(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粘着剤層の前記ガスバリアフィルムに対する180°ひきはがし粘着力が、JIS Z0237(2000)に準じて測定して、2.0N/25mm以上である、請求項1に記載のガスバリアフィルム積層体。
前記ガスバリアフィルムの少なくとも1枚が、基材フィルムBと、該基材フィルムB上に設けられた少なくとも1層のガスバリア層とを有するものである、請求項1に記載のガスバリアフィルム積層体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、1)ガスバリアフィルム積層体、並びに、2)電子デバイス用部材及び電子デバイスに項分けして、詳細に説明する。
【0012】
1)ガスバリアフィルム積層体
本発明のガスバリアフィルム積層体は、少なくとも2枚のガスバリアフィルムが、接合層を介して積層されたガスバリアフィルム積層体であって、前記接合層が、23℃における引張弾性率が3,000〜10,000MPaの合成樹脂からなる基材フィルムの両面に、それぞれ粘着剤層が隣接して積層されてなるものであることを特徴とする。
【0013】
(接合層)
本発明に用いる接合層は、23℃における引張弾性率が3,000〜10,000MPaの合成樹脂からなる基材フィルム(以下、接合層に用いられるこの基材フィルムを、「基材フィルムA」という。)の両面に、それぞれ粘着剤層が隣接して積層されてなるものである。
【0014】
前記基材フィルムAは、23℃における引張弾性率が3,000〜10,000MPaの合成樹脂からなり、粘着剤層を担持できるものであれば、特に制限なく用いられる。
基材フィルムAを構成する合成樹脂の、23℃における引張弾性率は、3,000〜10,000MPa、好ましくは、3,000〜5,000MPaである。前記引張弾性率が3,000MPa未満のときは、ガスバリアフィルム積層体を折り曲げたときに、浮きが発生し易くなる。一方、前記引張弾性率が10,000MPaを超えると、ガスバリアフィルム積層体の屈曲性が低下する。
なお、23℃における引張弾性率は、JIS K7127に準じて測定されたものである。
【0015】
基材フィルムAを構成する合成樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体等が挙げられる。
これらの中でも、透明性に優れ、汎用性があることから、ポリエステル又はシクロオレフィン系ポリマーが好ましい。
【0016】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等が挙げられる。
シクロオレフィン系ポリマーとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。
【0017】
基材フィルムAの厚みは、通常0.5〜25μm、好ましくは1〜10μm、より好ましくは、1〜6μmの範囲である。基材フィルムAの厚みが0.5μm以上であることで、ガスバリアフィルム積層体の製造時の作業性に優れる。一方、基材フィルムAの厚みが25μm以下であることで、ガスバリアフィルム積層体を折り曲げたときに、浮きが発生しにくくなる。
【0018】
前記粘着剤層は、積層構造を保持するために、基材フィルムAの両面にそれぞれ隣接して設けられる。粘着剤層は、ガスバリアフィルムや基材フィルムAを剥離させず、十分な粘着力を有するものであれば、特に制限なく用いることができる。
2つの粘着剤層の種類や厚みは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0019】
粘着剤層の厚みは、通常0.5〜25μm、好ましくは1〜10μm、より好ましくは、1〜6μmの範囲である。粘着剤層の厚みが0.5μm以上であることで、十分な粘着力を有する粘着剤層が形成され、ガスバリアフィルム積層体を折り曲げたときに、浮きが発生しにくくなる。一方、粘着剤層の厚みが25μm以下であることで、生産性の面で有利である。
【0020】
前記粘着剤層の前記ガスバリアフィルムに対する180°ひきはがし粘着力は、2.0N/25mm以上が好ましい。ひきはがし粘着力が2.0N/25mm以上であることで、ガスバリアフィルムに対して十分な粘着力を有するため、ガスバリアフィルム積層体を折り曲げたときに、さらに、浮きが発生しにくくなる。
なお、本発明において、「前記粘着剤層の前記ガスバリアフィルムに対する180°ひきはがし粘着力」は、実施例で説明するように、粘着剤層の一方の面にポリエステルフィルムを裏打ちし、粘着力試験用粘着フィルムとし、この粘着力試験用粘着フィルムのガスバリアフィルムに対する、JIS Z0237(2000)に準じて測定される、180°ひきはがし粘着力を言うものとする。
粘着剤の種類は、特に制限されない。本発明においては、アクリル系、ゴム系、ポリエステル系、ウレタン系、シリコーン系などの公知の粘着剤を用いることができる。なかでも、優れた粘着力が得られることから、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0021】
アクリル系粘着剤は、アクリル系共重合体を主成分とする粘着剤である。
アクリル系共重合体とは、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位を有する共重合体である。「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味し、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの両方を意味する。
また、アクリル系共重合体は、本発明の効果を阻害しない限り、上記以外の繰り返し単位を有するものであってもよい。
【0022】
アクリル系共重合体は、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基等の架橋構造を形成し得る官能基を有する繰り返し単位と、官能基を有しない繰り返し単位の両方を有することが好ましい。
アクリル系共重合体の製造に用いる単量体としては、官能基を有するアクリル系単量体、官能基を有しないアクリル系単量体、及びこれらの単量体と共重合可能なその他の単量体が挙げられる。
【0023】
官能基を有するアクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル等のカルボキシル基を有するアクリル系単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基を有するアクリル系単量体;等が挙げられる。
これらのなかでも、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル等のカルボキシル基を有するアクリル系単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
これらの単量体は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる
【0024】
官能基を有しないアクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の直鎖アルキル基を有するアクリル系単量体;(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル等の分岐アルキル基を有するアクリル系単量体;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等のシクロアルキル基を有するアクリル系単量体;等が挙げられる。
これらのなかでも、粘着性に優れる粘着剤層を形成することができることから、炭素数4〜10の炭化水素基を有する単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸ブチルがより好ましい。
これらの単量体は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
その他の単量体としては、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等のカルボキシル基を有する単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有する単量体;アクリロニトリル;スチレン;酢酸ビニル;ビニルピロリドン等が挙げられる。
重合反応に用いる開始剤は特に制限されず、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノバレリン酸、アゾビスシアノペンタン等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
【0026】
重合反応に用いる溶媒は特に制限されず、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール等が挙げられる。
重合反応の温度や反応時間等の反応条件は、公知の条件を採用することができる。
アクリル系粘着剤には、架橋剤を添加することができる。架橋剤とは、上記の官能基と反応して架橋を形成させる化合物である。架橋剤を用いる場合、用いる架橋剤に特に制限はなく、イソシアナート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。なかでも、イソシアナート系架橋剤が好ましい。
【0027】
イソシアナート系架橋剤としては、特に限定されず、分子中に2個以上のイソシアナート基を有する化合物が用いられる。このようなイソシアナート系架橋剤としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート等の芳香族ポリイソシアナート;ヘキサメチレンジイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート;イソホロンジイソシアナート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアナート等の脂環式ポリイソシアナート;、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらには、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体;等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が用いられ、例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール等が挙げられる。
架橋剤は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤の使用量は、架橋剤の種類にもよるが、アクリル系共重合体100質量部に対し、通常0.01〜10質量部、好ましくは、0.05〜5質量部である。
アクリル系粘着剤は、溶剤型粘着剤として好ましく用いられる。用いる溶剤は特に制限されず、公知のものを使用することができる。
【0028】
アクリル系共重合体の重量平均分子量は、通常、100,000〜2,000,000、好ましくは、300,000〜900,000である。
重量平均分子量は、重合開始剤の量や連鎖移動剤を添加することによって調節することができる。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
アクリル系粘着剤を調製する際に、アクリル系共重合体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
アクリル系共重合体を製造する方法は、特に制限されず、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等の従来公知の方法を用いることができる。なかでも、重合が容易である点で溶液重合が望ましい。
【0030】
粘着剤は、粘着付与剤、充填剤、顔料、紫外線吸収剤などの従来公知の添加剤を含有してもよい。なかでも、十分な粘着力の粘着剤層が形成され、耐折り曲げ性に優れるガスバリアフィルム積層体が得られることから、用いる粘着剤は粘着付与剤を含有することが好ましい。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂などの天然樹脂、C5系、C9系、ジシクロペンタジエン系などの石油樹脂、クマロンインデン樹脂、キシレン樹脂などの合成樹脂などが挙げられる。
【0031】
粘着剤層を形成する方法としては、特に制限されず、従来公知の方法を利用することができる。例えば、粘着剤成分を、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の有機溶剤に溶解した粘着剤層形成用組成物を調製し、この組成物を、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の公知の塗工方法により、剥離フィルム上に、塗工した後、得られた塗膜から溶媒を乾燥除去し、所望により加熱することにより形成することができる。この場合、剥離フィルム付粘着剤層が得られる。また、粘着剤層は、基材フィルムA上に、直接粘着剤層形成用組成物を塗工し、得られた塗膜を乾燥することによっても、形成することができる。接合層を効率よく製造する上では、前者の方法が好ましい。
【0032】
剥離シートとしては、従来公知のものを使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどの樹脂フィルム;これらの樹脂フィルム表面をシリコーン系剥離剤等で剥離処理したもの;などを使用することができる。
【0033】
接合層は、前記基材フィルムAの両面に、それぞれ前記粘着剤層が隣接して積層されてなるものである。
接合層は、その厚みは、通常75μm以下、好ましくは1.5〜20μm、より好ましくは2.0〜15μmの範囲である。接合層の厚みが75μm以下であることで、薄く、かつ、耐折り曲げ性に優れるガスバリアフィルム積層体を得ることができる。
【0034】
接合層は、例えば、前記基材フィルムAの片面に、基材フィルムAの表面と、剥離フィルム付粘着剤層の粘着剤層とが対向するように貼り合わせた後、前記基材フィルムAの他方の面側に、基材フィルムAの他方の面と、剥離フィルム付粘着剤層の粘着剤層とが対向するように貼り合わせることにより得ることができる。この場合、剥離フィルム付接合層が得られる。また、接合層は、基材フィルムA上に、直接粘着剤層形成用組成物を塗工し、得られた塗膜を乾燥して、基材フィルムAの一方の面上に粘着剤層を形成した後、基材フィルムAの他方の面上に、直接粘着剤層形成用組成物を塗工し、得られた塗膜を乾燥して、基材フィルムAの他方の面上に粘着剤層を形成することによっても得ることができる。接合層を効率よく製造する観点から前者の方法が好ましい。
【0035】
(ガスバリアフィルム)
本発明に用いるガスバリアフィルムは、酸素や水蒸気の透過を抑制する特性(以下、「ガスバリア性」という)を有するフィルムである。
用いるガスバリアフィルムは、水蒸気透過率が、40℃、相対湿度90%の雰囲気下で、1.0g/m
2/day以下のものが好ましく、0.5g/m
2/day以下のものがより好ましい。このような性能を有するガスバリアフィルムを用いることで、ガスバリア性の高いガスバリアフィルム積層体を得ることができる。
【0036】
本発明に用いるガスバリアフィルムの厚みは、通常0.5μm〜100μm、好ましくは1μm〜50μm、より好ましくは5μm〜30μmである。
【0037】
また、本発明のガスバリアフィルム積層体においては、少なくとも2枚のガスバリアフィルムは、厚みが同じであってもよいが、接合層の一方の面に積層されたガスバリアフィルムは、該接合層の他方の面に積層されたガスバリアフィルムよりも厚みが小さい場合に、耐折り曲げ性の効果が顕著に現れることになる。
従って、(接合層の一方の面に積層されたガスバリアフィルムの厚さ(薄膜側))/(該接合層の他方の面に積層されたガスバリアフィルムの厚さ(厚膜側))の値は、0.05〜1.0であることが好ましく、0.1〜0.5であることがより好ましく、0.2〜0.3であることがさらに好ましい。
【0038】
ガスバリアフィルムとしては、合成樹脂からなる単層のフィルムや、合成樹脂からなる基材フィルム(以下「基材フィルムB」ということがある。)上に、直接又はその他の層を介して、ガスバリア層を形成してなる積層フィルムが挙げられる。
【0039】
前記単層のフィルムを構成する合成樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、超低密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリロニトリル等の単独又は2種以上の合成樹脂が挙げられる。
【0040】
なかでも、ガスバリア性に優れることから、ガスバリアフィルムの少なくとも1枚は、基材フィルムBと、該基材フィルムB上に設けられた少なくとも1層のガスバリア層とを有するものが好ましい。
【0041】
基材フィルムBの材質としては、基材フィルムAの材質として先に例示したものが挙げられる。
なかでも、透明性に優れ、汎用性があることから、ポリエステル、ポリアミド又はシクロオレフィン系ポリマーが好ましく、ポリエステル又はシクロオレフィン系ポリマーがより好ましい。
【0042】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等が挙げられる。
ポリアミドとしては、全芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン共重合体等が挙げられる。
【0043】
シクロオレフィン系ポリマーとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。
基材フィルムBは、その厚みは、通常0.5〜80μm、好ましくは1〜40μm、好ましくは1〜30μmの範囲である。
【0044】
前記ガスバリアフィルムにおけるガスバリア層は、ガスバリア性を有する層である。
ガスバリア層は基材フィルムBの片面に形成されていても、基材フィルムBの両面に形成されていてもよい。また、ガスバリア層は単層であってもよく、複数層積層されていてもよい。
【0045】
ガスバリア層の材料としては、酸素及び水蒸気の透過を阻止するものであれば、特に制約はないが、透明性がよく、ガスバリア性が良好なものが好ましい。
【0046】
ガスバリア層の材料としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、スズ等の金属;
酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の無機酸化物;窒化珪素等の無機窒化物;無機炭化物;無機硫化物;これらの複合体である無機酸化窒化物;無機酸化炭化物;無機窒化炭化物;無機酸化窒化炭化物;高分子化合物;等が挙げられる。
【0047】
ガスバリア層を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、上述の材料を蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法等により基材フィルムB上に形成する方法や、上記材料を有機溶剤に溶解又は分散した溶液を、公知の塗布方法によって基材フィルムB上に塗布し、得られた塗膜を適度に乾燥して形成する方法、高分子化合物から構成される高分子層に、プラズマ処理やイオン注入処理を施すことにより形成する方法等が挙げられる。
【0048】
ガスバリア層の厚みは、特に制限されないが、通常20nm〜50μm、好ましくは30nm〜1μm、より好ましくは40〜500nmである。
【0049】
ガスバリア層は、容易に目的のガスバリア層を形成できることから、高分子化合物から構成される高分子層に、イオン注入処理がされて形成されるものが好ましい。高分子化合物から構成される高分子層は、イオン注入処理を施すことによって改質され、ガスバリア性が向上する。
【0050】
イオン注入処理の方法としては、公知の方法を用いることができる。すなわち、ガスバリア層は、高分子化合物から構成される高分子層に、イオンが注入されて形成されるものが好ましい。 このようにガスバリア層を形成することにより、優れたガスバリア性を得ることができる。
なお、この場合、「ガスバリア層」とは、イオン注入により改質された部分のみを意味するのではなく、「イオン注入により改質された部分を有する高分子層」を意味する。
【0051】
高分子層を構成する高分子化合物としては、例えば、ケイ素系高分子化合物、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体、及びこれらの高分子の二種以上の組合せ等が挙げられる。
【0052】
これらの中でも、ガスバリア性に優れるガスバリア層を容易に形成することができることから、ケイ素系高分子化合物、ポリエステル又はアクリル系樹脂が好ましく、ケイ素系高分子化合物がより好ましい。
【0053】
ケイ素系高分子化合物としては、ケイ素を含有する高分子であれば、有機化合物であっても無機化合物であってもよい。例えば、ポリオルガノシロキサン系化合物、ポリカルボシラン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリシラザン系化合物等が挙げられる。
【0054】
ポリオルガノシロキサン系化合物は、加水分解性官能基を有するシラン化合物を重縮合して得られる化合物である。
【0055】
ポリオルガノシロキサン系化合物の主鎖構造に制限はなく、直鎖状、ラダー状、籠状のいずれであってもよい。
例えば、前記直鎖状の主鎖構造としては下記式(a)で表される構造が、ラダー状の主鎖構造としては下記式(b)で表される構造が、籠状の主鎖構造としては、例えば下記式(c)で表される構造が、それぞれ挙げられる。
【0059】
式中、Rx、Ry、Rzは、それぞれ独立して、水素原子、無置換若しくは置換基を有するアルキル基、無置換若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換若しくは置換基を有するアリール基等の非加水分解性基を表す。なお、式(a)の複数のRx、式(b)の複数のRy、及び式(c)の複数のRzは、それぞれ同一でも相異なっていてもよい。ただし、前記式(a)のRxが2つとも水素原子であることはない。
【0060】
無置換若しくは置換基を有するアルキル基のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
【0061】
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
【0062】
前記アルキル基及びアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するアリール基;等が挙げられる。
【0063】
無置換又は置換基を有するアリール基のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。
【0064】
前記アリール基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するアリール基;等が挙げられる。
【0065】
これらの中でも、Rx、Ry、Rzとしては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。
【0066】
ポリオルガノシロキサン系化合物としては、前記式(a)で表される直鎖状の化合物が好ましく、入手容易性、及び優れたガスバリア性を有する層を形成できる観点から、前記式(a)において2つのRxがともにメチル基の化合物であるポリジメチルシロキサンがより好ましい。
【0067】
ポリオルガノシロキサン系化合物は、例えば、加水分解性官能基を有するシラン化合物を重縮合する、公知の製造方法により得ることができる。
【0068】
ポリカルボシラン系化合物は、分子内の主鎖に、(−Si−C−)結合を有する高分子化合物である。なかでも、本発明に用いるポリカルボシラン系化合物としては、下記式(d)で表される繰り返し単位を含むものが好ましい。
【0070】
式中、Rw、Rvは、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、又は1価の複素環基を表す。複数のRw、Rvは、それぞれ同一であっても相異なっていてもよい。
【0071】
Rw、Rvのアルキル基、アリール基、アルケニル基としては、前記Rx等として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0072】
これらの基は、任意の位置に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等の置換基を有していてもよい。
【0073】
Rは、アルキレン基、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。
Rのアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等の炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。
【0074】
アリーレン基としては、フェニレン基、1,4−ナフチレン基、2,5−ナフチレン基等の炭素数6〜20のアリーレン基が挙げられる。
【0075】
2価の複素環基としては、炭素原子の他に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも1つ含む3〜10員の複素環化合物から導かれる2価の基であれば特に制約はない。
【0076】
なお、Rのアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基は、任意の位置に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
【0077】
これらの中でも、式(d)において、Rw、Rvがそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基であり、Rがアルキレン基又はアリーレン基である繰り返し単位を含むものがより好ましく、Rw、Rvがそれぞれ独立して、水素原子又はアルキル基であり、Rがアルキレン基である繰り返し単位を含むものがさらに好ましい。
【0078】
式(d)で表される繰り返し単位を有するポリカルボシラン系化合物の重量平均分子量は、通常400〜12,000である。
【0079】
ポリカルボシラン系化合物の製造方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を採用できる。
【0080】
ポリシラン系化合物は、分子内に、(−Si−Si−)結合を有する高分子化合物である。かかるポリシラン系化合物としては、下記式(e)で表される構造単位から選択された少なくとも一種の繰り返し単位を有する化合物が挙げられる。
【0082】
式(e)中、Rq及びRrは、同一又は異なって、水素原子、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、シリル基、又はハロゲン原子を表す。
【0083】
Rq及びRrのアルキル基、アルケニル基、アリール基としては、前記Rx等で例示したのと同様のものが挙げられる。
【0084】
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等の炭素数3〜10のシクロアルケニル基が挙げられる。
シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数4〜10のシクロアルケニル基が挙げられる。
【0085】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。
シクロアルキルオキシ基としては、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜10のシクロアルキルオキシ基が挙げられる。
【0086】
アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜20のアリールオキシ基が挙げられる。
アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、フェニルプロピルオキシ基等の炭素数7〜20のアラルキルオキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアミノ基としては、アミノ基;アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基等で置換されたN−モノ又はN,N−ジ置換アミノ基等が挙げられる。
【0087】
シリル基としては、シリル基、ジシラニル基、トリシラニル基等のSi1−10シラニル基(好ましくはSi1−6シラニル基)、置換シリル基(例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基等で置換された置換シリル基)等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0088】
前記シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、シリル基は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
【0089】
これらの中でも、本発明のより優れた効果が得られることから、前記式(e)で表される繰り返し単位を含む化合物が好ましく、式(e)において、Rq、Rrが、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基又はシリル基である繰り返し単位を含む化合物がより好ましく、式(e)において、Rq、Rrが、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基である繰り返し単位を含む化合物がさらに好ましい。
【0090】
ポリシラン系化合物の形態は特に制限されず、非環状ポリシラン(直鎖状ポリシラン、分岐鎖状ポリシラン、網目状ポリシラン等)や、環状ポリシラン等の単独重合体であっても、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、くし型共重合体等の共重合体であってもよい。
ポリシラン系化合物が非環状ポリシランである場合は、ポリシラン系化合物の末端基(末端置換基)は、水素原子であっても、ハロゲン原子(塩素原子等)、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シリル基等であってもよい。
【0091】
ポリシラン系化合物の具体例としては、ポリジメチルシラン、ポリ(メチルプロピルシラン)、ポリ(メチルブチルシラン)、ポリ(メチルペンチルシラン)、ポリ(ジブチルシラン)、ポリ(ジヘキシルシラン)等のポリジアルキルシラン、ポリ(ジフェニルシラン)等のポリジアリールシラン、ポリ(メチルフェニルシラン)等のポリ(アルキルアリールシラン)等のホモポリマー;ジメチルシラン−メチルヘキシルシラン共重合体等のジアルキルシランと他のジアルキルシランとの共重合体、フェニルシラン−メチルフェニルシラン共重合体等のアリールシラン−アルキルアリールシラン共重合体、ジメチルシラン−メチルフェニルシラン共重合体、ジメチルシラン−フェニルヘキシルシラン共重合体、ジメチルシラン−メチルナフチルシラン共重合体、メチルプロピルシラン−メチルフェニルシラン共重合体等のジアルキルシラン−アルキルアリールシラン共重合体等のコポリマ;等が挙げられる。
【0092】
ポリシラン系化合物の平均重合度(例えば、数平均重合度)は、通常、5〜400、好ましくは10〜350、さらに好ましくは20〜300程度である。
また、ポリシラン系化合物の重量平均分子量は、300〜100,000、好ましくは400〜50,000、さらに好ましくは500〜30,000程度である。
【0093】
ポリシラン系化合物の多くは公知物質であり、公知の方法を用いて製造することができる。
【0094】
ポリシラザン系化合物は、分子内に、(−Si−N−)結合を有する高分子化合物である。かかるポリシラザン系化合物としては、式(f)
【0096】
で表される繰り返し単位を有する化合物が好ましい。また、用いるポリシラザン系化合物の数平均分子量は、特に限定されないが、100〜50,000であるのが好ましい。
【0097】
式(f)中、nは任意の自然数を表す。
Rm、Rp、Rtは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアルキルシリル基等の非加水分解性基を表す。
【0098】
前記アルキル基、アルケニル基、アリール基としては、前記Rx等で例示したのと同様のものが挙げられる。
シクロアルキル基としては、前記Rq等で例示したのと同様のものが挙げられる。
【0099】
アルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリt−ブチルシリル基、メチルジエチルシリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、メチルシリル基、エチルシリル基等が挙げられる。
【0100】
これらの中でも、Rm、Rp、Rtとしては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0101】
前記式(f)で表される繰り返し単位を有するポリシラザン系化合物としては、Rm、Rp、Rtが全て水素原子である無機ポリシラザン、Rm、Rp、Rtの少なくとも1つが水素原子ではない有機ポリシラザンのいずれであってもよい。
無機ポリシラザンとしては、下記式
【0103】
で表される繰り返し単位を有する直鎖状構造を有し、690〜2,000の分子量を持ち、一分子中に3〜10個のSiH
3基を有するペルヒドロポリシラザン(特公昭63−16325号公報)、式(A)
【0105】
〔式中、b、cは任意の自然数を表し、Y
1は、水素原子又は式(B)
【0107】
(式中、dは任意の自然数を表し、*は結合位置を表し、Y
2は水素原子、又は前記(B)で表される基を表す。)で表される基を表す。〕で表される繰り返し単位を有する、直鎖状構造と分岐構造を有するペルヒドロポリシラザン、式(C)
【0109】
で表されるペルヒドロポリシラザン構造を有する、分子内に、直鎖状構造、分岐構造及び環状構造を有するペルヒドロポリシラザン等が挙げられる。
【0110】
有機ポリシラザンとしては、
(i)−(Rm’SiHNH)−(Rm’は、Rmと同様のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアルキルシリル基を表す。以下のRm’も同様である。)を繰り返し単位として、主として重合度が3〜5の環状構造を有するもの、
(ii)−(Rm’SiHNRt’)−(Rt’は、Rtと同様のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアルキルシリル基を表す。)を繰り返し単位として、主として重合度が3〜5の環状構造を有するもの、
(iii)−(Rm’Rp’SiNH)−(Rp’は、Rpと同様のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基アルキルシリル基を表す。)を繰り返し単位として、主として重合度が3〜5の環状構造を有するもの、
(iv)下記式で表される構造を分子内に有するポリオルガノ(ヒドロ)シラザン、
【0114】
〔Rm’、Rp’は前記と同じ意味を表し、e、fは任意の自然数を表し、Y
3は、水素原子又は下記式(D)
【0116】
(式中、gは任意の自然数を表し、*は結合位置を表し、Y
4は水素原子、又は前記(D)で表される基を表す。)で表される基を表す。〕
で表される繰り返し構造を有するポリシラザン等が挙げられる。
【0117】
上記有機ポリシラザンは、従来公知の方法により製造することができる。例えば、下記式
【0119】
(式中、mは2又は3を表し、Xはハロゲン原子を表し、R
1は、前述した、Rm、Rp、Rt、Rm’、Rp’、Rt’のいずれかの置換基を表す。)で表される無置換若しくは置換基を有するハロゲノシラン化合物と2級アミンとの反応生成物に、アンモニア又は1級アミンを反応させることにより得ることができる。
用いる2級アミン、アンモニア及び1級アミンは、目的とするポリシラザン系化合物の構造に応じて、適宜選択すればよい。
【0120】
また、本発明においては、ポリシラザン系化合物として、ポリシラザン変性物を用いることもできる。ポリシラザン変性物としては、例えば、金属原子(該金属原子は架橋をなしていてもよい。)を含むポリメタロシラザン、繰り返し単位が〔(SiH
2)
j(NH)
h)〕及び〔(SiH
2)
iO〕(式中、j、h、iはそれぞれ独立して、1、2又は3である。)で表されるポリシロキサザン(特開昭62−195024号公報)、ポリシラザンにボロン化合物を反応させて製造するポリボロシラザン(特開平2−84437号公報)、ポリシラザンとメタルアルコキシドとを反応させて製造するポリメタロシラザン(特開昭63−81122号公報等)、無機シラザン高重合体や改質ポリシラザン(特開平1−138108号公報等)、ポリシラザンに有機成分を導入した共重合シラザン(特開平2−175726号公報等)、ポリシラザンにセラミックス化を促進するための触媒的化合物を付加又は添加した低温セラミックス化ポリシラザン(特開平5−238827号公報等)、
ケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アセチルアセトナト錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報等)、
上記ポリシラザン又はその変性物に、アミン類及び/又は酸類を添加してなるポリシラザン組成物(特開平9−31333号公報)、ペルヒドロポリシラザンにメタノール等のアルコール或いはヘキサメチルジシラザンを末端N原子に付加して得られる変性ポリシラザン(特開平5−345826号公報、特開平4−63833号公報)等が挙げられる。
【0121】
これらの中でも、本発明において用いるポリシラザン系化合物としては、Rm、Rp、Rtが全て水素原子である無機ポリシラザン、Rm、Rp、Rtの少なくとも1つが水素原子ではない有機ポリシラザンが好ましく、入手容易性、及び優れたガスバリア性を有する注入層を形成できる観点から、無機ポリシラザンがより好ましい。
なお、ポリシラザン系化合物は、ガラスコーティング材等として市販されている市販品をそのまま使用することもできる。
【0122】
ガスバリア層を形成する前記高分子層は、上述した高分子化合物の他に、本発明の目的を阻害しない範囲で他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、硬化剤、他の高分子、老化防止剤、光安定剤、難燃剤等が挙げられる。
【0123】
高分子層中における高分子化合物の含有量は、優れたガスバリア性を有するガスバリア層を形成できる観点から、50質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましい。
【0124】
高分子層を形成する方法としては、特に制約はなく、例えば、高分子化合物の少なくとも一種、所望により他の成分、及び溶剤等を含有する層形成用溶液を公知の塗布方法によって基材または所望により基材上に形成されたプライマー層上に塗布し、得られた塗膜を適度に乾燥して形成する方法が挙げられる。
【0125】
塗工装置としては、スピンコーター、ナイフコーター、グラビアコーター等の公知の装置を使用することができる。
【0126】
得られた塗膜の乾燥、フィルムのガスバリア性向上のため、塗膜を加熱することが好ましい。加熱、乾燥方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法が採用できる。加熱温度は、通常、80〜150℃であり、加熱時間は、通常、数十秒から数十分である。
【0127】
形成される高分子層の厚みは、特に制限されないが、通常20nm〜1000nm、好ましくは30〜500nm、より好ましくは40〜200nmである。
本発明においては、高分子層の厚みがナノオーダーであっても、後述するようにイオンを注入することで、充分なガスバリア性能を有するフィルムを得ることができる。
【0128】
高分子層に注入されるイオンの注入量は、形成するフィルムの使用目的(必要なガスバリア性、透明性等)等に合わせて適宜決定すればよい。
【0129】
注入されるイオンとしては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオン;フルオロカーボン、水素、窒素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素、硫黄等のイオン;メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン系ガス類のイオン;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のアルケン系ガス類のイオン;ペンタジエン、ブタジエン等のアルカジエン系ガス類のイオン;アセチレン、メチルアセチレン等のアルキン系ガス類のイオン;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタレン、フェナントレン等の芳香族炭化水素系ガス類のイオン;シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロアルカン系ガス類のイオン;シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロアルケン系ガス類のイオン;金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、クロム、チタン、モリブデン、ニオブ、タンタル、タングステン、アルミニウム等の導電性の金属のイオン;シラン(SiH
4)又はテトラメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等の有機ケイ素化合物のイオン;等が挙げられる。
これらのイオンは、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0130】
なかでも、より簡便に注入することができ、特に優れたガスバリア性を有するガスバリア層が得られることから、水素、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、及びクリプトンからなる群から選ばれる少なくとも一種のイオンが好ましい。
【0131】
イオンを注入する方法としては、特に限定されないが、電界により加速されたイオン(イオンビーム)を照射する方法、プラズマ中のイオンを注入する方法等が挙げられる。なかでも、本発明においては、簡便にガスバリア性のフィルムが得られることから、後者のプラズマイオンを注入する方法が好ましい。
【0132】
プラズマイオン注入法としては、(A)外部電界を用いて発生させたプラズマ中に存在するイオンを、高分子層の表面部に注入する方法、又は(B)外部電界を用いることなく、前記層に印加する負の高電圧パルスによる電界のみで発生させたプラズマ中に存在するイオンを、高分子層の表面部に注入する方法が好ましい。
【0133】
前記(A)の方法においては、イオン注入する際の圧力(プラズマイオン注入時の圧力)を0.01〜1Paとすることが好ましい。プラズマイオン注入時の圧力がこのような範囲にあるときに、簡便にかつ効率よく均一にイオンを注入することができ、目的のガスバリア層を効率よく形成することができる。
【0134】
前記(B)の方法は、減圧度を高くする必要がなく、処理操作が簡便であり、処理時間も大幅に短縮することができる。また、前記層全体にわたって均一に処理することができ、負の高電圧パルス印加時にプラズマ中のイオンを高エネルギーで層の表面部に連続的に注入することができる。さらに、radio frequency(高周波、以下、「RF」と略す。)や、マイクロ波等の高周波電力源等の特別の他の手段を要することなく、
層に負の高電圧パルスを印加するだけで、層の表面部に良質のイオン注入層を均一に形成することができる。
【0135】
前記(A)及び(B)のいずれの方法においても、負の高電圧パルスを印加するとき、すなわちイオン注入するときのパルス幅は、1〜15μsecであるのが好ましい。パルス幅がこのような範囲にあるときに、より簡便にかつ効率よく、均一にイオンを注入することができる。
【0136】
また、プラズマを発生させるときの印加電圧は、好ましくは−1〜−50kV、より好ましくは−1〜−30kV、特に好ましくは−5〜−20kVである。印加電圧が−1kVより大きい値でイオン注入を行うと、イオン注入量(ドーズ量)が不十分となり、所望の性能が得られない。一方、−50kVより小さい値でイオン注入を行うと、イオン注入時にフィルムが帯電し、またフィルムへの着色等の不具合が生じ、好ましくない。
【0137】
プラズマイオン注入するイオン種としては、前記注入されるイオンとして例示したのと同様のものが挙げられる。
【0138】
層の表面部にプラズマ中のイオンを注入する際には、プラズマイオン注入装置を用いる。プラズマイオン注入装置としては、具体的には、(α)高分子層(以下、「イオン注入する層」ということがある。)に負の高電圧パルスを印加するフィードスルーに高周波電力を重畳してイオン注入する層の周囲を均等にプラズマで囲み、プラズマ中のイオンを誘引、注入、衝突、堆積させる装置(特開2001−26887号公報)、(β)チャンバー内にアンテナを設け、高周波電力を与えてプラズマを発生させてイオン注入する層周囲にプラズマが到達後、イオン注入する層に正と負のパルスを交互に印加することで、正のパルスでプラズマ中の電子を誘引衝突させてイオン注入する層を加熱し、パルス定数を制御して温度制御を行いつつ、負のパルスを印加してプラズマ中のイオンを誘引、注入させる装置(特開2001−156013号公報)、(γ)マイクロ波等の高周波電力源等の外部電界を用いてプラズマを発生させ、高電圧パルスを印加してプラズマ中のイオンを誘引、注入させるプラズマイオン注入装置、(δ)外部電界を用いることなく高電圧パルスの印加により発生する電界のみで発生するプラズマ中のイオンを注入するプラズマイオン注入装置等が挙げられる。
【0139】
これらの中でも、処理操作が簡便であり、処理時間も大幅に短縮でき、連続使用に適していることから、(γ)又は(δ)のプラズマイオン注入装置を用いるのが好ましい。
前記(γ)及び(δ)のプラズマイオン注入装置を用いる方法については、国際公開WO2010/021326号公報に記載のものが挙げられる。
【0140】
前記(γ)及び(δ)のプラズマイオン注入装置では、プラズマを発生させるプラズマ発生手段を高電圧パルス電源によって兼用しているため、RFやマイクロ波等の高周波電力源等の特別の他の手段を要することなく、負の高電圧パルスを印加するだけで、プラズマを発生させ、高分子層の表面部に連続的にプラズマ中のイオンを注入し、表面部にイオン注入により改質された部分を有する高分子層、すなわちガスバリア層が形成されたガスバリアフィルムを量産することができる。
【0141】
イオンが注入される部分の厚みは、イオンの種類や印加電圧、処理時間等の注入条件により制御することができ、高分子層の厚み、ガスバリアフィルムの使用目的等に応じて決定すればよいが、通常、10〜1000nmである。
【0142】
イオンが注入されたことは、X線光電子分光分析(XPS)を用いて高分子層の表面から10nm付近の元素分析測定を行うことによって確認することができる。
【0143】
(ガスバリアフィルム積層体)
本発明のガスバリアフィルム積層体は、少なくとも2枚のガスバリアフィルムが、前記接合層を介して積層されてなるものである。
【0144】
本発明のガスバリアフィルム積層体の形状は、特に制限されない。例えば、シート状、等が挙げられる。
【0145】
また、本発明のガスバリアフィルム積層体において、積層するガスバリアフィルムの枚数は2以上であれば特に限定されない。ガスバリアフィルムの積層する枚数は、通常、2〜5である。
【0146】
本発明のガスバリアフィルム積層体において、ガスバリアフィルムと接合層とを貼り合わせる方法は、特に限定されず、ラミネーター等の装置を用いて公知の方法を用いて貼り合わせることができる。
【0147】
本発明のガスバリアフィルム積層体においては、少なくとも2枚のガスバリアフィルムが、前記接合層を介して積層されているものであれば、積層構成は特に限定されない。
本発明のガスバリアフィルム積層体は、その厚みは、通常100μm以下、好ましくは1〜50μmの範囲である。ガスバリアフィルム積層体の厚みが100μm以下であることで、それを用いた電子部材の軽量化等を達成することができる。
【0148】
本発明のガスバリアフィルム積層体の一例を
図1(a)、(b)に示す。
図1(a)に示すガスバリアフィルム積層体100Aは、2枚のガスバリアフィルム30a、30bの、ガスバリア層2aとガスバリア層2bが接合層20に隣接するように(より詳しくは、接合層20の粘着剤層4a、4bに隣接するように)積層された層構成(基材フィルムB 1a/ガスバリア層2a/粘着剤層4a/基材フィルムA 3/粘着剤層4b/ガスバリア層2b/基材フィルムB 1b)を有するものである。
【0149】
図1(b)に示すガスバリアフィルム積層体100Bは、ガスバリアフィルム30aの基材層1aが、接合層20に隣接するように(より詳しくは、接合層20の粘着剤層4aに隣接するように)積層され、ガスバリアフィルム30bのガスバリア層2bが、接合層20に隣接するように(より詳しくは、接合層20の粘着剤層4bに隣接するように)積層された層構成(ガスバリア層2a/基材フィルムB 1a/粘着剤層4a/基材フィルムA 3/粘着剤層4b/ガスバリア層2b/基材フィルムB 1b)を有するものである。
【0150】
図1(a)、(b)に示すように、ガスバリアフィルムの少なくとも1枚が、そのガスバリアフィルムのガスバリア層が接合層と隣接するように積層されたものが好ましく、なかでも、図(a)に示すように、2枚のガスバリアフィルムのそれぞれのガスバリア層が接合層に隣接するように積層されたものがより好ましい。
このように、ガスバリア層が接合層と隣接することで、そのガスバリア層にはキズが発生し難くなり、水蒸気バリア性が低下しにくいガスバリアフィルム積層体を得ることができる。
【0151】
前記少なくとも2枚のガスバリアフィルム同士を、接合層を介して積層する方法としては特に限定されず、公知の方法が挙げられる。
【0152】
例えば、
図1(a)に示す層構成(基材フィルムB 1a/ガスバリア層2a/粘着剤層4a/基材フィルムA 3/粘着剤層4b/ガスバリア層2b/基材フィルムB 1b)を有するガスバリアフィルム積層体100Aは、次のようにして製造することができる。
【0153】
先ず、
図2(a)に示すように、剥離フィルム5上に粘着剤層4を形成して、粘着剤層付剥離フィルム10を2枚(10a,10b)作製する。
次いで、
図2(b)に示すように、粘着剤層付剥離フィルム10aの粘着剤層4aと基材フィルムA 3とを貼り合わせた後、
図2(c)に示すように、もう1枚の粘着剤層付剥離フィルム10bの粘着剤層4bと基材フィルムA 3とを貼り合わせることで、接合層形成用積層体20’を得る。貼り合わせの方法は特に限定されず、例えば、公知のラミネーターを使用する方法が挙げられる。
【0154】
一方で、
図2(d)に示す、基材フィルムB 1と、該基材フィルム上に設けられたガスバリア層2を有するガスバリアフィルム30を2枚(30a,30b)用意する。
次いで、
図2(e)に示すように、上記方法で得られた接合層形成用積層体20’の剥離フィルム5aを剥離して、露出した粘着剤層4a面に、ガスバリアフィルム30aをガスバリア層2aで貼り合わせた後、
図2(f)に示すように、剥離フィルム5bを剥離して、露出した粘着剤層4b面に、もう1枚のガスバリアフィルム30bをガスバリア層2bで貼り合わせることで、ガスバリアフィルム積層体100Aを得ることができる。
【0155】
本発明のガスバリアフィルム積層体は、所望により、保護層、導電体層、プライマー層等のその他の層が積層されていてもよい。なお、その他の層が積層される位置は、特に限定されない。他の層は、1種又は同種又は異種の2層以上であってもよい。
【0156】
(保護層)
保護層としては、透明性がよく、耐擦傷性が良好なことが要件であり、外部から衝撃が加わった場合に、ガスバリアフィルム積層体を保護する役割を担うものである。
保護層が積層される位置は、特に限定されないが、ガスバリアフィルム積層体の最外層に積層されることが好ましい。
【0157】
保護層を構成する材料としては、特に限定されず、公知のものが使用できる。例えば、ケイ素含有化合物;光重合性モノマー及び/又は光重合性プレポリマーからなる光重合性化合物、及び少なくとも可視光域の光でラジカルを発生する重合開始剤を含む重合性組成物;ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(特にポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等とイソシアネート化合物との2液硬化型樹脂)、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等の樹脂類;アルキルチタネート;エチレンイミン;等が挙げられる。これらの材料は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0158】
保護層は、前記保護層を構成する材料を適当な溶剤に溶解又は分散してなる保護層形成用溶液を、公知の方法により積層する層上に塗工し、得られた塗膜を乾燥させ、所望により加熱することより形成することができる。
【0159】
保護層形成用溶液を塗工する方法としては、通常の湿式コーティング方法を用いることができる。例えばディッピング法、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、エアナイフコート、ロールナイフコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等が挙げられる。
【0160】
保護層形成用溶液の塗膜を乾燥する方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法が採用できる。保護層の厚みは、ガスバリアフィルム積層体の目的に応じて適宜選択することができるが、0.05〜50μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましく、0.2〜5μmがさらに好ましい。
【0161】
保護層の厚さが0.05μmより薄い場合には、耐擦傷性が十分でなく好ましくない。一方、50μmより厚い場合には、硬化時の歪みによるカールが生じやすいので好ましくない。
【0162】
(導電体層)
導電体層を構成する材料としては、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混物等が挙げられる。具体的には、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO);フッ素をドープした酸化スズ(FTO);酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケル等の金属;これら金属と導電性金属酸化物との混合物;ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料;等が挙げられる。
【0163】
これらの中でも、透明性の点から、導電性金属酸化物が好ましく、ITOが特に好ましい。導電体層は、これらの材料からなる層が複数積層されてなっていてもよい。
導電体層の形成方法としては、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法等が挙げられる。これらの中でも、簡便に導電体層が形成できることから、スパッタリング法が好ましい。
【0164】
スパッタリング法は、真空槽内に放電ガス(アルゴン等)を導入し、ターゲットと基板との間に高周波電圧あるいは直流電圧を加えて放電ガスをプラズマ化し、該プラズマをターゲットに衝突させることでターゲット材料を飛ばし、基板に付着させて薄膜を得る方法である。ターゲットとしては、前記導電体層を形成する材料からなるものが使用される。
【0165】
導電体層の厚さはその用途等に応じて適宜選択すればよい。通常10nmから50μm、好ましくは20nmから20μmである。得られる導電体層の表面抵抗率は、通常1000Ω/□以下である。
【0166】
形成された導電体層には、必要に応じてパターニングを行ってもよい。パターニングする方法としては、フォトリソグラフィー等による化学的エッチング、レーザ等を用いた物理的エッチング等、マスクを用いた真空蒸着法やスパッタリング法、リフトオフ法、印刷法等が挙げられる。
【0167】
(プライマー層)
プライマー層は、基材フィルムBとガスバリア層、またはその他の層との層間密着性を高める役割を果たす。プライマー層を設けることにより、層間密着性及び表面平滑性を向上させることができる。
プライマー層を構成する材料としては、特に限定されず、公知のものが使用できる。例えば、ケイ素含有化合物;光重合性モノマー及び/又は光重合性プレポリマーからなる光重合性化合物、及び少なくとも可視光域の光でラジカルを発生する重合開始剤を含む重合性組成物;ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(特にポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等とイソシアネート化合物との2液硬化型樹脂)、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等の樹脂類;アルキルチタネート;エチレンイミン;等が挙げられる。これらの材料は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0168】
プライマー層は、前記プライマー層を構成する材料を適当な溶剤に溶解又は分散してなるプライマー層形成用溶液を、基材層またはその他の層の片面又は両面に塗付し、得られた塗膜を乾燥させ、所望により加熱することより形成することができる。
【0169】
プライマー層形成用溶液を基材フィルムBまたはその他の層に塗付する方法としては、通常の湿式コーティング方法を用いることができる。例えばディッピング法、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、エアナイフコート、ロールナイフコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等が挙げられる。
【0170】
プライマー層形成用溶液の塗膜を乾燥する方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法が採用できる。プライマー層の厚みは、通常、10〜1000nm、好ましくは20〜4000nmである。
【0171】
本発明のガスバリアフィルム積層体は、上述した特性を有する接合層を用いることで、積層体を折り曲げた際に、厚膜側のガスバリアフィルムと接合層との界面で曲げによる応力の集中を緩和し、厚膜側のガスバリアフィルムと粘着剤層との界面で剥離が生じ、浮きが発生するという問題を解決するものである。
【0172】
2)電子デバイス用部材及び電子デバイス
本発明の電子デバイス用部材は、本発明のガスバリアフィルム積層体からなることを特徴とする。従って、本発明の電子デバイス用部材は、優れたガスバリア性を有しているので、水蒸気等のガスによる素子の劣化を防ぐことができる。また、光の透過性が高く、耐熱性に優れるので、タッチパネル、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等のディスプレイ部材;太陽電池用バックシート;等の電子デバイス用の部材として好適である。
【0173】
本発明の電子デバイスは、本発明の電子デバイス用部材を備える。具体例としては、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー、太陽電池等が挙げられる。
【実施例】
【0174】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。
【0175】
(1)粘着剤組成物の調製
ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)を用いて得られたアクリル系共重合体〔質量比(BA:AA)=90:10、重量平均分子量550,000〕100質量部とイソシアナート系架橋剤(東洋インキ社製、BHS−8515、濃度37.5質量%)0.22質量部を混合し、メチルエチルケトンで希釈して、不揮発分濃度30質量%の粘着剤組成物Aを得た。
【0176】
(2)ガスバリアフィルムの作製
基材フィルムBとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)(三菱樹脂社製、PET25T−100、厚さ25μm)に、ポリシラザン化合物〔ペルヒドロポリシラザンを主成分とするコーティング材(クラリアントジャパン社製、アクアミカNL110−20)〕をスピンコート法により塗布し、120℃で1分間加熱して、PETフィルム上に、厚さ150nmの層の、ペルヒドロポリシラザンを含むポリシラザン層を形成した。
次に、得られたポリシラザン層の表面に、プラズマイオン注入装置を用いて、下記の条件にて、アルゴン(Ar)をプラズマイオン注入して、ガスバリア層を形成して、ガスバリアフィルムAを作製した。
ガスバリア層を形成するために用いたプラズマイオン注入装置及びイオン注入条件は以下の通りである。
【0177】
(プラズマイオン注入装置)
RF電源:日本電子社製、型番号「RF」56000
高電圧パルス電源:栗田製作所社製、「PV−3−HSHV−0835」
(プラズマイオン注入条件)
プラズマ生成ガス:Ar
ガス流量:100sccm
Duty比:0.5%
印加電圧:−6kV
RF電源:周波数 13.56MHz、印加電力 1000W
チャンバー内圧:0.2Pa
パルス幅:5μsec
処理時間(イオン注入時間):200秒
【0178】
基材フィルムBとして、ポリエチレンテレフタレートッフィルム(PETフィルム)(三菱樹脂社製、ダイアホイル K205−6E、厚さ6μm)を用いる以外は、上記と同様にして、ガスバリアフィルムBを作製した。
なお、(ガスバリアフィルムBの厚さ)/(ガスバリアフィルムAの厚さ)の値は、0.24であった。
【0179】
(3)接合層の基材フィルムAの引張弾性率
接合層の基材フィルムAとして用いた樹脂フィルム及びその引張弾性率を以下に示す。
樹脂フィルム1:PETフィルム(三菱樹脂社製、商品名:ダイアホイルK100−2.0W、厚み2μm、23℃における引張弾性率、3300MPa)
樹脂フィルム2:シクロオレフィン系樹脂フィルム(JSR社製、商品名:アートン、厚み5μm、23℃における引張弾性率、4300MPa)
樹脂フィルム3:ポリサルホン系樹脂フィルム(BASF社製、商品名:ULTRASON S3030、厚み2μm、23℃における引張弾性率、2400MPa)
樹脂フィルム4:ポリサルホン系樹脂フィルム(BASF社製、商品名:ULTRASON S3030、厚み5μm、23℃における引張弾性率、2400MPa)
なお、23℃における引張弾性率は、引張試験機(オリエンテック社製、TENSILON RTA−100)を用いてJIS K7127に準拠して測定した。
【0180】
(実施例1)
厚さ38μmのPETフィルムの片面に、シリコーン剥離層を設けてなる剥離フィルム(リンテック社製、SP−PET381031)の剥離層表面に、粘着剤組成物Aをコンマダイレクトコート法にて塗布し、得られた塗膜を100℃で1分間乾燥して、厚みが2μmの粘着剤層を有する、粘着剤層付剥離フィルムAを得た。
粘着剤層付剥離フィルムAの粘着剤層面と樹脂フィルム1を貼り合わせ、次いで、もう1枚の粘着剤層付剥離フィルムAの粘着剤層面を貼り合わせて、接合層形成用積層体Aを得た。
接合層形成用積層体Aの剥離フィルムを1枚剥離して、露出した粘着剤層面と上記方法で作製したガスバリアフィルムAのガスバリア層面とを貼り合わせ、次に、もう一枚の剥離フィルムを剥離して、露出した粘着剤層面とガスバリアフィルムBのガスバリア層面とを貼り合わせて、ガスバリアフィルム積層体Aを作製した。
【0181】
(実施例2)
実施例1において、接合層の基材フィルムとして、樹脂フィルム1に代えて、樹脂フィルム2を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルム積層体Bを作製した。
【0182】
(比較例1)
前記剥離フィルム(リンテック社製、SP−PET381031)の剥離層表面に、粘着剤組成物Aをコンマダイレクトコート法にて塗布し、得られた塗膜を100℃で1分間乾燥して、厚みが6μmの粘着剤層を有する粘着剤層付剥離フィルムBを得た。
次いで、ガスバリアフィルムAのガスバリア層面と、粘着剤層付剥離フィルムBの粘着剤層面とを貼り合わせた後、剥離フィルムを剥離した。
次に、露出した粘着剤層面と、ガスバリアフィルムBのガスバリア層面とを貼り合わせて、基材フィルムAを有しないガスバリアフィルム積層体Cを作製した。
【0183】
(比較例2)
比較例1において、粘着剤層の厚みを10μmに変更して粘着剤層付剥離フィルムCを得、これを用いたこと以外は、比較例1と同様にして、基材フィルムAを有しないガスバリアフィルム積層体Dを作製した。
【0184】
(比較例3)
実施例1において、接合層の基材フィルムとして、樹脂フィルム1に代えて、樹脂フィルム3を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルム積層体Eを作製した。
【0185】
(比較例4)
実施例1において、接合層の基材フィルムとして、樹脂フィルム1に代えて、樹脂フィルム4を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルム積層体Fを作製した。
【0186】
(粘着力試験)
実施例および比較例で用いた粘着剤層付剥離フィルムA〜Cについて、粘着剤層面とポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂社製、PET25T−100、厚さ25μm)とを貼り合わせ、これを、幅25mm長さ250mmの大きさに裁断し、試験用粘着フィルムを得た。
【0187】
上記方法で得た試験用粘着フィルムから、剥離フィルムを剥離して、露出した粘着剤層面とガスバリアフィルムAのガスバリア層面とを貼り合わせ、2kgのロールで1回往復させて、試験片を得た。貼付から24時間後、JISZ0237に準じて、剥離速度300mm/min、180°における粘着力(N/25mm)を測定した。
測定結果を第1表に示す。
【0188】
(耐折り曲げ性試験)
実施例1、2及び比較例1〜4で得られたガスバリアフィルム積層体A〜Fを、ガスバリアフィルムAが外側になるように中央部分で折り曲げて、ラミネート装置(フジプラ社製、「LAMIPACKER LPC1502」)の2本のロール間を、ラミネート速度5m/min、圧力0.18MPa、温度23℃の条件で通した後、目視によりガスバリアフィルム積層体を観察した。評価基準を、以下に示す。
○:ガスバリアフィルム積層体に浮きが見られなかった。
×:ガスバリアフィルム積層体に浮きが見られた。
評価結果を第1表に示す。
【0189】
【表1】
【0190】
第1表より、以下のことがわかる。
実施例1、2で得られるガスバリアフィルム積層体A、Bは、耐折り曲げ性に優れている。
一方、比較例1、2で示されるように、接合層として、粘着剤層のみを用いる場合、その厚みに関わらず、耐折り曲げ性に劣っている。
また、比較例3、4で示されるように、23℃における引張弾性率が3,000MPa未満の合成樹脂からなる基材フィルムを用いる場合も、耐折り曲げ性に劣っている。