【実施例1】
【0014】
実施例1に係るオープンショーケースにつき、
図1から
図7を参照して説明する。以下、
図1および
図3の矢印A方向をオープンショーケースの正面側(前方側)とし、
図2および
図4、の紙面左側をオープンショーケースの正面側(前方側)とする。また、
図5の紙面下側をオープンショーケースの正面側(前方側)とする。
【0015】
図1の符号1は、本発明の適用されたオープンショーケースである。このオープンショーケース1は、前面および側面が開放されているラウンド型のオープンショーケースであって、複数の商品を低温に保って冷凍または冷蔵した状態で陳列可能な保冷室2を有する。
【0016】
図2に示すように、保冷室2は、前面および側面が開口された断熱構造を有するケース本体3の内部が、複数の仕切壁4により仕切られて形成されている。また、背面側および側面側の仕切壁4には、商品を陳列するための陳列棚5が上下多段に取り付けられているとともに、保冷室2の下部には、商品(図示略)を陳列可能な底板6が設けられており、保冷室2内に多数の商品を載置可能な構成となっている。
【0017】
また、ケース本体3の上部の前端および側端はキャノピー7で覆われており、その下部には照明(図示略)が配設されている。そして、キャノピーにより照明光が反射されて、保冷室2の内部が均一に照らされるようになっている。さらに、キャノピー7にはロール式のナイトカバー(図示略)が収納されている。
【0018】
また、ケース本体3と仕切壁4との間には、保冷室2を覆うように冷気を循環させるための通風路10が設けられている。この通風路10には、その底部に、空気を冷却する冷却装置9および冷気を圧送する送風機11が設置されている。
【0019】
また、
図2に示すように、ケース本体3の上部には、保冷室2の前面および側面に通風路10内の冷気を吹き出す吹出口12が形成されており、ケース本体3の下部には、通風路10に保冷室2内の空気を吸い込む吸込口13が形成されている。
【0020】
また、吹出口12は、ケース本体3の外縁に沿って延設されており、吹出口12には、横長の直方体構造の空気整流体16が着脱自在に保持され、通風路10内の冷気が下方向に整流されて吹き出されるようになっている。
【0021】
一方、吸込口13は、ケース本体3の外縁に沿って延設されている(
図4参照)。そして、吸込口13には、ケース本体3の内下方に向けて緩やかに傾斜された横長の傾斜面を有する吸込口カバー(図示略)が取り付けられており、この吸込口カバーの傾斜面には、前後方向に延びたスリット状をなし通風路10に連通する吸込孔15が、左右方向に多数穿設されている。また、
図4に示すように、吸込口13を形成する保冷室2の外側の仕切壁4には、略円状をなし通風路10に連通する吸込孔8が複数穿設されている。
【0022】
また、
図2に示すように、保冷室2の背面側および側面側の仕切壁4には、陳列棚5を支持する鉄製のブラケット17の後端の係止片18が係止される複数の係止孔(図示略)が所定間隔離間されて縦列に穿設されており、任意の係止孔を利用してブラケット17が取り付けられている。この仕切壁4のブラケット17と、後述するダクト部材55のブラケット17’とにより陳列棚5が支持され、保冷室2に陳列棚5が架設される。
【0023】
また、陳列棚5の棚板は、棚板の両端縁がコーナ部に位置する形状、すなわち平面視で台形状(
図1参照)に形成されているとともに、奥行き寸法は、後述するエアーカーテン19と棚板とが干渉しないように所定寸法に定められている。
【0024】
また、陳列棚5の上面の先端部には、陳列された商品の落下を防止するために立設部材20が陳列棚5の左右方向に延設されている。さらに、陳列棚5の前縁部には、商品案内文字や商品価格、バーコード等が記載られた商品表示カードを取り付けるためのフロントレール21が装着されている。このフロントレール21は、陳列棚5の左右方向に延設されており、商品表示カードを係止して、オープンショーケースの前方から従業員や消費者が商品表示カードを目視できるようになっている。
【0025】
なお、吸込口13の外側には、保冷室2の外部への商品の落下を防止するとともに、商品案内文字や商品価格を表示する商品表示カードを取り付けることができる外フェンス40が取り付けられている。
【0026】
また、
図3に示すように、保冷室の前面と一側面とからなるコーナ部の内側には、前面と側面との間に隅切り状の隅切面59が上下方向に形成されるとともに、内部が前述の通風路10に連通する筒状のダクト部材55が設けられている。このダクト部材55の下部には、保冷室2の外側に向けて傾斜する傾斜面50が、ダクト部材55の隅切面59を介して前面側から側面側にわたって形成されている。
【0027】
さらに、この傾斜面50には、保冷室2のコーナ部の外側に設けられた後述の吸込口13’に向けて冷気を吹き出す吹出口としての挿通孔51が通風路10に連通するように横長のスリット状に穿設されている。また、ダクト部材55の隅切面59を挟む前面と側面には、略小径円形の小径孔58が通風路10に連通するように多数設けられている。そして、これらの挿通孔51および小径孔58から通風路10の冷気が保冷室2内に吹き出されるようになっている。
【0028】
さらに、このダクト部材55の隅切面59には、陳列棚5を支持するブラケット17’の後端の係止片18が係止される複数の係止孔(図示略)が所定間隔離間して縦列に穿設されている。これにより、ダクト部材55の隅切面59には、上述の仕切壁4のブラケット17と同様に鉄製のブラケット17’が係止され、このブラケット17’は保冷室2のコーナ部の内側から外側に向けて突設されるようになっている。そして、このダクト部材55のブラケット17’は、前述の仕切壁4のブラケット17と共に陳列棚5を架設するのに利用される。なお、ブラケット17’は、強磁性材であれば鉄以外の金属や合金製であってもよい。
【0029】
そして、ダクト部材55のブラケット17’の外側面には、ブラケット17’の根元付近から先端付近にかけてブラケット17’の外側面に沿って延設される取付部54と、取付部54から保冷室2の前面または側面方向に水平に延設された板状の誘導面部53とを有する整風板52が取り付けられている(
図4参照)。
【0030】
また、
図5に示すように、保冷室2のコーナ部の外側の下部には、前面側及び一側面側の吸込口13に比べて幅広となるコーナ部の吸込口13’が形成されており、コーナ部の内側から外側の方向にスリット状に形成された複数の吸込孔15’が設けられている。
【0031】
次に、本発明に係る整風板52について説明する。この整風板52はブラケット17、17’と同様に鉄製であって、
図6(b)に示すように、整風板52の取付部54は、側面視で横長の略長方形に形成されており、中央部より左側と右側にそれぞれ小径の小孔56が設けられている。そして、取付部54においてブラケット17’の側面と対向する面には、取付部54とほぼ等しい形状に形成されたマグネットシート57が接着剤により固着されている。このマグネットシート57を用いることで、鉄製のブラケット17’に磁気を利用して脱着自在に取り付けられるようになっている。
【0032】
なお、接着剤に代えて両面テープでマグネットシート57と取付部54とを固着してもよいし、小孔56を利用してマグネットシート57と取付部54とをビス等で固定してもよい。また、マグネットシート57は、取付部54の内部に埋め込まれるようにしてもよいし、複数の円形や四角形の磁石を取付部54に配設するようにしてもよい。また、整風板52は、保冷室2の下部に設けられた冷気を吹き出す吹出口としての挿通孔51から吹き出される冷風の圧力に耐えうる剛性を有していれば、鉄製以外の例えばアルミニウム等の金属製やプラスチック等の合成樹脂製であってもよい。
【0033】
また、整風板52の誘導面部53は、
図6(c)に示すように、上面視での取付部54と同じ長さの横長の略長方形に形成されている。さらに、
図6(d)に示すように、誘導面部53は、断面視で、取付部54の下端から連続して水平に形成されるとともに、その先端部分は水平部分に対して所定角度θで下方に屈曲されている。このように、整風板52の下面が凹状に形成されることで、
図3に示すように、整風板52をブラケット17’にとりつけたときに、コーナ部の空間の一部が誘導面部53の下面で覆われるので、コーナ部の吸込口13’に冷気をより効果的に誘導することができる。なお、誘導面部53は上方に凹状に形成されていれば、屈曲させずに湾曲させて形成してもよい。
【0034】
そして、整風板52は、
図4に示すように、コーナ部の内側に設けられたダクト部材55の下部の挿通孔51から斜前上方に向けて吹き出される冷気の流れに対して、所定の角度を成すように取り付けられている。また、
図3に示すように、整風板52はコーナ部の空間に一部を覆うように、保冷室2の前面側と側面側のブラケット17’、17’の側面にそれぞれ取り付けられる。このように同一形状の2つの整風板52を取り付けることで、誘導面部53の下面にぶつかった冷気の流れは、整風板52の下方に拡散されて、保冷室2底部に陳列された商品を冷却されるとともに、保冷室2のコーナ部以外、すなわち正面側と側面側とへの拡散は抑えられつつコーナ部の吸込口13の方向に導かれるので、コーナ部周辺に陳列された商品を効果的に冷却できる。
【0035】
また、マグネットシート57を用いて整風板52を着脱自在とすることで、オープンショーケース1が店舗に設置された後であっても、店舗の空調設備による送風のコーナ部への当たり具合や、コーナ部に陳列された商品の形状および積まれ具合、陳列棚5の設置された高さ等に応じて、整風板52の角度や位置を自在に調整できる。例えば、
図7(a)に示すように、ブラケット17’の位置が一定に固定されていても、整風板52の位置と向きを変更することができる。なお、整風板52の角度を同一としたまま位置のみを変更することも、その逆も可能である。また、
図7(b)に示すように、ブラケット17’の取付位置が変更された場合であっても、誘導面部53の挿通孔51に対する角度や位置が変わらないように整風板52を取り付けることができる。これにより、コーナ部周辺に陳列された商品の近くに整風板52を取り付けて、冷気の流れをコーナ部周辺に陳列された商品の近くで拡散させながら吸込口13’に導ける。
【0036】
次に、本実施例に係るショーケースの作用につき説明する。
【0037】
先ず、通風路10内に設けられた送風機11を駆動させて、ケース本体3の底部の吸込口13から空気を取り込むとともに、取り込んだ空気を冷却装置9により冷却しつつ、通風路10内を対流させる。そして、通風路10内の冷気を、ケース本体3の前面側および側面側の上部の吹出口12から下部の吸込口13に向けて吹き出させる。すると、吹出口12から吹き出された冷気の一部は、保冷室2の内部を対流して、保冷室2内の商品を冷却する。また、他の冷気の一部は、上下各段の陳列棚5の前方を通って流れ下り、吸込口13に達して吸い込まれる。
【0038】
また、通風路10を対流させた冷気を、コーナ部のダクト部材55の小径孔58から保冷室2内に吹き出させるとともに、挿通孔51からコーナ部の上前方、すなわち整風板52の誘導面部53の下面に向けて吹き出させる。これにより、挿通孔51から吹き出された冷気は、整風板52に当たってコーナ部の下部の空間を拡散しつつ、コーナ部外側の吸込口13’に向けて誘導される。そして、上述の保冷室2上部の吹出口12から吹き出された冷気の一部と合流しつつ、コーナ部の吸込口13’に達して吸い込まれる。
【0039】
以上により、保冷室2の前面から側面にかけての開口にエアーカーテン19が作り出されるとともに、冷気がオープンショーケース1内で循環されるので、保冷室2内の冷気が外部に拡散することや外部の熱が保冷室2内に侵入することが低減されて、保冷室2内を一定温度に効率よく維持することができる。
【0040】
また、コーナ部においては、吹出口12に加えて挿通孔51や小径孔58からも冷気が供給され、幅広に形成されたコーナ部の吸込口13’に流れ込むようになっているので、コーナ部における冷気の吸込量が十分に確保され、上部から下部にかけて拡大するコーナ部の開放面に対して十分なエアーカーテン19が良好に形成される。
【0041】
これらにより、店舗で空調設備の送風が保冷室2のコーナ部に当たって冷気の流れ方向が変化したり、保冷室2の下部に商品が大量に陳列されたりして、挿通孔51(吹出口)から吹き出された冷気がコーナ部の吸込口13’にうまく吸い込まれない場合でも、送風のコーナ部への当たり具合や商品の陳列具合に応じて、店舗で取付部54により取り付けて少なくとも誘導面部53の方向を適宜変更することができる整流板52により、冷気を誘導面部53の下面にぶつけて拡散させつつ、冷気の流れをコーナ部の吸込口13’に向けられるので、コーナ部の内側から外側にかけての広い範囲を冷却させつつ、吸込口13’に達する冷気の流量を十分に確保できるので、保冷室2のコーナ部の保冷性能を高められる。
【0042】
また、取付部54が誘導面部53の固定位置を変更可能に取り付けられることで、保冷室2内の陳列棚5(棚)や陳列商品のレイアウト等が変化する場合でも、保冷室2内の陳列棚5や陳列商品のレイアウト等に応じて誘導面部53の固定位置を変更することで、冷気の流れを陳列商品の近くで拡散させながらコーナ部の吸込口に導けるので、保冷室2のコーナ部の保冷性能を高められる。
【0043】
また、整風板52の取り付けにマグネットシート57(磁石)を利用することで、整風板52を容易に着脱できるとともに、誘導面部53の方向および固定位置を容易に変更できる。
【0044】
また、挿通孔51(吹出口)の直上の陳列棚5(棚)を支持するブラケット17’に整風板52の取付部54が取り付けられることにより、ブラケット17’を利用してコーナ部の内側から外側にかけて誘導面部53を容易に架設できるとともに、誘導面部53の下面が凹状に形成されることで、コーナ部の空間の一部が誘導面部53の下面で覆われて、コーナ部の吸込口13’に冷気をより効果的に誘導することができる。
【0045】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0046】
例えば、上記実施例では、整風板52をマグネットシート57を介してブラケット17の外側面に取り付けるように構成しているが、整風板52の取付部54と同様な小孔56をブラケット17の側面にも複数形成して、これらの小孔に棒状のピンを挿入することで、整風板52がブラケット17の側面に係止されるようにしてもよい。また、マグネットシート57に替えて、両面テープにより整流板52をブラケット17’に取り付けられるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施例では、誘導面部53をブラケット17’と同様に鉄製として構成しているが、帆布等でシート状に構成するとともに、取付部54に対向する端部を保冷室2内に掛止するように構成することで、誘導面部53が架設されるようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施例では、整風板52をコーナ部の2つのブラケット17’、17’の側面に取り付けているが、ブラケット17’、17’の片方のみに取り付けてもよい。また、コーナ部の両側にわって一体に形成された整風板を設けてもよいし、2つのブラケット17’、17’にそれぞれ形状の異なる整風板52を取り付けてもよい。さらに、整風板52は取付部54と誘導面部53とが同一材料で一体に形成されても、それぞれ複数の別部材で構成されていてもよい。
【0049】
また、上記実施例では、保冷室2の下部に吹出口としての挿通孔51を設けるとともに、整風板52を保冷室2の最下段の陳列棚5のブラケット17’の側面に取り付けて、挿通孔51から吹き出された冷気の流れを拡散しつつコーナ部の吸込口13’に導くようにしている、例えば、下から中段の陳列棚5同士の間に、吹出口としての挿通孔51を設けるとともに、整風板52を取り付けるようにしてもよい。また、例えば、ケース本体3の上部のキャノピー7のコーナ部に整風板52を取り付けて、保冷室2の上部の吹出口12から吹き出される冷気を整風板52の下面で受けて、コーナ部の吸込口13’に導くようにしてもよい。