特許第6077896号(P6077896)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6077896スパウト付き容器入り玄米粥及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077896
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】スパウト付き容器入り玄米粥及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20170130BHJP
【FI】
   A23L7/10 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-52826(P2013-52826)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-176350(P2014-176350A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】513065206
【氏名又は名称】株式会社ミールサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】石井さち子
【審査官】 西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−078690(JP,A)
【文献】 特開2006−254858(JP,A)
【文献】 特開昭63−169953(JP,A)
【文献】 特開2001−224323(JP,A)
【文献】 特開2003−047415(JP,A)
【文献】 特開2012−039886(JP,A)
【文献】 特開2006−314302(JP,A)
【文献】 特開2009−273433(JP,A)
【文献】 特開2008−220288(JP,A)
【文献】 特開2012−157343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/00−7/104
A23L 3/00−3/3598
A23L 23/00−25/10
A23L 35/00
A23L 5/40−5/49
A23L 31/00−33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理済みの玄米粥を、スパウトを備えた容器に封入してなるスパウト付き容器入り玄米粥であって、
当該玄米粥が、少なくとも玄米及び/又は発芽玄米と、米粉と、水とを用いて調理されており、
前記玄米及び/又は発芽玄米と、米粉との混合の割合が、玄米及び/又は発芽玄米100重量部に対して、米粉は25重量部以上、150重量部以下である事を特徴とする、スパウト付き容器入り玄米粥。
【請求項2】

前記米粉は、うるち米からなる米粉であり、
前記水の割合は、玄米及び/又は発芽玄米と米粉との合計100重量部に対して、150重量部以上350重量部以下である、請求項1に記載のスパウト付き容器入り玄米粥。
【請求項3】
請求項1又は2にかかるスパウト付き容器入り玄米粥に使用される玄米粥の製造方法であって、
玄米及び/又は発芽玄米と水とを混合して加熱することにより流動状態の玄米粥ベースを製造する玄米粥ベース製造工程と、
当該玄米粥ベースに対して、米粉を添加して更に加熱する米粉添加工程とを含んでいる事を特徴とする、玄米粥の製造方法。
【請求項4】
前記玄米粥ベース製造工程及び/又は米粉添加工程後に、植物及び/又は果物を粒状、ペースト状または粉状に形成した調味成分を混合する、調味成分混合工程が実施される、請求項3記載の玄米粥の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄米及び/又は発芽玄米を主原料に用いた玄米粥及びその製造方法に関し、特に前記玄米粥をスパウト付き容器に封入した玄米粥及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
玄米又は発芽玄米は、従来から粥の原料として利用されており、これらを主原料とした玄米粥は白米粥に比べると栄養価が高い。このため、特に健康志向の高い消費者に好まれている。また近年では、玄米粥も白米粥同様にインスタント食品やレトルト食品として提供されている。
【0003】
スパウト付き耐熱性シート袋入りお粥及びその製造方法については、先に特許文献1(特開2001−78690号公報)が提案されている。この特許文献1では、常温で長期保存可能で、直接容器から食することができ、また、喫食の途中でもそのまま自由に持ち運びや保存のできる米飯食品及びその製造方法として、米を含有する食材と、水とを混合し、加熱して流動状態とし、この流動物をスパウト付きの耐熱性シート袋からなる容器に充填し、スパウトの口部端面をシール材でシールし、さらにキャップで封止し、加圧加熱殺菌したスパウト付き耐熱性シート袋入り米飯食品及びその製造方法が提案されている。
【0004】
そしてこの特許文献1の段落番号〔0041〕欄には、通常のレトルト食品と同様に常温保存が可能で、スパウトから吸い出したり、絞り出して食べることができ、スパウトに蓋をすることにより、喫食の途中でもそのまま自由に持ち運びや保存ができるとの効果が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−78690号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のとおり、常温で長期保存可能で、直接容器から食することができ、また喫食の途中でもそのまま自由に持ち運びや保存のできる米飯食品として、粥をスパウト付き容器に入れることは提案されていた。しかしながら、従来のスパウト付き容器入りの粥においては、粥の主原料として玄米や発芽玄米を使用することに起因して、次のような問題があった。
【0007】
即ち、スパウト付容器に封入して提供される食品においては、喫食に際して容器から直接食されることから、喫食時に封入された食品の温度が高温であると、熱すぎて容器を持つことができないおそれや、口内や喉等を火傷するおそれがあった。このため、前記特許文献1で提案されているスパウト容器入りの食品においても、比較的低温で喫食しなければならなかった。なぜならば、粥をスパウトから吸い出して喫食する場合、喫食時に粥の温度が高温であると、熱すぎて容器を持つことができないおそれや、口内や喉等を火傷するおそれがあった為である。
【0008】
一方で、このように低温で提供される粥において、その原料に玄米や発芽玄米を用いると、低温下で高まった粥自体の粘性に加えて、玄米や発芽玄米の糠層が粥の粘性を一層増加させ、粥がスパウト内部に固着して詰まる場合がある。その結果、玄米粥をスパウトから吸い出すことができなくなるおそれがあるため、このような玄米粥の提供は慎重にならざるを得ないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明はこの問題を解決するべく、常温以下であってもスパウトから吸い出して喫食するのに十分な流動性を有する、スパウト付き容器入り玄米粥及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、調理済みの玄米粥を、スパウトを備えた容器に封入してなるスパウト付き容器入り玄米粥であって、当該玄米粥が、少なくとも玄米及び/又は発芽玄米と、米粉と、水とを用いて調理されている事を特徴とする、スパウト付き容器入り玄米粥を提供するものである。
【0011】
本発明においては、玄米及び発芽玄米の内、何れかのみを用いることが望ましいが、両者を混合して用いても差し支えない。また、玄米及び/又は発芽玄米の代わりに、いわゆる胚芽米を用いることも差し支えない。但し、胚芽米は糠層のうち胚芽のみを残して精米しているので、粥の粘性にはさほど影響は与えない。
【0012】
玄米及び発芽玄米の内、何れか一方のみを用いる場合には、いずれを用いるかについては、製造コストや味付け、或いは栄養価等の諸般の事情を考慮して任意に決定することができる。発芽玄米は、通常の玄米と比較すると、特にGABA(γ―アミノ酪酸)が豊富に含まれており、これによる一定の健康効果を期待できる。また、発芽時に含水させるので、通常の玄米と比べて柔らかくなるため、粥にした時の食感がより良くなることが期待できる。但し、発芽玄米を利用する場合には、保存が難しい点、高価である点、発芽時にカビや腐敗を防ぐために塩水に漬けられており塩分量が高くなっているものがある。よって、これらの特性を考慮した上で、後述する調味成分との組み合わせや、保存方法を選択する必要がある。
【0013】
米粉の原料には、一般的にうるち米又はもち米が用いられているが、うるち米の米粉の方がより粘性が低い。このため、低温時における固形化を阻止する上では、前記米粉として、うるち米からなる米粉を利用することが望ましい。特に喫食時の触感を考慮すれば、粒子の細かい、いわゆる上用粉を用いることが望ましい。
【0014】
玄米粥の製造に使用する水は、特に制限されるものではないが、例えば海洋深層水を用いることもできる。海洋深層水とは、水深200メートル以下の深海に分布する、表層とは違った物理的・化学的特徴を持つ海水であり、無機塩類が豊富であることから、一定の健康効果が期待できる為である。
【0015】
そして玄米粥の製造に際して、前記玄米及び/又は発芽玄米と、前記米粉と、前記水の使用割合は、目的とする玄米粥の食感や栄養などを考慮して適宜調整することができる。但し、玄米及び/又は発芽玄米に対して米粉が少なすぎると、低温時において粥の粘度が高くなって塊が生じやすくなり、一方で玄米及び/又は発芽玄米に対して米粉が多すぎると、粉臭さが顕著になり粥の風味を害するおそれがある。よって当該玄米粥の製造に際しては、玄米及び/又は発芽玄米100重量部に対して、米粉25重量部以上150重量部以下、特に米粉50重量部以上90重量部以下とすることが望ましい。
【0016】
また、玄米粥の製造に際して、粘度は使用する水の割合によっても調整することができる。即ち、水の割合を多くすることでも玄米粥の粘度を低下させることができる。但し、使用する水の量が多すぎると粥の風味を害するおそれがあり、更に療養食などとしても利用される粥に要求される栄養価も不足するおそれがある。このため、玄米粥の製造に使用する水の割合は、玄米及び/又は発芽玄米と米粉との合計100重量部に対して、150重量部以上350重量部以下、特に200重量部以上300重量部以下とすることが望ましい。
【0017】
前記玄米粥の調味は、塩、砂糖、香辛料等の他、植物及び/又は果物を粒状、ペースト状または粉状に形成した調味成分を使用することができる。そして、このような植物及び/又は果物を加工した調味成分を使用する場合、当該調味成分は、例えば玄米及び/又は発芽玄米と水を加熱する段階で直接添加する他、玄米及び/又は発芽玄米と水を加熱して玄米粥ベースを製造し、これに別途製造した調味成分を添加乃至は混合することもできる。玄米ベースに対して調味成分を添加乃至は混合した場合、調味成分として各種のものを用意しておけば、多様な種類の味の玄米粥を効率的に製造できる場合が多いので望ましい。また玄米粥ベースの製造段階で味付けを行う場合には、調味料や調味成分により粥の粘性が変化してしまい、低温時における流動性が低下し、良好な食感が得られないおそれもある。よって本発明においては、前記玄米粥ベースの製造後に、調味料や調味成分により味付けを行うのが望ましい。なお、前記玄米粥(玄米粥ベース)の調味に用いられる調味成分は、植物及び/又は果物を、スパウト口部の口径未満の粒径に加工されているのが望ましい。
【0018】
以上のように構成される玄米粥は、スパウト付き容器に充填されて、本発明にかかるスパウト付き容器入り玄米粥となる。
かかる玄米粥を収容する容器は、レトルトパウチとすることが望ましい。なぜならば、本発明にかかる玄米粥は、いつでも、簡易に食することができる点で有利となり、長期にわたる保存安定性を高める為にレトルト殺菌することが望ましい為である。かかるレトルトパウチは、強度及び保存性の点から、アルミ複合パウチ等の不透明レトルトパウチとすることが望ましい。前記不透明レトルトパウチは、例えば、ベースフィルムとしてポリエステル(厚さ12μm)、バリアーフィルムとしてアルミ箔(厚さ9μm)、シーラントフィルムとして無延伸ポリプロピレン(厚さ60μm)をラミネートしてレトルトパウチ用積層フィルムを作成し、これをヒートシールすることで作成できる。
【0019】
そして当該容器はレトルト殺菌を行う場合には、当然のことながら耐熱性を有する必要がある。但し、いわゆる無菌充填機等を用いて、無菌状態で前記玄米粥を容器に充填できる場合には、容器充填後のレトルト殺菌が不要となり、よって耐熱容器でなくとも差し支えない。
【0020】
また、当該容器が備えるスパウトも、玄米粥を充填した後にレトルト殺菌を行う場合は、耐熱仕様のスパウトにすることが望ましいが、無菌充填機等を利用する場合には、前述のとおり耐熱仕様のスパウトでなくとも差し支えない。
【0021】
当該スパウトの位置は、喫食しやすさの観点から、容器上部の中央にスパウトを設けるいわゆるトップ型が望ましい。前記スパウトの口部の形状は、一般的に用いられている円筒形又は楕円筒形とすることができる。前記スパウトの口径は、粥の固形分が通過するのに十分な口径を備えることが望ましく、少なくとも口径8mm以上とすることが望ましい。当該スパウトは、例えば、容器を形成する段階でヒートシールすることにより容器本体に接着することができる。そして前記スパウトの口部端面は、例えば、アルミ箔等のシール材でシールすることにより密封することができる。
【0022】
以上のように構成される、スパウト付き容器入り玄米粥は、例えば、スパウトから吸い出したり、絞り出したりすることにより喫食することができる。
【0023】
本発明にかかるスパウト付き容器入り玄米粥は、常温以下で喫食することが望ましく、口内の火傷防止の観点から60℃以下で喫食することが望ましい。特に玄米粥の味付け次第では冷感を伴った方がより美味しく喫食できる場合があり、このような場合に、例えば20℃以下で喫食するのが望ましい。20℃以下で喫食した場合でも、本発明にかかるスパウト付き容器入り玄米粥は、スパウトから吸い出して喫食するのに十分な流動性とすることができることから、良好な食感を得ることができる。但し、使用する調味料や調味成分次第(味付け次第)では温めた方がより美味しく喫食できる場合もある。よって、この場合には、火傷には十分に注意することを前提として、例えば61℃以上で喫食することもできる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように構成される、本発明にかかるスパウト付き容器入り玄米粥によれば、玄米及び/又は発芽玄米に対して米粉を混合しているから、常温以下の状態における玄米粥の流動性を高めることができる。よって比較的低温で食される事を前提とするスパウト付き容器入り食品でありながらも、スパウト内部に玄米粥が固着して詰まり喫食できなくなるおそれを低減させることができる。また一部の粥が固着することがないことから、全体としても滑らかで触感に優れたスパウト付き容器入り玄米粥とすることができる。
【0025】
そして、玄米粥をスパウト付き容器に封入して提供することができるようになるので、本発明にかかるスパウト付き容器入り玄米粥は、従来の玄米粥に比べて、より手軽に喫食することができ、喫食途中での保存をより簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施の形態にかかるスパウト付き容器入り玄米粥の製造方法を示すフローチャート
図2】スパウト付き容器に充填される玄米粥を示す略図
図3】本実施の形態にかかるスパウト付き容器入り玄米粥の外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本実施の形態にかかるスパウト付き容器入り玄米粥及びその製造方法を、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明にかかるスパウト付き容器入り玄米粥及びその製造方法は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、適宜変更することができる。
【0028】
本実施の形態において、スパウト付き容器に封入される玄米粥は、例えば以下の表1に示す分量で各原材料を使用し、製造することができる。
【0029】
【表1】
【0030】
本実施の形態においては、玄米を使用しているが、この玄米に代えて発芽玄米を使用することができる。また、玄米と共に発芽玄米を使用することもできる。玄米と発芽玄米を併用する場合において両者の使用割合は、食味や栄養価などを考慮して、適宜選択することができる。
【0031】
表1に示した各成分を使用し、図1のフローチャートに示す工程で玄米粥の基となる玄米粥ベースを製造した。即ち、この実施の形態にかかる玄米粥の製造では、表1に示すように、生米である玄米17重量部を洗米し、柔らかくするために水へ浸漬する下処理ステップ1aを行う。浸漬する時間は、十分に含水させるために3時間以上とすることが望ましい。この下処理ステップ自体は、従前における玄米粥の製造方法乃至は調理方法に従って、適宜浸漬時間などを変更することができる。
【0032】
そして、十分にした処理ステップを実施した後において、下処理ステップ1aで下処理した玄米に、表1で示す水の量のうち30重量部を加え、玄米の果皮が柔らかくなるまで強火で約2時間程度加熱する加熱ステップ1bを実施する。このとき、玄米を適宜撹拌する等して鍋の中で躍らせるように保ち、鍋底に焦げ付かないようにする。途中、加熱容器内の水量に応じて、使用する70重量部の水のうち、35重量部を適宜加える。加える水の量やタイミングは、玄米の炊き加減に応じて適宜調整することができる。なお、以上のステップでは生米から煮た例を示したが、玄米を炊飯したのちに、多めの水を添加して更に煮たものであってもよい。
【0033】
前記加熱ステップ1bにより玄米の果皮が柔らかくなった後においては、表1に示す米粉13重量部を添加する米粉添加ステップ1cを行う。この米粉添加ステップ1cでは、うるち米を原料とする米粉13重量部を、使用する水70重量部のうち残りの5重量部に溶いて、ステップ1bの玄米粥へ混合し、米粉に起因する粉臭さが無くなるまで、望ましくは約10分程度加熱する。
【0034】
以上により、玄米粥の製造における基本となる玄米粥ベースが製造されることから、次に当該玄米粥ベースに対して味付けを行う調味ステップ1dを実行する。この調味ステップでは、一般的に用いられている食材や調味料等を利用して、適宜味付けをすることができる。本実施の形態では、各種の植物や果物などの食材を賽の目、又はあられ状にカットし、必要に応じて加熱や味付けを施した調味成分を使用する。かかる調味成分は、これを構成する具材の粒径が大きすぎると、スパウトを通過することができないおそれがあるため、本実施の形態においては概ね8mm以下とすることが望ましい。例えば果実をざく切りにし、適宜調味や調理を行って調味成分を形成して玄米粥に混ぜる場合には、当該果物成分は概ね8mm以下とすることが望ましい。
【0035】
以上のように構成される玄米粥は、図2に示す様に、果皮が柔らかくなった玄米12と重湯13とからなる玄米粥ベース16内に、調味成分14が分散した状態となる。ここで玄米粥ベース16は、使用した玄米12が炊かれて肥大化し、粥の上澄み液である重湯13内には、玄米を炊いた後に添加された米粉が含まれている。よって玄米の果皮が残った状態でありながらも、重湯が薄くならず、食感に優れた玄米粥とすることができる。
【0036】
充填ステップ1eにおいては、前記のように製造される玄米粥を、スパウトを備えた容器に充填する。当該スパウトは、容器の形成に際して上部中央に位置するようにヒートシールして設置することができる。玄米粥を収容する容器がスパウトを備えた容器であるからこそ、手軽に玄米粥を食することができ、スパウトから食する容器であるからこそ、玄米粥の一部または全部が容器内で固着乃至は固形化するといった問題が生じる。そこで本実施の形態では、上記の様に米粉を添加したり、或いは水分量を調整することで、このスパウト付き容器入り玄米粥であることに由来する問題を解決している。
【0037】
上記のように玄米粥を充填した後において、容器のスパウトの先端面あるいは後端面をアルミ箔等のシール材でシールして密封し、更に開口する口部をキャップで封止して、密封ステップ1fを実施する。
【0038】
玄米粥を容器内に充填して密封した後においては、前記玄米粥の商業的無菌状態を確保するために殺菌ステップ1gを行う。特に当該玄米粥は水分が多いことから腐敗や変敗の問題が生じやすいことから、容器充填後において、加熱空気による乾熱殺菌や、蒸気や熱水による湿熱殺菌等の加熱殺菌(レトルト殺菌)を行うことが望ましい。当該レトルト殺菌の殺菌条件は、レトルトパウチ中心部でF値=4以上となるように設定することが望ましく、本実施の形態においては、121℃で20分程度レトルト殺菌する。この時、加熱温度が100℃を超えることから、冷却時における体積変化も大きくなる。よって当該容器を形成するシール部分や接合部分が剥離しないように形成された耐圧性を有する容器を使用するのが望ましい。また、当該玄米粥を収容する容器は、前記レトルト殺菌を行う関係上、レトルトパウチを使用することが望ましく、スパウトもレトルト殺菌可能な耐熱仕様のスパウトを使用することが望ましい。
【0039】
図3は、以上により製造される、スパウト付き容器入り玄米粥の外観斜視図である。容器21の上部中心にスパウト22を備えており、当該スパウトの口部端面はシール材でシールして密封されている。そしてこの中には、上記のように形成された玄米粥が充填されていることから、スパウトを開けることにより、手軽に玄米粥を食することができる。これにより、スパウト容器入り食品でありながらも、従前における食事として利用できる食品が実現する。
【0040】
以上により構成される本発明にかかるスパウト付き容器入り玄米粥及びその製造方法によれば、玄米粥をスパウト付き容器に封入することができる。よって従来の玄米粥に比べてより手軽に喫食することができ、喫食途中での保存もより簡単にできる。
【符号の説明】
【0041】
12 玄米
13 重湯
14 調味成分
16 玄米粥ベース
21 容器
22 スパウト
23 キャップ
図1
図2
図3