【実施例1】
【0015】
まず、本発明である排水用ブロックの設置状態について説明する。
図1は、排水用ブロックが設置された状態を示す斜視図である。
図2は、排水用ブロックが接続された状態を示す斜視図である。
【0016】
図1に示すように、排水用ブロック100は、アスファルト等で舗装された道路400の端などに設置される。排水用ブロック100は、地面410に溝を掘って、地中420にブロック材200が埋設される。排水用ブロック100には、ボックス状に形成して地中に埋設される暗渠ブロックや、U字状に形成して地上に露出させる明渠ブロックなどがある。明渠ブロックの場合、空いた上面には蓋部材300が被せられることがある。蓋部材300には、格子状のグレーチングや、コンクリート製の板材などがある。
【0017】
排水用ブロック100の例として暗渠ブロックで説明する。
図2に示すように、排水用ブロック100として使用するブロック材200は、コンクリートブロックであり、予め製造しておくプレキャストコンクリートである。なお、ブロック材200を配置した後に、ブロック同士の隙間などは、コンクリートを現場打ちする等して塞ぐことにより、排水路としてシール性を保持する。
【0018】
ブロック材200は、前側の前部材210と、後側の後部材220とを連結して延ばしていく。前部材210の一部、特に後端側は、上面の空いた明渠ブロックになっている。後部材220の前端側は、上面が前方に延びており、前部材210の後端側の空いた上面に被せるようにして、前部材210の後側に連結可能である。なお、前部材210の上面と、後部材220の上面の間に空いた間隙230には蓋部材300を載置可能である。
【0019】
後部材220の後端側が暗渠ブロックである場合、後端側の上面を切削して明渠ブロックにすることにより、前部材210と同じになるので、さらにその後側に別の後部材220を連結することが可能となる。また、同様に、前部材210の前端側が暗渠ブロックの場合、前端側の上面を前方に延長させることにより、後部材220と同じになるので、さらにその前側に別の前部材210を連結することが可能となる。
【0020】
また、暗渠ブロックとして連結する場合だけでなく、明渠ブロックとして地上に露出した状態で配置されているものを、地中に埋設するために暗渠ブロックに変えて連結したい場合に、本発明における接続構造を利用することができる。なお、矩形状の暗渠ブロックとU字状の明渠ブロックを例としたが、本発明の接続構造を利用できれば、別の形状の組合せにしても良い。
【0021】
次に、本発明である排水用ブロックの構造について説明する。暗渠ブロックとしてブロック材200を接続する場合の前部材210と後部材220の構造を示す。なお、図において、左側を前側とし、右側を後側とする。
【0022】
図3(a)は前部材の斜視図であり、
図3(b)は後部材の斜視図である。
図4(a)は前部材の正面図であり、
図4(b)は前部材の平面図であり、
図4(c)は前部材の側面図(左右同じなので右のみ)であり、
図4(d)は前部材の底面図であり、
図4(e)は前部材の背面図である。
図5(a)は後部材の正面図であり、
図5(b)は後部材の平面図であり、
図5(c)は後部材の側面図(左右同じなので右のみ)であり、
図5(d)は後部材の底面図であり、
図5(e)は後部材の背面図である。
【0023】
図3(a)に示すように、前部材210の前端側及び中間部分は、任意の溝渠として形成されていれば良いが、上底部211と下底部212と左右両側部213により矩形状の暗渠214が形成されているとする。前部材210の後端側は、下底部212と左右両側部213によりU字状の明渠215を形成する。なお、後端側の上底部211は切削しても良いし、予め上底部211が無い状態で成形しても良い。
【0024】
図3(b)に示すように、後部材220の後端側及び中間部分は、任意の溝渠として形成されていれば良いが、上底部221と下底部222と左右両側部223により矩形状の暗渠224が形成されているとする。後部材220の前端側には、上底部211を前方に延長した突片225を設ける。突片225は、後部材220の型枠に予め突片225の形状を入れておく等して、一体成形されることが好ましい。
【0025】
図4に示すように、前部材210は、上面が上底部211、下面が下底部212、左側面及び右側面が側部213によって矩形状に囲まれる。下底部212及び側部213は、前部材210の前端側から後端側までに存在するが、上底部211は、前部材210の前端側から中間部分までに存在する。すなわち、前端側及び中間部分は暗渠214であり、後端側は明渠215である。
【0026】
前部材210において、各面に囲まれた内部は中空であり、隣接する面は直角に連設される。上底部211と下底部212とは平行であり、暗渠214の高さは一定である。左右の側部213も平行であり、暗渠214又は明渠215の内幅は一定である。なお、前部材210は、コンクリート製なので、水漏れしないように、一体的に成形されることが好ましい。
【0027】
図5に示すように、後部材220は、上面が上底部221、下面が下底部222、左側面及び右側面が側部223によって矩形状に囲まれる。上底部221、下底部222及び側部223は、後部材220の前端部から後端部までに存在するが、上底部221は、後部材220の前端側から前方に延長された突片225を有する。すなわち、後部材220は、突片225の部分を除き、暗渠224である。
【0028】
後部材220において、各面に囲まれた内部は中空であり、隣接する面は直角に連設される。上底部221と下底部222とは平行であり、暗渠224の高さは一定である。左右の側部223も平行であり、暗渠224の内幅は一定である。暗渠224の高さ及び内幅は、暗渠214又は明渠215と連結することから同じであることが好ましい。なお、後部材220も、コンクリート製なので、一体的に成形されることが好ましい。
【0029】
前部材210の後側に後部材220を連結する際、前部材の後端側の明渠215に後部材220の突片225を載せることにより暗渠にする。そのとき、前部材210と後部材220の位置を合わせ、連結後の位置ずれを防止するために、
図5に示すように、突片225の下面に軸体226を設ける。軸体226は、前部材210の明渠215の内幅と同じ外径の円盤であり、明渠210の左右の側部213の間に嵌合する。
【0030】
次に、本発明である排水用ブロックの接続方向について説明する。
図6(a)は、排水用ブロックを直線方向に接続した場合の平面図であり、
図6(b)は排水用ブロックを斜め方向に接続した場合の平面図であり、
図6(c)は直角方向に接続した場合の平面図である。
図7は、排水用ブロックを切削加工した場合の斜視図である。
図8は、排水用ブロックに補助部材を介す場合の斜視図である。
【0031】
図6(a)に示すように、直線方向に排水用ブロック100を延ばしていく場合は、前部材210の後側に後部材220を連結すれば良い。排水用ブロック100を設置する場所によっては、方向を変更する必要がある。例えば、
図6(b)に示すように、斜め45度の横方向に後部材220を傾ける場合や、
図6(c)に示すように、コーナーのような場所では、90度の横方向に後部材220を傾ける場合などがある。
【0032】
後部材220を横方向に傾ける場合は、前部材210の明渠215に嵌め込んだ後部材220の軸体226を軸として、後部材220を回動させれば良い。後部材220を回動させると、前部材210の暗渠214と、後部材220の暗渠224とが、溝渠として滑らかに連結されない場合があるので、前部材210及び後部材220の一部を切削し、隙間をコンクリートで現場打ちすることにより、滑らかに連結する。
【0033】
図2に示すように、前部材210と後部材220とを直線方向に連結する場合、前部材210の明渠215の部分より、後部材220の突片225の長さが短いと、間隙230が存在するようになり、蓋部材300で塞ぐ必要が生じる。そのため、
図7に示すように、前部材210の明渠215の部分を切削する等して短くし、後部材220の突片225の長さと同じにする。
【0034】
前部材210の明渠215の部分と、後部材220の突片225の長さを合わせることにより、前部材210と後部材220とが、ぴったりと接合することにより、一つの暗渠と変わらない状態となる。なお、前部材210と後部材220との間の僅かな隙間については、コンクリートを現場打ちすることにより、完全に封止する。なお、短いサイズの暗渠にする場合も、同様の作業で可能である。
【0035】
さらに、排水用ブロック100を設置する場所によっては、縦方向に傾斜を変更する必要がある。例えば、
図8に示すように、下方向に後部材220が下がっていくような場合には、前部材210と後部材220とを滑らかに連結されるように、補助部材240を使用する。なお、上方向に後部材220が上がっていくような場合にも、同様に補助部材240を用いれば良い。
【0036】
前部材210より
後部材220の位置が下がる場合においては、前部材210の暗渠214及び明渠215と、後部材220の暗渠224は、水平な状態で配置されるので、前部材210と後部材220との間に、明渠215の下底部212の高さから暗渠224の下底部222の高さの下り勾配で傾斜を有する補助部材240を介して、上下方向の角度を滑らかに変更する。
【0037】
前部材210より後部材220の位置が上がる場合、すなわち前部材210の上底部211から下底部212までを深くすることにより、後部材220の位置が上がる場合は、明渠215の下底部212の高さから暗渠224の下底部222の高さの上り勾配で傾斜を有する補助部材240を介して、上下方向の角度を滑らかに変更する。なお、補助部材240を介すことで生じた隙間は、コンクリートを現場打ちすることにより封止する。
【0038】
このように、前部材210と後部材220を組み合わせることにより、排水用ブロック100の配設方向を自由に変更することが可能であり、コーナーで横方向に曲げたい場合や、縦方向に傾斜を変えたい場合でも、簡単に接続することができる。また、U字型の側溝ブロックと、ボックス型の暗渠ブロックとを接続することも可能であり、地上に露出させたい箇所と、地中に埋設させたい箇所とがあっても、自由に配置することができる。
【0039】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、本発明は、排水用ブロックとして、コンクリートを成形したブロック材を使用したが、コンクリート以外でも、金属や樹脂などを使用しても良い。例えば、金属の場合は折り曲げて矩形状にし、溶接等により接合して暗渠を成形しても良い。