(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(A):2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンと、
成分(B):式(1)で表される化合物、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、
およびポリヘキサメチレングアニジン塩酸
塩からなる群から選ばれる少なくとも1つと
を含有する、殺菌剤組成物
であって、
式(1)で表される化合物が、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、または2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドである殺菌剤組成物。
【化1】
(式(1)中、X
1およびX
2はそれぞれ独立にブロモ基、ニトロ基またはシアノ基を示す。ただし、X
1およびX
2のいずれか少なくとも1つはブロモ基である。R
1はメチル基、ヒドロキシメチル基またはブロモ基を示す。R
2はメチル基、ヒドロキシメチル基またはアミノカルボニル基を示す。)
成分(B)が、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、またはポリヘキサメチレングアニジン塩酸塩である、請求項2に記載の殺菌剤組成物。
【背景技術】
【0002】
4−イソチアゾリン−3−オン骨格を有する殺微生物性化合物は、イソチアゾリン系殺菌剤と総称され、細菌、かび、酵母、藻等の有害微生物の防除に利用されている。イソチアゾリン系殺菌剤の代表例として、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下H−MITと略称することがある。)、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下Cl−MITと略称することがある。)、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(以下BITと略称することがある。)、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン(以下MTIと略称することがある。)等が挙げられる。
【0003】
ところで、活性成分の安定性を高めたり、防除できる菌の範囲を広げたりするために、複数種の活性成分を組み合わせることが試みられている。
例えば、特許文献1は2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオールとの組み合わせからなるものを提案している。特許文献2は5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオールとの組み合わせからなるものを提案している。特許文献3はヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン等の抗菌性N−ホルマールと2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等の殺菌剤との組み合わせからなるものを提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンを用いた、新たな殺菌剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために鋭意研究した結果、以下の態様を包含する本発明を完成するに至った。
〔1〕 成分(A):2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンと、
成分(B):式(1)で表される化合物、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、
およびポリヘキサメチレングアニジン塩酸
塩からなる群から選ばれる少なくとも1つと
を含有する、殺菌剤組成物
であって、
式(1)で表される化合物が、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、または2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドである殺菌剤組成物。
【0007】
【化1】
(式(1)中、X
1およびX
2はそれぞれ独立にブロモ基、ニトロ基またはシアノ基を示す。ただし、X
1およびX
2のいずれか少なくとも1つはブロモ基である。R
1はメチル基、ヒドロキシメチル基またはブロモ基を示す。R
2はメチル基、ヒドロキシメチル基またはアミノカルボニル基を示す。)
【0008】
〔2〕 成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して1〜10000質量部である、〔1〕に記載の殺菌剤組成物。
〔
3〕 成分(B)が、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、
またはポリヘキサメチレングアニジン塩酸
塩である、〔
2〕に記載の殺菌剤組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の殺菌剤を用いることで、単一成分を使い続けることによる耐性菌の出現の可能性を低下させることができ、さらに優れた殺菌効果を有する、新たな殺菌剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい例を説明するが、本発明はこれら例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
本発明の殺菌剤組成物は、成分(A):2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンと、 成分(B):式(1)で表される化合物、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ジンクピリチオン、ポリヘキサメチレングアニジン塩酸塩、およびポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1つとを含有する。
【0011】
【化2】
(式(1)中、X
1およびX
2はそれぞれ独立にブロモ基、ニトロ基またはシアノ基を示す。ただし、X
1およびX
2のいずれか少なくとも1つはブロモ基である。R
1はメチル基、ヒドロキシメチル基またはブロモ基を示す。R
2はメチル基、ヒドロキシメチル基またはアミノカルボニル基を示す。)
【0012】
成分(A)である2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンは、式(2)で表わされる化合物である。
【0014】
成分(B)のひとつであるヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジンは式(3)で表わされる化合物である。
【0016】
成分(B)のひとつであるジデシルジメチルアンモニウムクロライドは式(4)で表わされる化合物である。
【0018】
成分(B)のひとつである塩化ベンザルコニウムは式(5)で表わされる化合物である。
【0020】
成分(B)のひとつであるジンクピリチオンは式(6)で表わされる化合物である。
【0022】
成分(B)のひとつであるポリヘキサメチレングアニジン塩酸塩は式(7)で表わされる化合物である。
【0024】
成分(B)のひとつであるポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩は式(8)で表わされる化合物である。
【0026】
成分(B)のひとつである式(1)で表される化合物としては、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、または2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドが好ましい。
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールは、式(1a)で表わされる化合物であり、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールは、式(1b)で表わされる化合物であり、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドは、式(1c)で表わされる化合物である。
これら成分(B)は、1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
本発明の殺菌剤組成物における、成分(B)の量は、成分(A)に対して、特に限定されるものではなく、対象となる菌によっても異なる場合もあるが、成分(A)100質量部に対して、好ましくは1〜10000質量部であり、より好ましくは2〜900質量部である。
【0031】
成分(B)が式(1)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであるとき、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは10〜150質量部である。
成分(B)がヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジンであるとき、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは150〜900質量部である。
成分(B)が、ジデシルジメチルアンモニウムクロライドおよび塩化ベンザルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1つであるとき、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは20〜500質量部である。
成分(B)が、ポリヘキサメチレングアニジン塩酸塩およびポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1つであるとき、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは2〜300質量部である。
成分(B)がジンクピリチオンであるとき、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは5〜150質量部である。
【0032】
成分(B)が、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールであるとき、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは20〜30質量部である。
成分(B)が、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールであるとき、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは20〜80質量部である。
成分(B)が、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドであるとき、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは10〜150質量部である。
成分(B)が、ジデシルジメチルアンモニウムクロライドであるとき、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは30〜80質量部である。
成分(B)が、塩化ベンザルコニウムであるとき、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは20〜500質量部である。
成分(B)が、ポリヘキサメチレングアニジン塩酸塩であるとき、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは2〜300質量部である。
成分(B)が、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩であるとき、成分(B)の量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは3〜150質量部である。
【0033】
本発明の殺菌剤組成物の剤形は特に限定されないが、室温において液状であることが好ましい。液状殺菌剤組成物として具体的には、水溶剤、懸濁剤、乳剤、エマルション、サスポエマルション等が挙げられる。これらの剤形は、含有される殺菌成分の物性や殺菌剤組成物の用途に応じて選択することができる。
【0034】
本発明の殺菌剤組成物には、必要に応じて、溶媒、界面活性剤等の成分が含まれていてもよい。
【0035】
本発明の殺菌剤組成物に含有することのできる溶媒としては、水または有機溶剤がある。有機溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルナフタレンなどの非極性溶剤;エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどのグリコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリドンなどの極性溶剤などが挙げられる。
【0036】
本発明の殺菌剤組成物に含有することのできる界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ポリヘキサメチレンビグアナイドなどのカチオン性界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、リグニンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、α−オレフィン脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸塩などのアニオン性界面活性剤; ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤; アルキルメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0037】
本発明の殺菌剤組成物には、成分(A)および成分(B)以外に、他の殺生物活性成分が含有されていてもよい。前記殺生物活性成分としては、殺微生物性、防腐性、防カビ性、防藻性、防蟻性、殺虫性などの活性を有するものが挙げられる。このような殺生物活性成分を含有することにより、本発明の殺菌剤組成物は、防除対象の範囲が広がるとともに、長期間の保存が可能になり、あるいは更なる相乗効果が得られる可能性がある。
【0038】
殺生物活性成分としては、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、5−クロロ−2,4,6−トリフロオロイソフタロニトリル、5−クロロ−2,4−ジフロオロ−6−メトキシイソフタロニトリル等のイソフタロニトリル系化合物;2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン等のピリジン系化合物;ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオン、銅ピリチオン等のピリチオン系化合物;ベンズイミダゾール−2−イルカルバミン酸メチル、1−ブチルカルバモイルベンズイミダゾール−2−イルカルバミン酸メチル、2−(チアゾール−4−イル)ベンズイミダゾール等のベンズイミダゾール系化合物;ジンクジメチルジチオカーバメート等のカルバメート系化合物;イマザリル、テブコナゾール、ヘキサコナゾール、エポキシコナゾール等のアゾール系化合物;3−ヨード−2−プロピニル−N−ブチルカルバメート、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、4−クロルフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール等のヨード系化合物;2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、メチレンビスチオシアネート等のチオシアネート系化合物;ドデシルグアニジン塩酸塩、ドデシルグアニジン酢酸塩、イミノクタジン酢酸塩等のグアニジン系化合物;塩化セチルピリジウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩化合物;3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア等のフェニルウレア系化合物;2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−S−トリアジン等のトリアジン系化合物;シフルトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、フェンプロパトリン、ビフェントリンなどのピレスロイド系化合物;イミダクロプリド、アセタミプリドなどのネオニコチノイド系化合物;フェニトロチオン、ホキシム、ピリダフェンチオンなどの有機リン系化合物;などが挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0040】
薬液の殺菌効果を以下の試験で評価した。
(抗微生物活性試験)
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275株)を、ニュートリエントブロス(栄研化学社製普通ブイヨン「栄研」)液体培地9mLに植え付けた。これを31℃の暗所で18時間振盪培養した。得られた培養液を新鮮なニュートリエントブロス液体培地で100倍に希釈して、菌液を得た。
試験対象の薬液を96穴マイクロプレートに各40μL滴下した。前記菌液を前記薬液に各60μL滴加した。マイクロプレートを31℃の暗所に24時間静置し、培養させた。
肉眼で菌の増殖の有無を調査した。増殖が認められない区を、増殖抑制が認められた区と判定した。
【0041】
実施例
2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン(MTI、日本曹達社製)をジメチルスルホキシドに溶解させてMTI溶液を得た。
ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン(HHT、日本曹達社製トリアジン系防腐剤「ベストサイド−1087T」)をジメチルスルホキシドに溶解させてHHT溶液を得た。
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(BNPD、和光純薬工業社製)をジメチルスルホキシドに溶解させてBNPD溶液を得た。
2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール(DBNE、Shanghai SMEC Trading Co., Ltd.製「DBNE-75P」)をジメチルスルホキシドに溶解させてDBNE溶液を得た。
2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA、和光純薬工業社製)をジメチルスルホキシドに溶解させてDBNPA溶液を得た。
ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(DDAC、日本曹達社製)をジメチルスルホキシドに溶解させてDDAC溶液を得た。
塩化ベンザルコニウム(BEC、和光純薬工業社製)をジメチルスルホキシドに溶解させてBEC溶液を得た。
ジンクピリチオン(ZPT、和光純薬工業社製)をジメチルスルホキシドに溶解させてZPT溶液を得た。
ポリヘキサメチレングアニジン塩酸塩(PHMG、日本曹達社製)を精製水に溶解させてPHMG溶液を得た。
ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(PHMB、日本曹達社製)を精製水に溶解させてPHMB溶液を得た。
【0042】
これらの溶液を、表1〜9に示す各化合物の濃度になるように混ぜ合わせ、精製水で希釈して薬液を調製した。各薬液について抗微生物活性試験を行った。その結果を表1〜9に示す。表中の「+」は菌の増殖有り、「−」は菌の増殖無し、「±」は菌の増殖がわずかに認められる場合を、それぞれ示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】
表1〜9から、各薬液の最小発育阻止濃度(MIC)を求めた。MTI単独でのMICは50ppm、HHT単独でのMICは200ppm、BNPD単独でのMICは6.25ppm、DBNE単独でのMICは6.25ppm、DBNPA単独でのMICは12.5ppm、DDAC単独でのMICは12.5ppm、BEC単独でのMICは50ppm、ZPT単独でのMICは25ppm、PHMG単独でのMICは12.5ppm、PHMB単独でのMICは12.5ppmであった。
【0053】
次式によってFIC指数(Fractional Inhibitory Concentration index)を算出した。
FIC指数= a / a0 + b / b0
a0:A成分単独でのMIC
b0:B成分単独でのMIC
a:A成分とB成分を併用したときのA成分のMIC
b:A成分とB成分を併用したときのB成分のMIC
FIC指数は、A成分とB成分の併用による効果を表わす。FIC指数が1である場合はA成分とB成分の併用によって相加的作用があることを示す。FIC指数が1より大きい場合はA成分とB成分の併用によって拮抗的作用があることを示す。FIC指数が1より小さい場合はA成分とB成分の併用によって相乗的作用があることを示す。
MTIと他の薬剤とを併用したときのMICを表10〜18に各々示す。
【0054】
【表10】
【0055】
【表11】
【0056】
【表12】
【0057】
【表13】
【0058】
【表14】
【0059】
【表15】
【0060】
【表16】
【0061】
【表17】
【0062】
【表18】
【0063】
以上からわかるとおり、本発明の殺菌剤組成物は、MTIと、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ジンクピリチオン、ポリヘキサメチレングアニジン塩酸塩、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩、または式(1)で表される化合物との併用によって相乗的作用を以て殺菌性が改良されている。本発明の殺菌剤組成物は十分な殺菌効果を奏する。