【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ポリエステル系樹脂を含有する表裏層と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層とが、接着層を介して積層されてなる熱収縮性多層フィルムであって、前記接着層は、ポリスチレン系樹脂を
25〜65重量%、及び、ポリエステル系エラストマーを35〜
75重量%含有する熱収縮性多層フィルムである。
以下、本発明を詳述する。
【0012】
本発明者らは、ポリエステル系樹脂を含有する表裏層と、ポリスチレン系樹脂を含有する中間層とを、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系エラストマーとを所定の混合比で含有する接着層を介して積層することで、常温のみならず低温環境下においても、各層間の接着強度(以下、層間強度ともいう。)を高めることができ、かつ、折り目部分に白色スジが残りにくい熱収縮性多層フィルムが得られることを見出した。このような接着性及び折り目白化の防止性に優れた熱収縮性多層フィルムは、ペットボトル等の容器の熱収縮性ラベルに用いられる場合にも好適に用いられる。
本明細書中において、「常温」とは18〜28℃をいい、「低温」とは0〜10℃をいう。
【0013】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、表裏層と中間層とを有する。
なお、本明細書中、表裏層とは、表面層と裏面層との両方を意味する。従って、本発明の熱収縮性多層フィルムは、中間層が表面層と裏面層とに挟まれた構造を有する。
【0014】
上記表裏層は、ポリエステル系樹脂を含有する。
上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分とを縮重合させることにより得られるものが挙げられる。特に上記ジカルボン酸成分として、ジカルボン酸成分100モル%のうち、テレフタル酸が55モル%以上である芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。さらに上記ジカルボン酸成分として、上記テレフタル酸以外に、o−フタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等を含むことができる。
【0015】
上記ジオール成分としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール類等が挙げられる。
【0016】
上記ポリエステル系樹脂としては、なかでも、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有し、かつ、ジオール成分としてエチレングリコール及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を含有するものが好ましい。このような芳香族ポリエステル系ランダム共重合樹脂を用いることにより、熱収縮性多層フィルムに優れた収縮性を付与することができる。
収縮性をより高めたい場合には、ジオール成分100モル%のうち、エチレングリコールに由来する成分の含有量が60〜80モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分の含有量が10〜40モル%であるものを用いることが好ましい。
【0017】
このような芳香族ポリエステル系ランダム共重合樹脂は、更に、ジエチレングリコールに由来する成分を0〜30モル%、好ましくは1〜25モル%、より好ましくは2〜20モル%含有していてもよい。ジエチレングリコールを用いることにより、熱収縮性多層フィルムの主収縮方向の引張破断伸度が高まり、ミシン目を裂いたときに層間剥離が生じて内面側の表裏層のみが容器に残ってしまうことを防止することができる。ジエチレングリコールに由来する成分が30モル%を超えると、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性が高くなり過ぎ、容器に装着するときにシワが入りやすくなる。
【0018】
また、上記ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有するポリエステル系樹脂は、ジオール成分として1,4−ブタンジオールに由来する成分を含有するものを用いることもできる。このようなポリエステル系樹脂は、一般に、ポリブチレンテレフタレート系樹脂と呼ばれる。
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、上記ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含有し、かつ、ジオール成分としてエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を含有する芳香族ポリエステル系ランダム共重合樹脂と、併用されることが好ましい。このような混合樹脂を用いることでより優れた仕上り性を付与することができる。
【0019】
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂としては、テレフタル酸に由来する成分と1,4−ブタンジオールに由来する成分のみからなるポリブチレンテレフタレート系樹脂のほか、テレフタル酸に由来する成分以外のジカルボン酸成分及び/又は1,4−ブタンジオールに由来する成分以外のジオール成分を含有するポリブチレンテレフタレート系樹脂であってもよい。
なお、上記テレフタル酸に由来する成分以外のジカルボン酸成分の含有量は、ジカルボン酸成分100モル%のうち、10モル%以下であることが好ましい。10モル%を超えると、上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の耐熱性が低下し、経済的にも不利となることがある。また、上記1,4−ブタンジオールに由来する成分以外のジオール成分の含有量は、ジオール成分100モル%のうち、10モル%以下であることが好ましい。10モル%を超えると、上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の耐熱性が低下し、経済的にも不利となることがある。
【0020】
上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂の添加量として特に限定されないが、30重量%以下であることが望ましい。30重量%を超えると自然収縮率が大きくなったり、フィルムの剛性が低下したりする場合がある。
【0021】
上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂のビカット軟化温度の好ましい下限は55℃、好ましい上限は95℃である。上記ビカット軟化温度が55℃未満であると、熱収縮性多層フィルムの収縮開始温度が低くなりすぎたり、自然収縮率が大きくなったりすることがある。上記ビカット軟化温度が95℃を超えると、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性及び収縮仕上り性が低下したり、経時での低温収縮性の低下が大きくなったりすることがある。上記ビカット軟化温度のより好ましい下限は60℃、より好ましい上限は90℃である。
なお、上記ビカット軟化温度は、JIS K 7206(1999)に準拠した方法で測定することができる。
【0022】
上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂の引張弾性率の好ましい下限は1000MPaを超え、好ましい上限は4000MPaである。上記引張弾性率が1000MPa以下であると熱収縮性フィルムの収縮開始温度が低くなりすぎたり、自然収縮率が大きくなったりすることがある。上記引張弾性率が4000MPaを超えると、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性及び収縮仕上り性が低下したり、経時での低温収縮性の低下が大きくなったりすることがある。上記引張弾性率のより好ましい下限は1500MPa、より好ましい上限は3700MPaである。
なお、上記引張弾性率は、ASTM−D882(TestA)に準拠した方法で測定することができる。
【0023】
上記表裏層を構成するポリエステル系樹脂の市販品としては、例えば、「Easter」、「EmbraceLv」(イーストマンケミカル社製)、「ベルペット」(ベルポリエステルプロダクツ社製)、「ノバデュラン」(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)等が挙げられる。
【0024】
上記表裏層に含まれるポリエステル系樹脂としては、上述した組成を有するポリエステル系樹脂を単独で用いてもよく、上述した組成を有する2種以上のポリエステル系樹脂を併用してもよい。また、上記ポリエステル系樹脂は、表面層と裏面層とで異なる組成を有するポリエステル系樹脂であってもよいが、フィルムのカール等によるトラブルを抑制するため、同一の組成を有するポリエステル系樹脂であることが好ましい。
【0025】
上記表裏層は、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。
【0026】
上記中間層は、ポリスチレン系樹脂を含有する。
上記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体と芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン等が挙げられる。上記ポリスチレン系樹脂を用いることで、本発明の熱収縮性多層フィルムは低温から収縮を開始することができ、また、高収縮性を有する。
【0027】
本明細書中、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体とは、芳香族ビニル炭化水素に由来する成分と、共役ジエンに由来する成分とを含有する共重合体をいう。
上記芳香族ビニル炭化水素は特に限定されず、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記共役ジエンは特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0028】
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体は、特に熱収縮性に優れることから、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS樹脂)を含有することが好ましい。また、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体は、よりフィッシュアイの少ない熱収縮性多層フィルムを作製するためには、上記共役ジエンとして2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)を用いたスチレン−イソプレン共重合体(SIS樹脂)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体(SIBS)等を含有することが好ましい。
なお、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体は、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちのいずれか1つを単独で含有してもよく、複数を組み合わせて含有してもよい。また、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちの複数を用いる場合には、各樹脂をドライブレンドしてもよく、各樹脂を特定の組成にて押出機を用いて練り上げペレタイズしたコンパウンド樹脂を用いてもよい。
【0029】
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体がSBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂を単独又は複数で含有する場合には、特に熱収縮性に優れた熱収縮性多層フィルムが得られることから、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体100重量%に占めるスチレン含有量が65〜90重量%、共役ジエン含有量が10〜35重量%であることが好ましい。上記スチレン含有量が90重量%を超えるか、上記共役ジエン含有量が10重量%未満であると、熱収縮性多層フィルムにテンションをかけたときに切れ易くなったり、印刷等の加工時に思いもよらず破断したりすることがある。上記スチレン含有量が65重量%未満であるか、上記共役ジエン含有量が35重量%を超えると、成形加工時にゲル等の異物が発生しやすくなったり、熱収縮性多層フィルムの腰が弱くなったりして、取り扱い性が悪化することがある。
【0030】
本明細書中、芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体とは、芳香族ビニル炭化水素に由来する成分と、脂肪族不飽和カルボン酸エステルに由来する成分とを含有する共重合体をいう。
上記芳香族ビニル炭化水素は特に限定されず、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体において例示した芳香族ビニル炭化水素と同様の芳香族ビニル炭化水素を用いることができる。上記脂肪族不飽和カルボン酸エステルは特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとの両方を示す。
【0031】
上記芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体として、スチレン−ブチルアクリレート共重合体を用いる場合には、上記スチレン−ブチルアクリレート共重合体100重量%に占めるスチレン含有量が60〜90重量%、ブチルアクリレート含有量が10〜40重量%であることが好ましい。このような組成の芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体を用いることで、熱収縮性に優れた熱収縮性多層フィルムを得ることができる。
【0032】
上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体と上記芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体との混合樹脂は特に限定されないが、上記芳香族ビニル炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体の含有量が80重量%以下である混合樹脂であることが好ましい。
【0033】
上記ゴム変性耐衝撃性ポリスチレンとは、スチレン、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルの3元共重合体からなる連続相と、共役ジエンを主体とするゴム成分からなる分散相とで構成されるものを基本とするものである。
【0034】
上記連続相を形成するメタクリル酸アルキルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が、アクリル酸アルキルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。
上記連続相を形成する共重合体中のスチレンの割合は20〜80重量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましい。メタクリル酸アルキルの割合は10〜50重量%が好ましく、15〜40重量%がより好ましい。アクリル酸アルキルの割合は1〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。
【0035】
上記分散相を形成する共役ジエンを主体とするゴム成分としては、ポリブタジエン、又は、スチレン含有量が5〜30重量%のスチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。
上記分散相を形成する共役ジエンを主体とするゴム成分の粒子径は0.1〜1.2μmであることが好ましく、更に好ましくは0.3〜0.8μmである。粒子径が0.1μmを下回ると、上記ゴム変性耐衝撃性ポリスチレンの耐衝撃性が不充分となることがあり、1.2μmを上回ると、上記中間層の透明性が低下することがある。
【0036】
上記ゴム変性耐衝撃性ポリスチレンにおいて、スチレン、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルの3元共重合体からなる連続相の割合は70〜95重量%、共役ジエンを主体とするゴム成分からなる分散相の割合は5〜20重量%が好ましい。上記分散相の割合が5重量%を下回ると、上記ゴム変性耐衝撃性ポリスチレンの耐衝撃性が不充分となることがあり、20重量%を上回ると、上記中間層の透明性が低下することがある。
【0037】
上記ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度の好ましい下限は60℃、好ましい上限は85℃である。上記ビカット軟化温度が60℃未満であると、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性が高くなり過ぎ、容器に装着するときにシワが入りやすくなる。上記ビカット軟化温度が85℃を超えると、熱収縮性多層フィルムの低温収縮性が低下し、容器に装着するときに未収縮部分が発生しやすくなる。上記ビカット軟化温度のより好ましい下限は65℃、より好ましい上限は80℃である。なお、上記ビカット軟化温度は、JIS K 7206(1999)に準拠した方法で測定することができる。
【0038】
上記ポリスチレン系樹脂の200℃でのMFR(melt flow rate)の好ましい下限は2g/10分、好ましい上限は15g/10分である。200℃でのMFRが2g/10分未満であると、フィルムの製膜が難しくなる。200℃でのMFRが15g/10分を超えると、フィルムの機械的強度が低くなり、実用に耐えられなくなる。200℃でのMFRのより好ましい下限は4g/10分、より好ましい上限は12g/10分である。なお、MFRは、ISO1133に準拠した方法で測定することができる。
【0039】
上記中間層を構成するポリスチレン系樹脂の市販品としては、例えば、「クリアレン」(電気化学工業社製)、「アサフレックス」(旭化成ケミカルズ社製)、「Styrolux」(BASF社製)、「PSJ−ポリスチレン」(PSジャパン社製)等が挙げられる。
【0040】
上記中間層は、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。
【0041】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、上記表裏層と上記中間層とが、ポリスチレン系樹脂を20〜65重量%、及び、ポリエステル系エラストマーを35〜80重量%含有する接着層を介して積層されてなるものである。
このような接着層を用いることで、常温のみならず低温においても、熱収縮性多層フィルムの各層間の接着強度を高めることができるとともに、熱収縮性多層フィルムを折り曲げたときに折り目部分に生じる白色スジを抑制することができる。
【0042】
上記接着層に用いられるポリスチレン系樹脂としては、上述した中間層に用いられるポリスチレン系樹脂と同様のものを使用してもよく、別のものを使用してもよい。別のものを使用する場合には、中間層に用いられるポリスチレン系樹脂より軟質のものが好ましい。
【0043】
上記接着層に用いられるポリスチレン系樹脂としては、特に接着性に優れることから、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体を含有することが好ましく、特に、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS樹脂)を含有することが好ましい。また、より接着性に優れる熱収縮性多層フィルムを作製するためには、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体の共役ジエンとして2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)を用いたスチレン−イソプレン共重合体(SIS樹脂)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体(SIBS)等を含有することが好ましい。
なお、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体は、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちのいずれか1つを単独で含有してもよく、複数を組み合わせて含有してもよい。また、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂のうちの複数を用いる場合には、各樹脂をドライブレンドしてもよく、各樹脂を特定の組成にて押出機を用いて練り上げペレタイズしたコンパウンド樹脂を用いてもよい。
【0044】
上記ポリスチレン系樹脂が芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体であり、SBS樹脂、SIS樹脂及びSIBS樹脂を単独又は複数で含有する場合には、特に各層間の接着強度に優れた熱収縮性多層フィルムが得られることから、上記芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体100重量%に占めるスチレン含有量が50〜90重量%、共役ジエン含有量が10〜50重量%であることが好ましい。上記スチレン含有量が50重量%未満であるか、上記共役ジエン含有量が50重量%を超えると、成形加工時にゲル等の異物が発生しやすくなったりすることがある。上記スチレン含有量が90重量%を超えるか、上記共役ジエン含有量が10重量%を下回ると、各層間の接着強度が低下しやすくなる。
【0045】
上記接着層に用いられるポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度の好ましい下限は55℃、好ましい上限は85℃である。上記ビカット軟化温度が55℃未満であると、熱収縮性多層フィルムは、容器に装着するときの加熱により各層間での層間剥離が生じやすくなる。上記ビカット軟化温度が85℃を超えると、熱収縮性多層フィルムの接着強度が低下しやすくなる。上記ビカット軟化温度のより好ましい下限は60℃、更に好ましい下限は65℃、特に好ましい下限は70℃、より好ましい上限は80℃である。なお、上記ビカット軟化温度は、JIS K 7206(1999)に準拠した方法で測定することができる。
【0046】
上記接着層に用いられるポリスチレン系樹脂の200℃でのMFR(melt flow rate)の好ましい下限は2g/10分、好ましい上限は15g/10分である。200℃でのMFRが2g/10分未満であると、連続生産工程において押出機内で樹脂が滞留し、ゲル等の異物が発生し易くなる。200℃でのMFRが15g/10分を超えると、製膜工程において圧力が十分にかからず、厚み変動が大きくなり易くなる。200℃でのMFRのより好ましい下限は4g/10分、より好ましい上限は12g/10分である。なお、MFRは、ISO1133に準拠した方法で測定することができる。
【0047】
上記接着層において、上記ポリスチレン系樹脂の含有量は下限が20重量%、上限が65重量%である。
上記ポリスチレン系樹脂の含有量が20重量%未満であると、熱収縮性ラベルを作製するためにフィルムが強く折られた場合に、折り目部分に白色スジが残り、フィルムの外観が損なわれる。上記ポリスチレン系樹脂の含有量が65重量%を超えると、低温で充分な層間強度が得られず、実使用時において層間剥離が発生しやすくなる。上記ポリスチレン系樹脂の含有量の好ましい下限は25重量%、より好ましい下限は30重量%、好ましい上限は60重量%、より好ましい上限は55重量%、特に好ましい上限は49重量%である。
【0048】
上記ポリエステル系エラストマーとは、ハードセグメントであるポリエステルと、ゴム弾性に富むソフトセグメントであるポリエーテル又はポリエステルとから構成されるものであり、具体的には例えば、ハードセグメントとしての芳香族ポリエステルと、ソフトセグメントとしての脂肪族ポリエーテルとからなるブロック共重合体、又はハードセグメントとしての芳香族ポリエステルと、ソフトセグメントとしての脂肪族ポリエステルとからなるブロック共重合体等が挙げられ、飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましく、特に、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系エラストマーであることが好ましい。
上記ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する飽和ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとしての芳香族ポリエステルと、ソフトセグメントとしてのポリアルキレンエーテルグリコールとからなるブロック共重合体が好ましい。
【0049】
上記ポリエステル系エラストマーとして、芳香族ポリエステルとポリアルキレンエーテルグリコールとからなるブロック共重合体を用いる場合、ポリアルキレンエーテルグリコールからなるセグメントの割合は、好ましい下限が5重量%、好ましい上限が90重量%である。5重量%未満であると、中間層との接着性が低下し、90重量%を超えると、表裏層に対する接着性が低下する。より好ましい下限は30重量%、より好ましい上限は80重量%であり、更に好ましい下限は55重量%である。
【0050】
上記ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール等が挙げられる。
【0051】
上記ポリアルキレンエーテルグリコールの数平均分子量の好ましい下限は400、好ましい上限は6000である。より好ましい下限は600、より好ましい上限は4000、更に好ましい下限は1000、更に好ましい上限は3000である。上記範囲内の数平均分子量を有するポリアルキレンエーテルグリコールを用いることにより、良好な層間強度を得ることができ好ましい。なお、本明細書において、数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたもののことをいう。
【0052】
上記ポリエステル系エラストマーを作製する方法としては特に限定されないが、例えば、(i)炭素数2〜12の脂肪族及び/又は脂環式ジオールと、(ii)芳香族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸又はそれらのエステルと、(iii)数平均分子量が400〜6000のポリアルキレンエーテルグリコールとを原料とし、エステル化反応又はエステル交換反応によりオリゴマーを得た後、更に、オリゴマーを重縮合させることにより、作製することができる。
【0053】
上記炭素数2〜12の脂肪族及び/又は脂環式ジオールとしては、例えば、ポリエステルの原料、特に、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの原料として常用されているものが使用できる。具体的には例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのなかでは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールが好ましく、1,4−ブタンジオールがより好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】
上記芳香族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸としては、例えば、ポリエステルの原料、特にポリエステル系熱可塑性エラストマーの原料として常用されているものが使用できる。具体的には例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。これらのなかでは、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
上記ポリエステル系エラストマーのうち市販されているものとしては、例えば、商品名「プリマロイ」(三菱化学社製)、商品名「ペルプレン」(東洋紡績社製)、商品名「ハイトレル」(東レ・デュポン社製)等が挙げられる。
【0056】
上記ポリステル系エラストマーの融点は、120〜200℃であることが好ましい。120℃未満であると耐熱性が低下し、熱収縮性ラベルとして容器に被覆させる際に溶剤シール部分から剥離が発生し易くなり、200℃を超えると充分な接着強度が得られない場合がある。より好ましい下限は130℃、より好ましい上限は190℃である。
なお、上記融点は示差走査熱量計(島津製作所社製、DSC−60)を用いて、昇温速度0℃/分の条件で測定することが出来る。
【0057】
上記ポリエステル系エラストマーの融点はハードセグメントであるポリエステルと、ソフトセグメントであるポリエーテル又はポリエステルの共重合比率や構造に起因する。一般的にポリエステル系エラストマーの融点はソフトセグメントであるポリエーテル又はポリエステルの共重合量に依存しやすく、ポリエーテル又はポリエステルの共重合量が多いと融点が低く、少ないと融点が高くなる。
また、ポリエステル系エラストマーを構成するハードセグメントであるポリエステルの融点を共重合成分の変更により調整し、ポリエステル系エラストマー全体の融点を調整することが出来る。
また、ソフトセグメントであるポリエーテル又はポリエステルの分子量が小さくなると得られるポリエステル系エラストマーのブロック性が低下するため融点が低下しやすくなる。
【0058】
上記ポリエステル系エラストマーのJIS−D硬度の好ましい下限は10、好ましい上限は80である。JIS−D硬度を10以上とすることで、上記接着層の機械的強度が向上する。JIS−D硬度を80以下とすることで、上記接着層の柔軟性及び耐衝撃性が向上する。JIS−D硬度のより好ましい下限は15、より好ましい上限は70、更に好ましい下限は20、更に好ましい上限は60である。
なお、上記JIS−D硬度は、JIS K 6253に準拠した方法でデュロメータ タイプDを用いることにより測定することができる。
【0059】
上記ポリエステル系エラストマーの比重の好ましい下限は0.95、好ましい上限は1.20である。比重を0.95以上とすることで耐熱性を付与でき、熱収縮性ラベルとして容器に被覆させる際に溶剤シール部分からの剥離を抑制することができる。また、比重を1.20以下にすることで表裏層と中間層との接着強度を高めることができる。
上記比重のより好ましい下限は0.98、より好ましい上限は1.18である。
なお、上記比重はJIS K 7112(1999)に準拠した方法で水中置換法を用いて測定することが出来る。
【0060】
上記接着層を構成するポリエステル系エラストマーの引張弾性率の好ましい下限は1MPa、好ましい上限は1000MPaである。上記引張弾性率が1MPa未満であると上記接着層の機械的強度が低下しやすくなる。上記引張弾性率が1000MPaを超えると、表裏層と中間層との接着強度が低下しやすくなる。上記引張弾性率のより好ましい下限は5MPa、より好ましい上限は900MPaである。なお、上記引張弾性率は、ASTM−882(TestA)に準拠した方法で測定することができる。
【0061】
上記ポリエステル系エラストマーは、変性物であってもよい。変性物としては、上記ポリエステル系エラストマーに、例えば、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸をグラフトして変性したポリエステル系エラストマーを例示できる。
上記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の不飽和カルボン酸;コハク酸2−オクテン−1−イル無水物、コハク酸2−ドデセン−1−イル無水物、コハク酸2−オクタデセン−1−イル無水物、マレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、endo−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物が挙げられる。これらのなかでは、反応性が高いことから、酸無水物が好ましい。
【0062】
上記接着層において、上記ポリエステル系エラストマーの含有量は下限が35重量%、上限が80重量%である。
上記ポリエステル系エラストマーの含有量が35重量%未満であると、低温で十分な層間強度が得られず、実使用時において層間剥離現象が発生しやすくなる。上記ポリエステル系エラストマーの含有量が80重量%を超えると、フィルムが強く折られた際に、折り目部分に白色スジが残り、フィルムの外観が損なわれる。上記ポリエステル系エラストマーの含有量の好ましい下限は40重量%、更に好ましい下限は45重量%、特に好ましい下限は51重量%、好ましい上限は75重量%、更に好ましい上限は70重量%である。
【0063】
上記接着層は、必要に応じて酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。
【0064】
本発明の熱収縮性多層フィルム全体の厚さは、好ましい下限が10μm、好ましい上限が100μmであり、より好ましい下限が15μm、より好ましい上限が80μmであり、更に好ましい下限が20μm、更に好ましい上限が70μmである。熱収縮性多層フィルム全体の厚さが上記範囲内であると、優れた熱収縮性、印刷又はセンターシール等の優れたコンバーティング性、優れた装着性が得られる。
また、本発明の熱収縮性多層フィルムにおいて、上記表裏層の厚さは、熱収縮性多層フィルム全体の厚みに対する好ましい下限が5%、好ましい上限が25%であり、上記中間層の厚さは、熱収縮性多層フィルム全体の厚みに対する好ましい下限が50%、好ましい上限が90%である。上記表裏層及び上記中間層の厚さが上記範囲内であると、高い層間強度、高い透明性等が得られる。
【0065】
本発明の熱収縮性多層フィルムにおいて、上記接着層の厚さは、好ましい下限が0.3μm、好ましい上限が3.0μmである。上記接着層の厚さが0.3μm未満であると、上記接着層は充分な接着性が得られないことがある。上記接着層の厚さが3.0μmを超えると、熱収縮性多層フィルムの熱収縮特性、光学特性が悪化することがある。上記接着層の厚さのより好ましい下限は0.5μm、より好ましい上限は2.0μmである。
なお、上記接着層の厚さ分を差し引いて上記表裏層及び上記中間層の厚さを調整することにより、熱収縮性多層フィルム全体の厚さを調整することができる。
【0066】
また、例えば、本発明の熱収縮性多層フィルムが表面層(A)/接着層(E)/中間層(B)/接着層(E)/裏面層(C)の5層構造であり、熱収縮性多層フィルム全体の厚さが40μmである場合、上記表面層(A)及び上記裏面層(C)の厚さは、それぞれ、2.0〜10.0μmであることが好ましく、3.0〜8.0μmであることがより好ましい。また、上記接着層(E)の厚さは、0.3〜3.0μmであることが好ましく、0.5〜2.0μmであることがより好ましい。また、上記中間層(B)の厚さは、19.0〜35.4μmであることが好ましく、20.0〜33.0μmであることがより好ましい。
【0067】
本発明の熱収縮性多層フィルムにおいて、主収縮方向における収縮率は70℃10秒間において好ましくは5〜50%、より好ましくは8〜47%、更に好ましくは10〜45%、特に好ましくは15〜45%、80℃10秒間において好ましくは35〜70%、より好ましくは38〜69%、更に好ましくは41〜68%、特に好ましくは43〜67%、沸騰水10秒間において好ましくは65〜85%、より好ましくは68〜83%、更に好ましくは70〜82%である。このような収縮率とすることにより、熱風トンネル、スチームトンネルにて優れた収縮仕上がり性を付与出来る。
【0068】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、主収縮方向(TD方向)と直交する方向(MD方向)の常温での層間強度が0.50〜2.00N/10mmであることが好ましい。上記層間強度が0.50N/10mm未満であると、熱収縮性ラベルを容器に被せる時に層間剥離が発生することがある。上記層間強度のより好ましい下限は0.60N/10mm、更に好ましい下限は0.70N/10mmである。
また、本発明の熱収縮性多層フィルムは、主収縮方向(TD方向)の層間強度が0.50〜2.00N/10mmであることが好ましい。上記層間強度が0.50N/10mm未満であると、容器にラベルを被覆しダンボール輸送をした際に磨耗により層間剥離が発生することがある。上記層間強度のより好ましい下限は0.60N/10mm、更に好ましい下限は0.70N/10mmである。
【0069】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、主収縮方向(TD方向)の低温での層間強度が0.50〜2.00N/10mmであることが好ましい。上記層間強度が0.50N/10mm未満であると、低温でラベルを装着機に掛けた際に層間剥離が発生したり、容器にラベルを被覆し低温でダンボール輸送をした際に磨耗により層間剥離が発生することがある。上記層間強度のより好ましい下限は0.60N/10mm、更に好ましい下限は0.70N/10mmである。
なお、上記層間強度は、例えば、測定サンプルについて、MD方向、TD方向に層間を180度方向に剥離させたときの層間強度を剥離試験機やオートグラフを用いて測定することができる。
【0070】
本発明の熱収縮性多層フィルムを製造する方法は特に限定されないが、共押出法により各層を同時に成形する方法が好ましい。上記共押出法がTダイによる共押出である場合、積層の方法は、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式、又は、これらを併用した方法のいずれであってもよい。
【0071】
本発明の熱収縮性多層フィルムを製造する方法としては、具体的には、例えば、上記表裏層、上記中間層及び上記接着層を構成する原料をそれぞれ押出機に投入し、多層ダイスによりシート状に押出し、引き取りロールにて冷却固化した後、1軸又は2軸に延伸する方法が挙げられる。
上記延伸の方法としては、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法又はこれらの組み合わせを用いることができる。延伸温度はフィルムを構成する樹脂の軟化温度、熱収縮性多層フィルムに要求される収縮特性等に応じて変更されるが、好ましい下限は65℃、好ましい上限は120℃、より好ましい下限は70℃、より好ましい上限は115℃である。主収縮方向の延伸倍率はフィルムを構成する樹脂、延伸手段、延伸温度等に応じて変更されるが、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上であって、好ましくは7倍以下、より好ましくは6.5倍以下である。このような延伸温度及び延伸倍率とすることにより、優れた厚み精度を達成することができ、また、ミシン目を裂いたときに層間剥離が生じて内面側の表裏層のみが容器に残ってしまうことを防止することができる。
【0072】
本発明の熱収縮性多層フィルムの用途は特に限定されないが、本発明の熱収縮性多層フィルムは、層間強度が高く、容器装着後に重ね合わせ部分を引掻いたとき及びミシン目を裂いたときの層間剥離を抑制するとともに、透明性にも優れることから、例えば、ペットボトル、金属罐等の容器に装着される熱収縮性ラベルのベースフィルムとして好適に用いられる。本発明の熱収縮性多層フィルムを用いてなる熱収縮性ラベルもまた本発明の1つである。