位置情報を表示する位置情報表示機能、防災時に避難場所を表示して誘導する防災避難誘導機能、マラソン大会でのマニュアルを表示して閲覧出来るマラソンマニュアル機能、特定の場所に設置したネットワーク(NW)カメラの画像を取得して表示するネットワークカメラ表示機能等を挙げることが出来る。IP無線装置10にダウンロードされる機能アプリケーションは、IP無線装置10を扱うユーザ又はIP無線装置10を提供する提供者により適宜カスタマイズすることが出来る。
【0077】
ユーザが、例えば、第四の時点T4において、ホーム画面900のアイコンのうち、メールアプリケーションのアイコンを選択すると、機能アプリ動作部202が、メールアプリケーションを起動し、メールアプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態にする。又、機能アプリ動作部202は、ホーム画面制御アプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態からバックグラウンド状態に移行する。
【0078】
この場合も、IP無線アプリケーションのServiceにおいて、IP無線音声受付部203が、メールアプリケーションの動作中、他のIP無線装置からの音声データの受信を受け付けることになる。
【0079】
メールアプリケーションが動作すると、
図9Bに示すように、機能アプリ動作部202が、メールアプリケーションのActivityで、ホーム画面900からメール送受信用画面409を表示切り替えして、ユーザからメール作成の入力を受け付ける。
【0080】
ここで、他のIP無線装置10がIP無線装置10へ音声データを発呼として送信し、第五の時点T5において、IP無線装置10のIP無線音声受付部203が他のIP無線装置10からの音声データを着呼として受信した場合、IP無線音声再生部204は、直ぐに、当該音声データを再生する。又、IP無線切替要求部205は、モバイルOSに、IP無線アプリケーションの切り替えを要求し、IP無線アプリ切替部206は、IP無線アプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態にし、メール送受信用画面409からIP無線通話用画面400を表示切り替えする。これにより、他のIP無線装置10からの発呼を確実に捉える。
【0081】
一方、機能アプリ動作部202は、メールアプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態からバックグラウンド状態に移行する。ホーム画面制御アプリケーションのActivityはバックグラウンド状態に維持される。
【0082】
このように、ユーザが、IP無線アプリケーションを先に動作させずに、機能アプリケーションを動作させている場合であっても、IP無線アプリケーションのServiceのIP無線音声受付部203が、常時、他のIP無線装置からの音声データの受信を受け付け、他のIP無線装置10からの発呼を漏れなく捕まえることが出来る。
【0083】
又、本発明の実施形態では、IP無線アプリケーションのServiceの起動について、特に限定していないが、例えば、IP無線装置10がIP無線通話専用である場合、IP無線アプリ動作部201が、IP無線装置10の電源が投入されると、モバイルOSにおいて、IP無線アプリケーションのServiceを動作させて、他のIP無線装置10からの音声データの受信を受け付けるよう構成しても良い。これにより、ユーザが特にIP無線アプリケーションを起動させなくても、IP無線装置10の電源が入れば、IP無線アプリケーションのServiceが常時動作することになる。
【0084】
又、本発明の実施形態では、メールアプリケーションを、ServiceとActivityとで構成するようにしたが、メールアプリケーションでは、Serviceを実装しない構成も可能であるため、メールアプリケーションの構成に特に限定は無い。又、メール送受信機能以外の機能アプリケーションであっても同様である。
【0085】
又、本発明の実施形態では、IP無線装置10が各部を備えるよう構成したが、当該各部を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、前記プログラムを装置に読み出させ、当該装置が前記各部を実現する。その場合、前記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各部が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【課題】IP無線アプリケーション以外の機能アプリケーションを動作させている最中であっても、他のIP無線装置からの発呼に対して確実に着呼することが可能なIP無線装置及びIP無線方法を提供する。
【解決手段】IP無線音声受付部203は、機能アプリケーションの動作中に、他のIP無線装置からの音声データの受信を受け付ける。IP無線音声再生部204は、他のIP無線装置から音声データを着呼として受信すると、当該音声データの再生を開始する。IP無線切替要求部205は、IP無線装置のOSに対して、IP無線アプリケーションの切り替えを要求する。IP無線アプリ切替部206は、IP無線アプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態にして、IP無線通話用画面を全面に表示させるとともに、機能アプリケーションのActivityをフォアグラウンド状態からバックグラウンド状態にする。