特許第6077802号(P6077802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077802
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】軸筒及びその軸筒を用いた筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 3/00 20060101AFI20170130BHJP
   B43K 8/02 20060101ALI20170130BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B43K3/00 X
   B43K8/02 C
   B29C45/26
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-193799(P2012-193799)
(22)【出願日】2012年9月4日
(65)【公開番号】特開2013-67165(P2013-67165A)
(43)【公開日】2013年4月18日
【審査請求日】2015年6月10日
(31)【優先権主張番号】特願2011-193873(P2011-193873)
(32)【優先日】2011年9月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】川端 慎大
【審査官】 ▲吉▼川 康史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−090984(JP,A)
【文献】 特開2007−320114(JP,A)
【文献】 特開平10−236067(JP,A)
【文献】 特開2001−080281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 3/00
B29C 45/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端は開口し、他端は閉鎖されている有底状の軸筒であると共に、外面にゲート跡のない軸筒であって、ゲート跡は、開口側内面に形成し、ゲート跡周囲から肉厚部を形成したことを特徴とする軸筒。
【請求項2】
軸筒底側の内面にガス抜きのピンを形成したことを特徴とする請求項記載の軸筒。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の軸筒を用いたことを特徴とする筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、意匠性、成形性に優れた筆記具、塗布具などに好適な軸筒、及びその軸筒を用いた筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筆記具の有底のある軸筒において、円筒形によるものが主流であるが、一部には意匠性を強調するため、楕円形等の非円筒形のものを軸筒にすることが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、円筒形の軸を射出成形で製造する場合、軸後端部(底部)からゲート部を設けて樹脂を流す技術が開示されている(例えば、本出願人による特許文献4参照)。
【0003】
しかしながら、上記特許文献4などにおいて、ゲートが軸後端部に存在すると表面に凹凸部を形成することになり、平滑な面を形成することができないため、意匠性を損なってしまうなどの課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平07−28686号公報(実用新案登録請求の範囲、図2等)
【特許文献2】特開2004−338374号公報(特許請求の範囲、図1等)
【特許文献3】特表2007−502729号公報(特許請求の範囲、図1等)
【特許文献4】特開2005−212397号公報(特許請求の範囲、図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、有底のある軸筒(成形品)において、軸表面を平滑な面にすることが求められていたが、有底状の成形品の閉じた面の外側にゲートを設けることはできないという従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、ゲート跡がない平滑な面となる意匠性、成形性に優れた軸筒、及びその軸筒を用いた筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記従来の課題等を解決するために、鋭意検討した結果、特定の金型などを用いることにより、樹脂やガスの流れを抑制し、閉じた面にウェルドを発生させず、ゲート跡がない平滑な面となる上記目的の軸筒、及びその軸筒を用いた筆記具が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0007】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) 一端は開口し、他端は閉鎖されている有底状の軸筒において外面にゲート跡のないことを特徴とする軸筒。
(2) ゲート跡は開口側内面に形成し、ゲート跡周囲から肉厚部を形成したことを特徴とする上記(1)記載の軸筒。
(3) 軸筒底側の内面にガス抜きのピンを形成したことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の軸筒。
(4) 上記(1)〜(3)に記載された軸筒を用いたことを特徴とする筆記具
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軸筒外面にゲート跡による凹凸がないので、意匠性、成形性に優れた軸筒及びその軸筒を用いた筆記具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の軸筒の一例を示す図面であり、(a)は中央縦断面図、(b)は(a)の中央横断面図、(c)は左側面図、(d)右側面図である。
図2図1(c)の拡大左側面図である。
図3】本発明の軸筒を金型により製造する一例を模式的に示す説明図であり、(a)は長軸側断面図、(b)は短軸側断面図である。
図4】本発明の軸筒を金型により製造する際の後端部の面を模式的に示す説明図である。
図5】(a)及び(b)は、本発明の軸筒を用いた筆記具の図1(a)及び(b)に対応した各縦断面図である。
図6】本発明の軸筒を用いた筆記具の一例を示す図面であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
図7】本発明の軸筒を用いた筆記具において、キャップ部を軸筒後端部に取り付けた状態を示す図5(a)及び(b)に対応した各縦断面図である。
図8】(a)及び(b)は、本発明の軸筒を用いた筆記具からキャップ部を取り外した状態を示す前方側、後方側から見た各斜視図である。
図9】(a)及び(b)は、図7の本発明の軸筒を用いた筆記具において、他例となるキャップ部を軸筒後端部に取り付けた状態を示す正面図、平面図である。
図10】(a)及び(b)は、図9の正面図と平面図に対応した各縦断面図である。
図11図9の筆記具に用いた他例となるキャップ部を示す各図面であり、(a)及び(b)は前方側、後方側から見た各斜視図、(c)は平面図、(d)は(c)の中央縦断面図である。
図12図11の続きのキャップ部の各図面であり、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は(b)の中央縦断面図である。
図13】(a)〜(f)は、従来例となる外面にゲート跡がある軸筒の平面図、中央横断面図、右側面図、左側面図、正面図、中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
図1は、本発明の軸筒の一例を示すものであり、(a)は中央縦断面図、(b)は中央横断面図、図2図1(c)の拡大左側面図、図3及び図4は、本発明の軸筒を金型により製造する一例を模式的に示す各説明図である。
本実施形態の軸筒10は、図1図3に示すように、一端は開口し、他端は閉鎖されている有底楕円状の筒状体からなるものであり、例えば、PP等からなる合成樹脂を使用して成形され、筆記具の本体(後軸)として機能するものである。
【0011】
この軸筒10は、図1(a)〜(d)に示すように、筒状体部11の内部後端面11aから後述するインク吸蔵体の後端部を保持する保持片12と保持段部13とを有する保持部材14が所定間隔ごとに、本実施形態では4つ立設されると共に、保持突起部15が2つ立設されている。
また、軸筒10の底側となる内部後端面11aには、金型、例えば、射出成形用の金型により製造する際のガス抜きのボス16,16が長軸側の上下に2つ形成されている。この軸筒10の開口側には、環状嵌合部11bが形成されており、この嵌合部11bに後述する先軸15が固着される構造となっている。
この構成となる軸筒10は、後述する金型、並びに、樹脂、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等で一体成形することができるものであり、軸筒(後軸)全体が外観上や実用上の観点から、不透明、又は透明(及び半透明)に成形されると共に、金型によるゲート跡17,17は開口側内面に形成され、ゲート跡17、17周囲から肉厚部11c,11cが形成されるものである。なお、図2中の図示符号18,18は面削ぎ部である。
【0012】
本発明となる軸筒10を形成する金型70としては、例えば、図3(a)及び(b)に示すように、軸後端部でキャビティ71を71a,71bに分割されている。図3(a)及び(b)中の図示符号73はコアピン、74はコアの冷却穴、75はランナー溝である。キャビティ71の分割により軸線と直交方向でのガス抜きは容易にできるものとなるが、通常の開口部のせん断ゲートでは、後端部の中心にガスが集まるため、完全には抜け切らない状態となる。そこで、本発明の軸筒10のように、後端部にガス抜きピン72、72を立設すれば、コアの内側からガスは抜けるようになる。厚肉部11cによって樹脂の到達位置を後端部中心からずらし、樹脂の集合地点をキャビティ分割面にもってくることで、キャビティの末端の中心からではなく、コアの先端から内側にガスを抜くようにしたものである。図4に示すように、樹脂の集合地点が横にずれて、ガスが抜けやすくなる。また、横にずれた地点の成形品の内側には、ボス16、16が立っており、コアとピン72の隙間から内側にガスを抜くことができる。
【0013】
本発明では、図3(a)及び(b)に示すように、長軸側と短軸側で肉厚差をつけて(ゲート側を肉厚にして、流れを速くした)後端部での樹脂の集合地点をキャビ分割面のガスベントまでずらしたものである。
このように、ゲートがある面の成形品の肉厚を増やすことにより、90°方向で樹脂の到達距離を変えて閉じた面の中心で樹脂が集合しない(ガスがたまらない)ようにした。これにより、樹脂が成形品の閉じた面の側面で集合し、閉じた面の側方には軸の変曲点があるため、そこでキャビティ70を分割し、型内のガスを抜くものとした。また、コアの内側にガス抜き目的のピン72,72を取り付け、成形品側には内側にボス16,16を設け、コアの内側からもガスを引っ張り、ウェルドの発生を抑制した。コアゲートの場合と比べ、通常の成形サイクルで成形することができ、生産性は高いものとなる。
【0014】
このように構成され、金型により製造される本発明の軸筒10は、軸筒外面にゲート跡による凹凸がないので、意匠性、成形性に優れたものとなる。
また、金型により製造される本発明の軸筒10は、樹脂やガスの流れを抑制し、閉じた面にウェルドの発生を抑制できると共に、コアゲートの場合と比べ、通常の成形サイクルで成形することができため、生産性にも優れたものとなる。
【0015】
図5図8は、本発明となる軸筒10を用いた筆記具の一例を示す各図面である。
この筆記具Aは、マーキングペンタイプの筆記具であり、図5図8に示すように、本発明となる筆記具本体を構成する軸筒10以外に、先軸20、インク吸蔵体25、中継芯30、ペン先40、キャップ部60とを備えている。なお、本発明となる筆記具本体を構成する軸筒10以外の先軸、ペン先、キャップ部等の構成は、特に限定されるものではない。
【0016】
先軸20は、図5に示すように、後方側に軸筒10の開口部に嵌合する環状の嵌合部20aと、前方側に肩部20b、ペン先40の本体部41を固着する筒状の嵌入部20cとを有すると共に、上記嵌合部20a内にはインク吸蔵体25の前端部を保持する保持片からなる保持部材20dが設けられている。この構造の先軸20は、例えば、PP等からなる合成樹脂などで成形されるものである。
【0017】
インク吸蔵体25は、水性インク、油性インクなどの筆記具用インクを含浸したものであり、例えば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組み合わせからなる繊維束、フェルト等の繊維束を加工したもの、また、スポンジ、樹脂粒子、焼結体等の多孔体を含むものである。このインク吸蔵体25は、軸筒10内の保持部材14…等により収容保持されるものとなる。
また、用いるインク組成は特に限定されず、アンダーラインペン等ではインクに蛍光色素、例えば、ベーシックバイオレット11、ベーシックイエロー40などを含有させることできる。
【0018】
中継芯30は、インク吸蔵体25のインクを後述する保持体55に設けたインク誘導部50に供給する中継用の芯体となるものであり、インク吸蔵体25の前方側に圧入する構造となっている。この中継芯30は、インク吸蔵体25と同様に繊維束、フェルト等の繊維束を加工した繊維束芯、または、硬質スポンジ、樹脂粒子焼結体等からなる樹脂粒子多孔体、スライバー芯等の連続気孔(流路)を有するものであり、インク吸蔵体20に含浸されたインクを中継芯30を介して保持体55のインク誘導部50へ供給できるものであれば、特にその形状、構造等は限定されるものでない。この中継芯30の断面形状としては、例えば、円、楕円、正方形、長方形、台形、平行四辺形、ひし形、カマボコ形、半月形の形状が挙げられ、本実施形態では、断面形状が円形状となっている。
【0019】
ペン先40は、図5図9に示すように、筆記部となるペン芯45と、該ペン芯45を保持し、筆記部にインクを供給するためのインク誘導部50を有する保持体55とを備えると共に、保持体55には後方側に中継芯を保持する筒状部41を有する本体部42が連設されている。この本体部42の外周面にはフランジ部43が設けられ、筒状部41の入口は中継芯30を嵌入保持する嵌入保持部となっている。
この構造のペン先40では、インク吸蔵体25からのインクを中継芯30、インク誘導部50、ペン芯45へと毛管力作用により連続的に供給できる構造となっている。
【0020】
このペン先40全体又は保持体55は、視認性を有する材料、例えば、PP、PE、PET、PEN、ナイロン(6ナイロン、12ナイロン等の一般的なナイロン以外に非晶質ナイロン等を含む)、アクリル、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ABS等の材料の一種類、または、耐久性、視認性の点などから、2種類以上の材料を用いて射出成形、ブロー成形などの各種成形法により成形することができる。なお、可視光線透過率は、多光源測色計を用いて反射率を測定することで求めることができる。
【0021】
筆記部となるペン芯45は、保持体55の先端部に固着されるものであり、例えば、各種繊維束を樹脂加工した繊維芯、または、各種のプラスチック粉末ななど焼結したポーラス体(焼結芯)などからなるものである。ペン芯45の形状としては、例えば、外観形状がチゼル形状、砲弾形状、円柱、楕円柱、立方体、直方体などの形状が挙げられ、本実施形態では、チゼル形状となっている。
【0022】
保持体55内部には、図5図7及び図8に示すように、長手方向の中央にインク誘導部50が貫通する形で1本設けられている。このインク誘導部50は、筆記具用インクが入った状態で、視認部として機能しないものである。また、インク誘導部50以外の保持体55が視認部を形成する面となるものである。
また、キャップ部60は、筒状型の外キャップ部61と、筆記具のペン先を保護する内キャップ部62と、上記外キャップ部61と内キャップ部62とを連結する肩部63とを有するものである。
【0023】
この筆記具Aでは、上記構成及び効果を奏する軸筒10、先軸20、インク吸蔵体25、中継芯30、ペン先40、キャップ部60、順次装着等することにより、製造することができ、筆記具本体となる軸筒10外面にはゲート跡による凹凸がないので、製造される筆記具は今までにない意匠性、成形性に優れた筆記具が提供されるものとなる。
【0024】
また、この筆記具Aでは、上記保持体55が、視認性を有する材料で構成されているので、当該保持体55においてインキ誘導部50以外の全面(全体)が図5図7図9等に示すように、筆記方向を視認できる視認部となるものであり、視認部の面積比率を、先軸20先端部より突出したペン先の40%以上、視認部の面積比率を、50%以上にすることができ、筆記方向に書いてある文字を確実に読むことができる十分な視認性が付与することができると共に、終筆まで使用可能な筆記具が提供されるものとなる。
なお、上記形態では、筆記具本体の軸筒などを断面楕円状に形成したが、円形状、三角形状、四角形以上の方形状にしても良いものである。
【0025】
図9図12は、本発明の軸筒を用いた筆記具において、キャップ部が他例となるものであり、図9(a)及び(b)は、他例となるキャップ部を軸筒後端部に取り付けた状態を示す正面図、平面図、図10(a)及び(b)は、図9の正面図と平面図に対応した各縦断面図、図11及び図12はキャップ部の各態様の図面である。なお、図5図8で用いた筆記具と同様の構成は同一図示符号を用いてその説明を省略する。
この実施形態となるキャップ部60は、軸筒10の後端部に、キャップ部60の開口部側内面が嵌合するように形成されている。具体的には、キャップ部60の内面には、図9図12に示すように、軸筒10の外形に合わせて楕円形状となっており、短軸側に突起部64を形成し、長軸側には段部65を形成して、長軸短軸共に最大径部分での軸筒60後端部と嵌合することで、軽い力での軸筒10とキャップ部60との脱落を防ぐ構造となるものである。なお、図示符号66は、外キャップ部61の表面部に形成したデザイン性を向上させた凹面部である。
【実施例】
【0026】
次に、実施例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0027】
〔実施例1〕
(軸筒の構成:図1及び図2準拠)
図1及び図2に準拠する軸筒10を、図3に開示の金型を用いると共に、樹脂材料として、ポリプロピレン(PP)を用いて成形することにより、軸筒外面にゲート跡による凹凸がない軸筒を作製した。なお、図13は、従来例となる軸筒Xの後端外面にゲート跡xが形成される軸筒を示す各図面である。
【0028】
(筆記具の構成:図5図8準拠)
(ペン先の構成)
筆記部ペン芯:PE製焼結芯、気孔率60%、上辺長さ5mm、下辺長さ6mm、高さ3mm、前端面の両側を面取り加工
保持体(本体部含む):アクリル樹脂製、可視光線透過率85%〔スガ試験機社製、多光源分光測色計(MSC−5N)にて反射率を測定し、可視光線透過率とした。〕
ペン先の視認部面積(面積比率)の算出は、成形品の実寸法を測定することにより行い、面積比率は90%であった。長さ:11mm、厚さ3.2mm、幅方向長さ6.8mm
インク誘導部:円筒形状、直径:0.7mm、長さ7.1mm、インクが入った状態の可視光線透過率27%であった。
(ペン先以外の筆記具部材の構成)
中継芯 :PET繊維束、気孔率65%、φ3×24mm
インク吸蔵体:PET繊維束、気孔率85%、φ13×55mm
ペン芯と保持体の接着は下記により行った。
ペン芯は、保持体にペン芯を面取り部側から装着した状態で、有機溶剤(酢酸エチル)をしみ込ませ、乾燥させることで接着した。
キャップの大きさ:幅方向長さ1.5cm、長手方向長さ2.8cm、肉厚1mmの楕円状の開口面、全長3.2cm、内キャップ部の大きさ:内径φ8mmの開口面
【0029】
(インク組成)
インクとして、下記組成の蛍光桃インクを使用した。
色材 :VCトナー桃(御国色素社製) 30質量部
湿潤剤:グリセリン 25質量部
防腐剤:バイオエース(ケイアイ化成社製) 0.7質量部
イオン交換水 44.3質量部
【0030】
このように構成される本発明の実施例となる軸筒では、図13の従来の後端外面にゲート跡xがある軸筒に較べ、外面にゲート跡による凹凸がないので、今までにない意匠性、成形性に優れることが判った。
この実施例の軸筒により構成した筆記具を用いて、文字の上に筆記したところ、筆記時に視認部を介して向こう側の見え方を目視にて確認したところ、視認性が十分であり、非常に見やすく、筆記方向に書いてある文字を読みながら筆記することができた。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の軸筒では、アンダーラインペン、ペイントマーカー、油性マーカー、水性マーカー、ボールペンなどの筆記具の軸筒として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
10 軸筒
20 先軸
25 インク吸蔵体
30 中継芯
40 ペン先
45 ペン芯
50 インク誘導部
55 保持体
72 ガス抜きのピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13