特許第6077895号(P6077895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077895
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】ターニングローラ装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 37/047 20060101AFI20170130BHJP
   B23K 37/053 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B23K37/047 502
   B23K37/053 F
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-52777(P2013-52777)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-176876(P2014-176876A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000199854
【氏名又は名称】川重ファシリテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】福井 勇
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭47−46651(JP,B1)
【文献】 特開昭61−165229(JP,A)
【文献】 特開昭61−7095(JP,A)
【文献】 特開平9−271991(JP,A)
【文献】 実開平4−83494(JP,U)
【文献】 実開平7−21281(JP,U)
【文献】 特開昭54−115414(JP,A)
【文献】 米国特許第3480158(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第2537245(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 37/047
B23K 37/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のワークをその軸心周りに回動可能に支持するターニングローラ装置において、
架台と、この架台上に前記ワークの軸心と直交する水平方向に間隔を空けて配置された少なくとも1対のローラ機構とを備え、
前記1対のローラ機構は、
前記ワークの軸心と平行な軸心を有し且つこの軸心と直交する水平方向へ間隔を空けて配置された1対のローラ部材と、
一端部が架台側静止部材に前記ワークの軸心と平行な軸心回りに回動自在に支持された対称な1対の揺動アームであって、前記1対のローラ部材を夫々回転自在に支持する1対の揺動アームと、
前記1対の揺動アームの他端部又は途中部に夫々連結され且つ1対のローラ部材の高さ位置を夫々独立に調節可能な1対の駆動手段とを備えたことを特徴としている。
【請求項2】
前記1対のローラ機構の他に、この1対のローラ機構に対して前記ワークの軸心と平行方向へ間隔を空けて配置された1対のローラ機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載のターニングローラ装置
【請求項3】
前記揺動アームはへ字形に形成され、このへ字形の揺動アームの屈曲状の途中部に前記ローラ部材が回転自在に支持されたことを特徴とする請求項2に記載のターニングローラ装置。
【請求項4】
前記1対の駆動手段は、サーボポンプを含む油圧供給装置に接続された1対の油圧シリンダで構成されたことを特徴とする請求項3に記載のターニングローラ装置。
【請求項5】
前記1対の駆動手段は、1対の電動シリンダで構成されたことを特徴とする請求項1に記載のターニングローラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はターニングローラ装置に関し、特に円筒状のワークを軸心回りに回動可能に支持すると共に簡単な構造でもってワークの高さ位置及び水平方向位置を調節可能に構成したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2つの円筒状のワークを直列的に溶接接合する場合、通常、2つのワークを2組のターニングローラ装置上に夫々配置し、両ワークの開口端部同士を突き合わせ状態にし、両方又は一方のワークの高さ位置及び水平方向位置を調節して両ワークの軸心を一致させた状態にし、両ワークを低速で回転させながら全周に亙って溶接する。
【0003】
例えば、図7図8に示すターニングローラ装置は、架台300の前端側部分の上に装備された第1ターニングローラ装置100と、架台300の後半側部分の上に装備された第2ターニングローラ装置200を有する。第1,第2ターニングローラ装置100,200の上に夫々円筒形のワークW1,W2が載置される。第1,第2ターニングローラ装置100,200は同構造であるので、第1ターニングローラ装置100について説明する。
【0004】
第1ターニングローラ装置100は、ワークW1の軸心方向に間隔を空けて配置した2対のローラ機構101を有し、2対のローラ機構101における各対のローラ機構101においては、図8に示すように架台の内部に逆ねじのねじ軸部102a,102bを形成した一体の1本のねじ軸102を装備し、このねじ軸部102a,102bに夫々螺合させた1対のナットを1対のローラ支持部材103に夫々連結し、ローラ支持部材103に
ローラ部材104を回転自在に装備し、ねじ軸102を正転または逆転させることで、1対のローラ部材104を接近・離隔する方向へ移動させるように構成してある。各ローラ部材104を回転させる減速機付きモータ105も装備されている。
【0005】
特許文献1には、事業用ボイラ等の大口径管(円筒状のワーク)同士を溶接する為の大口径管胴合せ芯出し装置及びターニングローラ装置が記載されている。
2条のレールの一端側部分と他端側部分の上に芯出し装置とターニングローラ装置とが夫々配置され、芯出し装置によりワークの一端側部分の高さ位置及び水平方向位置を調節する。芯出し装置は、1対のレール上を遊転する1対の遊転ローラに支持した台車を備え、この台車に高さ調節機構と昇降案内機構を介してフレームを支持し、このフレームに1対の水平支持ローラを支持してある。
【0006】
フレームには、1対の水平支持ローラを水平方向に対称に接近・離隔するように位置調節する第1水平方向位置調節機構と、1対の水平支持ローラを一体的に左右方向へ位置調節する第2水平方向位置調節機構を設けてある。第1水平方向位置調節機構は、逆ねじを形成し手動にて回動させる一体の1対のねじ軸と、これらねじ軸に夫々螺合させたナットを介して1対の水平支持ローラを水平方向へ接近・離隔するように位置調節する。第2水平方向位置調節機構は1つのねじ軸を手動にて回動させることでフレームを左右方向へ位置調節する。
【0007】
前記高さ調節機構は、左右1対のスクリュージャッキを1つの減速機付きモータで駆動することでフレームを昇降して高さ位置を調節する。このとき、1対の案内機構によりフレームを昇降自在に案内する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−271991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図7図8に示す第1,第2ターニングローラ装置100,200では、ワークの径に応じて1対のローラ機構101の間隔を調節してワークを回転自在に支持することができる。しかし、1対のローラ機構101のローラ部材104の高さ位置が常に同じであるため、製作誤差等によりワークの断面形状が真円でない場合や断面非円形のワークの場合には、ワークの軸心の位置を所望の位置に調節することができない。
【0010】
特許文献1に記載の装置では、第1水平方向位置調節機構と、第2水平方向位置調節機構と、高さ位置調節機構を機能別の独立の機構で構成しているため、全体の構造が複雑化し、製作費も高価になる。
【0011】
しかも、1対の案内機構により、フレームを水平姿勢に保持したまま、昇降可能に案内する構造であるから、左右1対の水平支持ローラの高さ位置は常に同じ高さ位置になるため、製作誤差により断面が真円でないワークや断面非円形のワークの軸心を合せて溶接するような場合に支障が生じる。
【0012】
本発明の目的は、円筒状のワークを水平方向と上下方向とに位置調節可能な簡単な構造のターニングローラ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1のターニングローラ装置は、円筒状のワークをその軸心周りに回動可能に支持するターニングローラ装置において、架台と、この架台上に前記ワークの軸心と直交する水平方向に間隔を空けて配置された少なくとも1対のローラ機構とを備え、前記1対のローラ機構は、前記ワークの軸心と平行な軸心を有し且つこの軸心と直交する水平方向へ間隔を空けて配置された1対のローラ部材と、一端部が架台側静止部材に前記ワークの軸心と平行な軸心回りに回動自在に支持された対称な1対の揺動アームであって、前記1対のローラ部材を夫々回転自在に支持する1対の揺動アームと、前記1対の揺動アームの他端部又は途中部に夫々連結され且つ1対のローラ部材の高さ位置を夫々独立に調節可能な1対の駆動手段とを備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項2のターニングローラ装置は、請求項1の発明において、前記1対のローラ機構の他に、この1対のローラ機構に対して前記ワークの軸心と平行方向へ間隔を空けて配置された1対のローラ機構を設けたことを特徴としている。
【0015】
請求項3のターニングローラ装置は、請求項2の発明において、前記揺動アームはへ字形に形成され、このへ字形の揺動アームの屈曲状の途中部に前記ローラ部材が回転自在に支持されたことを特徴としている。
【0016】
請求項4のターニングローラ装置は、請求項3の発明において、前記1対の駆動手段は、サーボポンプを含む油圧供給装置に接続された1対の油圧シリンダで構成されたことを特徴としている。
【0017】
請求項5のターニングローラ装置は、請求項1の発明において、前記1対の駆動手段は、1対の電動シリンダで構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、1対のローラ機構を有し、この1対のローラ機構の1対のローラ部材は、一端部が架台側静止部材に回動自在に支持された1対の揺動アームに回転自在に支持され、これら1対の揺動アームの他端部又は途中部に連結され1対のローラ部材の高さ位置を夫々独立に調節可能な1対の駆動手段を設けたため、次の効果を奏する。
揺動アームを駆動手段により揺動させると、ローラ部材は円弧軌跡を描いて移動することになるから、高さ位置と水平方向位置とが変化する。
【0019】
そのため、1対の駆動手段により、1対の揺動アームを介して1対のローラ部材の高さ位置と水平方向位置を対称に、又は非対称に独立に変化させることができるから、1対のローラ部材に載置した円筒状のワークの高さ位置を上下方向に調節したり、水平方向位置を左側又は右側へ調節したりすることが可能である。
【0020】
そして、ワークの断面形状が真円形であっても、非真円形(例えば、楕円形)であっても、ワークの軸心の高さ位置、及び/又は水平方向位置を調節することができる。
しかも、ローラ機構は、ローラ部材と揺動アームと駆動手段を有する簡単な構成であるから、設置スペースも小さく、製作コストの面でも有利である。
【0021】
請求項2の発明によれば、1対のローラ機構の他に、この1対のローラ機構に対して前記ワークの軸心と平行方向へ間隔を空けて配置された1対のローラ機構を設けたので、1つのワークを2対のローラ機構で安定的に支持し、高さ位置及び/又は水平方向位置を調節することができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、揺動アームはへ字形に形成され、このへ字形の揺動アームの屈曲状の途中部にローラ部材が回転自在に支持されたので、駆動手段を小型化する上で有利である。
【0023】
請求項4の発明によれば、1対の駆動手段は、サーボポンプを含む油圧供給装置に接続された1対の油圧シリンダで構成されたので、油圧シリンダを採用しながら、ローラ部材の位置を精密に調節可能である。
【0024】
請求項5の発明によれば、1対の駆動手段は、1対の電動シリンダで構成されたので、駆動手段の構成が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例に係るターニングローラ装置の右側面図である。
図2】ターニングローラ装置の正面図である。
図3】第1ターニングローラ装置によりワークを左右方向に位置調節する状態を説明する説明図である。
図4】第1ターニングローラ装置によりワークを上下方向に位置調節する状態を説明する説明図である。
図5】非円形断面のワークの位置を調節する状態を説明する説明図である。
図6】ターニングローラ装置の制御系のブロック図である。
図7】従来技術に係るターニングローラ装置の側面図である。
図8図7のターニングローラ装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明の実施例に係るターニングローラ装置について図面に基づいて説明する。
図1図2に示すように、ターニングローラ装置1は、円筒状のワークを載置してワークの軸心周りに回動可能に支持する装置である。以下、図1における矢印Aを前方、矢印Bを後方、図2における矢印Cを左方、矢印Dを右方として説明する。
【0028】
このターニングローラ装置1は、ベース側の台部材である架台2の前半部の上に装備された第1ターニングローラ装置10と、架台の後半部の上に装備された第2ターニングローラ装置20とを備えている。第1,第2ターニングローラ装置10,20には夫々円筒形のワークW1,W2が載置される。
第1,第2ターニングローラ装置10,20は同じ構成のものであるので、以下、第1ターニングローラ装置10について説明する。
【0029】
第1ターニングローラ装置10は、ワークW1の軸心Xと平行方向(前後方向)へ適当な間隔を空けて配置され2対のローラ機構11を備えている。
【0030】
前記2対のローラ機構11における各対のローラ機構11は、1対のローラ部材12と、1対の揺動アーム13と、1対の駆動手段14と、1対の減速機付きモータ15とを備えている。1対のローラ部材12はワークW1の軸心Xと平行な軸心を有する。1対のローラ機構11と1対のローラ部材12は、前記軸心Xと直交する水平方向(左右方向)へ間隔を空けて配置されている。
【0031】
1対の揺動アーム13は、一端部(内端部)が架台側静止部材であるステー部材16の上端にワークW1の軸心Xと平行な軸心回りに回動自在に支持された対称な1対の揺動アーム13であり、1対のローラ部材12を夫々回転自在に支持している。
【0032】
各ステー部材16は、コラムステー16aと斜材ステー16bとを有し、それらの上端は連結され、それらの夫々の下端が架台2に固着されている。
各揺動アーム13はへ字形に形成され、このへ字形の揺動アーム13の屈曲状の途中部にローラ部材12が回転自在に支持されている。
【0033】
1対の駆動手段14は、1対の揺動アーム13の他端部(外端部)に夫々ワークW1の軸心Xと平行なピンを介して連結され、各駆動手段14により揺動アーム13の他端部の高さ位置を調節することで、ローラ部材12の位置(高さ位置、水平方向位置)を独立に調節可能に構成されている。
【0034】
各駆動手段14は、サーボポンプ43aを含む油圧供給装置43に接続された複動型油圧シリンダ14aで構成されている。油圧シリンダ14aの出力ロッドの先端に連結された連結金具14bが揺動アーム13の他端部に回動可能に連結されている(図6参照)。
1対の減速機付きモータ15は、1対のローラ部材12を夫々回転駆動するものであり、各モータ15の出力軸はローラ部材12を枢支する支軸に同軸状に配置されて連結されている。
【0035】
このターニングローラ装置1は、第1,第2ターニングローラ装置10,20によって、それらターニングローラ装置10,20に夫々載置した2つの円筒状のワークW1,W2 の軸心Xを一致する状態に、ワークW1,W2の位置(高さ位置、左右方向位置)を調節した状態で、ワークW1,W2を回転させながらワークW1,W2の突き合わせ端部同士を溶接装置30により溶接するための装置である。
【0036】
次に、ターニングローラ装置1の制御系について簡単に説明する。
図6に示すように、制御ユニット40と、操作盤41と、8つの油圧シリンダ14aの原点位置を夫々検出する8つの原点センサ42と、8つの油圧供給装置43と、8つの油圧シリンダ14aと、8つの減速機付きモータ44とが図示のように接続されている。
油圧供給装置43は、サーボボンプ43aとこれを駆動するサーボモータ43bとを備えている。減速機付きモータ15はローラ部材12を駆動するものである。制御ユニット40はマイクロコンピュータと、入出力インターフェイス(モータ駆動回路を含む)等で構成されている。
【0037】
この第1ターニングローラ装置10により、ワークW1の軸心Xの位置を調節する機能について説明する。図3に示すように、ワークW1を実線で図示の状態に支持した状態から、右側のローラ部材12の高さ位置を油圧シリンダ14aによって低く調節し、左側のローラ部材12の高さ位置を油圧シリンダ14aによって高く調節することにより、ワークW1を右方へ小距離だけ移動させることができる。上記とは反対に、右側のローラ部材 12の高さ位置を油圧シリンダ14aによって高く調節し、左側のローラ部材12の高さ位置を油圧シリンダ14aによって低く調節することにより、ワークW1を左方へ小距離だけ移動させることができる。
【0038】
また、図4に示すように、ワークW1を実線で図示の状態に支持した状態から、左右のローラ部材12,12の高さ位置を油圧シリンダ14a,14aによって高く調節することにより、ワークW1を上方へ小距離だけ移動させることができる。上記とは反対に、左右のローラ部材12,12の高さ位置を油圧シリンダ14a,14aによって低く調節することにより、ワークW1を下方へ小距離だけ移動させることができる。
【0039】
結局、左右のローラ部材12,12の位置(高さ位置、左右方向位置)を調節することにより、ワークW1の軸心Xを、図3の所定の半径の仮想円31の範囲内の所望の位置に調節することができる。
そのため、ワークW1の外周形状が真円でない場合でも、2つのワークW1,W2の軸心を一致させたり、2つのワークW1,W2を所望の位置関係となるように位置調節することができる。
【0040】
図5は、非円形のワークである断面楕円形のワークW1aを載置して位置調節する状態を示し、ワークW1aの軸心を所望の中心位置に保持しながら、ワークW1aを回転させることができることを示している。
【0041】
上記の第1ターニングローラ装置10の作用、効果について説明する。
1対のローラ機構11を有し、この1対のローラ機構11の1対のローラ部材12は、一端部が架台側静止部材であるステー部材16に回動自在に支持された1対の揺動アーム13に回転自在に支持され、これら1対の揺動アーム13の他端部に連結され1対のローラ部材12の高さ位置を夫々独立に調節可能な1対の駆動手段14を設けたため、次の効果を奏する。揺動アーム13を駆動手段14により揺動させると、ローラ部材12は円弧軌跡を描いて移動することになるから、ローラ部材12の高さ位置と水平方向位置とが変化する。
【0042】
そのため、1対の駆動手段14により、1対の揺動アーム13を介して1対のローラ部材12の高さ位置及び/又は水平方向位置を、対称に又は非対称に変化させることができるから、1対のローラ部材12に載置した円筒状のワークW1,W1aの高さ位置を上下方向に調節したり、水平方向位置を左側又は右側へ調節したり、高さ位置と左右方向位置の両方を調節したりすることが可能である。
【0043】
ワークの断面形状が真円形であっても、非真円形(例えば、楕円形)であっても、ワークの軸心Xの高さ位置及び/又は水平方向位置を調節することができる。
しかも、ローラ機構11は、ローラ部材12と揺動アーム13と駆動手段14aを有する極めて簡単な構成であるから、設置スペースも小さく、製作コストの面でも有利である。
【0044】
1対のローラ機構11の他に、この1対のローラ機構11に対して前記ワークW1の軸心Xと平行方向へ間隔を空けて配置された1対のローラ機構11を設けたので、1つのワークW1を2対のローラ機構11で安定的に支持し、高さ位置及び/又は水平方向位置を調節することができる。
【0045】
揺動アーム13はへ字形に形成され、このへ字形の揺動アーム12の屈曲状の途中部にローラ部材12が回転自在に支持されたので、駆動手段14を小型化する上で有利である。
1対の駆動手段14は、サーボポンプ43aを含む油圧供給装置43に接続された1対の油圧シリンダ14aで構成されたので、油圧シリンダ14aを採用しながら、ローラ部材12の位置を精密に調節可能である。
【0046】
前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
(1)各ローラ機構11において、ローラ部材12を揺動アーム13の他端部(外端部)に枢着し、揺動アーム13の長さ方向の途中部に油圧シリンダ14aの出力ロッドの先端を連結してもよい。
(2)各駆動手段14は、電動シリンダで構成してもよい。
【0047】
(3)各ローラ機構11にローラ部材12にワークから作用する荷重を検知する荷重検知手段を設け、左右1対のローラ部材12に作用する荷重が等しくなるようにローラ部材 の位置を制御することで、自動的にワークの軸心を調芯するように構成してもよい。
(4)1対のローラ機構11にワークの高さ方向位置と水平方向位置を検知する位置検知手段を設け、それら位置検知手段で検知した高さ方向位置と水平方向位置に基づいて、ローラ部材12の位置を制御するように構成してもよい。
【0048】
(5)ワークの長さが小さい場合には、第1ターニングローラ装置10に1対のローラ機構11を設けてもよく、ワークの長さが長い場合には、第1ターニングローラ装置10に3対以上のローラ機構11を設ける場合もある。
(6)第1ターニングローラ装置10における4つのローラ機構11のうちの少なくとも1つのローラ部材12を減速機付きモータで駆動するように構成してもよいし、また、4つのローラ機構11のうちの2つのローラ部材12を減速機付きモータで駆動するように構成してもよい。
【0049】
(7)第1,第2ターニングローラ装置10,20に載置台したワークW1,W2に溶接を施す場合を例にして説明したが、溶接以外の種々の工作を施すものにも本発明のターニングローラ装置を同様に適用可能である。
(8)その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えた状態で実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、断面円形または非円形のワークを載置して回転させて溶接やその他の工作を施すのに適したターニングローラ装置を提供する。
【符号の説明】
【0051】
1 ターニングローラ装置
2 架台
10,20 第1,第2ターニングローラ装置
11 ローラ機構
12 ローラ部材
13 揺動アーム
14 駆動手段
14a 油圧シリンダ
15 減速機付きモータ
16 ステー部材
43 油圧供給装置
43a サーボポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8