(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書においては、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸のいずれか一方又は両方を示し、他の化合物についても同様である。
【0012】
<アクリル系重合成形体の製造方法>
本発明のアクリル系重合成形体の製造方法は、下記の工程(I)及び(II)を有する方法である。
(I)アクリル系単量体、化学発泡剤及び重合開始剤を含む重合性溶液を加熱して重合し、重合前の該重合性溶液の総体積に対する体積収縮率が14%以上である、未反応の単量体を含有する前駆成形体を得る。
(II)工程(I)の重合温度よりも高い重合温度で前記前駆成形体を加熱し、前記未反応の単量体を重合させてアクリル系重合成形体を得る。
【0013】
[工程(I)]
アクリル系単量体、化学発泡剤及び重合開始剤を含む重合性溶液は、加熱によって重合反応が進行するにつれて、硬化収縮によって体積が収縮していく。工程(I)では、重合前の重合性溶液の総体積に対する体積収縮率が14%以上となるまで重合を進行させ、内部に未反応の単量体が残存した固化状態の前駆成形体を得る。該体積収縮率が14%未満であると、前駆成形体中に残存する未反応の単量体の量が多くなりすぎて、工程(II)における未反応の単量体の重合時に気泡が生じることを充分に抑制できなくなる。
工程(I)における加熱は、体積収縮率が14%となる時点までとしてもよく、前記体積収縮率が14%を超える時点までとしてもよい。工程(I)における加熱は、前記体積収縮率が14〜20%の時点までとすることが好ましい。工程(I)における加熱を体積収縮率が上限値以下の時点までとすれば、充分な生産性が得られやすい。
【0014】
工程(I)では、例えば、重合性溶液を所定の形状の型枠に入れて加熱することで、所望の形状の前駆成形体を得ることができる。型枠は、目的のアクリル系重合成形体の形状に応じて適宜決定することができる。
【0015】
工程(I)における重合温度は、40〜57℃が好ましく、46〜56℃がより好ましい。工程(I)における重合温度が下限値以上であれば、重合反応が充分に進行しやすく、生産性が得られやすい。工程(I)における重合温度が上限値以下であれば、重合反応がより安定になり、ボイドが発生し難くなる。
【0016】
工程(I)における重合時間は、10〜45時間が好ましく、15〜35時間がより好ましい。工程(I)における重合時間が下限値以上であれば、重合反応が充分に進行しやすく、ボイドがより発生し難くなる。工程(I)における重合時間が上限値以下であれば、生産性が高くなる。
【0017】
重合性溶液は、アクリル系単量体、化学発泡剤及び重合開始剤を必須として含む溶液であり、必要に応じて、アクリル系単量体以外の他の単量体、重合開始助剤、塩化物イオン添加用物質、脱水剤、重合抑制剤、気泡調整剤等を混合してもよい。
【0018】
(アクリル系単量体)
アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸
、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリルアミ
ド等が挙げられる。
【0019】
アクリル系単量体としては、化学発泡剤として用いられる尿素に対して優れた溶解性を示す点では、水溶性のアクリル系単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。
また、アクリル系単量体としては、アクリル系重合成形体の発泡性がより良好になる点では、メタクリル酸メチルが好ましい。
アクリル系単量体は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
【0020】
(他の単量体)
他の単量体としては、アクリル系単量体と共重合可能な単量体であればよく、発泡成形体の改質等を目的として適宜選択して用いることができる。
他の単量体としては、アクリル系重合成形体の発泡性がより良好になる点から、スチレンが好ましい。スチレンを使用する場合、発泡成形体の硬質さが損なわれ難い点から、スチレンの使用量は単量体の全量に対して20質量%以下が好ましい。
他の単量体は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
【0021】
重合に用いる単量体としては、(メタ)アクリル酸、メタクリル酸メチル及びスチレンを含有する単量体混合物が好ましく、(メタ)アクリル酸、メタクリル酸メチル及びスチレンからなる単量体混合物がより好ましく、メタクリル酸メチル50〜70質量%、(メタ)アクリル酸20〜30質量%、及びスチレン10〜20質量%からなる単量体混合物が特に好ましい。
(メタ)アクリル酸の割合を20〜30質量%の範囲とする場合、アクリル酸のみで前記範囲としてもよく、メタクリル酸のみで前記範囲としてもよく、アクリル酸とメタクリル酸の合計で前記範囲としてもよい。
【0022】
(化学発泡剤)
化学発泡剤としては、アクリル系重合成形体を加熱発泡させることで発泡成形体が得られるものであればよく、尿素及び尿素誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
化学発泡剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
【0023】
化学発泡剤の使用量は、重合に用いる単量体の全量100質量部に対して、1.0〜15質量部が好ましく、2.0〜10質量部がより好ましい。前記化学発泡剤の使用量が下限値以上であれば、軽量性に優れた発泡成形体が得られやすい。前記化学発泡剤の使用量が上限値以下であれば、単量体中に化学発泡剤を溶解させることが容易になる。また、前記化学発泡剤の使用量が上限値以下であれば、発泡成形体中に化学発泡剤が残存し難くなり、また加熱発泡時に破泡が生じ難くなる。
【0024】
重合開始剤としては、レドックス系重合開始剤が好ましい。
レドックス系重合開始剤としては、例えば、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0025】
重合開始剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
重合開始剤の使用量は、単量体の全量100質量部に対して、0.1〜5.0質量部が好ましい。
【0026】
重合開始助剤としては、例えば、スルフィン酸金属塩、アミン化合物等が挙げられる。
スルフィン酸金属塩としては、例えば、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、トルエンスルフィン酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも、スルフィン酸金属塩としては、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウムが好ましい。
アミン化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアニリン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0027】
重合開始助剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
重合開始助剤の使用量は、単量体の全量100質量部に対して0.1〜25質量部が好ましい。また、重合開始助剤の使用量は、レドックス重合開始剤に対して質量比で0.1〜5.0倍が好ましい。
【0028】
塩化物イオン添加用物質としては、重合性溶液中に塩化物イオンを添加できるものであればよい。塩化物イオンは、重合反応の促進に寄与する。
塩化物イオン添加用物質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化銅、塩化第二鉄、塩化銀、塩化金、塩酸、イミダゾリウム塩型界面活性剤、第4級アンモニウム塩型界面活性剤、アルキルベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0029】
イミダゾリウム塩型界面活性剤としては、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムクロライド、1−メチル−1−ヒドロキシエチル−2−牛脂アルキル−イミダゾニウムクロライド等が挙げられる。
【0030】
第4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
アルキルベタイン型両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルベタイン等が挙げられる。
【0031】
塩化物イオン添加用物質としては、塩化ナトリウム、塩酸、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、及びラウリルトリメチルアンモニウムクロライドからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドがより好ましい。
【0032】
塩化物イオン添加用物質は、1種でもよく、2種以上でもよい。
塩化物イオン添加用物質の使用量は、単量体の全量100質量部に対して、0.005〜5.0質量部が好ましい。
【0033】
脱水剤としては、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等の硫酸塩、ゼオライト(モレキュラーシーブ)等が挙げられる。
重合抑制剤としては、ギ酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
気泡調整剤としては、例えば、金属酸化物、珪藻土等の粉末状無機物等が挙げられる。
【0034】
重合性溶液は、型枠に流し込む前に、目合が0.15mm未満のメッシュを有する濾過部材を用いて濾すことが好ましい。これにより、重合性溶液中の異物が除去され、該異物に起因するボイドの発生を抑制することができる。
目合が0.15mm未満のメッシュを有する濾過部材としては、例えば、200メッシュストレイナー(目合0.077mm)等が挙げられる。
【0035】
[工程(II)]
工程(II)では、工程(I)の重合温度よりも高い重合温度で前駆成形体を加熱し、前駆成形体の内部に残存している未反応の単量体を重合させて重合反応を完結させ、アクリル系重合成形体を得る。
本発明では、工程(II)における重合温度に到達するまで前駆成形体を昇温させる際、昇温速度を4.0℃/時間以下とすることを特徴とする。これにより、前駆成形体の内部における未反応の単量体が急激に加熱されて気化し、気泡となることが抑制されるため、得られるアクリル系重合成形体の内部にボイドが形成されることを抑制できる。そのため、該アクリル系重合成形体を用いれば、ボイドの発生が抑制された高品質な発泡成形体が得られる。
【0036】
工程(II)における重合温度に到達するまで前駆成形体を昇温させる際は、該重合温度に到達するまで一度に昇温させてもよく、昇温を複数回に分けて段階的に行ってもよい。
昇温を複数回に分けて段階的に行う場合、昇温を開始した時点の前駆成形体の温度と、工程(II)における重合温度との温度差を、昇温を開始した時点から工程(II)における重合温度に到達した時点までの所要時間で除したものを、昇温速度と見なすものとする。
【0037】
昇温速度は、4.0℃/時間以下であり、ボイドの発生を抑制しやすい点から、3.5℃/時間以下が好ましい。また、昇温速度は、生産性がより高くなる点から、1.0℃/時間以上が好ましく、1.5℃/時間以上がより好ましい。
【0038】
工程(II)における重合温度は、57〜80℃が好ましく、58〜65℃がより好ましい。前記重合温度が下限値以上であれば、未反応の単量体を充分に反応させやすい。前記重合温度が上限値以下であれば、アクリル系重合成形体の熱劣化を抑制しやすい。
【0039】
工程(II)における重合時間は、3.0〜20時間が好ましく、5.0〜12時間がより好ましい。前記重合時間が下限値以上であれば、未反応の単量体を充分に反応させやすい。前記重合時間が上限値以下であれば、生産性が高くなる。
なお、工程(II)における重合時間とは、工程(I)の重合温度よりも高い温度で前駆成形体が加熱されている時間であり、昇温に要する時間も含むものとする。
【0040】
工程(I)と工程(II)は、連続的に行ってもよく、間歇的に行ってもよい。
具体的には、例えば、工程(I)の重合反応後に、同一の加熱整備において、工程(I)の重合温度から工程(II)における重合温度に到達するまで前駆成形体を昇温させて加熱を行ってもよく、工程(I)の重合反応後に、前駆成形体を別の加熱設備に移動させ、工程(I)の重合温度よりも低い温度になった前駆成形体を改めて工程(II)における重合温度まで昇温させて加熱を行ってもよい。
【0041】
本発明の製造方法で製造するアクリル系重合成形体の形状は、特に限定されず、目的の発泡成形体の形状に応じて適宜決定すればよい。例えば、板状の発泡成形体を製造する場合は、板状のアクリル系重合成形体を製造することが好ましい。
【0042】
以上説明した本発明のアクリル系重合成形体の製造方法においては、工程(I)よりも高い温度で前駆成形体を加熱して該前駆成形体の内部に残存する未反応の単量体を反応させて重合を完結させる際に、昇温速度を特定以下とすることで、前駆成形体内部の未反応の単量体が急激に加熱されて大きな気泡を発生することを抑制することができる。このように大きな気泡の形成が抑制されたアクリル系重合成形体を用いることで、発泡成形体にボイドが生じることを抑制することができる。
【0043】
<発泡成形体の製造方法>
本発明の発泡成形体の製造方法は、前述した本発明のアクリル系重合成形体の製造方法で得られたアクリル系重合成形体を加熱発泡させて発泡成形体を得る方法である。本発明の発泡成形体の製造方法は、前述した本発明のアクリル系重合成形体の製造方法で得られたアクリル系重合成形体を用いる以外は、公知の方法を採用できる。
例えば、板状の発泡成形体を製造する場合、任意の距離に離間した2つの熱プレートを有する金型の一対の熱プレートの間に板状のアクリル系重合成形体を入れ、それら熱プレートによって該アクリル系重合成形体を加熱する。アクリル系重合成形体が化学発泡剤の熱分解温度以上に加熱されることで、アクリル系重合成形体が発泡して熱プレート上で膨張していき、所定の発泡倍率の発泡成形体が得られる。
【0044】
加熱発泡に用いる金型は、前記したものには限定されず、目的の発泡成形体の形状に応じて適宜選択すればよい。アクリル系重合成形体の加熱発泡を所望の内法を有する金型内で行うことで、所望の形状の発泡成形体を得ることができる。
【0045】
アクリル系重合成形体を加熱発泡させる際の加熱温度は、アクリル系重合成形体が軟化する温度以上で、かつアクリル系重合成形体に含有される化学発泡剤の熱分解温度以上とする。
加熱温度は、例えば、化学発泡剤が尿素(熱分解温度135℃)の場合、135℃以上が好ましく、145℃以上がより好ましい。加熱温度が高いほど発泡が効率良く進行する。また、加熱温度は、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。加熱温度が上限値以下であれば、発泡成形体の熱劣化に伴う収縮を防ぐことができる。
【0046】
発泡前のアクリル系重合成形体に対する発泡後の発泡成形体の寸法の変化率は、全方向でできるだけ揃っていることが好ましい。これにより、亀裂の発生が抑制された発泡成形体がより得られやすくなる。
具体的には、矩形の板状の発泡成形体を製造する場合、下式(1)で求められる長手方向の寸法変化率(L)と、下式(2)で求められる短手方向の寸法変化率(D)との比(L/D)は、1/1.3〜1.3/1が好ましく、1/1.2〜1.2/1がより好ましい。比(L/D)が前記範囲内であれば、亀裂の発生が充分に抑制された発泡成形体が得られやすい。
L=L2/L1 ・・・(1)
D=D2/D1 ・・・(2)
ただし、前記式中、L1は発泡前のアクリル系重合成形体の長手方向の長さであり、L2は発泡後の樹脂成形体の長手方向の長さである。また、D1は発泡前のアクリル系重合成形体の短手方向の長さであり、D2は発泡後の樹脂成形体の短手方向の長さである。
寸法変化率(L)、(D)は、例えば、金型の内法を調節することで調節できる。
【0047】
本発明の製造方法により製造される発泡成形体の見かけ密度は、0.035〜0.200g/cm
3が好ましく、0.040〜0.150g/cm
3がより好ましく、0.045〜0.125g/cm
3がさらに好ましい。発泡成形体の見かけ密度が下限値以上であれば、発泡倍率が高くなりすぎず、発泡成形体に亀裂が発生し難くなる。発泡成形体の見かけ密度が上限値以下であれば、発泡成形体の軽量性がより良好になる。
なお、発泡成形体の見かけ密度は、実施例に記載の方法で測定される。
【0048】
以上説明した本発明の発泡成形体の製造方法によれば、本発明の製造方法で得られたアクリル系重合成形体を用いているため、ボイドの発生が抑制された高品質な発泡成形体を得ることができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[発泡成形体の見かけ密度]
各例で得られた発泡成形体の見かけ密度は、JIS K 7222:1999に記載の方法に準拠した方法により測定した。具体的には、得られた発泡成形体から、セル構造を変化させないように体積が10cm
3以上の試験片を切り出し、該試験片の質量を測定して、下式により見かけ密度を算出した。
見かけ密度(g/cm
3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
3)
【0050】
[ボイド発生数の計測]
得られた発泡成形体における発泡体表皮を除く部分から、厚さ10mm×縦900mm×横900mmの試験片を切り出し、該試験片の両方の切断表面(900mm×900mm)を目視で観察し、最大径が2mm以上の気泡をボイドとして計測した。
計測は同一の発泡成形体から得られる10枚の試験片に対して行い、その相加平均値をボイド発生数とした。
【0051】
[実施例1]
(アクリル系重合成形体の製造)
工程(I):
メタクリル酸メチル61質量%、メタクリル酸24質量%、及びスチレン15質量%からなる単量体混合物の100質量部に対して、化学発泡剤として尿素5質量部を混合し、均一に溶解させて単量体溶液を調製した。その後、前記単量体混合物100質量部に対して、重合開始剤としてt−ブチルヒドロパーオキサイド(日油社製「パーブチルH−69」)0.5質量部、重合開始助剤としてN,N−ジメチルアニリン0.5質量部、塩化物イオン添加用物質としてセチルトリメチルアンモニウムクロライド(日油社製「ニッサンカチオンPB−40R」)0.04質量部、硫酸ナトリウム0.6質量部、及びギ酸カルシウム0.14質量部を前記単量体溶液に加えて重合性溶液を調製した。
次いで、該重合性溶液8300gを、目合が0.300mmのストレイナーメッシュ(60メッシュストレイナー)に通した後、1000mm×370mm×25mmの内法を有するポリエチレン製の直方体状の型枠に入れた。その後、重合性溶液を型枠ごと窒素雰囲気下において56℃で5時間、49℃で20時間加熱し、未反応の単量体を含有する固化状態の板状の前駆成形体とした。この時点において、重合前の重合性溶液の総体積に対する前駆成形体の体積収縮率は14%であった。
【0052】
工程(II):
その後、4.0℃/時間の昇温速度で2.5時間かけて59.0℃まで昇温し、前駆成形体を59.0℃で6.5時間加熱することで、未反応の単量体を重合させ、板状のアクリル系重合成形体を得た。
【0053】
(発泡成形体の製造)
得られた板状のアクリル系重合成形体を8140gとなるようにカットし、1820mm×910mm×75mmの内法を有する金型に入れ、尿素の熱分解温度(135℃)以上である170℃に加熱して発泡を行い、板状の発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は、白色であり、見かけ密度は0.063g/cm
3であった。
【0054】
[実施例2]
工程(II)において昇温速度2.2℃/時間で4.5時間かけて59.0℃まで昇温し、前駆成形体を59.0℃で4.5時間加熱した以外は、実施例1と同様にしてアクリル系重合成形体を製造し、発泡成形体を得た。
【0055】
[実施例3]
用いるストレイナーメッシュを、目合が0.077mmのもの(200メッシュストレイナー)に変更した以外は、実施例1と同様にしてアクリル系重合成形体を製造し、発泡成形体を得た。
【0056】
[実施例4]
用いるストレイナーメッシュを、目合が0.077mmのもの(200メッシュストレイナー)に変更し、工程(II)において昇温速度2.2℃/時間で4.5時間かけて59.0℃まで昇温し、前駆成形体を59.0℃で4.5時間加熱した以外は、実施例1と同様にしてアクリル系重合成形体を製造し、発泡成形体を得た。
【0057】
[比較例1]
工程(I)の重合条件を50℃、10時間に変更した以外は、実施例1と同様にして前駆成形体を得た。この時点において、重合前の重合性溶液の総体積に対する前駆成形体の体積収縮率は7%であった。その後、工程(II)において、昇温速度30.0℃/時間で1.0時間かけて80.0℃まで昇温し、前駆成形体を80.0℃で2.0時間加熱した以外は、実施例1と同様にしてアクリル系重合成形体を製造し、発泡成形体を得た。
【0058】
[比較例2]
工程(II)において昇温速度5.0℃/時間で2.0時間かけて59.0℃まで昇温し、前駆成形体を59.0℃で7.0時間加熱した以外は、実施例1と同様にしてアクリル系重合成形体を製造し、発泡成形体を得た。
【0059】
[比較例3]
用いるストレイナーメッシュを、目合が0.077mmのもの(200メッシュストレイナー)に変更し、工程(II)において昇温速度5.0℃/時間で2.0時間かけて59.0℃まで昇温し、前駆成形体を59.0℃で7.0時間加熱した以外は、実施例1と同様にしてアクリル系重合成形体を製造し、発泡成形体を得た。
【0060】
[比較例4]
工程(I)の重合条件を56℃、5時間で加熱した後に49℃で10時間加熱する条件に変更した以外は、実施例1と同様にして前駆成形体を得た。この時点において、重合前の重合性溶液の総体積に対する前駆成形体の体積収縮率は11%であった。その後、用いるストレイナーメッシュを、目合が0.077mmのもの(200メッシュストレイナー)に変更した以外は、実施例1と同様にしてアクリル系重合成形体を製造し、発泡成形体を得た。
【0061】
各例における工程(I)及び(II)の条件、工程(I)で得られた前駆成形体の重合性溶液の総体積に対する体積収縮率、及び得られた発泡成形体のボイド発生数を表1に示す。
なお、実施例2〜4及び比較例1〜4で得られた発泡成形体の見かけ密度は、いずれも0.063g/cm
3であった。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示すように、工程(I)において体積収縮率が14%となるまで加熱した後、工程(II)において昇温速度4.0℃/時間以下で前駆成形体を昇温させて加熱を行った実施例1〜4では、ボイドの発生が抑制されていた。
一方、工程(I)において前駆成形体の体積収縮率が14%未満で、かつ工程(II)における昇温速度が4.0℃/時間超の比較例1では、多数のボイドが発生した。
また、工程(I)において前駆成形体の体積収縮率が14%となるまで加熱したものの、工程(II)における昇温速度が4.0℃/時間超の比較例2及び3では、ボイドの発生が充分に抑制されなかった。
また、工程(I)において前駆成形体の体積収縮率が14%未満である比較例4では、工程(II)における昇温速度が4.0℃/時間以下であるが、ボイドの発生が充分に抑制されなかった。