特許第6077867号(P6077867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6077867-乗り物用エアバッグ装置 図000002
  • 特許6077867-乗り物用エアバッグ装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077867
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】乗り物用エアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/231 20110101AFI20170130BHJP
【FI】
   B60R21/231
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-16351(P2013-16351)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-148183(P2014-148183A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐野 圭
(72)【発明者】
【氏名】木内 陽平
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−212497(JP,A)
【文献】 特開平04−055144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16−33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状に形成されてなるエアバッグ本体と、
前記エアバッグ本体に形成され、前記エアバッグ本体内にガスを導入可能としたガス導入口と、
前記エアバッグ本体に形成され、前記エアバッグ本体を固定部側に取り付ける取付部と、
前記エアバッグ本体に形成され、前記エアバッグ本体内に導入されたガスを排出可能な複数のベントホールと、
前記エアバッグ本体に配設され、前記ガス導入口及び前記複数のベントホールにそれぞれ対応する開口が形成されてなるベントホール補強布と、
前記複数のベントホールの周囲をそれぞれ縫製支持すると共に前記複数のベントホールの周囲間を繋ぐように縫製線設けられてなり、前記ベントホール補強布を前記エアバッグ本体に縫製支持する第1縫製部と
前記ガス導入口の周囲を縫製支持すると共に前記複数のベントホールの周囲をそれぞれ縫製支持する縫製線が設けられてなり、前記ベントホール補強布を前記エアバッグ本体に縫製支持する第2縫製部と、を備える
ことを特徴とする乗り物用エアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物、例えば、自動車用のエアバッグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の乗り物、例えば、自動車用のエアバッグ装置としては、基布を袋状に縫製することにより形成されたエアバッグ本体に、ガスを導入するガス導入口と、エアバッグ本体をステアリングホイールなど乗り物に取り付ける取付部とを設け、この取付部より離間した位置にほぼ環状の縫製部を形成すると共に、縫製部の運針数を取付部に近い側より取付部に遠い側を小さくしたもの(特許文献1)が、従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−212497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来技術は、乗り物のレイアウト上の要求などで、低容量のエアバッグ本体に、高出力のインフレータを組み付けると、通常よりエアバッグ本体の引っ張られる力が増すために、より強固な補強を行う必要があり、その分製造原価の高騰の恐れがある。
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、通常よりエアバッグ本体に加わる引っ張り力が増しても、簡素な補強で乗員拘束性能が向上する乗り物用エアバッグ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明に係る乗り物用エアバッグ装置は、袋状に形成されてなるエアバッグ本体と、前記エアバッグ本体に形成され、前記エアバッグ本体内にガスを導入可能としたガス導入口と、前記エアバッグ本体に形成され、前記エアバッグ本体を固定部側に取り付ける取付部と、前記エアバッグ本体に形成され、前記エアバッグ本体内に導入されたガスを排出可能な複数のベントホールと、前記エアバッグ本体に配設され、前記ガス導入口及び前記複数のベントホールにそれぞれ対応する開口が形成されてなるベントホール補強布と、前記複数のベントホールの周囲をそれぞれ縫製支持すると共に前記複数のベントホールの周囲間を繋ぐように縫製線が設けられてなり、前記ベントホール補強布を前記エアバッグ本体に縫製支持する第1縫製部と、前記ガス導入口の周囲を縫製支持すると共に前記複数のベントホールの周囲をそれぞれ縫製支持する縫製線が設けられてなり、前記ベントホール補強布を前記エアバッグ本体に縫製支持する第2縫製部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
発明に係る乗り物用エアバッグ装置によれば、通常よりエアバッグ本体に加わる引っ張り力が増しても、簡素な補強で乗員拘束性能が向上する乗り物用エアバッグ装置を提供することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1に係るエアバッグの取付部側からの正面図。
図2図1のSA−SA線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明において、通常よりエアバッグ本体に加わる引っ張り力が増しても、簡素な補強で乗員拘束性能が向上する乗り物用エアバッグ装置を提供するという目的を、袋状に形成されてなるエアバッグ本体に、該エアバッグ本体内にガスを導入可能としたガス導入口と、該エアバッグ本体を固定部側に取り付ける取付部と、前記エアバッグ本体内に導入されたガスを排出可能な複数のベントホールとを形成してなり、前記ベントホールの間を含む箇所に、縫製線を設けてなることで、実現した。以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1に係る構造を、図1図2を用いて説明する。この実施例1の乗り物である自動車のエアバッグ装置1は、第1基布2及び第2基布3の周囲を縫製部4により袋状に形成されたエアバッグ本体5の第1基布2に、エアバッグ本体5の内5aにガスを導入可能としたガス導入口6と、エアバッグ本体5をインストルメントパネル或いはステアリングホイールなどの「固定部」(図示省略)側に取り付ける取付部7と、エアバッグ本体5の内5aに導入されたガスを排出可能な2個のベントホール8、8とを形成すると共に、前記ベントホール8、8の間を含む箇所に、「縫製線」である第1縫製部10を設けてなる。この第1基布2の内側、つまり、第2基布3との間で袋の内側5aとなる側にベントホール補強布9を配し、前記ベントホール補強布9の端部9aを前記第1基布2に「縫製線」である第1縫製部10により支持してなることでも良い。前記ベントホール補強布9の前記ベントホール8、8に対応した位置には、開口(図示省略)を有する。
【0017】
前記ガス導入口6には、衝突時又は衝突に近い急制動等を検知するセンサ(図示省略)の信号によりガスを噴出供給するインフレータ(図示省略)が支持される。前記第2基布3は、乗員(図示省略)がぶつかる側に配され、前記第1基布2及び第2基布3により前記インフレータ(図示省略)から噴出したガスにより常時折り畳まれてなるエアバッグ本体5が膨張展開可能である。
【0018】
前記ベントホール補強布9には、前記ガス導入口6及び前記ベントホール8、8が形成されてなる。また、前記ベントホール補強布9には、前記ベントホール8、8の周囲をエアバッグ本体5の第1基布2に「縫製線」である第2縫製部11により支持すると共に少なくとも2個の前記ベントホール8、8を繋ぐように縫製支持してなる。符号12は、前記ベントホール補強布9を介して第1基布2に第2縫製部11により支持されてなるマウント補強布である。
【0019】
次に、この実施例1の作用を説明する。
【0020】
乗り物である自動車のエアバッグ装置1は、第1基布2及び第2基布3よりなる双方の基布2、3により袋状に形成されたエアバッグ本体5の第1基布2に、エアバッグ本体5の内5aにガスを導入可能としたガス導入口6と、エアバッグ本体5をインストルメントパネル或いはステアリングホイールなどの固定部(図示省略)側に取り付ける取付部7と、前記エアバッグ本体5の内5aに導入されたガスを排出可能なベントホール8、8とを形成してなり、前記ベントホール8、8の間を含む箇所に、「縫製線」である第1縫製部10により支持してなるため、インフレータから噴出されるガスは、エアバッグ本体5の内5aの気圧の低いベントホール8、8の設けられている側に集中する傾向がある。従って、この実施例では、図2に示す上方向に引っ張られ力Fが発生する。しかし、前記構成により、前記引っ張られ力Fが分散して、前記エアバッグ本体5が膨張する際に加えられる引っ張られ力Fに充分耐え得る、などの効果を奏する。
【0021】
また、前記エアバッグ本体5の内側、つまり、第2基布3との間で袋の内側5aとなるこの第1基布2には、前記ガス導入口6及び前記ベントホール8、8にそれぞれ対応する開口が形成されてなるベントホール補強布9を配し、前記ベントホール補強布9の端部9aを前記第1基布2に「縫製線」である第1縫製部10により支持してなるため、前記エアバッグ本体5が膨張する際に加えられる前記引っ張られ力Fに充分耐え得る、などの効果を奏する。
【0022】
また、前記ベントホール補強布9には、前記ガス導入口6及び前記ベントホール8、8が形成されてなるため、縫製箇所が少なく、原価が低減できる、などの効果を奏する。
【0023】
また、前記ベントホール補強布9の開口の周囲及び前記ベントホール8、8の周囲をエアバッグ本体5の第1基布2に縫製支持すると共に少なくとも2個の前記ベントホール8、8間を繋ぐように第1縫製部10により支持してなるため、前記ベントホール8、8の強度が著しく増大する、という効果を奏する。前記ベントホール8、8間を繋ぐ形態としては、前記ベントホール8、8の中心位置間を直線状に繋いでも、図1に示すように、前記ベントホール8、8の上端部間を繋いでも、前記ベントホール8、8の下端部間を繋いでも、前記ベントホール8、8の一方を上端部に、他方を下端部にして繋いでも、前記ベントホール8、8の一方を上端部に、他方を下端部にして繋ぐのを交差させても、前記ベントホール8、8間に適宜の隙間を設けて繋いでも、前記ベントホール8、8の一方から他方側へ向けて繋いだ後に一方側に戻ってくるUターン状に繋いでも、良い。
【0024】
前記エアバッグ装置1のエアバッグ本体5の第1基布2及び第2基布3は、常時折り畳まれた状態でインストルメントパネル或いはステアリングホイールなどの固定部(図示省略)内に収容されてなる。そして、前記エアバッグ装置1は、緊急事態発生時に、インフレータ(図示省略)によりガスが噴出することにより、エアバッグ本体5の内5aにガスが充填されて、エアバッグ本体5が膨張展開する。膨張展開されたエアバッグ本体5により、前記固定部(図示省略)がステアリングホイールの場合は、前側の座席に向かって直接飛び出すし、前記固定部(図示省略)がインストルメントパネルの場合は、フロントウインドパネル(図示省略)に案内されて車室に向かって展開し、エアバッグ本体5の内圧の高いまま維持される。そこに、乗員の頭部が、前側に倒れ込むのを、内圧の高いエアバッグ本体5が受けることになる。
【0025】
また、前記エアバッグ本体5には、前記ベントホール8、8が形成されてなるため、前記エアバッグ本体5内に充填されたガスが前記ベントホール8、8から適宜排出可能である。また、自動車衝突後短時間でエアバッグ本体5の第2基布3に乗員がぶつかった場合に、ベントホール8、8からガスの排出が可能であるので、エアバッグ本体5の反力が小さくてすむことになる。また、自動車衝突後ある程度時間をおいて、乗員がエアバッグ本体5にぶつかる場合においても、該エアバッグ本体5が高圧のまま保持されているので、乗員を適切に保護できる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
前記ベントホール8、8は、この実施例では2個としているが、これに限定されるものでは無く、前記エアバッグ本体5の容量及びインフレータの出力の加減で異なる。
【符号の説明】
【0027】
1 エアバッグ装置
5 エアバッグ本体
5a エアバッグ本体内
6 ガス導入口
7 取付部
8 ベントホール
9 ベントホール補強布
9a ベントホール補強布の端部
10 第1縫製部(縫製線)
11 第2縫製部(縫製線)
図1
図2