(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るポータブルトイレを図面に基づいて説明する。以下の説明において、前、後、左および右は、それぞれ便座に腰掛けた使用者から見た方向を意味しており、図面には、それぞれ符号F、Bk、L、Rが付されている。また、各図において同じ作用を奏する部材や部位には、同じ符号を付し、適宜に重複する説明を省略している。ここでは、まず、ポータブルトイレ10の概要を説明し、その後、ここで提案される脱臭ダクト700について説明する。
【0011】
《ポータブルトイレ10》
図1から
図4はそれぞれポータブルトイレ10の斜視図である。ここで、
図1は、蓋20を上げた状態(蓋20が開いた状態)を示している。
図2は、
図1の状態から便座30を上げ、バケツ40の蓋42(バケツ蓋)と、左側の肘掛300とを取り外した状態を示している。
図3は、
図2の状態からバケツ40を取り外した状態を示している。さらに、
図4は、
図3の状態からトレイ50(受け板)を取り出した状態を示している。
【0012】
本実施形態に係るポータブルトイレ10は、主に高齢者および身障者等のいわゆる要介護者に使用されるものであり、介護用に好適に使用されるトイレである。また、ポータブルトイレ10は、床に固定されるトイレではなく、移動可能なトイレである。本実施形態では、ポータブルトイレ10は、樹脂製(樹脂成形品)である。ポータブルトイレ10は、
図1から
図4に示すように蓋20と、便座30と、バケツ40と、トレイ50と、便器本体100と、背もたれ250と、肘掛300、400と、脚500、600と、脱臭ダクト700(
図7参照)と、脱臭装置750(
図7参照)と、を備えている。
【0013】
《蓋20》
蓋20は、ポータブルトイレ10の便座30に被せられる部材である。本実施形態では、蓋20は、
図1に示すように、矩形の部材であり、後ろ側の縁にヒンジ21が取り付けられている。蓋20は、ヒンジ21を軸にして回動し、背もたれ250の前で便座30の上に配置された姿勢(蓋20を閉じた姿勢(図示省略))から上方に引き上げられる。本実施形態では、蓋20は、前後方向の中間部に蝶番22が取り付けられている。蓋20は、蝶番22によって前後方向の中間部で折り曲げることができる。折り曲げられた蓋20は、背もたれ250に設けられた開口251を通すことができる。背もたれ250に設けられた開口251に蓋20を通すことによって、蓋20の姿勢は、背もたれ250の前で便座30の上に配置された姿勢(図示省略)と、背もたれ250の後ろに引き上げた姿勢(
図1に示す状態)とで適宜に変えられる。なお、この蓋20は、人が座れるように所要の強度を持たせ、かつ、上部にクッションを備えていてもよい。この場合、ポータブルトイレ10は、便器として使用しない場合には便座30に蓋20を被せるとよい。これにより、臭いが拡散するのを防止でき、また、適宜に蓋20を腰掛けとして利用できるようになる。
【0014】
《便座30》
便座30は、
図1に示すように、便器本体100の上面の中央部分に配置されている。本実施形態では、便座30は、後部の縁に設けられたヒンジ31を介して便器本体100に取り付けられている。そして、便座30の姿勢は、
図1に示すように、便器本体100の上面に配置された姿勢と、
図2に示すように、便器本体100の上面から引き上げられた姿勢とで適宜に変えられる。本実施形態では、便座30は、使用者がお尻を受ける座面を有する。便座30の中央には開口32が形成されている。
【0015】
《バケツ40》
バケツ40は、使用者の排便を収容するバケツであり、「汚物受け」と称されうる。本実施形態では、バケツ40は、上部が開口した底が深い有底の容器である。
図3および
図4に示すように、便器本体100は、当該バケツ40を収容する窪んだ収容部101を有している。収容部101は、「汚水受け」とも称されうる。バケツ40と収容部101は、異形形状であり、バケツ40は予め定められた向きで収容部101に収められる。
図2に示すように、バケツ40の上縁には取っ手41が取り付けられている。バケツ40が収容部101に収容された状態では、取っ手41はバケツ40の後方へ廻される。また、
図1に示すように、バケツ40の開口には蓋42(バケツ蓋)が装着される。蓋42は、使用者が排便をするとき、バケツ40から外されるものである。ポータブルトイレ10を便器として使用しない場合には、バケツ40に蓋42を被せるとよい。これにより、臭いが拡散するのを防止できる。
【0016】
《トレイ50》
本実施形態では、
図3に示すように、便器本体100の収容部101を囲むように便器本体100の上部にトレイ50が置かれている。トレイ50は、便器本体100の上面に置かれている。トレイ50の上には便座30が配置される。トレイ50の中央部には、収容部101の上部開口に合わせた形状の開口51が形成されている。トレイ50の開口51の縁およびトレイ50の外縁には、上方に向けて連続して立ち上った壁52、53がそれぞれ設けられている。トレイ50の上に落ちた汚水は、かかる壁52、53によってトレイ50の上面に受けられる。また、トレイ50には、便座30のヒンジ31を取り付ける基部が設けられている。また、トレイ50には、後方の中央部分に吸引口55が形成されている。吸引口55は、バケツ40内の臭気を脱臭装置750へ導くものである。ここでは、吸引口55は、便器本体100の左右方向に延びた略長方形状である。
【0017】
《便器本体100》
次に、便器本体100を説明する。ここで、
図5は、便器本体100の平面図であり、便器本体100からバケツ40およびトレイ50等が取り外された状態を示している。便器本体100は、
図4および
図5に示すように、収容部101と、上面部102と、外郭部103と、底部104とを有している。収容部101は、バケツ40が収められる窪んだ部位である。本実施形態では、
図5に示すように、便器本体100の後部には、脱臭ダクト700および脱臭装置750を取り付ける脱臭装置取付部215が設けられている。この脱臭装置取付部215は後述する。上面部102は、
図3および
図4に示すように、収容部101の上部周辺に設けられている。上面部102の上には、
図1に示すように、便座30が配置される。なお、本実施形態では、
図2に示すように、上面部102の上には、トレイ50が配置され、
図1に示すように、その上に便座30が配置されている。上面部102には、
図5に示すように、肘掛取付部211、212と、背もたれ取付部213、214とが設けられている。
【0018】
外郭部103は、収容部101の少なくとも外側面を囲う部位である。底部104は、外郭部103の下端から連続し、便器本体100の底を形成する部位である。ポータブルトイレ10は、
図3に示すように、便器本体100の少なくとも前面において、上面部102の周縁を形成する面112(本実施形態では、上面部102の周縁の周側面)と、外郭部103を形成する面113(本実施形態では、外郭部103の側面)とが連続している。さらに、外郭部103を形成する面113と、底部104を形成する面114とが連続している。そして、ポータブルトイレ10の脚500、600は、
図1に示すように、便器本体100の底部104の左右にそれぞれ独立して取り付けられている。
【0019】
なお、ここで、面が連続しているとは、外観上、面が一連に連なっていることをいう。例えば、ここでは、便器本体100の少なくとも前面において、ポータブルトイレ10の外郭部103を構成する上面部102の周縁を形成する面112と、外郭部103を形成する面113とは、一連に連なっている。また、本実施形態では、便器本体100は、後述するように上側部材210と下側部材220とで構成されている。ここで、上側部材210と下側部材220とは、外側面が一連に連なるように組み合わされている。かかる箇所では、「面が連続している」とする。また、意匠上の多少の凹凸や段差などは、問題としない。
【0020】
《上側部材210と下側部材220》
本実施形態では、便器本体100は、
図1に示すように、上側部材210と下側部材220とで構成されており、上側部材210と下側部材220とを上下に組み付けた構造を備えている。上側部材210の周縁は全周にわたって下方に屈曲している。上側部材210には、
図5に示すように、バケツ40が収容される収容部101と、上面部102とが含まれている。また、上側部材210の周縁には、上側部材210と下側部材220とを組み付けるための複数のねじ穴210cが形成されている。
【0021】
下側部材220は、
図1に示すように、全体として有底の略矩形の箱形状である。下側部材220は、一体的な成形品である。下側部材220には、外郭部103と、底部104とが含まれている。底部104には、上側部材210の収容部101の底(図示せず)に対向する部位に開口(図示せず)が形成されている。また、下側部材220の周縁には、上側部材210に形成されたねじ穴210cに対応する位置にねじ穴(図示せず)が形成されている。本実施形態では、上側部材210の下縁と下側部材220の上縁とを互いに内外に嵌め合うことで、上側部材210と下側部材220とを取り付けている。
【0022】
次に、便器本体100の肘掛取付部211、212に取り付けられる肘掛300、400を説明し、その後、肘掛取付部211、212を説明する。
【0023】
《肘掛け300、400》
本実施形態では、左側の肘掛300と右側の肘掛400とは凡そ同様の構成をしている。ここでは、左側の肘掛300には300番台の符号を付し、右側の肘掛400の各部位には、左側の肘掛300の各部位に対応させて400番台の符号を付している。以下において、左側の肘掛300について詳細に説明し、右側の肘掛400の説明は左側の肘掛300の説明と重複するため、適宜省略する。なお、括弧内の符号は、右側の肘掛400に対応した符号である。肘掛300(400)は、
図1に示すように、肘掛ベース301(401)と、肘掛本体302(402)と、を備えている。
【0024】
《肘掛ベース301(401)》
肘掛ベース301(401)は、基部311(411)と、2本の中空の支柱312、313(412、413)と、中空軸314(414)とを備えている。基部311(411)は、便器本体100の肘掛取付部211(212)の前後方向に沿って配置される長手のプレートである。2本の支柱312、313(412、413)は、基部311(411)の前後両端部に配置されている。基部311(411)は、2本の支柱312、313(412、413)の中間部の下端よりの位置に架け渡されている。
【0025】
基部311(411)には、差込穴(図示せず)がある。差込穴は、基部311(411)の中間部前よりに形成されており、肘掛300(400)を上側部材210に固定する固定ピン350(450)(
図1参照)を挿し込む貫通した穴である。また、後側の支柱313(413)の外周面には、上下に連続して後方に突出した係合片323(423)が設けられている。肘掛ベース301(401)の中空軸314(414)は、基部311(411)よりも高い位置において、前後一対の支柱312、313(412、413)に架設されている。
図1に示す例では、右側の肘掛ベース401の前側の支柱412に、トイレットペーパーホルダ60が取り付けられている。
【0026】
《肘掛本体302(402)》
肘掛本体302(402)は、肘掛部341(441)と、可動軸342、343(442、443)とを備えている。肘掛部341(441)は、ポータブルトイレ10の使用者が肘を掛ける部位である。本実施形態では、肘掛部341(441)は、長手の形状を有しており、ポータブルトイレ10の左右において前後方向に延びた状態で設けられる。可動軸342、343(442、443)は、肘掛部341(441)の下部の前後に離れた位置において下方に延びている。肘掛本体302(402)の2本の可動軸342、343(442、443)は、肘掛ベース301(401)の2本の中空の支柱312、313(412、413)に挿入されている。
【0027】
なお、本実施形態では、肘掛300(400)は、高さ調節機構303(403)によって、高さを調節することができる。高さ調節機構303(403)は、中空軸314(414)に内装されている。ここでは、かかる高さ調節機構303(403)によって、肘掛ベース301(401)の2本の支柱312、313(412、413)に対し、肘掛本体302(402)の可動軸342、343(442、443)が挿入された長さが変化する。これによって、便器本体100に対する肘掛部341(441)の高さが調整される。
【0028】
《肘掛取付部211、212》
便器本体100の上側部材210には、かかる肘掛300、400が取り付けられる肘掛取付部211、212が設けられている。肘掛取付部211、212は、
図5に示すように、上側部材210の上面部102の左右において、それぞれ肘掛300、400を取り付ける位置に設けられている。肘掛取付部211、212は、それぞれ左右の肘掛300、400の下部に対応した形状を有している。
【0029】
肘掛取付部211、212は、それぞれ肘掛300、400の基部311、411が嵌る前後に延びた長手の窪み221、222を有している。当該窪み221、222には、縦穴223、224、225、226と、係合溝227、228と、鍵穴231、232が形成されている。
【0030】
ここで、窪み221(222)には、肘掛300(400)の基部311(411)(
図1参照)が嵌る。また、窪み221(222)に形成された縦穴223、225(224、226)には、基部311(411)から下方に突出した支柱312、313(412、413)の下側部がそれぞれ嵌る。窪み221(222)に形成された係合溝227(228)には、肘掛300(400)の基部311(411)の下面から下方に突出した係合突起(図示せず)が嵌る。さらに、窪み221(222)に形成された鍵穴231(232)は、肘掛300(400)の基部311(411)に形成された差込穴に対応する位置に形成されている。当該肘掛300(400)は、支柱312、313(412、413)の下側部を、便器本体100の肘掛取付部211(212)の縦穴223、225(224、226)に挿入し、基部311(411)を窪み221(222)に嵌める。そして、基部311(411)に形成された差込穴、および、鍵穴231(232)に固定ピン350(450)(
図1参照)を装着する。これによって、肘掛300(400)を便器本体100に固定することができる。
【0031】
また、肘掛ベース301(401)の後側の支柱313(413)の外周面に、上下に連続して後方に突出した係合片323(423)は、
図1に示すように、背もたれ250に形成された係合溝256、257にそれぞれ係合している。
【0032】
《背もたれ250》
次に、ポータブルトイレ10の背もたれ250を説明する。背もたれ250は、
図1に示すように、便器本体100の上部における後部に設けられている。背もたれ取付部213、214は、
図5に示すように、便器本体100の上面において、後部の左右両側にそれぞれ設けられている。背もたれ250は、
図1に示すように、便器本体100の上面において、蓋20を折り曲げた状態で後方に通すことができる開口251を有している。この背もたれ250は、左右の柱部252、253と、背もたれ部254と、クッション255とを備えている。柱部252、253は、ポータブルトイレ10の背部において、便器本体100の左右両側に設けられた背もたれ取付部213、214に取り付けられる。柱部252、253は、便器本体100の背もたれ取付部213、214から上方に立ち上っている。背もたれ部254は、柱部252、253の上端に架け渡されている。クッション255は、背もたれ部254の前面に取り付けられている。
【0033】
《脚500、600》
次に、脚500、600は、
図1に示すように、それぞれ2本の脚部501、502(601、602)と、フロントベース部503(603)と、リヤベース部504(604)と、連結部505(605)とを備えている。なお、ここで、左側の脚500の各部材および部位には500番台の符号を付している。右側の脚600の各部材および部位には、左側の脚500に対応させて、600番台の符号を付している。また、右側の脚600の、脚部602と、リヤベース部604と、連結部605とは、
図1において、便器本体100に隠れており、図示されていない。右側の脚600の脚部602と、リヤベース部604と、連結部605とは、それぞれ左側の脚500の脚部502と、リヤベース部504と、連結部505と凡そ左右が対象な構造を有している。
【0034】
2本の脚部501、502(601、602)は、便器本体100の左右において、それぞれ前後に配置されている。ここでは、詳しい説明を省略するが、脚部501、502(601、602)は、長さを調節する機構を備えている。脚部501、502(601、602)の長さを調節することによって、ポータブルトイレ10の便座30の高さを調整することができる。
【0035】
フロントベース部503(603)は、前側の脚部501(601)の下端から前方に延びた部位である。リヤベース部504(604)は、後ろ側の脚部502(602)の下端から後方に延びた部位である。本実施形態では、リヤベース部504(604)の後端には、キャスター506(606)が取り付けられている。
図1では、右側のリヤベース部604の後端に取り付けられたキャスター606も、便器本体100に隠れている。また、連結部505(605)は、2本の脚部501、502(601、602)の下端を繋ぐように前後方向に延び、フロントベース部503、603とリヤベース部504(604)とに連続している。かかる連結部505(605)によって、フロントベース部503、603とリヤベース部504(604)とが一体的になる。
【0036】
図6および
図7は、便器本体100の平面図である。
図6は、
図5の状態から、取付部材760を脱臭装置取付部215に取り付けた状態を示している。
図7は、
図6の状態から、脱臭ダクト700および脱臭装置750を取付部材760に取り付けた状態を示している。
図8は、便器本体100の前後方向における縦断側面図であり、脱臭ダクト700およびその周辺を示した図である。なお、
図8では、便器本体100の上部にトレイ50が置かれており、さらに、便器本体100の収容部101には、バケツ40が収容されている。
図8では、便器本体100の脱臭装置取付部215には、取付部材760が取り付けられ、取付部材760には、脱臭ダクト700および脱臭装置750が取り付けられている。
図8では、脱臭装置750は外観図である。また、
図8では、便座30は取り外されている。
図9は、
図7のIX−IX断面における断面図を一部拡大した図である。本実施形態では、ポータブルトイレ10は、
図5から
図7に示すように、バケツ40(
図2参照)と、便器本体100と、脱臭ダクト700と、脱臭装置750と、受け部216と、を備えている。便器本体100は、バケツ40を収容する収容部101を備えている。脱臭ダクト700は、
図7に示すように、便器本体100に取り付けられている。脱臭装置750は、脱臭ダクト700に接続されている。
【0037】
以下、本実施形態について、便器本体100の脱臭装置取付部215について説明し、その後、脱臭ダクト700および脱臭装置750について説明する。
【0038】
《脱臭装置取付部215》
本実施形態では、脱臭装置取付部215は、
図5に示すように、便器本体100の上側部材210の後部に設けられている。ここでは、脱臭装置取付部215には、
図7に示すように、取付部材760を介して脱臭ダクト700および脱臭装置750が取り付けられる。脱臭装置取付部215は、
図5に示すように、凹部215bと窪み215cとを有している。凹部215bは、便器本体100の後部の中央部分が前方に向かって凹んだ部位である。凹部215bには、脱臭装置750が配置される。窪み215cは、便器本体100の後部の中央部分が下方に凹んだ部位である。窪み215cには、脱臭ダクト700が配置される。また、脱臭装置取付部215の周縁部には、取付部材760を取り付けるための複数の取付孔210dが形成されている。
【0039】
また、
図8に示すように、当該窪み215cの底は、平らになっており、便器本体100の後部から収容部101に向かって斜め下方に延びている。ここでは、脱臭ダクト700が取付部材760を介して窪み215cに取り付けられた際、窪み215cの底のうち、後述する脱臭ダクト700の排出孔713を介して流れる液体を受け止める受け部216として機能する。また、窪み215cの底は、収容部101に繋がる排出路216aとして機能する。
【0040】
《取付部材760》
取付部材760は、
図6から
図8に示すように、脱臭装置収容部761と、ダクト取付部762と、便器本体100に取り付けられる取付部(フランジ763)と、を備えている。脱臭装置収容部761は、脱臭装置750が収容される部位である。脱臭装置収容部761は、脱臭装置750に応じた形状をしており、本実施形態では、略矩形の容器形状である。脱臭装置収容部761において、上部および後面上部は大きく開口している。また、脱臭装置収容部761の底面の中央部分には、孔764が形成されている。
【0041】
ダクト取付部762は、脱臭ダクト700が取り付けられる部位である。ダクト取付部762は、脱臭装置収容部761の前面上部に設けられている。本実施形態では、脱臭装置収容部761の前面上部の中央部分は凹んでいる。ダクト取付部762は、この凹んだ部位の前側に設けられている。ダクト取付部762は、側壁762a、762bと、底壁762cとを有している。側壁762a、762bは、
図6に示すように、脱臭装置収容部761の前面の凹んだ部位の左右両側の縁からそれぞれ前方に突出している。側壁762a、762bは、それぞれ係合凹部765、766を有している。この係合凹部765、766は、側壁762a、762bの対向する面に設けられている。係合凹部765、766は、互いに対向している。ここでは、係合凹部765、766は、側壁762a、762bの上端から中央部分に至る直線状の溝である。
【0042】
底壁762cは、脱臭装置収容部761の前面の凹んだ部位の下縁から前方に突出している。底壁762cの左右両側は、ダクト取付部762の側壁762a、762bと連続している。また、底壁762cには、切り欠き767が形成されている。この切り欠き767は、ダクト取付部762の底壁762cの前端の中央部分に形成されており、半円弧状である。この切り欠き767には、後述する脱臭ダクト700の底の凸部721a(
図9参照)が収容される。
【0043】
取付部材760のフランジ763は、便器本体100の脱臭装置取付部215に取り付けられる部位である。本実施形態では、フランジ763は、脱臭装置収容部761およびダクト取付部762の上端から左右両側の外方へ延びている。また、フランジ763は、ダクト取付部762の側壁762a、762bと連続している。ここでは、フランジ763には、便器本体100の脱臭装置取付部215の周囲に設けられた取付孔210dに対応した位置に、取付ピン763aが設けられている。取付ピン763aは、フランジ763の下面から下方に向かって突出している。
【0044】
かかる取付部材760を便器本体100の脱臭装置取付部215に取り付ける。このとき、取付部材760のダクト取付部762は、
図9に示すように、脱臭装置取付部215の窪み215cに嵌る。
図6に示すように、取付部材760の脱臭装置収容部761は、脱臭装置取付部215の凹部215bに配置される。取付部材760のフランジ763は、便器本体100における脱臭装置取付部215の周縁部に重ねられる。フランジ763の下面に設けられた取付ピン763aは、便器本体100の取付孔210dに嵌められる。
【0045】
《脱臭装置750》
次に、脱臭装置750について説明する。脱臭装置750は、
図8に示すように、ケース752と、蓋753と、を備えている。ケース752は、略矩形の容器であり、上端が開口している。ここでは、ケース752は、前側部材752aと、後側部材752bとを有している。前側部材752aは、ケース752を前後に半割した状態における前側部分を構成している。後側部材752bは、ケース752を前後に半割した状態における後側部分を構成している。前側部材752aと後側部材752bとを組み合わせることによって、上端が開口した矩形の容器となる。蓋753は、前側部材752aと後側部材752bとを組み合わせたケース752の上端を閉じる部材である。ここでは、ケース752には、臭気を吸引するための臭気吸引ファン(図示せず)、および、取り込んだ臭気を脱臭するための脱臭剤(図示せず)等が内装されているとよい。
【0046】
また、ケース752の前面の上部には、吸引口754が形成されている。吸引口754は、脱臭装置750内に臭気を取り込む部位である。また、吸引口754の周縁には、ケース752の前面から前方へ立ち上った立ち上り部755が設けられている。また、ケース752の底面には、排出口(図示せず)が形成されている。この排出口は、脱臭装置750内に取り込まれた臭気が脱臭剤によって脱臭され、その脱臭された空気が排出される部位である。
【0047】
《脱臭ダクト700》
次に、脱臭ダクト700について説明する。
図10は、脱臭ダクト700の正面図である。
図11は、
図10のXI−XI断面の断面図である。
図12は、脱臭ダクト700の左側の側面図である。
図13は、脱臭ダクト700の背面図である。
【0048】
脱臭ダクト700は、
図7に示すように、便器本体100に取り付けられている。本実施形態では、脱臭ダクト700は、便器本体100の上側部材210の後部に設けられた脱臭装置取付部215に配置される。詳しくは、脱臭ダクト700は、取付部材760のダクト取付部762を介して脱臭装置取付部215の窪み215cに取り付けられる。ここでは、脱臭ダクト700は、便器本体100の前後方向に開口する略筒状体の部材である。また、脱臭ダクト700は、取付部材760のダクト取付部762に嵌るような外観形状である。脱臭ダクト700は、
図9から
図12に示すように、吸引口711と接続口712と排出孔713とを備えている。
【0049】
《吸引口711》
吸引口711は、
図7に示すように、便器本体100の収容部101に収容されたバケツ40に向けて開口している。この吸引口711は、バケツ40およびその周辺の臭気を脱臭ダクト700内に引き込む部位である。脱臭ダクト700の吸引口711は、脱臭ダクト700が脱臭装置取付部215に配置された状態において、便器本体100の上面に置かれたトレイ50の吸引口55の後ろに配置される。脱臭ダクト700の吸引口711は、トレイ50の吸引口55と前後に繋がっている。脱臭ダクト700の吸引口711は、トレイ50の吸引口55と略同じ大きさである。吸引口711は、
図10に示すように、脱臭ダクト700の左右方向に広がった略長方形状である。
【0050】
《接続口712》
接続口712は、脱臭装置750に接続される部位である。また、接続口712は、脱臭ダクト700に導入された臭気を脱臭装置750へ送る部位でもある。接続口712は、
図13に示すように、略四角形状である。本実施形態では、
図8に示すように、接続口712には、脱臭装置750の吸引口754の周縁から前方に立ち上った立ち上り部755が挿入される。そのため、
図9に示すように、接続口712は、脱臭装置750の立ち上り部755の外周縁よりも若干大きく開口している。
【0051】
《排出孔713》
排出孔713は、
図11に示すように、脱臭ダクト700の底に形成されている。排出孔713は、脱臭ダクト700内に入り込んだ尿等の液体を脱臭ダクト700の外部へ排出するための部位である。ここでは、排出孔713は、脱臭ダクト700の底の中央部分に形成されている。排出孔713は、略円形状である。
【0052】
《凹部721》
本実施形態では、脱臭ダクト700の底には、凹部721が設けられている。ここでは、凹部721は、脱臭ダクト700の底の中央部分に設けられている。そして、凹部721の中央部分には、排出孔713が形成されている。この凹部721は、
図10に示すように、排出孔713に向かって徐々に落ち込んでいる。詳しくは、凹部721は、排出孔713に向かう程、傾斜角度が大きくなる曲線状の斜面となっている。ここでは、脱臭ダクト700の底の外側には、凹部721に応じて下方に突出した凸部721aがある。
【0053】
《係合凸部723、724》
本実施形態では、
図12および
図13に示すように、脱臭ダクト700の左右両側面の外側には、それぞれ係合凸部723、724が設けられている。この係合凸部723、724は、脱臭ダクト700を取付部材760のダクト取付部762に取り付ける際、それぞれダクト取付部762の側壁762a、762bに設けられた係合凹部765、766と係合可能な部位である。ここでは、係合凸部723、724は、それぞれ脱臭ダクト700の左右両側面の中央部分において、上下方向に縦長な楕円形状である。係合凸部723、724は、それぞれ脱臭ダクト700の左右両側面から外方へ突出している。
【0054】
なお、本実施形態では、
図12に示すように、脱臭ダクト700の前面を形成する部位は、吸引口711の下縁から脱臭ダクト700の底に形成された排出孔713に向かって下方斜め後ろへ延びている。詳しくは、脱臭ダクト700の前面を形成する部位は、吸入口711の下縁から、上方に盛り上がった後、急激に下方斜め後ろへ落ち込んでいる。
【0055】
本実施形態では、脱臭ダクト700および脱臭装置750は、
図7に示すように、便器本体100の脱臭装置取付部215に取り付けられた取付部材760に取り付けられる。以下、脱臭ダクト700および脱臭装置750を取付部材760に取り付ける手順について説明する。
【0056】
まず、脱臭ダクト700は、脱臭ダクト700の吸引口711を便器本体100の収容部101に向けて、ダクト取付部762の上側から、ダクト取付部762に装入される。このとき、脱臭ダクト700の係合凸部723、724は、ダクト取付部762の両側の係合凹部765、766の上端にそれぞれ嵌められる。脱臭ダクト700は、係合凸部723、724を係合凹部765、766に挿入しつつ、ダクト取付部762に収められる。そして、脱臭ダクト700は、
図9に示すように、係合凸部723、724の下端がダクト取付部762の係合凹部765、766の下端にそれぞれ当接することによって、位置が定まる。このようにして、脱臭ダクト700は、ダクト取付部762に装着される。このことによって、脱臭ダクト700は、ダクト取付部762に対して前後方向および左右方向にずれなくなる。
【0057】
脱臭ダクト700の底には、下方に突出した凸部721aがあり、脱臭ダクト700がダクト取付部762に取り付けられた際に、当該凸部721aは、ダクト取付部762の底壁762cに形成された切り欠き767に収まる。このことによって、脱臭ダクト700は、取付部材760に干渉することなく、ダクト取付部762の予め定められた位置に配置されている。また、脱臭ダクト700の排出孔713の下方には、便器本体100の収容部101に設けられた受け部216が配置されている。
【0058】
次に、取付部材760に脱臭装置750が取り付けられる。脱臭装置750は、取付部材760の脱臭装置収容部761に収容される。
図8に示すように、脱臭装置収容部761において、上部および後面上部が大きく開口しており、脱臭装置750は、上部を斜め後ろに少し傾けた状態で、脱臭装置収容部761の上側から装入される。そして、脱臭装置750が脱臭装置収容部761に収容されたとき、脱臭装置750の吸引口754の周縁から前方に立ち上った立ち上り部755は、脱臭ダクト700の接続口712に挿入される。かかる立ち上り部755が脱臭ダクト700の接続口712に挿入されることによって、脱臭ダクト700は、便器本体100の上下方向に対する動きが規制される。以上のようにして、脱臭ダクト700および脱臭装置750は、取付部材760を介して便器本体100の脱臭装置取付部215に配置されている。
【0059】
本実施形態では、
図8に示すように、脱臭ダクト700および脱臭装置750を取付部材760に取り付けた状態において、便器本体100の上部にトレイ50が配置される。トレイ50の後部には、吸引口55が形成されている。また、トレイ50には、吸引口55の上縁から脱臭ダクト700の上に延びたカバー部56がある。トレイ50が便器本体100の上部に配置された状態において、脱臭ダクト700の上にはトレイ50のカバー部56が配置される。また、脱臭ダクト700の吸引口711は、トレイ50の吸引口55の後ろに配置される。
【0060】
また、脱臭ダクト700の吸引口711は、収容部101に向けて開口しており、便器本体100の収容部101にバケツ40が収容された際に、脱臭ダクト700の吸引口711は、バケツ40に向かって開口している。
【0061】
このように、脱臭ダクト700は、便器本体100からバケツ40およびトレイ50が取り外された状態において、便器本体100に取り付けられた取付部材760に対して着脱可能に取り付けられている。換言すると、脱臭ダクト700は、便器本体100に対して着脱可能に取り付けられている。
【0062】
このように、脱臭ダクト700および脱臭装置750が脱臭装置取付部215に配置されたポータブルトイレ10では、収容部101に収容されたバケツ40内の臭気を脱臭することができる。
図8において、便器本体100の上面に便座30が配置された状態(
図1において、蓋42が取り外された状態)で、使用者はポータブルトイレ10を使用する。使用者は、便座30の開口32にお尻を置き、排便をする。このとき、バケツ40の上方は、便座30および使用者のお尻によって閉じられているため、排便によって発生する臭気は、バケツ40内に留まる。このような状態において、脱臭装置750の臭気吸引ファンを作動させると、バケツ40内の臭気は、トレイ50の吸引口55および脱臭ダクト700の吸引口711を介して、脱臭ダクト700内に導入される。そして、脱臭ダクト700内に導入された臭気は、脱臭ダクト700の接続口712および脱臭装置750のケース752の吸引口754を介して脱臭装置750内へ導入される。
【0063】
以上のように、本実施形態では、
図8に示すように、ポータブルトイレ10は、バケツ40と、バケツ40を収容する収容部101を備えた便器本体100と、便器本体100に取り付けられた脱臭ダクト700と、脱臭ダクト700に接続された脱臭装置750と、受け部216と、を備えている。脱臭ダクト700は、収容部101に収容されたバケツ40に向けて開口した吸引口711と、脱臭装置750に接続される接続口712と、脱臭ダクト700の底に形成された排出孔713と、を備えている。受け部216は、脱臭ダクト700の排出孔713の下に設けられている。例えば、使用者が排尿をする際、その尿が脱臭ダクト700の吸引口711を介して脱臭ダクト700内に入るおそれがある。しかし、本実施形態では、脱臭ダクト700に入った尿は、脱臭ダクト700の底に形成された排出孔713を介して脱臭ダクト700の下に設けられた受け部216に流れる。そのため、脱臭ダクト700内には、尿等の液体が溜まりにくい。
【0064】
また、本実施形態では、脱臭ダクト700の底には、
図11に示すように、排出孔713に向かって徐々に落ち込んだ凹部721が設けられている。このことによって、脱臭ダクト700内に入った尿等の液体が、脱臭ダクト700の排出孔713を通じて、受け部216に流れやすくなる。尿等の液体が脱臭ダクト700に溜まりにくくなる。
【0065】
本実施形態では、受け部216は、便器本体100の収容部101に繋がる排出路216aを有する。このことによって、受け部216に流れた尿等の液体は、排出路216aを通じて収容部101へ流れる。よって、脱臭ダクト700内に入り込んだ液体を便器本体100の収容部101に溜めることができる。
【0066】
本実施形態では、脱臭ダクト700は、便器本体100に着脱可能に取り付けられている。このことによって、脱臭ダクト700が汚れた場合、脱臭ダクト700を便器本体100から取り外して脱臭ダクト700のみを洗浄することができる。また、脱臭ダクト700が破損した場合、破損した脱臭ダクト700を新しい脱臭ダクトに容易に交換することができる。よって、脱臭ダクト700のメンテナンス性が向上する。
【0067】
本実施形態では、便器本体100には、
図9に示すように、脱臭ダクト700を取り付けるダクト取付部762が設けられている。脱臭ダクト700には、係合凸部723、724が設けられている。そして、ダクト取付部762には、係合凸部723、724と係合可能な係合凹部765、766が設けられている。このことによって、脱臭ダクト700の係合凸部723、724と便器本体100のダクト取付部762の係合凹部765、766とを係合させることで、脱臭ダクト700を便器本体100に簡単に取り付けることができる。よって、脱臭ダクト700のメンテナンス性が向上する。
【0068】
以上、ここで提案されるポータブルトイレの一実施形態を例示したが、本発明は、特に言及されない限りにおいて、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0069】
上述した実施形態では、
図9に示すように、脱臭ダクト700に係合凸部723、724が形成されていた。そして、便器本体100の脱臭装置取付部215取り付けられた取付部材760のダクト取付部762には、係合凸部723、724と係合可能な係合凹部765、766が形成されていた。しかし、
図14に示すように、取付部材760のダクト取付部762に係合凸部771、772が形成されていてもよい。この場合、脱臭ダクト700には、ダクト取付部762の係合凸部771、772と係合可能な係合凹部725、726が形成されているとよい。このように、便器本体100には、脱臭ダクト700を取り付けるダクト取付部762が設けられているとよい。そして、ダクト取付部762と脱臭ダクト700のうち一方には、係合凸部が形成され、ダクト取付部762と脱臭ダクト700のうち他方には、係合凸部と係合可能な係合凹部が形成されているとよい。
【0070】
上述した実施形態では、脱臭ダクト700の底には、排出孔713が一つ形成されていた。しかし、この排出孔713は、脱臭ダクト700内の尿等の液体が脱臭ダクト700の外部(受け部216)へ排出されるものであれば、その個数は特に限定されない。例えば、2つ以上の排出孔が脱臭ダクト700の底に形成されていてもよい。
【0071】
上述した実施形態では、脱臭ダクト700の底に形成された排出孔713は、略円形状であった。ただし、この排出孔713は、脱臭ダクト700内の尿等の液体が脱臭ダクト700の外部(受け部216)へ排出されるものであればよい。例えば、排出孔713は、略四角形状であってもよい。
【0072】
上述した実施形態では、脱臭ダクト700および脱臭装置750を取り付ける取付部材760は、便器本体100と別体で形成されていた。しかし、取付部材760は、便器本体100と一体成形されていてもよい。
【0073】
上述した実施形態では、受け部216は、便器本体100に一体成形されていた。しかし、受け部216は、便器本体100と別体であって、便器本体100に取り付けられるものであってもよい。