(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記した特許文献2に開示された印刷装置は、印刷媒体の進行方向に対応する方向へ積極的に回転駆動されるロールが巻取ロールのみであり、印刷媒体の移動量が一定となるように巻取ロールを回転駆動すると共に、巻取ロールが回転駆動することに伴って印刷媒体が引き出される送出ロールに所定の回転抵抗を付与することで、印刷媒体の張力を一定に保とうとするものである。
【0009】
因みに、特許文献2の印刷装置は印刷媒体として主に紙を対象とするものであるが、このような特許文献2の印刷装置を用い、印刷媒体としての布帛に対し間欠的に印刷を行う場合、前記の巻取ロールを間欠的に回転駆動し、その巻取ロールの回転駆動に伴い、印刷部よりも下流側において布帛が所定量ずつ間欠的に引き出されることになる。
【0010】
しかし、印刷媒体が布帛の場合、布帛自体は伸縮性を有するため、布帛の伸縮によって印刷部における布帛自体の送り量が一定とならず、印刷ズレが発生することになる。従って、前記特許文献2の印刷装置は、布帛を印刷媒体の対象とした場合、高精細な印刷を行うことができないものである。
【0011】
本発明の目的は、前記で前提装置として記載した布帛用の印刷装置において、印刷ズレを生じることなく、高精細な印刷を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、印刷媒体としての長尺の布帛が巻き付けられた供給ロールと、前記供給ロールから送り出された前記布帛が巻き掛けられて前記布帛を印刷部へ向けて案内するサポートロールと、回転駆動されて前記印刷部を経た前記布帛を巻き取る巻取ロールと、前記印刷部に設けられた印刷ヘッドであって前記布帛の上方に位置するように設けられて前記布帛に対し印刷を施す印刷ヘッドとを備え、前記印刷ヘッドによる1回の印刷動作毎に前記布帛を所定量ずつ前記巻取ロール側へ送って前記布帛に対し間欠的に印刷を行う布帛用の印刷装置を前提とする。
【0013】
そして、本発明のうちの布帛の印刷方法は、前記印刷動作に続いて行われる前記布帛の送り動作と、前記送り動作に伴って行われる前記布帛の送給動作とを含む。前記布帛の送り動作は、前記布帛の経路中における前記印刷部と前記巻取ロールとの間で前記布帛に接触させて設けられたフィードロールを駆動モータによって間欠的に回転駆動することにより、前記布帛を所定量ずつ前記印刷部から牽引すると共に前記巻取ロール側へ送るものである。また、前記布帛の送給動作は、前記サポートロールよりも前記布帛の進行方向における上流側で前記布帛に接触する送給ロールを送出モータによって間欠的に回転駆動することにより、前記印刷部へ向けて前記布帛を送給するものである。その上で、本発明の布帛の印刷方法は、前記印刷部よりも前記上流側で検出された前記布帛の張力の検出値に基づく検出張力値と予め設定された目標張力値とを比較し、その比較結果に基づいて前記送出モータの駆動を制御するものである。
【0014】
また、前記印刷方法に対応する本発明の布帛用の印刷装置は、前記布帛の経路中におけ
る前記印刷部と前記巻取ロールとの間で前記布帛に接触させて設けられたフィードロール
と、該フィードロールを回転駆動する駆動モータと、前記サポートロールよりも前記布帛
の進行方向における上流側で前記布帛に接触する送給ロールと、該送給ロールを回転駆動
する送出モータと、駆動制御装置と、前記印刷部よりも前記上流側で前記布帛の張力を検
出する張力検出装置とを含む。前記駆動制御装置は、前記フィードロールが間欠的に回転
駆動されて前記布帛を所定量ずつ前記印刷部から牽引すると共に前記巻取ロール側へ送る
送り動作が実行されるように前記駆動モータの駆動を制御すると共に、前記フィードロー
ルによる前記布帛の送り動作に伴って前記送給ローラによる前記印刷部へ向けた間欠的な
送給動作が実行されるように前記送出モータの駆動を制御するものである。また、前記駆
動制御装置は、前記布帛の目標張力値が設定される記憶器と、前記張力検出装置によって
検出された張力の検出値に基づく検出張力値と前記
記憶器に設定された前記目標張力値と
を比較して偏差信号を出力する比較器と、該比較器からの前記偏差信号が入力されると共
に前記送出モータの駆動量に相当する駆動指令信号を出力する駆動指令器と、該駆動指令
器からの駆動指令信号に従って前記送出モータの駆動を制御する送出制御器とを含むもの
である。
【0015】
なお、前記における「送給ロール」は、後述の実施例のような供給ロールの下流側に設けられた供給ロールとは別のロール(送りロール)であってもよいし、供給ロール自身であってもよい。また、本出願における「上流側」、「下流側」は、布帛の進行方向に関するものであって、送出側(供給ロール側)を上流側、巻取側(巻取ロール側)を下流側とするものである。さらに、前記における「張力検出装置」は、ロードセル等の張力検出センサ単体を指すものではなく、布帛に接触して(例えば布帛が巻き掛けられて)布帛の張力に応じた負荷を受ける部材(ガイドロール等)と、その部材に接続されて前記負荷を検出する張力検出器(ロードセル等)を含む。また、「検出張力値」は、張力検出装置による張力の検出値そのものであってもよいし、複数の検出値から求められる平均値(平均張力値)であってもよい。
【0016】
前記した本発明による布帛の印刷方法において、前記検出張力値と前記目標張力値との間に偏差が生じている場合に、前記フィードロールによる前記布帛の送り動作に伴う前記送出モータの駆動時における駆動量を前記偏差に基づいて補正し、補正された駆動量に従って前記布帛の供給動作のための前記送出モータの駆動制御を実行するものとしてもよい。また、それを実現するための布帛用の印刷装置として、前記比較器が、前記検出張力値と前記目標張力値との偏差の大きさ及び偏差の方向を含む前記偏差信号を出力し、前記駆動指令器が、前記偏差信号の出力に伴い、前記検出張力値と前記目標張力値との間に偏差が生じている場合に、前記送給動作のための前記送出モータの駆動時における駆動量を前記偏差に基づいて補正し、その補正された駆動量に応じた駆動指令信号を出力するものとしてもよい。
【0017】
また、前記した本発明による布帛用の印刷方法においては、所定の検出周期毎に前記張力を検出し、その検出毎又は2以上の検出を含む所定の期間毎に前記検出張力値と前記目標張力値とを比較し、両者に偏差が生じている場合に、その偏差を解消する方向へ前記送出モータを駆動する駆動制御を実行するものとしてもよい。また、それを実現するための布帛用の印刷装置として、前記張力検出装置が、所定の検出周期毎に前記布帛の張力を検出し、前記比較器が、前記張力検出装置による前記張力の検出毎又は2以上の検出を含む所定の期間毎に、前記検出張力値と前記目標張力値との比較及び前記偏差信号の出力を行い、前記駆動指令器が、前記偏差信号が前記検出張力値と前記目標張力値との間に偏差が生じていることを示すものである場合、その偏差を解消する駆動量に相当する駆動指令信号を出力するものとしてもよい。
【0018】
さらに、前記した本発明による布帛の印刷方法において、前記送り動作時の少なくとも初期において、前記送給ロールを回転駆動する前記送出モータを駆動するために設定された加速度を、前記フィードロールを回転駆動する前記駆動モータを駆動するために設定された加速度よりも大きくするものとしてもよい。また、それを実現するための布帛用の印刷装置として、前記記憶器には、前記送給ロールを回転駆動する前記送出モータ及び前記フィードロールを回転駆動する駆動モータを駆動するための加速度が設定されているものとしても良い。その上で、前記加速度は、前記送り動作時の少なくとも初期において、前記送出モータを駆動するための加速度が前記駆動モータを駆動するための加速度よりも大きい値に設定されているものとする。
【0019】
また、前記した本発明による布帛の印刷方法において、前記送給動作のための前記送出モータの駆動の開始時期を、前記送り動作のための前記フィードロールの駆動の開始時期に先行させるものとしてもよく、それを実現するための布帛用の印刷装置として、前記記憶器には、前記送給動作のための前記送出モータの駆動の開始時期及び前記送り動作のための前記駆動モータの駆動の開始時期を規定する設定値が設定されており、前記設定値は、前記送出モータの駆動開始時期が前記駆動モータの駆動開始時期に先行するように設定されているものとしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の布帛の印刷方法、及び印刷装置は、印刷部よりも下流側に印刷媒体である布帛に接触して設けられると共に駆動モータによって回転駆動されるフィードロールを設け、このフィードロールの回転量を制御することにより、フィードロールによって牽引されて印刷部における布帛の送り動作が行われるものである。そして、この布帛の送り動作に合せ、印刷部(サポートロール)よりも上流側においても、布帛に接触して設けられる送給ロールが送出モータによって回転駆動され、それによって布帛が積極的に送給されるため、印刷部よりも下流側でのフィードロールによる牽引に伴う印刷部における布帛の張力変動が抑制される。
【0021】
しかも、本発明によれば、印刷部よりも上流側(印刷部と送給ロールとの間)において検出された布帛の張力の検出値と予め設定された目標張力値とに基づき、送給ロール用の送出モータの駆動が制御されるため、前記張力変動の抑制がより効果的に行われる。従って、本発明によれば、印刷媒体が布帛のように伸縮性を有するものであっても、張力変動に起因する布帛の伸縮を抑えることができ、布帛の伸縮が原因で生じる印刷ズレを防止し、高精細な印刷を行うことができる。
【0022】
また、前記送り動作は間欠的に行われるものであるため、印刷部よりも下流側でのフィードロールによる布帛の牽引に伴って送出側で布帛を積極的に送給しても、印刷部と送給ロールとの間で布帛を案内するサポートロール等との間の摩擦抵抗等により、送給ロールによる布帛の積極的な送給が直ぐに印刷部に波及せず、印刷部における布帛の張力が送り動作の初期において一時的に大きく変動(上昇)する場合がある。そこで、前記送り動作の少なくとも初期において、送給ロールを回転駆動する送出モータを駆動するために設定された加速度を、フィードロールを回転駆動する駆動モータを駆動するために設定された加速度よりも大きくする、あるいは、送り動作時において、送給動作のための送出モータの駆動の開始時期を、送り動作のためのフィードロールの駆動の開始時期に先行させることにより、前記のような送り動作初期時における大きな張力変動を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜
図8は本発明による布帛用の印刷装置の一実施例(以下、「本実施例」と言う。)を具体化した一例(以下、「図示の例」と言う。)を示している。このうち、
図1は、図示の例の全体を示している。この
図1に基づいて本実施例を説明する。因みに、本実施例においては以下1)〜5)を前提事項とする。
【0025】
1)供給ロール1の布帛CLを印刷部8に対して送って供給する部分、即ち送給部分は、供給ロール1から引き出された布帛CLが巻き掛けられる送りロール3を送出モータ(サーボモータ)で回転駆動することにより、供給ロール1から布帛CLが間欠的に引き出されるものとする。すなわち、本発明における「送給ロール」は、本実施例では、前記送りロール3となる。
2)送出モータM1の駆動制御は、印刷部8を通過した布帛CLが巻き掛けられるフィードロール5による布帛CLの送り動作(以下、単に「送り動作」とも言う。)に伴う送給動作のための送出モータM1の駆動量(回転量)を、布帛CLの検出張力値に基づいて補正するものとする。
3)送出モータM1の駆動(送給動作)は、送り動作の開始(フィードロール5の回転駆動開始)と同時に開始されるものとする。また、送給動作のための送出モータM1の駆動時における加速度は、送り動作のためのフィードロール5の駆動時における加速度よりも大きく設定されているものとする。
4)布帛CLの張力検出は、送りロール3から送り出された布帛CLが巻き掛けられ、布帛CLを印刷部8へ向けて転向させるサポートロール4を介して行うものとする。
5)なお、以下の説明では、水平方向における印刷方向と直交する方向(
図1の左右方向)を前後方向とし、例えば印刷部8に対しフィードロール5側を前、サポートロール4側を後とする。
【0026】
本実施例における布帛用の印刷装置は、長尺の布帛CLが巻き付けられた供給ロール1と、印刷部8へ向けて布帛CLを送給するための送給ロールとしての送りロール3と、送りロール3から送り出された布帛CLを印刷部8へ向けて転向させるサポートロール4と、印刷部8において1回の印刷動作毎に布帛CLを所定量ずつ移動させるためのフィードロール5と、フィードロール5によって送られた印刷済みの布帛CLが巻き取られる巻取ロール7とを含む。
【0027】
そして、供給ロール1から引き出された布帛CLは、送りロール3に巻き掛けられた後、サポートロール4に巻き掛けられて印刷部8へ向けて転向される。印刷部8を通過した布帛CLは、フィードロール5に巻き掛けられ、巻取ロール7側へ導かれる。
【0028】
また、図示の例では、供給ロール1と送りロール3との間の布帛CLの経路中に送出側ガイドロール2が設けられており、供給ロール1から引き出された布帛CLは、この送出側ガイドロール2を経由して送りロール3へ導かれる。更に、フィードロール5と巻取ロール7との間の布帛CLの経路中にも巻取側ガイドロール6が設けられており、フィードロール5によって送られた布帛CLは、この巻取側ガイドロール6を経由して送りロール3へ導かれる。なお、これらのガイドロール2、6は、供給ロール1及び巻取ロール7の巻径が変化しても送りロール3及びフィードロール5に対する布帛CLの巻付け角が変化しないようにする、言い換えると、供給ロール1及び巻取ロール7の巻径変化に関係無く送りロール3及びフィードロール5に対する布帛CLの巻付け角を一定にするためのものである。
【0029】
印刷装置は、前記の各ロール1〜7の軸線方向に離間して配置された一対の支持フレーム(図示略)を有している。そして、前記の各ロール1〜7は、その両端部において前記支持フレームに回転可能に支持されており、その軸線が他のロールの軸線と平行を成す(水平方向に延在する)ように設けられている。また、サポートロール4とフィードロール5とは、その上端の高さ位置が同じとなるように設けられている。従って、サポートロール4とフィードロール5との間に亘る布帛CLは、水平状態でサポートロール4とフィードロール5に案内されている。
【0030】
サポートロール4とフィードロール5との間の印刷部8には、印刷ヘッド8aが設けられている。この印刷ヘッド8aは、公知のインクジェット式のものであって、この印刷ヘッド8aが布帛CLの幅方向に亘って走行することで、印刷部8における布帛CLに対し所定の範囲に亘って印刷が施される。
【0031】
因みに、印刷ヘッド8aには、使用される各色のインクに応じたノズル(図示略)が設けられている。各色のインクカートリッジ(図示略)からインクが各ノズルに供給され、各ノズルからインク噴射装置(図示略)の作動によってインクを噴射可能となっている。
【0032】
このような本実施例では、前記の供給ロール1と送出側ガイドロール2と送りロール3とによって布帛CLの送供部分が構成されている。以下、これらロール1〜3について順に詳述する。
【0033】
供給ロール1は、中空円筒状の巻芯1aに長尺の布帛CLを巻き付けて構成されている。また、供給ロール1は、上下方向に関し印刷部8よりも下方において、前記巻芯1aに挿通される送出軸11を介して支持フレームに支持されている。より詳しくは、巻芯1aと送出軸11とは、送出軸11が巻芯1aに挿通され、送出軸11に対し着脱可能なテーパブッシュ等により、同芯状態で相対回転不能に連結される。従って、巻芯1a(供給ロール1)は、送出軸11に対し着脱可能となっている。また、送出軸11は、その軸線方向の寸法が巻芯1aよりも長くなっており、前記連結状態において巻芯1aの両端部よりも突出している。そして、送出軸11は、その両端の突出部分の端部(以下、支持部分とも言う。)において、軸受等を介し、支持フレームに対し回転可能に支持され、一対の支持フレーム間に架設される。この構成により、供給ロール1は、一対の支持フレーム間において、送出軸11を介して回転可能に支持された状態となる。
【0034】
なお、本実施例では、送出軸11の支持部分において、送出軸11に対し回転抵抗を付与する制動機構(図示略)が設けられているものとする。この制動機構は、例えば、送出軸11と接触して送出軸11に対し摩擦抵抗を付与する制動部材と、この制動部材を送出軸11に押接させる付勢部材(バネ部材等)と、その付勢部材によって制動部材が送出軸11に作用させる押接力を調整(付勢手段がバネ部材の場合は、バネ部材の伸縮量を調整)する調整部材とを含む。従って、送出軸11には制動部材の押接による摩擦抵抗(回転抵抗)が作用し、それにより、供給ロール1の自由回転が阻止され、供給ロール1から引き出される布帛CLに対し引き出し抵抗が付与される。
【0035】
送出側ガイドロール2は、供給ロール1から引き出された布帛CLが巻き掛けられ、送りロール3へ向けて布帛CLを案内するものであって、その両端部に形成された軸部2a、2a(片側のみ図示する。)において、一対の支持フレームに対し軸受等を介して回転可能に支持されている。前記したように、送出側ガイドロール2は、送りロール3に向う布帛CLが所定の位置で案内されて送りロール3に対する布帛CLの巻掛け角を常に一定とするためのものであり、図示の例では、送出側ガイドロール2は、その軸心が供給ロール1の巻芯1a及び送りロール3の上方に位置するように設けられている。また、図示の例では、送りロール3に対する布帛CLの巻掛け角を大きくするために、送出側ガイドロール2は、前後方向に関し、その軸心が送りロール3の供給ロール1側端部(送りロール3の半径方向外側部分における供給ロール1側の端部)よりも中心側(前後方向に関し印刷ヘッド8a側)に位置するように設けられている。
【0036】
送りロール3は、上下方向に関し、印刷部8よりも下方であって送出側ガイドロール2よりも下方において、その両端部に形成された軸部3a、3a(片側のみ図示する。)により、一対の支持フレームに対し軸受等を介して回転可能に支持されている。また、送りロール3における両端の軸部3a、3aのうちの一方には、ギア列等を含む駆動伝達機構3bを介し、サーボモータである送出モータM1が連結されている。
【0037】
また、送りロール3の外周面には(図示の例では外周面の全周には)、巻き掛けられる布帛CLの滑りを防止するためのシート状の滑り止め部材3cが貼着されている。従って、送出モータM1によって送りロール3が回転駆動されることに伴い、布帛CLが送りロール3の外周面上で滑ることなく、送りロール3の回転量に相当する分だけ送給される。なお、送出モータM1の駆動制御については後述する。このように、本実施例では、送りロール3は、一対のロールによって布帛CLを狭持することなく、送給部分から布帛CLを送り出す構成となっている。
【0038】
前記構成の送給部分から送り出された布帛CLは、前記のように、送りロール3の上方に設けられたサポートロール4に巻き掛けられて転向され、印刷部8へ導かれる。また、印刷部8を経た布帛CLは、フィードロール5に巻き掛けられ、巻取ロール7側へ導かれる。すなわち、布帛CLは、印刷部8の前後において、サポートロール4及びフィードロール5に支持されている。また、前記のように、サポートロール4とフィードロール5とは、その上端の高さ位置が一致するように設けられており、従って、印刷部8の周辺においては、布帛CLは水平状態で案内されている。
【0039】
フィードロール5は、前記のように、上下方向に関し、上端位置をサポートロール4に一致させた状態で、その両端部に形成された軸部5a、5a(片側のみ図示する。)により、一対の支持フレームに対し軸受等を介して回転可能に支持されている。また、フィードロール5における両端の軸部5a、5aのうちの一方には、ギア列等を含む駆動伝達機構5bを介し、サーボモータである駆動モータM3が連結されている。
【0040】
また、フィードロール5の外周面(図示の例では外周面の全周)にも、前記送りロール3と同様に、布帛CLの滑りを防止するためのシート状の滑り止め部材5cが貼着されている。従って、前記の駆動モータM3によってフィードロール5が回転駆動されることに伴い、布帛CLがフィードロール5の外周面上で滑ることなく、駆動モータM3の回転量に相当する分だけ送られる。なお、駆動モータM3の制御については後述する。このように、本実施例では、フィードロール5は、一対のロールによって挟持することなく、印刷済みの布帛CLを巻取部分へ向けて送る構成となっている。
【0041】
本実施例の構成におけるフィードロール5及び送りロール3の役割について、印刷部8における布帛CLの送り動作は、専らフィードロール5の回転によって達成されるものであり、送りロール3の役割は、フィードロール5の回転に伴う布帛CLの送り動作に応じて供給ロール1から布帛CLを積極的に引き出す(印刷部8へ布帛CLを積極的に送給する)ために動作することである。すなわち、印刷部8における布帛CLの送り動作は、前記の従来技術(特許文献2)のように送出部分に駆動手段を備えずに送出側からの布帛CLの送給が消極的に行われるものであっても、フィードロール5のみの積極的な回転駆動によっても実現可能である。従って、布帛CLの送り動作については、専らフィードロール5が分担している(専らフィードロール5の役割)と言える。但し、本発明は、布帛CLの伸縮を考慮して印刷部8における布帛CLの移動量を制御(コントロール)すべく、印刷部8へ向けて布帛CLを送給するロール(送りロール3)を積極的に回転駆動するものである。
【0042】
前記のように、本実施例では、布帛CLの張力は、印刷部8の直近の上流側で布帛CLが巻き掛けられるサポートロール4を介して検出される。従って、本実施例では、サポートロール4は、布帛CLを印刷部8へ向けて水平に案内する機能に加え、張力検出装置の一部としても機能する。このサポートロール4の両端部を支持する構成が
図2、
図3に示されている。
【0043】
本実施例では、サポートロール4は、その両端部の軸部4a、4aに嵌装されたベアリング4b、4bを介し、一対の支持フレーム9、9よって支持されている。すなわち、サポートロール4における両端部の各軸部4aの外周面には、ベアリング4bが嵌装されており、各ベアリング4bが支持フレーム9の上面に載置されるかたちで、サポートロール4が一対の支持フレーム9、9に支持されている。なお、本実施例では、サポートロール4の両端部のうちの一方に、布帛CLの張力に応じた荷重を検出するための荷重検出器(ロードセル)31が接続されており、その一方の端部側において布帛CLの張力を検出する構成になっている。これらの構成について、より詳しくは以下の通りである。
【0044】
図2に示すように、前記一方の端部側における支持フレーム9は、サポートロール4に対応した位置に形成されて上方へ向けて突出する第1の突出部9aを有している。そして、サポートロール4の前記一方の端部は、その軸部4aに嵌装されたベアリング(以下、「一方のベアリング」と言う。)4bがこの第1の突出部9aに載置された状態で支持されている。なお、この第1の突出部9aの上面は、水平に形成されると共に、前後方向に関し一方のベアリング4bの直径と同程度の長さ寸法を有している。従って、サポートロール4は、前記一方の端部においては、水平方向に変位可能に支持されている。
【0045】
また、第1の突出部9aの上面は、幅方向に関し、一方のベアリング4bが載置される部分よりも外側(サポートロール4から軸線方向に離間する側)の部分が上方に突出する段部9a1を有している。そして、この段部9a1は、一方のベアリング(サポートロール4の前記一端部)4bの前記外側へ向けた変位を規制するものとなっている。更に、図示の例では、一方のベアリング4b(サポートロール4)の上下方向の変位を規制するものとして第1の規制部材21が設けられている。
【0046】
この第1の規制部材21は、幅方向に関し支持フレーム9とほぼ同じ幅寸法を有し、上下方向に延在する支持部21aと、支持部21aの下端から後方へ向けて延びる固定部21bと、支持部21aの上端から前方へ向けて延びる規制部21cとを一体形成して構成されている。そして、第1の規制部材21は、固定部21bにおいて支持フレーム9の上面に対し固定された状態で、規制部21cの下面が一方のベアリング4bの上端に当接するように構成されている。なお、第1の規制部材21は、前記固定状態において支持部21aが支持フレーム9における第1の突出部9aの後側の端面に当接すると共に、一方のベアリング4bがロードセル31に接続された状態で、支持部21aの前側の端面とベアリング4bとの間に間隙21dが存在するように設けられている。
【0047】
一方、
図3に示すように、前記他方の端部側の支持フレーム9は、サポートロール4の配置に対応した位置に形成されてベアリング4bを受け入れ可能な円弧状に凹む受け部9bを有している。そして、サポートロール4の前記他方の端部は、その軸部4aに嵌装されたベアリング(以下、「他方のベアリング」と言う。)4bがこの受け部9bに受け入れられるかたちで支持されている。また、前記他方の端部側の支持フレーム9には、受け部9bよりも前側の部分から後方へ向けて延在し、受け部9bに受け入れられた他方のベアリング4bの上端に当接するように設けられた平板状の第2の規制部材22が設けられている。従って、サポートロール4は、前記他方の端部側においては、他方のベアリング4bが受け部9bに受け入れられると共に、他方のベアリング4bの上端に第2の規制部材22が当接することにより、前後方向及び上下方向に変位不能な状態で支持フレーム9に支持されている。
【0048】
前記のように、サポートロール4の前記一方の端部には、
図2に示すように、布帛CLの張力に応じた荷重を検出するための荷重検出器31としてのロードセルが接続されている。図示の例では、このロードセル31は、S字型のものであって、その両側に固定された軸部31a、31aの一方において支持フレーム9に支持されると共に、他方の軸部31aにおいて一方のベアリング4bに当接可能に設けられている。より詳しくは、サポートロール4における前記一方の端部側の支持フレーム9には、前記の第1の突出部9aよりも前方で上方へ向けて突出する第2の突出部9cが形成されており、ロードセル31は、その一方の軸部31aの端部がこの第2の突出部9cに固定されることで、片持ち状態で支持フレーム9に支持されている。
【0049】
なお、ロードセル31は、その両側における軸部31a、31aの軸心の高さ位置が、支持フレーム9に載置された状態における一方のベアリング4bにおける軸心の高さ位置とほぼ同じとなるように、水平状態で支持されている。従って、前記のように支持フレーム9によって水平方向に変位可能に支持されたサポートロール4は、布帛CLの張力によって前方へ向けて付勢されるが、その付勢された力がロードセル31の他方の軸部31aによって受けられる。そして、それにより、布帛CLの張力に応じてサポートロール4に作用する荷重がロードセル31によって検出される。
【0050】
因みに、この構成の場合、布帛CLの張力によってサポートロール4に対し
図2のFで示す斜め下方へ向けた荷重が作用する。そして、その荷重Fの分力である水平方向の荷重F’がロードセル31に作用する。ロードセル31は、その荷重F’を検出し、それに応じた電気信号(荷重検出信号)を後述の駆動制御器43へ向けて出力する。
【0051】
また、本実施例では、
図3に示すように、サポートロール4の前記他方の端部側において、布帛CLの進行方向に応じたサポートロール4の回転を阻止する回転阻止機構23が設けられている。この回転阻止機構23の構成は、サポートロール4の回転に伴う印刷部8における布帛CLの上下動を回避することを目的としたものである。詳しくは、高精細な印刷を行うためには、印刷部8においては、できる限り布帛CLの高さ位置が一定であることが求められる。一方で、サポートロール4について、その外周形状が極めて高い真円度を有するように形成されたとしても、サポートロール4の両端部(支持部分)の構成を含めた僅かな誤差により、回転に伴ってサポートロール4の上端位置が変化する場合があり得る。従って、サポートロール4は、基本的には回転しない方が好ましく、そのために、前記のような回転阻止機構23が設けられる。
【0052】
なお、図示の例における回転阻止機構23の構成は、サポートロール4の前記他方の端部側における端面に取り付けられたナット23aと、支持フレーム9の内側の側面に螺挿されたネジ部材23bの頭部23b1とを係合させることにより、サポートロール4の一方向(布帛CLの進行に応じた回転方向)の回転を阻止するものとなっている。より具体的には、以下の通りである。
【0053】
サポートロール4における他方の端部側の端面であって軸心から離間する位置には、雌ネジ孔(図示略)が形成されており、その雌ネジ孔にイモネジ(六角穴付き止めネジ。図示略)が螺挿されると共に、そのイモネジにナット23aが螺合されている。これにより、サポートロール4における前記他方の端部側の端面には、その端面に当接する状態でナット23aが取り付けられている。一方で、サポートロール4の前記端面に対向する支持フレーム9の内側の側面にも、サポートロール4の前記端面に形成された雌ネジ孔とサポートロール4の軸心からの距離が等しい位置に雌ネジ孔(図示略)が形成されている。そして、この雌ネジ孔にネジ部材23bが螺挿され、その結果として、支持フレーム9の前記内側の側面からネジ部材23bの頭部23b1が突出した状態となっている。
【0054】
この構成では、前記ナット23aと前記ネジ部材23bとが係合していない状態では、サポートロール4は回転可能であるが、布帛CLの進行に伴うサポートロール4の前記一方向への回転に伴い、1回転未満の回転で前記ナット23aと前記ネジ部材23bとが係合し、それ以上の前記一方向へのサポートロール4の回転が阻止された状態となる。なお、本実施例では、ベアリング4bを介してサポートロール4を回転可能に支持すると共に、前記回転阻止機構23を付設してサポートロール4の回転を阻止する構成としているが、これは、印刷媒体である布帛CLの種類等によっては、サポートロール4を回転可能にするためである。詳しくは以下の通りである。
【0055】
印刷部8へ向けて布帛CLを転向させるガイド部材(本実施例ではサポートロール4)を回転不能なロールや非ロール状の部材とした場合、布帛CLの種類等によっては、ガイド部材と布帛CLとの間の摩擦抵抗が大きいため、送りロール3の回転制御に伴う布帛CLの送給量が印刷部8に十分に波及せず、印刷部8における布帛CLの張力が適正なものにならない場合がある。このような張力が適正ではない状態は、前記したサポートロール4の回転に伴う布帛CLの上下動よりも印刷に与える影響が大きいものとなる。従って、このような場合には、サポートロール4を回転可能としたほうが好ましいため、本実施例は、サポートロール4を回転不能な状態と回転可能な状態とで切換え可能とすべく、回転阻止機構23を備える構成としてある。因みに、図示の回転阻止機構23において、サポートロール4を回転可能とする場合は、サポートロール4に取り付けられているナット23a及びイモネジを取り外すか、あるいは、支持フレーム9に取り付けられているネジ部材23bを取り外せばよい。
【0056】
なお、回転阻止機構23は、図示の構成に限らず、例えば、イモネジとナット23aとの組み合わせを、単一のネジ部材に置き換えることも可能である。また、ベルト等の連結具によって支持フレーム9とサポートロール4とを連結する構成や、支持フレーム9に形成された貫通孔に挿入されたネジ部材をサポートロール4に螺挿する構成等であってもよい。
【0057】
図1に示すように、サポートロール4からフィードロール5へ送られた印刷済みの布帛CLは、巻取側ガイドロール6を経由し、巻取ロール7へ導かれる。
【0058】
巻取側ガイドロール6は、フィードロール5から送られた布帛CLが巻き掛けられ、巻取ロール7へ向けて布帛CLを案内するものであって、その両端部に形成された軸部6a、6a(片側のみ図示する。)において、一対の支持フレームに対し軸受等を介して回転可能に支持されている。前記したように、巻取側ガイドロール6は、巻取ロール7に向う布帛CLが所定の位置で案内されて巻取ロール7に対する布帛CLの巻掛け角を常に一定とするためのものであり、図示の例では、上下方向に関し、巻取ロール7よりも上方であって、その軸心の高さ位置がフィードロール5の軸心よりも下方に位置するように設けられると共に、前後方向に関し、フィードロール5及び巻取ロール7よりも前方(サポートロール4側)に位置するように設けられている。また、図示の例では、フィードロール5に対する布帛CLの巻掛け角を大きくするために、巻取側ガイドロール6は、上下方向に関し、その上端がフィードロール5の下端よりも上方に位置するように、その軸心の高さ位置がフィードロール5の下端に近い位置となるように設けられている。
【0059】
巻取ロール7は、上下方向に関しフィードロール5の下方において、前記した一対の支持フレームに対し回転可能に支持されている。また、巻取ロール7は、中空円筒状の巻芯7aであって、その外周面に印刷済みの布帛CLが巻きつけられる巻芯7aと、巻芯7aに挿通されて巻芯7aを支持する巻取軸12とで構成されている。より詳しくは、巻芯7aと巻取軸12とは、巻取軸12が巻芯7aに挿通され、巻取軸12に対し着脱可能なテーパブッシュ等により、同芯状態で相対回転不能に連結される。また、巻取軸12は、その軸線方向の寸法が巻芯7aよりも長くなっており、前記連結状態において巻芯7aの両端部よりも突出している。そして、巻取軸12は、その両端の突出部分の端部(以下、支持部とも言う。)において、軸受(図示略)等を介し、支持フレームに対し回転可能に支持され、一対の支持フレーム間に架設される。この構成により、巻取ロール7は、一対の支持フレーム間において、巻取軸12を介して回転可能に支持された状態となっており、また、巻芯7aは、布帛CLを巻き取った状態で巻取軸12から取り外すことが可能となっている。
【0060】
巻取ロール7(巻芯7a)を支持する巻取軸12の一端には、ギア列等を含む駆動伝達機構7bを介して巻取モータM2が連結されている。巻取モータM2はトルクモータであって、巻取張力が一定となるようにトルク制御される。なお、巻取ロール7の近傍には巻径センサ7sが設けられており、印刷済みの布帛CLを巻き取る巻取ロール7の巻径が、この巻径センサ7sによって検出される。巻取モータM2のトルク制御においては、この巻径センサ7sからの信号に基づいて求められた巻取ロール7の巻径に応じてトルクが調整される。このように、本実施例の巻取部分では、フィードロール5から送り出された布帛CLを所定の張力で巻き取る構成となっており、これにより、巻き取られる布帛CLの巻皺を防止することができる。
【0061】
図4には、本実施例における布帛用の印刷装置の制御構成の全体が示されており、
図5には、
図4の一部(駆動制御器43)がより詳細に示されている。印刷装置における制御のための構成として、本実施例は、印刷ヘッド8aの動作を制御するための印刷動作制御器41と、前記した各モータの駆動を制御する駆動制御器43とを備える。また、布帛CLの目標張力の設定値、送り動作時における送出モータM1及び駆動モータM3の回転量の設定値、巻取モータM2のトルク制御のためのトルク設定値等を入力・設定するための入力設定器42が、印刷動作制御器41に接続されるかたちで設けられている。なお、この入力設定器42によって入力・設定された前記の設定値は、印刷動作制御器41に内蔵された記憶器41aにおいて記憶され、その設定値に応じた指令信号等が駆動制御器43に送信される。
【0062】
印刷装置における動作は、以下の1)〜3)の手順で行われる。
1)布帛CLが停止した状態で、印刷動作制御器41からの指令に従って印刷ヘッド8aが布帛CLの幅方向に亘って走行し、前後方向における所定の印刷範囲に亘って布帛CLに対し印刷を行う。
2)印刷ヘッド8aによる1回の印刷動作が完了した後、印刷動作制御器41からの指令に従って駆動モータ(フィードロール5)M3が回転駆動されて布帛CLの送り動作が行われ、それと同時に、送出モータM1が回転駆動されて送りロール3による印刷部8へ向けた布帛CLの送給動作が行われる。
3)布帛CLの送り動作(フィードロール5の回転駆動)が完了した後、再び前記1)の印刷動作が実行され、以降、これら一連の処理が繰り返される。
【0063】
印刷動作制御器41は、1回の印刷動作を実現すべく、印刷ヘッド8aを布帛CLの幅方向に亘って走行させると共に、印刷ヘッド8aに備えられた複数本のノズルの噴射を制御し、所望の印刷を印刷ヘッド8aに行わせる。また、前記の動作手順を繰り返し実現すべく、印刷動作制御器41は、1回の印刷動作が完了した時点で、駆動制御器43に対し布帛CLの送り動作を指令する送り動作指令信号を出力する。また、布帛CLの送り動作が完了した時点で、印刷動作制御器41は、駆動制御器43から送り動作の完了を示す駆動完了信号を受け、再び印刷ヘッド8aに印刷動作を実行させる。
【0064】
印刷動作としては、印刷ヘッド8aの待機位置(布帛CLの幅方向における一端側)から布帛CLの他端側(布帛CLの幅方向における待機位置とは反対側)へ向けた往動時にのみ印刷を行い、待機位置へ戻る複動時には印刷を行わない方式(片道印刷)と、往動時及び復動時の印刷で1回の印刷動作が完了する方式(往復印刷)とがある。片道印刷の場合には、印刷ヘッド8aが布帛CLの他端側に達した時点で前記の送り動作指令信号を出力することが可能であり、印刷ヘッド8aが待機位置へ戻る動作の途中で布帛CLの送り動作(フィードロール5の回転駆動)を開始することができる。一方、往復印刷の場合には、印刷ヘッド8aが待機位置に戻った時点で前記の送り動作指令信号が出力される。
【0065】
前記のように、印刷動作制御器41は記憶器41aを備え、入力設定器42によって入力・設定された以下の1)〜5)の設定値等が記憶されているものとする。
1)布帛CLの目標張力の設定値(目標張力値)。
2)1回の送り動作に必要な布帛CLの移動量に相当するフィードロール5の回転量に応じた駆動モータM3の回転量(設定回転量)、及び布帛CLの送り動作に伴う送給動作のための送りロール3の回転量に応じた送出モータM1の回転量(設定回転量)。なお、基本回転量としての送出モータM1の設定回転量について、布帛CLの伸縮を無視した場合、送りロール3による布帛CLの送給量は、印刷部8における布帛CLの移動量(フィードロール5による布帛CLの送り量)と一致している必要がある。また、図示の例では、フィードロール5と送りロール3とは同じ径となっている。従って、送出モータM1の設定回転量は、フィードロール5の設定回転量と同じ回転量で設定されている。
3)駆動モータM3及び送出モータM1の加速時における加速度、及び減速時における減速度。なお、本実施例では、前記加速度は加速期間に亘って一定(等加速度)とし、前記減速度も減速期間に亘って一定(等減速度)とする。従って、加速度及び減速度は、それぞれ1つの設定値が設定されるものとする。また、本実施例は、駆動モータM3と送出モータM1とで加速度を異ならせており、送出モータM1の加速度の設定値の方が駆動モータM3の加速度の設定値よりも大きい値に設定されているものとする。
4)駆動モータM3及び送出モータM1の動作時間(1回の布帛CLの送り動作及び送給動作が行われる時間)。
5)巻取モータM2をトルク制御するためのトルク設定値。
【0066】
図5に示すように、本実施例における駆動制御器43は、送出モータM1に対する駆動指令を発生する送出制御部44、駆動モータM3に対する駆動指令を発生する布帛送り制御部45、及び巻取モータM2に対するトルク指令を発生する巻取制御部46とを含む。また、駆動制御器43は、印刷動作制御器41における記憶器41aに記憶された設定値等に基づいて送出モータM1、駆動モータM3の速度パターンを作成し、送出制御部44及び布帛送り制御部45へ出力する速度パターン発生器47とを含む。
【0067】
速度パターン発生器47は、印刷動作制御器41における記憶器41aに記憶されている送出モータM1、駆動モータM3の回転量(前記2))送出モータM1、駆動モータM3の加速度及び減速度(前記3))、及び送出モータM1及び駆動モータM3の設定動作時間(前記4))に基づき、送出モータM1、駆動モータM3のそれぞれについて速度パターン(動作パターン)を作成する。従って、印刷動作制御器41は、入力設定器42によって前記設定値が入力・設定されたことに伴い、その設定値を示す設定信号を速度パターン発生器47に対し出力する。そして、速度パターン発生器47は、その作成された各速度パターンを、それぞれ送出制御部44又は布帛送り制御部45へ出力する。
【0068】
図6のタイムチャートには、この速度パターンの一例に対する、印刷ヘッド、印刷動作制御器、及び布帛送り制御部の各動作が示されている。また、
図7(a)には、速度パターンの一例の詳細が示されている。本実施例では、各速度パターンは、先ず回転開始からの加速期間において、前記のように等加速度で直線的に速度が増加し、加速期間に続く定速期間を経た後、減速期間において等減速度で直線的に速度が減速するパターンとなる。なお、前記のように、本実施例では、送出モータM1の加速度(設定値)は、駆動モータM3の加速度(設定値)よりも大きい値に設定されている。従って、
図7(a)に示すように、送出モータM1及び駆動モータM3の各速度パターンにおける加速期間での回転速度の上昇度合(加速期間における直線の傾き)については、送出モータM1用の速度パターンが駆動モータM3の速度パターンよりも大きくなっている。
【0069】
また、本実施例では、設定された動作時間(図示の例では、0.4秒)で設定回転量の回転が行われるように、速度パターンが設定される。そして、この速度パターンで表される台形の面積が、送出モータM1、駆動モータM3の回転量に相当する。なお、前記のように両モータM1、M3の設定回転量は同じであるため、送出モータM1及び駆動モータM3を駆動するための各速度パターンで表される台形の面積は同じである。以上の条件に基づき、速度パターン発生器47は、送出モータM1及び駆動モータM3を駆動するための各速度パターンを作成する。因みに、
図6の例では、作成された各速度パターンの出力終了時点から、4.0〜5.0経過毎に、次に作成された速度パターンの出力開始時点が来るものとなっている。
【0070】
布帛送り制御部45は、前記した速度パターン発生器47によって作成された駆動モータM3用の速度パターンに基づき、駆動モータM3の駆動を制御するサーボドライバ(B)に対し、位置指令としてのパルス信号を出力する。より詳しくは、本実施例の布帛送り制御部45は、内蔵する記憶部(メモリ(図示略))において、速度パターン発生器47で作成された駆動モータM3用の速度パターンを記憶すると共に、印刷動作制御器41から前記した送り動作指令信号が入力されるものとなっている。そして、布帛送り制御部45は、その送り動作指令信号の入力に伴い、その入力時点から予め設定された時間(
図6の設定時間t1)経過後に、駆動モータM3用の速度パターンに基づき、駆動モータM3の駆動制御を行うサーボドライバ(B)に対し、位置指令としてのパルス信号を出力する。なお、前記設定時間t1については、前記送り動作指令信号の入力時点に対する駆動モータM3の駆動開始時点を規定する設定値として、記憶器41aに設定されているものとする。
【0071】
サーボドライバ(B)は、布帛送り制御部45からの位置指令(パルス信号)と、駆動モータM3の回転量を検出するエンコーダENからの信号に基づき、駆動モータM3の駆動を制御する。これにより、駆動モータM3は、駆動モータM3用の速度パターンに従った回転態様で駆動される。因みに、
図7(b)は、前記速度パターンに従って駆動モータM3を駆動したことに伴うフィードロール5の回転によって送られる布帛CLの移動量を示す。
【0072】
また、布帛送り制御部45は、駆動モータM3の回転駆動(布帛CLの送り動作)が完了したことを示す駆動完了信号を、印刷動作制御器41へ向けて出力する。この駆動完了信号の出力時点は、本実施例では、前記位置指令の出力開始時点(駆動モータM3の駆動開始時点)から予め設定された設定時間(
図6のt2)経過後とする。但し、この設定時間t2は、前記した駆動モータM3の設定動作時間に余裕時間を加えて設定されたものとする。
【0073】
なお、この駆動完了信号の出力について、前記では駆動モータM3の設定動作時間に基づいて設定された設定時間経過後に出力されるものとしたが、例えば、布帛CLの張力が安定している、すなわち、張力検出装置によって検出される布帛CLの張力が目標張力値を基準とする所定の範囲に収まっていることを条件とし、それに基づいて出力されるものとしてもよい。また、本実施例の装置においては、駆動モータM3の回転異常等を検知することを目的として駆動モータM3の設定回転量分の回転駆動が完了した時点でサーボドライバ(B)から回転完了を示す信号が布帛送り制御部45に対し出力されるものとなっており、この回転完了信号が入力されたことを条件として、それに基づいて布帛送り制御部45が駆動完了信号を出力するものとしてもよい。更には、前記の設定時間t2、布帛CLの張力、駆動モータM3の回転完了信号のうちの2以上の条件に基づき、駆動完了信号が出力されるものとしてもよい。
【0074】
送出制御部44は、基本動作として、前記した速度パターン発生器47によって作成された送出モータM1用の速度パターンに基づき、送出モータM1の駆動を制御するサーボドライバ(A)に対し、位置指令としてのパルス信号を出力する。
【0075】
本実施例の送出制御部44について、詳しくは、以下の通りである。送出制御部44は、駆動指令器44cを備えており、この駆動指令器44cは内蔵する記憶部(メモリ(図示略))において、前記した速度パターン発生器47によって作成された送出モータM1用の速度パターンを記憶する。そして、送出制御部44は、布帛送り制御部45と同様に、送出モータM1用の速度パターンに基づき、送出モータM1の駆動制御を行うサーボドライバ(A)に対し、位置指令としてのパルス信号を出力する。このサーボドライバ(A)は、送出制御部44からの位置指令(パルス信号)と、送出モータM1の回転量を検出するエンコーダENからの信号に基づき、送出モータM1の駆動を制御する。これにより、送出モータM1は、送出モータM1用の速度パターンに従った回転態様で駆動される。
【0076】
また、送出制御部44は、本発明に基づく布帛CLの張力に応じた送出モータM1の駆動制御を実行すべく、前記駆動指令器44cに加え、張力検出器44a及び比較器44bを含む。より詳しくは、送出制御部44は、入力側において張力検出装置におけるロードセル31に連結された張力検出器44aと、入力側で張力検出器44aに接続されると共に出力側で駆動指令器44cに接続された比較器44bとを備える。なお、張力検出器44aとロードセル31との間にはロードセルアンプ48が介装されており、このロードセルアンプ48は、ロードセル31から出力された荷重検出信号に応じた張力信号(T)を張力検出器44aへ向けて出力する。
【0077】
張力検出器44aには、印刷動作制御器41からの前記の送り動作指令信号が入力される。また、張力検出器44aは、ロードセルアンプ48からの張力信号(T)を、予め設定された所定の検出周期毎に、布帛CLの張力の検出値としてサンプリング(検出)し、これを順次記憶していく。そして、張力検出器44aは、前記送り動作指令信号が入力された時点で、その入力時点を終点とする所定期間における複数の検出値の平均値を算出し、その算出値を平均張力値(Ta)として比較器44bへ出力する。なお、この場合、この平均張力値(Ta)が、本発明で言う「(張力の検出値に基づく)検出張力値」となる。
【0078】
比較器44bは、印刷動作制御器41から出力された布帛CLの目標張力の設定値(目標張力値(T0))を、内蔵する記憶部(メモリ(図示略))に記憶しているものとする。そして、比較器44bは、張力検出器44aから平均張力値(Ta)が入力された時点で、その平均張力値(Ta)と目標張力値(T0)との偏差を算出し、その偏差の大きさ及び偏差方向(プラス、或いはマイナス)を含む偏差信号(δ)を駆動指令器44cへ向けて出力する。なお、偏差信号(δ)は、偏差が0の場合も含む。
【0079】
駆動指令器44cは、比較器44bから偏差信号(δ)が入力された時点で、その偏差信号(δ)に基づき、前記速度パターンを補正し、その補正された速度パターンに基づき、前記位置指令(パルス信号)の出力を開始する。なお、偏差信号(δ)で示される信号が0の場合には、速度パターンは速度パターン発生器47で作成されたままのもの(補正無し)として、位置指令が出力される。また、前記位置指令(パルス信号)の出力の開始は、布帛送り制御部45と同様に、送り動作指令信号が入力された時点から設定時間t1後に行われる。すなわち、本実施例では、前述のように、送出モータM1の駆動はフィードロール5の回転駆動(駆動モータM3の駆動)と同時に開始されるものであるため、送り動作指令信号が入力された時点に対する駆動開始を規定するための設定時間としては、布帛送り制御部45と同様に、記憶器41aに設定された設定時間t1が用いられる。
【0080】
図8には、補正後の速度パターンの一例が示されている。図示の例は、平均張力値(Ta)が目標張力値(T0)を上回っている(偏差がプラス)場合、すなわち、前回の布帛CLの送り動作の結果として布帛CLの張力が所望の張力よりも高くなっている場合における補正後の速度パターンを示す。因みに、図において点線で示す基本速度パターンは、印刷動作制御器41における記憶器41aに記憶されている設定値に基づいて速度パターン発生器47で作成された速度パターンである。
【0081】
前記のように布帛CLの張力が高い状態にあるため、駆動指令器44cは、張力を下げるべく、前記偏差の大きさに応じた分だけ送出モータM1の回転量を大きくする(=布帛CLの送給量を増大する)ように速度パターンを補正する。なお、平均張力値(Ta)が目標張力値(T0)を下回っている場合(偏差がマイナスの場合)には、送出モータM1の回転量を小さくする(=布帛CLの送給量を減少させる)ように速度パターンが補正される。
【0082】
また、速度パターンは、図示の例では、加速度及び減速度については変更せずに、その補正が行われるものとなっている。すなわち、補正後の速度パターンは、基本速度パターンと同様に、加速度及び減速度については加速期間及び減速期間に亘って一定であり、且つ、その加速度及び減速度が印刷動作制御器41における記憶器41aに記憶された設定値に相当するものとなっている。
【0083】
但し、図示の例では、速度パターンは、送出モータM1の回転数の上昇を考慮し、前記のように送出モータM1の回転量を増大させるにあたり、基本速度パターンに対し動作時間が変更されたものとなっている。すなわち、前記のように、本実施例では、速度パターンを補正するにあたって駆動指令器44cは、加速度及び減速度を変更しないことを条件としているが、これに加え、図示の例では、送出モータM1の回転数の上限を設定しておき、この回転数の上限も補正の条件としている。従って、図示の例では、駆動指令器44cは、前記偏差に基づいて送出モータM1の回転量が増大される場合において、動作時間が変更される場合を含むものとなっている。
【0084】
より詳しくは、前記のように加速度及び減速度を変更しない場合、定速駆動時の回転数(駆動時の最高回転数)を上昇させる(=定速で駆動される期間を減少させる)ことで回転量を増大させることができる。しかし、前記最高回転数が高いと、加速状態から定速状態への移行時及び定速状態から減速状態への移行時に送出モータM1に掛かる負荷が大きくなる。そこで、それを考慮し、送出モータM1の回転数に上限を設定することが考えられる。この場合、前記偏差に基づく補正後の回転量を満たす上で回転数が設定された上限を超えるような場合には、動作時間が変更されるものとなる。なお、補正後の回転量を満たす上で回転数が設定された上限を超えないような場合には、定速駆動期間のみが変更され、動作時間は変更されない。
【0085】
一方、前記のような送出モータM1に掛かる負荷を考慮しなくてもよい場合には、回転数の上限を設定せず、定速駆動期間の変更のみで速度パターンの補正が行われるものとしてもよい。但し、その場合において、定速駆動期間を0としても、すなわち、速度パターンが加速期間及び減速期間のみの三角形で表されるものとなっても、前記偏差に応じた回転量が得られない場合には、更に動作時間が変更される。
【0086】
以上から、本実施例では、印刷動作制御器41における記憶器41a、駆動制御器43における送出制御部44及び布帛送り制御部45、及び2つのサーボドライバ(A)、(B)を組み合わせたものが、本発明における駆動制御装置に相当し、そのサーボドライバ(A)が本発明における送出制御器に相当する。また、張力検出装置は、サポートロール4、ロードセル31、ロードセルアンプ48、及び駆動制御器43における張力検出器44aで構成されている。
【0087】
巻取制御部46は、トルクモータである巻取モータM2の駆動を制御するトルク制御器49に対し、巻取ロール7の巻径に応じたトルク指令を出力する。巻取制御部46には、巻取ロール7の巻径を検出する巻径センサ7sから、検出された巻径に応じた電気信号(巻径信号(D))が入力されている。そして、巻取制御部46は、印刷動作制御器41における記憶器41aに記憶された設定トルクを巻径信号(D)で補正し、その補正後のトルクに応じたトルク指令信号をトルク制御器49へ向けて出力する。トルク制御器49は、巻取制御部46からのトルク指令信号に基づき、前記補正後のトルクで巻取モータM2が駆動されるように、巻取モータM2の駆動を制御する。
【0088】
以上の構成からなる本実施例の印刷装置では、印刷部8よりも下流側に設けられたフィードロール5が駆動モータM3によって間欠的に所定の回転量ずつ回転駆動されることにより、印刷部8における布帛CLがフィードロール5によって下流側へ牽引され、これにより印刷部8における所定の送り量による布帛CLの送り動作が行われる。また、この布帛CLの送り動作に伴い、サポートロール4よりも上流側の送給部分においても、布帛CLが巻き掛けられる送りロール3を回転駆動して印刷部8へ向けて積極的に布帛CLを供給するものとなっており、これにより、下流側でのフィードロール5による牽引に伴う送り動作による布帛CLの張力変動が抑制される。
【0089】
しかも、本実施例の印刷装置は、布帛CLの送り動作に伴って行われる送りロール3の回転駆動における駆動量(送りロール3の回転量)を、印刷部8の上流側で布帛CLを案内するサポートロール4を介して検出された張力に基づき、予め設定された設定回転量であってフィードロール5の回転量に合せて設定された設定回転量に対し補正を加えたものとしている。これにより、送りロール3による布帛CLの送給量が、検出された布帛CLの張力に応じて調整され、前記の張力変動の抑制効果がより効果的なものとなる。
【0090】
また、本実施例の印刷装置では、供給ロール1から引き出された布帛CLは、巻取ロール7に至る経路中のいずれにおいても、一対のロールによる挟持が行われることなく、巻取ロール7へ向けて送られる構成となっている。なお、布帛CL自身の性状やロールによる挟持力によっては、一対のロールによって布帛CLを挟持して送る構成とした場合、ロールによる挟持に起因して布帛CLに圧痕が付く等の品質状の問題が生じる場合がある。これに対し、前記した本実施例の構成では、布帛CLがロールによって挟持されることがないため、前記のような品質上の問題の発生を招くことは無い。
【0091】
更に、本実施例の印刷装置は、布帛CLの送り動作時において、それに伴う送りロール3の回転駆動時における加速期間の加速度を、フィードロール5の回転駆動における加速期間の加速度よりも大きく設定している。これにより、サポートロール4の慣性やサポートロール4と布帛CLとの間の摩擦抵抗等によって、送りロール3による布帛CLの積極的な送給が直ぐに印刷部8における布帛CLに波及し難い場合であっても、送り動作初期における送りロール3による布帛CLの送給量をフィードロール5による布帛CLの送り量(印刷部8からの牽引量)よりも大きくし、それによって、送り動作初期における布帛CLの大きな張力上昇を抑制することができる。
【0092】
本発明の印刷方法及び印刷装置(以下、「本発明」と言う。)は、前記実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、本発明は、供給ロール1、巻取ロール7等の配置については、前記実施例のものには限定されず、装置の大きさ等を考慮して適宜に変更可能であり、一例として、
図9に示すような構成としてもよい。
図9の構成では、供給ロール1及び巻取ロール7は、前後方向に関し印刷部8に対する同じ側(前側)に配置されており、装置全体として前後方向に関する寸法が前記実施例のものよりも小さくなっている。
【0093】
また、前記実施例は、供給ロール1よりも下流側に配置されて布帛CLが巻き掛けられる送りロール3を送出モータM1で回転駆動し、印刷部8へ向けて布帛CLを送給するものとしたが、これに代えて、本発明は、供給ロール1を送出モータで回転駆動して布帛CLの送給を行うものとしてもよい。この場合、前記実施例における送りロール3及び送出側ガイドロール2は省略される。また、この場合、供給ロール1が、本発明で言う「送給ロール」に相当するものとなる。
【0094】
張力検出装置について、前記実施例は、下方の送りロール3から送給された布帛CLを印刷部8へ向けて転向させるサポートロール4を介して張力を検出するものとしたが、これに代えて、本発明は、
図9に示すようにサポートロール4と送りロール3との間に布帛CLを案内するガイドロール13が設けられている構成の場合、このガイドロール13を介して張力を検出するものとしてもよい。
【0095】
また、前記実施例は、布帛CLの張力に応じた荷重を検出するための荷重検出器(ロードセル)31をサポートロール4の両端部のうちの一方の端部に接続する構成としたが、これに代えて、本発明は、張力検出器44aの一部として機能するロール(サポートロール4、
図9における前記ガイドロール13)の両端部に荷重検出器31を接続し、その検出値に基づいて布帛CLの張力を検出する構成としてもよい。
【0096】
更に、前記実施例は、印刷部8へ向けて布帛CLを送給する構成については、外周面に滑り止め部材3cが貼着された送りロール3に布帛CLを巻き掛けて送りロール3を回転駆動するものとしたが、本発明は、前記布帛CLの送給する構成については、回転駆動される送給ロールと該送給ロールに押接されるように設けられて送給ロールの回転に従動して回転する従動ロールとを備え、これら一対のロールによって挟持して布帛CLを送給する構成としてもよい。なお、この構成の場合、送りロール3に対する布帛CLの巻掛け角の変化が布帛CLの送給量に影響を及ぼすことはないため、前記実施例の構成における送出側ガイドロール2を省略することができる。また、この構成の場合、本発明は、必ずしも前記実施例のように布帛CLが送給ロール(送りロール3)に巻き掛けられている必要はなく、直線的な布帛CLの経路中に送給ロール及び従動ロールが設けられる構成とすることも可能である。
【0097】
因みに、布帛CLに送り動作を与えるべく印刷部8よりも下流側で布帛CLを牽引する(送る)構成(前記実施例ではフィードロール5)は、印刷済みの布帛CLに接触するものであるため、前記実施例のフィードロール5のように、布帛CLの非印刷面にのみ接触して布帛CLを牽引するものとした方が、印刷面に接触して布帛CLを牽引するものよりも好ましい。但し、布帛CLの印刷面が十分に乾燥していれば、一対のロールで挟持して布帛CLを牽引する構成としても印刷面に対する影響は小さいため、乾燥装置等を備える場合には、本発明は、前記実施例のフィードロール5に代えて、一対のロールで印刷済みの布帛CLを挟持して牽引する構成としてもよい。
【0098】
また、前記実施例は、送給ロール(送りロール3)を回転駆動する送出モータM1、及びフィードロール5を回転駆動する駆動モータM3を駆動するための速度パターンについて、加速期間における加速度及び減速期間における減速度を各期間に亘って一定(等加速度、等減速度)としたが、前記各モータM1、M3の速度パターンは、これに限らず、例えば、各モータに掛かる負荷等を考慮し、加速期間及び減速期間の初期及び、或いは又は終期における加速度及び減速度を小さくする等、適宜に変更可能である。
【0099】
更に、前記実施例は、前記のように加速期間における加速度を等加速度とした上で、送り動作初期における布帛CLの張力上昇を抑制するために、送出モータM1及び駆動モータM3の各駆動における加速期間での加速度を、送出モータM1の方が大きくなるように記憶器41aに設定しているが、これについて、例えば、送り動作の初期においてのみ送出モータM1の加速度が大きくなるように、送出モータM1を駆動するための速度パターンを、加速期間の前半における加速度が駆動モータM3の加速度よりも大きく、後半における加速度が駆動モータM3の加速度と同じとなるようなものとしてもよい。
【0100】
また、前記の送り動作初期における布帛CLの張力上昇を抑制するための構成について、前記実施例のように加速度を異ならせるものに代えて、本発明は、前記加速度については同じとし、送給ロールの回転駆動(送出モータM1の駆動)の開始時期をフィードロール5の回転駆動(駆動モータM3の駆動)の開始時期よりも先行させるようにしてもよい。具体的には、印刷動作制御器41からの送り動作指令信号が入力された時点に対する前記開始時期を規定するために記憶器41aに設定される設定時間(前記実施例における
図6の設定時間t1)を、送給ロールの回転駆動用とフィードロール5の回転駆動用とで異なる設定時間であって、送給ロールの回転駆動用方が短い設定時間としてもよい。そして、これによっても前記実施例と同様の効果が得られる。また、前記加速度及び前記設定時間を共に異ならせて適宜に設定されたものとしてもよい。
【0101】
また、送出モータM1用の速度パターンの補正について、前記実施例は、その補正にあたり加速度及び減速度については変更しないことを条件としたが、これに代えて、本発明は、動作時間が変更されないように加速度及び、或いは又は減速度が変更されるようにしてもよい。
【0102】
また、前記実施例は、本発明における駆動制御装置に備えられる記憶器41aを印刷動作制御器41に備えるものとしたが、これに代えて、本発明は、前記実施例における駆動制御器43に備えるものとしてもよい。この場合は、前記の設定値等を入力・設定するための入力設定器42は、この駆動制御器43(記憶器41a)にも接続される構成となる。
【0103】
また、前記実施例における駆動制御器43に備えられた速度パターン発生器47は、前記実施例のように送出制御部44及び布帛送り制御部45に共通のものに限らず、送出制御部44及び布帛送り制御部45にそれぞれ別個に備えるものとしてもよい。そして、この場合において、前記実施例は、作成された速度パターンの補正を送出制御部44が行うものとしたが、これに代えて、本発明は、比較器44bと駆動指令器44cとの間に介装された速度パターン発生器47が前記補正を行うものとしてもよい。
【0104】
また、比較器44bにおいて比較される検出張力値については、前記実施例は、送り動作指令信号が入力された時点を終点とする所定期間における複数の張力検出値の平均値(平均張力値(Ta))としたが、これに代えて、本発明は、送り動作指令信号が入力された時点における張力検出値としてもよい。
【0105】
また、前記実施例は、送り動作に伴う送出モータM1の駆動が開始される直前(印刷動作制御器41から送り動作指令信号が出力された時点)で、検出張力値(平均張力値(Ta))と目標張力値(T0)との比較及びその比較に基づく偏差信号の出力を行い、その偏差信号に基づき、送り動作に伴う送給ロール(送りロール3)の回転駆動のための速度パターンを補正するものとしたが、これに代えて、本発明は、送り動作時以外の時期において、前記の比較及び偏差信号の出力を行い、その偏差信号に基づき、停止状態にある送出モータM1を、偏差を解消する方向に回転駆動する駆動制御を実行するものとしてもよい。具体的には、次の通りである。
【0106】
先ず、張力検出器44aは、予め設定された所定の検出周期毎に、ロードセルアンプ48からの張力信号(T)を張力の検出値として検出し、その検出毎にその検出値を検出張力値として比較器44bへ向けて出力する。そして、比較器44bは、検出張力値の入力毎、すなわち、張力の検出周期毎に、検出張力値と目標張力値とを比較し、偏差信号を駆動指令器44cへ向けて出力する。
【0107】
その結果として、駆動指令器44cは、その偏差信号に基づき、検出張力値と目標張力値との間に偏差が生じている場合(偏差が0でない場合)には、その偏差を解消する方向へ送出モータM1を駆動するための位置指令(パルス信号)を出力する。なお、このときの送出モータM1の駆動量(回転量)については、前記偏差の大きさに応じて求められたものであってもよいし、予め設定された所定量であってもよい。
【0108】
これにより、布帛CLの実際の張力(張力検出値)が目標の張力(目標張力値)と異なっている場合には、その張力を目標の張力に近づけるように送給ローラ(送出モータM1)を回転させる布帛CLの張力調整が行われる。このように、送り動作以外において、布帛CLの張力検出毎にリアルタイムに布帛CLの張力調整を行うことにより、布帛CLの送り動作の開始時点においては、布帛CLの張力は、目標の張力にほぼ一致したものとなる。従って、この場合に、本発明は、前記実施例のように送出モータを駆動するための前記の基本速度パターンに対し補正を加えることを省略することができ、フィードロール5(駆動モータM3)の回転駆動と同様に、送給ロール(送出モータM1)を前記基本速度パターンに従って回転駆動すればよいものとなる。
【0109】
なお、以上のような送出モータM1の駆動制御によるリアルタイムでの布帛CLの張力調整について、設定される検出周期が短い場合には、本発明は、前記のような張力検出毎ではなく、所定の複数回の張力検出が行われる毎に、すなわち、2以上の張力検出を含む所定の期間毎に、前記送出モータM1の駆動制御を行うようにしてもよい。但し、その場合において、目標張力値との比較に用いる検出張力値は、前記の所定の期間中に得られた複数の張力の検出値を平均したものであってもよいし、最新(送出モータM1の駆動制御を実行する直近)の検出値のみであってもよい。
【0110】
また、本発明は、前記実施例の構成、すなわち、布帛CLの送り動作に伴う送出モータM1の駆動において検出張力値と目標張力値との偏差に応じて送出モータM1を駆動するための基本速度パターンに補正を加える構成を、前記では省略可能であるとしたが、前記のような送り動作時以外の時期におけるリアルタイムでの布帛CLの張力調整を、前記実施例の構成と合せて行うものとしてもよい。
【0111】
また、本発明は、前記実施例のように布帛CLの送り動作に合せて速度パターンに従って送出モータM1の駆動を制御するものとはせず、前記のリアルタイムでの布帛CLの張力調整のみ、すなわち、送出モータM1の駆動の制御を張力検出値に基づくもののみとしてもよい。
【0112】
なお、本発明は、以上で説明した実施形態(実施例)に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。