(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スイッチ素子、巻線素子、整流素子を含むスイッチングコンバータ回路により入力電圧を昇圧又は降圧して出力電圧を得るスイッチング回路部と、該スイッチング回路部の上記スイッチ素子を制御して出力電圧を制御する制御回路部と、を有するコンバータ部を複数備え、
上記コンバータ部として、第1の上記スイッチング回路部と、第1の上記制御回路部とを有する第1のコンバータ部と、第2の上記スイッチング回路部と、第2の上記制御回路部とを有する第2のコンバータ部と、を備え、
1枚の基板上において、上記第1のスイッチング回路部と上記第2の制御回路部が隣接せず、かつ上記第2のスイッチング回路部と上記第1の制御回路部が隣接しないように配置され、上記第1のスイッチング回路部、上記第1の制御回路部、上記第2の制御回路部、上記第2のスイッチング回路部が、当該順に一方向に並んで配置されている
DC−DCコンバータ。
上記第1のスイッチング回路部と、上記第2のスイッチング回路部では、それぞれのスイッチ素子を流れる入力電流経路が、基板平面上において逆回転方向となるように各回路素子が配置されている
請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両用灯具などにおいて複数のDC−DCコンバータを設ける場合、それらの回路を1枚の基板上に構成する装置全体の小型化や製造効率の向上に好適となる。
ところが、複数のDC−DCコンバータが同時に駆動されると、或るDC−DCコンバータのスイッチング回路で発生するノイズが、他のDC−DCコンバータの制御回路部に入りこみ、誤動作を生じさせることがある。
一般にスイッチングレギュレータを構成するチョークコイル(巻線素子)やトランジスタ(スイッチ素子)、あるいはダイオード(整流素子)はノイズ源となる。例えばスイッチング周波数が数100KHz程度で駆動される場合、その高調波成分(例えば数10〜数100MHz)がこれらの素子で発生し、ノイズとして制御回路部のICの動作に影響を与える。
また、複数のDC−DCコンバータから発生する高調波ノイズ輻射レベルが高くなり、他の回路に悪影響を与えるということもある。
【0005】
このように同一基板上に複数のDC−DCコンバータを配置し、同時駆動させる場合、ノイズによる誤動作を生じさせたり、あるいは輻射ノイズレベルが製品規格を満たさないような事態が生ずることがある。
そこで本発明では、複数のDC−DCコンバータを同一基板上に配置させつつノイズによる悪影響を排除できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のDC−DCコンバータは、スイッチ素子、巻線素子、整流素子を含むスイッチングコンバータ回路により入力電圧を昇圧又は降圧して出力電圧を得るスイッチング回路部と、該スイッチング回路部の上記スイッチ素子を制御して出力電圧を制御する制御回路部と、を有するコンバータ部を複数備え、
上記コンバータ部として、第1の上記スイッチング回路部と、第1の上記制御回路部とを有する第1のコンバータ部と、第2の上記スイッチング回路部と、第2の上記制御回路部とを有する第2のコンバータ部と、を備え、1枚の基板上において、
上記第1のスイッチング回路部と上記第2の制御回路部が隣接せず、かつ上記第2のスイッチング回路部と上記第1の制御回路部が隣接しないように配置され、上記第1のスイッチング回路部、上記第1の制御回路部、上記第2の制御回路部、上記第2のスイッチング回路部が、当該順に一方向に並んで配置されている。
なお、当該構成においては、1つのDC−DCコンバータとしてのユニットを「コンバータ部」と呼び、1つの基板上にマウントされた複数の「コンバータ部」を含めた構成を「DC−DCコンバータ」と呼ぶこととしている。
【0007】
このような本発明のDC−DCコンバータでは、或るコンバータ部のスイッチング回路部と、他のコンバータ部の制御回路部が、基板上で物理的に離間されて配置されることになる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、或るコンバータ部のスイッチング回路部と、他のコンバータ部の制御回路部が、基板上で物理的に離間されて配置されるため、スイッチング回路部からの高調波ノイズが、他のコンバータ部の制御回路部に与える影響を低減でき、誤動作の発生を回避できる。またこのため追加のノイズ対策部品を用いなくてもよく、回路構成の簡略化、コストダウンを実現できる。
また、第1,第2のコンバータ部を1つの基板に搭載する場合に、一方のコンバータ部のスイッチング回路部からの高調波ノイズが、他方のコンバータ部の制御回路部に与える影響を低減でき、誤動作の発生を回避できる。
さらに、発熱量の多い第1のスイッチング回路部と第2のスイッチング回路部が最も離間して基板の両端部に配置できることになり、放熱の容易性、効率化、制御回路部への熱影響の低減を実現できる。
【0011】
請求項2の発明によれば、第1のスイッチング回路部と第2のスイッチング回路部で、それぞれのスイッチ素子を流れる入力電流経路が基板平面上において逆回転方向となるようにすることで、それぞれで発生するノイズを打ち消し合うことができ、DC−DCコンバータ内外への輻射ノイズを低減できる。
【0012】
請求項3の発明によれば、車両用灯具において、ノイズによる誤動作のないDC−DCコンバータを用いて点灯回路を構成でき、動作の安定化を実現するとともに、単一の基板に複数のコンバータ部をマウントすることによる装置全体の小型化や製造効率向上という効果も得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態のDC−DCコンバータについて図面を参照しながら説明する。
本実施の形態のDC−DCコンバータは、車両用灯具としての点灯回路に用いられる例とする。特には、当該点灯回路は、車両の前照灯としてのハイビーム用の光源としてのLEDと、ロービーム用の光源としてのLEDを発光駆動する回路としている。
この場合に、ハイビーム用の点灯回路とロービーム用の点灯回路はそれぞれ独立して2つ設けられており、LEDへの出力電圧を得るDC−DCコンバータも、独立して2単位設けられる例とする。
なお説明上、2単位のDC−DCコンバータを全体として本実施の形態の「DC−DCコンバータ」と呼び、各DC−DCコンバータについては「コンバータ部」と称して区別する。
【0015】
図1は、基板上に2つのコンバータ部の回路部品をマウントする場合における回路配置状態を模式的に示したものである。
具体的な回路構成例は後述するが、本実施の形態のDC−DCコンバータは、
図1に示すように2つのコンバータ部2A、2Bが、1つの基板1上に配置される。
【0016】
コンバータ部2Aは、スイッチング回路部4Aと制御回路部3Aで構成される。
スイッチング回路部4Aは、主な回路素子として、スイッチ素子としてのトランジスタT1(例えばFET:Field Effect Transistor)、巻線素子としてのチョークコイルL1、整流素子としてのダイオードD1(例えばショットキーバリアダイオード)を有し、入力電圧を昇圧又は降圧して出力電圧を得るための回路構成とされる。
また制御回路部3Aは、トランジスタT1をオン/オフ制御して、スイッチング回路部4Aの出力電圧を制御する。この制御回路部3Aは、主にスイッチング制御用のIC(Integrated Circuit)チップ(以下、「制御部IC1」と表記する)と、図示しないその周辺回路素子で構成される。
【0017】
同様にコンバータ部2Bも、スイッチング回路部4Bと制御回路部3Bで構成される。
スイッチング回路部4Bは、主な回路素子として、スイッチ素子としてのトランジスタT51(例えばFET)、巻線素子としてのチョークコイルL51、整流素子としてのダイオードD51(例えばショットキーバリアダイオード)を有し、入力電圧を昇圧又は降圧して出力電圧を得るための回路構成とされる。
また制御回路部3Bは、トランジスタT51をオン/オフ制御して、スイッチング回路部4Bの出力電圧を制御する。この制御回路部3Bは、主にスイッチング制御用のICチップ(以下、「制御部IC51」と表記する)と、図示しないその周辺回路素子で構成される。
【0018】
また基板1上には、コンバータ部2A、2Bへの入力電圧、及び図示していないLED等への出力電圧や、各種制御信号等の送受信等に用いる所要数の端子を備えたコネクタ部5が配置される。
【0019】
この
図1に示すように実施の形態のDC−DCコンバータは、基板1にコンバータ部2A、2B及びコネクタ部5が配置されるが、図からわかるように、基板1上において、2つのコンバータ部(2A、2B)のそれぞれは、スイッチング回路部(4A、4B)が、他のコンバータ部(2B、2A)の制御回路部(3B,3A)と隣接しないように配置されている。つまりスイッチング回路部4Aは制御回路部3Bに隣接せず、制御回路部3Aの領域分だけ離間している。またスイッチング回路部4Bは制御回路部3Aに隣接せず、制御回路部3Bの領域分だけ離間している
【0020】
ここで
図2に、比較例としての2つのコンバータ部2A、2Bの配置例を示す。これは2つのコンバータ部2A、2Bを同一基板1上に配置する場合に、通常想定される配置である。つまりDC−DCコンバータとしての素子配置及びパターニングを、そのまま2単位並べた例である。この
図2の場合、制御回路部3Aとスイッチング回路部4Bが隣接配置されることとなる。
図2には示していないが、スイッチング回路部4Bには、上述のようにトランジスタT51、チョークコイルL51、ダイオードD51等の、スイッチング動作時にノイズ源となる素子が配置されている。このため、コンバータ部2A、2Bが同時に動作している場合、スイッチング回路部4Bで発生するノイズNが制御回路3Aの制御部IC1に入り込み、誤動作を生じさせることがある。
【0021】
これに対し
図1のような配置の本実施の形態のDC−DCコンバータでは、スイッチング回路部4Aと制御回路部3Bは隣接せず、またスイッチング回路部4Bと制御回路部3Aは隣接しないようにしたため、スイッチング回路部4A、4Bで発生するノイズNの制御回路3B、3Aへの入り込みを有効に低減でき、誤動作を生じさせることを回避できる。
【0022】
図3、
図4を用いて、より具体的な回路構成及び素子配置例を説明する。
図3は車両用灯具を構成する点灯回路として、上述のDC−DCコンバータを含む回路構成を示している。この点灯回路は、車載バッテリー10、ロービーム点灯スイッチ11A、ハイビーム点灯スイッチ11B、コンバータ部2A、2B、LED17A、17Bを有する。
そしてロービーム点灯スイッチ11Aがオンとされているときは、コンバータ部2Aが車載バッテリー10からの直流電圧を入力し、これを昇圧又は降圧して所定のLED点灯用の電圧を出力電圧として得る。そしてコンバータ部2Aの出力として、ロービーム光源部としてのLED17Aに発光駆動電流を流し、LED17Aを点灯させる。
またハイビーム点灯スイッチ11Bがオンとされているときは、コンバータ部2Bが車載バッテリー10からの直流電圧を入力し、これを昇圧又は降圧して所定のLED点灯用の電圧を出力電圧として得る。そしてコンバータ部2Bの出力として、ハイビーム光源部としてのLED17Bに発光駆動電流を流し、LED17Bを点灯させる。
なお、図では簡略化してLED17A、17Bをそれぞれ1つのみ示しているが、実際にはロービーム、ハイビームのそれぞれの光源部として、複数のLEDが接続されることが多い。当然ながらコンバータ部2A、2Bの出力電圧は、実際の負荷(接続されるLED数等)に応じた必要な電圧とされる。
【0023】
コンバータ部2Aは、端子12A、13Aが、ロービーム点灯スイッチ11Aを介して車載バッテリー10の正極、負極に接続され、車載バッテリー10からの電圧を入力する構成とされている。
コンバータ部2Aは、スイッチング回路部4Aと制御回路部3Aを有する。
なお図示するコンバータ部2A(及び2B)は、非絶縁型昇圧チョークコンバータの例としている。このためコンバータ部2Aにおけるスイッチング回路部4Aは、チョークコイルL1、NチャネルMOS−FET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)としてのトランジスタT1、ショットキーバリアダイオードD1、コンデンサC1,C2、抵抗R1,R2が図示のように接続される。
【0024】
即ち端子12A、13A間においてチョークコイルL1、トランジスタT1のドレイン/ソース、抵抗R2が直列接続されて電流経路(入力電流Ia)が形成されるように接続されている。また、チョークコイルL1とトランジスタT1の接続点にショットキーバリアダイオードD1のアノードが接続され、ショットキーバリアダイオードD1のカソードは抵抗R1を介して端子16Aに接続されている。端子16A、15AはLED17Aのアノード、カソードに接続されており、これによってコンバータ部2Aからの出力電圧に基づく発光駆動電流IdaがショットキーバリアダイオードD1、抵抗R1を介してLED17Aに供給される。なお抵抗R1は発光駆動電流Idaの電流検出抵抗である。
【0025】
つまりこのスイッチング回路部4Aは、トランジスタT1がオンの期間に、上記の入力電流Iaが流れてチョークコイルL1への電磁エネルギーの蓄積が行われ、トランジスタT1がオフとされた期間にチョークコイルL1の電磁エネルギーの放出が行われることで昇圧された出力電圧が得られ、ショットキーバリアダイオードD1を介して発光駆動電流Idaが流れ、LED17Aが発光駆動される構成となっている。
なおショットキーバリアダイオードD1及びコンデンサC2によってLED17Aへの過電流の保護がなされる。
【0026】
制御回路部3Aは、制御部IC1と図示しない周辺回路を有する。周辺回路とは例えば温度検出回路や保護回路等である。
制御部IC1は、マイクロコンピュータにより形成され、トランジスタT1のスイッチング制御を行う。即ち制御部IC1は抵抗R1における電圧降下を検出して発光駆動電流Idaの電流値を検出し、それに応じてトランジスタT1のゲートに対してオン/オフ制御信号を出力することでコンバータ部2Aにおけるレギュレーション動作を実現する。
なお、温度検出等によって異常が検出された場合、制御部IC1は端子14から図示しない電子コントロールユニット(ECU:electronic control unit)に対し異常信号SEを出力する。
【0027】
コンバータ部2Bも、コンバータ部2Aと略同様の回路構成である。端子12B、13Bが、ハイビーム点灯スイッチ11Bを介して車載バッテリー10の正極、負極に接続され、車載バッテリー10からの電圧を入力する構成とされている。
コンバータ部2Bのスイッチング回路部4BはチョークコイルL51、NチャネルMOS−FETとしてのトランジスタT51、ショットキーバリアダイオードD51、コンデンサC51,C52、抵抗R51,R52が図示のようにスイッチング回路部4Aと同様に接続される。
即ち端子12A、13A間においてチョークコイルL51、トランジスタT51のドレイン/ソース、抵抗R52が直列接続されて電流経路(入力電流Ib)が形成されるように接続されている。また、チョークコイルL51とトランジスタT51の接続点にショットキーバリアダイオードD1のアノードが接続され、ショットキーバリアダイオードD1のカソードは抵抗R1を介して端子16Bに接続されている。端子16B、15BはLED17Bのアノード、カソードに接続されており、これによってコンバータ部2Bからの出力電圧に基づく発光駆動電流IdbがショットキーバリアダイオードD51、電流検出用の抵抗R51を介してLED17Bに供給される。
トランジスタT51のオン/オフによる昇圧及び発光駆動電流Idbの出力動作はスイッチング回路部4Aと同様である。
【0028】
制御回路部3Bは、制御部IC51と図示しない周辺回路を有する。
制御部IC51は、マイクロコンピュータにより形成され、トランジスタT51のスイッチング制御を行う。即ち制御部IC51は抵抗R51における電圧降下を検出して発光駆動電流Idbの電流値を検出し、それに応じてトランジスタT51のゲートに対してオン/オフ制御信号を出力することでコンバータ部2Bにおけるレギュレーション動作を実現する。なお異常検出信号SEの出力はコンバータ部2A側のみでよく、制御部IC51は異常検出信号出力機能を持たなくてよい。
【0029】
このようなコンバータ部2A、2Bを備えた本実施の形態のDC−DCコンバータを、基板1上に配置した状態を
図4に示す。なお、ここでは基板1上の回路素子を示し、配線パターンの図示は省略している。
図4には
図3の各素子に対応して符号を付している。
先に
図1で説明したとおり、当該DC−DCコンバータは、基板1上において、2つのコンバータ部(2A、2B)のそれぞれは、破線で囲って示すように、スイッチング回路部(4A、4B)の構成部分が、他のコンバータ部(2B、2A)の制御回路部(3B,3A)の構成部分と隣接しないように配置されている。
つまりスイッチング回路部4Aは制御回路部3Bに隣接せず、制御回路部3Aの領域分だけ離間している。またスイッチング回路部4Bは制御回路部3Aに隣接せず、制御回路部3Bの領域分だけ離間している
このように配置することにより、スイッチング回路部4AのチョークコイルL1、トランジスタT1、ショットキーバリアダイオードD1で発生するノイズが制御回路部3Bの制御部IC51に入り込むことが防止される。またスイッチング回路部4BのチョークコイルL51、トランジスタT51、ショットキーバリアダイオードD51で発生するノイズが制御回路部3Aの制御部IC1に入り込むことも防止される。
よって、両コンバータ部2A、2Bが同時に動作されていても、コンバータ部2A、2Bの一方又は両方が誤動作することを回避できる。
そして誤動作のないDC−DCコンバータを用いて2つの点灯回路を構成でき、これによって車両用灯具の点灯動作の安定化を実現するとともに、単一の基板に複数のコンバータ部2A、3Aをマウントすることによる装置全体の小型化や製造効率向上という効果も得られる。
また、ノイズによる誤動作を配置により回避できることで、ノイズ対策部品を追加する必要がなくなり、これによっても小型化、製造効率向上、コストダウンを促進できる。
【0030】
また特にこの
図4(
図1)の配置の場合、図中基板1の左端から右端に向かって一方向に、スイッチング回路部4A、制御回路部3A、制御回路部3B、スイッチング回路部4Bが、当該順に並んで配置されている。このような配置とすることで、2つのスイッチング回路部4A、4Bが基板の両端に位置することとなる。
チョークコイルL1、L51、トランジスタT1、T51、ショットキーバリアダイオードD1、D51を有するスイッチング回路部4A、4Bは発熱量も比較的大きくなる。このようなスイッチング回路部4A、4Bを基板端部に配置することで、放熱効率を上げたり、放熱機構の構造を容易化するという利点も得られ、さらに、制御部IC1、IC51への熱影響を低減できることにもなる。
【0031】
また
図4においてコネクタ部5を示しているが、このコネクタ部5は、
図3の端子12A、13A、14、15A、16Aと、端子12B、13B、15B、16Bを有するコネクタとして基板1上にマウントされる。
即ちこの場合、コンバータ部2A、2Bについての入出力端子を1つのコネクタ部品で実現でき、部品点数の削減、製造効率の向上、コストダウンという効果が得られる。
【0032】
また、
図4のスイッチング回路部4A、4Bは、各部品が基板の中心線(
図5の中心線CT)に対して対称に配置されている。
図3において入力電流Ia、Ibの経路を示したが、これを基板1上でみると
図5に示すようになる。入力電流Iaは、チョークコイルL1、トランジスタT1、抵抗R2を流れる電流経路となり、これは
図5に示すように基板上で反時計方向の電流ループとなる。一方、入力電流Ibは、チョークコイルL51、トランジスタT51、抵抗R52を流れる電流経路となり、これは基板上で時計方向の電流ループとなる。
つまりスイッチング回路部4A、4Bで、それぞれ入力電流Ia、Ibの電流ループが逆回転となる。これは、チョークコイルL1、トランジスタT1で発生するノイズと、チョークコイルL51、トランジスタT51で発生するノイズが互いに打ち消すように働くことになる。これによって制御部IC1,IC51への侵入ノイズのさらなる低減効果が得られるとともに、基板1の周辺への輻射ノイズも低減できることになり、周辺の回路への悪影響も回避できる。
【0033】
以上、実施の形態のDC−DCコンバータ及び車両用灯具の点灯回路について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明に相当する基板1上の回路配置例はさらに多様に考えられる。
図6,
図7で例示する。
図6はコンバータ部2A、2Bを配置する場合に、
図4と同様に基板1の左端から右端に向かって一方向に、スイッチング回路部4A、制御回路部3A、制御回路部3B、スイッチング回路部4Bを順に並んで配置した例であるが、2つのコネクタ部5in、5outをマウントした例である。
コネクタ部5inは、例えば
図3の端子12A、13A、12B、13B、即ち入力側端子を有するコネクタとされ、コネクタ部5outは、例えば端子15A、16A、15B、16B、即ちLED側出力端子を有するコネクタとされる。
車両内への基板自体の実装の都合によっては、このようにコネクタ部5in、5outを分けることが好適な場合もある。なおコンバータ部2A、2Bについては、当該配置により上述の誤動作回避等の効果が得られることは言うまでもない。
なお、複数のコネクタを、入力側、出力側ではなく、コンバータ部2A側コネクタとコンバータ部2B側コネクタとして個別にマウントすることも考えられる。さらには、実装上の都合によっては、より多数のコネクタをマウントすることも考えられる。
【0034】
以上は2つのコンバータ部2A、2Bを実装する例で説明してきたが、1つの基板上に3以上のコンバータ部を実装することも考えられる。
図7は、4つのコンバータ部2A,2B,2C,2Dを配置する例を示している。
図示のように、基板1の図面上の上端にコネクタ部5ABを配置し、基板1の上半分の領域に、左端から右端に向かって、コンバータ部2Aのスイッチング回路部4A、制御回路部3A、及びコンバータ部2Bの制御回路部3B、スイッチング回路部4Bが順に並ぶように配置する。制御回路部3A、3Bは、なるべく上端側に近い領域とする。コネクタ部5ABは、コンバータ部2A、2Bの各入出力端子を有するものとする。
また基板1の下半分の領域に、左端から右端に向かって、コンバータ部2Cのスイッチング回路部4C、制御回路部3C、及びコンバータ部2Dの制御回路部3D、スイッチング回路部4Dが順に並ぶように配置する。制御回路部3C、3Dは、なるべく下端側に近い領域とする。基板1の下端にはコネクタ部5CDを配置する。コネクタ部5CDは、コンバータ部2C、2Dの各入出力端子を有するものとする。
【0035】
このように配置すると、基板1上において、各コンバータ部2A,2B,2C,2Dのそれぞれは、スイッチング回路部(4A,4B,4C,4D)が、他のコンバータ部の制御回路部(3A,3B,3C,3D)と隣接しないように配置できる。即ちスイッチング回路部4Aは、制御回路部3B,3C,3Dと隣接しない。またスイッチング回路部4Bは、制御回路部3A,3C,3Dと隣接しない。スイッチング回路部4Cは、制御回路部3A,3B,3Dと隣接しない。スイッチング回路部4Dは、制御回路部3A,3B,3Cと隣接しない。
従って、これらのコンバータ部2A,2B,2C,2Dのうちの2つ以上が同時に動作しても、或るスイッチング回路部からのノイズが他のコンバータ部の制御回路部に入り込んで誤動作を生じさせることを防止できる。
ここでは4つのコンバータ部の例としたが、3あるいは5以上のコンバータ部を1つの基板に配置する場合も、各種本発明に相当する配置例が考えられる。
【0036】
また上記実施の形態では、車両用灯具として前照灯としてのロービーム用点灯回路とハイビーム用点灯回路の各コンバータ部を1つの基板に配置する例を挙げたが、他の点灯回路のコンバータ、例えばストップ・テールランプ、フォグランプ、ターンシグナルランプ、スモールランプなど、各種の灯具の点灯回路におけるDC−DCコンバータを複数、同一基板上に配置する場合に本発明を適用できる。
【0037】
また
図3では昇圧側コンバータの例を示したが、もちろん降圧型コンバータ、昇降圧型コンバータでも本発明は適用できる。さらに巻線素子としてチョークコイルではなくトランスを用いたDC−DCコンバータの場合も本発明は適用できる。
即ち本発明はスイッチ素子を制御して出力電圧を制御する各種のスイッチングDC−DCコンバータに好適である。
また本発明は車両用灯具の点灯回路に限定されず、複数のDC−DCコンバータを同一基板に配置する際の技術として広く適用できる。