(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記張力印加手段(400)は、前記少なくとも1つの捩りワイヤ(5)を埋め込むために設けられた係留手段(30)を備え、前記係留手段(30)は、前記捩りワイヤ(5)の第1の端部に前記第1の係留手段(301)を有し、及び/又は前記捩りワイヤ(5)の前記第1の端部と反対側の第2の端部に前記第2の係留手段(302)を有することを特徴とする、請求項1に記載の調速部材(1)。
前記張力印加手段(400)は、前記少なくとも1つの捩りワイヤ(5)を埋め込むために設けられた前記係留手段(30)を備え、前記係留手段(30)は、前記捩りワイヤ(5)の前記第1の端部に前記第1の係留手段(301)を有し、及び/又は前記捩りワイヤ(5)の前記第1の端部と反対側の前記第2の端部に前記第2の係留手段(302)を有すること;並びに
前記第1の係留手段(301)又は前記第2の係留手段(302)は、クランプ(11;13)を備え、前記クランプ(11;13)は、前記クランプ(11;13)と同心のブッシュ(110;130)の作用下で前記エンドプレート(54;56)を受承してクランプ留めするために設けられていること
を特徴とする、請求項5に記載の調速部材(1)。
前記調速部材(1)は、前記張力印加手段(400)に作用して前記捩りワイヤ(5)の張力を調整するよう配設された張力調整手段(20)を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の調速部材(1)。
前記張力調整手段(20)は、前記クランプ(11;13)の前記位置を調節するために前記クランプ(11;13)に当接して作用する少なくとも1つの調整レバー(85;75)を備え、
前記調整レバー(85;75)は、少なくとも1つの断面が減少した領域(854;754)を備え、これによって前記調整レバー(85;75)に弾性を与える
ことを特徴とする、請求項10に記載の調速部材(1)。
前記調速部材(1)は、小型接続ロッド(44)を、前記地板(7)と前記受け(8)との間で前記捩りワイヤ(5)が伸長させる地板(7)又は受け(8)と、反対側の前記調整レバー(85;75)との間に挿入することで形成された熱補償手段を備え、
前記ロッド(44)の膨張は、前記調整レバーの位置を修正し、その結果として対応する前記クランプ(11;13)上の圧力及び前記捩りワイヤ(5)の張力を補正する
ことを特徴とする、請求項11に記載の調速部材(1)。
前記調速部材(1)は、前記捩りワイヤ(5)、前記テンプ(2)及びフレームを備える単一部品構造体(40)であることを特徴とする、請求項1に記載の調速部材(1)。
前記捩りワイヤ(5)は金属ガラス製であるか、又はニッケル75.44質量%、クロム13質量%、鉄4.2質量%、ケイ素4.5質量%、炭素0.06質量%、ホウ素2.8質量%を含む少なくとも部分的に非晶質の合金製であることを特徴とする、請求項1に記載の調速部材(1)。
前記捩りワイヤ(5)は金属ガラス製であるか、又はニッケル75.44質量%、クロム13質量%、鉄4.2質量%、ケイ素4.5質量%、炭素0.06質量%、ホウ素2.8質量%を含む少なくとも部分的に非晶質の合金製であることを特徴とする、請求項2に記載の調速部材(1)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、腕時計の調速部材の性能を改善することを提案する。
【0029】
本発明が克服することを提案する課題は、以下の複数の観察に関連している:
−調速部材の損失は、腕時計の動作品質及びパワーリザーブに直接影響する。3種類の損失、即ち乾燥摩擦(ホゾ)、線形摩擦(テンプ上の空気)及び二次摩擦が存在する;
−これらの損失のかなりの部分は、ホゾの存在に関連している;
−調速部材は従来、腕時計の様々な垂直方向又は水平方向位置に影響されやすいものであり、平坦位置と懸架位置との間の差は相当なものとなる場合がある。
【0030】
本発明は特に:
−腕時計の全ての位置において、乾燥摩擦による損失を低減することにより調速機の効率を改善すること;
−より具体的には、周波数が高い腕時計、即ち振動子の周波数が5Hz以上である腕時計の場合に、腕時計の全ての位置において、乾燥摩擦による損失を低減することにより調速機の効率を改善すること
を提案する。
【0031】
以下の2つのアプローチを精査できる:
−金属ガラス製ヒゲゼンマイの使用による従来の振動子の改良:このアプローチはかなり多くの研究の対象となってきたが、ここでは採用されない;
−捩り復元手段、特に捩りワイヤの使用。
【0032】
従来技術では、捩りワイヤを備える時計機構は一般に振り子、流体カウンタ、ロケット砲に限定され、捩りワイヤは最高加速が存在する方向(特に振り子の場合は重力方向)に設けられる。ワイヤを垂直な配置ではなくこのように軸方向に設けることは、時刻を表示するために構成される時計の不変の条件である。公知の機構は、空間内において及びユーザの運動に対していずれの配向を取り得る腕時計の場合には不適当である。
【0033】
捩りワイヤ調速機構を腕時計に適用するために、以下の3つの問題全てを克服しなければならない:動作品質に影響する損失;異なる複数の位置に対する感受性;効率の改善。
【0034】
従来技術では、捩りワイヤ振り子は金属製捩りワイヤを使用し、これは対象となる用途には十分なものであり、他の材料の使用に関しては何の提案も存在しない。
【0035】
しかしながら、腕時計の調速部材という特定の用途によって強いられる小型化により、金属製平坦部品又はワイヤは使用できなくなる。というのはこれらの利用可能な長さが、十分な復元トルクの印加と両立できないからである。従って腕時計ムーブメントの厚さと両立できる極めて短い長さの、(弾性復元トルクを印加するために捩られた)1つ又は複数の有効部分を有する捩りワイヤを開発する必要がある。使用できる捩りワイヤの全長LTは数ミリメートル、好ましくは6ミリメートル未満であり、本明細書に記載する例示的実施形態では5ミリメートル未満であり、捩りワイヤの有効長LLは更に短く、この有効長LLは、以下に示すように、捩りワイヤの複数のセクションの複数の一次有効長の合計によって得られる。捩れた状態で作用する各セクションの有効長は必然的に大幅に削減され、典型的には約2〜4ミリメートルであり、断面は数マイクロメートルレベル、典型的には20〜40マイクロメートルとなる。本発明の課題は、このような捩りワイヤを製造するのに好適な材料を定義するだけでなく、時計学専用に考案されたものではない材料を用いて、信頼性が高く再現性のある工業的製造方法を用いて達成できる形状を開発すること(これは微細技術分野において特に困難である)からなる。
【0036】
従来考えられてきた概念をものともしない長期に亘る実験によってのみ、弾性率及び弾性限界の閾値の定義と、
−マイクロメートルレベルの;
−その材料が100GPa超の弾性率及び2000MPa超の弾性限界を有する捩りワイヤの開発が可能となる。
【0037】
従来のテンプ−ゼンマイ構造内の構成部品の改良のために、「MEMS」及び「LIGA」技術から得られる新規の材料並びに非晶質材料がこれまで試験されてきたが、これらは本件の場合のような、時計学における更に範囲の狭い使用のための構造においては試験されてこなかった。
【0038】
従って、本発明は少なくとも1つのテンプ2を備える腕時計用調速部材1に関し、このテンプ2は振動軸Dの周りで振動し、捩り復元手段4が2つの振動方向に交互に印加する復元トルクを受ける。
【0039】
好ましくはこの調速部材1は時計用、特にコンパクト性及び加速に対する耐性に関して特定の制約が強いられる腕時計用に提案される。
【0040】
このテンプ2は、限定するものではないが以下の様々な形状に作製してもよい:ディスク状、環状、慣性ブロックを備える形状、又は単純なビームにまで簡略化された形状。
【0041】
本発明は、振動子の摩擦の少なくとも90%の原因であるホゾを除去することを提案する。ホゾの摩擦トルクは、ホゾの半径に比例する。大きな半径は大きな垂直方向損失を引き起こす。従って従来のホゾを使用する場合、半径を約0.050mmといった極めて小さい値未満に低減しなければならない。
【0042】
本発明によると、この少なくとも1つのテンプ2は、少なくとも1つの捩りワイヤ5と一体として上記テンプを振動させる取り付け手段10を備える。この捩りワイヤ5は、この少なくとも1つのテンプ2専用の上記捩り復元手段4を形成する。このような捩りワイヤ5の使用により、天真は余計なものとなり、ホゾの必要性を排除できる。
【0043】
本説明は、単一の捩りワイヤ5を備える例示的実施形態のみを挙げる。当然のことながら、本発明から逸脱することなく、複数の捩りワイヤを互いに直列及び/又は互いに並列な状態で組み合わせることができる。
【0044】
同様に、図示した例示的実施形態はテンプを1つしか備えていない。複数のテンプが並置される場合、これらを堅固に接続するか又は同一の捩りワイヤの中間セクションによって接続してよく、この中間セクションは捩れた状態で使用してもしなくてもよい。
【0045】
この捩りワイヤ5は好ましくは、100GPa超、好ましくは120GPa超の弾性率及び2000MPa超の弾性限界を有する。捩りワイヤのこのような具体的な特性(弾性率100GPa超、弾性限界2000MPa超)は、開発の困難さ及び捩りワイヤ5の極めて小さいマイクロメートルレベルの寸法を原因とする長期に亘る複雑な実験の結果であり、これらは特定の調整部材に使用されるワイヤの具体的な特性を形成する。「マイクロメートルレベルの寸法(Micrometric dimensions)」はここでは、有効部分(これ以降、捩り力を受けたワイヤの部分をこのように呼ぶ)の断面の最大寸法が数マイクロメートル又は数十マイクロメートルであり、いずれの場合も100マイクロメートル未満であり、かつ有効部分の断面の最小寸法が数マイクロメートル又は数十マイクロメートルであり、いずれの場合も50マイクロメートル未満であるようなワイヤの寸法を意味する。
【0046】
このような捩りワイヤの利用は通常のホゾの良好な代替案であり、その寸法を大幅に削減でき、特に有効部分の断面の最大寸法は好ましくは0.040mm未満となり、即ち半径0.020mm未満となる。
【0047】
高い弾性率を選択することにより、捩りワイヤの良好な剛性が保証され、捩りワイヤによるテンプの懸架支持品質が決定される。更にこのような捩りワイヤの幾何学的形状により、テンプの軸性が保証される。捩りワイヤに適切に張力を印加することにより、テンプの両側の張力が確実に等しくなる。
【0048】
高い弾性率及び弾性限界範囲を選択することにより、使用できる材料の選択肢が不可避的に限定される。
【0049】
ここでは金属ガラスの利用が全体的に適切である。これにより、テンプの十分な角度振幅を得ることができる。これは即ち約100°であり、ガンギ車との協働のための50°と、保守システムの出し入れのための50°とに分割される。
【0050】
また、上述の好ましい特性よりも低い特性を有する捩りワイヤ5を使用することもできる。いずれの場合も、弾性率は60GPa超、弾性限界は1000MPa超でなければならない。
【0051】
弾性率と弾性限界の上限値との間の比は有利には40〜80、好ましくは約60である。
【0052】
捩りワイヤ5の自由長LL(即ち運動が阻害されておらず、自由に捩ったり振動したりできる長さ)と、その有効部分の断面の最大寸法LGとの間の比は、有利には80〜150、好ましくは115である。
【0053】
捩りワイヤ5の良好な動作効率のために、調速部材は、捩りワイヤ5に張力を印加するための手段400を含む。以下に記載するような好ましい実施形態では、調速部材1はまた、張力印加手段400に作用するよう配設された、捩りワイヤ5の張力のための張力調整手段20も含む。
【0054】
図2に示す本発明の第1の実施形態の具体的かつ非限定的な態様では、テンプ2は慣性ブロックを形成するリム29を備え、これは天真3と一体となって振動する。この天真3は、捩りワイヤ5を通すことができるよう環状であり、また
図2に示すように断面減少領域(例えば肩部33)によって離間された第1の穿孔31及び第2の穿孔32を含む。経済的な変形実施形態では、第1の穿孔31及び第2の穿孔32は異なる直径を有し、肩部33は、単に一方の穿孔を他方に接続する表面によって形成されている。限定するものではないが、取り付け手段10は、調速部材1を備える時計に対していずれの衝撃が印加されている間に発生する最大動作トルク及び高い加速(典型的には5000gレベル)に耐えられるような十分な保持を保証する、圧着、クランプ留め、圧入、接着、ろう接、溶接又は別の好適な方法によって、捩りワイヤ5に固定された接続要素6からなっている。例えば接続要素6は、捩りワイヤ5のための通路61(ワイヤはこの通路61内で不動化される)を含み、更に肩部33と当接して協働するよう配設された支持体63を含む。
【0055】
別の変形例では、接続要素6は捩りワイヤ5上に事前圧着されず、ワイヤ5が天真3の穿孔内に挿入されて適切に位置決めされた後でしか圧着されない。
【0056】
特に捩りワイヤ5の横方向屈曲中の、テンプ2とこれに関連する捩りワイヤ5との間の相対的なクリアランスを制限するために、テンプ2は有利には、振動軸Dに沿った取り付け手段10の両側に、捩りワイヤ5とテンプ2との間の径方向クリアランスを制限する第1の手段15及び第2の手段16を備える。
【0057】
図示していない変形例では、捩りワイヤ5とテンプ2との間の径方向クリアランスを制限する第1の手段15及び第2の手段16の代わりに、又はこれに加えて、クリアランス制限手段を、地板7及び受け8(これらの間でテンプ2が振動する)上においてムーブメント100に嵌合してよい。
【0058】
図2の第1の実施形態の上述の例では、第1のクリアランス制限手段15及び第2のクリアランス制限手段16は、捩りワイヤ5の最大径方向寸法の直径に対応する通路を備える宝石によって形成される。従って、捩りワイヤ5が少なくともその有効部分において長方形断面(又は長方形断面の特殊な場合である正方形断面)を有する有利な場合においては、これらの宝石はそれぞれ、捩りワイヤの断面の対角線よりもごくわずかに大きな直径の穿孔を含む。これは、好ましくは捩りワイヤの断面の対角線の範囲内に含まれ、かつ具体的な実施形態では10マイクロメートル以上である値を有する。
【0059】
高い弾性率(特に横断方向)を得ることによって調速機の効率を改善できるようにするために、ある所定の捩りトルクに関して、結晶性材料製の従来のワイヤで得られたものよりも大きな弾性変形振幅を得ることができるように材料を選択する必要があり、これによって結果的に、テンプ2の振幅及び調速機1の品質係数を上昇させることができる。
【0060】
よって第1の変形例では、捩りワイヤ5は金属ガラス製であるか、又は少なくとも部分的に非晶質の合金製であり、この少なくとも部分的に非晶質の合金は、ジルコニウム、チタン、銅、ニッケル、ベリリウムだけで形成され、ジルコニウム41〜44質量%、チタン11〜14質量%、銅9〜13質量%、ニッケル10〜11質量%、ベリリウム22〜25質量%を含む。
【0061】
この第1の変形例の具体的な応用において、捩りワイヤ5は「Liquidmetal」によって製造された「LM1b」で作製され、この材料は、ヤング率98GPa、弾性限界1700MPaである。この金属ガラスは、高い弾性率と弾性限界値とを併せ持つという利点を有する。
【0062】
この第1の変形例の別の具体的な応用において、捩りワイヤ5は「Liquidmetal」(登録商標)によって製造された金属ガラス「LM10」で作製される。
【0063】
第2の変形例では、捩りワイヤ5は金属ガラス製であるか、又はニッケル75.44質量%、クロム13質量%、鉄4.2質量%、ケイ素4.5質量%、炭素0.06質量%、ホウ素2.8質量%を含む少なくとも部分的に非晶質の合金製である。
【0064】
この第2の変形例の具体的な応用において、捩りワイヤ5は、「Metglas(登録商標)」によって製造された「MBF20」と呼ばれる金属ガラス製である。「MBF20」のヤング率は約140GPaであり、弾性限界は約2500MPaである。
【0065】
これら第1及び第2の変形例では、全有効長LLが4.2mm、有効部分の断面が37×20マイクロメートルである捩りワイヤ5により、12mg・cm
2の慣性を有するテンプを有する5Hz振動子に関して、等時性に関する良好な結果が得られる。
【0066】
更に別の変形例では、捩りワイヤ5はケイ素及び/又は酸化ケイ素製である。
【0067】
更に別の変形例では、捩りワイヤ5は単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンド製である。
【0068】
図3に示すように、微細機械加工可能な材料製の捩りワイヤを備える実施形態により、捩りワイヤ5のアンカーに対する張力調整を備える、単一部品のケイ素等のフレームを作製できる。構造体40全体は、好ましくは単一部品として、ケイ素等で作製できる。この構造体40は剛性フレーム41を含み、このフレーム41内に捩りワイヤ5が張られ、ここではテンプ2はビームの形状で作製される。
図4は、例えばカム43、又はスロット42等に挿入された楔の形状で作製された、捩りワイヤ5のための張力調整手段20を備える変形例を示す。
【0069】
ムーブメント100は、受け8を地板7に対して平行に変位させるために、振動軸Dに関して略対称に配設された複数の(特に2つの)張力調整手段20を備えていてよく、そうでない場合にはカラムガイドを使用して、単一の張力調整ねじ22との平行性を保証できる。
【0070】
本発明の具体的実施形態では、捩りワイヤ5は少なくともその有効部分において長方形又は正方形の断面を有する。より具体的には、正方形断面により、調速部材が組み込まれた時計がいずれの位置にある場合にも、調速部材の同一の挙動が保証される。例えば、捩りワイヤ5の有効活性部分は、金属ガラス製の30マイクロメートル角の正方形断面、又はケイ素製の27マイクロメートル角の正方形断面を有してよい。
【0071】
当然のことながら、製造上の制約(このような小さい寸法では、上記選択した材料の成形が特に困難であること)によって、及び高い性能レベルを達成することによって、断面形状の選択が規定される場合、三角形、六角形、多角形、円形、楕円形又はその他の形状といった他の外形を実装できる。しかしながら、上で定義したようなマイクロメートルレベルの捩りワイヤの製造の困難さは、信頼性が高く再現性のある捩りワイヤの製造自体が課題であり、製造が困難な断面外形を選択することは、再現性のある製造に関する上記課題を更に克服し難くするだけであることによるものである。
【0072】
好ましくは、捩りワイヤ5の材料は、捩りワイヤ5が振動軸Dに対して垂直な方向に、100GPa超、好ましくは120GPa超の弾性率を有するよう選択される。この条件は、上述の少なくとも部分的に非晶質の合金で作製されるか、又は「LM1b」と呼ばれる「Liquidmetal(登録商標)」金属ガラス若しくは「MBF20」と呼ばれる「Metglas(登録商標)」金属ガラスで作製される実施形態によって達成される。
【0073】
調速部材1は好ましくは、捩りワイヤ5を埋め込むために、及び捩りワイヤ5に張力を印加するための手段400を形成するために、調速部材1を係留する手段30を含む。これら係留手段30は、捩りワイヤ5の第1の端部に第1の係留手段301を含み、及び/又は捩りワイヤ5の上記第1の端部と反対側の第2の端部に第2の係留手段302を含む。これら第1の係留手段301及び第2の係留手段302は共に、調速部材1の振動軸Dを画定する。
【0074】
本発明はまた、地板7と受け8との間で振動する少なくとも1つの上述のような調速部材1を備える時計ムーブメント100にも関する。
【0075】
好ましくはこのムーブメント100は、捩りワイヤ5を埋め込むために、及び捩りワイヤ5に張力を印加するための手段400を形成するために、調速部材1を係留する手段30を備える。第1の係留手段301は受け8に固定され、第2の係留手段302は地板7に固定されている。
【0076】
図2の第1の実施形態の非限定的な例では、捩りワイヤ5を受け8に係留するための第1の係留手段301は第1のクランプ11を含み、この第1のクランプ11は特に、捩りワイヤ5を通過させるためのスロット114を備えるスリット付きクランプである。この第1のクランプ11はテンプ2に対面する支承面111を有し、これは受け8が備える相補的支承面91上に、又は
図2に示すように受け8上に配置された配向可能な支持体9上に支承されるように設けられる。
【0077】
この配向可能な支持体9は好ましくは、この配向可能な支持体9を所定の位置に保持するために十分な摩擦により、受け8に圧入される。支持体9はスタッドホルダを用いて配向でき、これにより、振り石、フォーク及び脱進機機構の動力伝達ライン上におけるガイドマークの整列を微調整できる。この配向可能な支持体はまた、図示していない保持手段によって、角度に関して調整された位置に保持できる。
図2は、受け8の上面89と当接して協働する肩部93を備える配向可能な支持体9を示す。当然のことながら、変形実施形態では、支持体9を軸Dに沿って長手方向に移動させることにより、例えば筒カナを有する実施形態において、張力調整手段20を同時に形成できる。第1のクランプ11は更に、雌型コーン123と協働する雄型コーン113を含み、雌型コーン123はテンプ2の方向に開いており、第1のブッシュ12内に含まれている。この第1のブッシュ12は外側ねじ山122を有し、これは配向可能な支持体9の内側ねじ山92と協働する。第1のブッシュ12をねじ込むと、第1のクランプ11は捩りワイヤ5をクランプ留めしてワイヤの端部を不動化し、これと同時に第1のクランプ11の支承面111は相補的支承面91上に支承される。
【0078】
同様であるが略対称的な様式で、捩りワイヤ5を地板7に係留するための第2の手段302は第2のクランプ13を有し、この第2のクランプ13は、特に捩りワイヤ5を通過させるためのスロット134を備えるスリット付きクランプである。この第2のクランプ13はテンプ2に対面する支承面131を有し、これは地板7が上記支承面131側に直接備える相補的支承面71上に支承されるよう配設されている。第2のクランプ13は、また、雌型コーン143と協働する雄型コーン133を有し、雌型コーン143はテンプ2の方向に開いており、第2のブッシュ14内に含まれている。この第2のブッシュ14は外側ねじ山142を有し、これは地板7の内側ねじ山72と協働する。第2のブッシュ14をねじ込むと、第2のクランプ13は捩りワイヤ5をクランプ留めしてワイヤの端部を不動化し、これと同時に第2のクランプ13の支承面131は相補的支承面71上に支承される。
【0079】
別の変形例では、ワイヤ5の一端において、ワイヤ5の周りで材料を溶融させて隆起部を形成し、この隆起部は、ワイヤの他端が引っ張られた場合に、この隆起部の通過を妨害する円錐形の窪み又は球形の受承部等によって停止させられる。
【0080】
更に別の変形例では、捩りワイヤ5の係留は圧着によって達成される。
【0081】
捩りワイヤの係留に関するこれらの変形例は、限定的なものではない。
【0082】
従って、所定の位置に固定された取り付け手段10を備える捩りワイヤ5は、リム29、ローラ及び振り石を備えるテンプ2の天真3に挿入される。ワイヤ5は支持体63と肩部33との間で引っ張られて停止させられる。捩りワイヤ5の地板7側の第2の端部は第2のクランプ13に挿入され、第2のブッシュ14を用いて所定の位置に予備的にクランプ留めされる。ワイヤ5の受け8側の第1の端部は第1のクランプ11に挿入され、第1のブッシュ12を用いて所定の位置に予備的にクランプ留めされる。第1のブッシュ12及び第2のブッシュ14に対して作用することにより、地板7側において、地板7及び地板7が支持する構成部品に対するテンプ2のクリアランスを調整でき、これによってワイヤ5の予備牽引を保証する。
【0083】
図2に示す具体的変形例では、調速部材1は、天真3の径方向移動を制限する耐衝撃手段34も含む。これら耐衝撃手段34は「インカブロック」タイプの安全システムを形成し、天真3の方向Dにおいて異なる高さに複数配設でき、宝石の形態で、又は天真3が備える対向する表面35の磁気及び/若しくは静電気的反発手段の形態で作製してもよい。このような対衝撃手段34は有利には、捩りワイヤ5の第1のクリアランス制限手段15及び第2のクリアランス制限手段16上に配置できる。
【0084】
捩りワイヤ5への張力の印加、並びに受け8及び受け8が含む構成部品に対するテンプ2のクリアランスの調整は有利には、追加のデバイスを用いて達成される。従って、時計ムーブメント100は、この調整又は同様の調整を実施するために、受け8と別の構成部品との間の距離を調整することによって捩りワイヤ5の張力を調整する張力調整手段20を有する。
【0085】
図示していない変形例では、張力の調整は少なくとも1つのばねを用いて実施される。
【0086】
図2に示すように、非限定的な例示的実施形態では、これら張力調整手段20はねじ山付きブッシュ23を含み、これは地板7の内側ねじ山74と相補的に協働する。地板7と一体であるナット25と協働する少なくとも1つのねじ22は、受け8を地板7に向かって押圧するよう配設され、受け8はブッシュ23上でその調整位置に支承される。この調整ねじ22は、これが備える外側ねじ山221を介して、地板7のハウジング77内に圧入された又はハウジング77と一体の部品であるナット25の内側ねじ山251と協働する。この調整ねじ22はねじ山付きブッシュ23と同心であり、ねじ山付きブッシュ23の外側ねじ山24は、地板7の内側ねじ山74と相補的に協働する。ブッシュ23は、円錐型ばね、皿ばね、シュウノールワッシャ等の弾性復元手段21の作用下で、地板7から離れるように移動する傾向にあり、弾性復元手段21は、地板7の支承面76と、受け8の支承面81に推力を印加するよう配設されたカラー233を有するブッシュ23の支承面232との両方に支承される。捩りワイヤ5の調整を実施する操作者が受け8を除去することによる、ブッシュ23の高さ調整後、操作者は受けを所定の位置に設定し、調整ねじ22を挿入する。調整ねじ22をナット25にねじ込むと、調整ねじ22の頭の下面225は受け8の上側支承面82に支承され、受け8の下側支承面82はブッシュ23の上側支承面231と当接して協働する。受け8の位置はワイヤ5の張力を決定する。地板7の上面78及び受け8の下面88によって調整の限界が提供される。
【0087】
好ましくは、捩りワイヤの張力は0.1N超である。実際にはこの張力を、垂直方向における5マイクロメートル未満の変位によって保証しなければならない。
【0088】
好ましくは、垂直位置における許容可能な最大屈曲が5マイクロメートル以下となるように調整を実施する。
【0089】
捩り弾性手段4は捩れた状態で動作するが、テンプが付与するトルクの影響下で、又はムーブメントが付与してテンプが伝達するトルクの影響下で屈曲もする。屈曲変形を最小化して、特に捩り弾性手段4が捩りワイヤ5で形成されている場合に、捩り弾性手段4がテンプ2への取り付け点に振動の腹を有さないことを保証することが好ましい。従って
図5、
図7、
図8、
図10、
図11に示す有利な実施形態では、捩りワイヤ5はいずれの有害な屈曲モードを回避するために、少なくとも1つの中間プレート53を有する。この中間プレート53の断面は、以下に説明するように捩れた状態で動作する捩りワイヤ5の有効なストランド51、52よりも大きい。この中間プレート53は、テンプ2への、又は複数存在する場合は各テンプ2への(好ましくは捩りワイヤ5の中央部分における)取り付け位置に配置される。よって値は、自然屈曲モード(振動子の固有周波数5〜10Hzに比べて、600Hzレベルの固有周波数)から離れる。この中間プレート53はまた、テンプ2の取り付けを補強する。
【0090】
図5は、捩りワイヤが2つのストランド51、52の間に上述のような中間プレート53を含む有利な実施形態における上述のような捩りワイヤ5を示す。これらストランド51、52はそれぞれ自由捩り部分を形成する。好ましくは捩りワイヤ5は、これらストランド51、52の中間プレート53とは反対側の端部に、捩りワイヤ5を係留してその張力を維持するための、特に穿孔又は孔55、57を備えたエンドプレート54、56を有する。後に捩りワイヤ5の有効部分がストランド51、ストランド52によって形成されることは明らかである。中間プレート53及びエンドプレート54、56は、保持用クランプに埋め込まれるよう、又はその他の手段(溶接、接着若しくはその他の手段)によって、問題の調速部材1の様々な構成要素への取り付けのための要素に取り付けられるように構成されている。ここでは全有効長LLは、ストランド51、52の有効長LU1、LU2の合計である。
【0091】
本発明を実装するにあたっての主要な困難は、マイクロメートルレベルの捩りワイヤ5の製造にある。これは上述の材料、特に極めて良好な機能的結果をもたらす金属ガラスを使用する場合、そしてワイヤを損傷させることなく調速部材1内に組み付ける場合に、極めて困難である。良好な解決策が
図6に示されているが、これは、完成品の捩りワイヤ5よりも高い剛性を有するよう形成されたブランク50を使用して、操作者による又は自動の操作者による操作及び振動子への挿入を可能とすることによるものである。このブランクは、脆性領域59によってその範囲を形成される場合が多い破壊可能な補剛材58を有する。これら破壊可能な補剛材58は、組み立て後に破壊され機構から除去される。
図6に示す具体的かつ非限定的な変形例では、これら補剛材58はその両側において、捩りワイヤ5のストランド51、52に対して平行である。
【0092】
図7は、
図5に示す捩りワイヤ5の中間プレート53上に設置された天真3を示す。天真3は有利には、複数の同心の部品からなっていてもよい。中央部品は、中間プレート53を受承するための少なくとも1つのハウジング36を備え、この中央部品は、中間プレート53も同様に下記のようなピンのためのハウジングを含む場合、ワイヤに対するテンプの軸方向位置決めのためのピンハウジングを備えていてもよい。この中央部品は、少なくとも1つの弾性スロットを用いてクランプとして形成でき、天真3の周縁部を形成するブッシュで取り囲んでいてもよく、このブッシュは上記クランプをクランプ留めによって不動化し、捩りワイヤ5の中間プレート53を不動化する。ハウジング36は平行な表面を有する溝の形態を採ってもよく、又は
図7、7Aに示すように正方形の雌型外形等を有して配置してもよい。ハウジング36は好ましくは、捩りワイヤ5を損傷させることなく保持できるようにする弾性をハウジング36に付与する図示されていない少なくとも1つのスロット等を有する。
【0093】
ある変形例では、中間プレート53は天真3の正方形又は長方形の断面を有するハウジング内に圧入され、接着等によって保持される。
【0094】
図8〜
図12は第2の実施形態を示し、この第2の実施形態は製造が簡単であり、モジュール式の予備組み立てが可能である。この第2の実施形態には、上述のような捩りワイヤの特徴が組み込まれている。この第2の実施形態による調速部材1は、張力調整手段20を形成する捩りワイヤ5の端部アンカー301、302のうちの少なくとも1つの張力を調整するための、少なくとも1つの調整レバー75、85を含む。
【0095】
図8は、
図5の捩りワイヤ5のエンドプレート54をクランプ留めするよう構成された第1の係留手段301と、張力調整手段とを示す。この第1の係留手段301は、ブッシュ110でクランプ留めされたクランプ11を有する。
図10はこのクランプ11を示し、軸に対して平行な第1のスロット115に挿入された
図5に示す捩りワイヤ5が備えるエンドプレート54と、軸Dに対して平行かつ第1のスロット115に対して垂直な第2のスロット113の開口部のV字型116上に当接して設置された上記エンドプレート54の穿孔55を通過するピン117とを点線で示す。クランプ11は、捩りワイヤ5を通過させるための軸方向通路114を有する。第1の係留手段301は、またクランプ11と同心のブッシュ110を有し、これは
図8、
図11において確認でき、クランプ11を把持している。このブッシュ110は、
図8、
図9、
図11に示す配向及び保持用ストリップ83の嘴状部830と協働するねじ801によって受け8に固定された角度割り出しノッチ112を備えている。
【0096】
同様に、第2の係留手段302は、ねじ701によって地板7に固定されたストリップ73の嘴状部730によって角度的に保持されたブッシュ130内に取り囲まれたクランプ13を有する。
【0097】
図8は、この第2の実施形態の捩りワイヤ5の張力のための、張力調整手段20を示す。これらの手段20は、受け側に少なくとも1つの調整レバー85を、及び/又は地板側に調整レバー75を含み、これらはいずれの場合においても、各クランプ11、13に当接することによって作用して各クランプ11、13の位置を変更する。
【0098】
図12はこのような調整レバー85を示し、これは、受け8を通過するねじ45が、調整レバー85の一端において軸D2に沿って、調整レバー85が備える内側ねじ山850内に付与する運動を低減することにより、クランプ11に対してマイクロメートルレベルの移動を印加できる。ねじ45の端部453は、地板7に固定された小型接続ロッド44に当接する。この調整レバー85は、軸D1に沿って受け8と噛合して穿孔852を通過するねじ851の取り付け固定点の直近に、少なくとも1つの断面が減少した領域854(例えば溝)を有し、これによって上記調整レバー85に十分な弾性を与える。ここで図示した構成による内側ねじ山850における調整ねじの作用下で、アーム853又は2本のアーム853はクランプ11に圧力を印加し、これによって捩りワイヤ5の張力を微調整できる。
【0099】
地板7側にも同様の機構が存在し、調整レバー75は、地板7を通過するねじ702と協働する軸D4に沿った内側ねじ山750を備えている。調整レバー75は、軸D3に沿って地板7と噛合して穿孔752を通過するねじ751の取り付け固定点の直近に、少なくとも1つの断面が減少した領域754を有する。
【0100】
受け側におけるレバー85の減速比はA2/A1に等しく、A2は軸D1と軸D2との間の距離であり、A1は軸D1と軸Dとの間の距離である。
【0101】
地板側におけるレバー75の減速比はA4/A3に等しく、A4は軸D3と軸D4との間の距離であり、A3は軸D3と軸Dとの間の距離である。
【0102】
ワイヤ5に印加される牽引力は片側につき約0.5Nである。好ましくは、地板側のレバー75は予備応力を印加でき、受け側のレバー85は微調整(及び周波数調整)を実施できる。
【0103】
ある具体的実施形態では、図示したように、減速比は受け側と地板側とで異なる。
【0104】
ある具体的実施形態では、捩りワイヤ5の2つの端部の近傍において、受け側のレバー85及び地板側のレバー75のために選択される材料は、異なる熱膨張係数を有する。
【0105】
更に
図8は、小型接続ロッド44を、地板7又は受け8と、これと反対側の調整レバー85又は75との間に挿入することで形成された別の熱補償手段を示す。この小型接続ロッド44の膨張は、問題となるレバー85又は75の位置を修正し、その結果として対応するクランプ11、13上の圧力及びワイヤ5の張力を補正する。図示した変形例では、この接続ロッド44は、地板7の座ぐり452内に埋め込まれている。この接続ロッド44は、レバー85の調整ねじ45の端部453を支承する。ねじ45の頭の下面451は受け8の座繰り8Aから遊びJだけ離間している。接続ロッド44の材料の選択により、熱の影響を補償でき、接続ロッド44の膨張により端部453の支承位置を修正して、これに従って調整レバー85の位置及びクランプ11上への当接位置を修正できる。
【0106】
本発明により、中央部分に少なくとも1つのテンプ2を支持し、かつ2つの端部に係留手段301、302を支持する捩りワイヤ5を備えた独立した内蔵モジュール300の製造が可能となる。第1の係留手段301は、捩りワイヤ5の第1の有効なストランド51の端部を埋め込むために使用され、第2の係留手段302は、捩りワイヤ5の第2の有効なストランド52の端部を埋め込むために使用され、第1の有効なストランド51及び第2の有効なストランド52は、少なくとも1つのテンプ2の両側にある。
【0107】
図8は、また上述のような内蔵モジュール300を導入するための着脱可能な工具401の一部を示す。ブッシュ110は、上記工具401のリップ87が協働する溝111を備えている。同様に、工具401のリップ77は、第2の係留手段302のクランプ13を把持するブッシュ130の溝131と協働できる。
図8、
図9に示す具体的構成では、地板7及び受け8は、それぞれ上述のような内蔵モジュールを横方向に挿入できるようにするための横方向開口を有して構成され、ブッシュ110、130は、この具体的変形例では半円筒上に支持される。嘴状部830、730は挿入及び位置決めを可能とするフォークとして作用し、これは調整レバー85、75を介して張力を調整するため、及びストリップ83、73を介して角度割り出しを実施するために十分なものとなる。
【0108】
図9は、初期組み立てのために理論上の角度位置に一時的に保持するための2つのねじで形成された別の着脱可能な工具402を示す。各ねじは、モジュールの挿入中に嘴状部830、730を問題のストリップ83、73から離れるように移動させることができ、各ねじの組み付けを解除することにより、対応する嘴状部を解放して角度割り出しを可能とする。
【0109】
図9はまた、ガイドマークまでの角度割り出しを伴う変形例をより具体的に図示する。アーム83は穿孔内ではなく孔831内においてねじ801によって保持され、ねじ801はストリップ83の角度運動を角度αに制限する。これにより、振り石、フォーク及び脱進機機構の動力伝達ラインのガイドマークの整列を微調整できる。
【0110】
図8に示す有利な実施形態では、調速部材1は、ここでは小型接続ロッド44である少なくとも1つの構成部品を備え、これは地板7のハウジング452に埋め込まれ、捩り復元手段4、特に捩りワイヤ5と同時に伸長される。
【0111】
本発明はまた、少なくとも1つの上述のような時計ムーブメント100を含む時計200にも関する。好ましくはこの時計200は腕時計である。より具体的には、この腕時計200は調速部材1を備え、この調速部材1は5Hz以上の周波数で振動し、またこの腕時計200は、本発明による捩りワイヤ5を用いて、調速部材1を最も良好に利用できる。
【0112】
要約すると、好適な捩りワイヤの使用は、以下の二重の機能を果たすという利点を提供する:
−テンプの復元トルクを生成でき、これによって従来のヒゲゼンマイを置換できること;
−ホゾに関する要件を排除しながら、テンプを懸架できること。
【0113】
捩り振り子は理論上は完璧な等時性を有し、本発明によって実装される解決策は、あらゆる位置における腕時計の動作の不変性を得るために十分な回答を提供する。