特許第6077784号(P6077784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077784
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】二輪車用索体のクランプ構造
(51)【国際特許分類】
   B62K 19/38 20060101AFI20170130BHJP
   B62L 3/02 20060101ALI20170130BHJP
   B60T 17/04 20060101ALI20170130BHJP
   F16C 1/10 20060101ALI20170130BHJP
   F16B 7/04 20060101ALN20170130BHJP
【FI】
   B62K19/38
   B62L3/02 Z
   B60T17/04 A
   F16C1/10 Z
   !F16B7/04 302B
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-182241(P2012-182241)
(22)【出願日】2012年8月21日
(65)【公開番号】特開2014-40124(P2014-40124A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年3月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 貴志
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−121193(JP,U)
【文献】 特許第4727358(JP,B2)
【文献】 実開昭63−110709(JP,U)
【文献】 特開2010−047232(JP,A)
【文献】 実開昭59−111784(JP,U)
【文献】 特開2010−52526(JP,A)
【文献】 特開2010−70072(JP,A)
【文献】 特開2003−72623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 19/38
B60T 17/04
B62L 3/02
F16C 1/10
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二輪車の車軸を支持するスイングアーム上を前後方向に延びる索体を保持するクランプ部材を設けた二輪車用索体のクランプ構造であって、
前記クランプ部材は、
固定具にて前記スイングアームの上面に取り付けられる固定部と、
該固定部に設けられ、前記索体を保持する保持部とを備え、
前記索体は、前記固定部に上方から被さるように、前記保持部に保持され、
前記保持部は、第1の索体を保持する第1保持片と、第2の索体を保持する第2保持片とを含み
前記第1保持片及び第2保持片は、前後方向にずれて配置される、二輪車用索体のクランプ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車用索体のクランプ構造、具体的には自動二輪車の後輪用のブレーキホース及びセンサケーブルをクランプする構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動二輪車の後輪を支持するスイングアーム上に、後輪ブレーキ用のブレーキホースをクランプ部材にてクランプする構造が提案されている。該クランプ部材は、スイングアーム上に固定される固定部と、該ブレーキホースの周面を保持する保持部を有する。固定部と保持部とは、後輪の車軸方向に沿ってずれて位置している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4727358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すクランプ部材を用いたクランプ構造では、車軸方向に固定部とブレーキホースとがずれて配置されているから、該クランプ部材の車軸方向に沿う幅寸法が大きくなる。従って、クランプ部材又はブレーキホースがスイングアームから側方に突出し、スイングアームに隣接する後輪やマフラ等の部材に干渉する可能性がある。
本発明の目的は、クランプ部材の車軸方向に沿う幅寸法を小さくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る二輪車用索体のクランプ構造は、二輪車の車軸を支持するスイングアーム上を前後方向に延びる索体を保持するクランプ部材を設け、該クランプ部材は、固定具にて前記スイングアームの上面に取り付けられる固定部と、該固定部に設けられ、前記索体を保持する保持部とを備え、前記索体は、前記固定部に上から被さるように、前記保持部に保持される。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る二輪車用索体のクランプ構造にあっては、索体が固定部に上から被さるように保持されるから、幅方向に固定部と索体とが並ぶ場合に比べて、保持部及び固定部を合わせた配置領域の幅寸法を小さくできる。これによって、保持部及び固定部をスイングアーム上面領域内に収め易く、索体又はクランプ部材がスイングアームからはみ出るのを防ぐことができ、車輪やマフラなどスイングアームに隣接する隣接部材との干渉を防ぐことができる。
また、固定部の少なくとも一部を、索体で隠すことができ、美観を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る自動二輪車の側面図である。
図2図1の自動二輪車の要部拡大図である。
図3図2を後方から見た斜視図である。
図4】(a)はクランプ部材の斜視図、(b)は図4(a)の平面図、(c)は図4(a)をC方向から見た側面図である。
図5】クランプ部材をスイングアームの脚片に取り付ける際の作業手順を示す斜視図である。
図6】センサケーブルを第1保持片へ取り付ける構造の応用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る車両、具体的には自動二輪車を、図を参照しながら説明する。なお、以下では、全ての図を通じて同一又は相当する要素には、同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。以下の記載で、左右方向は、自動二輪車に騎乗した運転者から見た方向を基準とする。また、内側、外側は車軸方向を基準とする。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る自動二輪車1の側面図である。図1に示すように、自動二輪車1の車体フレームは、前方から後方に向かって下方に傾いて延びる1つのメインフレーム10、該メインフレーム10の前端部から前方に向かって斜め下向きに延びる左右一対のフロントフォーク11、両フロントフォーク11の上端部間に配置されたアッパブラケット12を備える。フロントフォーク11の下端部に、前輪90が支持されている。アッパブラケット12からは左右に突出したハンドル13が取り付けられている。
メインフレーム10の後部には、シートレール15が連結され、該シートレール15に運転者用シート16と同乗者用シート17が前後に亘って支持されている。メインフレーム10の後端下部には、下方に延びるスイングアームブラケット14が設けられ、該スイングアームブラケット14に、スイングアーム6の前端部がピポット軸61を介して揺動自在に支持されている。該スイングアーム6は一対の脚片60を備え、該一対の脚片60は平面視で二股状に形成される。該一対の脚片60の後端部に後輪9が挟まれるように位置する。後輪9は車軸93によって、スイングアーム6に支持されている。スイングアーム6には後輪9による泥撥ねや水撥ねから運転者を保護するフェンダ3が、後輪9の上方に被さるように取り付けられている。スイングアーム6よりも前方にて、メインフレーム10の下部にはエンジンEが支持され、該エンジンEによってチェーン97を介して後輪9が駆動される。該エンジンEにマフラ98を備えた排気装置99が接続されている。即ち、本実施形態の自動二輪車1はガソリンを燃料とする二輪車を想定している。
前記スイングアームブラケット14には、中間ブラケット81を介して、後輪ブレーキ用のブレーキペダル80が揺動可能に支持されており、該ブレーキペダル80にマスタシリンダ8が連結される。該マスタシリンダ8は後輪ブレーキホース5を介して、リザーバタンク(図示せず)から後記のブレーキキャリパ51に作動流体、具体的にはブレーキオイルを供給している。
【0010】
図2は、図1の自動二輪車のスイングアーム及びその近傍を示す拡大図である。説明の便宜上、図2ではチェーン97及び排気装置99を図示しない。後輪9は周知の如く、リアホイール91と該リアホイール91を囲むゴムタイヤ92を備え、該リアホイール91にはブレーキディスク50と車速検知ディスク40とが車軸93と同軸に嵌まる。ブレーキディスク50の上側には、ブレーキキャリパ51が設けられ、該ブレーキキャリパ51は内蔵したブレーキパッド(図示せず)にてブレーキディスク50を両側から挟んで後輪9の回転を制動する。該ブレーキキャリパ51に前記後輪ブレーキホース5の端部が接続されて、前記のマスタシリンダ8からブレーキオイルが供給される。
車速検知ディスク40には、周方向に沿って多数の透孔41が開設され、該透孔41に対向するように車速センサ42がスイングアーム6に設けられている。該車速センサ42にはセンサケーブル4の一端が接続されている。該センサケーブル4と前記後輪ブレーキホース5とが、本発明の「二輪車用索体」に相当する。
該センサケーブル4はスイングアーム6の上面に沿って車体前方向に延び、エンジンコントロールユニット(ECU)(図示せず)に他端が接続される。車速センサ42は単位時間当たりに該車速センサ42を通過する透孔41の数をデータとして検出して、センサケーブル4を介して、該データを前記ECUに送信する。該ECUは該データから後輪9の回転速度を求め、前輪の回転速度と比較して車輪の空転を検知する。即ち、車速センサ42は公知のトラクションコントロールシステムを構成する。
【0011】
図3は、図2を後方から見た斜視図である。スイングアーム6の一方の脚片60上には、前記の後輪ブレーキホース5とセンサケーブル4をクランプするクランプ部材2が設けられている。後輪ブレーキホース5はブレーキオイルが流れるから、後輪ブレーキホース5はセンサケーブル4よりも大径に設けられる。フェンダ3はスイングアーム6上に3つのネジ35、35aにて止められ、このうち1つのネジ35によってフェンダ3はクランプ部材2とともに脚片60上に共止めされる。このとき、クランプ部材2はフェンダ3の上側に位置する。マスタシリンダ8からフェンダ3の一側部に開設された通過孔30を通って後方に延びた後輪ブレーキホース5は、クランプ部材2にクランプされてブレーキキャリパ51に達する。
ネジ35は脚片60の上方からクランプ部材2に挿入されて脚片60に螺合する。即ち、ネジ35は、本発明の「固定具」に相当する。しかし、ネジ35に代えて、脚片60の下面からボルトを挿入し、フェンダ3とクランプ部材2とを貫通したボルトの先端部にナットを嵌めて、フェンダ3とクランプ部材2を脚片60上に取り付けてもよい。
クランプ部材2は脚片60上にて後輪9の外周に最も接近した箇所に取り付けられるのが好ましい。クランプ部材2によって後輪ブレーキホース5及びセンサケーブル4の不用意な挙動を規制するから、該後輪ブレーキホース5及びセンサケーブル4が後輪9に接近する可能性を更に低減することができる。
【0012】
(クランプ部材の詳細)
図4(a)は、クランプ部材2の斜視図、図4(b)は、図4(a)の平面図、図4(c)は、図4(a)をC方向から見た側面図である。クランプ部材2は、スイングアーム6の脚片60に取り付けられ前後に延びた板状の固定部21と、該固定部21よりも後方且つ上方に位置する第1保持片20と、該固定部21と第1保持片20とを接続する接続片25と、該固定部21よりも車幅方向内側に位置する第2保持片7とを備える。第1保持片20がセンサケーブル4を、第2保持片7が後輪ブレーキホース5を夫々保持し、センサケーブル4は後輪ブレーキホース5よりも車幅方向外側を通る。第1保持片20と接続片25と固定部21とは、1枚の金属板を折曲して形成され、固定部21の前端部には、脚片60に螺合するネジ35が通過する第1ネジ通過孔22が開設されている。第1保持片20は前後方向に垂直な断面がC字形状に形成されて前後に延び、車幅方向外側に前記センサケーブル4が通る第1挿入口23を設けている。即ち、第1挿入口23は、第1保持片20に対して第2保持片7が位置する向きとは反対向きに開口している。
【0013】
第1挿入口23の上下長さは、センサケーブル4の径よりも小さく、該センサケーブル4は径方向に弾性変形されて、第1挿入口23から第1保持片20に挿入される。固定部21の外側縁には、下向きに延びたストッパ片24が固定部21と一体に設けられている。
ストッパ片24は、接続片25と逆向きに折曲されて、該接続片25から前方に離れて形成される。第1保持片20を形成する前に、ストッパ片24と接続片25とを折曲することにより、ストッパ片24と接続片25とを容易に形成することができる。
第2保持片7は金属線を折曲して形成され、後端部が後方に延びて接続片25の外面に溶接される取付け具74を形成している。該取付け具74は前後方向に亘って連続しまたは互いに離間して設けられた溶接部26にて接続片25に溶接される。
【0014】
該第2保持片7は、前後方向に垂直な断面がC字形状に形成された挟み部70と、該挟み部70の前方に位置して図4(c)に示すように、挟み部70の内側端部よりも外側に位置する当接部71と、挟み部70及び当接部71の下方に位置して挟み部70及び当接部71を連結する連結片72と、車幅方向に延びて挟み部70と取付け具74とを接続する接続部75とを一体に形成している。該挟み部70の下側に、後輪ブレーキホース5が通る第2挿入口73が開設されている。第2挿入口73の幅は、後輪ブレーキホース5の径よりも小さく、該後輪ブレーキホース5は径方向に弾性変形されて、第2挿入口73から第2保持片7に挿入される。
挟み部70は、第1保持片20に対して車幅方向にずれて配置され、本実施形態では車幅方向内側にずれて配置される。即ち、接続部75によって挟み部70は取付け具74よりも車幅方向内側に位置する。
固定部21と第1保持片20とを合わせた全体の車幅方向の寸法は、脚片60の幅よりも短い。第2保持片7は脚片60の上方にあり、第2挿入口73は脚片60の上面に接近している。クランプ部材2がスイングアーム6の脚片60に取り付けられた状態で、図4(c)に示すように、連結片72は該脚片60の内側面に接近する、或いは接する。
【0015】
(後輪ブレーキホース及びセンサケーブルの保持効果)
前記の如く、センサケーブル4は第1挿入口23を通って、第1保持片20に挿入される。センサケーブル4は前後に延びて、第1保持片20に保持され、排気装置99のマフラ98等に干渉することが防止される。この状態で固定部21の少なくとも一部及びネジ35の頭部はセンサケーブル4によって隠れる。これにより、自動二輪車1の外観の美観を向上させることができる。また、ネジ35が挿入される固定部21と、第1保持片20は前後方向にずれているから、ネジ35を第1ネジ通過孔22を通して脚片60に螺合する際に、第1保持片20が邪魔にならない。
1つのクランプ部材2にて、後輪ブレーキホース5とセンサケーブル4を保持できるので、別個の部品で後輪ブレーキホース5とセンサケーブル4を保持する場合に比して、部品点数を削減することができる。後輪ブレーキホース5とセンサケーブル4を1つの部材で保持すると、該部材の幅が大きくなり易いが、上述の構成により、クランプ部材2の車幅方向の寸法が大きくなることを抑えることができる。
また、固定部21上にセンサケーブル4が配置されるから、車軸方向に固定部21とセンサケーブル4とが並ぶ場合に比して、クランプ部材2の車軸方向の寸法、及び固定部21が配置される脚片60上の領域の車軸方向の寸法を小さくすることができる。これにより、脚片60の上面にクランプ部材2を収め易くなる。
【0016】
後輪ブレーキホース5は第2保持片7に保持される。これにより、後輪ブレーキホース5が後輪9に干渉することが防止される。クランプ部材2が脚片60に取り付けられた状態で、第2挿入口73が脚片60の上面にて塞がれるから、後輪ブレーキホース5が第2保持片7から脱落する可能性を防止することができる。第2保持片7と固定部21とは、車軸方向にずれているので、後輪ブレーキホース5を第2保持片7に挿入する際に、固定部21が邪魔にならない。また、第1保持片20と第2保持片7は前後にずれて配置されるから、各保持片20、7が幅方向に干渉することを防ぎ、クランプ部材2が車軸方向に沿って大型化することを防止できる。
接続片25によって、第1保持片20と固定部21とは上下に間隔を空けることができ、ネジ35の頭部とセンサケーブル4との干渉を防ぐことが出来る。第1保持片20と接続片25とが、前後方向に延びることで、センサケーブル4の上下又は水平方向の変位を抑え、安定して保持することができる。
前記の如く、第2保持片7は金属線を折曲して形成され、一般に金属線は断面円形である。従って、第2保持片7を後輪ブレーキホース5を保持するのに用いることにより、第2保持片7に面取り等の更なる加工を行うことなく、後輪ブレーキホース5の表面と接触した場合に後輪ブレーキホース5の損傷を防ぐことが出来る。
ネジ35によってクランプ部材2がスイングアーム6に着脱可能に取り付けられるから、フェンダ3が損傷した場合にはフェンダ3の交換を図ることが出来る。
【0017】
(クランプ部材のスイングアームへの取り付け)
図5は、クランプ部材2をスイングアーム6の脚片60に取り付ける際の作業手順を示す斜視図である。フェンダ3は前記通過孔30を設けた側部から、外向きに取付け片31を水平に突出しており、該取付け片31に前記固定部21の第1ネジ通過孔22に合わさる第2ネジ通過孔32が開設されている。
予め、後輪ブレーキホース5を、フェンダ3の通過孔30に通しておき、該フェンダ3の取付け片31を脚片60の上面に置く。脚片60上にはネジ35が螺合するネジ孔(図示せず)が開設され、前記第2ネジ通過孔32はネジ孔に合わさる。フェンダ3は前記の如く、該第2ネジ通過孔32を含む合計3箇所にて、スイングアーム6にネジ止めされる(図3参照)。
この状態で、クランプ部材2を取付け片31の上方に配置する。フェンダ3から後方に延びた後輪ブレーキホース5を第2挿入口73を通して第2保持片7の挟み部70に嵌める。後輪ブレーキホース5は弾性変形されて、第2挿入口73を通過した後に弾性復帰して、挟み部70に嵌まる。これとともに、第2保持片7の当接部71を後輪ブレーキホース5の内側端部に当接させる。即ち、後輪ブレーキホース5はフェンダ3の通過孔30、当接部71、挟み部70の3箇所にてクランプされ、後輪ブレーキホース5は該通過孔30と当接部71とにて挟持される。前記の如く、当接部71は挟み部70の内側端部よりも外側に位置するから、挟み部70と通過孔30の間に位置する後輪ブレーキホース5が後輪9に接近することを防止できる。
【0018】
次に、後輪ブレーキホース5を取り付けたまま、クランプ部材2の固定部21を取付け片31上に載置し、第1ネジ通過孔22と第2ネジ通過孔32とを合わせる。クランプ部材2のストッパ片24は取付け片31の外側面及び脚片60の外側面に当接する。連結片72は脚片60の内側面に接近又は当接する。
固定部21の上方から、ネジ35を第1ネジ通過孔22と第2ネジ通過孔32とを貫通してネジ孔に螺合させる。ストッパ片24が取付け片31及び脚片60の外側面に当接し、連結片72が取付け片31及び脚片60の内側面に当接し又は接近するから、ネジ35を回転させても、クランプ部材2の回転は規制される。ネジ35のネジ孔への螺合が完了すると、クランプ部材2が脚片60に固定され、且つフェンダ3と共止めされる。ネジ35のフェンダ3への螺合と前後して、他の2つのネジ35aをフェンダ3に通してスイングアーム6に螺合させる。
【0019】
最後に、第1挿入口23からセンサケーブル4を第1保持片20に挿入する。センサケーブル4は弾性変形されて第1挿入口23を通過した後に、弾性復帰して第1保持片20に嵌まる。第1挿入口23は、第1保持片20に対して第2保持片7が設けられた向きとは反対側に開口しているから、センサケーブル4は第2保持片7に干渉することなくスムーズに挿入される。尚、センサケーブル4は第2保持片7に干渉することなく第1保持片20に挿入されればよいから、第1挿入口23は上を向いていてもよい。
後輪ブレーキホース5がフェンダ3を通ることにより、該後輪ブレーキホース5の一部は自動二輪車1の外側から見えない。これによって、自動二輪車1の外観上の美観が更に向上する。また、後輪ブレーキホース5はセンサケーブル4よりも大径であって剛性が高い。従って、後輪ブレーキホース5は不用意な挙動が規制されるから、該後輪ブレーキホース5を取り付けたクランプ部材2をスイングアーム6に取り付けることが容易になる。
【0020】
(センサケーブル取り付けの応用例)
図6は、センサケーブル4を第1保持片20へ取り付ける構造の応用例を示す図であって、第1保持片20を外側から見ている。センサケーブル4にはゴム製のグロメット47が嵌められており、該グロメット47は第1保持片20に嵌められる筒体48の両端部に鍔体49を設けて構成される。センサケーブル4を包んだ筒体48が、第1挿入口23を通って、第1保持片20にクランプされた状態で、鍔体49は第1保持片20の前後端面に接して、センサケーブル4が前後に動くことを防ぐ。これにより、センサケーブル4が第1保持片20と直接擦れることによる、センサケーブル4の磨耗を防ぐことができる。尚、後輪ブレーキホース5にグロメット47を嵌めて、第2保持片7にクランプしてもよい。
センサケーブル4がグロメット47に嵌まることにより、センサケーブル4の一部に応力集中が生じることを防ぐことが出来る。鍔体49が第1保持片20の内径よりも大きく形成され、両鍔体49の間隔が第1保持片20の前後方向寸法よりも大きく形成されることにより、スイングアーム6が揺動してもセンサケーブル4が第1保持片20に対して前後方向に変位することを防ぐことが出来る。また、固定部21の第1ネジ通過孔22が第1保持片20と間隔を空けて配置されることで、グロメット47の鍔体49とネジ35の頭部とが干渉することを防ぐことが出来る。また、第2保持片7と鍔体49とを間隔を空けて配置することで、鍔体49と第2保持片7とが干渉することを防ぐことが出来る。
【0021】
上記記載では、フェンダ3とクランプ部材2とで、後輪ブレーキホース5をクランプしていた。しかし、フェンダ3のみで後輪ブレーキホース5の挙動を規制することが出来れば、第2保持片7は不要である。また、センサケーブル4を通過孔30からフェンダ3内に通してもよい。但し、通過孔30の周縁にて、センサケーブル4を傷付けないように工夫する必要がある。例えば前記のグロメット47をセンサケーブル4に被せて通過孔30に嵌めることが考えられる。
センサケーブル4の代わりに、後輪ブレーキホース5が固定部21の上に被さるように保持されても良い。従って、本発明はセンサケーブル4を備えない車両においても適用可能である。
上記の実施形態では、第1保持片20は固定部21よりも後方に配置されている。しかし、固定部21の真上を後輪ブレーキホース5又はセンサケーブル4が通過すればよく、第1保持片20は固定部21よりも前方に配置されてもよい。また、第1保持片20は前後方向に関して固定部21と同じ位置で、固定部21の上方に配置されてもよい。また、平面視において、後輪ブレーキホース5又はセンサケーブル4が固定部21と重なればよいが、後輪ブレーキホース5又はセンサケーブル4の中心軸線が固定部21と重なることがより好ましい。
クランプ部材2は、フェンダ3に共締めされていなくてもよく、スイングアーム6に直接締結されても良い。また、クランプ部材2は金属板と金属線とを組み合わせて形成されるとしたが、金属板のみでクランプ部材2を形成しても良い。
本実施形態に係る自動二輪車では、ガソリンを燃料とする二輪車を想定したが、本実施形態の技術的な内容は例えば電動二輪車にも応用することができる。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する1つの態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、ブレーキホースやセンサケーブルのような索体を配線した自動二輪車に使用すると有用である。
【符号の説明】
【0023】
1 自動二輪車
2 クランプ部材
3 フェンダ
4 センサケーブル
5 後輪ブレーキホース
6 スイングアーム
7 第2保持片
9 後輪
20 第1保持片
21 固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6