(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピボットを中心に光学モジュールを揺動させる構成の場合、ピボットから離間した位置に振れ補正用駆動機構を構成するコイルと磁石とを配置する必要がある。そのため、ピボットを中心に光学モジュールが揺動した際、光学モジュールにおいてコイルや磁石が配置された部分の変位が大きい。従って、コイルと磁石とが当接しないように、コイルと磁石とを大きく離間した位置に配置せざるを得ないため、駆動力が小さいという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、光学モジュールを揺動させる際、大きな駆動力を得ることのできる振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る振れ補正機能付き光学ユニットは、光学モジュールと、該光学モジュールの周りを囲む胴部を備えた固定体と、前記光学モジュールを光軸方向に交差する第1軸線周りに揺動可能に支持するとともに、前記光学モジュールを前記光軸方向および前記第1軸線に交差する第2軸線周りに揺動可能に支持するジンバル機構と、前記光学モジュールの側面と前記胴部の側面との間にコイルおよび磁石を備え、前記光学モジュールを前記第1軸線周りおよび前記第2軸線周りに駆動する振れ補正用駆動機構と、前記光学モジュールと前記固定体とに接続して前記振れ補正用駆動機構が停止状態にあるときの前記光学モジュールの姿勢を規定する板状バネと、を有し、前記光軸方向に対して直交する方向からみたとき、前記ジンバル機構および前記板状バネは、前記振れ補正用駆動機構と重なる位置に設けられ
、且つ、前記板状バネは前記振れ補正用駆動機構の内周側に配置され、前記ジンバル機構は、前記板状バネより、前記振れ補正用駆動機構の光軸方向の中央位置に近い位置に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、光学モジュールを揺動可能に支持するにあたってジンバル機構が用いられているとともに、光軸方向に対して直交する方向からみたとき、ジンバル機構が振れ補正用駆動機構と重なる位置に設けられている。このため、光学モジュールを揺動させた際、光学モジュールにおいてコイルや磁石が配置された部分の変位が小さいので、コイルと磁石とを近接させてもコイルと磁石とが接触しにくい。それ故、コイルと磁石とを近接させることができるので、大きな駆動力を得ることができる。また、ジンバル機構の場合、駆動を停止した際、光学モジュールを元の姿勢に戻す力が小さいか、あるいは光学モジュールを元の姿勢に戻す力がないが、本発明では、光学モジュールと固定体とに板状バネを接続したため、駆動を停止した際、光学モジュールを確実に元の姿勢に戻すことができる。また、光軸方向に対して直交する方向からみたとき、板状バネは振れ補正用駆動機構と重なる位置に設けられ
、且つ、前記板状バネは前記振れ補正用駆動機構の内周側に配置されている。このため、光学モジュールを揺動させた際、光学モジュールにおいて板状バネが配置された部分の変位が小さいので、板状バネの変形が小さい。それ故、板状バネによる抗力が小さいので、光学モジュールを揺動させる際、光学モジュールに大きな揺動力を加えることができる。また、板状バネの変形が小さいので、板状バネの構成を簡素化するこ
とができる。
【0008】
また、本発明では、光軸方向に対して直交する方向からみたとき、前記ジンバル機構は、前記板状バネより、前記振れ補正用駆動機構の光軸方向の中央位置に近い位置に設けられている
。かかる構成によれば、光学モジュールを揺動させた際、光学モジュールにおいてコイルや磁石が配置された部分の変位を小さくすることができる。それ故、コイルと磁石とを近接させることができるので、大きな駆動力を得ることができる。
【0009】
本発明において、前記ジンバル機構は、第1角部、該第1角部と隣り合う第2角部、前記第1角部から前記第1軸線方向で離間する第3角部、および前記第2角部から前記第2軸線方向で離間する第4角部を光軸周りに備えた矩形の可動枠を備え、前記可動枠の前記第1角部および前記第3角部は、前記固定体に揺動可能に支持され、前記可動枠の前記第2角部および前記第4角部は、前記光学モジュールを揺動可能に支持していることが好ましい。かかる構成によれば、ジンバル機構によって、光学モジュールを固定体に対して揺動可能に支持した場合でも、光学モジュールの側面と固定体の側面との間に振れ補正用駆動機構等を配置するスペースを確保することができる。
【0010】
本発明において、前記固定体は、前記板状バネが接続された固定体側矩形枠を有し、前記可動枠の前記第1角部および前記第3角部は、前記固定体側矩形枠に揺動可能に支持されていることが好ましい。かかる構成によれば、板状バネが接続された固定体側矩形枠を利用してジンバル機構を構成するので、組み立てを行いやすいとともに、部品点数を削減することができる。
【0011】
本発明において、前記コイルは、前記光学モジュールに保持され、前記磁石は、前記胴部の内面に保持されていることが好ましい。かかる構成によれば、磁石より軽量なコイルを光学モジュールに設けるので、振れ補正のための駆動電流が小さく済むとともに、振れ補正の応答性を向上することができる。
【0012】
本発明において、前記光学モジュールは、光学部品と、該光学部品を保持するホルダと、を有し、前記ホルダには、前記光学部品を保持する光学部品保持部と、該光学部品保持部の径方向外側で前記可動枠が配置される可動枠配置空間と、前記振れ補正用駆動機構に用いたコイルを前記可動枠配置空間の外側で保持するコイル保持部と、が設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、光軸方向からみたとき、ホルダの外形より内側にジンバル機構を設けることができる。
【0013】
本発明において、前記コイルは空芯コイルであり、前記コイル保持部は、前記コイルの開口部に嵌る凸部を有していることが好ましい。かかる構成によれば、コイルを容易かつ確実に所定位置に設けることができる。
【0014】
本発明において、前記凸部は、前記コイルの前記磁石に対向する面から当該磁石に向けて突出していることが好ましい。かかる構成によれば、衝撃等によって、光学モジュールが揺動した場合や光学モジュールが光軸方向に直交する方向に変位した場合でも、コイルが磁石に
接触しない。それ故、コイルの損傷を防止することができる。
【0015】
本発明において、前記コイル保持部は、前記第1角部と前記第2角部との中間位置の径方向外側、前記第2角部と前記第3角部との中間位置の径方向外側、前記第3角部と前記第4角部との中間位置の径方向外側、および前記第4角部と前記第1角部との中間位置に径方向外側の各々に設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、可動枠の角部からずれた角度位置にコイル保持部を設けるので、光軸方向からみたとき、ホルダの外形を小さくすることができる。
【0016】
本発明において、前記固定体は、前記胴部および該胴部の前記光軸方向の前側端部から径方向内側に張り出した枠状の端板部を備えたヨークを有し、前記端板部には、光軸方向からみたとき前記磁石の前記コイルと対向する面より径方向外側に開口縁が位置する開口部が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、光軸方向の前側において磁石の磁力線がヨークの端板部の側に向かうことを抑制することができる。それ故、コイルに鎖交する磁界の強度を大とすることができる。
【0017】
本発明において、前記ヨークの前記端板部には非磁性のカバーが固定され、前記カバーは、前記端板部の前記光軸方向の前側の面に重なる枠状の前板部と、該前板部の内縁から前記開口部を通って前記光軸方向の後側に向けて突出して前記光学モジュールの前記光軸方向の前側端部の周りを囲む筒部と、を有していることが好ましい。かかる構成によれば、塵等が内部に侵入することを抑制することができる。また、カバーは非磁性であるため、カバーを設けても、磁石の磁力線が余計な方向に向かうことを抑制することができる。それ故、コイルに鎖交する磁界の強度を大とすることができる。
【0018】
本発明において、前記前板部には、前記光軸方向の前側からみたときに前記光学モジュールの前記前側端部の周りを囲む板状ストッパが固定されていることが好ましい。かかる構成によれば、衝撃等によって、光学モジュールが揺動した場合や光学モジュールが光軸方向に直交する方向に変位した場合でも、その量を板状ストッパによって制限することができる。
【0019】
本発明において、前記光学モジュールの前記光軸方向の後側端部には前記光軸方向に対して直交する第1方向に沿って延在するフレキシブル配線基板が接続されており、前記フレキシブル配線基板は、前記光学モジュールに対して前記光軸方向で重なる部分に対して前記第1方向の一方側の位置で当該第1方向の他方側に向けて円弧状に折り曲げられた第1湾曲部と、該第1湾曲部から前記第1方向の前記他方側に延在する帯状部と、該帯状部において前記光学モジュールに対して前記光軸方向で重なる部分に対して前記第1方向の前記他方側に位置する端部で前記第1方向の前記一方側に向けて円弧状に折り曲げられた第2湾曲部と、が設けられ、かつ、前記第1湾曲部、前記帯状部および前記第2湾曲部は、前記第1方向に沿って延在するスリットによって、前記光軸方向および前記第1方向に直交する第2方向において2つに分岐されていることが好ましい。
【0020】
本発明では、前記ジンバル機構において、前記第1角部と前記固定体との間に設けられた揺動支持部、および前記第3角部と前記固定体との間に設けられた揺動支持部は各々、前記可動枠および前記固定体のうちの一方側に設けられた突部と、他方側で当該突部の先端側を受ける凹状の受け部とを備え、前記第2角部と前記光学モジュールとの間に設けられた揺動支持部、および前記第4角部と前記光学モジュールとの間に設けられた揺動支持部は各々、前記可動枠および前記光学モジュールのうちの一方側に設けられた突部と、他方側で当該突部の先端側を受ける凹状の受け部と、を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、軸体を介して揺動可能にした構成と比較して組み立て工程を簡素化することができる。
【0021】
本発明において、前記突部は、前記受け部側に位置する先端面が半球状であることが好ましい。かかる構成によれば、可動枠や光学モジュールが揺動していずれの姿勢になったときでも、突部と受け部との摺動がスムーズである。
【0022】
この場合、前記突部は、例えば、球体により構成することができる。
【0023】
本発明において、前記可動枠は、前記第1角部と前記第2角部とを連結する第1連結部、前記第2角部と前記第3角部とを連結する第2連結部、前記第3角部と前記第4角部とを連結する第3連結部、および前記第4角部と前記第1角部とを連結する第4連結部が弾性変形可能であり、前記第1角部、前記第2角部、前記第3角部および前記第4角部のいずれにおいても、前記第1連結部、前記第2連結部、前記第3連結部および前記第4連結部の弾性によって、前記突部と前記受け部とが弾性をもって接していることが好ましい。かかる構成によれば、突部と受け部との間でガタツキが発生しにくい。
【0024】
この場合、前記第1連結部、前記第2連結部、前記第3連結部、および前記第4連結部は、光軸方向に交差する方向に蛇行する蛇行部を備えている構成を採用することができる。
【0025】
本発明において、前記複数の突部はいずれも、前記可動枠の側に設けられている構成を採用することができる。かかる構成によれば、ジンバル機構の構成を簡素化することができる。
【0026】
本発明において、前記複数の突部はいずれも、前記光軸に交差する同一平面内に位置していることが好ましい。かかる構成によれば、ジンバル機構の構成を簡素化することができる。
【0027】
本発明において、前記複数の突部はいずれも、前記可動枠の内側に設けられ、前記複数の受け部のうち、前記第1角部および前記第3角部に設けられた2つの受け部は、前記固定体側から光軸方向に突出して前記可動枠の内側に位置する部分に形成され、前記第2角部および前記第4角部に設けられた2つの受け部は、前記光学モジュール側から光軸方向に突出して前記可動枠の内側に位置する部分に形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、複数の突部が光軸に交差する同一平面内に位置する場合でも、突部と受け部とを適正に当接させることができる。
【0028】
本発明において、前記複数の受け部のうち、前記第1角部および前記第3角部に設けられた2つの受け部は、前記可動枠に対して光軸方向の一方側位置から光軸方向の他方側に突出して前記可動枠の内側に位置する部分に形成され、前記第2角部および前記第4角部に設けられた2つの受け部は、前記可動枠に対して光軸方向の他方側位置から光軸方向の一方側に突出して前記可動枠の内側に位置する部分に形成されていることが好ましい。
【0029】
本発明において、前記複数の受け部のうち、前記第1角部および前記第3角部に設けられた2つの受け部は各々、前記固定体側に固定された板状部材に形成され、前記第2角部および前記第4角部に設けられた2つの受け部は各々、前記光学モジュール側に固定された板状部材に形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、固定体や光学モジュールの構造や材質にかかわらず、受け部を突部との摺動性や耐久性に優れた構造とすることができる。
【0030】
本発明において、前記固定体は、前記複数の突部のうち、前記第1角部および前記第3角部に設けられた2つの突部を各々、両脇から囲む2つの壁面と、前記第1角部および前記第3角部に設けられた2つの突部を各々、前記光軸方向の両側から囲む2つの壁面と、を有し、前記光学モジュールは、前記複数の突部のうち、前記第2角部および前記第4角部に設けられた2つの突部を各々、両脇から囲む2つの壁面と、前記第2角部および前記第4角部に設けられた2つの突部を各々、前記光軸方向の両側から囲む2つの壁面と、を有していることが好ましい。かかる構成によれば、衝撃が加わっても、突部が受け部から外れにくい。
【発明の効果】
【0031】
本発明では、光学モジュールを揺動可能に支持するにあたってジンバル機構が用いられているとともに、光軸方向に対して直交する方向からみたとき、ジンバル機構が振れ補正用駆動機構と重なる位置に設けられている。このため、光学モジュールを揺動させた際、光学モジュールにおいてコイルや磁石が配置された部分の変位が小さいので、コイルと磁石とを近接させてもコイルと磁石とが接触しにくい。それ故、コイルと磁石とを近接させることができるので、大きな駆動力を得ることができる。また、ジンバル機構の場合、駆動を停止した際、光学モジュールを元の姿勢に戻す力が小さいか、あるいは光学モジュールを元の姿勢に戻す力がないが、本発明では、光学モジュールと固定体とに板状バネを接続したため、駆動を停止した際、光学モジュールを確実に元の姿勢に戻すことができる。また、光軸方向に対して直交する方向からみたとき、板状バネは振れ補正用駆動機構と重なる位置に設けられ
、且つ、前記板状バネは前記振れ補正用駆動機構の内周側に配置されている。このため、光学モジュールを揺動させた際、光学モジュールにおいて板状バネが配置された部分の変位が小さいので、板状バネの変形が小さい。それ故、板状バネによる抗力が小さいので、光学モジュールを揺動させる際、光学モジュールに大きな揺動力を加えることができる。また、板状バネの変形が小さいので、板状バネの構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、撮像ユニットの手振れを防止するための構成を例示する。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を各々X軸、Y軸、Z軸とし、光軸L(レンズ光軸/光学素子の光軸)に沿う方向をZ軸とする。また、以下の説明では、各方向の振れのうち、X軸周りの回転は、いわゆるピッチング(縦揺れ)に相当し、Y軸周りの回転は、いわゆるヨーイング(横揺れ)に相当し、Z軸周りの回転は、いわゆるローリングに相当する。また、X軸の一方側には+Xを付し、他方側には−Xを付し、Y軸の一方側には+Yを付し、他方側には−Yを付し、Z軸の一方側(被写体側とは反対側/光軸方向後側)には+Zを付し、他方側(被写体側/光軸方向前側)には−Zを付して説明する。
【0034】
(撮影用の光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットを携帯電話機等の光学機器に搭載した様子を模式的に示す説明図である。
【0035】
図1に示す光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)は、カメラ付き携帯電話機等の光学機器1000に用いられる薄型カメラであって、光学機器1000のシャーシ2000(機器本体)に支持された状態で搭載される。かかる光学ユニット100では、撮影時に光学機器1000に手振れ等の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。そこで、本形態の光学ユニット100には、後述するように、撮像ユニット1を備えた光学モジュール10を固定体20内で揺動可能に支持するとともに、光学ユニット100に搭載したジャイロスコープ、あるいは光学機器1000の本体側に搭載したジャイロスコープ等の振れ検出センサによって手振れを検出した結果に基づいて、撮像ユニット1を揺動させる振れ補正用駆動機構(
図1では図示せず)が設けられている。また、光学ユニット100には、撮像ユニット1や振れ補正用駆動機構への給電等行うためのフレキシブル配線基板1900が引き出されており、かかるフレキシブル配線基板1900は、光学機器1000の本体側に設けられた上位の制御部等に電気的に接続されている。また、フレキシブル配線基板1900は、撮像ユニット1から信号を出力する機能も担っている。本形態において、光軸Lの方向からみたとき、レンズ1aは円形であるが、光学モジュール10は角形である。
【0036】
(光学ユニット100の概略構成)
図2は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の外観等を示す斜視図であり、
図2(a)、(b)は、光学ユニットを被写体側からみたときの斜視図、および光学ユニットの分解斜視図である。
図3は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の断面構成を示す説明図であり、
図3(a)、(b)は、光学ユニットのXZ断面図、および光学ユニットのYZ断面図である。
図4は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100をさらに細かく分解したときの分解斜視図である。
【0037】
図2、
図3および
図4において、本形態の光学ユニット100は、固定体20と、光学モジュール10と、光学モジュール10が固定体20に対して変位可能に支持された状態とするジンバル機構30と、光学モジュール10と固定体20との間で光学モジュール10を固定体20に対して相対変位させる磁気駆動力を発生させる振れ補正用駆動機構500とを有している。
【0038】
固定体20は上ケース1200を備えており、上ケース1200は、光学モジュール10の周りを囲む角筒状胴部1210(胴部)と、角筒状胴部1210のZ軸方向の他方側−Zの端部から径方向内側に張り出した矩形枠状の端板部1220とを備えている。端板部1220には開口部1221が形成されている。上ケース1200において、角筒状胴部1210は、被写体側(光軸Lが延在している側)とは反対側(+Z側)で径方向外側に広がる矩形枠状のフランジ部1218と、矩形枠状のフランジ部1218の外縁からZ軸方向の一方側+Zに延在した角筒部1219とを有している。
【0039】
(振れ補正用駆動機構500の構成)
振れ補正用駆動機構500は、板状の磁石1520とコイル1560とを利用した磁気駆動機構である。ここで、コイル1560は、光学モジュール10に保持され、磁石1520は、上ケース1200の角筒状胴部1210の4つの側板部1211の内面に保持されている。本形態において、磁石1520は、外面側および内面側が異なる極に着磁されている。また、磁石1520は、光軸方向に2つに分割されており、コイル1560の側に位置する磁極が異なるように着磁されている。このため、コイル1560は、上下の長辺部分が有効辺として利用される。なお、4つの磁石1520は、外面側および内面側に対する着磁パターンが同一である。このため、周方向で隣り合う磁石1520同士が吸着し合うことがないので、組み立て等が容易である。
【0040】
ここで、上ケース1200は磁性材料から構成されており、磁石1520に対するヨークとして機能する。また、上ケース1200の端板部1220には、光軸L方向からみたとき磁石1520のコイル1560と対向する面より径方向外側に開口縁が位置する開口部1221が形成されているため、光軸L方向の前側において磁石1520の磁力線が上ケース1200(ヨーク)の端板部1220の側に向かうことを抑制することができる。
【0041】
(光学モジュール10の構成)
光学モジュール10は、撮像ユニット1と、撮像ユニット1のレンズ1a(光学部品)を保持するホルダ1110と、ホルダ1110のZ軸方向の一方側+Zの端部に固定された回路モジュール1090とを有している。
【0042】
ホルダ1110は、光学モジュール10の外周部分を構成しており、概ね、レンズ1aを保持する筒状の光学部品保持部1120と、光学部品保持部1120のZ軸方向の一方側+Zの端部で拡径する肉厚のフランジ部1130とを有している。ホルダ1110には、光学部品保持部1120およびフランジ部1130を貫通する貫通穴1111が形成されており、貫通穴1111は、フランジ部1130の内側に位置する部分が、光学部品保持部1120の内側に位置する部分より大径になっている。
【0043】
また、ホルダ1110には、光学部品保持部1120の径方向外側には、ジンバル機構30の可動枠32が配置された可動枠配置空間1140と、コイル1560を可動枠配置空間1140の外側で保持するコイル保持部1150とが設けられている。コイル保持部1150は、可動枠配置空間1140の径方向外側でフランジ部1130の外縁からZ軸方向の他方側−Zに向けて起立した部分からなり、周方向の4個所に形成されている。コイル保持部1150は、フランジ部1130の外縁からZ軸方向の他方側−Zに向けて起立した板状部1151と、板状部1151から径方向外側に突出した凸部1152からなる。ここで、コイル1560は、空芯コイルであり、開口部に凸部1152が嵌った状態で、コイル保持部1150に接着されている。この状態で、凸部1152は、コイル1560の外面(磁石1520と対向する面)から一部が突出している。
【0044】
このように構成した光学モジュール10において、光学モジュール10のZ軸方向の一方側+Zの端部(回路モジュール1090のZ軸方向の一方側+Zの端部)にはフレキシブル配線基板1900が接続されている。フレキシブル配線基板1900は、Y軸方向に沿って延在し、光学ユニット100の外部まで引き出されている。光学ユニット100の外部において、フレキシブル配線基板1900の端部にはコネクタ1990が接続されており、コネクタ1990およびフレキシブル配線基板1900を介してコイル1560への給電が行われる。また、撮像素子1bでの撮像結果は、フレキシブル配線基板1900およびコネクタ1990を介して出力される。
【0045】
(固定体20の詳細構成)
固定体20は、上ケース1200のZ軸方向の一方側+Zを覆う矩形の下ケース1400を有している。下ケース1400は、矩形の底板部1420と、底板部1420の4つの角からZ軸方向の他方側−Zに向けて突出した柱状部1410とを備えており、下ケース1400を覆うように上ケース1200を被せると、上ケース1200のフランジ部1218が柱状部1410に当接する。従って、フランジ部1218と柱状部1410とをネジによって止めることにより、上ケース1200と下ケース1400とを固定することができる。なお、下ケース1400において、X軸方向の一方側+XおよびY軸方向の他方側−Yには側板部1440が設けられている。
【0046】
また、固定体20は、Z軸方向の他方側−Zにカバー1600および板状ストッパ1700を有している。カバー1600は、非磁性の金属板であり、上ケース1200の端板部1220のZ軸方向の他方側−Zの面に重なる矩形枠状の前板部1610と、前板部1610の内縁から上ケース1200の開口部1221を通ってZ軸方向の一方側+Z(光軸方向の後側)に向けて突出して光学モジュール10のZ軸方向の一方側+Zの端部の周りを囲む角筒状の筒部1620と、筒部1620のZ軸方向の一方側+Zの端部から径方向内側に張り出した矩形枠状の後板部1630とを有している。
【0047】
また、固定体20は、カバー1600の前板部1610に固定された板状ストッパ1700を有しており、板状ストッパ1700は、光学モジュール10のZ軸方向の他方側−Zの端部の周りを囲んでいる。より具体的には、板状ストッパ1700の中央には、光学モジュール10のZ軸方向の他方側−Zの端部が貫通した窓1710が形成されており、かかる窓1710の内径寸法は、光学モジュール10のZ軸方向の他方側−Zの端部の外径寸法より大である。従って、光学モジュール10のX軸方向における可動範囲およびY軸方向における可動範囲は、板状ストッパ1700によって規定されている。
【0048】
(フレキシブル配線基板1900の構成)
本形態の光学ユニット100において、下ケース1400の底板部1420には、開口部1421が形成されており、光学モジュール10のZ軸方向の一方側+Zの端部に接続されたフレキシブル配線基板1900は、開口部1421を介して光学ユニット100の外部に引き出されている。
【0049】
ここで、フレキシブル配線基板1900は、光学モジュール10に対してZ軸方向の一方側+Zの端部に接続された後、まず、Y軸方向(第1方向)の一方側+Yに引き出され、その後、下ケース1400の底板部1420の開口部1421から外部に引き出されて、さらに、Y軸方向の一方側+Yに延在している。その間、フレキシブル配線基板1900には、光学モジュール10に対してZ軸方向の一方側+Zで重なる部分に対してY軸方向の一方側+Yの位置でY軸方向の他方側−Yに向けて円弧状に折り曲げられた第1湾曲部1910と、第1湾曲部1910からY軸方向の他方側−Yに延在する帯状部1930と、帯状部1930において光学モジュール10に対してZ軸方向の一方側+Zで重なる部分に対してY軸方向の他方側−Yに位置する端部でY軸方向の一方側+Yに向けて円弧状に折り曲げられた第2湾曲部1920とが設けられている。ここで、第1湾曲部1910と第2湾曲部1920とは同一の曲率半径をもって湾曲している。
【0050】
また、フレキシブル配線基板1900は、第1湾曲部1910、帯状部1930および第2湾曲部1920は、Y軸方向に沿って延在するスリット1950によって、X軸方向(第2方向)において2つに分岐されている。
【0051】
(ジンバル機構30の構成)
図5は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100のジンバル機構等の斜視図であり、
図5(a)、(b)、(c)、(d)は、ホルダにジンバル機構を設けた状態の斜視図、ホルダから可動枠や固定体側矩形枠を分離させた状態の斜視図、ホルダから固定体側矩形枠を分離させた状態の斜視図、および固定体側矩形枠の第1角部の斜視図である。
図6は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100のジンバル機構等の分解斜視図である。
図7は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100のジンバル機構に用いた部材の平面構成を示す説明図であり、
図7(a)、(b)は、受け部を備えた板状部材と可動枠との平面的な位置関係を示す説明図、および受け部を備えた板状部材を可動枠から外した状態の平面的な構成を示す説明図である。なお、
図7では、図面に向かって左側から右側に向かってホルダ、可動枠および固定体側矩形枠を並べて示してある。
【0052】
本形態の光学ユニット100において、手振れを補正するには、光学モジュール10を光軸L方向に交差する第1軸線L1に揺動可能に支持するとともに、光学モジュール10を光軸L方向および第1軸線L1に交差する第2軸線L2周りに揺動可能に支持する必要があるため、光学モジュール10と固定体20との間には、
図5〜
図7を参照して以下に説明するジンバル機構30が構成されている。
【0053】
本形態では、
図5〜
図7に示すジンバル機構30を構成するにあたって、光学モジュール10のホルダ1110、矩形の可動枠32、および上ケース1200(固定体20)に溶接や接着等により固定された矩形枠25(固定体側矩形枠)を用いる。
【0054】
本形態において、可動枠32は、光軸L周りに第1角部321、第2角部322、第3角部323および第4角部324を有しており、第1角部321と第2角部322との間、第2角部322と第3角部323との間、第3角部323と第4角部324との間、および第4角部324と第1角部321との間に第1連結部326(第1辺部)、第2連結部327(第2辺部)、第3連結部328(第3辺部)および第4連結部329(第4辺部)を有している。
【0055】
ここで、可動枠32の第1角部321、第2角部322、第3角部323および第4角部324の内側には金属製の球体38が溶接等によって固定されており、かかる球体38は、径方向内側に半球状の凸面を向ける突部38a、38bを構成している。従って、複数の突部38a、38bはいずれも、光軸Lに交差する同一平面内(XY面内)に位置している。
【0056】
本形態において、第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329は、各々の延在方向およびZ軸方向に対して直交する方向に湾曲した蛇行部326a、327a、328a、329aを有している。
【0057】
また、上ケース1200(固定体20)の端板部1220にはカバー1600が固定されているとともに、カバー1600の後板部1630のZ軸方向の一方側+Zの面には、溶接や接着等により矩形枠25が固定されている。矩形枠25は、光軸L周りに第1角部251、第2角部252、第3角部253および第4角部254を有しており、第1角部251と第2角部252との間、第2角部252と第3角部253との間、第3角部253と第4角部254との間、および第4角部254と第1角部251との間に第1辺部256、第2辺部257、第3辺部258および第4辺部259を有している。
【0058】
ここで、第1辺部256および第1連結部326は、X軸方向の一方側+XでY軸方向に延在し、第3辺部258および第3連結部328は、X軸方向の他方側−XでY軸方向に延在している。また、第2辺部257および第2連結部327は、Y軸方向の一方側+YでX軸方向に延在し、第4辺部259および第4連結部329は、Y軸方向の他方側−YでX軸方向に延在している。従って、第1角部251、321は、X軸方向の一方側+XかつY軸方向の他方側−Yに位置し、第2角部252、322は、X軸方向の一方側+XかつY軸方向の一方側+Yに位置し、第3角部253、323は、X軸方向の他方側−XかつY軸方向の一方側+Yに位置し、第4角部254、324は、X軸方向の他方側−XかつY軸方向の他方側−Yに位置している。
【0059】
また、矩形枠25は、第1角部251および第3角部253(光軸L方向の一方側)からZ軸方向の一方側+Z(光軸L方向の他方側)に突出した支持板部255を有している。本形態において、支持板部255は、周方向の両脇で対向する壁面255a、255bを有しており、壁面255a、255bの間は、径方向外側に向かって開口する凹部になっている。また、壁面255a、255bの間は、径方向内側が壁面255dによって塞がれている。
【0060】
ここで、壁面255a、255bの間には、L字形状に折り曲げられた板状部材33が固定されており、板状部材33は、Z軸方向において、コイル保持部1150と同じ高さ位置にある。本形態において、板状部材33は、Z軸方向に延在する第1板部331と、第1板部331のZ軸方向の一方側+Zの端部で径方向外側に向けて折れ曲がった第2板部332とを有しており、第1板部331が矩形枠25に形成された支持板部255の壁面255dおよび壁面255a、255bに固定されている。従って、矩形枠25の第1角部251および第3角部253には、板状部材33の第2板部332と、支持板部255の壁面255dおよび壁面255a、255bと、支持板部255の壁面255cによって周囲が囲まれて径方向外側に向けて開口する凹部が形成され、かかる凹部の径方向内側に板状部材33の第1板部331が位置する。本形態では、第1板部331の径方向外側の面には半球状に凹んだ受け部280が形成されている。
【0061】
また、光学モジュール10に用いたホルダ1110において、Z軸方向の一方側+Z(光軸L方向の他方側)からZ軸方向の他方側−Z(光軸L方向の一方側)に向けて突出した光学部品保持部1120の外周側において、X軸方向の一方側+XかつY軸方向の一方側+Y、およびX軸方向の他方側−XかつY軸方向の他方側−Yには凹部1160が形成されており、Z軸方向において、凹部1160は、コイル保持部1150と同じ高さ位置にある。
【0062】
凹部1160は、両枠が壁面1161、1162で囲まれ、Z軸方向の一方側+Zは壁面1163で塞がれている。また、凹部1160の径方向内側は、光学部品保持部1120の外面で塞がれている。
【0063】
ここで、凹部1160の内側には、L字形状に折り曲げられた板状部材34が固定されており、板状部材34は、Z軸方向において、コイル保持部1150と同じ高さ位置にある。本形態において、板状部材34は、Z軸方向に延在する第1板部341と、第1板部341のZ軸方向の他方側−Zの端部で径方向外側に向けて折れ曲がった第2板部342とを有しており、第1板部341が凹部1160の壁面1161、1162、および光学部品保持部1120の外面に固定されている。従って、ホルダ1110には、ホルダ1110の壁面1161、1162、1163と、板状部材34の第2板部342とによって周囲が囲まれて径方向外側に向けて開口する凹部が形成され、かかる凹部の径方向内側に板状部材34の第1板部341が位置する。本形態では、第1板部341の径方向外側の面には半球状に凹んだ受け部480が形成されている。
【0064】
このように構成した矩形枠25、可動枠32、およびホルダ1110を用いて、光学モジュール10を光軸L方向に交差する第1軸線L1周りに揺動可能に支持するとともに、光学モジュール10を光軸L方向および第1軸線L1に交差する第2軸線L2周りに揺動可能に支持する。
【0065】
より具体的には、可動枠32の第1角部321と矩形枠25の第1角部251との揺動支持部、および可動枠32の第3角部323と矩形枠25の第3角部253との揺動支持部では、矩形枠25に設けた板状部材33が可動体32の第1角部321および第3角部323の内側に位置することにより、突部38aが受け部280で支持される。その結果、可動枠32において第1軸線L1上に位置する第1角部321および第3角部323が矩形枠25(固定体20)の第1角部251および第3角部253に揺動可能に支持される。
【0066】
より具体的には、可動枠32の第2角部322とホルダ1110との揺動支持部、および可動枠32の第4角部324とホルダ1110との揺動支持部では、ホルダ1110に設けた板状部材34が、可動枠32の第2角部322および第4角部324の内側に位置することにより、突部38bが受け部480で支持される。その結果、可動枠32において第2軸線L2上に位置する第2角部322および第4角部324は、ホルダ1110(光学モジュール10)を揺動可能に支持する。
【0067】
このようにして、光学モジュール10は、ジンバル機構30に用いた可動枠32を介して、固定体20に第1軸線L1周りに揺動可能に支持されるとともに、第2軸線L2周りに揺動可能に支持される。また、可動枠32および板状部材33、34はいずれも、コイル保持部1150と同じ高さ位置にある。このため、光軸L方向に対して直交する方向からみたとき、ジンバル機構30は、振れ補正用駆動機構500と重なる位置に設けられている。特に本形態では、光軸L方向に対して直交する方向からみたとき、ジンバル機構30は、振れ補正用駆動機構500のZ軸方向の中心と重なる位置に設けられている。
【0068】
ここで、可動枠32は、バネ性を有する金属材料等で構成されており、光学モジュール10の自重では下方に撓まないが、外部から衝撃が加わった際、衝撃を吸収可能なバネ性を有している。また、可動枠32は、第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329が各々、内側および外側に弾性変形可能である。このため、第1角部321、第2角部322、第3角部323および第4角部324のいずれにおいても、第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329の弾性によって、突部38a、38bと受け部280、480とが弾性をもって接している。従って、突部38a、38bと受け部280、480との間にガタつきが発生しない。
【0069】
(板状バネ70の構成)
本形態の光学モジュール10は、光学モジュール10と固定体20とに接続して、振れ補正用駆動機構500が停止状態にあるときの光学モジュール10の姿勢を規定する板状バネ70を有している。本形態において、板状バネ70は、金属板を所定形状に加工したバネ部材であり、矩形枠状の固定体側連結部71と、円環状の可動体側連結部72と、固定体側連結部71と可動体側連結部72とを連結する板バネ部73とを有している。本形態において、板バネ部73は、固定体側連結部71の角部分から周方向の一方側から他方側に折り返しながら可動体側連結部72まで延在している。
【0070】
ここで、固定体側連結部71は、矩形枠25のZ軸方向の他方側−Zの面に固定され、可動体側連結部72は、ホルダ1110の光学部品保持部1120のZ軸方向の他方側−Zの端面1121に溶接や接着等により固定されている。本形態において、光学部品保持部1120のZ軸方向の他方側−Zの端面1121には、内縁に沿って円環状の凸部1123が形成されており、かかる凸部1123の径方向外側に可動体側連結部72が嵌った状態にある。
【0071】
ここで、板状バネ70も、光軸L方向に対して直交する方向からみたとき、振れ補正用駆動機構500と重なる位置に設けられている。但し、光軸L方向に対して直交する方向からみたとき、ジンバル機構30は、振れ補正用駆動機構500のZ軸方向の中心と重なる位置に設けられているのに対して、板状バネ70は、振れ補正用駆動機構500のZ軸方向の中心と重なる位置よりZ軸方向の他方側−Zに位置する。従って、光軸L方向に対して直交する方向からみたとき、ジンバル機構30は、板状バネ70より、振れ補正用駆動機構500の光軸L方向の中央位置に近い位置に設けられている。
【0072】
(フォトリフレクタ590の構成)
図3(b)に示すように、本形態の光学ユニット100では、フレキシブル配線基板1900のうち、光学モジュール10のZ軸方向の一方側+Zで重なる部分には、Z軸方向の一方側+Zに向けてフォトリフレクタ590が実装されている。また、下ケース1400の底板部1420のZ軸方向の他方側−Zの面には、フォトリフレクタ590と対向する位置に反射板1490が形成されている。本形態において、反射板1490は、ブロック状の金属部品であり、Z軸方向の寸法(厚さ)が大である。従って、フォトリフレクタ590と反射板1490との距離が短いので、検出感度が高い。
【0073】
(振れ補正用駆動機構500等の構成および基本動作)
本形態の光学ユニット100において、
図1に示す光学機器1000が振れると、かかる振れはジャイロスコープ等によって検出され、制御用IC(図示せず)は、振れ補正用駆動機構500を制御する。すなわち、ジャイロスコープで検出した振れを打ち消すような駆動電流を空芯コイル560に供給する。その際、4つの空芯コイル560のうちの一部に通電し、他の空芯コイル560には通電しない。または、4つの空芯コイル560の全てに通電するが、4つの空芯コイル560に供給する電流バランスを制御する。その結果、光学モジュール10は、第1軸線L1周りまたは第2軸線L2周りに揺動し、手振れが補正される。あるいは、光学モジュール10は、第1軸線L1周りに揺動するとともに、第2軸線L2周りに揺動し、手振れが補正される。その際、第2フォトリフレクタ590は、光学モジュール10との距離(変位)を検出し、振れ補正用駆動機構500は、フォトリフレクタ590での検出結果に基づいて制御される。
【0074】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学ユニット100では、光学モジュール10と固定体20の角筒状胴部1210との間に矩形の可動枠32を配置し、かかる可動枠32の第1角部321および第3角部323が固定体20に揺動可能に支持された構造とし、可動枠32の第2角部322および第4角部324が光学モジュール10を揺動可能に支持している構造としてある。このため、ジンバル機構30によって、光学モジュール10を固定体20に対して揺動可能に支持した場合でも、光学モジュール10の側面と固定体20の側面との間のうち、可動枠32の第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329の近傍に振れ補正用駆動機構500等を配置するスペースを確保することができる。
【0075】
また、本形態では、光軸L方向に対して直交する方向からみたとき、ジンバル機構30が振れ補正用駆動機構500と重なる位置に設けられている。このため、光学モジュール10を揺動させた際、光学モジュール10においてコイル1560や磁石1520が配置された部分の変位が小さいので、コイル1560と磁石1520とを近接させてもコイル1560と磁石1520とが接触しにくい。それ故、コイル1560と磁石1520とを近接させることができるので、大きな駆動力を得ることができる。また、ジンバル機構30の場合、駆動を停止した際、光学モジュール10を元の姿勢に戻す力が小さいか、あるいは光学モジュール10を元の姿勢に戻す力がないが、本形態では、光学モジュール10と固定体20とに板状バネ70を接続したため、駆動を停止した際、光学モジュール10を確実に元の姿勢に戻すことができる。また、光軸L方向に対して直交する方向からみたとき、板状バネ70は振れ補正用駆動機構500と重なる位置に設けられている。このため、光学モジュール10を揺動させた際、光学モジュール10において板状バネ70が配置された部分の変位が小さいので、板状バネ70の変形が小さい。それ故、板状バネ70による抗力が小さいので、光学モジュール10を揺動させる際、光学モジュール10に大きな揺動力を加えることができる。また、板状バネ70の変形が小さいので、板状バネ70の構成を簡素化することができる。
【0076】
また、光軸L方向に対して直交する方向からみたとき、ジンバル機構30は、板状バネ70より、振れ補正用駆動機構500の光軸L方向の中央位置に近い位置に設けられている。このため、光学モジュール10を揺動させた際、光学モジュール10においてコイル1560や磁石1520が配置された部分の変位を小さくすることができる。それ故、コイル1560と磁石1520とを近接させることができるので、大きな駆動力を得ることができる。
【0077】
また、固定体20は、板状バネ70が接続された矩形枠25(固定体側矩形枠)を利用してジンバル機構30を構成するので、組み立てを行いやすいとともに、部品点数を削減することができる。
【0078】
また、コイル1560は、光学モジュール10に保持され、磁石1520は、固定体20の角筒状胴部1210の内面に保持されている。このため、磁石1520より軽量なコイル1560を光学モジュール10に設けるので、振れ補正のための駆動電流が小さく済むとともに、振れ補正の応答性を向上することができる。
【0079】
さらに、光学モジュール10において、ホルダ1110には、光学部品保持部1120と、光学部品保持部1120の径方向外側で可動枠32が配置される可動枠配置空間1140と、コイル1560を可動枠配置空間1140の外側で保持するコイル保持部1150とが設けられている。このため、光軸L方向からみたとき、ホルダ1110の外形より内側にジンバル機構30を設けることができる。また、コイル1560は空芯コイルであり、コイル保持部1150は、コイル1560の開口部に嵌る凸部1152を有している。従って、コイル1560を容易かつ確実に所定位置に設けることができる。また、凸部1152は、コイル1560の磁石1520に対向する面から磁石1520に向けて突出している。それ故、衝撃等によって、光学モジュール10が揺動した場合や光学モジュール10が光軸L方向に直交する方向に変位した場合でも、コイル1560が磁石1520に
接触しない。それ故、コイル1560の損傷を防止することができる。
【0080】
また、コイル保持部1150は、可動枠32の第1連結部326、第2連結部327、第3連結部328および第4連結部329の中間位置の径方向外側に設けられている。従って、可動枠32の第1角部321、第2角部322、第3角部323および第4角部324からずれた角度位置にコイル保持部1150を設けるので、光軸L方向からみたとき、ホルダ1110の外形を小さくすることができる。
【0081】
また、上ケース1200の端板部1220には、光軸L方向からみたとき磁石1520のコイル1560と対向する面より径方向外側に開口縁が位置する開口部1221が形成されているため、光軸L方向の前側において磁石1520の磁力線が上ケース1200(ヨーク)の端板部1220の側に向かうことを抑制することができる。それ故、コイル1560に鎖交する磁界の強度を大とすることができる。
【0082】
また、上ケース1200の端板部1220には非磁性のカバー1600が固定され、カバー1600は、端板部1220に重なる前板部1610の内縁から上ケース1200の開口部1221を通って光軸L方向の後側に向けて突出して光学モジュール10の光軸L方向の前側端部の周りを囲む筒部1620を有している。従って、塵等が内部に侵入することを抑制することができる。また、カバー1600は非磁性であるため、カバー1600を設けても、磁石1520の磁力線が余計な方向に向かうことを抑制することができる。それ故、コイル1560に鎖交する磁界の強度を大とすることができる。
【0083】
また、カバー1600の前板部1610には、光軸L方向の前側からみたときに光学モジュール10の光軸L方向の前側端部の周りを囲む板状ストッパ1700が固定されている。従って、衝撃等によって、光学モジュール10が揺動した場合や光学モジュール10が光軸方向に直交する方向に変位した場合でも、その量を板状ストッパ1700によって制限することができる。また、板状ストッパ1700は、光学モジュール10の光軸L方向の前側端部との当接によって光学モジュール10の変位を制限するため、光学モジュール10の揺動中心から離間している。このため、コイル1560と磁石1520との当接等によって光学モジュール10の変位を制限する場合に比して、部品の取り付け精度等の影響を受けにくいので、変位許容量を精度よく設定することができる。
【0084】
また、光学モジュール10に接続されたフレキシブル配線基板1900は、Y方向に沿って延在する部分の途中に円弧状に折り曲げられた第1湾曲部1910および第2湾曲部1920を備えている。光学モジュール10がY方向に揺動しても、フレキシブル配線基板1900が光学モジュール10に大きな抗力を加えない。また、第1湾曲部1910および第2湾曲部1920は逆向きで湾曲し、しかも、第1湾曲部1910と第2湾曲部1920とは同一の曲率半径をもって湾曲している。従って、光学モジュール10がY方向に揺動した際、第1湾曲部1910と第2湾曲部1920とにおいて、光学モジュール10に加える抗力を相殺することができる。また、フレキシブル配線基板1900は、第1湾曲部1910、帯状部1930および第2湾曲部1920は、Y方向(第1方向)に沿って延在するスリット1950によって、X方向(第2方向)において2つに分岐されている。従って、光学モジュール10がX方向に揺動しても、フレキシブル配線基板1900が光学モジュール10に大きな抗力を加えない。
【0085】
また、ジンバル機構30では、突部38a、38bを凹状の受け部280、480が支持している構造であるため、軸体を介して揺動可能にした構成と比較して組み立て工程を簡素化することができる。しかも、突部38a、38bは、受け部280、480側に位置する先端面が半球状であるため、可動枠32や光学モジュール10が揺動していずれの姿勢になったときでも、突部38aと受け部280、480との摺動がスムーズである。また、可動枠32の弾性によって、突部38a、38bと受け部280、480とが弾性をもって接している。従って、突部38a、38bと受け部280、480との間でガタツキが発生しにくい。
【0086】
また、複数の突部38a、38bはいずれも、可動枠32の側に設けられている。また、複数の突部38a、38bはいずれも、光軸Lに交差する同一平面内に位置している。従って、ジンバル機構30の構成を簡素化することができる。
【0087】
また、受け部280、480は各々、固定体20やホルダ1110とは別体の板状部材33、34に形成されている。従って、固定体20や光学モジュール10のホルダ1110の構造や材質にかかわらず、受け部280、480を突部38a、38bとの摺動性や耐久性に優れた構造とすることができる。
【0088】
また、可動枠32の第1角部321、および第3角部323に設けられた突部38aは、固定体20側の壁面255a、255b、255cおよび板状部材33の第2板部332(壁面)によって周りが囲まれている。また、可動枠32の第2角部322、および第4角部324に設けられた突部38bは、光学モジュール側の壁面1161、1162、1163および板状部材34の第2板部342(壁面)によって周りが囲まれている。従って、衝撃が加わっても、突部38a、38bが受け部280、480から外れにくい。
【0089】
[光学ユニット100の他の構成例]
上記実施の形態では、カメラ付き携帯電話機に用いる光学ユニット100に本発明を適用した例を説明したが、薄型のデジタルカメラ等に用いる光学ユニット100に本発明を適用してもよい。また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、携帯電話機やデジタルカメラ等の他、冷蔵庫等、一定間隔で振動を有する装置内に固定し、遠隔操作可能にしておくことで、外出先、たとえば買い物の際に、冷蔵庫内部の情報を得ることができるサービスに用いることもできる。かかるサービスでは、姿勢安定化装置付きのカメラシステムであるため、冷蔵庫の振動があっても安定な画像を送信可能である。また、本装置を児童、学生のかばん、ランドセルあるいは帽子等の、通学時に装着するデバイスに固定してもよい。この場合、一定間隔で、周囲の様子を撮影し、あらかじめ定めたサーバへ画像を転送すると、この画像を保護者等が、遠隔地において観察することで、子供の安全を確保することができる。かかる用途では、カメラを意識することなく移動時の振動があっても鮮明な画像を撮影することができる。また、カメラモジュールのほかにGPSを搭載すれば、対象者の位置を同時に取得することも可能となり、万が一の事故の発生時には、場所と状況の確認が瞬時に行える。さらに、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載すれば、ドライブレコーダーとして用いることができる。また、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載して、一定間隔で自動的に周辺の画像を撮影し、決められたサーバに自動転送してもよい。また、道路交通情報通信システム等の渋滞情報と連動させて、この画像を配信することで、渋滞の状況をより詳細に提供することができる。かかるサービスによれば、自動車搭載のドライブレコーダーと同様に事故発生時等の状況を、意図せずに通りがかった第三者が記録し状況の検分に役立てることも可能である。また、自動車の振動に影響されることなく鮮明な画像を取得できる。かかる用途の場合、電源をオンにすると、制御部に指令信号が出力され、かかる指令信号に基づいて、振れ制御が開始される。
【0090】
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、レーザポインタ、携帯用や車載用の投射表示装置や直視型表示装置等、光を出射する光学機器の振れ補正に適用してもよい。また、天体望遠鏡システムあるいは双眼鏡システム等、高倍率での観察において三脚等の補助固定装置を用いることなく観察するのに用いてもよい。また、狙撃用のライフル、あるいは戦車等の砲筒とすることで、トリガ時の振動に対して姿勢の安定化が図れるので、命中精度を高めることができる。