特許第6078019号(P6078019)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078019
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】設備監視装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20170130BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20170130BHJP
【FI】
   G05B23/02 301X
   G06F3/048
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-76218(P2014-76218)
(22)【出願日】2014年4月2日
(65)【公開番号】特開2015-197850(P2015-197850A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2015年5月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北上 眞二
(72)【発明者】
【氏名】米山 純一
(72)【発明者】
【氏名】木村 剛維
【審査官】 青山 純
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/032701(WO,A1)
【文献】 特開2000−222029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 − 23/02
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の監視対象期間内における当該設備の状態を示す設備データを取得する取得手段と、
設備データを分析することで、前記監視対象期間内において当該設備が正常状態とは異なる所定の動作をしたときを特異点として抽出し、前記監視対象期間を所定の単位時間に区切って分析する場合において、その特異点が抽出された単位時間の始期を開始日時、終期を終了日時として当該特異点が抽出された期間を特定する日時情報と、当該抽出された期間における特異点の特異な度合いを示す特異度と、を少なくとも含む特異点情報を生成する分析手段と、
監視対象期間を所定の表示単位期間に区切り、各表示単位期間に対応する特異点情報に基づき生成されたデータを、当該表示単位期間内における前記設備の状態を示す指標データとして表示する表示処理手段と、
を有し、
前記分析手段は、特異点が継続して複数の前記単位時間に抽出されたときには、継続して特異点が抽出された単位時間を統合して日時情報を設定することを特徴とする設備監視装置。
【請求項2】
前記表示処理手段は、選択された表示単位期間を更に区切ることで表示単位期間を細分化し、その細分化した各表示単位期間に対応する特異点情報に基づき生成されたデータを、当該表示単位期間内における前記設備の状態を示す指標データとして表示することを特徴とする請求項1に記載の設備監視装置。
【請求項3】
前記表示処理手段は、正常でない状態を示す所定の閾値から外れた指標データの表示形態を、閾値内の指標データの表示形態と異ならせて表示することを特徴とする請求項1に記載の設備監視装置。
【請求項4】
前記表示処理手段は、選択された表示単位期間に対応する設備データ及び特異点情報を同一グラフ上に表示することを特徴とする請求項1に記載の設備監視装置。
【請求項5】
コンピュータを、
設備の監視対象期間内における当該設備の状態を示す設備データを取得する取得手段、
設備データを分析することで、前記監視対象期間内において当該設備が正常状態とは異なる所定の動作をしたときを特異点として抽出し、前記監視対象期間を所定の単位時間に区切って分析する場合において、その特異点が抽出された単位時間の始期を開始日時、終期を終了日時として当該特異点が抽出された期間を特定する日時情報と、当該抽出された期間における特異点の特異な度合いを示す特異度と、を少なくとも含む特異点情報を生成する分析手段、
監視対象期間を所定の表示単位期間に区切り、各表示単位期間に対応する特異点情報に基づき生成されたデータを、当該表示単位期間内における前記設備の状態を示す指標データとして表示する表示処理手段、
として機能させ
前記分析手段は、特異点が継続して複数の前記単位時間に抽出されたときには、継続して特異点が抽出された単位時間を統合して日時情報を設定することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備監視装置及びプログラム、特に設備の状態や運用の問題の分析に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル設備の省エネ、運用効率化を提案するサービスにおいて、設備の設定値やセンサ情報との時系列データから正常状態とは異なる、あるいは異常である振る舞いを示す特異点を抽出し、その特異点を用いて設備状態や運用に問題がないかを分析することが行われている。特異点の抽出は、プログラムを利用して特異点の条件に合う、若しくは正常状態の条件に合わない箇所を抽出することにより行うことが可能である。特異点の抽出の一手法として、閾値を予め設定しておき、センサデータ値やセンサデータの変動度合い等と閾値との比較結果に応じて特異点を抽出する方法がある。特許文献1〜3では、特異点の検出、分析を行うための技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−296407号公報
【特許文献2】特開2010−019830号公報
【特許文献3】国際公開第2013/051101号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただ、特異点を抽出するための閾値を緩く設定すると膨大な量の特異点が抽出され、分析処理に多大な時間を要してしまうことになる、一方、閾値を厳しく設定すると抽出する特異点の数が絞り込まれ、本来、抽出したい特異点が抽出されなくなる可能性が生じてくる。従って、このような不具合を回避するために閾値をあまり厳しい値に設定せずに多数の特異点を抽出するよう運用することが一般的である。
【0005】
しかしながら、監視対象とする設備が設置されたビルから時系列データ(信号)が数千データ収集され、また1つ信号から特異点が1日当たり数百個となる場合もあり、結果として特異点が1日当たり数千個抽出されることがある。更に、分析対象期間が数ヶ月にも及ぶ場合、抽出された各特異点を参照して分析を行うと、多数の特異点の分析に多大な時間を要してしまうことにもなり得る。
【0006】
本発明は、特異点に関連する新たな指標を用いて設備の状態や運用の問題を簡便に分析可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る設備監視装置は、設備の監視対象期間内における当該設備の状態を示す設備データを取得する取得手段と、設備データを分析することで、前記監視対象期間内において当該設備が正常状態とは異なる所定の動作をしたときを特異点として抽出し、前記監視対象期間を所定の単位時間に区切って分析する場合において、その特異点が抽出された単位時間の始期を開始日時、終期を終了日時として当該特異点が抽出された期間を特定する日時情報と、当該抽出された期間における特異点の特異な度合いを示す特異度と、を少なくとも含む特異点情報を生成する分析手段と、監視対象期間を所定の表示単位期間に区切り、各表示単位期間に対応する特異点情報に基づき生成されたデータを、当該表示単位期間内における前記設備の状態を示す指標データとして表示する表示処理手段と、を有し前記分析手段は、特異点が継続して複数の前記単位時間に抽出されたときには、継続して特異点が抽出された単位時間を統合して日時情報を設定するものである。
【0008】
また、前記表示処理手段は、選択された表示単位期間を更に区切ることで表示単位期間を細分化し、その細分化した各表示単位期間に対応する特異点情報に基づき生成されたデータを、当該表示単位期間内における前記設備の状態を示す指標データとして表示するものである。
【0009】
また、前記表示処理手段は、正常でない状態を示す所定の閾値から外れた指標データの表示形態を、閾値内の指標データの表示形態と異ならせて表示するものである。
【0010】
また、前記表示処理手段は、選択された表示単位期間に対応する設備データ及び特異点情報を同一グラフ上に表示するものである。
【0011】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、設備の監視対象期間内における当該設備の状態を示す設備データを取得する取得手段、設備データを分析することで、前記監視対象期間内において当該設備が正常状態とは異なる所定の動作をしたときを特異点として抽出し、前記監視対象期間を所定の単位時間に区切って分析する場合において、その特異点が抽出された単位時間の始期を開始日時、終期を終了日時として当該特異点が抽出された期間を特定する日時情報と、当該抽出された期間における特異点の特異な度合いを示す特異度と、を少なくとも含む特異点情報を生成する分析手段、監視対象期間を所定の表示単位期間に区切り、各表示単位期間に対応する特異点情報に基づき生成されたデータを、当該表示単位期間内における前記設備の状態を示す指標データとして表示する表示処理手段、として機能させ、前記分析手段は、特異点が継続して複数の前記単位時間に抽出されたときには、継続して特異点が抽出された単位時間を統合して日時情報を設定するためのものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、特異点に関連する新たな指標を用いて設備の状態や運用の問題を簡便に分析させることができる。
【0013】
また、期間を絞り込ませながら分析させることができる。
【0014】
また、設備が正常な状態でない期間を容易に見つけ出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る設備監視装置の一実施の形態を含むシステムの構成及び設備監視装置のブロック構成を示した図である。
図2】本実施の形態における設備監視装置を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
図3】本実施の形態における設備監視支援処理を示したフローチャートである。
図4】本実施の形態における特異点情報のデータ構成の一例を示した図である。
図5】本実施の形態において設備の状態や運用の問題の分析のための指標データの表示の一例を示した図である。
図6図5から更に表示期間を絞り込んだ場合の指標データの表示の一例を示した図である。
図7】本実施の形態において設備の状態や運用の問題の分析のための指標データをグラフ形式にて表示した場合の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る設備監視装置の一実施の形態を含むシステム構成及び設備監視装置のブロック構成を示した図である。図1には、ビル監視サーバ2と設備監視装置10とがネットワーク4に接続された構成が示されている。ビル監視サーバ2は、ビルに設置された設備の監視を行うためのサーバコンピュータである。ビル監視サーバ2は、設備が例えば空調設備の場合、電力量計により計測された電力使用量、温度計により計測された室温等の空調設備の状態を示すセンサデータを空調設備が接続されたコントローラ(図示せず)を介してあるいは電力量計等のセンサ手段から直接収集する。このセンサデータの収集に関する構成及び処理は、従前と同様でよい。
【0018】
図2は、本実施の形態における設備監視装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において設備監視装置10を形成するコンピュータは、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力手段として設けられたマウス25とキーボード26、及び表示装置として設けられたディスプレイ27をそれぞれ接続する入出力コントローラ28、通信手段として設けられたネットワークコントローラ29を内部バス30に接続して構成される。
【0019】
図1に戻り、本実施の形態における設備監視装置10は、データ取得部11、データ分析部12、表示処理部13、処理制御部14、センサデータ記憶部15及び特異点情報記憶部16を有している。データ取得部11は、取得手段として設けられ、設備の監視対象期間内において、ビル監視サーバ2に収集された設備の設定値や設備の状態を示す設備データ(センサデータ)をビル監視サーバ2から取得し、この取得したセンサデータをセンサデータ記憶部15に書き込み保存する。もちろん、電力量計等のセンサ手段からセンサデータを直接取得するように構成してもよい。データ分析部12は、分析手段として設けられ、設備データを分析することで、監視対象期間内において当該設備が正常状態とは異なる所定の動作をしたときを特異点として抽出し、抽出した特異点を分析することで特異点が抽出された期間における特徴を示す特異点情報を生成し、特異点情報記憶部16に書き込み保存する。表示処理部13は、表示処理手段として設けられ、特異点情報を参照して、監視対象の設備の状態を示す指標データを表示する。処理制御部14は、各構成要素11〜13における処理制御を行う。
【0020】
設備監視装置10における各構成要素11〜14は、設備監視装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部15,16は、設備監視装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0021】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0022】
次に、本実施の形態における設備監視のために設備監視装置10が実施する設備監視支援処理について図3に示したフローチャートを用いて説明する。本実施の形態における設備監視支援処理では、設備監視装置10が取得したセンサデータに基づき監視対象の設備の状態を示す指標データを生成、表示することで当該設備の状態を視認できるようにする。特に、本実施の形態では、特異点が検出された継続時間及びその継続時間内に検出された特異点の特異(又は異常)な度合いを示す特異度を、設備の状態や運用の問題の分析のための指標データとして提供することを特徴の1つとしている。更に、その指標データの表示期間を絞り込みながら表示可能としたことを特徴の1つとしている。
【0023】
データ取得部11は、監視対象期間内に収集された分析対象のセンサデータをビル監視サーバ2から取得すると、その取得したセンサデータをセンサデータ記憶部15に保存する(ステップ110)。監視対象期間は、予め決められた期間でも監視者等によって指定された期間でもよいが、後段の表示期間を絞り込みさせる表示処理を考慮すると例えば1年など相対的に長期間が好ましい。分析対象とするセンサデータは、予め決められていてもよいし、監視者等に処理の開始時等に指定させるようにしてもよい。また、特定の設備に関連したセンサデータに限定するようにしてもよいが、本実施の形態では、収集された全てのセンサデータを分析対象とする。ただ、各センサデータに対しては、同等の処理を行えばよいので、ここでは便宜的に1つのセンサデータに対して処理を施すものとして説明する。
【0024】
データ分析部12は、センサデータ記憶部15から分析対象のセンサデータを読み出し、監視対象期間(例えば2013年)において、設備の設定値やセンサ情報等のセンサデータ(時系列データ)から正常状態とは異なる、あるいは異常な振る舞いを示す特異点を抽出する(ステップ120)。本実施の形態においては、指定の振幅以上の振幅(センサ値)が検出された場合に、その検出された時点を特異点として抽出する。例えば、振幅(センサ値)が2.0以上ある時点を特異点として抽出する。この2.0という閾値は、センサデータ(信号)の種類によって適宜設定すればよい。そして、データ分析部12は、抽出した特異点の抽出状況を分析することで特異点情報を生成し(ステップ130)、特異点情報記憶部16に保存する(ステップ140)。この生成する特異点情報のデータ構成の一例を図4に示す。
【0025】
データ分析部12は、特異点を抽出すると、上記のようにその特異点の抽出状況に応じて特異点情報を生成する。本実施の形態においては、センサデータが波形データの場合、指定期間内に指定の振幅(センサ値)が指定数発生した場合を生成条件として特異点情報を生成する。具体例をあげると、監視対象期間内のセンサデータを10分間隔という所定の単位時間に区切って分析することにすると、その10分間に振幅が2.0以上である特異点を示す波(センサ値)が2個以上検出されたという生成条件を満たしたときに、データ分析部12は、その生成条件を満たしたセンサデータを識別する情報であるセンサデータ名に対応させて、当該生成条件を満たした特異点が抽出された期間を特定する日時情報としてその期間の始期を示す開始日時と終期を示す終了日時、特異点が検出された時間長を示す継続時間及び特異度を含む特異点情報を生成する。この際、特異点情報にレコード番号を付加する。前述したように、「特異度」とは、継続時間内に検出された特異点の特異(又は異常)な度合いを示す指標であるが、本実施の形態では、継続時間内に含まれる特異点(センサ値)の最大値を「特異度」として用いる。
【0026】
図4に示した例によると、1レコード目の特異点情報は、2013年4月5日13時15分から13時35分の10分間に2.0以上の振幅が2個以上抽出されたことで特異点情報が生成されるが、その抽出された2個以上の特異点のうち最大値を示す波(センサ値)は3.0であることを示している。また、2レコード目の特異点情報は、2013年4月5日13時35分から10分間に2.0以上の振幅が2個以上抽出されたことで特異点情報が生成されるが、特異点は2013年4月5日13時35分から13時50分の15分間に継続して抽出され、その抽出された特異点のうち最大値を示す波(センサ値)は8.0であることを示している。なお、監視対象期間を10分間隔に区切って分析する場合でも、複数の期間をまたいで、つまり特異点が10分以上継続的に発生している場合には、この2レコード目のように統合して特異点情報を生成する。このように、データ分析部12は、上記説明した特異点情報を生成すると、特異点情報記憶部16に保存する。
【0027】
以上のようにして、データ分析部12が特異点情報を生成すると、表示処理部13は、特異点情報を特異点情報記憶部16から読み出し、後述する集計処理等を行って設備の状態や運用の問題の分析のための指標データをディスプレイ27に表示する(ステップ150)。この表示内容の一例を図5に示す。
【0028】
図5は、監視対象期間が1年の場合において、特異点情報が表示単位期間として月毎に集計された場合の表示例を示した図である。図5に例示したように、センサデータ毎に指標データは集計され表示される。各月の表示領域(以下、「セル」)には指標データが3段で表示されているが、このうち、上段には最大特異度が、中段には特異点継続累計時間が、下段には特異点検出回数が、それぞれ表示される。最大特異度は、当月に含まれる特異点情報に設定された特異度のうちの最大値である。特異点継続累計時間は、当月に含まれる特異点情報に設定された継続時間の累計値である。特異点検出回数は、当月に含まれる特異点情報のレコード数に相当する。
【0029】
このように、表示処理部13は、1年という監視対象期間を表示単位期間として1月毎に区切り、各月に対応した特異点情報に基づき当該月における最大特異度、特異点継続累計時間及び特異点検出回数という指標データを計算により求めて表示する。
【0030】
また、各指標データに対し、本実施の形態では、設備が正常な状態でないことを示す閾値(例えば、最大特異度、特異点継続累計時間、特異点検出回数それぞれに50,350,30)を予め設定しており、その閾値から外れた指標データは他と異なる形態にて表示する。図5では、太字で示しているが、赤色等表示色を異ならせたり、点滅等させたりして、当該センサデータに対応する設備が正常でない状態であったことを監視者が認識しやすいようにしてもよい。
【0031】
また、異常の度合いに応じて、例えば、閾値を超えている指標データの数に応じてセル内の表示形態を異ならせるようにしてもよい。図5では、セル内の塗りつぶし効果によって表示形態を変えた例を示した。
【0032】
ここで、監視者がセンサデータAの4月のセル51を選択するためにクリック操作した場合のディスプレイ27に表示される画面例を図6に示す。
【0033】
図6は、4月という月を更に区切ることで日毎に細分化し、各日に対応する特異点情報が日毎に集計された場合の表示例を示した図である。日単位に集計した場合も、基本的には月単位で集計した場合と同様の表示形態にて表示される。従って、各セルにおいて上段には当日に含まれる特異点情報に設定された特異度のうちの最大値(最大特異度)が、中段には当日に含まれる特異点情報に設定された継続時間の累計値(特異点継続累計時間)が、下段には当日に含まれる特異点情報のレコード数(連続特異点集約後の特異点検出回数)が、それぞれ表示される。また、図5と同様に、各指標データに対し、閾値(例えば、最大特異度、特異点継続累計時間、特異点検出回数それぞれに40,50,5)を設定し、その閾値を超えた指標データは他と異なる形態にて表示するようにしてもよい。
【0034】
なお、本実施の形態では、月別を日別と表示期間を絞り込みながら設備の状態等の分析を行うことができるようにしたが、絞り込む期間はその他にも四半期、時間等任意に設定できるようにしてもよい。
【0035】
ここで、監視者がセンサデータAの5日のセル61を選択するためにクリック操作した場合のディスプレイ27に表示される画面例を図7に示す。
【0036】
図7には、横軸を時間、縦軸をセンサデータ値とし、選択された5日のセンサデータ71と特異点情報72〜74とを重ねて表示した例が示されている。本実施の形態では、特異点情報72〜74を、特異度と継続時間との積(ハッチング部分)で示している。監視者は、このハッチング部分の面積を参照することで設備の異常の度合いを感覚的に知ることができる。これにより、5日における設備の状態を把握でき、今後の当該設備に対する保守計画や運用に役立てることができる。
【0037】
なお、図6において複数の日が範囲指定された場合、複数の日を1つのグラフにまとめて表示するようにしてもよい。また、複数の日が選択された場合、選択された日をそれぞれ上下又は左右に並べて比較しやすいように画面表示してもよい。また、図5,6では、閾値を超えた指標データの数によってセルの表示形態を異ならせるとしたが、特異度と継続時間との積算値の総和に応じてセルの表示形態を異ならせるようにしてもよい。
【0038】
本実施の形態によれば、ある一定期間(上記例では10分間)に含まれる特異点を特異度という新たな指標にてまとめて取り扱うようにしたので、特異点を個々に分析する場合に比して設備の状態や運用の問題を簡便に分析することが可能になる。この10分間という期間は一例であって特異点の数が膨大な場合には、監視対象期間を10分間より長い期間に区切って分析するようにしてもよい。
【0039】
なお、本実施の形態では、継続時間内に含まれる特異点を表す振幅(センサ値)の最大値を「特異度」として用いたが、例えば、所定期間内の振幅の数、あるいは振幅の最大値と振幅の数の組合せを特異度として用いてもよい。
【0040】
また、本実施の形態では、設備監視装置10を別途ネットワーク4に接続して構成したが、前述した設備監視装置10が提供する機能をビル監視サーバ2に組み込むことでビル監視サーバ2を設備監視装置として機能させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
2 ビル監視サーバ、4 ネットワーク、10 設備監視装置、11 データ取得部、12 データ分析部、13 表示処理部、14 処理制御部、15 センサデータ記憶部、16 特異点情報記憶部、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 ハードディスクドライブ(HDD)、25 マウス、26 キーボード、27 ディスプレイ、28 入出力コントローラ、29 ネットワークコントローラ、30 内部バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7