(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記調整部材は、前記回転部材が有する前記第1の磁石と前記固定部材が有する前記第1の凹部との前記スプールの回転軸方向の相対的な位置を調整可能な部材である請求項2記載の魚釣用リール。
前記調整部材は、前記固定部材が有する前記第1の磁石と前記回転部材が有する前記第1の凹部との前記スプールの回転軸方向の相対的な位置を調整可能な部材である請求項8記載の魚釣用リール。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、様々な実施形態を適宜図面を参照して説明する。なお、複数の図面にわたって共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール10の一部を断面とした部分断面図である。この魚釣用リール10は、図示するように、リール本体12と、このリール本体12の前方に回転可能に設けられ、釣糸を案内する釣糸案内部20aを有するロータ20と、このロータ20の内側に設けられロータ20の回転に応じて釣糸案内部20aを介して巻き取られた釣糸が巻かれるスプール30とを備える。魚釣用リール10は、リール本体12に設けられた略T字形状の脚部12aを介して図示しない釣竿に取り付けられて用いられる。魚釣用リール10は、ドラグ機構以外は、一般的なスピニングリールと同様の構成を備え得る。スピニングリールは、本発明を適用可能なリールの例に過ぎず、後述するように、本発明は、スピニングリール以外の様々な種類のリール(例えば、両軸受型リール、片軸受型リール、及び電動リール)に適用可能である。
【0012】
リール本体12には、一端にハンドル14が取り付けられたハンドル軸16が回転可能に支持されており、このハンドル軸16にはドライブギヤ18が取り付けられている。ハンドル軸16は、ハンドル14の回転操作に応じて回転するようにリール本体12に取り付けられる。ドライブギヤ18には、ハンドル軸16の軸方向に対して直交する方向に延出する略円筒形状のピニオンギヤ19が噛合している。このピニオンギヤ19はロータ20と一体に取り付けられている。このため、ハンドル14の回転は、ハンドル軸14、ドライブギヤ18、及びピニオンギヤ19を介してロータ20に伝達される。
【0013】
また、ピニオンギヤ19にはスプール軸31が貫通している。このスプール軸31の後側端部(手元端)には、ドライブギヤ18の回転に応じて動作するオシレート機構22が連結されており、スプール軸31の先端側にはスプール30が取り付けられている。このオシレート機構22の動作によってスプール軸31及びその先端側に取り付けられたスプール30は、リール本体12の前後方向(ハンドル軸16と直交する方向)に往復運動する。
【0014】
このように、ハンドル14の回転操作に応じてドライブギヤ18が回転すると、ピニオンギヤ19を介してロータ20が回転すると共にオシレート機構22及びスプール軸31を介してスプール30が往復運動するから、ロータ20の釣糸案内部20aによって巻き取られる釣糸はスプール30に軸方向に均一に巻かれる。
【0015】
図2は、一実施形態における魚釣用リール10のスプール30周辺の縦断面図であり、
図3は、
図2のA−A線に沿う横断面図である。図示するように、スプール軸31には、円筒形状のスプール支持部材32がピン止めによって固定されている。このスプール支持部材32には、スプール30が軸受33aを介してスプール軸31を中心として回転できるように支持されている。スプール30の前方内側には、後述する回転部材35が、スプール30の回転と連動して回転するように取り付けられている。また、スプール支持部材32の前方には、後述するように、スプール軸31と略同心に、略円筒形状の固定部材36が固定されている。この固定部材36は、軸受33b、33cを介して回転部材35を回転可能に支持する。
【0016】
さらに、スプール軸31の前側端部には、回転部材35と固定部材36とのスプール30の回転軸方向(スプール軸31の軸方向)の位置を調整するための蓋状の調整部材37が取り付けられている。調整部材37は、スプール軸31に螺合しており、調整部材37をねじ込むことにより、固定部材36をスプール軸31の軸方向後側に押し込むことができる。固定部材36は、バネSにより、スプール軸31の前側に常時付勢されている。
【0017】
回転部材35は、スプール軸31と略同心に配置され、前側に開口した略円筒形状を有する円筒部材35dと、この円筒部材35dの側壁部の径方向内側に配置された円環状の外側リング部材35bと、この外側リング部材35bの径方向内側に配置され、その外周面が外側リング部材35bの内周面よりも小さくなるように構成された内側リング部材35cと、を備える。この外側リング部材35bの内周面と、内側リング部材35cの外周面により、略円筒形状の収容溝35aが画定される。つまり、外側リング部材35bは、収容溝35aの径方向外側の壁を形成し、内側リング部材35cは、収容溝35aの径方向内側の壁を形成する。この収容溝35aの後端は円筒部材35dにより閉塞されているが、前端側は開口している。
【0018】
外側リング部材35b及び内部リング部材35cは、鉄系の磁性体の材料から形成される。外側リング部材35bには、略円環状の永久磁石39bが設けられている。永久磁石39bは、その内周面が収容溝35aに露出するように、外側リング部材35bの内周面側に嵌め込まれている。また、内側リング部材35cには、略円環状の2つの永久磁石39a、39cが設けられている。永久磁石39a、39cの各々は、その外周面が収容溝35aに露出するように、内側リング部材35cの外周面側に嵌め込まれている。これらの永久磁石は、図示するように、スプール30の回転軸方向後方から前方に向かって、永久磁石39a、39b、39cの順に配置されている。この永久磁石39a、39b、39cは、回転部材35がスプール30の回転に応じて回転するときに、外側リング部材35b及び内部リング部材35cとともに回転するように、それぞれ対応する外側リング部材35b及び内部リング部材35cに固定される。
【0019】
固定部材36は、非磁性体の材料から成り、略円筒状に構成されている。この固定部材36は、スプール軸31の周方向に延びる外壁部36aと、外壁部36aの前端から径方向内側に延びる略円板形状の底部36dと、この底部36dの径方向内側端部からスプール軸31の軸方向に延びる筒状の内壁部36cとを有する。外壁部36aには、複数の貫通孔36bが形成されている。
図3に示されているように、内壁部36cは、位置調整部材37の突出部37aに嵌め込まれており、また、内壁部36cの後側端部はさらにスプール支持部材32の前側端部に回り止め状態で軸方向移動可能に嵌め込まれている。このため、固定部材36は、スプール支持部材32と位置調整部材37の突出部37aを介して、スプール軸31上に、軸方向移動可能に回り止めされた状態で支持されている。
【0020】
また、外壁部36aは、少なくとも貫通孔36bを有する部分が回転部材35の収容溝35aに隙間を保持して収容されるように配置されている。つまり、外壁部36aが収容溝35aに収容された状態において、外壁部36aと収容溝35aを画定する壁部(つまり、外側リング部材35bの内周面及び内部リング部材35cの外周面)との間には、後述するように磁性流体(MR流体)(
図2及び
図3では図示を省略した)を受け入れ可能な隙間が確保されている。MR流体は、マグネタイト等の強磁性体の微細粉末が液体中に均一に分散する複合材料であり、強い磁力が作用する環境下においても粒子の凝集や固液の分離がおこらず、磁性流体全体が強磁性を有するように挙動し、磁力に応じてせん断応力(粘度)が変化するという特徴を有する。本発明には、任意の種類のMR流体を適用することができるが、オイルベースのMR流体を用いるのが好ましい。こうすれば、外部から水分が浸入してMR流体に付着しても、オイルベースであるMR流体に混ざることがない。一方、従来の制動板による摩擦力を用いた方式では、水分の付着によって制動板等の部材が劣化してドラグ性能が低下していまう。また、例えば、特開昭63−164828号公報に記載されているドラグ機構のように、磁力を作用させた磁性粉粒と回転板との摩擦力とを用いて制動力を作用させる方式では、同じく、水分の付着によって磁性粉粒が劣化してドラグ性能が低下してしまう。MR流体をオイルベースとすることにより、こうした水分の付着に伴う問題が生じないから、MR流体を収容する収容溝35a等を密閉する必要がなくなり、製造工程が複雑化することも回避できる。
【0021】
次に、
図4を参照して、固定部材36についてさらに説明する。
図4は、一実施形態における固定部材36の外観図である。図示するように、固定部材36の外壁部36aには、スプール30の回転軸方向略中央の位置に外周に沿って形成された複数の貫通孔36b1と、貫通孔36b1よりも回転軸方向後側の位置に外周に沿って形成された複数の貫通孔36b2とが形成されており、貫通孔36b2の方が貫通孔36b1よりも大きな開口面積(体積)で形成されている。このように、スプール30の回転軸方向の位置に応じて異なる大きさの貫通孔とすることにより、段階的ではないスムーズな制動力の増減調節が可能となる。
【0022】
図2に戻り、位置調整部材37は、蓋状の本体から後方に延びると共に内周面に雌ネジを有する突出部37aを有する。この突出部37aは固定部材36の中空部(内壁部36cの径方向内側)にはめ込まれている。この突出部37aと、雄ネジが形成されたスプール軸31の前側端部とが螺合している。このため、位置調整部材37を回転させると位置調整部材37のスプール30の回転軸方向の位置が移動し、位置調整部材37の蓋状の本体が当接する固定部材36の回転軸方向の位置も移動する。よって、位置調整部材37を回転操作することにより、固定部材36が有する貫通孔36b1、36b2と回転部材35が有する永久磁石39a、39b、39cとの、回転軸方向の相対的な位置を調整することができる。
【0023】
回転部材35の収容溝35aに収容されているMR流体(Magneto Rheological Fluid)は、回転部材35が有する永久磁石39に吸着される。MR流体のせん断応力は、この永久磁石39から受ける磁力の強さに応じて変化する。回転部材35にスプール軸31周りのトルクが作用すると、収容溝35a及び貫通孔36bに収容されているMR流体によって回転部材35と固定部材36との間に、MR流体に永久磁石39から作用する磁力の強さに応じたせん断抵抗が発生する。固定部材36はスプール軸31に対して回り止め固定されているので、このせん断抵抗によって、上記トルクによる回転部材35の回転が制動される。MR流体に回転部材35から作用するせん断力がMR流体によるせん断応力を超えると、回転部材35は共に回転することとなる。このように、魚釣用リール10においては、MR流体のせん断応力に応じた制動力をスプール30に対して作用させるドラグ機構が実現される。
【0024】
ここで、一実施形態の魚釣用リール10においてドラグ力を調整する機構について詳述する。まず、回転部材35の収容溝35a周辺に形成される磁界の様子を
図5を用いて説明する。
図5は、永久磁石39によって収容溝35aに形成される磁界の様子を模式的に示す説明図である。回転部材35に設けられた永久磁石39a、39b、39cは、前側(
図5の左側)がN極、後側(
図5の右側)がS極となるように配置されており、隣接する2つの磁石のうち一方の磁石が外側リング部材35bに設けられ、他方の磁石が内側リング部材35cに設けられている。
図5において点線で示すように、収容溝35aにおいては、各磁石のN極からS極へと略楕円形状に複数の磁力線(磁束)が形成される。また、スプール30の回転軸方向に隣接する磁石間の領域(永久磁石39aと永久磁石39b間の領域、及び、永久磁石39bと永久磁石39cの間の領域)においては、各磁石それぞれによって形成される方向性が同一の磁束が重複するから、その他の領域と比較して強い磁界が形成される。
【0025】
図6は、固定部材36の貫通孔36b1のスプール30の回転軸方向における位置が回転部材35の永久磁石39cの位置と略同一となり、貫通孔36b2の位置が永久磁石39bの位置と略同一となるように、回転部材35と固定部材36とのスプール30の回転軸方向の位置が調整された場合のドラグ機構(回転部材35及び固定部材36)の断面図である。また、
図7は、固定部材36の貫通孔36b1のスプール30の回転軸方向の位置が回転部材35の永久磁石39bと永久磁石39cの間の位置となり、貫通孔36b2の位置が永久磁石39aと永久磁石39bの間の位置となるように、回転部材35と固定部材36とのスプール30の回転軸方向の位置が調整された場合のドラグ機構の断面図であり、
図8はこの
図7のB−B断面図である。
図5を用いて説明したように、隣接する磁石間の領域には、他の領域と比較して強い磁界が形成されているから、固定部材36の貫通孔36bが隣接する磁石間の領域に位置する
図7の状態の方が、
図6の状態よりも、貫通孔36b内のMR流体に作用する磁力が強くなる。この結果、
図7の状態の方が、
図6の状態よりも貫通孔36b内のMR流体のせん断応力が大きくなり、スプール30に作用する制動力も大きくなる。このように、一実施形態の魚釣用リール10においては、固定部材36が有する貫通孔36bと回転部材35が有する永久磁石39との、スプール30の回転軸方向の相対的な位置を調整することにより、スプール30に対する制動力を調整することができる。この固定部材36が有する貫通孔36bと回転部材35が有する永久磁石39との相対位置の調整は、上記のように、位置調整部材37を操作することにより行われる。
【0026】
以上説明した一実施形態に係る魚釣用リール10は、スプール30の回転と連動して回転し永久磁石39を有する回転部材35と、回転部材35の収容溝35aに収容される部分に貫通孔36bが形成された外壁部36aを有し、スプール支持部材32や位置調整部材37(突出部37a)を介してスプール軸31に回り止め固定された固定部材36と、収容溝35aにおける回転部材35と固定部材36との隙間に収容されたMR流体とを備え、永久磁石39の磁力の作用によって上昇するMR流体のせん断応力に応じた制動力をスプール30に対して作用させることができる。
【0027】
また、固定部材36が有する貫通孔36bと回転部材35が有する永久磁石39との、スプール30の回転軸方向の相対的な位置を調整することにより、ドラグ力を調整することができるから、容易にドラグ力を調整することができる。
【0028】
一実施形態における魚釣用リール10では、回転部材35の外側リング部材35bに略円環状の永久磁石39bを有し、内側リング部材35cに略円環状の2つの永久磁石39a、39cを有するようにしたが、永久磁石の数や配置はこれに限定されない。また、永久磁石を電磁石とすることもできる。
【0029】
一実施形態における魚釣用リール10では、固定部材36の外壁部36aは、
図4に例示したように、スプール30の回転軸方向の位置が異なる貫通孔36b1と貫通孔36b2との大きさ(開口面積、体積)を異なるように形成したが、さらに、外周に沿って形成される複数の貫通孔の外周方向の位置に応じて貫通孔の大きさを異なるようにしてもよい。例えば、
図9に例示する変形例の固定部材36Bのように、スプール30の回転軸方向の2つの位置に外周に沿って複数の貫通孔36b1、36b2をそれぞれ形成し、この複数の貫通孔36b1、36b2それぞれについて、外周上の特定の位置の貫通孔の大きさを他の貫通孔の大きさよりも大きく(
図9の例では、周方向に縦長に)形成しても良い。このように、貫通孔の外周上の位置に応じて貫通孔の大きさを異なるようにすることにより、段階的ではないスムースな制動力の増減調節が可能となる。
【0030】
一実施形態における魚釣用リール10では、固定部材36に貫通孔36b1、36b2を形成したが、貫通孔の数、配置は例示したものに限定されない。また、形成される貫通孔の全部又は一部を、貫通しない凹部として形成してもよい。例えば、
図10に例示する変形例の固定部材36Cのように、
図2等で例示した一実施形態における固定部材36の貫通孔36b2に代えて、回転部材35の外側リング部材35b側及び内側リング部材35c側にそれぞれ開口する2つの凹部36b3、36b4を形成してもよい。このように貫通しない凹部36b3、36b4であっても、内部に流入するMR流体のせん断応力に基づくドラグ力をスプール30に対して作用させることができる。こうすることにより、貫通孔とする場合と比較して固定部材36の剛性を向上させることができる。
【0031】
一実施形態における魚釣用リール10では、永久磁石39を回転部材35に設けると共に貫通孔36bを固定部材36に設けたが、これとは逆に、貫通孔を回転部材に設けると共に永久磁石を固定部材に設けてもよい。例えば、本発明の他の実施形態に係る魚釣用リール100は、
図11に示すように、スプール30の回転と連動して回転する回転部材35Dと、スプール支持部材32及び位置調整部材37を介してスプール軸31に軸方向移動可能に回り止めされた状態で支持された固定部材36Dとを備える。この回転部材35Dには、貫通孔135b1、135b2が形成され、固定部材36Dには、永久磁石139a、139b、139cが設けられている。
【0032】
より具体的には、回転部材35Dは、前側に開口した略円筒形状を有する円筒部材135dと、この円筒部材135dの底部の径方向内側端部からスプール軸31の軸方向に延びる筒状のスカート部135eと、この円筒部材135dの底部のスカート部135eから径方向に離間した位置に設けられた筒状の壁部135aと、を備える。壁部135aには、複数の貫通孔135b1、135b2が形成されている。回転部材35Dは、非磁性体の材料からなる。
【0033】
また、固定部材36Dは、例えば鉄系の磁性体の材料から成り、略円筒状に構成されている。この固定部材36Dは、スプール軸31の周方向に延びる外壁部136aと、外壁部136aの前端から径方向内側に延びる略円板形状の底部136dと、この底部136dの径方向内側端部からスプール軸31の軸方向に延びる筒状の内壁部136cとを有する。また、底部136dには、外壁部136aと内壁部136cと略平行に延びる筒状の支持壁136fが設けられている。
【0034】
他の実施形態において、外壁部136aの径方向内側には、略円環状の永久磁石139bが設けられている。スプール軸31の軸方向において永久磁石139bの後側には、略円環状の外側リング部材136bが設けられている。外側リング部材136bは外壁部136aに嵌め込まれているため、永久磁石139bは、外壁部136aの内周面に抜け止め固定される。また、支持壁136fの外周面には、略円環状の永久磁石139a、139cが設けられている。支持壁136fの外周面において、永久磁石139aと永久磁石139cとの間には、略円環状の第1内側リング136eが設けられ、永久磁石139cの後側には第2内側リング136gが設けられている。このようにして、永久磁石139a及び永久磁石139cは、支持壁136fの外周面に抜け止め固定される。
【0035】
上述した外側リング部材136b及び永久磁石139bの内周面と、永久磁石139a、139c、第1内側リング136e、及び第2内側リング136gの外周面と、により、略円筒形状の収容溝136hが画定される。つまり、外側リング部材136b及び永久磁石139bの内周面は、収容溝136hの径方向外側の壁を形成し、永久磁石139a、139c、第1内側リング136e、及び第2内側リング136gの外周面は、収容溝136hの径方向内側の壁を形成する。この収容溝136hの前端は底部136dにより閉塞されているが、後端は開口している。収容溝136hには、不図示のMR流体が収容される。こうした構成においても、一実施形態における魚釣用リール10と同様に、MR流体のせん断応力に応じてスプール30に制動力を作用させることができる。
【0036】
一実施形態における魚釣用リール10は、一般的なスピニングリールとして機能するように構成したが、本発明を適用可能なリールの種類は特に限定されず、両軸受型リールにも適用することができる。本発明を両軸受型リールに適用する際には、例えば、回転部材35を両軸受型リールの側板間に軸支されたスプールの回転に応じて回転するように(例えば、釣糸の繰り出しで回転するドライブギヤとして)構成し、また、固定部材36をスプールの回転方向に対して軸方向移動可能に回り止め固定された部材(例えばハンドル軸)に固定すればよい。これ以外にも、本発明は、様々な態様で、両軸受型リールのドラグ装置に適用され得る。
【0037】
また、本発明は、片軸受型リールにも適用することができる。例えば、実開平5−82285号に記載された片軸受型リールの制動機構部を、本明細書で開示したドラグ機構で置き換えることにより、片軸受型リールにも本発明のドラグ装置を適用することができる。
【0038】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。