(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無線周波数が使用不可周波数リストに登録された日時および無線周波数が前記使用不可周波数リストから削除された日時を履歴情報として記憶する使用不可登録履歴記憶手段を参照して、前記履歴情報と予め設定された複数の生成アルゴリズムに基づいて、前記使用不可周波数リストから削除する無線周波数の候補を抽出するための判定指標値を、前記使用不可周波数リストに登録された無線周波数毎および生成アルゴリズム毎に生成する判定指標値生成ステップと、
前記使用不可周波数リストに登録されている使用不可能状態の無線周波数のうち前記判定指標値が所定の抽出条件を満足する無線周波数を使用不可登録削除候補として抽出する使用不可登録削除候補抽出ステップと、
前記使用不可登録削除候補が使用可能になったかどうかを判定する無線周波数使用可否判定ステップと、
前記複数の生成アルゴリズムのうち外部から選択された生成アルゴリズムによって算出された判定指標値に基づく使用不可登録削除候補が使用可能と判定されたときに、この使用不可登録削除候補を前記使用不可周波数リストから削除すると共に、前記使用不可登録履歴記憶手段に記憶されている当該使用不可登録削除候補の削除日時を更新する使用不可登録削除ステップと、
前記使用不可周波数リストに登録されている無線周波数を前記使用不可登録削除候補として抽出する基になった判定指標値とこの判定指標値の生成アルゴリズムを示す識別情報と前記使用不可登録削除候補の使用可否の判定結果とを履歴情報として無線周波数使用可否判定結果履歴記憶手段に記憶させる無線周波数使用可否判定結果履歴記憶ステップと、
前記無線周波数使用可否判定結果履歴記憶手段に記憶されている履歴情報に基づいて、前記使用不可登録削除候補の使用可否の判定結果と判定指標値とを、判定指標値の生成アルゴリズム別に表示する無線周波数使用可否判定結果表示ステップとを含むことを特徴とする無線周波数管理方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る無線周波数管理装置の構成を示すブロック図である。無線周波数管理装置は、管理対象となる無線システム(不図示)で使用できなかった無線周波数のリストである使用不可周波数リストを記憶する使用不可周波数リスト記憶部1と、無線周波数が使用不可周波数リストに登録された日時および無線周波数が使用不可周波数リストから削除された日時を履歴情報として記憶する使用不可登録履歴記憶部2と、管理対象となる無線システムで使用できなかった無線周波数を使用不可周波数リストに登録すると共に、当該無線周波数の使用不可周波数リストへの登録日時を、使用不可登録履歴記憶部2に記憶されている履歴情報に加える使用不可周波数リスト登録部3と、使用不可登録履歴記憶部2に記憶されている履歴情報と予め設定された複数の生成アルゴリズムに基づいて、使用不可周波数リストから削除する無線周波数の候補を抽出するための判定指標値を、使用不可周波数リストに登録された無線周波数毎および生成アルゴリズム毎に生成する判定指標値生成部4と、使用不可周波数リストに登録されている使用不可能状態の無線周波数のうち判定指標値が所定の抽出条件を満足する無線周波数を使用不可登録削除候補として抽出する使用不可登録削除候補抽出部5と、使用不可登録削除候補が使用可能になったかどうかを判定する無線周波数使用可否判定部6と、複数の生成アルゴリズムのうち後述する判定指標値生成アルゴリズム選択部11が選択した生成アルゴリズムによって算出された判定指標値に基づく使用不可登録削除候補が使用可能と判定されたときに、この使用不可登録削除候補を使用不可周波数リストから削除すると共に、使用不可登録履歴記憶部2に記憶されている当該使用不可登録削除候補の削除日時を更新する使用不可登録削除部7と、使用不可登録削除候補が使用不可能と判定されたときに、使用不可登録履歴記憶部2に記憶されている当該使用不可登録削除候補の履歴情報に降格マークを付加する降格マーク付加部8と、使用不可周波数リストに登録されている無線周波数を使用不可登録削除候補として抽出する基になった判定指標値とこの判定指標値の生成アルゴリズムを示す識別情報と使用不可登録削除候補の使用可否の判定結果と判定結果を得た日時の情報とを履歴情報として記憶する無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9と、無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9に記憶されている履歴情報に基づいて、使用不可登録削除候補の使用可否の判定結果と判定指標値とを、判定指標値の生成アルゴリズム別に表示する無線周波数使用可否判定結果表示部10と、外部からの指示に従って判定指標値の複数の生成アルゴリズムのうちいずれか1つを選択する判定指標値生成アルゴリズム選択部11とから構成される。
【0017】
使用不可周波数リスト登録部3は、管理対象となる無線システムで使用できなかった無線周波数を、使用不可周波数リスト記憶部1に記憶されている使用不可周波数リストに登録すると共に、当該無線周波数の使用不可周波数リストへの登録日時を、使用不可登録履歴記憶部2に記憶されている当該無線周波数の履歴情報に加える。使用不可周波数リスト登録部3は、このような登録処理を無線システムからの無線周波数使用不可情報に応じて随時行う。
【0018】
無線システムは、ある無線周波数が使用不可周波数リストに登録されると、この登録が削除されるまで、当該無線周波数を使用しないようにする。ここで、ある無線周波数が使用できるか否かの判断は無線システムに依存するが、無線システムは、例えば無線周波数を使って情報を送信したときに相手からの応答がない場合、あるいは無線周波数を使った通信のエラー率が所定の閾値以上の場合に、この無線周波数を使用できないと判定する。
【0019】
図2は使用不可登録履歴記憶部2に記憶される履歴情報の1例を示す図である。
図2の例では、無線周波数をチャネル番号で表している。
図2に示す履歴情報によると、チャネル番号17の無線周波数は、2012年10月1日の12時1分15秒の時点で使用不可周波数リストに登録され、同10月1日の15時3分56秒の時点で使用不可周波数リストから削除され、また2012年11月1日の15時5分30秒の時点で使用不可周波数リストに登録され、同11月1日の18時5分55秒の時点で使用不可周波数リストから削除され、さらに2012年12月1日の11時7分20秒の時点で使用不可周波数リストに登録されたことが分かる。
【0020】
使用不可周波数リストに登録されている使用不可能状態の無線周波数については、削除日時の情報が非現実的な値(
図2の例では2099年12月31日の23時59分59秒)に設定されている。したがって、最新の履歴情報によれば、例えばチャネル番号17の無線周波数は、2012年12月1日の11時7分20秒の時点で使用不可周波数リストに登録された後、使用不可周波数リストから削除されていないことが分かる。なお、
図2の降格マークについては後述する。
【0021】
使用不可周波数リストに登録された無線周波数が増えると、使用できる無線周波数が減ってしまうので、使用不可登録履歴記憶部2に記憶されている履歴情報を基に、使用可能になっている可能性が高い無線周波数を使用不可周波数リストから削除できるか否かを判断する。
図3は本実施の形態の使用不可登録削除処理を説明するフローチャートである。
【0022】
判定指標値生成部4は、使用不可周波数リストに登録された無線周波数が増えて使用可能な無線周波数が一定数以下になった場合、または一定間隔で実行するように予め規定された削除処理タイミングになった場合、使用不可登録履歴記憶部2に記憶されている履歴情報を基に、使用不可周波数リストから削除する無線周波数の候補を抽出するための判定指標値を生成する(
図3ステップS1)。
【0023】
本実施の形態では、判定指標値の生成アルゴリズムとして複数の生成アルゴリズムが予め設定されており、判定指標値生成部4は、判定指標値の算出を、使用不可周波数リストに登録されている使用不可能状態の無線周波数毎および生成アルゴリズム毎に行う。以下、判定指標値の3つの生成アルゴリズムについて説明する。
【0024】
[第1の生成アルゴリズム]
第1の生成アルゴリズムでは、無線周波数が、ある時点で偶然に使用不可周波数リストに登録された場合を想定している。このような場合としては、例えば通信経路上に一時的に配置された物体の影響で、固定的に設置されている無線機器間で電波が弱くなり、使用されていた無線周波数が使用不可周波数リストに登録されたが、現在は物体が移動したために、無線機器間で電波が弱くなる状況が解消された場合などがある。
【0025】
このような場合に対応するため、第1の生成アルゴリズムでは、一定時間前の過去から現在時刻までの期間を指定期間RT(例えば直近1日)とし、無線周波数が指定期間RT中で使用不可能となっていた使用不可累積時間FTの割合である使用不可能率FT/RTを算出し、この使用不可能率FT/RTから算出される使用可能率V1[%]を判定指標値とする。すなわち、使用可能率V1は、無線周波数が指定期間RT中で使用可能となっていた使用可能累積時間STの割合である。
V1=(1−FT/RT)×100=ST/RT×100 ・・・(1)
【0026】
使用不可登録履歴記憶部2に記憶されている履歴情報を参照すれば、無線周波数が使用可能であった日時と使用不可能であった日時とを認識することができるので、判定指標値生成部4は、無線周波数が指定期間RT中で使用不可能となっていた使用不可累積時間FTを求めることができ、判定指標値V1を算出することができる。判定指標値生成部4は、以上のような第1の生成アルゴリズムに則った判定指標値V1の算出を、使用不可周波数リストに登録されている使用不可能状態の無線周波数毎に行う。
【0027】
[第2の生成アルゴリズム]
次に、第2の生成アルゴリズムについて説明する。第2の生成アルゴリズムでは、使用不可周波数リストに登録された時点から、より長く時間が経過している無線周波数ほど、電波環境が変化し、現在は使用できるようになっている可能性が高い場合を想定している。このような場合としては、例えば通信経路上に一時的に配置された物体の影響で、固定的に設置されている無線機器間で電波が弱くなり、使用されていた無線周波数が使用不可周波数リストに登録されたが、現在は物体が移動したために、無線機器間で電波が弱くなる状況が解消された場合などがある。
【0028】
このような場合に対応するため、第2の生成アルゴリズムでは、無線周波数が使用不可周波数リストに登録された最新の日時から現在までの時間である使用不可継続時間CTを基に以下のように判定指標値V2[%]を算出する。
V2=CT/CTmax×100 ・・・(2)
【0029】
式(2)におけるCTmaxは、予め設定された固有値である最大使用不可継続時間である。使用不可登録履歴記憶部2に記憶されている履歴情報を参照すれば、無線周波数が使用不可周波数リストに登録された最新の日時を取得することができる。例えば
図2の例では、チャネル番号17の無線周波数が使用不可周波数リストに登録された最新の日時は2012年12月1日の11時7分20秒であることが分かる。この最新の日時を基に使用不可継続時間CTを求めることができる。現在の失敗回数Fは、無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9に記憶されている履歴情報から求めることができるが、無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9については後述する。
【0030】
なお、式(2)は、CTmax≧CT、すなわち現在の使用不可継続時間が最大使用不可継続時間CTmax以下であるときの判定指標値V2の算出方法であり、CTmax<CT、すなわち現在の使用不可継続時間CTが最大使用不可継続時間CTmaxより大きいときには判定指標値V2を0とする。判定指標値生成部4は、以上のような第2の生成アルゴリズムに則った判定指標値V2の算出を、使用不可周波数リストに登録されている使用不可能状態の無線周波数毎に行う。
【0031】
本実施の形態では、使用不可周波数リストから削除する無線周波数の候補を判定指標値に基づいて抽出する。第2の生成アルゴリズムでは、無線周波数の使用可否を判定したときに判定結果が使用不可になると、使用不可状態が維持され、当該無線周波数の判定指標値V2を次に算出したときに、使用不可継続時間が増えた分だけ判定指標値V2が大きくなる。したがって、使用不可周波数リストから削除する無線周波数の候補を抽出しようとするときに、使用不可継続時間が短い、すなわち電波環境が変化している可能性が低い無線周波数が候補として選定され難いようにすることができ、無駄な試行を少なくすることができる。また、第2の生成アルゴリズムでは、最大使用不可継続時間CTmaxというしきい値を設けることにより、時間の経過に関わらず、使用不可の状態が継続する無線周波数については、判定指標値V2を0とすることで、使用不可登録削除候補とならないようにすることができる。
【0032】
[第3の生成アルゴリズム]
次に、第3の生成アルゴリズムについて説明する。第3の生成アルゴリズムでは、電波環境が時間帯によってパターンを持つ場合を想定している。このような場合としては、例えば管理対象となる無線システムが無線LAN(Local Area Network)と共存する環境において、昼間は無線LANの利用が多いために無線LANで使用されている無線周波数が使用不可能となる可能性が高くなり、夜間は無線LANの利用が少なくなるために無線周波数が使用不可能となる可能性が低くなる場合などがある。
【0033】
このような場合に対応するため、第3の生成アルゴリズムでは、過去の一定期間(日数)を指定期間PDとし、無線周波数が過去の指定期間PDで所定の時間帯WTで使用不可能となっていた累積回数(累積日数)MDの割合である使用不可能率MD/PDを算出し、この使用不可能率MD/PDから算出される使用可能率V3[%]を判定指標値とする。すなわち、使用可能率V3は、無線周波数が指定期間PDで所定の時間帯WTで使用可能となっていた累積回数(累積日数)LDの割合である。
V3=(1−MD/PD)×100=LD/PD×100 ・・・(3)
【0034】
使用不可登録履歴記憶部2に記憶されている履歴情報を参照すれば、無線周波数が使用可能であった日時と使用不可能であった日時とを認識することができるので、判定指標値生成部4は、無線周波数が過去の指定期間PDで所定の時間帯WTで使用不可能となっていた累積回数(累積日数)MDを求めることができ、判定指標値V3を算出することができる。ここで、所定の時間帯WTは、無線周波数を使用したい時間帯とすればよい。判定指標値生成部4は、以上のような第3の生成アルゴリズムに則った判定指標値V3の算出を、使用不可周波数リストに登録されている使用不可能状態の無線周波数毎に行う。こうして、本実施の形態では、3つの生成アルゴリズムの各々について判定指標値を算出する。
【0035】
次に、使用不可登録削除候補抽出部5は、使用不可周波数リストに登録されている使用不可能状態の無線周波数の中に判定指標値V1,V2,V3が所定の抽出条件を満足する無線周波数が存在するかどうかを、使用不可能状態の無線周波数毎および生成アルゴリズム毎に判定する(
図3ステップS2)。使用不可登録削除候補抽出部5は、判定指標値V1,V2,V3が所定の抽出条件を満足する無線周波数が存在する場合(ステップS2においてYES)、この無線周波数を使用不可登録削除候補とする(
図3ステップS3)。ここでは、判定指標値V1,V2,V3に対応する抽出条件として、判定指標値V1,V2,V3が所定の閾値(例えば50%)以上であること、という条件が予め定められているものとする。なお、抽出条件は生成アルゴリズム毎に設定してもよく、生成アルゴリズム毎に異なっていてもよい。
【0036】
次に、無線周波数使用可否判定部6は、使用不可登録削除候補抽出部5が抽出した使用不可登録削除候補のうち、使用可能になっている可能性が最も高い無線周波数が実際に使用可能になったかどうかを、管理対象となる無線システムに問い合わせる(
図3ステップS4)。ここでは、使用不可登録削除候補のうち判定指標値V1,V2,V3が最も大きい無線周波数を、使用可能になっている可能性が最も高い無線周波数とする。
【0037】
無線システムは、無線周波数使用可否判定部6からの問い合わせに応じて、無線周波数が使用可能になったかどうかを確認する試験を行い、無線周波数の使用可否の判定結果を無線周波数使用可否判定部6に通知する。無線システムは、例えば無線周波数を使って情報を送信したときに相手からの応答があった場合、あるいは無線周波数を使った通信のエラー率が所定の閾値未満の場合に、この無線周波数を使用できたと判定する。無線周波数使用可否判定部6は、無線システムから受け取った無線周波数の使用可否の判定結果を使用不可登録削除部7と降格マーク付加部8とに通知する。
【0038】
使用不可登録削除部7は、無線周波数使用可否判定部6から無線周波数の使用が可能という通知を受け取ったとき(ステップS4においてYES)、この使用可能になった無線周波数が判定指標値生成アルゴリズム選択部11によって現在選択されている生成アルゴリズムによって算出された判定指標値に基づく使用不可登録削除候補であった場合(
図3ステップS5においてYES)、この使用可能になった無線周波数を使用不可周波数リスト記憶部1に記憶されている使用不可周波数リストから削除すると共に、使用不可登録履歴記憶部2に記憶されている当該無線周波数の削除日時を現在の日時に更新する(
図3ステップS6)。判定指標値生成アルゴリズム選択部11の動作については後述する。
【0039】
無線周波数使用可否判定部6は、無線システムから無線周波数の使用可否の判定結果を受け取ったとき、この無線周波数を使用不可登録削除候補として抽出する基になった判定指標値とこの判定指標値の生成アルゴリズムを示す識別情報と無線周波数の使用可否の判定結果と使用可否の判定結果を得た日時の情報とを、無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9に記憶されている当該無線周波数の履歴情報に加える(
図3ステップS7)。
【0040】
例えば判定指標値生成アルゴリズム選択部11によって現在選択されている生成アルゴリズムが第1の生成アルゴリズムで、無線システムによって使用可能と判定された無線周波数が
図2のチャネル番号17の無線周波数であり、このチャネル番号17の無線周波数が第1の生成アルゴリズムによって算出された判定指標値V1に基づいて抽出された使用不可登録削除候補であった場合、判定指標値V1と第1の生成アルゴリズムを示す識別情報と無線周波数の使用可否の判定結果(ここでは使用可を示す「成功」)と使用可否の判定結果を得た日時の情報とが当該無線周波数の履歴情報として登録される。
【0041】
また、無線周波数使用可否判定部6は、無線システムによって使用可能と判定された無線周波数が判定指標値生成アルゴリズム選択部11によって現在選択されている生成アルゴリズムとは異なる生成アルゴリズムによって算出された判定指標値に基づく使用不可登録削除候補であった場合(ステップS5においてNO)、この無線周波数を使用不可登録削除候補として抽出する基になった判定指標値とこの判定指標値の生成アルゴリズムを示す識別情報と無線周波数の使用可否の判定結果と使用可否の判定結果を得た日時の情報とを、無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9に記憶されている当該無線周波数の履歴情報に加える(ステップS7)。
【0042】
例えば判定指標値生成アルゴリズム選択部11によって現在選択されている生成アルゴリズムが第1の生成アルゴリズムで、無線システムによって使用可能と判定された無線周波数が
図2のチャネル番号18の無線周波数であり、このチャネル番号18の無線周波数が第2の生成アルゴリズムによって算出された判定指標値V2に基づいて抽出された使用不可登録削除候補であった場合、判定指標値V2と第2の生成アルゴリズムを示す識別情報と無線周波数の使用可否の判定結果(ここでは使用可を示す「成功」)と使用可否の判定結果を得た日時の情報とが当該無線周波数の履歴情報として登録される。
【0043】
一方、降格マーク付加部8は、無線周波数使用可否判定部6から無線周波数の使用が不可能という通知を受け取った場合(ステップS4においてNO)、この使用不可能状態の無線周波数を使用不可周波数リストに載せたままにしておき、使用不可登録履歴記憶部2に記憶されている当該無線周波数の最新の履歴情報に降格マークを付加する(
図3ステップS8)。この降格マークは、使用不可登録削除候補を抽出する際の無線周波数の選択順位を下げるために使用される。
【0044】
そして、無線周波数使用可否判定部6は、この無線周波数を使用不可登録削除候補として抽出する基になった判定指標値とこの判定指標値の生成アルゴリズムを示す識別情報と無線周波数の使用可否の判定結果と使用可否の判定結果を得た日時の情報とを、無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9に記憶されている当該無線周波数の履歴情報に加える(ステップS7)。
【0045】
例えば無線システムによって使用不可能と判定された無線周波数が
図2のチャネル番号21の無線周波数であり、このチャネル番号21の無線周波数が第3の生成アルゴリズムによって算出された判定指標値V3に基づいて抽出された使用不可登録削除候補であった場合、判定指標値V3と第3の生成アルゴリズムを示す識別情報と無線周波数の使用可否の判定結果(ここでは使用不可を示す「失敗」)と使用可否の判定結果を得た日時の情報とが当該無線周波数の履歴情報として登録される。
【0046】
無線周波数管理装置は、以上のようなステップS2〜S8の処理を、判定指標値V1,V2,V3が大きい順、すなわち選択順位が高い順に使用不可登録削除候補毎に行い、使用不可周波数リストに登録されている使用不可能状態の無線周波数の中に判定指標値V1,V2,V3が所定の抽出条件を満足する未処理の無線周波数が存在しなくなり、未処理の使用不可登録削除候補がなくなった時点で(ステップS2においてNO)、使用不可登録削除処理を終了する。
【0047】
上記のとおり、本実施の形態では、判定指標値の生成アルゴリズムとして3つの生成アルゴリズムが予め設定されているので、ステップS2〜S5,S7,S8は全ての生成アルゴリズムに関して実行される。一方、使用可能になった無線周波数を使用不可周波数リストから削除するステップS6の処理に関しては、判定指標値生成アルゴリズム選択部11によって選択されている生成アルゴリズムによって算出された判定指標値に基づく使用不可登録削除候補についてのみ実行される。
【0048】
使用不可登録削除処理終了後の使用不可登録履歴記憶部2に記憶されている履歴情報を
図4に示す。
図4の例では、チャネル番号17の無線周波数が使用不可周波数リストから削除された日時(
図4の例では2012年12月1日の12時0分5秒)が、このチャネル番号17の無線周波数の最新の履歴情報に記録されている。また、チャネル番号21の無線周波数の最新の履歴情報には降格マークが付加されている。
図4の例では、降格マークが付加されていることを「○」印で表している。
【0049】
判定指標値生成部4は、次回の使用不可登録削除処理で判定指標値を算出する際に、使用不可周波数リストに登録されている使用不可能状態の無線周波数のうち、対応する最新の履歴情報に降格マークが付加されている無線周波数については、当該無線周波数の選択順位が下がるように判定指標値を算出する。具体的には、判定指標値生成部4は、算出した判定指標値V1,V2,V3から所定値(例えば20%)を減算すればよい。これにより、判定指標値V1,V2,V3が小さくなり、選択順位が下がるので、今回の使用不可登録削除処理で使用不可と判定された無線周波数が次回の使用不可登録削除処理で使用不可登録削除候補として選定され難いようにすることができる。
【0050】
次に、無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9と無線周波数使用可否判定結果表示部10と判定指標値生成アルゴリズム選択部11について説明する。
上記のとおり、使用不可登録削除処理において、無線周波数使用可否判定部6は、無線システムから無線周波数の使用可否の判定結果を受け取ったとき、この無線周波数を使用不可登録削除候補として抽出する基になった判定指標値とこの判定指標値の生成アルゴリズムを示す識別情報と無線周波数の使用可否の判定結果と使用可否の判定結果を得た日時の情報とを、無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9に記憶されている当該無線周波数の履歴情報に加える(
図3ステップS7)。
【0051】
図5は無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9に記憶される履歴情報の1例を示す図である。
図5の例では、無線周波数をチャネル番号(識別情報)で表している。このように履歴情報は無線周波数の識別情報と対応付けて記憶される。
【0052】
判定指標値の第2の生成アルゴリズムで用いる失敗回数Fは、この無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9に記憶されている履歴情報と使用不可登録履歴記憶部2に記憶される履歴情報を基に求めることができる。具体的には、判定指標値生成部4は、判定指標値を算出しようとする無線周波数が使用不可周波数リストに登録された最新の日時を使用不可登録履歴記憶部2の履歴情報から求め、この最新の日時以降に行われた当該無線周波数の使用可否の判定で失敗(使用不可)という判定結果が得られた回数Fを、無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9の履歴情報を基にカウントすればよい。
【0053】
次に、無線周波数使用可否判定結果表示部10は、無線周波数管理装置のオペレータから表示要求があった場合、または一定間隔で実行するように予め規定された表示タイミングになった場合、無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9に記憶されている履歴情報を基に、無線周波数の使用可否の判定結果と判定指標値とを判定指標値の生成アルゴリズム毎に表示する。
【0054】
図6(A)〜
図6(C)は無線周波数使用可否判定結果表示部10による表示例を示す図であり、
図6(A)は第1の生成アルゴリズムによって算出された判定指標値V1に基づいて抽出された無線周波数の使用可否の判定結果を示す図、
図6(B)は第2の生成アルゴリズムによって算出された判定指標値V2に基づいて抽出された無線周波数の使用可否の判定結果を示す図、
図6(C)は第3の生成アルゴリズムによって算出された判定指標値V3に基づいて抽出された無線周波数の使用可否の判定結果を示す図である。
【0055】
図6(A)〜
図6(C)では、縦軸を無線周波数のチャネル番号とし、横軸を無線周波数の使用可否の判定結果を得た時刻としている。白色の円のシンボルは成功(使用可)を示し、灰色の円のシンボルは失敗(使用不可)を示している。シンボルの中に記載された数値は判定指標値[%]である。また、シンボルの大きさは判定指標値の大きさを示している。
図6(A)〜
図6(C)を同時に1つのウィンドウに表示してもよいし、
図6(A)〜
図6(C)を別々のウィンドウに表示してもよい。
【0056】
図6(A)によれば、時刻t1におけるチャネル番号15の無線周波数の判定指標値は80[%]と高く、使用可否の判定結果は「成功」である。したがって、この判定指標値を生成した第1の生成アルゴリズムは、チャネル番号15の無線周波数および時刻t1の時間帯に関して妥当であると判断できる。また、時刻t2におけるチャネル番号11の無線周波数の判定指標値は60[%]と低く、使用可否の判定結果は「失敗」である。したがって、この判定指標値を生成した第1の生成アルゴリズムは、チャネル番号11の無線周波数および時刻t2の時間帯に関して妥当であると判断できる。また、時刻t3におけるチャネル番号5の無線周波数の判定指標値は70[%]と高いが、使用可否の判定結果は「失敗」である。したがって、この判定指標値を生成した第1の生成アルゴリズムは、チャネル番号5の無線周波数および時刻t3の時間帯に関して妥当ではないと判断できる。
【0057】
このように、無線周波数の使用可否の判定結果と判定指標値とを1つのシンボルで表現し、これを時系列で表示することで、判定指標値の生成アルゴリズムの妥当性を判断することができる。また、本実施の形態の表示方法によれば、時間帯別の生成アルゴリズムの妥当性も判断することができる。例えば特定の時刻に他の時間帯とは大いに異なる判定結果が検出された場合に、その特定の時刻に判定結果に影響を与える事象が生じたかどうかを検討する手がかりになり、オペレータが判定指標値生成アルゴリズム選択部11で現在選択されている判定指標値の生成アルゴリズムが妥当なものかどうかを判断する際の材料を提供することができる。
【0058】
無線周波数使用可否判定結果表示部10による表示を見たオペレータは、判定指標値生成アルゴリズム選択部11が現在選択している判定指標値の生成アルゴリズムが妥当なものかどうかを判断した結果、妥当ではないと判断した場合、判定指標値生成アルゴリズム選択部11に対して生成アルゴリズムの選択を変更する指示を与える。
【0059】
判定指標値生成アルゴリズム選択部11は、オペレータの指示に従って3つの生成アルゴリズムのうちいずれか1つを選択する。なお、判定指標値生成アルゴリズム選択部11は、判定指標値の生成アルゴリズムを全ての無線周波数および全ての時間帯に共通のものとして選択してもよいし、無線周波数によって異なる生成アルゴリズムを選択してもよいし、時間帯によって異なる生成アルゴリズムを選択してもよい。どのような選択をするかはオペレータが指定することができる。
【0060】
以上のように、本実施の形態では、使用不可周波数リストに登録されている使用不可能状態の無線周波数毎に判定指標値を算出し、判定指標値を基に、使用可能になっている可能性が高い無線周波数を使用不可登録削除候補として抽出し、使用不可登録削除候補が実際に使用可能になったかどうかを確認して、使用可能になった使用不可登録削除候補を使用不可周波数リストから削除するようにしたので、使用できない無線周波数で通信を試みる可能性を低減することができ、通信の遅延や無駄なエネルギー消費を低減して、使用可能な無線周波数を効率良く増やすことができる。
【0061】
また、本実施の形態では、使用不可登録削除候補が実際に使用可能になったかどうかの判定結果を判定指標値の全てのアルゴリズムについて表示することにより、オペレータが判定指標値生成アルゴリズム選択部11で現在選択されている判定指標値の生成アルゴリズムが妥当なものかどうかを判断し易くなる。その結果、適切な生成アルゴリズムを判定指標値生成アルゴリズム選択部11に選択させることができる。
【0062】
また、使用不可登録削除処理で使用不可と判定された無線周波数は次回の使用不可登録削除処理でも使用不可と判定される可能性が高い。本実施の形態では、使用不可登録削除処理で使用不可と判定された無線周波数の履歴情報に降格マークを付加することで、次回の使用不可登録削除処理で使用不可登録削除候補として選定され難いようにすることができ、使用可能な無線周波数を効率良く増やすことができる。
【0063】
また、本実施の形態では、判定指標値が所定の閾値以上という条件を使用不可登録削除候補の抽出条件としているが、これに限るものではなく、判定指標値が示す選択順位が高い方から数えた無線周波数の個数が指定個数であること、という条件を抽出条件としてもよい。なお、
図6(A)〜
図6(C)の横軸は無線周波数の使用可否の判定結果を得た時刻ではなく、判定結果を得た日時であってもよい。
【0064】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態においても、無線周波数管理装置の構成および無線周波数管理装置の処理の流れは第1の実施の形態と同様であるので、
図1の符号を用いて説明する。本実施の形態は、無線周波数使用可否判定結果表示部10による別の表示方法を説明するものである。その他の構成は第1の実施の形態で説明したとおりである。
【0065】
図7(A)〜
図7(C)は本実施の形態の無線周波数使用可否判定結果表示部10による表示例を示す図であり、
図7(A)は第1の生成アルゴリズムによって算出された判定指標値V1に基づいて抽出された無線周波数の使用可否の判定結果を示す図、
図7(B)は第2の生成アルゴリズムによって算出された判定指標値V2に基づいて抽出された無線周波数の使用可否の判定結果を示す図、
図7(C)は第3の生成アルゴリズムによって算出された判定指標値V3に基づいて抽出された無線周波数の使用可否の判定結果を示す図である。
【0066】
図7(A)〜
図7(C)では、縦軸を成功(使用可)という判定結果が得られた成功回数(頻度)および失敗(使用不可)という判定結果が得られた失敗回数(頻度)とし、横軸を判定指標値としている。縦軸については、0回より上側が成功回数を示し、0回より下側が失敗回数を示している。白色の四角のシンボルは成功を示し、灰色の四角のシンボルは失敗を示しており、1個のシンボルが1回成功または1回失敗を示している。横軸については、判定指標値を10刻みとしている。例えば判定指標値65[%]に基づいて抽出された無線周波数の成功回数および失敗回数は、判定指標値60〜69[%]に対応するシンボルによって表現される。
【0067】
無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9には
図5に示したような履歴情報が記憶されている。したがって、無線周波数使用可否判定結果表示部10は、使用可否の判定の成功、失敗を判定指標値毎および判定指標値の生成アルゴリズム毎にカウントすれば、成功回数および失敗回数を得ることができる。判定指標値の第2の生成アルゴリズムで用いる失敗回数Fは、無線周波数が使用不可周波数リストに登録された最新の日時以降に行われた当該無線周波数の使用可否の判定で失敗という判定結果が得られた回数であるが、
図7(A)〜
図7(C)で表示する失敗回数は、失敗回数Fとは異なり、無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9に記憶されている過去から現在までの全ての判定結果が対象となる。なお、
図7(A)〜
図7(C)を同時に1つのウィンドウに表示してもよいし、
図7(A)〜
図7(C)を別々のウィンドウに表示してもよい。
【0068】
本実施の形態によれば、使用不可登録削除候補が実際に使用可能になったかどうかの判定の成功回数および失敗回数を判定指標値の全てのアルゴリズムについて判定指標値の区分別に表示することにより、オペレータは無線周波数の使用可否の判定結果と判定指標値とが整合しているかどうかを把握することができ、オペレータが判定指標値生成アルゴリズム選択部11で現在選択されている判定指標値の生成アルゴリズムが妥当なものかどうかを判断する際の材料を提供することができる。
【0069】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態においても、無線周波数管理装置の構成および無線周波数管理装置の処理の流れは第1の実施の形態と同様であるので、
図1の符号を用いて説明する。本実施の形態は、無線周波数使用可否判定結果表示部10による別の表示方法を説明するものである。その他の構成は第1の実施の形態で説明したとおりである。
【0070】
図8(A)〜
図8(C)は本実施の形態の無線周波数使用可否判定結果表示部10による表示例を示す図であり、
図8(A)は第1の生成アルゴリズムによって算出された判定指標値V1に基づいて抽出された無線周波数の使用可否の判定結果を示す図、
図8(B)は第2の生成アルゴリズムによって算出された判定指標値V2に基づいて抽出された無線周波数の使用可否の判定結果を示す図、
図8(C)は第3の生成アルゴリズムによって算出された判定指標値V3に基づいて抽出された無線周波数の使用可否の判定結果を示す図である。
【0071】
図8(A)〜
図8(C)では、縦軸を成功(使用可)という判定結果が得られた成功回数(頻度)および失敗(使用不可)という判定結果が得られた失敗回数(頻度)とし、横軸を無線周波数のチャネル番号としている。縦軸については、0回より上側が成功回数を示し、0回より下側が失敗回数を示している。白色の四角のシンボルは成功を示し、灰色の四角のシンボルは失敗を示しており、1個のシンボルが1回成功または1回失敗を示している。シンボルの中に記載された数値は判定指標値[%]である。
【0072】
無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9には
図5に示したような履歴情報が記憶されている。したがって、無線周波数使用可否判定結果表示部10は、使用可否の判定の成功、失敗を無線周波数(使用不可登録削除候補)毎および判定指標値の生成アルゴリズム毎にカウントすれば、成功回数および失敗回数を得ることができる。ここでの失敗回数は、判定指標値の第2の生成アルゴリズムで用いる失敗回数Fとは異なり、無線周波数使用可否判定結果履歴記憶部9に記憶されている過去から現在までの全ての判定結果が対象となる。なお、
図8(A)〜
図8(C)を同時に1つのウィンドウに表示してもよいし、
図8(A)〜
図8(C)を別々のウィンドウに表示してもよい。
【0073】
本実施の形態によれば、使用不可登録削除候補が実際に使用可能になったかどうかの判定の成功回数および失敗回数を判定指標値の全てのアルゴリズムについて無線周波数別に表示することにより、オペレータは無線周波数の使用可否の判定結果と判定指標値とが整合しているかどうかを無線周波数毎に把握することができ、オペレータが判定指標値生成アルゴリズム選択部11で現在選択されている判定指標値の生成アルゴリズムが妥当なものかどうかを判断する際の材料を提供することができる。
なお、
図8(A)〜
図8(C)ではチャネル番号を無線周波数(使用不可登録削除候補)の識別情報としているが、周波数の値そのものを無線周波数の識別情報として表示してもよい。
【0074】
第1〜第3の実施の形態で説明した判定指標値の生成アルゴリズムは、あくまでも事例である。使用可能になっている可能性が高い無線周波数を抽出できるものであれば、判定指標値の生成アルゴリズムは第1〜第3の実施の形態で説明したものに限られない。
【0075】
第1〜第3の実施の形態で説明した無線周波数管理装置は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1〜第3の実施の形態で説明した処理を実行する。