特許第6077845号(P6077845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6077845片持ち式腰掛、片持ち式腰掛ユニット、治具、及び、片持ち式腰掛の取付方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077845
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】片持ち式腰掛、片持ち式腰掛ユニット、治具、及び、片持ち式腰掛の取付方法。
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/00 20060101AFI20170130BHJP
   B61D 33/00 20060101ALI20170130BHJP
   B60N 2/44 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B60N2/00
   B61D33/00 A
   B60N2/44
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-264483(P2012-264483)
(22)【出願日】2012年12月3日
(65)【公開番号】特開2014-108736(P2014-108736A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 新
(72)【発明者】
【氏名】須田 剛慈
(72)【発明者】
【氏名】山崎 誠
(72)【発明者】
【氏名】西垣 昌司
(72)【発明者】
【氏名】浅賀 哲也
(72)【発明者】
【氏名】茂木 正綱
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−161495(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/107894(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/72
B61D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面の所定の位置に取付けられる片持ち式腰掛であって、
着席者の腰部を支持する座部と、
着席者の背面を支持する背もたれと、
前記背もたれと前記座部との間で前記座部と前記背もたれとを連結するように設けられている屈曲部と、を備え、
前記座部は、
前記屈曲部近傍に設けられ、前記壁面に設けられた壁側係合部と互いに水平方向に係合することにより、前記片持ち式腰掛が前記壁面から遠ざかる方向に移動することを妨げる腰掛側係合部と、
前記座部における前記屈曲部から離れた位置に設けられ、前記座部の左右両側からそれぞれ突出した一対の円柱であり、前記片持ち式腰掛が前後方向に回転運動可能なように軸支される第1の被支持部と、を有し、
前記背もたれは、
前記屈曲部から離れて設けられ、前記壁面に設けられた壁側締結部と締結されることにより前記片持ち式腰掛を前記壁面に締結するための腰掛側締結部と、
前記背もたれにおける前記屈曲部から離れた位置に設けられ、着脱自在に支持される第2の被支持部と、を有する片持ち式腰掛。
【請求項2】
前記座部は、着席者の腰部と接する座面の反対側の座部下面に、前記座部下面から突出した構造物をさらに有する、請求項1に記載の片持ち式腰掛。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の片持ち式腰掛が前記壁面の所定の位置に取付けられた片持ち式腰掛ユニットであって、
前記壁面は、
前記腰掛側係合部に対応する位置に設けられ、前記腰掛側係合部と互いに水平方向に係合することにより、前記片持ち式腰掛が前記壁面から遠ざかる方向に移動することを妨げる壁側係合部と、
前記腰掛側締結部に対応する位置に設けられ、前記腰掛側締結部と締結されることにより、前記壁面に前記片持ち式腰掛を締結するための壁側締結部と、を備え、
前記腰掛側係合部と前記壁側係合部とが互いに水平方向に係合すること、及び、前記腰掛側締結部と前記壁側締結部とが締結されることによって、前記片持ち式腰掛が前記壁面に固定されている、片持ち式腰掛ユニット。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の片持ち式腰掛を前記壁面の所定の位置に取付けるための治具であって、
前記片持ち式腰掛が前記座部の前後方向に回転運動可能なように、前記第1の被支持部を軸支する第1の支持部と、
着脱自在に、前記第2の被支持部を支持する第2の支持部と、を備える治具。
【請求項5】
前記第1の支持部の下側で前記第1の支持部と連結されており、前記第1の支持部を前記片持ち式腰掛の前後方向に摺動可能な摺動部をさらに備える、請求項4に記載の治具。
【請求項6】
前記摺動部の摺動範囲に設けられた、前記摺動部が摺動可能な範囲を限定する位置決め部をさらに備える、請求項5に記載の治具。
【請求項7】
前記治具を前記壁面の所定の位置まで移動させる際に用いる車輪をさらに備える、請求項4〜6のいずれか一項に記載の治具。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の片持ち式腰掛の取付方法であって、
前記片持ち式腰掛を取付ける前記壁面近傍において、前記片持ち式腰掛をその前方に傾斜するように前記第1の被支持部及び前記第2の被支持部で支持した状態から前記第2の被支持部の支持状態を解除し、前記第1の被支持部で軸支された前記片持ち式腰掛を後方に回転運動させることにより、前記腰掛側係合部と前記腰掛側係合部に対応する位置に設けられた壁側係合部とを互いに水平方向に係合させる係合工程と、
前記腰掛側締結部と前記腰掛側締結部に対応する位置に設けられた壁側締結部とを締結することで前記片持ち式腰掛を前記壁面に固定する固定工程と、を含む片持ち式腰掛の取付方法。
【請求項9】
請求項4に記載の治具を用いた、請求項1又は2に記載の片持ち式腰掛の取付方法であって、
前記片持ち式腰掛をその前方に傾斜させ、前記第1の被支持部を前記第1の支持部で軸支するとともに、前記第2の被支持部を前記第2の支持部で支持し固定する支持工程と、
前記支持工程後、前記片持ち式腰掛を取付ける壁面近傍において、前記第2の支持部による前記第2の被支持部の支持状態を解除する支持状態解除工程と、
前記支持状態解除工程後、前記第1の支持部を支点として、前記片持ち腰掛を後方に回転運動させ、前記腰掛側係合部と壁側係合部とを互いに水平方向に係合させる係合工程と、
前記腰掛側締結部と壁側締結部とを締結することで前記片持ち式腰掛を前記壁面に固定する固定工程と、を含む片持ち式腰掛の取付方法。
【請求項10】
請求項5に記載の治具を用いた、請求項1又は2に記載の片持ち式腰掛の取付方法であって、
前記片持ち式腰掛をその前方に傾斜させ、前記第1の被支持部を前記第1の支持部で軸支するとともに、前記第2の被支持部を前記第2の支持部で支持し固定する支持工程と、
前記支持工程後、前記片持ち式腰掛を取付ける壁面近傍において、前記第2の支持部による前記第2の被支持部の支持状態を解除する支持状態解除工程と、
前記支持状態解除工程後、前記摺動部を前記壁面から遠ざかる向きである摺動方向に摺動させることによって、前記第1の支持部を支点として、前記片持ち腰掛を前記座部の前後方向に回転運動させ、前記腰掛側係合部と壁側係合部とを互いに水平方向に係合させる係合工程と、
前記腰掛側締結部と壁側締結部とを締結することで前記片持ち式腰掛を前記壁面に固定する固定工程と、を含む片持ち式腰掛の取付方法。
【請求項11】
請求項6に記載の治具を用いた、請求項1又は2に記載の片持ち式腰掛の取付方法であって、
前記位置決め部を前記摺動部の摺動可能範囲を限定する位置に設置する位置決め工程と、
前記位置決め工程後、前記片持ち式腰掛をその前方に傾斜させ、前記第1の被支持部を前記第1の支持部で軸支するとともに、前記第2の被支持部を前記第2の支持部で支持し固定する支持工程と、
前記支持工程後、前記片持ち式腰掛を取付ける壁面近傍において、前記第2の支持部による前記第2の被支持部の支持状態を解除する支持状態解除工程と、
前記支持状態解除工程後、前記摺動部を前記壁面から遠ざかる向きである摺動方向に、前記摺動部が前記位置決め部に接触し前記摺動方向への摺動が不可となるまで摺動させることで、前記第1の支持部を支点として、前記片持ち腰掛を前記座部の前後方向に回転運動させ、前記腰掛側係合部と壁側係合部とを互いに水平方向に係合させる係合工程と、
前記腰掛側締結部と壁側締結部とを締結することで前記片持ち式腰掛を前記壁面に固定する固定工程と、を含む片持ち式腰掛の取付方法。
【請求項12】
前記係合工程後であって、前記固定工程前に、前記腰掛側係合部と前記壁側係合部とが互いに水平方向に係合された係合箇所を支点として、前記片持ち腰掛をさらに回転させることで、前記背もたれを前記壁面に接させる背もたれ起こし工程をさらに含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載の片持ち式腰掛の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片持ち式腰掛、片持ち式腰掛ユニット、治具、及び、片持ち式腰掛の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両用の腰掛として、腰掛のフレームが壁面に固定された片持ち式腰掛がある。片持ち式腰掛は、腰掛の下に脚部を支持するための構造物がなく清掃が容易である等のメリットがあることから、多くの鉄道車両で用いられている。片持ち式腰掛は腰掛のフレームを壁面に固定することが必要となるところ、腰掛の座部及び背もたれは、ボルト等により壁面に締結されることが一般的である。
【0003】
ところで、片持ち式腰掛では、腰掛下の床には構造物を搭載しないことが前提であるため、ヒータ等の構造物は、座部の下面に吊り下げられるようにして取付けられる。座部の下面へのヒータ等の構造物の取付け作業は、座部及び背もたれをボルト等で壁面に締結した後に行われる。構造物の取付け作業は、車両の床面と腰掛の間の狭いスペースで行う必要があり、作業性が悪く作業者の負担が大きい。仮に、構造物の座部下面への吊り下げを腰掛の壁面への固定前に行うことができれば、上述したような狭いスペースでの作業は不要となるが、構造物を座部の下面に吊り下げた後に座部をボルト等で壁面に締結することはできないため、そのような方法を採用することは難しい。
【0004】
そこで、ボルトによる締結を省くために、特許文献1,2に記載があるように、座部を壁面に引っ掛けるようにして壁面に固定する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−213237号公報
【特許文献2】特開平05−139303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1,2に記載された方法により、座部を壁面に引っ掛けるようにして固定する場合であっても、座部の下面に構造物を吊り下げた腰掛は重量が重く、構造物を吊り下げた腰掛を壁面の適切な位置で保持し取付作業を行うことは困難である。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、片持ち式腰掛の壁面への取付作業の作業性を向上することができる、片持ち式腰掛、片持ち式腰掛ユニット、治具、及び、片持ち式腰掛の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る片持ち式腰掛は、壁面の所定の位置に取付けられる片持ち式腰掛であって、着席者の腰部を支持する座部と、着席者の背面を支持する背もたれと、背もたれと座部との間の屈曲部と、を備え、座部は、屈曲部近傍に設けられ、壁面に設けられた壁側係合部と互いに水平方向に係合することにより、片持ち式腰掛が壁面から遠ざかる方向に移動することを妨げる腰掛側係合部と、屈曲部から離れて設けられ、片持ち式腰掛が前後方向に回転運動可能なように軸支される第1の被支持部と、を有し、背もたれは、屈曲部から離れて設けられ、壁面に設けられた壁側締結部と締結されることにより片持ち式腰掛を壁面に締結するための腰掛側締結部と、屈曲部から離れて設けられ、着脱自在に支持される第2の被支持部と、を有する。
【0009】
この構成によれば、運搬の際には、片持ち式腰掛をその前方に傾斜するように第1の被支持部を中心にして回転させた状態で第1の被支持部及び第2の被支持部を支持し、壁面への取付けの際には、第2の被支持部を脱着し片持ち式腰掛を第1の被支持部を中心にその後方に回転させ、腰掛側係合部を壁側係合部に引っ掛けるようにして片持ち式腰掛を取付けることができるため、壁面への取付けが簡易になる。すなわち、片持ち式腰掛の壁面への取付作業の作業性が向上する。
【0010】
また、本発明に係る片持ち式腰掛は、座部は、着席者の腰部と接する座面の反対側の座部下面に、座部下面から突出したヒータ等の構造物をさらに有するものとできる。この構成によれば、座部下面から突出したヒータ等の構造物を、壁面に取付ける前の片持ち式腰掛に予め備え付けることができる。よって、従来のように壁面に片持ち式腰掛を取付けた後に座部下面側の狭い作業スペースにおいて座部下面に構造物を取付ける作業が不要となり、作業性が向上する。
【0011】
本発明に係る片持ち式腰掛ユニットは、本発明の片持ち式腰掛が壁面の所定の位置に取付けられた片持ち式腰掛ユニットであって、壁面は、腰掛側係合部に対応する位置に設けられ、腰掛側係合部と互いに水平方向に係合することにより、片持ち式腰掛が壁面から遠ざかる方向に移動することを妨げる壁側係合部と、腰掛側締結部に対応する位置に設けられ、腰掛側締結部と締結されることにより、壁面に片持ち式腰掛を締結するための壁側締結部と、を備え、腰掛側係合部と壁側係合部とが互いに水平方向に係合すること、及び、腰掛側締結部と壁側締結部とが締結されることによって、片持ち式腰掛が壁面に固定されている。
【0012】
この構成によれば、片持ち式腰掛を取付ける壁面が、片持ち式腰掛の腰掛側係合部に対応する構成として壁側係合部を、腰掛側締結部に対応する構成として壁側締結部を、それぞれ有するため、本発明に係る片持ち式腰掛の壁面への取付けを確実に行うことができる。
【0013】
本発明に係る治具は、本発明の片持ち式腰掛を壁面の所定の位置に取付けるための治具であって、片持ち式腰掛が座部の前後方向に回転運動可能なように、第1の被支持部を軸支する第1の支持部と、着脱自在に、第2の被支持部を支持する第2の支持部と、を備える。
【0014】
この構成によれば、第1の支持部が第1の被支持部を軸支し、前方に傾斜するように回転された状態で支持された片持ち式腰掛を後方に回転運動させることで、片持ち式腰掛の壁面への取付けを簡易化できる。また、着脱自在な第2の支持部で第2の被支持部を支持することで、片持ち式腰掛の回転運動前には第2の被支持部を固定状態とし、回転運動時には第2の被支持部の固定状態を解除することができ、安定した支持とスムーズな取付けを実現できる。
【0015】
また、本発明に係る治具は、第1の支持部の下側で第1の支持部と連結されており、第1の支持部を片持ち式腰掛の前後方向に摺動可能な摺動部をさらに備えることが好適である。摺動部を備えることで、片持ち式腰掛の回転運動時に第1の支持部を前後方向に摺動させて、片持ち式腰掛の回転運動を細かく調整することができ、より取付けが簡易になる。
【0016】
また、本発明に係る治具は、摺動部の摺動範囲に設けられた、摺動部が摺動可能な範囲を限定する位置決め部をさらに備えることが好適である。片持ち式腰掛の大きさや壁面における取付け高さによっては、取付けがスムーズに行える摺動部の摺動位置が異なるところ、位置決め部を備えることで、様々な状況に応じて適正な範囲において摺動部を摺動させることができる。
【0017】
また、本発明に係る治具は、治具を壁面の所定の位置まで移動させる際に用いる車輪をさらに備えることが好適である。車輪を備えることで、片持ち式腰掛を取付ける壁面の所定位置まで、治具を容易に移動させることができる。
【0018】
本発明に係る片持ち式腰掛の取付方法は、本発明の片持ち式腰掛の取付方法であって、片持ち式腰掛を取付ける壁面近傍において、片持ち式腰掛をその前方に傾斜するように第1の被支持部及び第2の被支持部で支持した状態から第2の被支持部の支持状態を解除し、第1の被支持部で軸支された片持ち式腰掛を後方に回転運動させることにより、腰掛側係合部と腰掛側係合部に対応する位置に設けられた壁側係合部とを互いに水平方向に係合させる係合工程と、腰掛側締結部と腰掛側締結部に対応する位置に設けられた壁側締結部とを締結することで片持ち式腰掛を壁面に固定する固定工程と、を含む。
【0019】
本発明に係る片持ち式腰掛の取付方法は、本発明の治具を用いた、本発明の片持ち式腰掛の取付方法であって、片持ち式腰掛をその前方に傾斜させ、第1の被支持部を第1の支持部で軸支するとともに、第2の被支持部を第2の支持部で支持し固定する支持工程と、支持工程後、片持ち式腰掛を取付ける壁面近傍において、第2の支持部による第2の被支持部の支持状態を解除する支持状態解除工程と、支持状態解除工程後、第1の支持部を支点として、片持ち腰掛を後方に回転運動させ、腰掛側係合部と壁側係合部とを互いに水平方向に係合させる係合工程と、腰掛側締結部と壁側締結部とを締結することで片持ち式腰掛を前記壁面に固定する固定工程と、を含む。
【0020】
本発明に係る片持ち式腰掛の取付方法は、本発明の治具を用いた、本発明の片持ち式腰掛の取付方法であって、片持ち式腰掛をその前方に傾斜させ、第1の被支持部を第1の支持部で軸支するとともに、第2の被支持部を第2の支持部で支持し固定する支持工程と、支持工程後、片持ち式腰掛を取付ける壁面近傍において、第2の支持部による第2の被支持部の支持状態を解除する支持状態解除工程と、支持状態解除工程後、摺動部を壁面から遠ざかる向きである摺動方向に摺動させることによって、第1の支持部を支点として、片持ち腰掛を座部の前後方向に回転運動させ、腰掛側係合部と壁側係合部とを互いに水平方向に係合させる係合工程と、腰掛側締結部と壁側締結部とを締結することで片持ち式腰掛を壁面に固定する固定工程と、を含む。
【0021】
本発明に係る片持ち式腰掛の取付方法は、本発明の治具を用いた、本発明の片持ち式腰掛の取付方法であって、位置決め部を前記摺動部の摺動可能範囲を限定する位置に設置する位置決め工程と、位置決め工程後、片持ち式腰掛をその前方に傾斜させ、第1の被支持部を前記第1の支持部で軸支するとともに、第2の被支持部を第2の支持部で支持し固定する支持工程と、支持工程後、片持ち式腰掛を取付ける壁面近傍において、第2の支持部による第2の被支持部の支持状態を解除する支持状態解除工程と、支持状態解除工程後、摺動部を壁面から遠ざかる向きである摺動方向に、摺動部が位置決め部に接触し摺動方向への摺動が不可となるまで摺動させることで、第1の支持部を支点として、片持ち腰掛を座部の前後方向に回転運動させ、腰掛側係合部と壁側係合部とを互いに水平方向に係合させる係合工程と、腰掛側締結部と壁側締結部とを締結することで片持ち式腰掛を壁面に固定する固定工程と、を含む。
【0022】
また、本発明に係る片持ち式腰掛の取付方法は、係合工程後であって、固定工程前に、腰掛側係合部と壁側係合部とが互いに水平方向に係合された係合箇所を支点として、片持ち腰掛をさらに回転させることで、背もたれを壁面に接させる背もたれ起こし工程をさらに含むことが好適である。係合後は係合箇所を支点として片持ち腰掛を回転させることで、片持ち腰掛の回転をより滑らかに行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、片持ち式腰掛の壁面への取付作業の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係る片持ち式腰掛ユニットを示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る片持ち式腰掛を示す側面図である。
図3】本実施形態に係る壁面を示す側面図である。
図4図1の部分Aの拡大図である。
図5】本実施形態に係る治具を示す側面図である。
図6図5に示す治具の平面図である。
図7図5に示す治具の正面図である。
図8】本実施形態に係る片持ち式腰掛の壁面への取付工程を示す図である。
図9】本実施形態に係る片持ち式腰掛の壁面への取付工程を示す図である。
図10】本実施形態に係る片持ち式腰掛の壁面への取付工程を示す図である。
図11】本実施形態に係る片持ち式腰掛の壁面への取付工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る片持ち式腰掛、片持ち式腰掛ユニット、治具、及び、片持ち式腰掛の取付方法について詳細に説明する。
【0026】
図1に示すように、片持ち式腰掛ユニット10は、鉄道車両の車室内において、片持ち式腰掛100が壁面200の所定の位置に取付けられたものである。以下、片持ち式腰掛100について図2を、壁面200について図3を、それぞれ参照して詳細に説明する。
【0027】
図1及び図2に示すように、片持ち式腰掛100は、座部101と背もたれ102と屈曲部103とを備えている。片持ち式腰掛100は例えば3人掛けや7人掛けのものが考えられる。
【0028】
座部101は、着席者の腰部を支持する。背もたれ102は、着席者の背面を支持する。屈曲部103は、座部101と背もたれ102との間で座部101と背もたれ102とを連結するように設けられている。
【0029】
座部101は、座フレーム101Fと座マット101Mとを有している。座フレーム101Fは座部101の骨格となる部分であり、アルミニウム材等の材料により形成されている。着席者の座り心地を良くするため、座フレーム101Fを覆うようにして座マット101Mが取付けられている。座マット101Mは、片持ち式腰掛100を壁面200に取付けた後に、座フレーム101Fに取付けられても良い。
【0030】
座部101は、座部被支持部(第1の被支持部)104と、腰掛側係合部106と、ヒータ取付部109と、反射板110と、ヒータ111とを有している。
【0031】
座部被支持部104は、片持ち式腰掛100が前後方向に回転運動可能なように軸支されるための部位である。座部被支持部104は、座部101における屈曲部103と離れた位置に設けられ、図2に示す例では、座部101の先端側に設けられている。図4に拡大して示すように、座部被支持部104は、座部101の先端の左右両側からそれぞれ突出した一対の円柱である。座部被支持104の材料には、例えばアルミニウム材等を用いることができる。
【0032】
腰掛側係合部106は、コの字型の形状をした係合部材であり、屈曲部103近傍の座部101下面(裏面)に設けられている。腰掛側係合部106の形状は、後述する壁面200に設けられた壁側係合部201と互いに水平方向に係合することにより、図4に拡大して示すように、片持ち式腰掛100が壁面200から遠ざかる方向に移動することを妨げる形状である。
【0033】
ヒータ取付部109は、着席者の腰部と接する座面の反対側の座部101下面に設けられえた、ヒータ111を取付けるために設けられる部材である。反射板110は、ヒータ111が排出する熱が座部101下面から直接着席者に伝わることを防ぐために、熱を下方に反射し、車両の床面に逃がす。ヒータ111は、片持ち式腰掛100が壁面200に取付けられる前段階で備えつけられる。
【0034】
背もたれ102は、背フレーム102Fと背マット102Mとを有している。背フレーム102Fは背もたれ102の骨格となる部分であり、アルミニウム材等の材料により形成されている。背マット102Mは、背フレーム102Fを覆うようにして取付けられている。背マット102Mは、片持ち式腰掛100のを壁面200に取付けた後に背フレーム102Fに形成されても良い。
【0035】
背もたれ102は、背もたれ被支持部(第2の被支持部)105と、腰掛側締結部107,108とを有している。
【0036】
背もたれ被支持部105は、後述する治具により着脱自在に支持される部位である。背もたれ被支持部105は、背もたれ102における屈曲部103から離れた位置に設けられ、図2に示す例では、背もたれ102の先端側に設けられている。図4に拡大して示すように、背もたれ被支持部105は背もたれ102の先端の左右両側からそれぞれ突出した一対の円柱である。背もたれ被支持部105の材料には、例えばアルミニウム材等を用いることができる。
【0037】
腰掛側締結部107,108は、後述する壁面200に設けられた壁側締結部202,203と締結されることにより片持ち式腰掛100を壁面200に締結するための部位である。腰掛側締結部107、108は、それぞれ、壁側締結部と位置合わせを行い、ボルト等で締結される。腰掛側締結部107,108は、背もたれ102の壁面200と接する面に設けられており、背もたれ102における屈曲部103から離れてた位置に設けられている。図2に示す例では、腰掛側締結部107,108は、背もたれ被支持部105近傍に設けられている。
【0038】
図3に示すように、壁面200は、所定の位置に片持ち式腰掛100を取付ける。壁面200は、壁側係合部201と、壁側締結部202,203とを備えている。
【0039】
図4に拡大して示すように、壁側係合部201は、片持ち式腰掛100の座部101に設けられた腰掛側係合部106に対応する位置に設けられ、腰掛側係合部106と互いに水平方向に係合することにより、片持ち式腰掛100が壁面200から遠ざかる方向に移動することを妨げる形状である。壁側係合部201は、ボルト等により壁面200に締結されている。壁側係合部201は、片持ち式腰掛100の重量を支持可能な強度を有する。
【0040】
壁側締結部202,203は、腰掛側締結部107,108に対応する位置に設けられ、腰掛側締結部107,108と締結されることにより、壁面200に片持ち式腰掛100を締結するための部位である。
【0041】
つぎに、図5図7を用いて、片持ち式腰掛100を壁面200の所定の位置に取付けるための治具300について説明する。図5は、本発明に係る治具を示す側面図である。図6は、図5に示す治具の平面図である。図7は、図5に示す治具の正面図である。
【0042】
図5に示すように、治具300は、下部支持部310と、上部支持部320と平板331と、車輪332とストッパー333と、を備えている。治具300は、片持ち式腰掛100を壁面200まで運搬する用途と、片持ち式腰掛100を壁面200に取付ける用途で用いられる。運搬時には、治具300は、片持ち式腰掛100をその前方に約90度傾斜させ、座部被支持部104を下部支持部310で軸支するとともに、背もたれ被支持部105を上部支持部320で支持する。
【0043】
下部支持部310は、片持ち式腰掛100が座部101の前後方向に回転運動可能なように、座部被支持部104を軸支する部位である。下部支持部310は、下部支持面311と、摺動部312と、を有している。
【0044】
下部支持面311は、軸支する座部被支持部104が接する面である。図5に示すように、下部支持面311は、治具300の側面から見た場合にVの字の形状とされている。Vの字の形状とすることで、下部支持面311への座部被支持部104の載置を容易にすると共に、後述する摺動部312の摺動によっても、下部支持面311から座部被支持部104が滑落することを防止している。
【0045】
摺動部312は、下部支持部310の下側で下部支持部310と連結されており、下部支持部310を片持ち式腰掛100の前後方向に摺動可能とする部材である。摺動部312は、球体あるいは円柱体が回転動可能なように支持されていることにより、平板331上を摺動する。摺動部312は、平板331を挟むように上下に設けられており、且つ、図6に示すように、平板331の上下それぞれにおいて下部支持部310の四隅に設けられている。よって、1つの下部支持部310に対して、8つの摺動部312が設けられている。8つの摺動部312は互いの位置関係を保ちつつ同時に同方向に摺動するものである。
【0046】
摺動部312の摺動と片持ち式腰掛100の回転について、図6を用いて説明する。摺動部312は、片持ち式腰掛100の前後方向(図6における左右方向)に摺動することによって、片持ち式腰掛100を回転させるものである。摺動部312は、上部支持部320に近づくように摺動することで、片持ち式腰掛100を後ろ方向に回転させることができる。
【0047】
図6には、位置決め部341が示されている。位置決め部341は、摺動部312の摺動範囲に設けられ、摺動部312が摺動可能な範囲を限定する。位置決め部341は、位置決め部341が設けられた位置まで摺動部312を摺動させると、腰掛側係合部106と壁側係合部201とが係合可能となるように、配置されている。
【0048】
図5に戻り、上部支持部320は、着脱自在に、背もたれ被支持部105を支持する。上部支持部320は、上部支持面321と、把持部322と、ロック部323と、を有している。
【0049】
上部支持面321は、支持する背もたれ被支持部105が接する面である。背もたれ被支持部105は、上部支持面321に接した状態で、把持部322に把持され、ロック部323が把持部322に連結されることでロック状態となる。ロック状態を解除する場合には、把持部322に連結されたロック部323の連結を解除すればよい。
【0050】
なお、図6及び図7に示すように、治具300は上述した下部支持部310、上部支持部320等の構成を2つ備えている。これは、片持ち式腰掛100の両端に対して、それぞれ下部支持部310等の構成で支持するためである。
【0051】
車輪332は、治具300を壁面200の所定の位置まで移動させる際に用いる。図6に示すように1つの治具に対して、車輪332は8個設けられている。ストッパー333は、車輪332を静止させる。壁面200に治具を近づけて、片持ち式腰掛100を壁面200に取付ける際には、ストッパー333により車輪332は静止される。
【0052】
つぎに、図8図11を用いて、治具300を用いた片持ち式腰掛100の取付方法について説明する。図8図11は、本発明に係る片持ち式腰掛の壁面への取付工程を示す図である。
【0053】
まず、図8に示すように、片持ち式腰掛100を前方に約90度傾斜させ、座部被支持部104を下部支持部310で軸支するとともに、背もたれ被支持部105を上部支持部320で支持し固定する(支持工程)。なお、当該支持工程の前工程として、位置決め部341を摺動部312の摺動可能範囲を限定する位置(位置決め部341が設けられた位置まで摺動部312を摺動させると、腰掛側係合部106と壁側係合部201とが係合可能となる位置)に設置してもよい(位置決め工程)。
【0054】
支持工程後、治具300を片持ち式腰掛100を取付ける壁面200近くまで移動し、図9に示すように、上部支持部320による背もたれ被支持部105の支持状態を解除する(支持状態解除工程)。支持状態を解除するとは具体的に、上部支持部320のロック部323と把持部322との連結状態を解除することで、背もたれ被支持部105を自由に動かせる状態とした後に、上部支持部320により背もたれ被支持部105が支持されている状態を解除することをいう。
【0055】
支持状態解除後、図9に示すように、片持ち式腰掛100を後ろ方向に回転させる。片持ち式腰掛100の後ろ方向への回転は、摺動部312を壁面200から遠ざかる向きである摺動方向(摺動部312を上部支持部320に近づける方向)に摺動させることにより行う。摺動部312を摺動方向に摺動させることで、下部支持部310を支点として、片持ち式腰掛100を座部101の後ろ方向に回転運動させ、図10に示すように、腰掛側係合部106と壁側係合部201とを互いに水平方向に係合させる(係合工程)。
【0056】
係合工程後は、腰掛側係合部106と壁側係合部201とが互いに水平方向に係合された係合箇所を支点として、片持ち式腰掛100をさらに回転させることで、背もたれ102を壁面2に接させる(背もたれ起こし工程)。そして、背もたれ起こし工程後、図11に示すように、腰掛側締結部107,108と、壁側締結部202,203とをボルト等で締結することで、片持ち式腰掛100を壁面200に固定し(固定工程)、片持ち式腰掛100の壁面200への取付けが完了する。
【0057】
つぎに、本実施形態に係る片持ち式腰掛、片持ち式腰掛ユニット、治具、及び、片持ち式腰掛の取付方法の作用・効果について説明する。
【0058】
本実施形態に係る片持ち式腰掛100は、運搬時には、前方に約90度傾斜するように、座部被支持部104を中心にして回転させた状態で、座部被支持部104及び背もたれ被支持部105を支持することができる。よって、運搬が容易である。また、壁面200に取付ける際には、背もたれ被支持部105を脱着し片持ち式腰掛100を座部被支持部104を中心にその後方に回転させ、腰掛側係合部106を壁側係合部201に引っ掛けるようにして片持ち式腰掛100を取付けることができるため、壁面200への取付けが簡易になる。すなわち、片持ち式腰掛100の壁面への取付作業の作業性が向上する。
【0059】
また、本実施形態に係る片持ち式腰掛100では、腰掛側係合部106を壁側係合部201に引っ掛けるようにして片持ち式腰掛100を壁面200に取付けることができるため、ヒータ等の構造物を壁面に取付ける前の片持ち式腰掛に予め備え付けておいても、片持ち式腰掛100を壁面200に取付ける際に問題とならない。よって、壁面200への取付け前にヒータ等の構造物を座部101の下面に予め備えつけておくことができ、従来のように壁面200に片持ち式腰掛100を取付けた後に座部101下面側の狭い作業スペースにおいて座部101下面にヒータ等の構造物を取付ける作業が不要となり、作業性が向上する。
【0060】
本実施形態に係る片持ち式腰掛ユニット10は、片持ち式腰掛100を取付ける壁面200が、片持ち式腰掛100の腰掛側係合部106に対応する構成として壁側係合部201を、腰掛側締結部107,108に対応する構成として壁側締結部202,203を、それぞれ有し、腰掛側係合部106と壁側係合部201とが互いに水平方向に係合すること、及び、腰掛側締結部107,108と壁側締結部202,203とが締結されることによって、片持ち式腰掛100が壁面200に固定されるため、片持ち式腰掛100の壁面200への取付けを確実に行うことができる。
【0061】
本実施形態に係る治具300は、片持ち式腰掛100が座部101の前後方向に回転運動可能なように、座部被支持部104を軸支する下部支持部310と、着脱自在に、背もたれ被支持部105を支持する上部支持部320と、を備えている。この構成によれば、下部支持部310が座部被支持部104を軸支し、前方に傾斜するように回転された状態で支持された片持ち式腰掛100を後方に回転運動させることで、片持ち式腰掛100の壁面200への取付けを簡易化できる。また、着脱自在な上部支持部で背もたれ被支持部105を支持することで、片持ち式腰掛100の回転運動前には背もたれ被支持部105を固定状態とし、回転運動時には背もたれ被支持部105の固定状態を解除することができ、安定した支持とスムーズな取付けを実現できる。
【0062】
なお、治具300を用いることによって、ヒータ等の構造物が備わった片持ち式腰掛100を容易に運搬し取付けることが可能となる。
【0063】
また、本実施形態に係る治具300は、下部支持部310の下側で下部支持部310と連結されており、下部支持部310を片持ち式腰掛100の前後方向に摺動可能な摺動部312をさらに備えることで、片持ち式腰掛100の回転運動時に下部支持部310を前後方向に摺動させて、片持ち式腰掛100の回転運動を細かく調整することができ、より取付けが簡易になる。
【0064】
また、本実施形態に係る治具300は、摺動部312の摺動範囲に設けられた、摺動部312が摺動可能な範囲を限定する位置決め部341をさらに備えることで、様々な状況に応じて適正な範囲において摺動部312を摺動させることができる。
【0065】
また、本実施形態に係る治具300は、治具300を壁面200の所定の位置まで移動させる際に用いる車輪332をさらに備えることで、片持ち式腰掛100を取付ける壁面200の所定位置まで、治具300を容易に移動させることができる。
【0066】
また、上述した治具300を用いて壁面200に腰掛100を取付ける取付方法は、上述した片持ち式腰掛100、片持ち式腰掛ユニット10、治具300と同様の効果を奏することができる。
【0067】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0068】
例えば、座部被支持部104は座部101の先端に設けられる、としたがこれに限定されるものではなく、治具300の下部支持部310による軸支が可能であれば、座部101の中央部分などに設けられても良い。
【0069】
また、治具300は、片持ち式腰掛100の両端を支持する(2か所を支持する)としたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、片持ち式腰掛100の運搬、及び、壁面200への取付けを行うことができれば、1か所や3か所以上を支持するものであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…腰掛ユニット、100…片持ち式腰掛、101…座部、102…背もたれ、103…屈曲部、104…座部被支持部、105…背もたれ被支持部、106…腰掛側係合部、107,108…腰掛側締結部、200…壁面、201…壁側係合部、202,203…壁側締結部、300…治具、310…下部支持部、312…摺動部、320…上部支持部、332…車輪。
図1
図2
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図10
図11