(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係るゴルフクラブヘッド2の斜視図である。
図2は、ヘッド2の平面図である。
図3は、ヘッド2の底面図である。
【0020】
ヘッド2は、フェース4、クラウン6、ソール8、サイド部10及びホーゼル12を有する。フェース4は、フェース面fsを有する。フェース面fsは打球面である。クラウン6は、フェース4の上縁からヘッド後方に向かって延びている。ソール8は、フェース4の下縁からヘッド後方に向かって延びている。サイド部10は、クラウン6とソール8との間に延びている。サイド部10は、ヘッド2のトウ側からバック側を経由してヒール側にまで延在している。後述の
図4が示すように、ヘッド2は中空である。ヘッド2は、いわゆるウッド型のゴルフクラブヘッドである。
【0021】
なお、サイド部10は無くても良い。ソール8からクラウン6まで滑らかな曲面で連続している場合、サイド部10は存在しない。この場合、クラウン6までの曲面はソール8である。本実施形態では、ソール8とサイド部10との境界を示す稜線rs1が存在する(
図3参照)。
【0022】
ヘッド2は、2ピース構造である。ヘッド2は、フェース部材Fp1とヘッド本体Hp1とが接合されてなる。接合方法は、溶接である。図示されないが、フェース部材Fp1は、カップフェースとも称される。
図1には、フェース部材Fp1とヘッド本体Hp1との境界k1が2点鎖線で示されている。この境界k1において溶接がなされている。塗装済みの完成されたヘッド2では、境界k1は視認されない。
【0023】
フェース部材Fp1は、フェース4の全部を構成する。更にフェース部材Fp1は、クラウン6の一部、ソール8の一部及びサイド部10の一部を構成する。
【0024】
図4は、ヘッド本体Hp1の斜視図である。ヘッド本体Hp1は、開口a1を有する。ヘッド2では、この開口a1が、フェース部材Fp1で塞がれている。
【0025】
図4が示すように、ヘッド本体Hp1は、クラウン6の一部、ソール8の一部、サイド部10の一部及びホーゼル12の全部を構成している。クラウン6、ソール8及びサイド部10の大部分は、ヘッド本体Hp1によって構成されている。
【0026】
ホーゼル12は、シャフトを装着するためのシャフト孔14を有する。図示されないシャフトは、シャフト孔14に挿入される。図示しないが、シャフト孔14は、中心軸線Z1を有する。この中心軸線Z1は、ヘッド2を備えたゴルフクラブのシャフト軸線に一致する。
【0027】
図4が示すように、ソール8の内面には、リブrbが形成されている。リブrbは、ヘッド本体Hp1に形成されている。ヘッド本体Hp1は、鋳造により製造されている。リブrbは、ヘッド本体Hp1に一体成形されている。この鋳造はロストワックス法である。鋳造により、リブrbを含む複雑な形状のヘッド本体Hp1が一体成形されうる。フェース部材Fp1は鍛造により製造されている。なお、リブrbは、別成形されたソール本体に溶接されてもよい。
【0028】
図2及び
図3が示すように、リブrbは、平面視において直線状である。
【0029】
図3が示すように、リブrbは、トウ側のサイド部10上にまで至っている。また、リブrbは、ヒール側のサイド部10上にまで至っている。
【0030】
本願では、基準垂直面、フェース−バック方向及びトウ−ヒール方向が定義される。上記中心軸線Z1が水平面Hに対して垂直な平面P1に含まれ、且つ所定のライ角及びリアルロフト角で水平面H上にヘッド2が載置された状態が、基準状態とされる。上記平面P1が、基準垂直面とされる。所定のライ角及びリアルロフト角は、例えば製品カタログに掲載されている。
【0031】
本願においてトウ−ヒール方向とは、上記基準垂直面と上記水平面Hとの交線の方向である。
【0032】
本願においてフェース−バック方向とは、上記トウ−ヒール方向に対して垂直であり且つ上記水平面Hに対して平行な方向である。
【0033】
本願において、フェースセンターが定義される。フェース面において、トウ−ヒール方向の最大幅Wxが決定される。更に、この最大幅Wxにおけるトウ−ヒール方向中央位置Pxが決定される。この位置Pxにおいて、フェース面の上下方向中央点Pyが決定される。この点Pyが、フェースセンターと定義される。
【0034】
図2及び
図3が示すように、リブrbは、ヒール側からトウ側に向かうにつれてフェース4側に近づくように延びる傾斜延在部ks1を有している。本実施形態では、リブrbの全体が傾斜延在部ks1である。すなわち、リブrbは、ヒール側からトウ側に向かうにつれてフェース4側に近づくように延びている。
【0035】
[リブ傾斜効果]
傾斜延在部ks1により、リブrbのトウ側の先端部が、フェース4の近傍に位置しうる。このリブrbにより、フェース4のトウ側で打球された場合、このリブrbは、ソール8のトウ側における変形を抑制する。よって、フェース4のトウ側における変形も抑制される(トウ変形抑制効果)。このため、フェース4のトウ側で打球した場合の打球の方向性を向上させることができる。また、傾斜延在部ks1により、リブrbは、トウ側におけるフェース4の近傍と、ソール8の中央部とに延在しうる。ソール8の中央部は、ソール振動の腹となりやすい。この腹となりやすい部分にリブrbが存在することで、ソール8の振動が効果的に抑制されうる(腹振動抑制効果)。このため、高い打球音が得られやすい。このように、傾斜延在部ks1により、トウ変形抑制効果と腹振動抑制効果とが効果的に両立されうる。これがリブ傾斜効果である。本実施形態では、リブrbの全体が傾斜延在部ks1とされているので、リブ傾斜効果が更に高められている。
【0036】
図3が示すように、ソール8の外面には、第1凹部r1が形成されている。
図3の平面視において、第1凹部r1は略三角形である。
図4が示すように、ソール8の内面には、この第1凹部r1に対応する第1凸部p1が形成されている。
【0037】
第1凹部r1の内側に、ウエイト用凹部rw1が形成されている。ウエイト用凹部rw1は、第1凹部r1の底面に形成されている。ウエイト用凹部rw1には、ウエイト固定部fx1が設けられている。本実施形態では、ウエイト固定部fx1の内面にはネジ穴が形成されている。図示されないウエイトの雄ねじが、このネジ穴に締結される。図示されないウエイトは、ウエイト用凹部rw1に着脱可能に固定される。
【0038】
図4が示すように、ソール8の内面には、ウエイト用凹部rw1に対応するウエイト用凸部pw1が形成されている。
【0039】
第1凹部r1の内側にはウエイトが配置されるため、質量が集中する。この集中した質量に起因して、第1凹部r1は振動しやすい。以下、この振動が、ソール振動Vmとも称される。後述される凹部裏側リブ部rb1は、このソール振動Vmを効果的に抑制しうる効果を有する。よって、打球音をより高くすることが可能となる。
【0040】
第1凹部r1は、フェースセンターよりもヒール側に設けられている。ウエイト用凹部rw1は、フェースセンターよりもヒール側に設けられている。
【0041】
大型化されたヘッド2では、ソール8は薄くされており、通常、3mm以下とされている。よって、薄くされたソール8では、外面での凹部の形成は、内面での凸部の形成を伴う。かかる事情に起因して、通常、ソール8の外面に凹部が形成されると、それに対応する凸部がソール8の内面に形成される。この場合、凹部の質量は、この凹部が平坦部に置換された場合と比較して、大きい。凹部の形成により、凹部の側面の質量が付加されるからである。ウエイト用凹部rw1及び第1凹部r1等の凹部により、ソール8におけるヒール側への重量配分が増加されている。更に、ウエイト用凹部rw1には、ウエイトが装着されうる。このウエイトは、ヘッド重心をヒール側とするのに寄与する。
【0042】
ヘッド2のヘッド重心は、フェースセンターよりもヒール側に位置している。よって、重心距離が短くされている。重心距離とは、シャフト軸線とヘッド重心との距離である。このため、インパクト時においてヘッドが返りやすくなり、ボールがつまかりやすくなる。換言すれば、インパクトにおけるフェースの開きが抑制され、打球がスライスしにくくなる。よって、打球の勢いが強くなりやすい。
【0043】
図4が示すように、リブrbは、第1凹部r1の裏側のソール内面に位置する凹部裏側リブ部rb1を有している。本実施形態では、凹部裏側リブ部rb1は、第1凸部p1上に設けられている。なお凹部裏側リブ部rb1は、第1凹部r1の裏側に位置していればよく、第1凸部p1上に位置していなくてもよい。
【0044】
凹部裏側リブ部rb1は、ウエイト用凹部rw1の裏側のソール内面には位置していない。凹部裏側リブ部rb1は、ウエイト用凹部rw1の裏側のソール内面よりもフェース側に位置している。凹部裏側リブ部rb1は、ウエイト用凸部pw1上には位置していない。凹部裏側リブ部rb1は、ウエイト用凸部pw1よりもフェース側に位置している。
【0045】
ウエイトは、ウエイト固定部fx1に確実に固定される必要がある。ウエイト固定部fx1には、特に高い寸法精度が要求される。リブrbは、ウエイト用凸部pw1の成形精度に影響しうる。例えば、リブrbがソール8に鋳造で一体成形される場合、突出した形状であるリブrbが存在することで、鋳造時の引けが生じたり、湯流れに影響が生じうる。また、リブrbが溶接でソール本体に後付けされる場合、溶接時の熱により、ウエイト固定部fx1が変形しうる。リブrbがウエイト用凸部pw1上には位置していないことで、ウエイト固定部fx1の寸法精度が向上しやすい。
【0046】
図3が示すように、ソール8の外面に第2凹部r2が形成されている。本実施形態における第2凹部r2は、
図3の平面視において、細長い三角形を呈している。この第2凹部r2は、ヒール側からトウ側に向かうにつれてフェース4側に近づくように延びている。
図3が示すように、平面視における第2凹部r2の幅は、ヒール側からトウ側に向かうにつれて細くなっている。
【0047】
図4が示すように、第2凹部r2の裏側のソール内面には、凸状延在部p2が形成されている。第2凹部r2に対応して凸状延在部p2が形成されている。
図4ではわかりにくいが、平面視における凸状延在部p2の形状は、第2凹部r2の形状に近似している。
【0048】
第2凹部r2(凸状延在部p2)により、ソール8の剛性が高められている。第2凹部r2により、ソール8の振動を抑制する効果が奏されうる。第2凹部r2により、高い打球音が得られやすい。
【0049】
本実施形態では、リブrbは凸状延在部p2上に設けられていない。リブrbが凸状延在部p2上に設けられていても良い。
【0050】
凸状延在部p2は、リブrbのバック側に位置している。凸状延在部p2は、リブrbのフェース側に位置していてもよい。
【0051】
[リブ代替効果]
凸状延在部p2は、リブrbに沿って延びている。リブrbに沿った凸状延在部p2により、ソール8の剛性が高まる。凸状延在部p2は、リブrbに沿っているため、リブrbと同様のソール剛性向上効果(リブ代替効果)を奏しうる。凸状延在部p2による剛性向上効果により、リブrbを低くしても、ソール8の剛性を高めることができる。よって、ヘッド重心を低くすることが可能となる(低重心効果)。この観点から、凸状延在部p2の高さは、リブrbの高さよりも低いのが好ましい。
【0052】
凸状延在部p2は、リブrbに沿って延びている。すなわち凸状延在部p2は、リブrbに沿って傾斜して延びている。よって、上述したリブ傾斜効果が、凸状延在部p2によって更に高められうる。
【0053】
図3において一点鎖線で示されているのは、凸状延在部p2の幅方向中央線L2である。上記リブ代替効果を高める観点から、トウ−ヒール方向のあらゆる位置において、幅方向中央線L2とリブrbとのフェース−バック方向距離Drは、0mm以上が好ましく、10mm以下が好ましい。この距離Drは、
図3の拡大部に図示されている。上述の如く、リブrbは凸状延在部p2上に形成されてもよく、この場合、距離Drは0mmである。
【0054】
凸状延在部p2の幅が過度に大きい場合、リブ代替効果が低下しうる。リブ代替効果を高める観点から、凸状延在部p2のフェース−バック方向幅は、15mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましい。凸状延在部p2が細すぎても、リブ代替効果が低下しうる。リブ代替効果を高める観点から、凸状延在部p2のフェース−バック方向幅は、0mmより大きくされ、3mm以上が好ましく、6mm以上がより好ましい。
【0055】
図5は、ソール8の厚み分布を示している。ハッチングの種類及びその有無により、ソール8の複数の領域が示されている。本実施形態において、各領域の厚みは次の通りである。
・領域A :0.7mmを超えて2mm以下
・領域B :0.7mmを超えて3.1mm以下
・領域J :0.60mm以上0.70mm以下
【0056】
ソール8のうち、
図5においてハッチングの無い領域が、領域Jである。この領域Jは、ソール8の厚み最小領域である。
【0057】
ソールの厚みの最小値がTminとされる。本願において、厚み最小領域とは、厚みが[Tmin+0.1mm]以下の領域である。領域Jの全体が厚み最小領域である。
【0058】
ヘッド体積の大型化の観点から、最小厚みTminは、0.8mm以下が好ましく、0.75mm以下がより好ましく、0.7mm以下がより好ましく、0.65mm以下がより好ましい。強度の観点から、最小厚みTminは、0.4mm以上が好ましく、0.45mm以上がより好ましく、0.5mm以上が更に好ましい。
【0059】
厚み最小領域Jは、ヘッドの軽量化及び大型化に寄与する。厚み最小領域Jは、ソール8の撓みを増大させるため、反発性能に寄与しうる。
【0060】
図5において両矢印J1で示されるのは、ヘッド2の最前方点Pfと最小中央領域Jcとのフェース−バック方向距離である。打球の衝撃に対する強度を高める観点から、距離J1は、20mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましい。領域Jの面積を確保する観点から、距離J1は、50mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましい。最小中央領域Jcは、厚み最小領域Jのうち、中央範囲Rxに位置する部分である。
【0061】
図5において両矢印J2で示されるのは、ヘッド2の最後方点Pbと最小中央領域Jcとのフェース−バック方向距離である。強度の観点から、距離J2は、20mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましい。最小中央領域Jcの増大により、反発性能が向上しうる。反発性の観点から、距離J2は、50mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましい。
【0062】
厚み最小領域Jのフェース側には、厚み最小領域Jよりもソール厚が大きい領域Aが存在している。この領域Aにより、厚み最小領域Jの存在を許容しつつ、ヘッド強度を高めることができる。
【0063】
厚み最小領域Jのバック側には、厚み最小領域Jよりもソール厚が大きい領域Bが存在している。この領域Bにより、重心深度が深くされている。
【0064】
このように、厚み最小領域Jのフェース側及びバック側に、厚み最小領域Jよりもソール厚が大きい領域が存在している。このため、ヘッドの上下方向の慣性モーメントが向上している。
【0065】
図5が示すように、リブrbは、厚み最小領域Jに位置する薄肉補強部rb2を有している。厚み最小領域Jは、薄くて剛性が低い。よって厚み最小領域Jは振動の腹となりやすい。薄肉補強部rb2により、上述した腹振動抑制効果が更に高められている。よって、打球音が高くなりやすい。
【0066】
図5において両矢印Rxで示されるのは、トウ−ヒール方向中央範囲である。この中央範囲Rxは、トウ−ヒール方向に40mmの幅を有する範囲である。この中央範囲Rxは、フェースセンターからトウ側に20mmの位置t20と、フェースセンターからヒール側に20mmの位置h20との間の範囲である。
【0067】
リブrbは、中央範囲Rxを横断している。リブrbは、中央範囲Rxよりもトウ側の位置から、中央範囲Rxよりもヒール側の位置にまで延びている。
【0068】
第1凹部r1は、中央範囲Rxよりもヒール側に位置している。第1凸部p1は、中央範囲Rxよりもヒール側に位置している。
【0069】
厚み最小領域Jは、中央範囲Rxに位置する最小中央領域Jcを有している。ボールはフェースセンター付近で打撃される可能性が高い。この打撃により、最小中央領域Jcは撓みやすい。最小中央領域Jcは、フェースセンター付近の打撃における反発性能を向上させうる。
【0070】
図5が示すように、薄肉補強部rb2は、最小中央領域Jcに位置する中央補強部rb3を有している。また、
図5における第2凹部r2の位置から理解されるように、凸状延在部p2は、最小中央領域Jcに存在している。
【0071】
最小中央領域Jcは、ソール8の中央部に位置し且つ薄いため、ソール8の腹となりやすい。中央補強部rb3により、上述した腹振動抑制効果がより一層高められている。よって、打球音が更に高くなりやすい。凸状延在部p2は、最小中央領域Jcの剛性を高め、高い打球音を実現しうる。
【0072】
図5が示すように、最小中央領域Jcの前方に、最小中央領域Jcよりも厚い領域Aが位置している。この領域Aのトウ側に、厚み最小領域Jが存在する。この領域Aのトウ側の厚み最小領域Jが、トウ薄肉領域Jtである。厚み最小領域Jは、このトウ薄肉領域Jtを有する。リブrbは、このトウ薄肉領域Jtに位置する部分rb4を有する。トウ薄肉領域Jtは、フェース4に近く且つ薄肉であるため、変形しやすい。部分rb4により、上記トウ変形抑制効果がより一層高められている。
【0073】
図3が示すように、第1凹部r1と第2凹部r2とは連続している。換言すれば、第1凹部r1は第2凹部r2に繋がっている。上述の如く、ウエイトの存在に起因して、第1凹部r1は振動しやすい。この第1凹部r1に連続する第2凹部r2(凸状延在部p2)により、この第1凹部r1の振動が抑制されている。よって、上記ソール振動Vmを抑制する効果が更に高められている。
【0074】
図2が示すように、平面視において、リブrbは直線状に延びている。
図6は、第2実施形態のヘッド20を示しており、直線状に延びるリブrbの他の例である。本願では、この
図6に示されるリブrbも直線状であるとみなされる。「直線状」とは、リブrbの両端を結ぶ直線Lzに対するズレ幅Wzが10mm以内であることを意味する。直線状である利点を生かす観点からは、このズレ幅Wzは、好ましくは5mm以内である。ズレ幅Wzは、直線Lzに対して垂直な方向に沿って測定される。
【0075】
図2及び
図6において両矢印θ1で示されるのは、トウ−ヒール方向に対するリブrbの傾斜角度である。
図2に示す如く、角度θ1は平面視において測定される。上述したリブ傾斜効果を高める観点から、角度θ1は、10°以上が好ましく、15°以上がより好ましく、20°以上が更に好ましい。角度θ1が過大である場合、リブの中央部がフェース4から離れすぎて、打球時の振動を抑制する効果が減少することがある。この観点から、角度θ1は、45°以下が好ましく、40°以下がより好ましく、35°以下が更に好ましい。なお、直線状のリブrbの場合、角度θ1は、上記直線Lzとトウ−ヒール方向との成す角度である。
【0076】
図7は、第3実施形態のヘッド30を示す底面図である。リブrbの配置を除き、このヘッド30は、ヘッド2と同じである。このリブrbは、非直線状である。このヘッド30では、リブrbが、フェース4側に向かって凸となるように曲がって延びている。このため、トウ側且つフェース近傍に位置する部分が増加している。よって、上述したトウ変形抑制効果が高められている。このヘッド30では、上記リブ傾斜効果が奏されつつ、上記トウ変形抑制効果が高められている。
【0077】
図8は、第4実施形態のヘッド40を示す底面図である。リブrbの配置を除き、このヘッド40は、ヘッド2と同じである。このリブrbは、非直線状である。このヘッド40では、リブrbが、バック側に向かって凸となるように曲がって延びている。このため、腹となりやすい部分に位置するリブrbが増加している。よって、上述した腹振動抑制効果が高められている。このヘッド40では、上記リブ傾斜効果が奏されつつ、上記腹振動抑制効果が高められている。またこの場合、トウ変形抑制効果が減少する反面、トウ部分の変形による反発性が高まる。よって、フェースのトウ側で打撃した場合の反発性能が向上しうる。
【0078】
図9は、第5実施形態のヘッド50を示す底面図である。リブrbの配置を除き、このヘッド50は、ヘッド2と同じである。リブrbのトウ側の端部はサイド部10にまで延びていない。リブrbのヒール側の端部は、サイド部10にまで延びている。すなわち、上述したヘッド2とは異なり、このヘッド50では、リブrbが、トウ側のサイド部10上には配置されていない。このリブrbの配置により、ヘッド重心をヒール側に寄せることができる。
【0079】
図10は、リブrbの断面図である。打球音を高くする観点から、リブ高さHRの平均値は、2mm以上が好ましく、2.5mm以上がより好ましく、3mm以上がより好ましい。リブ重量を抑制する観点から、リブ高さHRの平均値は、6mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
【0080】
打球音を高くする観点から、リブ高さHRの最大値は、3mm以上が好ましく、3.5mm以上がより好ましく、4mm以上がより好ましい。リブ重量を抑制する観点から、リブ高さHRの最大値は、10mm以下が好ましく、9mm以下がより好ましく、8mm以下がより好ましい。
【0081】
図10において両矢印BRで示されているのは、リブの幅である。打球音を高くする観点から、リブ幅BRの平均値は、0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、0.9mm以上がより好ましい。リブの重量を抑制する観点から、リブ幅BRの平均値は、1.5mm以下が好ましく、1.3mm以下がより好ましく、1.1mm以下がより好ましい。リブ幅BRが0.5mm以上で且つ1.5mm以下である部分の長さは、リブの全体長さの50%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、100%が特に好ましい。
【0082】
ヘッド体積は限定されない。慣性モーメントの増大及びスイートエリアの拡大の観点から、ヘッド体積は、400cc以上が好ましく、420cc以上がより好ましく、440cc以上がより好ましい。ゴルフクラブに関する規則を遵守する観点から、ヘッド体積は470cc以下が好ましく、10ccの測定誤差を考慮すると、460ccが特に好ましい。
【0083】
ヘッド重量Whは限定されない。スイングバランスの観点から、ヘッド重量Whは175g以上が好ましく、180g以上がより好ましく、185g以上がより好ましい。スイングバランスの観点から、ヘッド重量Whは、205g以下が好ましく、200g以下がより好ましく、195g以下がより好ましい。
【0084】
リブの重量Wrは限定されない。高い打球音を得る観点から、リブの重量Wrは、1.0g以上が好ましく、1.2g以上がより好ましく、1.5g以上がより好ましい。リブの重量が過大である場合、リブ以外に配分しうる重量が減少し、ヘッドの設計自由度が低下する。この観点から、リブの重量Wrは、5.0g以下が好ましく、4.0g以下がより好ましく、3.0g以下がより好ましい。
【0085】
リブ重量Wrの、ヘッド重量Whに対する比(Wr/Wh)は限定されない。高い打球音を得る観点から、比(Wr/Wh)は、0.008以上が好ましく、0.009以上がより好ましく、0.010以上がより好ましい。リブの重量が過大である場合、ヘッド本体に配分しうる重量が減少し、慣性モーメントが小さくなる。この観点から、比(Wr/Wh)は、0.025以下が好ましく、0.020以下がより好ましく、0.015以下がより好ましい。
【0086】
上記リブ長さLr(
図2参照)は限定されない。上述した複数の効果を得るためには、リブ長さLrが長いほうが有利であり、この観点から、リブ長さLrは、50mm以上が好ましく、60mm以上がより好ましく、70mm以上が更に好ましい。ソール面積には限界があるため、好ましいリブ長さLrは、150mm以下であり、より好ましくは、140mm以下、更に好ましくは130mm以下である。
【0087】
ヘッドの材質は限定されない。ヘッドの材質として、金属、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)等が例示される。ヘッドに用いられる上記金属として、純チタン、チタン合金、ステンレス鋼、マレージング鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及びタングステン−ニッケル合金から選ばれる一種以上の金属が例示される。ステンレス鋼として、SUS630及びSUS304が例示される。ステンレス鋼の具体例として、CUSTOM450(カーペンター社製)が例示される。チタン合金として、6−4チタン(Ti−6Al−4V)、Ti−15V−3Cr−3Sn−3Al等が例示される。ヘッド体積が大きい場合、打球音が大きくなりやすい。本発明は、打球音が大きなヘッドにおいて特に効果的である。この観点から、ヘッドの材質は、チタン合金が好ましい。この観点から、ソールの材質は、チタン合金が好ましい。
【0088】
ヘッドの製造方法は限定されない。通常、中空のヘッドは、2個以上の部材が接合されることにより製造される。ヘッドを構成する部材の製造方法は限定されず、鋳造、鍛造及びプレスフォーミングが例示される。
【0089】
ヘッドの構造として、それぞれ一体成形された2個の部材が接合された2ピース構造、それぞれ一体成形された3個の部材が接合された3ピース構造、それぞれ一体成形された4個の部材が接合された4ピース構造等が挙げられる。