(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0015】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る液体急冷装置の斜視図である。
図2は、
図1におけるA−A’断面を模式的に表した模式図である。
図3は、被覆管を回転させる構成を説明する説明図である。
図4は、回転軸を含む平面で被覆管を切った場合の断面図である。
図5は、
図2における冷却管の外壁と被覆管の内壁との間に生ずる間隙の拡大図である。
図1から
図5を用いて、本実施形態に係る液体急冷装置1の概要を説明する。また、以下の説明において、回転軸Zrに対して直交する方向は、単に径方向と記載される。
【0016】
(液体急冷装置)
液体急冷装置1は、例えば、アルコール飲料を氷結した状態で注出するための装置である。液体急冷装置1は、筐体100と、容器保持部101とを有する。容器保持部101の上面には容器91が設置され、氷結した状態のアルコール飲料が容器91内に供給される。
図2に示すように、容器保持部101は、内部に重量計57を有する。重量計57は、容器保持部101の上面に載っている容器91および注出したアルコール飲料の重量を測定することができる。重量計57は、例えばひずみゲージである。ひずみゲージは、荷重が加えられたときの変形で生ずる歪みを電気信号として検出することができるセンサである。なお、液体急冷装置1が注出する対象は、アルコール飲料に限らず、水であってもよいし、ノンアルコール飲料であってもよいし、麺料理用の汁またはドレッシング等の液状食品であってもよい。
【0017】
図2に示すように、液体急冷装置1は冷却管31を備える。冷却管31は、外壁を冷却することができる円筒状の部材である。例えば、冷却管31は、鉛直方向の上下方向に端面を有する円筒状、すなわち鉛直方向に軸方向を有する円筒状である。例えば、冷却管31は、ステンレス鋼によって形成されている。冷却管31は、上側の端面にキャップ32を有しており、上側の端面が塞がれている。冷却管31は、下側の端面に底面31bを有しており、下側の端面が塞がれている。冷却管31は、例えば、筐体100の外壁から突出するブラケット36にキャップ32がネジ等によって接合されることによって、筐体100に固定されている。また、冷却管31は、例えば内壁に温度センサ59を備える。温度センサ59は、冷却管31の内壁の表面温度を測定することができる。また、冷却管31が金属であるステンレス鋼で形成されているため、冷却管31の内壁の表面温度は、冷却管31の外壁の表面温度に略等しいまたは所定の相関関係がある。以下の説明においては、冷却管31の外壁の表面温度および冷却管31の内壁の表面温度は、冷却管31の表面温度と適宜記載される。
【0018】
図2に示すように、液体急冷装置1は被覆管21を備える。被覆管21は、冷却管31を覆い回転軸Zrを中心に回転運動することができる円筒状の部材である。例えば、被覆管21は、鉛直方向の上下方向に端面を有する円筒状、すなわち鉛直方向に軸方向を有する円筒状である。例えば、被覆管21は、ポリカーボネートで形成されており、透明である。また、被覆管21の内径は、冷却管31の外径よりも大きい。なお、被覆管21は、透明ではなく透光性を有する材料で形成されていてもよいし、金属等の不透明な材料で形成されていてもよい。
【0019】
また、
図2および
図4に示すように、被覆管21は、内壁に螺旋状の凸部22を有する。例えば、
図4に示すように、凸部22は、被覆管21の内部側から見た場合に右肩下がりの螺旋状である。例えば、凸部22は、被覆管21の内壁と一体に形成されている。また、
図5に示すように、凸部22の径方向の高さL2は、冷却管31の外壁と被覆管21の内壁との間に生ずる間隙Gの幅L1よりも小さい。例えば、凸部22の径方向の高さL2は、間隙Gの幅L1の50%以上100%未満であることが好ましい。さらに、高さL2は、幅L1の95%以上100%未満であることがより好ましい。より具体的には、本実施形態において、凸部22の径方向の高さL2は、5mmであり、間隙Gの幅L1は、5.1mm以上5、2mm以下である。また、凸部22は、
図2に示すように、被覆管21の内壁のうち冷却管31の外壁と対向する部分において回転軸Zr方向の一端から他端に亘って設けられている。なお、凸部22は、被覆管21の内壁に複数本形成されていてもよい。また、凸部22は、被覆管21の内部側から見た場合に左肩下がりの螺旋状であってもよく、その場合は後述する被覆管21の回転方向が逆方向になる。
【0020】
被覆管21は、外壁の上端部に固定される歯車23と、歯車23のすぐ下側に配置される保持リング24と、を有する。歯車23は、内径が被覆管21の外径に略等しい円環状の部材であって、例えば接着剤等によって被覆管21に固定されている。保持リング24は、例えば、内径が被覆管21の外径よりも大きい円環状の部材であって、筐体100の外壁から突出するブラケット26に固定される。これにより、被覆管21は、歯車23、保持リング24およびブラケット26を介して筐体100に支持されている。なお、歯車23は、被覆管21と一体に形成されていてもよい。
【0021】
被覆管21の内径が冷却管31の外径よりも大きいため、
図2に示すように、冷却管31の外壁と被覆管21の内壁との間には間隙Gが生ずる。間隙Gの一方の端部である第1端部G1は、シール部材33によって塞がれている。シール部材33は、例えばOリングであり、間隙Gの第1端部G1から異物が侵入することを防いでいる。また、本実施形態においては冷却管31および被覆管21が鉛直方向に軸方向を有する円筒状であるため、間隙Gの他方の端部である第2端部G2は、第1端部G1よりも鉛直方向の下側に配置されている。また、仮に冷却管31および被覆管21が鉛直方向に対して角度をなす方向に軸方向を有する円筒状である場合であっても、第2端部G2は、第1端部G1よりも鉛直方向の下側に配置されることとなる。
【0022】
また、
図2に示すように、液体急冷装置1は、被覆管21の下側にアタッチメント21aを有する。アタッチメント21aは、全体が筒状の部材であって、取付部211と、絞り部212と、整流部213とを有する。取付部211は、例えば、内径が被覆管21の外径よりも大きい円環状の部材であって、被覆管21の外壁の一部を覆っている。取付部211は、筐体100の外壁から突出するブラケット28に固定される。これにより、アタッチメント21aは、被覆管21との間に隙間を生じるように筐体100に支持されている。これにより、被覆管21が回転するときでも、アタッチメント21aは回転しない。絞り部212は、上端が取付部211に接合される円筒状の部材である。絞り部212の内径は、上端から下端に向かって小さくなっている。整流部213は、上端が絞り部212の下端に接合される円筒状の部材である。整流部213は、内径が一定であって、下端部が液体急冷装置1の外部に向かって開口している。
【0023】
なお、アタッチメント21aは、筐体100に固定されなくてもよく、例えば被覆管21に固定されてもよい。アタッチメント21aが被覆管21に固定される場合、例えば、アタッチメント21aは、被覆管21の外壁の下端部に設けられた雄ネジ部に、内壁にネジ溝を有する雌ネジ部材である取付部211が螺合することによって、被覆管21に固定されればよい。また、アタッチメント21aが被覆管21に固定される場合、取付部211が合成ゴムで形成されており、取付部211の内壁と被覆管21の外壁との摩擦力によってアタッチメント21aが被覆管21に固定されていてもよい。
【0024】
図3に示すように、被覆管21は、モータ41の駆動力によって回転軸Zrを中心に回転運動することができる。モータ41は、筐体100の内部に固定されており、シャフト42を有する。シャフト42は、歯車43に接合されている。歯車43の側面に設けられた歯43gは、歯車23の側面に設けられた歯23gに噛み合っている。これにより、モータ41が駆動すると、シャフト42、歯車43および歯車23を介して被覆管21が回転軸Zrを中心に回転する。例えば、被覆管21は、回転軸Zr方向の上方から見て反時計回りに回転させられる。被覆管21と凸部22とは一体に形成されているため、凸部22は、被覆管21となって回転する。凸部22は、被覆管21の回転方向と同じ方向に回転し、かつ被覆管21の回転速度と同じ回転速度で回転する。
図4で示したように、凸部22は、被覆管21の内部側から見た場合に右肩下がりの螺旋状である。このため、間隙G内の任意の一箇所に物体があるとしたとき、被覆管21が回転軸Zr方向の上方から見て反時計回りに回転すると、当該物体は、凸部22の下側表面によって下方に押圧され、徐々に下方に搬送される。後述するように、本実施形態における当該物体は、冷却管31によって氷結された液体である。
【0025】
また、上述したように、保持リング24の内径が被覆管21の外径よりも大きいため、被覆管21は、滑らかに回転することができる。また、
図2に示すように、被覆管21は、外壁の下寄りの位置に案内リング25を有する。案内リング25は、内径が被覆管21の外径に略等しい円環状の部材であって、例えば接着剤等によって被覆管21に固定されている。案内リング25は、筐体100から突出する2つの案内板27の間に形成される溝に嵌まっている。これにより、被覆管21は、より安定して回転することができる。
【0026】
図3に示すように、液体急冷装置1は、冷媒導入路71および冷媒排出路72を有する。冷媒導入路71は、冷媒を冷却管31の内部へ供給するための管であって、例えばステンレス鋼で形成されている。冷媒排出路72は、冷媒を冷却管31の内部から外部へ排出するための管であって、例えばステンレス鋼で形成されている。本実施形態における冷媒は、凝固点降下させた水溶液であって、例えば、天然塩の水溶液である塩水である。冷媒導入路71は、ブラケット36およびキャップ32を貫通して、冷却管31の内部の底面31b付近まで達する。冷媒導入路71は、冷却管31の内部の底面31b付近で連結路74を介して冷媒排出路72に接続される。冷媒排出路72は、冷却管31の内部の底面31b付近から、キャップ32およびブラケット36を貫通して、冷却管31の外部に達する。なお、冷媒は、塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液または塩化アンモニウム水溶液等であってもよい。また、冷媒は、気体であってもよいし、金属塩の水溶液以外の液体であってもよい。
【0027】
また、冷媒導入路71および冷媒排出路72は、外壁から突出する補強部材34を有する。補強部材34の端部は、例えば溶接等によって冷却管31の内壁に固定されている。また、連結路74は、外壁から突出する補強部材35を有する。補強部材35の端部は、例えば溶接等によって冷却管31の底部31bに固定されている。これにより、冷却管31と冷媒導入路71、冷媒排出路72および連結路74とが補強部材34、35を介して連結されるため、冷却管31が径方向に振動する事態が抑制される。
【0028】
図2、3に示すように、液体急冷装置1は、冷媒を冷却するための冷却装置56を有する。冷却装置56は、例えばコンプレッサーを備えており、冷媒を冷却することができる。例えば本実施形態において、冷却装置56は、冷媒の温度を−50℃以上−10℃以下の範囲で冷却することができる。冷媒の温度は、後述する間隙Gに導入される液体の凝固点に応じて変化させることができる。冷媒導入路71および冷媒排出路72は、冷却装置56に接続される。冷却装置56にて冷却された冷媒は、冷媒導入路71によって冷却管31の内部へ運ばれ、冷却管31の熱を奪うことで冷却管31を冷却する。冷却管31から熱を受け取った冷媒は、冷媒排出路72によって冷却管31の外部へ運ばれ、冷却装置56に戻される。このように、冷媒が冷媒導入路71、冷媒排出路72および冷却装置56を循環することで、冷却管31の外壁の表面温度は、後述する間隙Gに導入される液体の凝固点以下に冷却される。なお、冷却装置56は、必ずしもコンプレッサーを用いて冷媒を冷却しなくてもよく、ペルチェ素子を用いて冷媒を冷却してもよいし、液体窒素を用いて冷媒を冷却してもよい。また、冷却装置56は、冷媒の温度を−50℃以上−10℃以下に限らず当該範囲外の温度に冷却することができてもよい。
【0029】
また、冷媒導入路71および冷媒排出路72は、液体急冷装置1の外部の空気に接する部分が断熱材で覆われていることが望ましい。このようにすることで、外部の空気が有する熱が冷媒導入路71および冷媒排出路72を通る冷媒に伝わりにくくなる。このため、冷媒導入路71および冷媒排出路72は、冷媒の温度を保ちながら運ぶことができるため、効率的に冷却管31を冷却することができる。
【0030】
図2、3に示すように、液体急冷装置1は、液体を貯留しておく液体タンク53と、間隙Gに当該液体を導入することができる液体導入路73を有する。本実施形態において液体タンク53は、筐体100の外部に配置されておりアルコール飲料を貯留している。液体導入路73は、例えば、シリコーンで形成された管である。液体導入路73の一端は、間隙Gの一方の端部である第1端部G1に配置される。例えば、液体導入路73は、ブラケット36およびシール部材33を貫通し、一端が第1端部G1に位置するように配置されている。液体導入路73から間隙Gに導入された液体は、凸部22に接触するので凸部22に沿って緩やかに降下する。また、液体導入路73の第1端部G1側の端部は、被覆管21の内壁に向かって開口している方が望ましい。これにより、液体導入路73から間隙Gに導入された液体は、凸部22により接触しやすくなり、凸部22に沿ってより緩やかに降下しやすくなる。
【0031】
また、液体急冷装置1は、バルブ55と、予冷装置54と、液体タンク連結部75とを備える。液体導入路73の他端は、バルブ55および予冷装置54を介して液体タンク連結部75の一端に接続される。例えば、液体タンク連結部75は、
図1に示すように筐体100の外壁に配置されている。液体タンク連結部75の他端は、液体供給路76によって液体タンク53に接続されている。また、例えば、液体供給路76の液体タンク53側の端部は、液体タンク53の内部で液体の中に配置されている。
【0032】
バルブ55は、例えばステッピングモータを備えるボールバルブであり、ステッピングモータによってバルブ開度を調節することで液体の流量を調節することができる。予冷装置54は、例えばコンプレッサーを備えており、液体タンク53に貯留されている液体を間隙Gに送る前に予め冷却することができる。なお、液体急冷装置1は、予冷装置54を備える方が望ましいが、予冷装置54を備えていなくてもよい。
【0033】
図2に示すように、例えば、液体タンク53は、ガス供給路77によって加圧ボンベ58に接続されている。例えば、加圧ボンベ58は、内部に二酸化炭素を高圧で内蔵しており、ガス供給路77を介して二酸化炭素を液体タンク53の内部に送り込むことができる。液体タンク53の内部は、他の部材との接続部分を除いて密閉された空間である。このため、加圧ボンベ58から液体タンク53の内部に二酸化炭素が送り込まれると、液体タンク53の内圧が高くなる。液体タンク53の内圧が高くなると液体タンク53内に貯留されている液体の液面が押されるので、液体は、液体供給路76を介して液体タンク53の外部へ送り出される。そして、液体は、液体タンク連結部75を経て予冷装置54に送られる。液体は、予冷装置54で所定の温度に冷却された後、バルブ55のバルブ開度に応じた流量で間隙Gに導入される。なお、加圧ボンベ58に内蔵されている気体は、二酸化炭素でなく他の気体であってもよい。また、液体タンク53に貯留されている液体を外部へ送り出す方法は、加圧ボンベ58による方法でなくてもよく、例えば、液体タンク53に接続されたポンプによって液体を汲み上げて送り出す方法であってもよい。
【0034】
液体タンク53の液体が間隙Gに導入されるとき、冷却管31が冷媒によって冷却され、被覆管21がモータ41によって回転する。冷却管31の表面温度は、間隙Gに導入される液体の凝固点以下となっている。間隙Gに導入された液体は、冷却管31の外壁に接触することで氷結する。例えば本実施形態において、間隙Gに導入された液体は、冷却管31の軸方向の全長のうち半分の位置までに氷結する。氷結した液体は、冷却管31の外壁に付着する。また、被覆管21が回転軸Zrを中心に回転しているので、被覆管21の内壁に設けられた螺旋状の凸部22が回転する。螺旋状の凸部22は、冷却管31の外壁に付着した液体を掻きとって下方へ搬送する。下方へ搬送された液体は、間隙Gの第2端部G2からアタッチメント21a側に排出され、アタッチメント21aで整流される。その後、氷結した液体は、アタッチメント21aの下端から落下し、容器91に注出される。
【0035】
仮に、冷却管31および被覆管21が鉛直方向に対して角度をなす方向に軸方向を有する円筒状または水平方向に軸方向を有する円筒状である場合、間隙Gに導入された液体は、重力によって間隙G内で鉛直方向の下側の部分に偏る可能性がある。これに対して、本実施形態においては、冷却管31および被覆管21が鉛直方向に軸方向を有する円筒状であり、かつ間隙Gに導入された液体が螺旋状の凸部22に沿って緩やかに降下する。これにより、間隙Gに導入された液体が間隙G内で一部に偏りにくくなる。このため、液体急冷装置1は、間隙Gに導入された液体を、迅速かつ均一に氷結させることができる。
【0036】
また、仮に、アタッチメント21aが被覆管21とともに回転する場合、氷結した液体は、遠心力によってアタッチメント21aの内壁に押し付けられることによりアタッチメント21aの下端から落下しにくくなる可能性がある。これに対して、本実施形態においては、被覆管21がモータ41によって回転するとき、アタッチメント21aは回転しない。これにより、氷結した液体は、アタッチメント21aの内部において遠心力を受けない。このため、液体急冷装置1は、氷結した液体がアタッチメント21aの下端から落下しやすくすることができる。
【0037】
また、凸部22は、冷却管31の外壁に付着した液体をより確実に掻きとれることが望ましい。上述したように、凸部22の径方向の高さL2が5mmであり、間隙Gの幅L1が5.1mm以上5、2mm以下である。これにより、凸部22は、冷却管31の外壁で氷結した液体の大部分を掻きとることができる。
【0038】
また、液体急冷装置1は、バルブ55のバルブ開度を調節して間隙Gに導入される液体の流量を調節することで、液体の氷結の程度を変えることができる。例えば、バルブ55のバルブ開度が大きくなると、間隙Gに導入される液体の流量が増加するので液体が比較的氷結しにくくなる。このため、容器91に注出されたときの氷結した液体は、比較的やわらかい状態となる。一方、バルブ55のバルブ開度が小さくなると、間隙Gに導入される液体の流量が減少するので液体が比較的氷結しやすくなる。このため、容器91に注出されたときの氷結した液体は、比較的かたい状態となる。なお、液体急冷装置1は、バルブ55のバルブ開度を一定とすることで間隙Gに導入される液体の流量を固定し、冷媒の流量および温度を制御することで、液体の氷結の程度を変えてもよい。このように、液体の氷結の程度は、冷媒導入路71および冷媒排出路72に循環させる冷媒の流量および温度を制御することによって、調節されてもよい。冷媒の流量および温度を制御することによって、液体急冷装置1は、液体の氷結の程度をより緻密に調節することができる。さらに、液体急冷装置1は、バルブ55のバルブ開度を調節して間隙Gに導入される液体の流量と、冷媒の流量および冷媒の温度との両方を制御することで、液体の氷結の程度を変えるようにしてもよい。
【0039】
(制御部)
図6は、制御部の構成を示す模式図である。
図2に示すように、液体急冷装置1は、制御部51を有する。制御部51は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)である。PLCは、入力される入力信号の変化に応じて、出力する出力信号を変化させる制御装置である。
図6に示すように、制御部51は、入力回路51aと、中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)51bと、記憶装置であるメモリ51cと、出力回路51dと、を備える。出力信号を変化させる条件は、メモリ51cにプログラムとして記憶されている。メモリ51cに記憶させるプログラムは、例えば、電気回路図を記号化したラダー図で記述される。また、メモリ51cは、バルブ55のバルブ開度の設定値と、しきい値として容器91に注出する液体の重量の設定値と冷却管31の表面温度の設定値と、を記憶しておくことができる。CPU51bは、メモリ51cに記憶されたプログラムにしたがって、入力信号としきい値との比較を行い、比較結果に応じて出力信号を変化させる。制御部51は、メモリ51cに記憶させるプログラムや設定値を変更することで、出力信号を変化させる条件を変更することができる。
【0040】
メモリ51cに記憶させておくバルブ55のバルブ開度の設定値および容器91に注出する液体の重量の設定値は、制御部51に接続されたバルブ設定部62および重量設定部63によって調節可能になっている。バルブ設定部62は、
図1に示すように筐体100の外壁に配置され、バルブ55のバルブ開度が数字で表示される表示部62aと、当該数字を上下させる2つの押しボタン62b、62cとを有する。バルブ設定部62は、押しボタン62b、62cの操作に応じてメモリ51cに記憶させておくバルブ55のバルブ開度の設定値を変更し、表示部62aにバルブ開度を数字として表示することで操作者にバルブ開度の設定値を知らせることができる。重量設定部63は、例えば、
図1に示すように筐体100の外壁に配置されるダイヤルである。重量設定部63は、回転操作に応じてメモリ51cに記憶させておく容器91に注出する液体の重量の設定値を変更することができる。例えば、重量設定部63が時計回りに回転させられるほど、メモリ51cに記憶させておく容器91に注出する液体の重量の設定値が大きくなり、重量設定部63が反時計回りに回転させられるほど、メモリ51cに記憶させておく容器91に注出する液体の重量の設定値が小さくなる。なお、バルブ設定部62および重量設定部63の位置や構成は上述したものに限らない。例えば、バルブ設定部62および重量設定部63は、タッチパネル付き液晶表示装置に表示されてもよい。バルブ設定部62および重量設定部63がタッチパネル付き液晶表示装置に表示される場合、表示されたバルブ設定部62および重量設定部63に対して指等が接触または近接することによって、バルブ55のバルブ開度の設定値および容器91に注出する液体の重量の設定値が変更される。
【0041】
図2に示すように、制御部51は、重量計57と、温度センサ59と、モータ41と、バルブ55と、冷却装置56とに接続されている。重量計57は、測定した重量を電気信号として制御部51に送ることができる。温度センサ59は、測定した冷却管31の表面温度を電気信号として制御部51に送ることができる。モータ41は、制御部51から電気信号を受け取り、当該電気信号に応じて駆動を開始または停止することができる。バルブ55は、制御部51から電気信号を受け取り、当該電気信号に応じてバルブ55に備えられるステッピングモータが駆動し開閉動作を行うことができる。また、制御部51がバルブ55へ送る電気信号は、メモリ51cに記憶されたバルブ開度の設定値に応じて変化する。バルブ55は、制御部51から送られる電気信号の変化に応じて、バルブ開度を増減させることができる。冷却装置56は、制御部51から電気信号を受け取り、冷却を開始または停止することができる。冷却装置56の冷却温度は、例えば、メモリ51cに記憶された冷却管31の表面温度の設定値に応じて変化する。メモリ51cに記憶された冷却管31の表面温度の設定値は、例えば、メモリ51cに記憶されたプログラムを変更するによって変更することができる。
【0042】
また、
図1に示すように、液体急冷装置1は、電源スイッチ60と、作動スイッチ61とを備える。制御部51は、電源スイッチ60および作動スイッチ61に接続されている。電源スイッチ60および作動スイッチ61は、例えば押しボタンである。液体急冷装置1は、電源に接続されており、電源スイッチ60が押圧されることによって電源との導通状態が切り換えられる。例えば、液体急冷装置1は、電源との導通状態を保たれている間は冷却装置56を稼働させて冷却装置56内の冷媒を冷却している。液体急冷装置1は、電源スイッチ60の操作によって電源との導通状態を保たれた状態で作動スイッチ61が押圧されることで、液体を注出する動作を開始する。
【0043】
(液体の注出方法)
図7は、液体急冷装置を用いて、氷結した液体を注出する方法のフローチャートである。本実施形態に係る液体急冷装置1を用いた液体の注出方法は、冷却管31の冷却を開始する工程(ステップS1)と、温度センサ59を用いて冷却管31の表面温度を測定する工程(ステップS2)と、冷却管31の表面温度としきい値(冷却管31の表面温度の設定値)との比較を行う工程(ステップS3)と、氷結した液体が容器91に注出される工程(ステップS4)と、重量計57を用いて容器91に注出された液体の重量を測定する工程(ステップS5)と、容器91に注出された液体の重量としきい値(容器91に注出する液体の重量の設定値)との比較を行う工程(ステップS6)と、液体の注出を停止する工程(ステップS7)と、を含む。液体急冷装置1は、電源との導通状態が保たれた状態で作動スイッチ61が押圧されると、ステップS1からステップS7までを自動で行うことができる。
【0044】
まず、液体急冷装置1は、冷却管31の冷却を開始する(ステップS1)。具体的には、作動スイッチ61が押圧されることによって制御部51から冷却装置56に電気信号が送られる。そして、制御部51から電気信号を受け取った冷却装置56は、冷却装置56内で冷却されていた冷媒を冷媒導入路71および冷媒排出路72によって循環させる。冷媒が循環することで、冷却管31が冷却され始める。
【0045】
次に、温度センサ59を用いて冷却管31の表面温度が測定される(ステップS2)。温度センサ59は、例えば、一定時間毎に冷却管31の表面温度を測定し、当該表面温度を電気信号として制御部51に送る。制御部51に送られた電気信号は、入力回路51aを介してCPU51bに送られる。CPU51bは、電気信号として送られてきた冷却管31の表面温度としきい値としてメモリ51cに記憶されている冷却管31の表面温度の設定値との比較を行う。
【0046】
次に、CPU51bに電気信号として送られてきた冷却管31の表面温度がしきい値(冷却管31の表面温度の設定値)以上である場合(ステップS3、No)、ステップS2に戻り、温度センサ59が再び冷却管31の表面温度を測定する。また、CPU51bに電気信号として送られてきた冷却管31の表面温度がしきい値(冷却管31の表面温度の設定値)より低い場合(ステップS3、Yes)、工程がステップS4に進む。
【0047】
次に、バルブ55が開かれることで液体が間隙Gに導入され、その後氷結した液体が
図1に示した容器91に注出される(ステップS4)。具体的には、制御部51の出力回路51dからバルブ55およびモータ41に電気信号が送られることで、バルブ55が開かれ、モータ41が駆動する。バルブ55が開かれると、液体タンク53に貯留された液体が予冷装置54を通って間隙Gに導入される。間隙Gに導入された液体は、冷却管31の外壁に接触するため氷結し、冷却管31の外壁に付着する。また、モータ41が駆動しているため、被覆管21が回転軸Zrを中心に回転している。これにより、螺旋状の凸部22が回転するので、冷却管31の外壁に付着した液体を掻きとって下方へ搬送する。下方へ搬送された液体は、間隙Gの第2端部G2からアタッチメント21a側に排出され、アタッチメント21aで整流される。その後、氷結した液体は、アタッチメント21aの下端から落下し、容器91に注出される。
【0048】
次に、重量計57を用いて容器91に注出された液体の重量が測定される(ステップS5)。重量計57は、例えば、ステップS5に至るまでのステップ(例えばステップS4)において容器91のみの重量を測定し、制御部51のメモリ51cに予め記憶させている。ステップS5において重量計57は、例えば、一定時間毎に容器91と容器91に注出された液体とを合わせた重量を測定し、当該重量を電気信号として制御部51に送る。制御部51に送られた電気信号は、入力回路51aを介してCPU51bに送られる。CPU51bは、電気信号として送られてきた重量とメモリ51cに予め記憶させていた容器91のみの重量との差分を算出する。当該差分は、容器91に注出された液体の重量である。
【0049】
次に、ステップS5で算出した容器91に注出された液体の重量がしきい値(容器91に注出する液体の重量の設定値)を越えない場合(ステップS6、No)、ステップS5に戻り、重量計57が再び容器91と注出された液体とを合わせた重量を測定する。また、ステップS5で算出した容器91に注出された液体の重量がしきい値(容器91に注出する液体の重量の設定値)を越える場合(ステップS6、Yes)、工程がステップS7に進む。
【0050】
次に、バルブ55が閉じられ、被覆管21の回転が停止することで液体の注出が停止される(ステップS7)。具体的には、制御部51の出力回路51dからバルブ55に電気信号が送られることで、バルブ55が閉じられる。バルブ55が閉じられると、液体タンク53に貯留された液体が間隙Gに導入されなくなる。そして、間隙Gに残っている氷結した液体を外部に排出するために必要な所定時間の後、制御部51の出力回路51dからモータ41に電気信号が送られることで、モータ41の駆動が停止し、被覆管21の回転が停止する。
【0051】
以上述べたように、本実施形態に係る液体急冷装置1は、外壁を冷却することができる筒状の冷却管31と、冷却管31を覆い回転軸Zrを中心に回転運動することができる筒状の被覆管21と、冷却管31の外壁と被覆管21の内壁との間の間隙Gに液体を導入することができる液体導入路73と、を備える。また、冷却管31の外壁の表面温度は、当該液体の凝固点以下に冷却される。また、被覆管21は、内壁に螺旋状の凸部22を有する。
【0052】
これにより、間隙Gに導入された液体は、凸部22に接触するので凸部22に沿って緩やかに搬送されることができる。液体は、緩やかに搬送されながら冷却管31に接触することで、冷却管31の外壁で氷結し付着する。また、被覆管21が回転することができるので、冷却管31の外壁に付着した液体は、凸部22によって掻きとられて搬送される。そして、氷結した液体は、容器91に注出される。このように、液体急冷装置1は、容器91に注出する直前に液体を氷結させることができる。よって、本実施形態に係る液体急冷装置1は、氷結した液体を新鮮な状態で注出することができる。
【0053】
また、本実施形態において、液体導入路73の一端は、間隙Gの一方の端部である第1端部G1に配置される。間隙Gの他方の端部である第2端部G2は、第1端部G1よりも鉛直方向の下側に配置される。これにより、氷結した液体を搬送するための力として凸部22による押圧力に加えて重量を利用することができる。よって、本実施形態に係る液体急冷装置1は、氷結した液体をより効率的に容器91に注出することができる。
【0054】
また、本実施形態において、凸部22は、被覆管21の内壁のうち冷却管31の外壁と対向する部分において回転軸Zr方向の一端から他端に亘って設けられる。被覆管21の内壁と冷却管31の外壁とが対向する部分は、比較的幅が狭くなっており液体が氷結しやすい部分である。仮に、凸部22が被覆管21の内壁のうち冷却管31の外壁と対向する部分において回転軸Zr方向の途中まで設けられている場合、凸部22が途切れる部分に氷結した液体が留まり排出されなくなる可能性がある。これに対して、液体急冷装置1は、凸部22が当該部分の一端から他端に亘って設けられるので、氷結した液体をより確実に外部に向けて搬送することができる。このため、液体急冷装置1は、氷結した液体が間隙Gの途中で溜まり排出されなくなる事態を抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態において、被覆管21は、透明または透光性を有する。これにより、操作者は、間隙Gを外部から視認することができる。このため、液体急冷装置1は、故障が起こった場合等の点検の際に不具合が生じている箇所を見つけやすくすることができる。また、操作者は、間隙Gに液体が導入され氷結し、螺旋状の凸部22によって掻きとられて下方へ搬送される一連の様子を視認することができる。このように液体が瞬時に氷結し、螺旋状の凸部22によって搬送される様子は、操作者にとって物珍しいものである可能性が高い。よって、液体急冷装置1は、液体を注出する様子を見せることで嗜好性を高めることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る液体急冷装置1は、間隙に導入する前記液体を予め冷却することができる予冷装置を備える。これにより、液体導入路73から間隙Gに導入される液体が予め低温になるので、液体急冷装置1は、間隙Gにおいて液体が氷結するまでの時間を短縮することができる。よって、液体急冷装置1は、間隙Gにおける液体の氷結をより確実に行うことができる。
【0057】
また、特許文献1のような従来技術においては、タンクに貯留される氷結した食品のすべてを注出することが困難であるため、タンクの底に残存した食品が無駄になる可能性があった。これに対して、本実施形態に係る液体急冷装置1は、制御部51によって重量計57から送られてくる情報に応じてバルブ55を開閉することができる。このため、液体急冷装置1は、氷結した液体を必要な量だけ注出することができる。よって、液体急冷装置1は、無駄になる液体の量を抑制することができる。
【0058】
なお、液体急冷装置1は、被覆管21およびアタッチメント21aの外壁を覆う円筒状のカバーを備えていてもよい。液体急冷装置1は、カバーを備えることで、断熱性を向上させることができ、間隙Gの内部の温度を保ちやすくすることができる。また、例えば、カバーは、ポリカーボネート等の透明な樹脂によって形成されていることが望ましい。カバーが透明である場合、操作者は、カバーおよび被覆管21を通して間隙Gを外部から視認することができる。
【0059】
また、本実施形態において、冷却管31および被覆管21は、鉛直方向に軸方向を有する円筒状であったが、鉛直方向に対して傾斜する方向に軸方向を有する円筒状であってもよいし、水平方向に軸方向を有する円筒状であってもよい。ただし、上述したように、冷却管31および被覆管21が鉛直方向に軸方向を有する円筒状または鉛直方向に対して傾斜する方向に軸方向を有する円筒状である場合の方が、氷結した液体を搬送するための力として凸部22による押圧力に加えて重量を利用することができる点で望ましい。
【0060】
(変形例1)
図8は、変形例1に係る液体急冷装置の構成を模式的に表した模式図である。変形例1に係る液体急冷装置1Aは、冷却管31Aの形状が上述した実施形態の冷却管31と異なることを特徴としている。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0061】
図8に示すように、変形例1に係る液体急冷装置1Aは冷却管31Aを備える。冷却管31Aは、鉛直方向の上下方向に端面を有する円筒状の部材である。例えば、冷却管31Aは、ステンレス鋼によって形成されている。冷却管31Aは、下方の端部に外径が下方に向かって漸減する絞り部31sを有する。絞り部31sの下方の端面は、底部31bAによって塞がれている。絞り部31sの外壁は、アタッチメント21aの絞り部212の内壁に対向している。これにより、絞り部31sの外壁とアタッチメント21aの絞り部212の内壁との間には、間隙GAが生じる。間隙GAの上端部は、間隙Gに接続され、間隙GAの下端部は、整流部213に接続されている。例えば、間隙GAの幅は、間隙Gの幅に等しくなっている。
【0062】
上述した実施形態においては、アタッチメント21aの内部空間が大きいため、当該内部空間に氷結した液体が一定量溜まった後に整流部213を通過する可能性がある。これに対して、変形例1に係る液体急冷装置1Aは、間隙GAを有するため、整流部213を通過する氷結した液体の量をより安定させることができる。これにより、氷結した液体が容器91に一定量ずつ注出されやすくなる。よって、変形例1に係る液体急冷装置1Aは、氷結した液体が容器91内でより隙間なく盛り付けられるようにすることができる。
【0063】
(変形例2)
図9は、変形例2に係る液体急冷装置の断面を模式的に表した模式図である。
図10は、変形例2に係る内筒の形状等を示す説明図である。変形例2に係る液体急冷装置1Bは、冷却管31の内側に内筒80を有することを特徴としている。内筒80は、例えばポリカーボネートで形成されており、冷却管31の内側に設けられる。内筒80は、側部81と、蓋部82と、底部83と、を有する。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0064】
側部81は、外径が冷却管31の内径よりも小さい円筒状であって、表面に複数の貫通孔81hを有している。これにより、側部81の外壁と冷却管31との間には間隙GBが生ずる。蓋部82は、外径が冷却管31の内径に略等しい円盤状の部材であって、側部81の鉛直方向上側の端部を塞いでいる。底部83は、外径が冷却管31の内径に略等しい円盤状の部材であって、側部81の鉛直方向下側の端部を塞いでいる。蓋部82および底部83が冷却管31の内壁に接触することで、内筒80の径方向の動きが規制されている。また、底部83の鉛直方向下側の面には、支持部材84が備えられている。支持部材84は、一端を底部83に接触させ他端を冷却管31の底面31bに接触させて、内筒80を軸方向に支持している。
【0065】
変形例2に係る液体急冷装置1Bは、冷媒導入路71Bおよび冷媒排出路72Bを有する。冷媒導入路71Bは、冷媒を内筒80の内部へ供給するための管であって、例えばステンレス鋼で形成されている。内筒80の内部に位置する冷媒導入路71Bの端部71Beは、開口しており、
図10に示すように底部83付近まで達している。冷媒排出路72Bは、冷媒を内筒80の内部から外部へ排出するための管であって、例えばステンレス鋼で形成されている。内筒80の内部に位置する冷媒排出路72Bの端部72Beは、開口しており、
図10に示すように蓋部82付近に位置している。なお、端部71Beおよび端部72Beの位置は、上述した位置に限らない。
【0066】
変形例2に係る液体急冷装置1Bにおいて、内筒80の内部を含めた冷却管31の内部は、冷媒で満たされている。冷却装置56によって冷却された冷媒は、冷媒導入路71Bの端部71Beから内筒80の内部に供給される。内筒80の内部に供給された冷媒は、貫通孔81hを通って間隙GBへ移動する。間隙GBに達した冷媒は、冷却管31の熱を奪うことで冷却管31を冷却する。冷却管31から熱を受け取った冷媒は、貫通孔81hを通って内筒80の内部に戻り、冷媒排出路72Bの端部72Beから冷却管31の外部へ運ばれ、冷却装置56に戻される。このように、冷媒が冷媒導入路71B、間隙GB、冷媒排出路72Bおよび冷却装置56を循環することで、冷却管31の外壁の表面温度は、間隙Gに導入される液体の凝固点以下に冷却される。
【0067】
液体急冷装置1Bは、冷媒を冷却管31の内壁に直接接触させるので、効率的に冷却管31を冷却することができる。また、内筒80の内部に供給された冷媒が断面積の小さい貫通孔81hを通って間隙GBへ移動するので、間隙GBにおける冷媒の流速が大きくなる。これにより、間隙GBにおける熱伝達率が大きくなるので、液体急冷装置1Bは、より効率的に冷却管31を冷却することができる。
【0068】
また、仮に冷媒導入路71Bの端部71Beと冷媒排出路72Bの端部72Beとが軸方向において同じ位置にある場合、端部71Beから放出された冷媒が冷却管31と熱交換する前に端部72Beに達して冷却管31の外部へ排出される可能性が高くなる。これに対して、液体急冷装置1Bにおいては、端部71Beが底部83付近に位置し、端部72Beが蓋部82付近に位置しているので、端部71Beと端部72Beとが離れている。このため、液体急冷装置1Bは、冷媒が冷却管31と熱交換する前に冷却管31の外部へ排出される可能性を抑制することができる。