(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧電振動子を収容した圧電パッケージと、前記圧電振動子の振動信号を基に所定周波数の発振信号を生成する回路部品を収容した回路部品パッケージとを具備し、前記圧電パッケージと前記回路部品パッケージを電気的に、かつ機械的に接合してなる圧電モジュールであって、
前記圧電パッケージは、第1底壁層と第1枠壁層とで形成されて前記圧電振動子を収容する第1凹部と、前記第1凹部を封止する蓋体を有すると共に、前記第1凹部の外底面に前記圧電振動子の振動信号を出力するための複数の外部端子を有し、
前記回路部品パッケージは、第2底壁層と第2枠壁層とで形成されて前記回路部品を収容する第2凹部を有すると共に、前記第2凹部の開口端面に前記圧電パッケージの前記外底面に有する前記複数の外部端子のそれぞれと電気的に接続される複数の接続端子を有し、
前記回路部品パッケージの前記複数の接続端子を含む前記第2凹部の開口端面の全周と前記圧電パッケージの前記第1凹部の外底面との間に介在されるとともに前記回路部品の側面から一部上面を含めて当該回路部品を収容した回路部品パッケージの一部内底面まで充填される半田粒子入り熱硬化樹脂を有し、
前記圧電パッケージの前記複数の外部端子と前記回路部品パッケージの前記複数の接続端子とは前記半田粒子入り熱硬化樹脂を構成する半田粒子の溶融と硬化で金属接合により電気的に接続されると共に、前記回路部品パッケージの前記第2凹部の開口端面の全周と前記圧電パッケージの前記第1凹部の外底面とが前記半田粒子入り熱硬化樹脂を構成する熱硬化樹脂の溶融と硬化により接合されていることを特徴とする圧電モジュール。
圧電振動子を収容した圧電パッケージと、前記圧電振動子の振動信号を基に所定周波数の発振信号を生成する回路部品を収容した回路部品パッケージとを具備し、前記圧電パッケージと前記回路部品パッケージを電気的に、かつ機械的に接合してなる圧電モジュールであって、
前記圧電パッケージは、第1底壁層と第1枠壁層とで形成されて前記圧電振動子を収容する第1凹部と、前記第1凹部を封止する蓋体を有すると共に、前記第1凹部の外底面に前記圧電振動子の振動信号を出力するための複数の外部端子を有し、
前記回路部品パッケージは、第2底壁層と第2枠壁層とで形成されて前記回路部品を収容する第2凹部を有すると共に、前記第2凹部の開口端面に前記圧電パッケージの前記外底面に有する前記複数の外部端子のそれぞれと電気的に接続される複数の接続端子を有し、
前記回路部品パッケージの前記複数の接続端子を含む前記第2凹部の開口端面の全周と前記圧電パッケージの前記第1凹部の外底面との間に介在されるとともに前記回路部品の側面から一部上面を含めて当該回路部品を収容した回路部品パッケージの一部内底面まで充填される異方性導電層を有し、
前記圧電パッケージの前記複数の外部端子と前記回路部品パッケージの前記複数の接続端子とは、製造時の加圧と加熱による前記異方性導電層を構成する導電フィラーを介在した橋絡接合により電気的に接続されると共に、前記回路部品パッケージの前記第2凹部の開口端面の全周と前記圧電パッケージの前記第1凹部の外底面とが前記異方性導電層を構成する熱硬化樹脂の溶融と硬化により接合されていることを特徴とする圧電モジュール。
【背景技術】
【0002】
圧電振動子と共に圧電モジュールを構成する回路部品パッケージは、発振回路や温度制御機能を備えた発振回路を集積したICチップ、あるいは発振回路を構成する一部のディスクリート部品を搭載したものである。発振回路を集積したICチップを搭載した回路部品パッケージを圧電パッケージに接合した圧電モジュールは、そのままで所定の周波数を出力する発振器となる。発振回路を構成する一部のディスクリート部品を搭載した回路部品パッケージを圧電パッケージに接合した圧電モジュールは、適用する電子機器側に用意された回路と共に所定の周波数を出力する発振器となる。
【0003】
表面実装用の水晶発振器に代表される圧電モジュールは小型・軽量であって、例えば温度補償型とした場合は外気の温度変化に対して周波数安定度が高いことから、特に携帯型の電子機器(例えば携帯電話)に周波数や時間の基準源として内蔵される。以下では、回路部品パッケージに発振回路(ICチップ)を搭載したものを圧電発振器の代表的なデバイスである水晶発振器として説明する。なお、回路部品パッケージに温度補償機構を有しないICチップを搭載した、所謂シンプルパッケージ型の水晶発振器もある。温度補償機構を備えた圧電モジュール(水晶発振器等)の一つに、圧電片(水晶片等)で構成した振動子を収容した圧電パッケージ(水晶片を用いた場合、水晶パッケージと称する)とICチップを搭載した回路部品パッケージ(この場合、ICチップパッケージ)とを上下2段構造に接合したものがある。
【0004】
なお、上記の圧電パッケージを重ねて固着する回路部品パッケージに搭載するICチッ
プに代えて、サーミスタあるいはダイオードを収納した温度センサ付き圧電モジュールの構成にも同様に適用できる。
【0005】
また、ここでは、実施例を含めて、圧電振動子を水晶振動子、水晶振動子を用いた圧電モジュールを水晶発振器として説明する。しかし、本発明は、このような圧電モジュールに限るものではなく、SAWフィルタなどの圧電関連デバイス、その他の部品の内外で回路部品パッケージや回路部品を搭載した実装基板と一体化する接続構造を有する各種の電子デバイスにも同様に適用できるものである。
【0006】
ここで例として説明する水晶発振器は、携帯機器を始めとした各種の電子機器に限らず、車載電子機器などにも組み込まれるようになっている。車載電子機器などのような衝撃や温度環境に変化の大きい電子機器では、経時変化やヒートサイクルに伴う熱膨張差、あるいは外力印加による基板歪等の応力変化に起因する半田クラックの発生、基板あるいは部品本体へのダメージを防止するための強固な接続構造を考慮することが求められている。上記のように、この種の発振器には、低背化と共に堅牢化が共に要請されている。
【0007】
図37は、圧電モジュールの代表的なデバイスである水晶発振器の一構成例を説明する模式図であり、
図37(a)は断面を、
図37(b)はこの水晶発振器を構成するICチップパッケージ2の開口端面を水晶パッケージ2側から見た平面を示す。図示したように、この水晶発振器1は、水晶振動子24を収容した平面視が略矩形の水晶パッケージ2と、水晶パッケージ2と平面視が略同じ形状で水晶振動子24と共に水晶発振器を構成するための電子回路を集積したICチップ33を搭載した回路部品パッケージであるICチップパッケージ3で構成される。水晶パッケージ2は、セラミックスシート(グリーンシートとも称する)等で構成した容器本体からなる水晶パッケージ
2の底壁層(以下、第1底壁層)21と水晶パッケージ2の枠壁層(以下、第1枠壁層)22とからなり、水晶パッケージ2と対応する平面視が略同じな矩形をなす容器本体20の当該第1枠壁層22で囲まれた凹部(水晶パッケージ2の凹部、以下、第1凹部)28に水晶
振動子24が搭載、収容されている。通例、水晶パッケージ2とICチップパッケージ3とは、上下に重ねて水晶発振器1として接合した状態では外側面を共有する形状とされる。
【0008】
水晶振動子24は水晶の薄片(水晶片)の両面に励振電極(図示せず)を形成して構成されており、この励振電極のそれぞれから水晶
振動子24の一端縁に延びる引き出し電極(同じく、図示せず)を前記第1凹部28の内底面(一主面)に設けられている一対の水晶保持端子26(片方のみ図示)に導電性接着剤25を用いて固着されている。
【0009】
水晶
振動子24を収納した第1凹部28は金属板で形成した蓋体23で密閉封止して水晶パッケージ2とされている。蓋体23と第1枠壁層22とは蓋体
23と同種の金属膜(あるいは金属リング、図示せず)を介してシーム溶接等で封止される。なお、蓋体23としては、水晶板、セラミックス板、硬質樹脂板などの非金属材料を用いたものもある。第1底壁層21の外底面(他主面)には、ICチップ33を搭載したICチップパッケージ3の接続端子36に半田層6を介して接続するための外部端子27が設けられている。外部端子27は第1底壁層21を貫通するスルーホールあるいはビアホール30で水晶保持端子26に電気的に接続している。
【0010】
ICチップ33を搭載したICチップパッケージ3は、セラミックスシートで形成したICチップパッケージ
3の底壁層(以下、第2底壁層)31とICチップパッケージ
3の枠壁層(以下、第2枠壁層)32の積層基板で構成されている。なお、ICチップパッケージ3を構成する第2底壁層や第2枠壁層を多層としたものもある。ICチップパッケージ3の第2枠壁層32で囲まれたICチップパッケージ
3の凹部(以下、第2凹部)38の内底面であるICチップパッケージ3の一主面(ICチップ搭載面)には、配線パターンと複数の電極パッド35が形成され、第2枠壁層32の開口端面には水晶パッケージ
2の外部端子27に接続する接続端子36が形成されている。また、ICチップパッケージ3の他主面(第2底壁層31の外底面、機器実装面)には、適用する電子機器の回路基板に表面実装するための実装端子37が複数個(この例では4個)設けられている。
【0011】
ICチップ33は、その実装バンプ34(半田バンプ、或いは金バンプなど)を第2枠壁層32の一主面(内底面)に形成されている電極パッド35に超音波熱圧着等で固着される。さらに、ICチップパッケージ3の一主面との間にエポキシ樹脂を好適としたアンダーフィル(図示せず)と称する樹脂層を充填してデバイスとしての強度を確保している。なお、ICチップの搭載には、バンプと電極パッドによる接続に限らず、ワイヤーを用いたものもある。
【0012】
ICチップ33を搭載したICチップパッケージ3と水晶パッケージ2とは、ICチップパッケージ3の第2枠壁層32の開口端面(水晶パッケージ
2の外底面に対面する面)に形成された接続端子36と水晶パッケージ2の外部端子27の間に配置した半田材料をリフロー処理で溶融し硬化させた半田層6で接合するのが一般的である。半田層6は金属材料である接続端子36の上面のみに形成される。半田層6は水晶
パッケージ2の外部端子27の上に配置して、リフロー処理してもよい。そして、水晶パッケージ2の他主面(外底面)とICチップ33の間の凹部、および第2枠壁層32の一主面とICチップ33の間にエポキシ樹脂等をアンダーフィル層(図示せず)として充填することでデバイス強度を向上させることができる。この種の発振器に関する従来技術を開示したものとしては、特許文献1、特許文献2を挙げることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
水晶パッケージ
2とICチップパッケージ
3とを2段重ねして接合するこの種の水晶発振器では、水晶パッケージの外底面(
図37(a)の第1底壁層21の外底面)に設けた外部端子27をICチップパッケージ
3の凹部開口端面(
図37の第2凹部38の開口端面)の対応部分に設けられた接続端子36に位置合わせし、半田を用いて電気的、かつ機械的に接続して両者を接合している。
【0015】
近年の水晶発振器の小型化に伴い、ICチップ
33も小型化され、そのICチップを搭載するICチップパッケージ
3も小さくすることが求められている。そのため、ICチップパッケージ
3の小型化も必須となる。したがって、ICチップ
33を搭載する凹部開口の面積が小さくなり、搭載されるICチップ
33のサイズが制限される。特に、温度制御機構を備えたICチップ
33を必要とするような高性能水晶発振器では、搭載できるICチップ
33のサイズが制限される。
【0016】
また、移動体通信機器あるいは車載機器のための水晶発振器では、凹部底面にICチップ
33を搭載後、当該ICチップ
33を強固に固定し、耐振動や耐衝撃性および防塵性を向上させるためのアンダーフィル充填工程が必要となる。しかし、ICチップパッケージ
3の凹部は極めて小さい上に、ICチップ
33を搭載後の凹部空間はより狭く、当該ICチップ
33と凹部底面および内壁面の間に形成されるスペースはさらに狭くなっている。このような狭いスペース内に樹脂を過不足なく充填することは極めて困難な作業となる。
【0017】
また、ICチップ33を実装したICチップパッケージ3に水晶パッケージ2を半田層6等で接合する水晶発振器1などの圧電モジュールでは、水晶パッケージ2の外部端子27と回路部品パッケージであるICチップパッケージ3の接続端子36との間で十分な接合強度を確保すると共に、ICチップ
33を収容した凹部を密封して湿気や塵埃の進入を防止することが重要である。水晶パッケージ2の容器本体20を構成する第1底壁層21の外底面(他主面)には凹部がないので、その外部端子27の面積を大きく取ることができる。しかし、ICチップパッケージ3の接続端子36は、その第2枠壁層32の開口端面に設けられるものであるため、水晶パッケージ2の外部端子27との接合強度を確保するためには、接続端子36を形成する開口端面の面積をある程度の広さとする必要がある。
【0018】
第2枠壁層32の開口端面の広さを広くすると第2凹部38の平面視面積は相対的に狭くなる。その結果、この
第2凹部38に搭載するICチップ33のサイズは、この第2凹部
38の広さに制限される。接続端子36を形成する開口端面の平面視幅を狭くし、当該接続端子36をその開口端面の辺に沿って細長く形成すると共に、水晶パッケージ2の外部端子27も対応する形状とすることも考えられる。しかし、この場合、外部端子間(接続端子間)が狭くなり、短絡発生のおそれがある。
【0019】
本発明の目的は、ICチップ等の回路部品を実装する第2凹部
38を広く確保しつつ、実装基板の接続端子と水晶振動子に代表される圧電振動子の外部端子を強固に接合できる構成として、大きなサイズのICチップ等が実装でき、外形サイズを拡大することなく、大サイズのICチップ等を搭載可能とし、水晶
パッケージの外部端子に接続する接続端子を有するICチップパッケージ
3の凹部開口端面に簡略な製造工程により、当該水晶パッケージ
2を確実な電気的かつ機械的に接続して、強固な接合と密閉構造を有した構造の水晶発振器に代表される圧電モジュールを提供することにある。なお、言うまでも無く、本発明は、水晶発振器に限らず、水晶を含めた圧電材料を用いて圧電発振器を構成した圧電モジュール、あるいは発振器の一部回路部品を搭載した回路部品パッケージを備えた圧電モジュールとの接合構造全般に適用できるものである。以下では、これらの圧電モジュールを含めて圧電発振器等と称することもある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る圧電モジュールを説明する例としての水晶発振器は、水晶振動子を収容して外部端子を備えた絶縁性容器からなる水晶パッケージと、水晶振動子と共に水晶発振器を構成するための回路を集積したICチップ等の回路部品を搭載して前記外部端子と接続する接続端子を備えた容器からなる回路部品パッケージ(回路部品がICチップの場合はICチップパッケージ)とを電気的、かつ機械的に強固に接続可能とするため、次の代表的構成としたことを特徴とする。なお、下記の「水晶」を「圧電」と読み替えることで「水晶発振器」は「圧電モジュール」に演繹される。
【0021】
(1)水晶振動子を収容した水晶パッケージと、前記水晶振動子の振動信号を基に所定周波数の発振信号を生成する回路部品を搭載した回路部品パッケージとを具備し、前記水晶パッケージと前記回路部品パッケージを電気的に、かつ機械的に接合してなる水晶発振器であって、
前記水晶パッケージは、第1底壁層と第1枠壁層とで形成されて前記水晶振動子を収容する第1凹部と、前記第1凹部を封止する蓋体を有すると共に、前記第1凹部の外底面に前記水晶振動子の振動信号を出力するための複数の外部端子を有し、
前記回路部品パッケージは、第2底壁層と第2枠壁層とで形成されて前記回路部品を収容する第2凹部を有すると共に、前記第2凹部の開口端面に前記水晶パッケージの前記外底面に有する前記複数の外部端子のそれぞれと電気的に接続される複数の接続端子を有し、
前記回路部品パッケージの前記複数の接続端子を含む前記第2凹部の開口端面の全周と
前記水晶パッケージの前記第1凹部の外底面との間に介在された半田粒子入り熱硬化樹脂を有し、
前記水晶パッケージの前記複数の外部端子と前記回路部品パッケージの前記複数の接続端子とは前記半田粒子入り熱硬化樹脂を構成する半田粒子の溶融と硬化で金属接合により電気的に接続されると共に、前記回路部品パッケージの前記第2凹部の開口端面の全周と前記水晶パッケージの前記第1凹部の外底面とが前記半田粒子入り熱硬化樹脂を構成する熱硬化樹脂の溶融と硬化により接合されていることを特徴とする。
【0022】
(2)前記(1)における前記水晶パッケージの前記第1凹部を構成する前記第1底壁層と第1枠壁層、及び前記回路部品パッケージの前記第2凹部を構成する前記第2底壁層と第2枠壁層は、セラミックスシートで形成されていることを特徴とする。
【0023】
(3)前記(1)における前記水晶パッケージの前記第1凹部を構成する前記第1底壁層と第1枠壁層及び前記蓋体は水晶板で形成され、前記回路部品パッケージの前記第2凹部を構成する前記第2底壁層と第2枠壁層は、セラミックスシートで形成されていることを特徴とする。
【0024】
(4)前記(3)における前記第1底壁層の外底面の、少なくとも前記回路部品パッケージの前記第2凹部の開口端面側の全周が粗面化処理されており、前記水晶パッケージの前記第1底壁層の外底面に溶融した前記半田粒子と前記熱硬化樹脂が強固に接合されていることを特徴とする。
【0025】
(5)前記(4)における前記粗面化処理は多数の凹凸と多数の細孔の何れか又は両方であり、前記水晶パッケージの前記第1底壁層の外底面に溶融した前記半田粒子と前記熱硬化樹脂を受容し硬化した状態での錨止で強固に接合されていることを特徴とする。
【0026】
(6)前記(1)乃至(5)の何れかにおける前記水晶
パッケージと前記ICチップパッケージを接合するための半田粒子入り熱硬化樹脂は、前記ICチップパッケージの凹部開口を覆うごとく配置される前記水晶振動子の外底面に形成された外部端子から当該外底面に沿って内側に延在していることを特徴とする。
【0027】
(7)前記(1)乃至(5)の何れかにおける前記水晶振動子と前記ICチップパッケージを接合するための半田粒子入り熱硬化樹脂は、前記ICチップの側面から一部上面を含めて当該ICチップを搭載した
ICチップパッケージの一部内底面まで充填されていることを特徴とする。
【0028】
(8)水晶振動子を収容した水晶パッケージと、前記水晶振動子の振動信号を基に所定周波数の発振信号を生成する回路部品を搭載した回路部品パッケージとを具備し、前記水晶パッケージと前記回路部品パッケージを電気的に、かつ機械的に接合してなる水晶発振器であって、
前記水晶パッケージは、第1底壁層と第1枠壁層とで形成されて前記水晶振動子を収容する第1凹部と、前記第1凹部を封止する蓋体を有すると共に、前記第1凹部の外底面に前記水晶振動子の振動信号を出力するための複数の外部端子を有し、
前記回路部品パッケージは、第2底壁層と第2枠壁層とで形成されて前記回路部品を収容する第2凹部を有すると共に、前記第2凹部の開口端面に前記水晶パッケージの前記外底面に有する前記複数の外部端子のそれぞれと電気的に接続される複数の接続端子を有し、
前記回路部品パッケージの前記複数の接続端子を含む前記第2凹部の開口端面の全周と前記水晶パッケージの前記第1凹部の外底面との間に介在された異方性導電層を有し、
前記水晶パッケージの前記複数の外部端子と前記回路部品パッケージの前記複数の接続
端子とは、製造時の加圧と加熱による前記異方性導電層を構成する導電フィラーを介在した橋絡接合により電気的に接続されると共に、前記回路部品パッケージの前記第2凹部の開口端面の全周と前記水晶パッケージの前記第1凹部の外底面とが前記異方性導電層を構成する熱硬化樹脂の溶融と硬化により接合されていることを特徴とする。
【0029】
(9)前記(8)における前記水晶パッケージの前記第1凹部を構成する前記第1底壁層と第1枠壁層、及び前記回路部品パッケージの前記第2凹部を構成する前記第2底壁層と第2枠壁層は、セラミックスシートで形成されていることを特徴とする。
【0030】
(10)前記(8)における前記水晶パッケージの前記第1凹部を構成する前記第1底壁層と第1枠壁層及び前記蓋体は水晶板で形成され、前記回路部品パッケージの前記第2凹部を構成する前記第2底壁層と第2枠壁層は、セラミックスシートで形成されていることを特徴とする。
【0031】
(11)前記(10)における前記第1底壁層の外底面の、少なくとも前記回路部品パッケージの前記第2凹部の開口端面の全周が粗面化処理されており、前記水晶パッケージの前記第1底壁層の外底面に溶融した前記導電フィラーと前記熱硬化樹脂が強固に接合されていることを特徴とする。
【0032】
(12)前記(11)における前記粗面化処理は多数の凹凸と多数の細孔の何れか又は両方であり、前記水晶パッケージの前記第1底壁層の外底面に溶融した前記熱硬化樹脂を受容し硬化した状態での錨止で強固に接合されていることを特徴とする。
【0033】
(13)前記(8)乃至(12)の何れかにおける前記水晶
パッケージと前記ICチップパッケージを接合するための前記異方性導電層は、前記ICチップパッケージの凹部開口を覆うごとく配置される前記水晶振動子の外底面に形成された外部端子から当該外底面に沿って内側に延在していることを特徴とする。
【0034】
(14)前記(8)乃至(12)の何れかにおける前記水晶
パッケージと前記ICチップパッケージを接合するための前記異方性導電層は、前記ICチップの側面から一部上面を含めて当該ICチップを搭載した
ICチップパッケージの一部内底面まで充填されていることを特徴とする。
【0035】
以下に、本発明のさらに詳しい構成を列挙する。
【0036】
(15)水晶
パッケージは、セラミックスシート、水晶板あるいはガラスなどの絶縁材からなる底壁層と枠壁層とで形成した容器本体の凹部に水晶振動子を収容し、当該凹部を金属、水晶板あるいはガラスなどの絶縁材の蓋体で封止してなる。底壁層の外底面には、後記するICチップパッケージに電気的に接続する外部端子が設けられる。外部端子は水晶振動子の励振電極に接続している。
【0037】
(16)ICチップパッケージは、同じくセラミックスシート、水晶板あるいはガラスなどの絶縁材からなる底壁層と枠壁層とで形成した容器の凹部にICチップを収納してなる。この凹部を形成する枠壁層の幅(底壁層方向を見た平面視の幅)を小さく(狭く)して凹部の面積を
図37に示した従来例のものよりも拡大する。これにより、外形サイズの拡大なしに、より大サイズのICチップや電子部品を搭載することができる。
【0038】
(17)ICチップパッケージを構成する底壁層と枠壁層とで形成した容器の凹部の開口端面(枠壁層の表面)に、水晶パッケージの外部端子に対面して電気的に接続する接続端子が設けられる。接続端子はICチップの回路に接続している。また、底壁層の外底面
には、実装対象機器の基板等に表面実装するための実装端子が形成され、これらの端子から動作電源の供給を受け、発振信号を実装基板の所要の機能回路に供給する。
【0039】
(18)水晶パッケージとICチップパッケージとは、それらの外部端子の形成面と接続端子の形成面との間の全周に介在させた半田粒子入り熱硬化樹脂を加熱加圧することで、あるいは熱硬化樹脂に導電体粒子を分散した異方性導電層を形成し、加圧加熱で接続する。
【0040】
(19)半田粒子入り熱硬化性樹脂を用いるものでは、当該半田粒子入り熱硬化樹脂をICチップパッケージの凹部開口端面の接続端子を含めた前記水晶パッケージの外底面に対向する面の全面を周回して塗布する。これを加熱加圧することで、上記した外部端子と接続端子とを金属接合で電気的に接続すると共に、水晶パッケージとICチップパッケージの間は熱硬化樹脂の溶融と硬化による接合で隙間なく、かつ機械的に強固に固着する。なお、半田粒子入り熱硬化樹脂は水晶パッケージの外底面側に塗布するようにしてもよいし、ICチップパッケージの凹部開口端面と水晶パッケージの外底面の両者に塗布してもよい。
【0041】
(20)異方性導電層を用いるものでは、前記外部端子の形成面と接続端子の形成面を含めた全周に当該異方性導電層を形成し、水晶パッケージとICチップパッケージとの間に加圧と加熱を与えて導電性フィラーにより前記接続端子と前記外部端子を電気的に橋絡して接続すると共に、前記水晶
パッケージの前記容器本体を構成する前記第1底壁層の外底面と前記ICチップパッケージの前記第2凹部の前記開口端面の間を熱硬化樹脂の硬化接合で密閉して機械的に固定してなる。導電フィラーには、金メッキした樹脂粒子などを用いることができる。
【0042】
(21)ICチップパッケージに設ける接続端子は、水晶パッケージからの電圧信号を受け取ればよいので、その電極面積を大きくとる必要はない。ICチップパッケージの接続端子は、水晶パッケージの外部端子に対して確実な接続ができる大きさであればよい。該接続端子はICチップパッケージの凹部開口端面の上記水晶パッケージに設けた外部端子と対向して半田粒子入り熱硬化樹脂中の半田粒子を噛み込んで金属接合できる大きさであれば、形状も限定する必要はない。異方性導電層を用いる場合も同様である。
【0043】
(22)水晶パッケージの外部端子を設ける容器本体の底壁層は全面が平坦であるので、当該外部端子は互いの間での短絡が起きない程度の間隔を最大値とした大面積の電極とすることができる。一方、ICチップパッケージに設ける接続端子は、水晶パッケージの外部端子(通例、方形又は方形に近い矩形)に対して相対的に小さくすることができる。接続端子を小さく形成できることは、ICチップパッケージの凹部開口端面の面積を小さくして凹部面積を拡大できることを意味する。これによって、半田粒子入り熱硬化樹脂あるいは異方性導電層を両パッケージの電極部分の周囲を含めて、接合部全周に切れ目なく形成でき、両パッケージ間の確実な密封と強固な接合が達成される。
【0044】
(23)ICチップをセラミックスシート等の底壁層と枠壁層とで形成した凹部に搭載する手段は、所謂フリップチップボンディング、又はワイヤーボンディング、半田バンプボンディング、半田粒子入り熱硬化樹脂の何れでもよい。
【0045】
(24)水晶パッケージとICチップパッケージを接合するための半田粒子入り熱硬化樹脂あるいは異方性導電層は、ICチップパッケージの凹部開口を覆うごとく配置される前記水晶パッケージの外底面に形成された外部端子から当該外底面に沿って内側に延在させることで両パッケージの接合がより強固になる。また、半田粒子入り熱硬化樹脂をICチップの側面から一部上面(チップ背面:凹部開口側)を含めて当該ICチップを搭載し
た
ICチップパッケージの一部内底面まで充填することでICチップパッケージの剛性が増し、両パッケージの接合がさらに強固になる。
【0046】
(25)水晶パッケージを重ねて固着するICチップパッケージに搭載するICチップに代えて、サーミスタあるいはダイオードを収納した温度センサ付水晶振動子の構成にも同様に適用できる。この場合、ICチップパッケージにはICチップを搭載しないが、本発明では便宜上ICチップもサーミスタあるいはダイオードと同様に一つの電子部品であるので、ICチップを含めてサーミスタあるいはダイオードなどのディスクリートな回路部品を収納したパッケージを回路部品パッケージと総称する。
【0047】
(26)水晶パッケージの蓋体を含めて容器本体を水晶板で構成したものでは、容器本体の底壁層も水晶材であることから、熱硬化樹脂との接合強度はセラミックス材との接合に比べて低い。本発明では、水晶板で構成した容器本体の底壁層の表面(外外面)に多数の微細な凹凸や微細孔を形成し、溶融した樹脂の一部がこの微細な凹凸や微細孔に入り込んで錨止するようにして、前記ICチップパッケージとの接合度を強化する。水晶パッケージの蓋体を含めて容器本体をガラス材で構成することもでき、このようなものでも上記した水晶板の外壁層の場合と同様の表面処理を行うことで接合強度を強化できる。
【0048】
(27)なお、水晶パッケージとICチップパッケージの一方又は双方を構成する底壁層を複数層とし、その内層に金属膜を設け、これを接地に接続することで、電磁シールドとすることもできる。また、水晶パッケージとICチップパッケージの一方又は双方を構成する底壁層の外部端子あるいは接続端子を避けた部分に金属膜または金属層を設けてもよく、水晶パッケージの蓋体を金属板以外の絶縁体で形成したものでは、その内面あるいは外面に金属膜または金属層を設けてこれを接地に接続することもできる。
【発明の効果】
【0049】
ICチップパッケージの接続端子が水晶パッケージの外部端子に対して相対的に小さくなっても、両者を半田粒子入り熱硬化樹脂あるいは異方性導電層を用いた接合で接続させることにより、水晶パッケージに搭載した水晶振動子の振動信号電圧をICチップで構成される発振回路に確実に供給できる。また、半田粒子入り熱硬化樹脂あるいは異方性導電層を水晶パッケージとICチップパッケージとの接合部分の前記水晶パッケージとICチップパッケージとの接合部の全周に形成することで、水晶パッケージの外部端子とICチップパッケージの接続端子を加熱加圧して金属接合あるいは導電粒子間のメッキ層による導電接合させると同時に両パッケージは半田粒子入り、あるいは導電粒子入りの熱硬化樹脂の硬化によって機械的に強固に接合でき、ICチップパッケージの凹部は密封封止される。
【0050】
水晶パッケージとICチップパッケージを半田粒子入り熱硬化樹脂あるいは異方性導電層で密封できるため、ICチップへの湿気や異物付着の防止とICチップの固着のためのアンダーフィル材の充填工程が不要となる。なお、ICチップをより強固に固定するために、ICチップパッケージの凹部内に溢れるように、半田粒子入り熱硬化樹脂を余剰に塗布することでさらに強固な接合とすることもできる。
【0051】
水晶パッケージの外部端子と電気的に接続するためのICチップパッケージの凹部開口端面に設ける接続端子を小さくすることで、ICチップパッケージの枠壁層の厚みを薄くすることができるようになり、その結果として凹部の面積を拡大して、サイズの大きいICチップを収容して搭載することが可能となる。特に、温度
補償水晶発振器(TCXO)などの高性能発振器では、ICチップに集積する回路規模が温度制御機能を有しない水晶発振器(SPXO)のそれよりも大きいことから、ICチップパッケージの外形を大きくすることなく、高性能かつ大規模ICチップを収容して搭載できる。また、従来と同一サ
イズのICチップを用いる場合にはICチップパッケージの外形サイズを小さくし、水晶パッケージの外形サイズの縮小と共に水晶発振器全体の外形サイズをさらに小さくすることが可能となる。
【0052】
また、半田粒子入り熱硬化樹脂を用いたものでは、従来、水晶パッケージの外部端子とICチップパッケージの接続端子を半田接続する際に行われている当該端子の電極面に施す半田プリコートが不要となるので、製造プロセスも簡略になる。前記外部端子と接続端子の電気的接続と水晶
パッケージとICチップパッケージの接合を同時に行われることでも製造プロセスが簡略化される。
【0053】
水晶パッケージの容器本体を水晶材やガラス材とし、半田粒子入り熱硬化樹脂や異方性導電層を用いてICチップパッケージと接合するものでは、水晶パッケージの外底面を粗面化し、あるいは多数の微細な凹凸を形成することで溶融硬化する樹脂の錨止作用で接合強度を向上できる。
【0054】
なお、本発明は、特許請求の範囲に記載された技術思想の範囲を逸脱することなく、種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明に係る圧電モジュールの実施形態を水晶発振器、あるいは温度センサ付水晶振動子に適用した実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0057】
図1は、本発明に係る圧電モジュールを水晶発振器に適用した実施例1の説明図であり、同図(a)は断面図を、同図(b)は同図(a)のICチップパッケージ
2に有する凹部を水晶パッケージ2側から見た平面図を示す。実施例1に係る水晶発振器1は、水晶振動子24で構成した平面視が矩形の水晶パッケージ2とこの水晶パッケージ
2と共に水晶発振器を構成するための電子回路を集積したICチップ33を収容した回路部品パッケージであるICチップパッケージ3で構成される。
【0058】
水晶パッケージ2は、
図37(a)で説明した水晶発振器と同様に、セラミックスシー
トを好適とする水晶振動子の底壁層(第1底壁層)21と枠壁層(第1枠壁層)22とからなり、平面視が矩形をなす容器本体20の当該第1枠壁層22で囲まれた凹部(水晶パッケージの凹部、第1凹部)28に水晶振動子24が収容されている。通例、水晶パッケージ2とICチップパッケージ3とは、上下二段に重ねて水晶発振器1として接合した状態で一体化した平たい箱形状とされる。
【0059】
水晶振動子24は水晶の薄片(水晶片)の両面に図示しない一対の励振電極が当該水晶片をサンドイッチするように形成されている。この一対の励振電極のそれぞれから当該水晶片の一端縁に延びる引き出し電極(図示せず)を前記第1凹部28の内底面(一主面)に設けられている一対の水晶保持端子26(片方のみ図示)に導電性接着剤25を用いて固着される。
【0060】
水晶振動子24を収納した第1凹部28はコバールを好適とする金属板で形成した蓋体23で密閉封止して水晶パッケージ2としている。蓋体23と第1枠壁層22とは蓋体と同種の金属膜を介してシーム溶接等で封止される。なお、蓋体23としては、金属板の他に水晶板、セラミックス板、硬質樹脂板などの非金属材料を用い、適宜の接着剤で封止することもできる。その場合、当該蓋体のいずれかの面に金属膜を設けるのが望ましい。第1底壁層21の外底面(他主面)には、ICチップ33を収容したICチップパッケージ3の接続端子36に半田粒子入り熱硬化樹脂4を介して接続するための外部端子27が設けられている。外部端子27は第1底壁層21を貫通するスルーホールあるいはビアホール30で水晶保持端子26に電気的に接続している。
【0061】
ICチップ33を収容したICチップパッケージ3も前記
図37で説明したものと略同様の構造を有し、セラミックスシートで形成したICチップパッケージ
3の底壁層(第2底壁層)31とICチップパッケージ3の枠壁層(第2枠壁層)32の積層基板で構成されている。なお、ICチップパッケージ3を構成する第2底壁層や第2枠壁層の一方又は他方を多層シートで形成することができる。その場合、当該多層シートの内層あるいは外面に金属膜あるいは金属板を設けてシールドとするのが望ましい。
【0062】
ICチップパッケージ3の第2枠壁層32で囲まれたICチップパッケージの凹部(第2凹部)38の内底面であるICチップパッケージ3の一主面(ICチップ搭載面)には、配線パターンと複数の電極パッド35が形成され、第2枠壁層32の開口端面には水晶パッケージ2の外部端子27に接続する接続端子36が形成されている。また、ICチップパッケージ3の他主面(第2底壁層31の外底面、機器実装面)には、適用する電子機器の回路基板に表面実装するための実装端子37が複数個(この例では4個)設けられている。
【0063】
本実施例では、ICチップパッケージ3を構成する第2枠壁層32の幅(底壁層方向を見た幅)を小さく(狭く)して凹部の面積(平面視の大きさ)を
図37に示した従来例のものよりも大きくし、第1凹部28の面積よりも拡大してある。これにより、外形サイズの拡大なしに(水晶振動子の外形サイズはそのままで)、より大サイズのICチップを第2凹部38内に収容できる。
【0064】
ICチップ33は、その実装バンプ34(半田バンプ、或いは金バンプなど)を第2枠壁層32の一主面(内底面)に形成されている電極パッド35に超音波熱圧着等で固着される。
【0065】
ICチップパッケージ3を構成する第2底壁層31と第2枠壁層32とで形成した第2容器における第2凹部38の開口端面(
第2枠壁層32の水晶パッケージ2の外部端子27と対面する表面)に、水晶パッケージ2の外部端子27に対面して電気的に接続する接
続端子36が設けられる。接続端子36は第2容器に設けた適宜のスルーホールあるいはビアホールと第2凹部38を構成する第2底壁層31の内底面にパターニングされた配線(図示せず)を介してICチップ33の所定の回路端子に接続している。また、第2底壁層31の外底面には、実装対象機器の基板等に表面実装するための複数の実装端子37が形成されている。これらの実装端子37から動作電源の供給を受け、また、所定周波数の発振信号を実装基板の所要の機能回路に供給する。
【0066】
水晶パッケージ2とICチップパッケージ3とは、外部端子27の形成面(水晶パッケージ2の外底面)と接続端子36の形成面(凹部開口端面)との間に介在させた半田粒子入り熱硬化樹脂4を加熱加圧することで接続する。微小な半田粒子4aを熱硬化性樹脂に
分散した半田粒子入り熱硬化樹脂4をICチップパッケージ3の凹部開口端面の接続端子36を含めた全面を周回して塗布する。この塗布にはディスペンサーを用いた直接描画、スクリーン印刷、あるいはインクジェットノズルによる塗布法、またはフィルム状に成形したものを貼付する方法を利用できる。
【0067】
塗布した半田粒子入り熱硬化樹脂4を加熱加圧することで、上記した外部端子27と接続端子36とを電気的に接続すると共に、水晶パッケージ2とICチップパッケージ3の間を密封し、かつ機械的に強固に固着する。なお、半田粒子入り熱硬化樹脂4は水晶
パッケージ2の外底面側に塗布してもよいし、ICチップパッケージ3の凹部開口端面と水晶パッケージ2の外底面の両者に塗布して重ね合わせ、加熱加圧してもよい。
【0068】
実施例1の構成により、水晶パッケージの外部端子と電気的に接続するためのICチップパッケージの凹部開口端面を小さくすることで、外形サイズの拡大無しに、当該第2凹部の面積を拡大してサイズの大きいICチップを収容することが可能となる。特に、温度
補償水晶発振器(TCXO)などの高性能水晶発振器では、ICチップに集積する回路規模が通常の水晶発振器のそれよりも大きいことから、ICチップパッケージの外形サイズを大きくすることなく、高性能で大規模なICチップを収容できる。
【0069】
また、従来と同一サイズのICチップを用いる場合にはICチップパッケージの外形サイズを小さくし、水晶パッケージの外形サイズの縮小と共に水晶発振器全体の外形サイズをさらに小さくすることが可能となる。
【0070】
また、半田粒子入り熱硬化樹脂を直接的に端子面に塗布することで、水晶パッケージの外部端子とICチップパッケージの接続端子を半田接続する際に行われている当該端子の電極面に施す半田プリコート工程が不要となる。これに加えて、水晶パッケージの外部端子とICチップパッケージの接続端子の電気的接続、および水晶パッケージとICチップパッケージとの密封封止が同時に行われることで水晶発振器の製造プロセスが大幅に簡略化される。
【実施例2】
【0071】
図2は、本発明に係る圧電モジュールを水晶発振器に適用した実施例2を説明する前記
図1(a)と同様の断面図である。実施例2における水晶パッケージ2、ICチップパッ
ケージ3の大まかな構成は実施例1と略同様なので、特に必要がない限り、重複説明は省略する。本実施例は、主として水晶パッケージ2とICチップパッケージ3との接合構造周りが前記実施例と異なる。
【0072】
ICチップパッケージ3に設ける接続端子36は、水晶パッケージ2の水晶振動子24からの電圧信号を受け取れる機能を有していればよいので、両端子の間に確実な電気的接続が成される限り、端子の電極面積を特別に大きくする必要はない。このことは水晶パッケージ2の外部端子27についても同様である。
【0073】
水晶パッケージ2の外部端子27を設けるセラミックスシートの第1底壁層21は全面に亘って平坦面であるのが普通であり、ICチップパッケージ3の凹部開口端面に比べて端子形成にとって十分な余裕がある。水晶パッケージ2の外部端子27は互いの間で短絡が起きない程度の間隔を最大値とした大きい電極面積の端子(通例、方形又は方形に近い矩形)とすることができる。一方、ICチップパッケージ3に設ける接続端子36は、水晶パッケージ2の水晶振動子24からの出力電圧を受け取るためのものであるので、接続端子36は水晶パッケージ2の外部端子27と電気的に接続するのに十分な大きさがあればよく、外部端子27に対して小さくてよい。また、方形や矩形でなくてもよく、方形若しくは矩形を除く形状、例えば、線状、螺旋状、円形状、不定形状とすることも可能である。これは、以下に説明する各実施
例についても同様である。
【0074】
実施例2では、
図2に断面で示したように、ICチップパッケージ3の凹部開口端面に設けた接続端子36は水晶パッケージ2の外部端子27より幅狭とされている。すなわち、接続端子36は凹部開口端面の両端縁の内側に寄って形成されている。水晶パッケージ2の外部端子27は接続端子
36に対向すると共に当該水晶パッケージ2の外底面の内側に広がった部分を有するようになる。実施例2では、ICチップパッケージ3の凹部開口端面に半田粒子入り熱硬化樹脂4を若干余剰となる量で塗布する。水晶パッケージ2の外部端子27に沿って塗布してもよいことは言うまでもない。
【0075】
半田粒子入り熱硬化樹脂4を塗布した両パッケージに加熱加圧をすることにより、ICチップパッケージ3の凹部開口端面に設けた接続端子36と水晶パッケージ2の外部端子27との間で、半田粒子入り熱硬化樹脂4に分散していた半田粒子が接続端子36と外部端子27との間に噛み込まれて金属接合がなされる。これと同時に、溶融して両端子の電極面の間から排除された余剰の半田粒子入り熱硬化樹脂4は両端子の電極面を濡れ流れ、さらに一部が水晶パッケージ2の外底面とICチップパッケージ3の凹部開口端面を形成する第2枠壁層32の内壁を連結するようになって硬化する。
【0076】
水晶パッケージ2の外部端子27とICチップパッケージ
3の接続端子36との対面領域以外の全周部分においても、半田粒子入り熱硬化樹脂4は溶融と硬化により水晶パッケージ2の外底面とICチップパッケージ3の凹部開口端面とを密封して接合する。
【0077】
このように、ICチップパッケージの接続端子を水晶パッケージの外部端子に対して相対的に小さくしても、両者を半田粒子入り熱硬化樹脂を用いた金属接合で接続させることで、水晶振動子の振動信号電圧をICチップで構成される発振回路に確実に供給できる。また、半田粒子入り熱硬化樹脂を水晶パッケージとICチップパッケージとの接合部分の全周に塗布することで、水晶パッケージの外部端子とICチップパッケージの接続端子を加熱加圧して金属接合させると同時に、両パッケージは半田粒子入り熱硬化樹脂の硬化によって強固に接合される。
【0078】
本実施例によっても、水晶パッケージとICチップパッケージを半田粒子入り熱硬化樹脂で密封接合できるため、ICチップへの異物付着の防止とICチップの固着のためのアンダーフィル材の充填工程が不要となる。
【実施例3】
【0079】
図3は、本発明に係る圧電モジュールを水晶発振器に適用した実施例3を説明する前記
図2と同様の断面図である。
図3における水晶パッケージ2、ICチップパッケージ3の構成は実施例2と略同様なので、特に必要がない限り、重複説明は省略する。本実施例は、主として水晶パッケージ2とICチップパッケージ3との接合構造周りが前記実施例と異なる。
【0080】
実施例3では、実施例2で説明したものと同様の外部端子27と接続端子36を形成してある。水晶パッケージ2とICチップパッケージ3とを電気的かつ機械的に接合するための半田粒子入り熱硬化樹脂4は、ICチップパッケージ
3の凹部開口端面を含めて、その第2凹部38に収容したICチップ33の一部周辺および当該
第2凹部
38の内底で当該ICチップ
33との間の間隙を埋める量を塗布する。
【0081】
上記のように半田粒子入り熱硬化樹脂4を塗布したICチップパッケージ3に水晶パッケージ
2を前記各実施
例と同様に所定の状態に位置合わせし、両者の間に加熱と加圧を加えることにより、ICチップパッケージ3の凹部開口端面に設けた接続端子36と水晶パッケージ2の外部端子27との間で、その半田粒子が接続端子36と外部端子27とを金属接合で接続する。これと同時に、加熱によって溶融した半田粒子入り熱硬化樹脂4は両端子の電極面を濡れ流れ、余剰の半田粒子入り熱硬化樹脂4は両端子の電極面の間から水晶パッケージ2の外底面とICチップパッケージ3の凹部開口端面を形成する第2枠壁層32の内壁を埋め、一部はICチップ33と第2凹部38の内低面との間に流入して硬化する。
【0082】
このようにして、水晶パッケージ2の外部端子27とICチップパッケージ3の接続端子36との対向する領域以外の全周部分においても、半田粒子入り熱硬化樹脂4は溶融と硬化により水晶パッケージ2の外底面とICチップパッケージ3の凹部開口端面とを密封接合する。
【0083】
ICチップパッケージ3の接続端子36が水晶パッケージ2の外部端子27に対して極端に小さくしても、両者間で半田粒子による金属接合がなされる限り、水晶振動子24の振動信号電圧をICチップ33で構成される発振回路に確実に供給される。また、半田粒子入り熱硬化樹脂4を水晶パッケージ2とICチップパッケージ3との接合部分の全周と第2凹部38の一部に流入させて硬化させることで、水晶パッケージ2の外部端子27とICチップパッケージ3の接続端子36を加熱加圧して金属接合させて電気的接続がなされると同時に、両パッケージは強固かつ隙間なく一体接合される。
【0084】
本実施例によっても、水晶パッケージとICチップパッケージを半田粒子入り熱硬化樹脂で隙間なく、かつ強固に接合されるため、ICチップへの異物付着の侵入防止とICチップの固着のためのアンダーフィル材の充填工程が不要となり、水晶発振器の製造工程を簡略化できる。
【実施例4】
【0085】
図4は、本発明に係る圧電モジュールを水晶発振器に適用した実施例4を説明する前記
図3と同様の断面図である。
図4における水晶パッケージ2、ICチップパッケージ3の構成は実施例3と略同様なので、特に必要がない限り、重複説明は省略する。本実施例は、主として水晶パッケージ2とICチップパッケージ3との接合構造周りが前記実施例と異なる。
【0086】
実施例4では、実施例3で説明したものと同様の外部端子27と接続端子36を有する。水晶パッケージ2とICチップパッケージ3とを電気的かつ機械的に接合するための半田粒子入り熱硬化樹脂4は、ICチップパッケージ3の凹部開口端面を含めて、その第2凹部38に収容したICチップの全体を埋めるように充填塗布する。
【0087】
半田粒子入り熱硬化樹脂4の塗布後、ICチップパッケージ3に水晶パッケージ
2を所定の状態に位置合わせし、両者の間に加熱と加圧を加えることにより、ICチップパッケージ3の凹部開口端面に設けた接続端子36と水晶パッケージ2の外部端子27との間で、その半田粒子が接続端子36と外部端子27とを金属接合する。これと同時に、加熱によって溶融した半田粒子入り熱硬化樹脂4は水晶パッケージ2とICチップパッケージ3の間を埋めて硬化する。
【0088】
このようにして、水晶パッケージ2の外部端子27とICチップパッケージ
3の接続端子36との対面領域以外の全周部分においても、半田粒子入り熱硬化樹脂4は溶融と硬化により水晶パッケージ2の外底面とICチップパッケージ3の凹部開口端面とを密封接合する。
【0089】
本実施例では、ICチップパッケージ3の接続端子36を水晶パッケージ2の外部端子27に対して極端に小さくしたとしても、両者間で半田粒子による金属接合がなされる限り、水晶
振動子24の振動信号電圧をICチップ33で構成される発振回路に確実に供給される。また、半田粒子入り熱硬化樹脂4で第2凹部38を埋めて硬化させることで、水晶パッケージ2の外部端子とICチップパッケージ3の接続端子を加熱加圧して金属接合させて電気的接続がなされると同時に、両者は強固かつ隙間なく一体接合される。
【0090】
本実施例によっても、水晶パッケージとICチップパッケージは半田粒子入り熱硬化樹脂で密封かつ強固に接合されるため、ICチップへの異物付着の侵入防止とICチップの固着のためのアンダーフィル材の充填工程が不要となり、水晶発振器の製造工程を簡略化できる。
【0091】
以上説明した各実施例では、水晶パッケージの容器本体、ICチップパッケージを構成する基板としてセラミックスシートを複数積層構造としてあるが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の同様のシート状基板材料、水晶板、ガラス板などの絶縁材を用いることができる。また、ICチップパッケージ、水晶パッケージの両者共、あるいは一方を単一のシートとすることも可能である。また、水晶パッケージの容器本体、ICチップパッケージを構成する基板の適宜の部分に金属膜などの導電体を設け、これを接地に接続することで電磁シールド効果を具備させることもできる。
【0092】
なお、上記の説明は水晶パッケージとICチップパッケージ共、母材となる大サイズのセラミックスシート上に複数のデバイスを形成し、水晶パッケージ側とICチップパッケージ側とを接合後、個別に分離する工法をイメージしたものである。したがって、各実施例における個々の外形側面での接合部分は図示したように直線的となる。
【実施例5】
【0093】
図5は、本発明に係る圧電モジュールを水晶発振器に適用した実施例5の説明図であり、
図5(a)は断面図を、同(b)は同(a)のICチップパッケージを水晶パッケージ側から見た平面図を示す。実施例5に係る水晶発振器1は、水晶パッケージ2とICチップ基板であるICチップパッケージ3とで構成される。実施例5の水晶パッケージ2は、水晶板のエッチング加工で形成した水晶片24cに上側励振電極24aと下側励振電極24b、およびこれらの電極から振動信号を取り出すための引き出し電極24d、24eを有している。
【0094】
水晶パッケージ2は、平面視が矩形の水晶板からなる枠部22Aの内側から連結部9に支持された水晶片24cが形成された枠壁層(第1枠壁層)22を、同じく水晶板で形成した底壁層(第1底壁層)21と蓋体23でサンドイッチしてなる。この構造により、水晶振動子24を収容する空間(第1凹部)28が形成される。第1枠壁層22と第1底壁層21および蓋体23は封止材(低融点ガラスなど)10で密封し固着される。
【0095】
ICチップパッケージ3と対向する水晶パッケージ2の容器本体の第1底壁層21の外
底面29には多数の微細凹凸あるいは多数の微細孔29aが形成された表面処理が施されている。この表面処理は外底面29の全域に施すか、あるいはICチップパッケージ3の開口端面と対向する周回部分に施す。
【0096】
ICチップパッケージ3に水晶パッケージ2を半田粒子入り熱硬化樹脂を用いて接合する際には、外部端子形成部分以外の外底面29では溶融した樹脂が水晶パッケージの当該外底面29に形成された微細凹凸29aに入り込んで硬化する。ICチップパッケージ3の開口端面を構成する枠壁層はセラミックスシートであり、その接続電極部分を除く表面には不規則な凹凸や微細孔が存在し、溶融した樹脂はICチップパッケージ3の開口端面を構成する枠壁層との間でも不規則な凹凸や微細孔に入り込んで硬化する。
【0097】
このように、水晶パッケージ2の容器本体を水晶板で構成したものでは、その外底壁に微細凹凸を形成することにより、溶融した樹脂がこの微細凹凸に入り込んで硬化することで錨止効果が生じ、
半田粒子入り熱硬化樹脂で両者をより強固に接合することができる。
【0098】
なお、ICチップパッケージ3と水晶パッケージ2の接合に、上記した半田粒子入り熱硬化樹脂に代えて異方性導電層を用いることもできる。この異方性導電層を用いた場合の効果は、外部端子と接続端子間の接続形態を除いて、
半田粒子入り熱硬化樹脂によるものと同様である。また、水晶パッケージの容器本体をガラス材で構成したものでも本実施例と同様の接合構造で水晶発振器を構成できる。
【0099】
水晶片24cの表裏に形成された引き出し電極24d、24eは第1枠壁層22の底面(ICチップ
パッケージと対向する面)に連結電極11を介して第1底壁層)21の下面(ICチップパッケージ3と対向する面)に引き回されて外部端子27となり、ICチップパッケージ3の接続端子36に半田粒子入り熱硬化樹脂4で固着される。外部端子27と接続端子36は、両者の間に噛み込まれた半田粒子4aの金属接合で固着される。
【0100】
ICチップ33を収容したICチップパッケージ3は、セラミックスシートで形成した底壁層(ICチップ基板3の底壁層、第2底壁層)31と枠壁層(ICチップパッケージ3の枠壁層、第2枠壁層)32の積層基板で構成されている。なお、第2底壁層31や第2枠壁層32の一方又は他方を多層シートで形成してもよいし、水晶パッケージと同様の水晶板、あるいはガラス板で形成することもできる。
図5(a)では、第2底壁層31を2層のセラミックスシートで形成し、層間にシールド電極となる金属膜12を形成した例を示す。
【0101】
ICチップパッケージ3の第2枠壁層32で囲まれたICチップパッケージ
3の凹部(第2凹部)38の内底面であるICチップパッケージ3の一主面(ICチップ搭載面)には、配線パターンと複数の電極パッド35が形成され、第2枠壁層32の開口端面には水晶パッケージ2の外部端子27に接続する接続端子36が形成されている。また、ICチップパッケージ3の他主面(第2底壁層31の外底面、対象機器実装面)には、適用する電子機器の回路基板に表面実装するための実装端子37が複数個(この例では4個)設けられている。
【0102】
ICチップ33は、その実装バンプ34(半田バンプ、或いは金バンプなど)を第2枠壁層32の一主面(内底面)に形成されている電極パッド35に超音波熱圧着等で固着される。
図5の(b)はICチップパッケージ3を水晶パッケージ2側から見た平面図で、第2凹部38にICチップ33が収容された状態を示す。
【0103】
ICチップパッケージ3を構成する第2底壁層31と第2枠壁層32とで形成した第2容器における
第2凹部38の開口端面(
第2枠壁層32の水晶パッケージ2の外部端子27と対面する表面)に、水晶パッケージ2の外部端子27に対面して電気的に接続する複数の接続端子36が設けられる。接続端子36は第2容器に設けた適宜のスルーホールあるいはビアホール30と第2凹部38を構成する第2底壁層31の内底面にパターニングされた配線(図示せず)を介してICチップ33の所定の回路端子に接続している。
【0104】
水晶パッケージ2の水晶振動子24の振動信号は外部端子27と連結電極11及び接続端子36を通してICチップパッケージ3に収容されたICチップ33に集積された発振回路に接続される。
【実施例6】
【0105】
図6は、本発明に係る圧電モジュールを水晶発振器に適用した実施例6の説明図であり、
図6(a)は断面図を、同(b)は同(a)のICチップパッケージを水晶パッケージ側から見た平面図を示す。実施例6に係る水晶発振器1は、水晶振動子24を備えた水晶パッケージ2とICチップ33を収容した基板であるICチップパッケージ3で構成される。水晶パッケージ2は、第1底壁層21と第1枠壁層22とからなる容器本体20の前記第1枠壁層22で囲まれた第1凹部28に水晶振動子24を収容して構成されている。本実施例では、水晶振動子24は水晶の薄片の表裏両面に励振電極(図示せず)が形成されており、この励振電極のそれぞれから一端縁に延びる引き出し電極(同じく、図示せず)を前記第1凹部28の内底面(一主面)に設けられている一対の水晶保持端子26に導電性接着剤25を用いて固着されている。
【0106】
水晶振動子24を収納した第1凹部28は金属板で形成した蓋体23で密閉封止されて水晶パッケージ2としている。蓋体23としては、この他に、セラミックス板、水晶板、硬質樹脂板なども用いることができる。金属板の蓋体を用いる場合には、第1枠壁層22との間に蓋体23と同様の金属薄膜を介してシーム溶接等で封止される。また、第1底壁層21の外底面(他主面)には、ICチップ33を収容したICチップパッケージ3と接続するための端子(外部端子)27が設けられている。外部端子27は水晶保持端子26にスルーホールあるいはビアホール30で接続されている。なお、第1底壁層21、第1枠壁層22の一方又は双方を多層基板としてもよい。また、ICチップパッケージ3との間の適宜の表層または層間に電磁シールド膜(あるいは、電極)を設けることもできる。
【0107】
ICチップ33を収容したICチップパッケージ3は、セラミックス板からなる第2底壁層31と第2枠壁層32とで構成されている。この例では、第2底壁層31を単層基板としてあるが、多層とすることもできる。また、
ICチップ33との間の適宜の表層または層間に電磁シールド膜(あるいは、電極)を設けることもできる。
【0108】
ICチップパッケージ3の一主面(第2凹部38の内底面であるICチップ搭載面)には、複数の配線パターンや電極パッド35が形成され、この第2凹部
38の
開放端面の両端縁には水晶パッケージ2をその外部端子27を介して接続するための複数の接続端子36が形成されている。また、
ICチップパッケージ3の他主面(実装面)には、適用する電子機器に実装するための複数の実装端子37が設けられている。本実施例では、実装端子37は第2凹部38の開口端面の四隅のそれぞれに設けてある。
【0109】
ICチップパッケージ3の前記水晶パッケージ2と対向する第2凹部38の開口端面には、四隅のそれぞれに設けた接続端子36の上面を含めた全周に異方性導電層8が設けてある。
図6(b)には、接続端子36との配置関係を示すため、異方性導電層8がICチップパッケージ3の接続端子36の幅より狭く周回して形成されているが、この異方性導電層8は第2凹部38の開口端面の幅の全域を覆うように設け、接合面積を大きくするのが望ましい。
【0110】
前記水晶パッケージ2とICチップパッケージ3の接合では、先ず、ICチップパッケージ3の開口端面にフィルム状とした異方性導電層8を貼付する。貼付する異方性導電層8は異方性導電材料をフィルム状としたものを枠状に打ち抜いて開口端面に貼付してもよいが、テープ状あるいは短冊状としたものを開口端面に順次貼付するのがコスト的に望ましい。異方性導電層8は水晶パッケージ2の外部端子27側に設けてもよい。また、異方性導電層8の他の形成方法として、ペースト状の異方性導電層材料をスクリーン印刷で塗布する方法、同じペースト状の異方性導電層材料をディスペンサーを用いて描画して塗布する方法、あるいはインクジェットを用いた塗布も採用できる。
【0111】
異方性導電層を設けたICチップパッケージ3の開口端面に前記水晶パッケージ2の第1底壁層21の外面を貼り合わせ、加圧する。これにより、異方性導電層8に分散されていた導電フィラーが外部端子27と接続端子36の間を橋絡するように押圧方向に互いに接触し、外部端子27と接続端子36とを電気的に接続する。この状態で加熱炉を通すか、あるいはホットプレートに乗せて加熱することで、異方性導電層8の樹脂を溶融し、硬化させる。これによって、外部端子27と接続端子36とは電気的に接続した状態で
ICチップパッケージ3と水晶パッケージ2とがICチップパッケージ3の開口端面の全周で接合され、ICチップ33を収容した第2凹部38は密封される。
【0112】
実施例6により、水晶パッケージ
と同一サイズのICパッケージに対して、従来よりも大きなサイズのICチップを収容できる。水晶パッケージの外底面とICチップパッケージの第2凹部の開口端面とは、異方性導電層により両者の端子間が電気的に接合されると共に、当該ICチップパッケージの第2凹部の開口端面の全周が水晶振動子の外底面に異方性導電層で固着される。したがって、水晶パッケージとICチップパッケージとは電気的に接続されると共に、ICチップパッケージの第2凹部の開口端面の全周で機械的に強固に接合される。そして、収容したICチップも密閉されることで、外部雰囲気から遮断されて湿気や塵埃の侵入が防止され、水晶発振器の動作の信頼性が向上する。
【実施例7】
【0113】
図7は、本発明に係る圧電モジュールを水晶発振器に適用した実施例7の説明図であり、
図7(a)は断面図を、同(b)は同(a)のICチップパッケージを水晶パッケージ側から見た平面図を示す。実施例7は、ICチップパッケージ3のICチップ搭載構造を除いて実施例6と略同様である。実施例7におけるICチップパッケージ3はその
第2凹部38に収容するICチップ33が、
図7(b)に示したように、その
接続電極51をボンディングワイヤー53でICチップパッケージ3の
第2凹部38の内底面に設けられた回路端子52にワイヤーボンディング方式で接続されている。
【0114】
実施例6と同様に、ICチップパッケージ3の開口端面にフィルム状とした異方性導電層8を貼付する。貼付する異方性導電層8は枠状に打ち抜いたものを開口端面に貼付してもよいが、テープ状あるいは短冊状としたものを開口端面に順次貼付するのがコスト的に望ましい。異方性導電層8は水晶パッケージ2の外部端子27側に設けてもよい。また、異方性導電層8の他の形成方法として、ペースト状の異方性導電層材料をスクリーン印刷で塗布する方法、同じペースト状の異方性導電層材料をディスペンサーを用いて描画して塗布する方法、あるいはインクジェットを用いた塗布も採用できる。
【0115】
なお、ICチップ33は接着剤39で第2凹部38の内底面に固着される。また、ICチップ33をエポキシ樹脂を主剤とした液状硬化樹脂を好適とする封止樹脂(アンダーフィル)39aで第2凹部38内に全体をモールドすることで強固に固定するのが望ましい。接着剤39と封止樹脂39aは同一材料であってよい。この封止樹脂
39a等に酸化ケイ素などを含有させて熱変形を抑制することができる。
【0116】
実施例7では、実施例6と同様に、異方性導電層を設けたICチップパッケージ3の開口端面に前記水晶パッケージ2の
第1底壁層21の外面を貼り合わせ、押圧する。これにより、異方性導電層8に分散されていた導電粒子が外部端子27と接続端子36の間を橋絡するように押圧方向に互いに接触し、外部端子27と接続端子36とは電気的に接続される。この状態で加熱炉を通すか、あるいはホットプレートに乗せて加熱することで、異方性導電層8の樹脂を溶融し、硬化させる。これによって、外部端子27と接続端子36とは電気的に接続した状態でICチップパッケージ3と水晶パッケージ2とが固着される。
【0117】
実施例7によっても、水晶パッケージ
と同一サイズのICチップパッケージに対して、従来よりも大きなサイズのICチップを収容できる。水晶パッケージとICチップパッケージの第2凹部の開口端面とが、異方性導電層により両者の端子間が電気的に接合される。これと共に、当該ICチップパッケージの第2凹部の開口端面の全周が異方性導電層を構成する樹脂の硬化で固着される。したがって、水晶パッケージとICチップパッケージとは電気的に、かつ機械的に強固に接続され、収容したICチップも密閉されることで、外部雰囲気から遮断され、水晶発振器の動作における信頼性が向上する。
【実施例8】
【0118】
図8は、本発明に係る圧電モジュールを水晶発振器に適用した実施例8の構成を説明する模式断面図である。実施例8は、水晶パッケージ2の第1底壁層21の外面に、さらにもうひとつの枠壁層である第1追加枠壁層22aを形成して第2追加凹部38aを形成し、これをICチップ33の収容空間とした。この第2追加凹部38aの開口端面には外部端子27が形成されている。ICチップ33は、その実装バンプ34をICチップパッケージ3の一主面(水晶パッケージ2に対向する面)に設けた電極パッド35に接続して収容される。ICチップパッケージ3に水晶パッケージ2を接合することで、ICチップ33は第2追加凹部38aの中に収容されるようになる。
【0119】
水晶パッケージ2の第2追加凹部38aを形成する開口端面と対向するICチップパッケージ3の四隅には接続端子36が形成されている。この接続端子36を覆って前記実施例6や実施例7と同様に異方性導電層8を設ける。異方性導電層8は水晶パッケージ2の外部端子27側に設けてもよい。なお、ICチップ33を接着剤でICチップパッケージ3の内底面に固着してもよい。
【0120】
異方性導電層8を設けたICチップパッケージ3の接続端子36を水晶パッケージ2の第2追加凹部38aの開口端面に貼り合わせ、押圧する。これにより、異方性導電層8に分散されていた導電粒子が外部端子27と接続端子36の間を橋絡するように押圧方向に互いに接触して外部端子27と接続端子36とを電気的に接続する。この状態で加熱炉を通すか、あるいはホットプレートに乗せて加熱することで、異方性導電層8の樹脂を溶融し、硬化させる。これによって、外部端子27と接続端子36とは電気的に接続した状態でICチップパッケージ3と水晶パッケージ2とが強固に接合される。
【0121】
実施例8によっても、水晶パッケージ
と同一サイズのICチップパッケージに対して、従来よりも大きなサイズのICチップを収容したICチップパッケージを一体化できる。水晶パッケージとICチップパッケージとは、異方性導電層により両者の端子間が電気的に接合されると共に、第1追加枠壁層22aで形成される第2追加凹部38aの開口端面の全周が異方性導電層でICチップパッケージ3に固着される。したがって、水晶パッケージとICチップパッケージとは電気的に、かつ機械的に強固に固定され、ICチップパッケージに収容したICチップも密閉されることで、外部雰囲気からの湿気や塵埃の侵入が遮断され、水晶発振器の信頼性が向上する。
【0122】
なお、実施例6や実施例8においては、ICチップ33は、その実装バンプ34(金バンプ、等)を電極パッド35に超音波熱圧着等で固着するものとし、実施例7では、ワイヤーボンディングでICチップ33を
ICチップパッケージ3に搭載する、と説明した。しかしながら、本発明におけるICチップパッケージ3へのICチップ33の搭載は、既知の他の搭載方法を採用できることは言うまでもない。
【0123】
以下、本発明に係る水晶発振器の具体例について
図9乃至
図21により実施例9乃至実施例13として説明し、
図22によりその製造プロセスの例を説明する。また、他の具体例について
図23乃至
図35により実施例14乃至実施例18として説明し、
図36によりその製造プロセスの例を説明する。
【実施例9】
【0124】
図9は、本発明の実施例9を説明する水晶発振器の外観図であり、
図9(a)は上面(平面)を、
図9(b)は長手方向側面を、
図9(c)は短手方向側面を示す。この実施例の水晶発振器1は、「1612サイズTCXO」と通称されるもので、水晶パッケージ2にICチップパッケージ3を接合した水晶発振器である。この水晶発振器1は、全体が水晶パッケージ2とはダイシングスペースを確保した分だけ若干大き目ではあるが、水晶パッケージ2とは略同等の平面視サイズを持つICチップパッケージ3を接合した低背な製品である。ICチップパッケージ3を接合して製品とした水晶発振器1としてサイズは、ICチップパッケージ3の長手方向サイズが1.6mm、短手方向サイズが1.2mmである。
【0125】
この水晶発振器1は、水晶パッケージ2とICチップパッケージ3を半田粒子入り熱硬化樹脂4で上下に2段接合して一体の電子部品とされている。水晶パッケージ2は、前記
図1乃至
図8で説明した水晶パッケージの何れかであるが、ここでは
図5(a)で説明したタイプを用いるものとした。
【0126】
図10は、
図9に示した水晶発振器1の底面(外面、適用機器への実装面)を示す図である。この底面には4個の表面実装タイプの実装端子
37が設けてある。これら端子の機能は、
図10に示したように、接地端子(GND)、出力端子(OUTPUT)、電源端子(Vcc)、E/D端子(Enable/
Disable)
またはAFC端子である。
【0127】
図11は、
図9に示した水晶発振器1のICチップパッケージのICチップ33収容部分の説明図であり、
図11(a)は水晶パッケージ側から見た平面図、
図11(b)は
図11(a)のA−A線に沿った断面図である。
図11(b)に示したICチップ33は、ICチップパッケージ3の第2凹部38の内底の配線パターンに設けた電極パッド35に当該ICチップ33のバンプ(図示せず)を接続して搭載する。なお、ICチップ
33はワイヤーボンディングで搭載してもよい。
図11(a)の矩形破線は水晶パッケージ2が接合される位置を示す仮想線である。ICチップパッケージ3の外形サイズが若干大きいだけである。
【実施例10】
【0128】
図12は、本発明に係る圧電モジュールを水晶発振器に適用した実施例10を説明する水晶発振器の外観図であり、
図12(a)は上面(平面)を、
図12(b)は長手方向側面を、
図12(c)は短手方向側面を示す。この実施例の水晶発振器1は、「2016サイズTCXO」と通称されるもので、前記した「1612サイズTCXO」に用いられるものと同じサイズの水晶パッケージ2にICチップパッケージ3を接合した水晶発振器である。このICチップパッケージ3は水晶パッケージ2よりも大きく、水晶発振器1としてサイズは、長手方向サイズが2.0mm、短手方向サイズが1.6mmである。ダイシ
ングスペースは十分な広さとなっている。
【0129】
この水晶発振器1も前記の水晶発振器と同様に、水晶パッケージ2とICチップパッケージ3を半田粒子入り熱硬化樹脂4で上下に2段接合して一体の電子部品とされている。
【0130】
図13は、
図12に示した水晶発振器1の底面(外面、適用機器への実装面)を示す図である。この底面には4個の表面実装タイプの実装端子37が設けてある。これら端子の機能は、
図13に示したように、接地端子(GND)、出力端子(OUTPUT)、電源端子(Vcc)、E/D端子(Enable/
Disable)
またはAFC端子である。
【0131】
図14は、
図12に示した水晶発振器1のICチップパッケージのICチップ収容部分の説明図であり、
図14(a)は水晶パッケージ側から見た平面図、
図14(b)は
図14(a)のA−A線に沿った断面図である。ICチップ33は、ICチップパッケージ3の第2凹部38の内底の配線パターンに設けた電極パッド35に当該ICチップのバンプ(図示せず)を接続して搭載する。なお、ICチップはワイヤーボンディングで搭載してもよい。
図14(a)の矩形破線は水晶パッケージ2が接合される位置を示す仮想線である。
【実施例11】
【0132】
図15は、本発明の実施例11を説明する水晶発振器の外観図であり、
図15(a)は上面(平面)を、
図15(b)は長手方向側面を、
図15(c)は短手方向側面を示す。この実施例の水晶発振器1は、「3215サイズTCXO」と通称されるもので、音叉型の水晶振動子を収容した水晶パッケージ2にICチップパッケージ3を接合した水晶発振器である。
【0133】
この水晶パッケージ2の容器本体はセラミックスシートとしたものである。しかし、これに限るものではなく、水晶板やガラス板などの絶縁材を用いたものでもよい。水晶発振器1としてサイズは、長手方向サイズが3.2mm、短手方向サイズが1.5mmである。この実施例では、ICチップパッケージ3は水晶パッケージ2とはダイシングスペースを確保した分若干大きいものを用いたが、さらに大きいサイズとしてもよい。
【0134】
この水晶発振器1も前記の水晶発振器と同様に、水晶パッケージ2とICチップパッケージ3を半田粒子入り熱硬化樹脂4で上下に2段接合して一体の電子部品とされている。
【0135】
図16は、
図15に示した水晶発振器1の底面(外面、適用機器への実装面)を示す図である。この底面には4個の表面実装タイプの実装端子37が設けてある。これら端子の機能は、図
16に示したように、接地端子(GND)、出力端子(OUTPUT)、電源又は接地(Vcc又はGND)端子、電源(Vcc)端子である。
【0136】
図17は、
図15に示した水晶発振器1のICチップパッケージのICチップ
33収容部分の説明図であり、
図17(a)は水晶パッケージ側から見た平面図、
図17(b)は
図17(a)のA−A線に沿った断面図である。ICチップ33は、ICチップパッケージ3の第2凹部38の内底の配線パターンに設けた電極パッド35に当該ICチップ
33のバンプ(図示せず)を接続して搭載する。なお、ICチップ
33はワイヤーボンディングで搭載してもよい。
図17(a)の矩形破線は水晶パッケージ2が接合される位置を示す仮想線である。
【実施例12】
【0137】
図18は、本発明に係る圧電モジュールを水晶発振器に適用した実施例12を説明する温度センサ付水晶振動子の外観図であり、
図18(a)は上面(平面)を、
図18(b)
は長手方向側面を、
図18(c)は短手方向側面を示す。この実施例は、「1612サイズ温度センサ付水晶振動子」と通称されるサーミスタ等の温度センサを内蔵した水晶振動子で、一般的に携帯電話機でのTCXOの置き換えとして用いられるものである。
【0138】
この温度センサ付水晶振動子1Aも水晶パッケージ2にICチップパッケージ3を接合して構成されるが、ICチップパッケージ3にはサーミスタあるいはダイオードのみを搭載してある。これらサーミスタあるいはダイオードは、適用する電子機器側の任意の回路を構成する要素として用いられる。なお、前記したように、ICチップパッケージ3は説明の便宜上IC以外の要素を搭載したものも含むこととする。
【0139】
この温度センサ付水晶振動子1Aは、前記
図9で説明したものと同様に、全体が水晶パッケージ2とはダイシングスペースを確保した分だけ若干大き目ではあるが、水晶パッケージ2とは略同等の平面視サイズを持つICチップパッケージ3を接合した低背な製品である。ICチップパッケージ3を接合して製品とした水晶発振器1としてサイズは、ICチップパッケージ3の長手方向サイズが1.6mm、短手方向サイズが1.2mmである。
【0140】
この温度センサ付水晶振動子1Aは、水晶パッケージ2とICチップパッケージ3を半田粒子入り熱硬化樹脂4で上下に2段接合して一体の電子部品とされている。水晶パッケージ2は、前記
図1乃至
図8で説明した水晶パッケージの何れかであるが、ここでは
図5(a)で説明したタイプを用いたものとした。温度センサとしては、サーミスタ以外に、例えばダイオードも用いられる。
【0141】
図19は、
図18に示した温度センサ付水晶振動子1Aの底面(外面、適用機器への実装面)を示す図である。この底面には4個の表面実装タイプの実装端子37が設けてある。これら端子の機能は、
図19に示したように温度センサ付水晶振動子1Aの出力端子(Xtal OUT)、サーミスタあるいはダイオードの出力端子(S/D OUT)
、温度センサ付水晶振動子
1Aの
入力端子(Xtal IN)、サーミスタあるいはダイオードの入力端子(S/D IN)である。
【0142】
図20は、
図18に示した温度センサ付水晶振動子1AにおけるICチップパッケージのサーミスタあるいはダイオードの搭載部分の説明図であり、
図20a)は水晶パッケージ側から見た平面図、
図20(b)は
図20(a)のA−A線に沿った断面図で、第2凹部38にサーミスタ7を搭載した例を、
図20(c)は第2凹部38にダイオード17を搭載した例を示す。サーミスタ7あるいはダイオード17は、それらの温度特性を利用するものであり、ICチップパッケージ3の第2凹部38の内底の配線パターンに設けた電極パッド35に接続して搭載する。
図20(a)の矩形破線は水晶パッケージ2が接合される位置を示す仮想線である。ICチップパッケージ3の外形サイズが若干大きいだけである。
【0143】
次に、本願発明に係る圧電モジュールの製造方法の一例について、前記
図5(a)で説明した水晶パッケージを用いた前記
図9の水晶発振器を一つの実施例(実施例13)として説明する。なお、他の形式の水晶パッケージやICチップパッケージを用いた水晶発振器についてもほぼ同様のプロセスで製造できる。
【実施例13】
【0144】
図21は、本発明の製造方法の一例の対象となる前記
図9に示した水晶発振器の要部断面図である。この水晶発振器1は、ICチップ33を収容したICチップパッケージ3の
第2凹部38の開口端面の全周に半田粒子入り熱硬化樹脂4を塗布し、水晶パッケージ2の底面で当該開口を覆うように接合して一体化して形成され
る。
【0145】
図22は、本願発明に係る水晶発振器の製造方法の一例を説明する要部製造プロセス図である。この製造方法では、次に説明する行程を順次矢印に沿って実行することにより所定の構造とした水晶発振器を製造する。各行程は次のとおりである。
図22中の各構成要素は前記した各実施例を参照することで理解できる。
【0146】
行程(a)・・多数のICチップパッケージを作り込んだセラミックスシートのマザーシート3Aを用意する。マザーシート3Aは個別の水晶パッケージを接合した後にダイシングでそれぞれの水晶発振器に分離されるようになっている。マザーシート3Aの底壁層は2枚のセラミックスシートの積層で構成され、ICチップ33の収容領域をカバーするように、その内層にはシールド機能を持たせる金属膜(シールド電極)12が形成されている。枠壁層で形成された
第2凹部38にICチップ33を収容する。
第2凹部38の開口端面(
第2凹部38を構成する側壁層の上面)には接続
端子36が形成されている。
【0147】
行程(b)・・
第2凹部38の開口端面(
第2凹部38を構成する側壁層の上面)に半田粒子入り熱硬化樹脂4の層を形成する。この半田粒子入り熱硬化樹脂4は接続
端子36を含めた当該開口端面の全周に設ける(矢印C)。半田粒子入り熱硬化樹脂4の形成には、ディスペンサー塗布、スクリーン印刷、インクジェット塗布など、既知のスラリー微細パターン形成手段を採用できる。
【0148】
工程(c)・・半田粒子入り熱硬化樹脂4の層を形成した個別の
第2凹部38の開口端面のそれぞれに個別の水晶パッケージ2(個別の水晶発振器に分離する前では、水晶パッケージ個片と称する)を載置する。この状態で、水晶パッケージ個片とマザーシート3Aに加圧(矢印P)と加熱(矢印H)の処理を施す。このとき、半田粒子入り熱硬化樹脂4の半田粒子は溶融して水晶パッケージ個片の外部端子27とマザーシート3Aの個々のICチップパッケージに設けてある接続端子36とに濡れ広がる。これと共に、半田粒子入り熱硬化樹脂4の熱硬化性樹脂が溶融し、水晶パッケージ個片の外部端子27とマザーシート3Aの個々のICチップパッケージ対応で設けてある接続端子36を含めた当該開口端面の全周で水晶パッケージ個片の対向面との間に溶融した樹脂が満たされる。
【0149】
行程(d)・・溶融した半田粒子が水晶パッケージ個片の外部端子27とマザーシート3Aの接続端子36の間に十分に濡れ広がり、かつ溶融した樹脂が十分にマザーシート3Aの開口端面と水晶パッケージ個片との間に充填されるに要する所定の時間経過後、前記の加熱を停止して除熱する。これにより、溶融した半田は固まって水晶パッケージ2の外部端子とマザーシート3Aの接続端子の間を金属接合し、熱硬化樹脂はマザーシート3Aの開口端面と水晶パッケージとの間で硬化する。水晶パッケージの各個片はマザーシート3Aに対して電気的接続と共に機械的に強固に接合する。
【0150】
行程(e)・・水晶パッケージの各個片を接合したマザーシート3Aを、その水晶パッケージ個片との境界でダイシング処理して水晶パッケージ2を接合したICチップパッケージ3とからなる個々の水晶発振器1(
図21)を得る。
【0151】
以上説明した行程によって
図21に示した水晶発振器1を製造することができる。以下では、水晶パッケージ2とICチップパッケージ3の接合構造についてさらに細かく説明する。
【0152】
図21に示した水晶発振器を構成する水晶パッケージ2は、前記
図5(a)で詳細に示したように、第1底壁層21、第1枠壁層22、蓋体23は全て水晶板で構成される。一方、ICチップパッケージ3はセラミックスシートの積層で形成される。半田粒子入り熱
硬化樹脂4を構成する熱硬化樹脂はエポキシ樹脂を主剤とする。一般に、接着面の表面積が広い程、強い接着が得られる。
【0153】
本発明では、
図5(a)で説明したように、ICチップパッケージ3と対向する水晶パッケージ2の容器本体の第1底壁層21の外底面29の表面処理を、外部端子27を除く外底面29の全域に施すか、あるいはICチップパッケージ3の開口端面と対向する周回部分に多数の微細凹凸29aが形成された表面処理を施してある。
【0154】
ICチップパッケージ3に水晶パッケージ2を半田粒子入り熱硬化樹脂を用いて接合する際には、外部端子形成部分以外の外底面29では溶融した半田と樹脂が水晶パッケージ
2の当該外底面29に形成された微細凹凸29aに入り込んで硬化する。これにより錨止効果(錨で固定した状態)が生じ、半田粒子入り熱硬化樹脂で両者をより強固に接合することができる。
【0155】
なお、半田粒子入り熱硬化樹脂に代えて異方性導電層を用いることもでき、その効果は、外部端子と接続端子間の接続形態を除いて、
半田粒子入り熱硬化樹脂によるものと同様である。また、水晶パッケージの容器本体をガラス材で構成したものでも本実施例と同様の接合構造で水晶発振器を構成できることは前記したとおりである。
【実施例14】
【0156】
図23は、本発明に係る圧電モジュールを水晶発振器に適用した実施例14を説明する水晶発振器の外観図であり、
図23(a)は上面(平面)を、
図23(b)は長手方向側面を、
図23(c)は短手方向側面を示す。この実施例の水晶発振器1も前記具体例と同様の、「1612サイズTCXO」と通称されるもので、水晶パッケージ2にICチップパッケージ3を接合した水晶発振器である。この水晶発振器1の水晶パッケージ2とICチップパッケージ3は、略同等の平面視サイズを持つ低背な製品である。ICチップパッケージ3を接合して製品とした水晶発振器1としてサイズは、ICチップパッケージ3の長手方向サイズが1.6mm、短手方向サイズが1.2mmである。
【0157】
この水晶発振器1は、水晶パッケージ2とICチップパッケージ3を半田粒子入り熱硬化樹脂4で上下に2段接合して一体の電子部品とされている。水晶パッケージ2は、前記
図1乃至
図8で説明した水晶パッケージの何れかであるが、ここでは
図5(a)で説明したタイプを用いるものとした。
【0158】
この水晶発振器1を構成するICチップパッケージ3の四隅には厚み方向の切り欠き(キャスタレーション)5が設けられており、内部に搭載されているICチップから側壁に引き出されている配線と実装端子37を電気的に接続する接続電極51が形成されている。
【0159】
図24は、
図23に示した水晶発振器1の底面(外面、適用機器への実装面)を示す図である。この底面には4個の表面実装タイプの実装端子37が設けてある。これらの実装端子37の機能は、図示したように、接地端子(GND)、出力端子(OUTPUT)、電源端子(Vcc)、E/D端子(Enable/
Disable)
またはAFC端子である。
【0160】
図25は、
図23に示した水晶発振器1のICチップパッケージのICチップ
33収容部分の説明図であり、
図25(a)は水晶パッケージ側から見た平面図、
図25(b)は
図25(a)のA−A線に沿った断面図である。
図25(b)に示したICチップ33は、ICチップパッケージ3の第2凹部38の内底の配線パターンに設けた電極パッド35に当該ICチップ
33のバンプ(図示せず)を接続して搭載する。なお、ICチップ
33はワイヤーボンディングで搭載してもよい。
【実施例15】
【0161】
図26は、本発明に係る圧電モジュールを水晶発振器に適用した実施例15を説明する水晶発振器の外観図であり、
図26(a)は上面(平面)を、
図26(b)は長手方向側面を、
図26(c)は短手方向側面を示す。この実施例の水晶発振器1は、「2016サイズTCXO」と通称されるもので、前記した「1612サイズTCXO」に用いられるものと同じサイズの水晶パッケージ2にICチップパッケージ3を接合した水晶発振器である。このICチップパッケージ3は水晶パッケージ2よりも大きく、水晶発振器1としてサイズは、長手方向サイズが2.0mm、短手方向サイズが1.6mmである。
【0162】
この水晶発振器1を構成するICチップパッケージ3の四隅には厚み方向の切り欠き(キャスタレーション)5が設けられており、内部に搭載されているICチップから側壁に引き出されている配線と実装端子37を電気的に接続する接続電極51が形成されている。
【0163】
この水晶発振器1も前記の水晶発振器と同様に、水晶パッケージ2とICチップパッケージ3を半田粒子入り熱硬化樹脂4で上下に2段接合して一体の電子部品とされている。
【0164】
図27は、
図26に示した水晶発振器1の底面(外面、適用機器への実装面)を示す図である。この底面には4個の表面実装タイプの実装端子37が設けてある。これら端子の機能は、図
27に示したように、接地端子(GND)、出力端子(OUTPUT)、電源端子(Vcc)、E/D端子(Enable/
Disable)
またはAFC端子である。各実装端子は、切り欠き5の接続電極51でICチップから側壁に引き出されている配線(図示せず)に接続されている。
【0165】
図28は、
図26に示した水晶発振器1のICチップパッケージのICチップ
33収容部分の説明図であり、
図28(a)は水晶パッケージ側から見た平面図、
図28(b)は
図28(a)のA−A線に沿った断面図である。ICチップ33は、ICチップパッケージ3の第2凹部38の内底の配線パターンに設けた電極パッド35に当該ICチップ
33のバンプ(図示せず)を接続して搭載する。なお、ICチップ
33はワイヤーボンディングで搭載してもよい。
図28(a)の矩形破線は水晶パッケージ2が接合される位置を示す仮想線である。
【実施例16】
【0166】
図29は、本発明に係る圧電モジュールを水晶発振器に適用した実施例16を説明する水晶発振器の外観図であり、
図29(a)は上面(平面)を、
図29(b)は長手方向側面を、
図29(c)は短手方向側面を示す。この実施例の水晶発振器1は、「3215サイズTCXO」と通称されるもので、音叉型の水晶振動子を収容した水晶パッケージ2にICチップパッケージ3を接合した水晶発振器である。
【0167】
この水晶パッケージ2の容器本体はセラミックスシートとしたものである。しかし、これに限るものではなく、水晶板やガラス板などの絶縁材を用いたものでもよい。水晶発振器1としてサイズは、長手方向サイズが3.2mm、短手方向サイズが1.5mmである。この実施例では、ICチップパッケージ3は水晶パッケージ2とは若干大きいものを用いたが、さらに大きいサイズとしてもよい。
【0168】
この水晶発振器1を構成する水晶パッケージ2とICチップパッケージ3を重ねた四隅には厚み方向の切り欠き(キャスタレーション)5が設けられており、水晶パッケージ2に搭載されている水晶振動子の出力端子が側壁にひきだされ、接続電極52で外部端子27(
図5参照)に電気的に接続されている。また、ICチップパッケージ3の接続電極51は、ICチップから側壁に引き出されている配線と実装端子37を電気的に接続している。
【0169】
この水晶発振器1も前記の水晶発振器と同様に、水晶パッケージ2とICチップパッケージ3を半田粒子入り熱硬化樹脂4で上下に2段接合して一体の電子部品とされている。
【0170】
図30は、
図29に示した水晶発振器1の底面(外面、適用機器への実装面)を示す図である。この底面には4個の表面実装タイプの実装端子37が設けてある。これら端子の機能は、図示したように、接地端子(GND)、出力端子(OUTPUT)、電源又は接地(Vcc又はGND)端子、電源(Vcc)端子である。
【0171】
図31は、
図29に示した水晶発振器1のICチップパッケージのICチップ
33収容部分の説明図であり、
図31(a)は水晶パッケージ側から見た平面図、
図31(b)は
図31(a)のA−A線に沿った断面図である。ICチップ33は、ICチップパッケージ3の第2凹部38の内底の配線パターンに設けた電極パッド35に当該ICチップ
33のバンプ(図示せず)を接続して搭載する。なお、ICチップ
33はワイヤーボンディングで搭載してもよい。
【実施例17】
【0172】
図32は、本発明の実施例17を説明する温度センサ付水晶振動子の外観図であり、
図32(a)は上面(平面)を、
図32(b)は長手方向側面を、
図32(c)は短手方向側面を示す。この実施例は、「1612サイズ温度センサ付水晶振動子」と通称されるサーミスタ等の温度センサを内蔵した水晶振動子で、一般的に携帯電話機でのTCXOの置き換えとして用いられるものである。
【0173】
この温度センサ付水晶振動子1Aも水晶パッケージ2にICチップパッケージ3を接合して構成されるが、ICチップパッケージ3にはサーミスタあるいはダイオードのみを搭載してある。これらサーミスタあるいはダイオードは、適用する電子機器側の任意の回路を構成する要素として用いられる。なお、前記したように、ICチップパッケージ3は説明の便宜上IC以外の要素を搭載したものも含むこととする。
【0174】
この温度センサ付水晶振動子1Aは、前記
図23で説明したものと同様に、平面視が同サイズの水晶パッケージ2とICチップパッケージ3を接合した低背な製品である。ICチップパッケージ3を接合して製品とした温度センサ付水晶振動子1Aとしてサイズは、ICチップパッケージ3の長手方向サイズが1.6mm、短手方向サイズが1.2mmである。
【0175】
この温度センサ付水晶振動子1Aでは、ICチップパッケージ3の四隅には厚み方向の切り欠き(キャスタレーション)5が設けられており、ICチップパッケージ3のICチップから側壁に引き出されている配線と実装端子37を切り欠き5に設けた接続電極51で、電気的に接続している。
【0176】
この温度センサ付水晶振動子1Aは、水晶パッケージ2とICチップパッケージ3を半田粒子入り熱硬化樹脂4で上下に2段接合して一体の電子部品とされている。水晶パッケージ2は、前記
図1乃至
図5で説明した水晶パッケージの何れかであるが、ここでは
図5(a)で説明したタイプを用いた。温度センサとしては、サーミスタ以外にも、例えばダイオードも用いられる。
【0177】
図33は、
図32に示した温度センサ付水晶振動子1Aの底面(外面、適用機器への実装面)を示す図である。この底面には4個の表面実装タイプの実装端子
37が設けてある。これら端子の機能は、
図33に示したように温度センサ付水晶振動子1Aの出力端子(Xtal OUT)、サーミスタあるいはダイオードの出力端子(S/D OUT)、
温度センサ付水晶振動子
1Aの
入力端子(Xtal IN)、サーミスタあるいはダイオードの入力端子(S/D IN)である。
【0178】
図34は、
図32に示した温度センサ付水晶振動子1AにおけるICチップパッケージのサーミスタあるいはダイオードの搭載部分の説明図であり、
図34(a)は水晶パッケージ側から見た平面図、
図34(b)は
図34(a)のA−A線に沿った断面図で、第2凹部38にサーミスタ7を搭載した例を、
図34(c)は第2凹部38にダイオード17を搭載した例を示す。サーミスタ7あるいはダイオード17は、それらの温度特性を利用するものであり、ICチップパッケージ3の第2凹部38の内底の配線パターンに設けた電極パッド35に接続して搭載する。
【0179】
次に、本願発明に係る圧電モジュールの製造方法の他の例について、前記
図5(a)で説明した水晶パッケージを用いた前記
図23の水晶発振器を一つの実施例(実施例18)として説明する。なお、他の形式の水晶パッケージやICチップパッケージを用いた水晶発振器についてもほぼ同様のプロセスで製造できる。
【実施例18】
【0180】
図35は、本発明の製造方法の他の例の対象となる前記
図23に示した四隅に切り欠きを有した水晶発振器の要部断面図である。この水晶発振器1は、ICチップ33を収容したICチップパッケージ3の凹部(第2凹部)38の開口端面の全周に半田粒子入り熱硬化樹脂4を塗布し、水晶パッケージ2の底面で当該開口を覆うように接合して一体化して形成される。
【0181】
図36は、本願発明に係る水晶発振器の製造方法の一例を説明する要部製造プロセス図である。この製造方法では、次に説明する行程を順次矢印に沿って実行することにより所定の構造とした水晶発振器を製造する。各行程は次のとおりである。
図36中の各構成要素は前記した各実施例を参照することで理解できる。
【0182】
行程(a)・・多数のICチップパッケージ3を用意する。
図36には2個のみを示す。ICチップパッケージ3は個別の水晶パッケージを接合する前にそれぞれ個片に分離されている。ICチップパッケージ3の底壁層は2枚のセラミックスシートの積層で構成され、ICチップ33の収容領域をカバーするように、その内層にはシールド機能を持たせる金属膜12が形成されている。枠壁層で形成された
第2凹部38にICチップ33を収容する。第2凹部38の開口端面(
第2凹部38を構成する側壁層の上面)には接続
端子36が形成されている。
【0183】
行程(b)・・
第2凹部38の開口端面(
第2凹部38を構成する側壁層の上面)に半田粒子入り熱硬化樹脂4の層を形成する。この半田粒子入り熱硬化樹脂4は接続
端子36を含めた当該開口端面の全周に設ける(矢印C)。半田粒子入り熱硬化樹脂4の形成には、ディスペンサー塗布、スクリーン印刷、インクジェット塗布など、既知のスラリー微細パターン形成手段を採用できる。
【0184】
工程(c)・・半田粒子入り熱硬化樹脂4の層を形成した個別の
第2凹部38の開口端面のそれぞれに個片の水晶パッケージ2をそれぞれ載置する。この状態で、水晶パッケージ個片とICチップパッケージ3に加圧(矢印P)と加熱(矢印H)の処理を施す。このとき、半田粒子入り熱硬化樹脂4の半田粒子は溶融して水晶パッケージ個片の外部端子27とICチップパッケージ3のICチップパッケージ
3に設けてある接続端子36とに濡れ広がる。これと共に、半田粒子入り熱硬化樹脂4の熱硬化性樹脂が溶融し、水晶パッケージ個片の外部端子27と個々のICチップパッケージ
3対応で設けてある接続端子36を含めた当該開口端面の全周で水晶パッケージ個片の対向面との間に溶融した樹脂が満たされる。
【0185】
行程(d)・・溶融した半田粒子が水晶パッケージ個片の外部端子27とICチップパッケージ3の接続端子36の間に十分に濡れ広がり、かつ溶融した樹脂が十分に開口端面と水晶パッケージ個片との間に充填されるに要する所定の時間経過後、前記の加熱を停止して除熱する。これにより、溶融した半田は固まって水晶パッケージ2の外部端子とICチップパッケージ3の接続端子の間を金属接合し、熱硬化樹脂はICチップパッケージ3の開口端面と水晶パッケージ2との間で硬化する。水晶パッケージはICチップパッケージ3に対して電気的接続と共に機械的に強固に接合する。
【0186】
以上説明した行程によって
図35に示した水晶発振器1を製造することができる。
【0187】
なお、半田粒子入り熱硬化樹脂に代えて異方性導電層を用いることもでき、その効果は、外部端子と接続端子間の接続形態を除いて、粒子入り熱硬化樹脂によるものと同様である。また、水晶パッケージの容器本体をガラス材で構成したものでも本実施例と同様の接合構造で水晶発振器を構成できることは前記したとおりである。