特許第6077998号(P6077998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6077998
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】低侵襲の椎間システムと方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20170130BHJP
   A61B 17/58 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   A61F2/44
   A61B17/58
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-532842(P2013-532842)
(86)(22)【出願日】2011年9月29日
(65)【公表番号】特表2014-507167(P2014-507167A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】US2011054001
(87)【国際公開番号】WO2012047712
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年9月29日
(31)【優先権主張番号】61/389,986
(32)【優先日】2010年10月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513084724
【氏名又は名称】ロリオ,モーガン,ピー.
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】パーセル,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ロリオ,モーガン,ピー.
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/076377(WO,A2)
【文献】 特表2003−505149(JP,A)
【文献】 特表2003−526458(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/103344(WO,A1)
【文献】 特表2008−512218(JP,A)
【文献】 特表2004−530527(JP,A)
【文献】 特表2010−538684(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第2913331(FR,A1)
【文献】 国際公開第2008/084479(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0243255(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
A61B 17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する椎骨の間に配置するための低侵襲の椎間インプラントであって、
縦方向に延びる内腔軸を規定する周回状の本体であって、該周回状の本体が、外方側表面及び縦方向に対向する面を有する複数のセグメントを備えており、該複数のセグメントが、開放位置から閉じ位置への移行の際に変形するように構成されるリビングヒンジによって連結されており、該リビングヒンジの少なくとも1つが、該リビングヒンジによって連結された隣り合うセグメント上において、該リビングヒンジを前記閉じ位置に係止するための係止機構であって、雄と雌の圧縮性の留め具を備えた係止機構を含んでいる、周回状の本体と、
該周回状の本体の横軸に沿って互いに反対側に配置される基端及び先端とを備え、
前記周回状の本体は、基端と先端とが最大限離間する第一形態と、基端と先端とが第一形態よりも互いに近くになっている第二形態とを含み、
前記周回状の本体は、隣接する椎骨の間に配置された際に、前記インプラントに対向する隣接する椎骨の骨表面と略並行とされる横断軸に沿って、前記第一形態から前記第二形態へと移行するように構成されており、
前記第一形態では、前記周回状の本体の前記外方側表面が、隣接する椎骨の骨表面に対向し、前記縦方向に対向する面が、隣接する椎骨の骨表面に対向しておらず、
前記第二形態では、前記周回状の本体の前記縦方向に対向する面が、隣接する椎骨の骨表面に対向し、前記隣接する椎骨の骨表面を支持するように構成されていることを特徴とする、低侵襲の椎間インプラント。
【請求項2】
前記リビングヒンジは、前記第一形態から前記第二形態への移行の際に塑性的に変形する請求項1記載の低侵襲の椎間インプラント。
【請求項3】
前記リビングヒンジは、前記周回状の本体を前記第二形態に係止する請求項2記載の低侵襲の椎間インプラント。
【請求項4】
前記基端と前記先端との少なくとも一つは、移植ツールを受けるための開口を含む請求項1記載の低侵襲の椎間インプラント。
【請求項5】
前記周回状の本体の縦方向に対向する面の少なくとも一つは、骨との固定接触を促進するテクスチャを含む請求項1記載の低侵襲の椎間インプラント。
【請求項6】
前記基端は、外方側表面に反対側に配置され前記基端側に延設される一対の溝部を含み、前記溝部は、移植ツールの突起部を収容するように構成される請求項1記載の低侵襲の椎間インプラント。
【請求項7】
前記周回状の本体は、チタン、チタン合金、ポリエーテルエーテルケトンからなる群から選択される剛性の生物学的に不活性物質を含む請求項1記載の低侵襲の椎間インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般的に、椎間傷の治療のための装置に関するもので、具体的には、骨移植体積を高めて椎骨終板に接触する塑性的に変形可能である低侵襲の椎間インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の椎間装置は、外科的アプローチの解剖学的制限と、骨の融合を促進する骨移植体積の最適化と、沈下を防ぐ椎骨終板に接触する装置の最適化との3大原則により設計されている。現在の装置は、一般的に、形状や体積を変化させることができないように静止している。つまり、現在の装置は、解剖学や技術によって制限されており、従って、最適な骨移植体積又は表面接触を提供していない。
【0003】
形状及び/又は堆積を変化させる椎間装置又はインプラントの需要はある。そのような装置は、抑制した横断面を有する第一形態で移植場所まで進み、続いて、移植場所で所望の横断面を有する第二形態に移行する能力に利点がある。そのような装置は、材料の塑性変形、及び/又は、第二形態に装置を係止するための機構によって、第二形態の状態を維持する剛性構造に利点がある。更に、そのような装置は、移植場所にインプラントを置いて備え付け、かつ、インプラントの内部体積を満たすように骨移植材を供給するようなシンプルツールによって、迅速に移植可能であることに利点がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の一態様では、低侵襲の椎間インプラントは、縦方向に延びる内腔軸を定める周回状の本体を含む。周回状の本体は、横軸に沿って互いに反対に配置される基端と先端とを含む。基端と先端との各々には、開口部が配置されており、周回状の本体は、基端と先端とが最大限離間する第一構成と、基端と先端とが第一形態よりも互いに近づく第二形態とを含むように構成される。
【0005】
本願の他の態様では、低侵襲インプラントシステムは、低侵襲椎間インプラントを含み、移植ツールは、先端から前方に延びる一対の突起部を含むカニューレを含む。シャフトは、カニューレを通って、長手方向に摺動自在に配置され、ねじ込み先端を含むように構成される。ハンドルは、シャフトの基端に設けられる。システムは、カニューレの基端に着脱自在に設けられる先端を有するプランジャを有するファネルと、カニューレを通して骨移植材を押し付けるべく、ファネルの内腔にスライディングシールを形成するように構成されるプランジャとを含む。
【0006】
本願の他の態様では、移植ツールを利用した低侵襲の椎間インプラントの移植方法である。この方法は、第一形態における低侵襲の椎間インプラントをシャフトのねじ込み先端に設けて、一対の突起部は、基端側に延びる一対の溝部に係止されるステップと、移植場所に向けてシャフトの先端を進めて、周回状の本体の内腔軸は、移植場所で骨表面に略並行となるステップとを含む。更に、かかる方法は、カニューレを約90度程度回転させて、内腔軸を骨表面に対して略垂直にするステップと、低侵襲の椎間インプラントを第一形態から第二形態に移行させるために、カニューレに対してシャフトを基端側に移動させるステップと、低侵襲の椎間インプラントから移植ツールを引き離すステップとを含む。更に、かかる方法は、カニューレに対してハンドルを回転させて、低侵襲の椎間インプラントからシャフトを引き離すステップと、カニューレからシャフトを引き抜くステップと、ファネルをカニューレの基端に接続するステップと、低侵襲の椎間インプラントの内部容積が満たされるまで、プランジャを有するファネルとカニューレとを通して骨移植材を押すステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第一形態における低侵襲の椎間インプラントの等角図を示す。
図2A図2Aは、図1の第一形態における低侵襲の椎間インプラントの側部正面図を示す。
図2B図2Bは、図1の第一形態における低侵襲の椎間インプラントの内腔の正面図を示す。
図2C図2Cは、図2Bの2C−2C線に概ね沿って取得される、低侵襲の椎間インプラントの断面図を示す。
図3図3は、図1の低侵襲の椎間インプラントにおける第二形態の等角図を示す。
図4図4は、図1の低侵襲の椎間インプラントにおける第二形態の内腔の正面図を示す。
図5A図5Aは、開放位置における係止機構を有するリビングヒンジ(living hinge)を示す。
図5B図5Bは、係止位置における係止機構を有するリビングヒンジを示す。
図6図6は、移植ツールの一態様に設けられる低侵襲の椎間インプラントを示す。
図7図7は、図6の移植ツールの基部側の正面図を示す。
図8図8は、図7の8−8線に概ね沿って取得される、移植ツールの断面図を示す。
図9図9は、図6の9−9線に概ね沿って取得される、移植ツールの先端の拡大断面図を示す。
図10A図10Aは、図6の9−9線に概ね沿って取得される、第一形態における低侵襲の椎間インプラントと取付け前の移植ツールの先端との断面図を示す。
図10B図10Bは、図10Aの低侵襲の椎間インプラントの溝部に移植ツールが係止している図を示す。
図10C図10Cは、図10Bの低侵襲の椎間インプラントの先端開口に移植ツールのシャフトのねじ込み先端が係止している図を示す。
図10D図10Dは、図10Cの低侵襲の椎間インプラントが第二形態に移行した図を示す。
図11図11は、低侵襲の椎間インプラントが移植場所に位置し、前記インプラントの内腔軸は、移植場所で骨表面に略並行となる状態を示す。
図12図12は、図11の移植場所における回転前の低侵襲の椎間インプラントを示す。
図13図13は、図11の移植場所における低侵襲の椎間インプラントが回転して、前記インプラントの内腔軸を骨表面に略垂直としている状態を示す。
図14図14は、図11の移植場所における回転後の低侵襲の椎間インプラントであり、第一形態から第二形態に移行する前の状態を示す。
図15図15は、骨移植材を充填する前の第二形態における図11の低侵襲の椎間インプラントを示す。
図16図16は、シャフトとハンドルがファネルとプランジャに置換された移植ツールによって、図11の移植場所で第二形態における低侵襲の椎間インプラントに骨移植材を充填している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願は、2010年10月5日に提出された米国仮特許出願番号61/389,986の優先権を主張するもので、米国仮特許出願番号61/389,986を参照によって組み込んでいる。
【0009】
本願の前述及び他の特徴と利点は、以下の一実施形態の詳細な記載と、付随する図面とから明らかであり、同様な構造や機能の要素は、同様な参照番号で指定される。
【0010】
基部と先部との用語は、本願に記載される構成要素の特定の端部を示す。基端は、構成要素が移植されるとき、医学の専門家に近い側の構成要素の端部を言う。先端は、構成要素が移植されるとき、医学の専門家から遠い側の構成要素の端部を言う。
【0011】
図1乃至図4を参照すると、一実施形態では、図1に示されるように、低侵襲の椎間インプラント100は、縦方向に延びる内腔軸110を決める周回状の本体105を含む。周回状の本体105は、基端115と先端120とを備え、両端は、周回状の本体105の横軸125に沿って互いに反対側に配置される。図2Cから最も分かり易いように、基端開口130は、周回状の本体105の基端115を貫通して配置され、先端開口135は、周回状の本体105の先端120を貫通して配置される。内腔軸110と横軸125とに直交する横断軸140は、図1のように記載の便宜上規定される。一実施形態では、ねじ山(図示せず)は、先端開口135の内腔表面145に配置される。
【0012】
周回状の本体105は、第一形態200を含み、基端115と先端120とは、図1,2Bから最も分かり易いように、最大限離間している。図3,4を参照すると、周回状の本体105は、第二形態300を含み、基端115と先端120とは、最大離間距離よりも少ない距離で離間しており、第一形態よりも互いに近くになっている。周回状の本体105は、材の塑性変形によって、第二形態に保持される。
【0013】
一実施形態では、周回状の本体105は、剛性の生物学的に不活性物質を含み、この物質は、例として限定されないが、チタン、チタン合金、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む。周回状の本体105は、弾性又は塑性変形によって、第一形態200から第二形態300に移行する。第一形態200から第二形態300への移行が塑性的に周回状の本体105を変形させるとき、そのように移行した後に、周回状の本体105は、第二形態300を保持することが好ましい。図4の矢印160に示すように、基端115に向けて先端120に十分な力を加えると、周回状の本体105が第一形態200から第二形態300に移行する。
【0014】
図1,2B,3,4に示すように、一実施形態では、周回状の本体105は、リビングヒンジ155によって連結されるセグメント150を有する一つのユニットを含む。前記リビングヒンジ155は、周回状の本体105の内方側表面157に配置され、第一形態200から第二形態300への移行の際に塑性的に変形する。図1,2B,5Aに示すように、周回状の本体105は、第一形態200の状態にあるとき、リビングヒンジ155は、開放位置にある。図3,4,5Bに示すように、第二形態300に移行する際に、セグメント150は、図5Aの矢印165に示すように、互いに対して回転して、リビングヒンジ155は閉じ位置にある。
【0015】
幾つかの実施形態では、図1,2B,5Aのような開放位置から、図3,4,5Bのような閉じ位置へのリビングヒンジ155の塑性変形は、十分な塑性変形を提供し、周回状の本体105は、その移行後に第二形態300を保持する。他の実施形態では、係止機構170は、例えば、雄と雌の圧縮性の留め具170a,170bが図5A,5Bに示すように設けられる。他の実施形態では、圧縮性の雄型の留め具170aの鉤爪状端部は、雌型の圧縮性の留め具170bに係止する際に互いに圧縮される。最終的に、セグメント150が回転して、リビングヒンジ155が図3,4,5Bのように閉じ位置に行き、雄型の圧縮性の留め具の鉤爪状端部は、雌型の圧縮性の留め具内の一対の内肩部(internal shoulders)の深さまで行き、鉤爪状端部は、元の形状に戻ろうとし、取り外せないように内肩部に係止される。
【0016】
他の係止機構170は、例として限定されないが、付着接触や雄型の鉤爪状留め具が雌型の留め具に係止するなどによって、第二形態300への移行後に、周回状の本体105を第二形態300に保持するように用いられる。係止機構170は、ラチェット機構(図示せず)を含むようにされており、雌型の圧縮性の留め具170bは、深さが深いところで複数の内肩部を含み、リビングヒンジ155は、図1,2B,5Aのような完全な開放位置と、図3,4,5Bのような完全な閉じ位置との間での如何なる位置でも係止され得る。
【0017】
図1,2B,3,4を参照すると、幾つかの実施形態では、周回状の本体105の少なくとも縦方向に対向する面175は、骨表面に接触して固定されることを促進するテクスチャ180を含む。更に、図1,2A,3を参照すると、周回状の本体105の基端115は、基端115の外方側表面190に反対側に配置され基端側に延設される一対の溝部185を含む。以下に記載されるように、溝部185は、移植ツール(図6−9,12,13,16参照)の突起部(図6,9−11)を収容するように構成される。
【0018】
図6−9を参照すると、一実施形態では、低侵襲の椎間インプラント100の移植ツール400は、一対の突起部410を有するカニューレ405を含み、前記一対の突起部410は、周回状の本体105の溝部185に係止するカニューレ405の先端415の先端側(前方)に延びている。図8−10Dを参照すると、移植ツール400は、カニューレ405を通って長手方向に摺動自在に配置されるように構成されるシャフト420を含む。一実施形態では、シャフト420は、ねじ込み先端425を含み、ねじ込み先端425は、周回状の本体105の先端開口135の内腔表面145に配置されるねじ山(図示せず)に係止されるように構成される。他実施形態では、先端425は、例として限定されないが、留め開口、差込溝などである先端開口135の内腔表面145への取付けのための他の着脱自在な取付機構を含む。ハンドル430は、シャフト420の基端435に取り付けられる。図16を参照すると、移植ツール400は、更に、プランジャとファネルとを含み、低侵襲の椎間インプラント100の移植の方法に関して以下に記載される。
【0019】
図10A−10Dに示すように、移植ツール400は、周回状の本体105を第一形態200から第二形態300に移行するように機能する。更に、図11−16に示すように、移植ツール400は、移植場所における低侵襲の椎間インプラント100の配置、方向、充填を促進する。図10Aを参照すると、最初に、低侵襲の椎間インプラント100は、第一形態200である。カニューレ400の先端415は、周回状の本体105の基端115に近づけられて、一対の突起部410は、一対の溝部185に位置合わせされる。続いて、カニューレ405は、図10Bの矢印440に示すように、低侵襲の椎間インプラント110に対して先端側に進められ、一対の突起部410は、基端側に延びる一対の溝部185に係止する。
【0020】
図10Bに示される方法において、カニューレ405は、周回状の本体105の先端115に接続され、カニューレ405の回転によって、周回状の本体105を回転させる。そのような回転は、カニューレ405内の内腔軸135に沿って自由に回転して移動するシャフト420とは独立している。
【0021】
図10Cを参照すると、シャフト420は、カニューレ405に対して先端側に進み、シャフト420の先端425は、基端開口130を通過する。図2C,10A,10B,10Dを参照すると、一実施形態では、内部溝195は、周回状の本体105の内方側表面157の横軸125に沿って横方向に延びて配置される。内部溝195は、周回状の本体の基端開口130から先端開口135に通過するシャフト420のための隙間を提供する。かかる隙間は、周回状の本体105を第一形態200で横断方向に圧縮する。この横断方向の圧縮は、内部溝195がなかった場合にあり得る小さいスペースであって、例えば、椎間スペースなどに、周回状の本体105を適合させることができる。
【0022】
更に、シャフト420は、図10Cに示すように、先端425が先端開口135に入るまで、カニューレ405に対して先端側に進む。本実施形態では、先端425と先端開口135の内腔表面145とは、シャフト420の基端435に取り付けられるハンドル430を用いた、カニューレ405に対するシャフト420の回転によって螺合する。図10Dを参照すると、シャフト420の先端425と先端開口405の接続後、カニューレ405に対して基端方向にシャフト420に力が加えられる。本実施形態では、力はシャフト420内の張力として効果的に伝達され、先端開口135と基端115との間で周回状の本体105に横方向の圧縮力を与える。周回状の本体105を第一形態200から第二形態300に移行させた後、シャフト420の先端425は、先端開口135から外され、カニューレ405から取り除かれる。
【0023】
図10Aから図10Dについて、上記のように、移植ツール400は、第一形態200から第二形態300に周回状の本体105を如何に移行させるように機能するか記載したが、移植場所における低侵襲の椎間インプラント100の配置、方向、充填のための移植ツール400の機能は、次に記載される。図11を参照すると、最初に、先端開口135に係止するシャフト420の先端425に取り付けられている第一形態200における低侵襲の椎間インプラント100を含む移植ツール400の先端415は、移植場所500、例えば、脊柱510の椎骨505間の場所に進む。低侵襲の椎間インプラント100は、移植場所500に置かれ、周回状の本体105の内腔軸110は、移植場所500の骨表面515に略並行する。
【0024】
周回状の本体105が最初に図11のように置かれる理由は、そのような向きによって促進される椎間腔への導入の相対的容易さである。本技術分野で周知のように、椎間腔への低侵襲の椎間インプラント100の配置の前に、椎間腔の何れか一方の椎骨は、遠ざけられる。幾つかの方法では、このように遠ざけることは、椎骨間に入れられるへらを有するツールを介して達成され、続いて、椎骨間が広げられて、椎骨を遠ざける。椎骨を遠ざけるのに有用なツールは、例えば、本願全体に参照で組み込まれる米国特許出願公開番号2009/0306672におけるレインデルらによって発見されている。
【0025】
椎骨を続けて遠ざけるために、共通の手続きは、インプラントの導入のための椎間板腔を整備することを含む。整備は、本技術分野で周知のように、板環部の除去又は板核の排出を含み得る。更なるステップとしては、椎骨における軟骨性端板の除去を含み得る。インプラントの導入のための椎間板腔を整備するのに有用なツールは、例えば、本願全体に参照で組み込まれる米国特許番号7,632,278におけるジャンセンらによって発見されている。
【0026】
上記の図2C,10A,10B,10Dと内部溝195に関して、周回状の本体105の横方向の圧縮は、内部溝195がなかった場合にあり得るスペースよりも小さいスペースに周回状の本体105を適合させることができる。小さいスペースに周回状の本体105を適合させる能力は、周囲の椎骨を遠ざける程度を少なくすることを促進する。従って、周回状の本体105は、椎間板腔に導入され、外部表面190は、最初に骨表面515に対向し、縦方向に対向する表面175は、骨表面515に対向しない。
【0027】
図12,13を参照すると、低侵襲の椎間インプラント100の最初の配置の後に、周回状の本体105は、図12の矢印520に示すように、略90度回転される。図13,14は、回転後の周回状の本体105を示し、その配置においては、縦方向に対向する面175が骨表面515に対向し、外部表面190は、骨表面515に対向しない。
【0028】
図6,8,12,13,16を参照すると、幾つかの実施形態では、移植ツールは、カニューレ405に固定して設けられる回転位置インジケータ525を含む。カニューレは、溝部185に係止される突起部410を介して、周回状の本体105に回転して固定されるため、周回状の本体105の相対的な回転位置は、回転位置インジケータ525の相対的な回転位置に反映される。
【0029】
図6,8,12,13,16を更に参照すると、他の実施形態では、移植ツール400は、カニューレ405の基端535に設けられるカバー体530を含み、ハンドル430の先端540は、カバー体530の基端545に収容される。カバー体530は、医療の専門家によって容易に把持して操作されるような大きな表面を提供する。また、カバー体530は、カニューレ405に回転して固定され、回転位置インジケータを視認可能な開口547を含み得る。
【0030】
第一と第二の位置マーク550,555は、ハンドル430の先端540近傍に配置されている。第一マーク550は、視認可能であり、第二マーク555は、カバー体530によって明白に遮られるとき、シャフト420の先端425は、例えば、第一形態200における周回状の本体105の先端開口135に操作上設けられるシャフト420に対応する第一位置に、カニューレ405の先端415から伸びている。第一と第二の位置マーク550,555は両方、視認可能なとき、シャフト420の先端425は、例えば、第二形態300における周回状の本体105の先端開口135に操作上設けられるシャフト420に対応する第二位置に、カニューレ405の先端415から伸びている。従って、第一と第二の位置マーク550,555は、周回状の本体105の状態を決定するための本技術分野で周知の他の方法を介して、移植場所500の可視化に加えて、医師に可視的な補助を提供する。
【0031】
図14を再び参照すると、周回状の本体105は、第一形態200から第二形態300への移行をするために、適切な方向に向けられる。図15に示され、図10Aから図10Dに関して上記で詳述されたように、周回状の本体105は、先端と基端との間で横方向の圧縮力を加えることで、第一形態200から第二形態300に移行される。
【0032】
図16を参照すると、周回状の本体105の移動と方向付け、及び、第二形態300への移行の後に、シャフト420とハンドル430は、図10Aから図10Dに関して上記で詳述されたように、カニューレ405から取り除かれる。一実施形態では、移植ツール400は、カニューレ405の基端535に着脱自在に取付けられる先端565を有するファネル560を含む。ファネル560は、本技術分野で周知の取付け方法によって、カニューレ405に取付けられる。前記取付け方法は、例えば、例として限定されないが、圧入、スナップ留め、バヨネットソケット、ねじ留めなどである。
【0033】
プランジャ570は、カニューレ405を通って周回状の本体105内の移植場所500に骨移植材を押すために、ファネル560の内腔にスライディングシール(sliding seal)を形成するように構成される。従って、低侵襲の椎間インプラントの移植方法の最終ステップでは、骨移植材は、低侵襲の椎間インプラント100の内部容積が満たされるまで、プランジャ570によってファネル560とカニューレ405を通して押される。
【0034】
低侵襲の椎間インプラント、その移植ツール、その移植方法は、以上である。前記インプラントは、拡張可能な形状を有することによって、従来の固定形状を有するインプラントよりも小さい椎間スペースに配置することができるという効果を有する。
【0035】
当然のことながら、本技術分野の当業者は、本願で開示されている広い範囲から逸脱することなく上記記載の実施形態に変更をなし得る。この開示は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、一又は複数の実施形態に示される特徴と、他の実施形態において示される特徴との結合を含む変更を含む。本願の開示が適用され得る多くの構成だけでなく、様々な変更、同等な工程は、本開示に基づく本明細書の検討を通した当業者にとって容易に明らかである。即ち、本記載は、当業者が低侵襲の椎間インプラント、移植ツール、移植方法を作って使用できるように、説明のみのためとして解釈されるもので、最適な形態の実施を教示するものである。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14
図15
図16