(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
濃縮器が水素化反応器と更に流体連通しており、それを通って上部濃縮器流出物中のシクロヘキシルベンゼンの少なくとも一部が水素化反応器に循環される、請求項1又は2記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を理解する目的のために本明細書で採用される好ましい実施態様及び定義を含む、本発明の種々の特別な実施態様、別型及び実施例が今記載される。下記の詳細な記載は特別な好ましい実施態様を示すが、当業者はこれらの実施態様が例示にすぎないこと、及び本発明がその他の方法で実施し得ることを理解するであろう。侵害を決める目的のために、本発明の範囲はそれらの均等物、並びに列挙される要素又は制限に均等である要素又は制限を含む、特許請求の範囲のいずれかの一つ以上に及ぶであろう。“発明”についてのあらゆる言及は特許請求の範囲により特定された発明の、必ずしも全てではないが、一つ以上に言及し得る。
本開示において、方法が少なくとも一つの“工程”を含むと記載されている。夫々の工程は連続様式又は不連続様式で、その方法で1回又は多くの回で行ない得る活動又は操作であることが理解されるべきである。逆に明記されない限り、又は状況が明らかにそれ以外を示さない限り、方法における夫々の工程は場合に応じて、一つ以上のその他の工程と重なって、又は重ならずに、それらがリストされる順序で、又はあらゆるその他の順序で連続して行なわれてもよい。加えて、一つ以上又は更には全ての工程は物質の同じ又は異なるバッチに関して同時に行なわれてもよい。例えば、連続方法では、方法の第一の工程がその方法の開始に丁度供給される原料に関して行なわれている間に、第二の工程が第一の工程で早期にその方法に供給された原料を処理することから得られる中間体物質に関して同時に行なわれてもよい。工程が記載された順序で行なわれることが好ましい。
【0009】
特に示されない限り、本開示における量を示す数は全ての場合に“約”という用語により修飾されると理解されるべきである。また、明細書及び特許請求の範囲で使用される正確な数値は特別な実施態様を構成することが理解されるべきである。努力が実施例におけるデータの正確さを確実にするようになされた。しかしながら、あらゆる測定されたデータは測定を行なうのに使用される技術及び装置の制限のために或るレベルの誤差を本来含むことが理解されるべきである。
本明細書に使用される不定冠詞“a”又は“an”はその逆に明記されない限り、又は状況が明らかにそれ以外を示さない限り、“少なくとも一つ”を意味すべきである。こうして、“分別カラム”を使用する実施態様はその逆に明記されない限り、又は状況が唯一のカラムが使用されることを明らかに示さない限り、一つ、二つ又はそれ以上の分別カラムが使用される実施態様を含む。同様に、“C12+成分”は唯一の特別なC12+成分を意味すると明記されない限り、又は状況により示されない限り、1種、2種又はそれ以上のC12+成分を含むと解されるべきである。
【0010】
本明細書に使用される“質量%”は質量基準の%を意味し、“容量%”は容積基準の%を意味し、“モル%”はモル基準の%を意味し、“ppm” は百万分の一部を意味し、“ppm wt”及び“wppm”は質量基準の百万分の一部を意味するために互換可能に使用される。本明細書に使用される全ての“ppm” は特に明記されない限り質量基準のppm である。本明細書中の全ての濃度は当該組成物の合計量を基準として表される。こうして、第一の供給原料の種々の成分の濃度は第一の供給原料の合計質量を基準として表される。本明細書で表される全ての範囲はその逆に明記又は示されない限り二つの特別な実施態様としての両方の終点を含むべきである。
本開示において、カラムの端部(上端又は下端)の “付近の”位置はカラムの端部(上端又は下端)からのa*Hcの距離内の位置を意味し、この場合、Hcは下端から上端までのカラムの高さであり、かつa1 ≦ a ≦ a2 であり、この場合、a1及びa2 はa1 < a2である限り、独立に0、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20であってもよい。例えば、カラムの端部の付近の位置はせいぜいDメートルの端部(上端又は下端)からの絶対距離を有することができ、この場合、Dは5.0 、4.5 、4.0 、3.5 、3.0 、2.5 、2.0 、1.5 、1.0 、0.8 、0.5 、0.4 、0.3 、0.2 、0.1 、又は0であってもよい。
本明細書に使用される“上部流出物”はそれの上の付加的な流出物とともに、又はそれなしに、容器、例えば、分別カラム又は反応器のまさしく上部又は側部にあってもよい。上部流出物はカラムの上部の付近の位置で抜き取られることが好ましい。上部流出物は少なくとも一種の供給原料より上の位置で抜き取られることが好ましい。本明細書に使用される“下部流出物”は上部流出物より低い位置にあり、これは容器のまさしく下部又は側部にあってもよく、側部にある場合、それの下に付加的な流出物を有してもよく、又は有さなくてもよい。下部流出物はカラムの底部の付近の位置で抜き取られることが好ましい。下部流出物は少なくとも一種の供給原料より下の位置で抜き取られることが好ましい。本明細書に使用される“中間流出物”は上部流出物と下部流出物の間の流出物である。
本明細書に使用される元素及びその基の命名法は1988年後の純粋化学及び応用化学の国際連盟により使用される周期律表に従う。周期律表の例がAdvanced Inorganic Chemistry, 第6編のフロントカバーの内部頁にF.Albert Cotton らにより示されている(John Wiley & Sons, Inc., 1999) 。
【0011】
本明細書に使用される“メチルシクロペンタノン”という用語は、これらの2種の異性体の1種のみを意味することが明らかに明記されない限り、又は状況がその場合であることを明らかに示さない限り、それらの間のあらゆる比率で、異性体2-メチルシクロペンタノン (CAS 登録 No.1120-72-5)及び3-メチルシクロペンタノン (CAS 登録 No.1757-42-2)の両方を含む。本方法の種々の工程の条件下で、2種の異性体が異性化反応を受けて容器、例えば、分別カラムに仕込まれる直前の原料中の比とは異なるそれらの間の比をもたらすことが注目されるべきである。
本明細書に使用される“ジシクロヘキシルベンゼン” (“DiCHB”)という一般用語は、その1種又は2種のみを意味すると明記されない限り、凝集物中に、1,2-ジシクロヘキシルベンゼン、1,3-ジシクロヘキシルベンゼン、及び1,4-ジシクロヘキシルベンゼンを含む。シクロヘキシルベンゼンという用語は、単一形態で使用される場合には、一置換シクロヘキシルベンゼンを意味する。本明細書に使用される“C12” という用語は12個の炭素原子を有する化合物を意味し、また“C12+成分”は少なくとも12個の炭素原子を有する化合物を意味する。C12+ 成分の例として、中でも、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ビシクロヘキサン、メチルシクロペンチルベンゼン、1,2-ビフェニルベンゼン、1,3-ビフェニルベンゼン、1,4-ビフェニルベンゼン、1,2,3-トリフェニルベンゼン、1,2,4-トリフェニルベンゼン、1,3,5-トリフェニルベンゼン、及びこれらの化合物から誘導された相当する酸素化物、例えば、アルコール、ケトン、酸、及びエステルが挙げられる。本明細書に使用される“C18” という用語は18個の炭素原子を有する化合物を意味し、また“C18+成分”という用語は少なくとも18個の炭素原子を有する化合物を意味する。C18+成分の例として、中でも、ジシクロヘキシルベンゼン (上記された“DiCHB”) 、トリシクロヘキシルベンゼン (1,2,3-トリシクロヘキシルベンゼン、1,2,4-トリシクロヘキシルベンゼン、1,3,5-トリシクロヘキシルベンゼン、及びあらゆる比率のこれらの2種以上の混合物を含む、全てのこれらの異性体を含む、“TriCHB”) が挙げられる。本明細書に使用される“C24” という用語は24個の炭素原子を有する化合物を意味する。
【0012】
シクロヘキシルベンゼンの供給
酸化工程に供給されるシクロヘキシルベンゼンはフェノール及びシクロヘキサノンをベンゼンから製造するための統合方法の一部として生成でき、かつ/又は循環し得る。このような統合方法において、ベンゼンはビフェニルをつくるためのベンゼンの酸化カップリング続いてビフェニルの水素化を含む、あらゆる通常の技術によりシクロヘキシルベンゼンに最初に変換される。しかしながら、実際には、シクロヘキシルベンゼンがベンゼンをヒドロアルキル化条件下でヒドロアルキル化触媒の存在下で水素と接触させることにより生成されることが望ましく、それによりベンゼンが下記の反応-1を受けてシクロヘキシルベンゼン (CHB)を生成する。
【0014】
また、シクロヘキシルベンゼンは下記の反応-2に従って固体酸触媒、例えば、MCM-22ファミリーのモレキュラーシーブの存在下のシクロヘキセンによるベンゼンの直接アルキル化により生成し得る。
【化2】
【0015】
米国特許第6,730,625 号及び同第7,579,511 号、WO2009/131769 、及びWO2009/128984 はベンゼンをヒドロアルキル化触媒の存在下で水素と反応させることによるシクロヘキシルベンゼンの製造方法を開示しており、これらの全ての内容が参考として本明細書にそのまま含まれる。
そのヒドロアルキル化反応に使用される触媒はモレキュラーシーブ、例えば、上記されたMCM-22型の一種及び水素化金属を含む二官能性触媒である。
あらゆる既知の水素化金属がヒドロアルキル化触媒中に使用されてもよく、これらの特別な、非限定の、好適な例として、Pd、Pt、Rh、Ru、Ir、Ni、Zn、Sn、Coが挙げられ、Pdが特に有利である。望ましくは、触媒中に存在する水素化金属の量が触媒の合計質量の0.05質量%から10.0質量%まで、例えば、0.10質量%から5.0 質量%までである。
モレキュラーシーブ及び水素化金属に加えて、水素化触媒は一種以上の任意の無機酸化物担体物質及び/又はバインダーを含んでもよい。好適な無機酸化物担体物質として、クレー、非金属酸化物、及び/又は金属酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。このような担体物質の特別な、非限定例として、SiO
2、Al
2O
3 、ZrO
2、Y
2O
3、Gd
2O
3 、SnO 、SnO
2、並びにこれらの混合物、組み合わせ及び錯体が挙げられる。
【0016】
ヒドロアルキル化反応からの流出物(ヒドロアルキル化反応生成物混合物)又はアルキル化反応からの流出物(アルキル化反応生成物混合物)は若干のポリアルキル化ベンゼン、例えば、ジシクロヘキシルベンゼン (DiCHB)、トリシクロヘキシルベンゼン (TriCHB) 、メチルシクロペンチルベンゼン、未反応ベンゼン、シクロヘキサン、ビシクロヘキサン、ビフェニル、及びその他の汚染物質を含むかもしれない。こうして、典型的には、その反応後に、ヒドロアルキル化反応生成物混合物が蒸留により分離されてベンゼン、シクロヘキサンを含むC6留分、シクロヘキシルベンゼン及びメチルシクロペンチルベンゼンを含むC12 留分、並びに、例えば、C18 、例えば、DiCHB 及びC24 、例えば、TriCHBを含む重質留分を得る。未反応ベンゼンは蒸留により回収されてもよく、ヒドロアルキル化又はアルキル化反応器に循環されてもよい。シクロヘキサンは残留ベンゼンの一部とともに、又はそれと一緒ではなく、また同時供給水素とともに、又はそれと一緒ではなく脱水素化反応器に送られてもよく、そこでそれがベンゼン及び水素に変換され、これがヒドロアルキル化/アルキル化工程に循環し得る。
重質留分の量に応じて、(a) C18 、例えば、DiCHB 及びC24 、例えば、TriCHBを付加的なベンゼンでトランスアルキル化し、又は(b) C18 及びC24 を脱アルキル化して所望のモノアルキル化種の生成を最大にすることが望ましいかもしれない。
付加的なベンゼンによるトランスアルキル化はトランスアルキル化反応器(これはヒドロアルキル化反応器とは別である)中で、好適なトランスアルキル化触媒、例えば、MCM-22型のモレキュラーシーブ、ゼオライトベータ、MCM-68 (米国特許6,049,018 号を参照のこと) 、ゼオライトY、ゼオライト USY、及びモルデナイトで行なわれることが望ましい。トランスアルキル化反応は少なくとも部分的に液相条件下で行なわれることが望ましく、これらの条件は好適には100 ℃から300 ℃までの範囲の温度、800 kPa から3500 kPaまでの範囲の圧力、全供給原料につき1 hr
-1 から10 hr
-1 までの毎時の質量空間速度、及び1:1 から5:1 までの範囲のベンゼン/ジシクロヘキシルベンゼン質量比を含む。
【0017】
脱アルキル化はまたヒドロアルキル化反応器とは別の反応器、例えば、反応性蒸留ユニット中で、約150 ℃〜約500 ℃の温度及び15〜500 psig (200 〜3550 kPa) の範囲の圧力で酸触媒、例えば、アルミノシリケート、アルミノホスフェート、シリコアルミノホスフェート、無定形シリカ−アルミナ、酸性クレー、混合金属酸化物、例えば、WO
x/ZrO
2、リン酸、硫酸処理ジルコニア及びこれらの混合物で行なわれることが望ましい。酸触媒はFAU 、AEL 、AFI 及びMWW ファミリーの少なくとも一種のアルミノシリケート、アルミノホスフェート又はシリコアルミノホスフェートを含むことが望ましい。トランスアルキル化と違って、脱アルキル化は添加ベンゼンの不在下で行ない得るが、ベンゼンを脱アルキル化反応に加えてコークス生成を減少することが望ましいかもしれない。この場合には、脱アルキル化反応への供給原料中のベンゼン対ポリアルキル化芳香族化合物の質量比が0から約0.9 まで、例えば、約0.01から約0.5 までであってもよい。同様に、脱アルキル化反応は添加水素の不在下で行ない得るが、水素が脱アルキル化反応器に導入されてコークス減少を助けることが望ましい。好適な水素添加速度は脱アルキル化反応器への全供給原料中の水素対ポリアルキル化芳香族化合物のモル比が約0.01から約10までであってもよいようなものである。
次いでベンゼン、C12 及び重質物質を含むトランスアルキル化又は脱アルキル化生成物混合物が分離されてC6留分(これは主にベンゼンを含み、ヒドロアルキル化/アルキル化工程に循環し得る)、主にシクロヘキシルベンゼンを含むC12 留分、及び重質留分(これはトランスアルキル化/脱アルキル化反応に再度かけられ、又は廃棄し得る)を得ることができる。
新たに生成され、かつ/又は循環されたシクロヘキシルベンゼンは酸化工程に供給される前に精製されて、中でも、メチルシクロペンチルベンゼン、オレフィン、フェノール、酸等の少なくとも一部を除去してもよい。このような精製として、例えば、蒸留、水素化、苛性アルカリ洗浄等が挙げられるかもしれない。
酸化工程へのシクロヘキシルベンゼン供給原料は、供給原料の合計質量を基準として、下記の物質の1種以上を含んでもよい:(i) 1 ppm から1質量%まで、例えば、10 ppmから8000 ppmまでの範囲の濃度のビシクロヘキサン; (ii) 1 ppm から1質量%まで、例えば、10 ppmから8000 ppmまでの範囲の濃度のビフェニル;(iii)5000 ppmまで、例えば、100 ppm から1000 ppmまでの濃度の水; 及び(iv) 1000 ppm 以下の濃度のオレフィン又はアルケンベンゼン、例えば、フェニルシクロヘキセン。
シクロヘキシルベンゼンの酸化
酸化工程では、酸化供給原料中に含まれるシクロヘキシルベンゼンの少なくとも一部が下記の反応-3に従って、所望のヒドロペルオキシドであるシクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドに変換される。
【0019】
例示の方法において、酸化工程は酸素含有ガス、例えば、空気及び空気の種々の誘導体をシクロヘキシルベンゼンを含む供給原料と接触させることにより達成されてもよい。例えば、純粋なO
2、N
2の如き不活性ガスにより希釈されたO
2、純粋な空気、又はその他のO
2-含有混合物の流れが酸化反応器中でシクロヘキシルベンゼン含有供給原料中にポンプ輸送し得る。
酸化は触媒の不在下又は存在下で行なわれてもよい。好適な酸化触媒の例として、下記の式(FC-I)、(FC-II) 、又は(FC-III)の構造を有するものが挙げられる。
【化4】
【0020】
式中、
Aは必要により環構造中に窒素、硫黄、又は酸素を含んでもよく、また必要によりアルキル、アルケニル、ハロゲン、又はN、SもしくはO含有基或いはその他の基により置換されていてもよい環を表し、
Xは水素、酸素を含まない基、ヒドロキシル基、又はハロゲンを表し、
夫々の出現で同じ又は異なるR
1は、独立にN、SもしくはO含有基、又は1個から20個までの炭素原子を有する線状もしくは分枝非環式アルキル基もしくは環式アルキル基(必要によりアルキル、アルケニル、ハロゲン、又はN、SもしくはO含有基或いはその他の基により置換されていてもよい)を表し、かつ
mは0、1又は2である。
酸化工程に特に適した触媒の例として、下記の式 (FC-IV)により現されるものが挙げられる。
【0022】
式中、
夫々の出現で同じ又は異なるR
2は、独立にハロゲン、N、SもしくはO含有基、又は1個から20個までの炭素原子を有する必要により置換されていてもよい線状もしくは分枝非環式アルキル基もしくは環式アルキル基を表し、かつ
nは0、1、2、3、又は4である。
酸化工程に特に適した上記式 (FC-IV)を有する1種の触媒はNHPI (N-ヒドロキシフタルイミド) である。例えば、酸化工程への供給原料は供給原料中に10〜2500 ppm(質量基準)のNHPIを含み得る。
酸化触媒のその他の非限定例として、4-アミノ-N-ヒドロキシフタルイミド、3-アミノ-N-ヒドロキシフタルイミド、テトラブロモ-N-ヒドロキシフタルイミド、テトラクロロ-N-ヒドロキシフタルイミド、N-ヒドロキシhet イミド、N-ヒドロキシhim イミド、N-ヒドロキシトリメリットイミド、N-ヒドロキシベンゼン-1,2,4-トリカルボキシイミド、N,N'-ジヒドロキシ(ピロメリットジイミド) 、N,N'-ジヒドロキシ(ベンゾフェノン-3,3',4,4'-テトラカルボン酸ジイミド) 、N-ヒドロキシマレイミド、ピリジン-2,3-ジカルボキシイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシ(酒石酸イミド) 、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン -2,3-ジカルボキシイミド、エキソ-N-ヒドロキシ-7-オキサビシクロ [2.2.1]ヘプト-5-エン -2,3-ジカルボキシイミド、N-ヒドロキシ-シス -シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシイミド、N-ヒドロキシ-cis-4-シクロヘキセン-1,2 ジカルボキシイミド、N-ヒドロキシナフタルイミドナトリウム塩、N-ヒドロキシ-o-ベンゼンジスルホンイミド、及びN,N',N''-トリヒドロキシイソシアヌル酸が挙げられる。
【0023】
これらの酸化触媒は単独で、又は遊離基開始剤と連係して使用でき、更に液相の、均一触媒として使用でき、又は固体担体で担持されて不均一触媒を得ることができる。N-ヒドロキシ置換環状イミド又はN,N',N''-トリヒドロキシイソシアヌル酸がシクロヘキシルベンゼン供給原料の0.0001質量%から15質量%まで、例えば、0.001 質量%から5質量%までの量で使用されることが望ましい。
酸化工程の好適な反応条件の非限定例は70℃から200 ℃まで、例えば、90℃から130 ℃までの範囲の温度、及び50 kPaから10,000 kPaまでの範囲の圧力を含む。塩基性緩衝剤が添加されて酸化中に生成し得る酸性副生物と反応してもよい。加えて、水相が酸化反応器に導入されてもよい。その反応はバッチ式又は連続流式に起こってもよい。
酸化工程に使用される反応器は酸化剤、例えば、分子状酸素によるシクロヘキシルベンゼンの酸化を可能にするあらゆる型の反応器であってもよい。好適な酸化反応器の特に有利な例は或る容積の反応媒体を含むことができ、かつO
2含有ガス流(例えば、空気)を媒体に吹き込むことができるバブルカラム反応器である。例えば、酸化反応器が酸素含有ガス流のためのディストリビューター入口を備えた単純な、大きく開いた容器を含んでもよい。酸化反応器が反応媒体の一部を抜き取り、それを好適な冷却装置にポンプ輸送し、冷却された部分を反応器に戻すための手段を有してもよく、それにより反応中に発生された熱を管理する。また、例えば、水を冷却することにより、間接冷却を与える冷却コイルが、酸化反応器内で運転されて発生された熱の少なくとも一部を除去してもよい。また、酸化反応器が直列及び/又は並列の複数の反応器を含んでもよく、夫々が異なる組成物との反応媒体中の酸化反応を増進するように選ばれた同じ又は異なる条件で運転する。酸化反応器は当業者に公知のバッチ式、半バッチ式、又は連続流式で運転されてもよい。
【0024】
酸化反応生成物混合物の組成
酸化反応器を出る酸化反応生成物混合物は酸化反応生成物混合物の合計質量を基準として、Chp1質量%からChp2質量%までの濃度のシクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドを含むことが望ましく、この場合Chp1及びChp2はChp1 < Chp2 である限り、独立に、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80であってもよい。酸化反応生成物混合物中のシクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドの濃度が酸化反応生成物混合物の少なくとも20質量%であることが好ましい。酸化反応生成物混合物は更に酸化反応生成物混合物の合計質量を基準として、Cchb1 質量%からCchb2 質量%までの範囲の濃度の残留シクロヘキシルベンゼンを含んでもよく、この場合、Cchb1 及びCchb2 は、Cchb1 < Cchb2 である限り、独立に、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95であってもよい。酸化反応生成物混合物中のシクロヘキシルベンゼンの濃度が酸化反応生成物混合物のせいぜい65質量%であることが好ましい。
加えて、酸化反応生成物混合物はシクロヘキシルベンゼンの酸化反応の一種以上の副生物として、又は酸化工程に供給された供給原料中に含まれていたかもしれないシクロヘキシルベンゼン以外の一種以上の酸化性成分の酸化反応生成物として生成されたシクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシド以外の一種以上のヒドロペルオキシド、例えば、シクロヘキシル-2-フェニル-1-ヒドロペルオキシド、シクロヘキシル-3-フェニル-1-ヒドロペルオキシド、及びメチルシクロペンチルベンゼンヒドロペルオキシドを含むかもしれない。これらの望ましくないヒドロペルオキシドはCu1 質量%からCu2 質量%までの全濃度で存在し、この場合、Cu1 及びCu2 はCu1 < Cu2 である限り、独立に、0.1 、0.2 、0.3 、0.5 、0.7 、0.9 、1.0 、1.2 、1.4 、1.5 、1.6 、1.8 、2.0 、2.5 、3.0 、3.5 、4.0 、4.5 、5.0 、6.0 、7.0 、8.0 であってもよい。それらは所望の転化率、及び/又は選択率で開裂反応でフェノール及びシクロヘキサノンに転化しないかもしれず、全収率の損失をもたらすので、それらは望ましくない。
【0025】
先に注目されたように、酸化反応生成物混合物はまたフェノールを酸化反応の更なる副生物として含むかもしれない。一つ以上の酸化反応器を出る酸化反応生成物混合物中のフェノールの濃度 (CPh)はCPh1 ppmからCPh2 ppmまでの範囲であってもよく、この場合、CPh1及びCPh2はCPh1 < CPh2 である限り、独立に、50、60、70、80、90、100 、150 、200 、250 、300 、350 、400 、450 、500 、550 、600 、650 、700 、750 、800 、850 、900 、950 、1000、1500、2000であってもよい。
酸化反応生成物混合物は水を含むかもしれない。酸化反応器を出る酸化反応生成物混合物中の水の濃度は、酸化反応生成物混合物の合計質量を基準として、C1a ppm からC1b ppm までの範囲であってもよく、この場合、C1a 及びC1b はC1a < C1b である限り、独立に、30、40、50、60、70、80、90、100 、150 、200 、250 、300 、350 、400 、450 、500 、550 、600 、650 、700 、750 、800 、850 、900 、950 、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、又は5000であってもよい。
酸化反応生成物混合物はまた酸化工程に供給されたいずれかの触媒、例えば、NHPIの一部又は全部を含むかもしれない。例えば、酸化反応生成物混合物は10〜2500 ppmのNHPI、例えば、100 〜1500 ppm(質量基準)のNHPIを含むかもしれない。
【0026】
酸化反応生成物混合物の処理
本開示の方法では、開裂工程に供給される前に、酸化反応生成物混合物の少なくとも一部が分離されてもよい。その分離方法は(i) シクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドの大部分及び酸化反応生成物混合物部分のその他の高沸点成分、例えば、酸化反応生成物混合物部分中のその他のヒドロペルオキシド及びNHPI触媒(存在する場合)を含む第一の画分、並びに(ii)大部分のシクロヘキシルベンゼン、フェノール(存在する場合)、及び酸化反応生成物混合物部分のその他の低沸点成分を含む第二の画分を回収するように酸化反応生成物混合物の少なくとも一部を真空蒸発にかけることを含んでもよい。
望ましくは、第一の画分中の、シクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドの濃度がCc1 質量%からCc2 質量%までの範囲であってもよく、またシクロヘキシルベンゼンの濃度が、第一の画分の合計質量を基準として、Cd1 質量%からCd2 質量%までの範囲であってもよく、この場合、Cc1 及びCc2 はCc1 < Cc2 である限り、独立に、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90であってもよく、またCd1 及びCd2 はCd1 < Cd2 である限り、独立に、10、15、20、25、30、35、40、45、50であってもよい。
【0027】
有利には、第二の画分中の、シクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドの濃度はCc3 質量%からCc4 質量%までの範囲であってもよく、またシクロヘキシルベンゼンの濃度は第二の画分の合計質量を基準として、Cd3 質量%からCd4 質量%までの範囲であってもよく、この場合、Cc3 及びCc4 はCc3 < Cc4 である限り、独立に、0.01、0.05、0.10、0.20、0.40、0.50、0.60、0.80、1.00、1.50、2.00、2.50、3.00、3.50、4.00、4.50、5.00であってもよく、またCd3 及びCd4 はCd3 < Cd4 である限り、独立に、90、92、94、95、96、97、98、又は更には99であってもよい。
シクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシドは高温、例えば、150 ℃より上で分解する傾向があるので、酸化反応生成物混合物を第一の画分及び第二の画分に分離するための真空蒸発工程が、比較的低い温度、例えば、130 ℃以下、もしくは120 ℃以下、又は更には110 ℃以下で行なわれる。シクロヘキシルベンゼンは高い沸点(101 kPaで239 ℃) を有する。こうして、許容し得るシクロヘキシルベンゼン除去温度で、シクロヘキシルベンゼンは非常に低い蒸気圧を有する傾向がある。従って、有意な量のシクロヘキシルベンゼンを酸化反応生成物混合物から有効に除去するために、酸化反応生成物混合物が、例えば、Pc1 kPa からPc2 kPa までの範囲の、非常に低い絶対圧力に暴露されることが好ましく、この場合、Pc1 及びPc2 はPc1 < Pc2 である限り、独立に、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.26、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00、1.50、2.00、2.50、3.00であってもよい。Pc1 = 0.25、かつPc2 = 1.5 であることが特に有利である。
【0028】
第一の画分及び第二の画分への酸化反応生成物混合物の分離後に、第一の画分の一部又は全部が開裂工程に直接経由し得る。第一の画分の全部又は一部が未反応イミド酸化触媒の結晶化を生じるように開裂工程への流入の前に冷却されてもよい。次いでイミド触媒が濾過により、又は結晶化を行なうのに使用される熱交換機表面からこすり落とすことにより再使用のために回収されてもよい。
酸化反応生成物混合物から生成された第二の画分はその中のフェノールのレベルを減少するために処理されてもよく、その後に第二の画分中のシクロヘキシルベンゼンの一部又は全部が水素化に循環される。
第二の画分の処理は第二の画分の少なくとも一部を塩基がフェノールと反応して水性組成物中に留まるフェノエート種を生成するような条件下で塩基を含む水性組成物と接触させることを含み得る。強塩基、即ち、3未満、例えば、2未満、1未満、0未満、又は-1未満のpK
b 値を有する塩基が第二の画分の処理に使用されることが望ましい。特に好適な塩基として、アルカリ金属の水酸化物(例えば、LiOH、NaOH、KOH 、RbOH)、アルカリ土類金属の水酸化物(Mg(OH)
2 、Ca(OH)
2 、Sr(OH)
2 、Ba(OH)
2 )、及びこれらの1種以上の混合物が挙げられる。フェノールがこれらの水酸化物と反応してフェノエートを生成することができ、これらは典型的にはフェノールそれ自体よりも高い水中の溶解性を有する。特に望ましい塩基はNaOHであり、これはコスト有効であり、しかも第二の画分中のフェノールと反応してナトリウムフェノエートを生成し得る。水酸化物が塩基として使用される場合、水酸化物との雰囲気中に存在するCO
2 の反応のために、水性組成物が、種々の濃度で、相当する炭酸塩、重炭酸塩、又は炭酸塩−水酸化物錯体の1種以上を含み得ることが注目されるべきである。塩基を含む水性組成物が少なくとも8、好ましくは少なくとも10のpHを有することが望ましい。
塩基を含む水性組成物との第二の画分の接触は第二の画分からのフェノールの少なくとも一部及び/又はその誘導体を含む水相並びにシクロヘキシルベンゼンを含み、かつ第二の画分と較べて減少された濃度のフェノールを有する有機相を生じる。有機相中のフェノール濃度が有機相の合計質量を基準として、CPh7 ppmからCPh8 ppmまでの範囲であることが望ましく、この場合、CPh7及びCPh8はCPh7 < CPh8 である限り、独立に、0、10、20、30、40、50、100 、150 、200 、250 であってもよい。
次いで有機相が、例えば、重力下で自然に、水相から分離でき、次いで直接に、又は更に好ましくは、有機相中に連行された塩基を除去するための水洗浄後に、第酸の画分として酸化工程に循環し得る。
開裂反応
開裂反応において、シクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドの少なくとも一部が下記の所望の反応-4に従って酸触媒の存在下で高選択率でシクロヘキサノン及びフェノールに分解する。
【0030】
開裂生成物混合物は酸触媒、フェノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、及び汚染物質を含むかもしれない。
酸触媒は開裂反応混合物に少なくとも部分的に可溶性であり、少なくとも185 ℃の温度で安定であり、しかもシクロヘキシルベンゼンよりも低い揮発性(高い通常の沸点)を有する。
酸触媒として、好ましくは、ブレンステッド酸、ルイス酸、スルホン酸、過塩素酸、リン酸、塩酸、p-トルエンスルホン酸、塩化アルミニウム、発煙硫酸、三酸化硫黄、塩化第二鉄、三フッ化ホウ素、二酸化硫黄、及び三酸化硫黄が挙げられるが、これらに限定されない。硫酸が好ましい酸触媒である。
開裂反応は20℃から200 ℃まで、又は40℃から120 ℃までの範囲の温度、及び1 〜370 psig (少なくとも7 kPa のゲージ圧かつ2,550 kPa 以下のゲージ圧) 、又は14.5 psig から145 psigまで (100 kPa のゲージ圧から1,000 kPa のゲージ圧まで) の範囲の圧力を含む開裂条件下で起こることが好ましく、その結果、開裂反応混合物が開裂反応中に完全に、又は主として液相中にある。
開裂反応混合物は開裂反応混合物の合計質量のCac1 ppmからCac2 ppmまで(質量基準)の範囲の濃度の酸触媒を含むことができ、この場合、Cac1及びCac2はCac1 < Cac2 である限り、独立に、10、20、30、40、50、60、80、100 、150 、200 、250 、300 、350 、400 、450 、500 、600 、700 、800 、900 、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、又は更に5000であってもよい。Cac1が50であり、かつCac2が200 であることが好ましい。
【0031】
ヒドロペルオキシド、例えば、シクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシド、及び都合良くは全てのシクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシド及びその他のヒドロペルオキシドの転化率は、開裂反応で非常に高くてもよく、例えば、少なくともAA質量%であってもよく、この場合、AAは所定のヒドロペルオキシド、又は開裂工程に供給された全てのヒドロペルオキシドの質量を基準とする%で90.0、91.0、92.0、93.0、94.0、95.0、96.0、97.0、98.0、99.0、99.5、99.9、又は更に100 であってもよい。これはヒドロペルオキシド、更にはシクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドが下流の方法で汚染物質になるので望ましい。
【0032】
シクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシド各1モルが1モルのフェノール及び1モルのシクロヘキサノンを生成することが望ましい。しかしながら、副反応のために、フェノールへの開裂反応の選択率がSph1% からSph2% までの範囲であってもよく、またシクロヘキサノンへの選択率がSch1% からSch2% までの範囲であってもよく、この場合、Sph1、Sph2、Sch1、及びSch2はSph1 < Sph2 、かつSch1 < Sch2 である限り、独立に、85、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は更に99.5であってもよい。
シクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシド、シクロヘキシルベンゼン及び酸化反応生成物混合物に直接由来するその他の成分を含む開裂供給原料の他に、開裂反応混合物は更にその他の添加物質、例えば、開裂触媒、溶媒、及び開裂反応の一種以上の生成物、例えば、開裂生成物混合物、又は下流の分離工程から循環されるフェノール及びシクロヘキサノンを含むかもしれない。こうして、開裂反応器内の開裂反応混合物は、開裂反応混合物の合計質量を基準として、(i) CPh9質量%からCPh10 質量%までの濃度のフェノール(この場合、CPh9及びCPh10 はCPh9 < CPh10である限り、独立に、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80であってもよい)、(ii)Cch1質量%からCch2質量%までの濃度のシクロヘキサノン(この場合、Cch1及びCch2はCch1 < Cch2 である限り、独立に、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80であってもよい)、及び(iii) Cchb7 質量%からCchb8 質量%までの濃度のシクロヘキシルベンゼン(この場合、Cchb7 及びCchb8 はCchb7 < Cchb8 である限り、独立に、5、8、9、10、12、14、15、18、20、22、24、25、26、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70であってもよい)を含んでもよい。
開裂反応を行なうのに使用される反応器(即ち、開裂反応器)は当業者に知られているあらゆる型の反応器であってもよい。例えば、開裂反応器はほぼ連続撹拌タンク反応器モードで運転する単純な、大きく開いた容器、又はほぼプラグ流の反応器モードで運転する単純な、開いたパイプの長さ部分であってもよい。開裂反応器は直列の複数の反応器を含んでもよく、夫々が必要により異なるモードで、かつ妥当な転化率範囲で開裂反応を増進するように選ばれた異なる条件で運転してもよい、転化反応の一部を行なう。開裂反応器は接触蒸留ユニットであってもよい。
開裂反応器は内容物の一部を冷却装置中に輸送し、冷却された部分を開裂反応器に戻すように運転でき、それにより開裂反応の発熱性を管理する。また、反応器は断熱的に運転されてもよい。1個以上の反応器内で運転する冷却コイルが発生された熱の少なくとも一部に使用し得る。
開裂反応器を出る開裂生成物混合物は、開裂生成物混合物の合計質量を基準として、(i) CPh11 質量%からCPh12 質量%までの濃度のフェノール(この場合、CPh11 及びCPh12 はCh11 < CPh12である限り、独立に、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80であってもよい)、(ii)Cch3質量%からCch4質量%までの濃度のシクロヘキサノン(この場合、Cch3及びCch4はCch3 < Cch4 である限り、独立に20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80であってもよい)、及び(iii) Cchb9 質量%からCchb10質量%までの濃度のシクロヘキシルベンゼン(この場合、Cchb9 及びCchb10はCchb9 < Cchb10である限り、独立に、5、8、9、10、12、14、15、18、20、22、24、25、26、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70であってもよい)を含んでもよい。
【0033】
分離及び精製
先に説明したように、開裂生成物混合物は一種以上の汚染物質を含むかもしれない。本明細書に開示された実施態様において、これらの方法は更に汚染物質の少なくとも一部を酸性物質と接触させて汚染物質の少なくとも一部を変換された汚染物質に変換することを含み、それにより変性された生成物混合物を生成する。汚染物質処理方法の詳細な記載が、例えば、国際公開WO2012/036822A1 に見られ、その関連する内容が参考として本明細書にそのまま含まれる。
【0034】
開裂生成物混合物の少なくとも一部が中和反応にかけられてもよい。液体酸、例えば、硫酸が開裂触媒として使用される場合、その開裂反応生成物混合物が塩基、例えば、有機アミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジアミン、例えば、メチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン、ヘキシレンジアミン等)により中和され、その後にその混合物が分離にかけられて酸による装置腐食を防止することが高度に望ましい。こうして生成されたアミン硫酸塩がシクロヘキシルベンゼンの沸点よりも高い沸点を有することが望ましい。
中和された開裂反応生成物混合物はその後に蒸留の如き方法により分離し得る。一例において、第一の分別カラム中で開裂反応器後に、アミン塩を含む重質画分がカラムの底部で得られ、シクロヘキシルベンゼンを含む側部画分が中間部分で得られ、シクロヘキサノン、フェノール、メチルシクロペンタノン、及び水を含む上部画分が得られる。
分離されたシクロヘキシルベンゼン画分はその後に処理かつ/又は精製でき、その後に酸化工程に送られる。開裂生成物混合物から分離されたシクロヘキシルベンゼンはフェノール及び/又はオレフィン、例えば、シクロヘキセニルベンゼンを含み得るので、その物質が酸化生成物混合物の第二の画分について上記されたような塩基を含む水性組成物による処理及び/又は、例えば、WO2011/100013A1 (その全内容が参考として本明細書に含まれる)に開示されたような水素化工程に掛けられてもよい。
【0035】
一例において、フェノール、シクロヘキサノン、及び水を含む画分が更に簡単な蒸留により分離されて主としてシクロヘキサノン及びメチルシクロペンタノンを含む上部画分並びに主としてフェノール、及び若干のシクロヘキサノンを含む下部画分を得ることができる。シクロヘキサノンは抽出溶媒を使用しないとこれらの二つの間に生成される共沸混合物のためにフェノールから完全には分離し得ない。こうして、上部画分は更に別のカラム中で蒸留されて底部付近に純粋なシクロヘキサノン生成物及び主としてメチルシクロペンタノンを含む上部付近の不純物画分(これは必要により更に精製され、次いで有益な工業用物質として使用し得る)を得ることができる。下部画分は、例えば、同時譲渡された、共同未決特許出願WO2013/165656A1 及びWO2013/165659 (これらの内容が参考として本明細書にそのまま含まれる)に記載された抽出溶媒(例えば、グリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)を使用する抽出蒸留の工程により更に分離し得る。シクロヘキサノンを含む上部画分並びにフェノール及び抽出溶媒を含む下部画分が得られる。その後の分別カラム中で、下部画分がその後に分離されてフェノール生成物を含む上部画分及び抽出溶媒を含む下部画分を得ることができる。
シクロヘキサノン及びフェノールの用途
本明細書に開示された方法により製造されたシクロヘキサノンは、例えば、工業用溶媒として、酸化反応の活性剤として、またアジピン酸、シクロヘキサノン樹脂、シクロヘキサノンオキシム、カプロラクタム、及びナイロン、例えば、ナイロン-6及びナイロン-6,6の製造に使用し得る。
本明細書に開示された方法により製造されたフェノールは、例えば、フェノール樹脂、ビスフェノールA、ε−カプロラクタム、アジピン酸、及び/又は可塑剤を製造するのに使用し得る。
図面による記載
図1A及び1Bを参照して、フェノール及びシクロヘキサノンをシクロヘキシルベンゼンから製造するためのシステム101 において、新しいシクロヘキシルベンゼン源101 、循環シクロヘキシルベンゼン源103 及び水素源105 が合わされた供給原料流107 を与え、これが加熱され、次いで水素化反応器109 に供給され、そこでオレフィン汚染物質が高度の飽和を有する化合物に変換される。以下に記載されるように、循環シクロヘキシルベンゼン流103 はシクロヘキセニルベンゼンを含む傾向があり、これらが以下のように反応器109 中でシクロヘキシルベンゼンに変換される。
【0037】
反応器109 中で使用される触媒は無機支持体、例えば、Al
2O
3 及び/又はSiO
2で担持された周期律表の9族又は10族の金属、例えば、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、及び/又はPtを含む触媒の固定床であってもよい。次いで反応器109 を出る下部水素化流出物111 が分離ドラム113 に供給されて実質的に水素を含むガス混合物からなる上部ドラム流出物を得、これが洗浄され、水素を必要とする工程に循環されてもよく、又は燃焼器121 に送られてもよく、そこでそれが燃焼されて本開示の方法、又は同設備におけるその他の方法での多くの工程で必要とされる熱を与える。
実質的に液体シクロヘキシルベンゼン及び少量の汚染物質からなる、下部ドラム流出物117 は、その後に第一のバブルカラム反応器118 に供給され、そこでシクロヘキシルベンゼンがその反応器の底部に供給される気泡中に含まれるO
2により酸化される。酸化反応触媒である、NHPIが、反応器中の反応媒体に添加される。反応媒体の側部流127 が採取され、熱交換機129 により部分冷却され、次いで反応器118 に逆に循環され、その結果、反応器118 内の反応媒体の温度が60℃から150 ℃まで、又は70℃から140 ℃まで、又は80℃から120 ℃まで、又は90℃から110 ℃までの範囲に維持される。反応器118 から抜き取られた流れ131 がその後に第二のバブルカラム反応器119 に送られる。追加のNHPI触媒が反応器119 に添加されて第一の反応器 118 中の触媒の一部の損失を補い、全NHPI濃度を反応器118 中よりも高いレベルに増大する。流れ131 中に残っているシクロヘキシルベンゼンが反応器119 の底部付近に供給される気泡中のO
2と更に反応させられる。同様に、側部流133 が反応器119 から採取され、これが熱交換機135 により部分冷却され、反応器119 に逆に循環されて反応器119 内の温度を反応器118 内と同様のレベルに制御し、濃縮器149 に供給される流れ137 として一部送出される。源139 からの空気がコンプレッサー141 により供給され、熱交換機143 により冷却されて水分を除去し、次いで反応器118 及び119 の底部に供給されて気泡を発生する。反応器118 及び119 の上部からの排出ガスが流れとして集められ、熱交換機123 により冷却されて水及びシクロヘキシルベンゼンを除去し、次いで更なる処理のために公害低減システム125 に送出される。また(示されていないが)、バブルカラム117 と119 の間に、1個以上の同様に装備されたバブルカラムが配置されてもよく、その結果、全てのバブルカラムを集約して含む酸化組立体がシクロヘキシルベンゼン転化率及びシクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシド選択率の望ましいレベルを達成する。
【0038】
濃縮器149 は133 Paから6666 Pa まで(例えば、150 Paから5000 Pa まで、又は200 Paから3000 Pa まで、又は300 Paから1000 Pa まで)の範囲の低い内部絶対圧力(即ち、高真空)で運転し、その結果、高沸点シクロヘキシルベンゼンが上部濃縮器流出物151 として部分的に除去され、これがその後に熱交換機により冷却され、加工ステーション153 に送られ、その後に循環シクロヘキシルベンゼン源103 の一部として水素化反応器109 に循環される。濃縮器149 は蒸発に必要とされる熱を与える熱交換機145 を含む落下式膜蒸発器を含んでもよい。少なくとも30質量%、例えば、少なくとも40質量%、又は少なくとも50質量%、又は少なくとも60質量%、又は少なくとも70質量%、又は更には80質量%程度に高い高濃度のシクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシドを含む下部濃縮器流出物155 が得られるかもしれない。
【0039】
濃縮されたシクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシド流155 はその後に熱交換機157 により冷却され、開裂反応器161 (これに硫酸触媒163 が添加されている)に送出される。反応器161 は熱を反応媒体から取り出し、こうしてその温度を、例えば、15℃から90℃まで、又は20℃から80℃まで、又は25℃から75℃まで、又は30℃から70℃までの範囲の望ましい程に低いレベルに維持するための熱交換機165 を含む。開裂反応媒体の一部がポンプ167 により循環され、また一部が開裂流出物流171 として開裂反応器を出て、これに中和剤、例えば、有機アミン(例えば、メチルアミン、メチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン等)が源169 から添加されて、硫酸触媒と反応してアミン塩を生成し、それにより中和された流出物混合物流173 を生成する。
次に、流れ173 がその後に熱交換機175 により加熱されて流れ177 になり、これが100 kPa より下の内部絶対圧力で運転する第一の分別カラム179 に送られ、そこで三つの流れ(i) アミン塩、C12 酸素化物等を含む高沸点成分(これらはステーション183 でパージされる)を含む第一の下部流出物181 、(ii)高濃度のシクロヘキシルベンゼンを含む第一の中間流出物(これはステーション187 で加工されてもよく、その後に水素化反応器109 に供給される循環シクロヘキシルベンゼン源103 の一部になる)、及び(iii) フェノール、シクロヘキサノン及び水を含む第一の上部流出物193 が生成される。第一リボイラー186 は熱をカラム179 に与え、また凝縮器192 はその上部付近で抜き取られた流れ189 (これは還流流れ191 として部分的に循環され、また第一の上部流出物193 として第二の分別カラム195 に部分的に送出される)に冷却を与える。カラム179 はその上部付近の最低温度Tmin1 及びその底部付近の最高温度Tmax1 を有する。第一の下部流出物はA1質量%からA2質量%までの濃度のアミン塩を含んでもよく、この場合、A1及びA2はA1 < A2 である限り、独立に、40、45、50、55、60、70、75、80、85、90、95であってもよい。第一の中間流出物はB1質量%からB2質量%までの濃度のシクロヘキシルベンゼンを含んでもよく、この場合、B1及びB2はB1 < B2 である限り、独立に、40、45、50、55、60、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99であってもよい。
【0040】
第二の分別カラム195 は(i) 水の如き軽質成分を含む第二の上部流出物203 (これは加工のためのステーション205 に送られる)、並びに(ii)フェノール及びシクロヘキサノンを含む第二の下部流出物209 を生成する。リボイラー206 はカラム195 の底部付近で採取された循環流207 を加熱し、それにより熱をカラム195 に与える。上部の第二の凝縮器199 はカラム195 の上部付近で採取された流れ197 を冷却し、これは循環流201 としてカラムに部分的に循環され、軽質流203 としてステーション205 に部分的に送出される。カラム199 はその上部付近の最低温度Tmin2 及びその底部付近の最高温度Tmax2 を有する。
第二の下部流出物209 はその後に第三の分別カラム211 (これはまた源213 からの供給原料としての抽出溶媒、例えば、ジエチレングリコールの流れ215 を受け取る)に送出される。有利には、流れ215 がカラム211 の流れ209 よりも高い位置で供給される。有利には、流れ215 が源213 からの新しい抽出溶媒と循環抽出溶媒流217 の組み合わせである。カラム211 は50質量%より多いシクロヘキサノンを含む第三の上部流出物257 、並びにフェノール及び抽出溶媒を含む第三の下部流出物221 を生成する。同様に、第三のリボイラー218 は底部付近で採取された循環流219 を加熱し、それにより熱をカラム211 に与える。上部の凝縮器253 はカラム211 の上部付近で採取された流れ251 を冷却し、これは循環流255 としてカラムに部分的に循環され、また生のシクロヘキサノン流257 として第四の分別カラム259 に部分的に送出される。カラム211 はその上部付近の最低温度Tmin3 及びその底部付近の最高温度Tmax3 を有する。
第四の分別カラム259 は生のシクロヘキサノン流257 を精製するのに利用できる。このカラムから、底部付近で抜き取られた第四の下部流出物275 が貯蔵タンク277 に送出され、次いで少なくとも部分的に第一の分別カラム179 に循環され、高純度のシクロヘキサノンを含む第四の上部流出物265 が貯蔵タンク267 に送出される。同様に、第四のリボイラー271 が底部の付近で採取された循環流269 を加熱し、それにより熱をカラム259 に与える。上部の凝縮器がカラム259 の上部付近で採取された流れ261 を冷却し、これがその後に循環流263 としてカラムに部分的に循環され、また高純度のシクロヘキサノン流265 として貯蔵タンク267 に部分的に送出される。カラム259 はその上部付近の最低温度Tmin4 及びその底部付近の最高温度Tmax4 を有する。
【0041】
第五の分別カラム223 は第三の分別カラム211 から供給された流れ221 中の抽出溶媒をフェノールから分離するのに利用できる。このカラムから、少なくとも40質量%の抽出溶媒(その%は流れ217 の合計質量を基準とする)を含む、底部付近で抜き取られた第五の下部流出物217 が、熱交換機216 により冷却され、次いで抽出溶媒供給流215 の一部として第三の分別カラム211 に循環され、生のフェノールを含む第五の上部流出物231 が第六の分別カラム233 にその供給原料として送出される。同様に、第五のリボイラー224 は底部付近で採取された循環流225 を加熱し、それにより熱をカラム223 に与える。上部の凝縮器228 はカラム223 の上部付近で採取された流れ227 を冷却し、これがその後に循環流229 としてカラムに部分的に循環され、また生のフェノール流231 としてカラム233 に部分的に送出される。カラム223 はその上部付近の最低温度Tmin5 及びその底部付近の最高温度Tmax5 を有する。
第六の分別カラム233 は生のフェノール流231 を精製するのに利用できる。このカラムから、底部付近で抜き取られた第六の下部流出物235 がステーション237 に送られ、必要により加工されてもよく、次いで第一の分別カラム179 にその供給原料として循環され(示されていない)、また高純度のフェノールを含む第六の上部流出物247 が貯蔵タンク249 に送出される。同様に、第六のリボイラー238 が底部付近で採取された循環流239 を加熱し、それにより熱をカラム233 に与える。上部の凝縮器243 がカラム233 の上部付近で採取された流れ241 を冷却し、これがその後に循環流245 としてカラムに部分的に循環され、また高純度のフェノール流247 (第六の上部流)として貯蔵タンク249 に部分的に送出される。また、全体の流れ241 が熱交換機243 により冷却された後に循環され、高純度のフェノール流(第六の上部流)は循環流241 が採取される位置の下でカラム233 の上部付近の位置で別々に採取されてもよい。カラム233 はその上部付近の最低温度Tmin6 及びその底部付近の最高温度Tmax6 を有する。
【0042】
図1A及び1Bに示された例の代替(示されていない)として、システムにおいて、第一の分別カラム179 が、3種の流出物に代えて、2種の流出物: (a) アミン塩、C12 酸素化物、及びシクロヘキシルベンゼンを含む高沸点成分を含む第一の下部流出物; 並びに(b) フェノール、シクロヘキサノン及び水を含む第一の上部流出物193 のみを生成する。第一の上部流出物がその後に
図1A及び1Bと実質的に同じ様式で加工される。第一の下部流出物がその後に第七の分別カラムに供給されてシクロヘキシルベンゼンを含む第七の上部流出物、及びアミン塩を含む第七の下部流出物を生成する。第七の上部流出物がその後に
図1A及び1Bに示された第一の中間流出物と同様に加工される。第七の分別カラムはその上部付近の最低温度Tmin7 及びその底部付近の最高温度Tmax7 を有する。
図1A及び1Bの例と較べて、この別のシステムはもう一つの分別カラムを使用するが、高純度の第一の上部流出物及び高純度のシクロヘキシルベンゼン流を達成するであろう。後者はその後にそれ程処理を必要としないで先の工程、例えば、水素化及び/又は酸化に循環し得る。第七の下部流出物はA3質量%からA4質量%までの濃度のアミン塩を含んでもよく、この場合、A3及びA4はA3 < A4 である限り、独立に、45、50、55、60、70、75、80、85、90、95であってもよい。第七の上部流出物はB3質量%からB4質量%までの濃度のシクロヘキシルベンゼンを含んでもよく、この場合、B3及びB4はB3 < B4 である限り、独立に、40、45、50、55、60、70、75、80、85、90、95であってもよい。
下記の条件の少なくとも一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、及び全てまでがシステム101で満たされることが望ましい。
(i) 180 ℃≦ Tmax1 ≦ 300 ℃;
(ii) 80℃≦ Tmin1 ≦ 150℃;
(iii) 80℃≦ Tmax2 ≦ 180℃;
(iv) 40℃ ≦ Tmin2 ≦ 100℃;
(v) 120 ℃≦ Tmax3 ≦ 220℃;
(vi) 50°C ≦ Tmin3 ≦ 150℃;
(vii) 120 ℃≦ Tmax4 ≦ 300 ℃;
(viii) 150 ℃≦ Tmin4 ≦ 250℃;
(ix) 120 ℃≦ Tmax5 ≦ 250℃;
(x) 80℃ ≦ Tmin5 ≦ 180°C;
(xi) 150 ℃≦ Tmax6 ≦ 300 ℃;
(xii) 120℃ ≦ Tmin6 ≦ 250℃;
(xiii) 150 ℃≦ Tmax7 ≦ 400 ℃; 及び
(xiv) 120℃≦ Tmin7 ≦ 300 ℃
【0043】
システム101 において、下記の条件の少なくとも一つ、二つ、三つ又は全てが満たされることが望ましい。
(i) Tmin6 > Tmax3;
(ii) Tmin6 > Tmax5;
(iii) Tmin6 > Tmax2; 及び
(iv) Tmin7 > Tmax2
システム101 において、下記の条件の少なくとも一つ、二つ又は三つが満たされることが更に望ましい。
(i) Tmax1 > Tmax6 > Tmax5 > Tmax3 > Tmax 2;
(ii) Tmax 1 > Tmax4; 及び
(iii) Tmax 1 > Tmax6
種々の容器及びカラムの温度プロフィールは第一、第二、第三、第四、第五、第六及び第七の上部流出物の少なくとも1種、2種、3種、及び全てまでが上流の分別カラムへ供給される流体に熱を与えるように選ばれることが望ましい。詳しくは、下記の条件の少なくとも一つ、二つ、三つ又は四つが満たされる。
(i) 第六のカラムの上部付近の位置から採取された流れが第三の分別カラムへ供給される流体に熱を与え、
(ii) 第六のカラムの上部付近の位置から採取された流れが第五の分別カラムへ供給される流体に熱を与え、
(iii) 第六のカラムの上部付近の位置から採取された流れが第一の分別カラムへ供給される流体に熱を与え、かつ
(iv) 第四のカラムの上部付近の位置から採取された流れが第一の分別カラムへ供給される流体に熱を与える。
【0044】
下記の条件の少なくとも一つ、二つ、三つ又は四つが満たされることが望ましい。
(i) 第六の分別カラムの上部付近の位置から採取された流れが第三のリボイラーを経由して第三の分別カラムに供給される流体に熱を与え、
(ii) 第六の分別カラムの上部付近の位置から採取された流れが第五のリボイラーを経由しての第五の分別カラムに供給される流体に熱を与え、
(iii) 第六の分別カラムの上部付近の位置から採取された流れが第一の分別カラムに供給される反応混合物に熱を与え、かつ
(iv) 第四の分別カラムの上部付近の位置から採取された流れが第一の分別カラムに供給される反応混合物に熱を与える。
一種の物質流を使用してその方法における別の流れを加熱又は冷却することはシステムのエネルギー効率を有意に改良する。成功裏の蒸留及び分離を確実にし、かつ上記温度プロフィールを達成するために、第一の分別カラム179 、第二の分別カラム195 、第三の分別カラム211 、及び第五の分別カラム223 内の絶対圧力が100 kPa より下であり、かつ/又は第四の分別カラム259 及び第六の分別カラム233 内の絶対圧力が100 kPa より高いことが高度に望ましい。
【0045】
本開示は、とりわけ、下記の非限定局面及び/又は実施態様を含む。
I1. シクロヘキシルベンゼンからのフェノール及びシクロヘキサノンの製造システムであって、そのシステムが
(I-1A)オレフィン及び水素を含むシクロヘキシルベンゼン供給原料を受け取り、かつ供給原料と較べて減少された濃度のオレフィンを含む水素化流出物を生成するように構成された、水素化触媒の床を含む水素化反応器、
(I-1B) 水素化流出物の少なくとも一部を受け取り、かつ実質的に液体からなる下部ドラム流出物、及び実質的にガスからなる上部ドラム流出物を生成するように構成された水素化反応器と流体連通の分離ドラム、
(I-1C) (i) 下部ドラム流出物の少なくとも一部、(ii)その底部に近接する位置でバブルカラム反応器に供給されるO
2含有ガスの流れ、及び(iii) 環状イミド触媒を受け取り、かつシクロヘキシルベンゼン及びシクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシドを含む下部酸化流出物並びに上部酸化流出物を生成するように構成された分離ドラムと流体連通の少なくとも一つのバブルカラム反応器を含む酸化装置、
(I-1D) 下部酸化流出物の少なくとも一部を受け取り、かつ少なくとも30質量%のシクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシド(その%は下部濃縮器流出物の合計質量を基準とする)を含む下部濃縮器流出物、及び少なくとも50質量%のシクロヘキシルベンゼン(その%は上部濃縮器流出物の合計質量を基準とする)を含む上部濃縮器流出物を生成するように構成された酸化装置と流体連通のPcon(この場合、133 Pa ≦ Pcon ≦ 6666 Pa )の絶対内部圧力下で運転するように構成された濃縮器、
(I-1E) (i) 下部濃縮器流出物中のシクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシドの少なくとも一部及び(ii)開裂触媒を受け取り、かつフェノール、シクロヘキサノン、及びシクロヘキシルベンゼンを含む開裂反応流出物を生成するように構成された容器を含む開裂反応器
を含む前記システム。
【0046】
I-2. I-1 のシステムであって、そのシステムが更に
(I-1F)水素化反応器と更に流体連通の開裂反応流出物中のシクロヘキシルベンゼンの少なくとも一部を分離するように構成された第一の分別カラムを含み、それにより分離されたシクロヘキシルベンゼンの少なくとも一部が水素化反応器に循環される、前記システム。
I-3.濃縮器が水素化反応器と更に流体連通しており、それを通って上部濃縮器流出物中のシクロヘキシルベンゼンの少なくとも一部が水素化反応器に循環される、I-1 又はI-2 のシステム。
I-4.水素化触媒が担体及び9族又は10族の金属、例えば、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt並びにこれらの混合物及び組み合わせから選ばれた金属を含む、I-1 〜I-3 のいずれかのシステム。
I-5.酸化装置が直列に連結された少なくとも二つのバブルカラム反応器を含む、I-1 〜I-4 のいずれかのシステム。
I-6.酸化装置が直列に連結された少なくとも三つのバブルカラム反応器を含む、I-1 〜I-5 のシステム。
I-7.バブルカラム反応器の少なくとも一つが酸化反応媒体の流れをバブルカラム反応器から抜き取り、酸化反応媒体の流れの少なくとも一部を冷却し、冷却された部分の少なくとも一部をバブルカラムに循環する冷却ループを含み、それによりバブルカラム内の反応媒体の温度を50℃から150 ℃までの範囲の温度内に維持する、I-1 〜I-6 のいずれかのシステム。
I-8.分離ドラムが燃焼器と更に流体連通しており、それを通って上部ドラム流出物少なくとも一部が燃焼器に送られる、I-1 〜I-7 のいずれかのシステム。
【0047】
I-9.水素化反応器がThr の温度及び圧力Phr(この場合、50℃ ≦ Thr ≦ 150℃、かつ150 kPa ≦ Phr ≦ 1850 kPa )で運転するように構成される、I-1 〜I-8 のいずれかのシステム。
I-10. 分離ドラムがTsd の温度(この場合、50℃ ≦ Tsd ≦ 150℃)で運転するように構成される、I-1 〜I-9 のいずれかのシステム。
I-11. 分離ドラムがThr - 20℃以上の温度(この場合、Thr が水素化反応器の運転温度である)で運転するように構成される、I-10のシステム。
I-12. 濃縮器がTconの温度(この場合、50℃≦ Tcon ≦ 150℃)で運転するように構成される、I-1 〜I-11のいずれかのシステム。
I-13. 濃縮器が落下式膜蒸発器を含む、I-1 〜I-12のいずれかのシステム。
I-14. 濃縮器が濃縮器内の流体を加熱するためのヒーターを含む、I-1 〜I-13のいずれかのシステム。
I-15. 濃縮器が水素化反応器と更に流体連通しており、それを通って上部濃縮器流出物中のシクロヘキシルベンゼンの少なくとも一部が水素化反応器に循環される、I-1 〜I-15のいずれかのシステム。
I-16. 開裂触媒が液体酸を含み、
システムが更に、開裂反応器と第一の分別カラムの間に、開裂反応流出物の少なくとも一部及び塩基を受け取り、かつ開裂反応器流出物と較べて減少された濃度の開裂触媒を有する開裂反応混合物を生成するように構成された中和反応器を含み、
開裂反応混合物の少なくとも一部が第一の分別カラムに供給される、I-2 〜I-15のいずれかのシステム。
I-17. 開裂触媒が濃硫酸及び水を含み、かつ塩基が有機アミンを含む、I-16のシステム。
I-18. 開裂反応器が熱を反応媒体から取り出すための熱交換機を含み、その結果、開裂反応器内の反応媒体の温度が温度Tcr (この場合、10 ≦ Tcr ≦ 120℃)に維持される、I-1 〜I-17のいずれかのシステム。
【0048】
II-1. フェノール、シクロヘキサノン、アミン塩、シクロヘキシルベンゼン、及び水を含むシクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシド開裂反応混合物を分離するように構成されたシステムであって、そのシステムが
(II-1A) 反応混合物の少なくとも一部を受け取ってアミン塩を含む第一の下部流出物、並びにフェノール、シクロヘキサノン及び水を含む第一の上部流出物を生成するように構成された第一の分別カラム、
(II-1B) 第一の上部流出物の少なくとも一部を受け取ってフェノール及びシクロヘキサノンを含む第二の下部流出物、及び水を含む第二の上部流出物を生成するように構成された第一の分別カラムと流体連通の第二の分別カラム、
(II-1C) 第二の下部流出物の少なくとも一部及び抽出溶媒を受け取ってフェノール及び抽出溶媒を含む第三の下部流出物、及び少なくとも60質量%のシクロヘキサノン(その%は第三の上部流出物の合計質量を基準とする)を含む第三の上部流出物を生成するように構成された第二の分別カラムと流体連通の第三の分別カラム、
(II-1D) 第三の上部流出物の少なくとも一部を受け取ってシクロヘキサノンの沸点より高い通常の沸点を有する成分を含む第四の下部流出物、及び少なくとも90質量%のシクロヘキサノン(その%は第四の上部流出物の合計質量を基準とする)を含む第四の上部流出物を生成するように構成された第三の分別カラムと流体連通の任意の第四の分別カラム、
(II-1E) 第三の下部の少なくとも一部を受け取って抽出溶媒を含む第五の下部流出物、及び少なくとも60質量%のフェノール(その%は第五の上部流出物の合計質量を基準とする)を含む第五の上部流出物を生成するように構成された第三の分別カラムと流体連通の第五の分別カラム、及び
(II-1F) 第五の上部流出物の少なくとも一部を受け取ってシクロヘキシルベンゼンを含む第六の底部流出物、及び少なくとも90質量%のフェノール(その%は第六の上部流出物の合計質量を基準とする)を含む第六の上部流出物を生成するように構成された第五の分別カラムと流体連通の第六の分別カラム
を含む、前記システム。
【0049】
II-2. 第一の分別カラムがシクロヘキシルベンゼンを含む第一の中間流出物を更に生成するように構成される、II-1のシステム。
II-3. 第一の中間流出物が少なくとも90質量%のシクロヘキシルベンゼンを含む、II-2のシステム。
II-4. 第一の下部流出物が少なくとも80質量%のアミン塩を含む、II-3のシステム。
II-5. 第一の下部流出物が更にシクロヘキシルベンゼンを含み、そのシステムが更に
(II-1G) 第一の下部流出物の少なくとも一部を受け取ってアミン塩を含む第七の底部流出物、及びシクロヘキシルベンゼンを含む第七の上部流出物を生成するように構成された第一の分別カラムと流体連通の第七の分別カラムを含む、II-1〜II-4のいずれかのシステム。
II-6. 第一の分別カラム、第二の分別カラム、第三の分別カラム、及び第五の分別カラムが100 kPa より下の絶対圧力で運転するように構成される、II-1〜II-5のいずれかのシステム。
II-7. 第四の分別カラム(存在する場合)、及び第六の分別カラムが100 kPa より高い絶対圧力で運転するように構成される、II-1〜II-6のいずれかのシステム。
II-8. 下記の条件の少なくとも一つが満たされる:
(II-8.1)第一の分別カラムが熱をその中の流体に与えるその底部付近の第一のリボイラー、及び第一の還流流れを第一の分別カラムに与えるその上部付近の第一の凝縮器を含み、
(II-8.2)第二の分別カラムが熱をその中の流体に与えるその底部付近の第二のリボイラー、及び第二の還流流れを第二の分別カラムに与えるその上部付近の第二の凝縮器を含み、
(II-8.3)第三の分別カラムが熱をその中の流体に与えるその底部付近の第三のリボイラー、及び第三の還流流れを第三の分別カラムに与えるその上部付近の第三の凝縮器を含み、
(II-8.4)第四の分別カラムが熱をその中の流体に与えるその底部付近の第四のリボイラー、及び第四の還流流れを第四の分別カラムに与えるその上部付近の第四の凝縮器を含み、
(II-8.5)第五の分別カラムが熱をその中の流体に与えるその底部付近の第五のリボイラー、及び第五の還流流れを第五の分別カラムに与えるその上部付近の第五の凝縮器を含み、
(II-8.6)第六の分別カラムが熱をその中の流体に与えるその底部付近の第六のリボイラー、及び第六の還流流れを第六の分別カラムに与えるその上部付近の第六の凝縮器を含み、かつ
(II-8.7)第七の分別カラム(存在する場合)が熱をその中の流体に与えるその底部付近の第七のリボイラー、及び第七の還流流れを第七の分別カラムに与えるその上部付近の第七の凝縮器を含む、II-1〜II-7のいずれかのシステム。
【0050】
II-9.
第一の分別カラムがその底部付近の最高温度Tmax1 、及びその上部付近の最低温度Tmin1 で運転するように構成され、
第二の分別カラムがその底部付近の最高温度Tmax2 、及びその上部付近の最低温度Tmin2 で運転するように構成され、
第三の分別カラムがその底部付近の最高温度Tmax3 、及びその上部付近の最低温度Tmin3 で運転するように構成され、
第四の分別カラム(存在する場合)がその底部付近の最高温度Tmax4 、及びその上部付近の最低温度Tmin4 で運転するように構成され、
第五の分別カラムがその底部付近の最高温度Tmax5 、及びその上部付近の最低温度Tmin5 で運転するように構成され、
第六の分別カラムがその底部付近の最高温度Tmax6 、及びその上部付近の最低温度Tmin6 で運転するように構成され、
第七の分別カラム(存在する場合)がその底部付近の最高温度Tmax7 、及びその上部付近の最低温度Tmin7 で運転するように構成され、かつ
下記の条件の少なくとも一つが満たされる:
(II-9.1) Tmin6 > Tmax3;
(II-9.2) Tmin6 > Tmax5;
(II-9.3) Tmin6 > Tmax2; かつ
(II-9.4) Tmin7 > Tmax2、
II-1〜II-8のいずれかのシステム。
【0051】
II-10.下記の条件の少なくとも一つが満たされる:
(II-10.1) Tmax1 > Tmax6 > Tmax5 > Tmax3 > Tmax 2;
(II-10.2) Tmax 1 > Tmax4; かつ
(II-10.3) Tmax 1 > Tmax6、
II-9のシステム。
II-11.第一、第二、第三、第四、第五又は第六の上部流出物の少なくとも1種が熱を上流の分別カラムに供給される流体に与える、II-1〜II-10 のいずれかのシステム。
II-12.下記の条件の少なくとも一つが満たされる:
(II-12.1) 第六の分別カラムの上部の付近の位置から採取された流れが熱を第三の分別カラムに供給される流体に与え、
(II-12.2) 第六の分別カラムの上部の付近の位置から採取された流れが熱を第五の分別カラムに供給される流体に与え、
(II-12.3) 第六の分別カラムの上部の付近の位置から採取された流れが熱を第一の分別カラムに供給される流体に与え、かつ
(II-12.4) 第四の分別カラムの上部の付近の位置から採取された流れが熱を第一の分別カラムに供給される流体に与える、
II-11 のシステム。
II-13.下記の条件の少なくとも一つが満たされる:
(II-13.1) 第六の分別カラムの上部の付近の位置から採取された流れが熱を第三のリボイラーを経由して第三の分別カラムに供給される流体に与え、
(II-13.2) 第六の分別カラムの上部の付近の位置から採取された流れが熱を第五のリボイラーを経由して第五の分別カラムに供給される流体に与え、
(II-13.3) 第六の分別カラムの上部の付近の位置から採取された流れが熱を第一の分別カラムに供給される反応混合物に与え、かつ
(II-13.4) 第四の分別カラムの上部の付近の位置から採取された流れが熱を第一の分別カラムに供給される反応混合物に与える、
II-12 のシステム。
【0052】
II-14.抽出溶媒がグリコールを含む、II-1〜II-13 のいずれかのシステム。
II-15.抽出溶媒がジエチレングリコールを含む、II-14 のシステム。
II-16.第五の分別カラムが更に第三の分別カラムと流体連通され、それを通って第五の底部流出物中に含まれる抽出溶媒の少なくとも一部が第三の分別カラムに循環される、II-1〜II-15 のいずれかのシステム。
II-17.第四の分別カラムが更に第一の分別カラムと流体連通され、それを通って第四の下部流出物の少なくとも一部が第一の分別カラムに循環される、II-1〜II-16 のいずれかのシステム。
II-18.第六の分別カラムが更に第一の分別カラムと流体連通され、それを通って第六の下部流出物の少なくとも一部が第一の分別カラムに循環される、II-1〜II-17 のいずれかのシステム。
【0053】
II-19.下記の条件の少なくとも一つが満たされる:
(II-19.1) 180 ℃≦ Tmax1 ≦ 300 ℃、
(II-19.2) 80℃≦ Tmin1 ≦ 150 ℃、
(II-19.3) 80℃≦ Tmax2 ≦ 180 ℃、
(II-19.4) 40℃≦ Tmin2 ≦ 100 ℃、
(II-19.5) 120 ℃≦ Tmax3 ≦ 220 ℃、
(II-19.6) 50℃≦ Tmin3 ≦ 150 ℃、
(II-19.7) 120 ℃≦ Tmax4 ≦ 300 ℃、
(II-19.8) 150 ℃≦ Tmin4 ≦ 250 ℃、
(II-19.9) 120 ℃≦ Tmax5 ≦ 250 ℃、
(II-19.10) 80℃≦ Tmin5 ≦ 180 ℃、
(II-19.11) 150 ℃≦ Tmax6 ≦ 300 ℃、
(II-19.12) 120 ℃≦ Tmin6 ≦ 250 ℃、
(II-19.13) 150 ℃≦ Tmax7 ≦ 400 ℃、及び
(II-19.14) 120 ℃≦ Tmin7 ≦ 300 ℃
II-9〜II-18 のいずれかのシステム。
III-1. I-1〜I-18のいずれかのシステム、及びII-1〜II-19 のいずれかのシステムを含む、フェノール及び/又はシクロヘキサノンの製造システム。
IV-1. I-1 〜I-18の先の実施態様のいずれか一つのシステムを使用するフェノール及び/又はシクロヘキサノンの製造方法。
【0054】
IV-2. 下記の工程:
(IV-1A) オレフィンを含むシクロヘキシルベンゼン供給原料を水素化の床を含む水素化反応器中で水素と反応させて供給原料と較べて減少された濃度のオレフィンを含む水素化流出物を生成する工程、
(IV-1B) 水素化流出物の少なくとも一部を水素化反応器と流体連通の分離ドラム中で分離して実質的に液体からなる下部ドラム流出物、及び実質的にガスからなる上部ドラム流出物を生成する工程、
(IV-1C) 分離ドラムと流体連通の少なくとも一つのバブルカラム反応器を含む酸化装置に(i) 下部ドラム流出物の少なくとも一部、(ii)その底部付近の位置にO
2含有ガスの流れ、及び(iii) 環状イミド触媒を供給してシクロヘキシルベンゼン及びシクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシドを含む下部酸化流出物と上部酸化流出物を生成する工程、
(IV-1D) 酸化装置と流体連通のPconの絶対内部圧力(この場合、133 Pa ≦ Pcon ≦ 6666Pa)で運転するように構成された濃縮器中で下部酸化流出物の少なくとも一部を濃縮して、少なくとも30質量%のシクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシド(その%は下部濃縮器流出物の合計質量を基準とする)を含む下部濃縮器流出物と、少なくとも50質量%のシクロヘキシルベンゼン(その%は上部濃縮器流出物の合計質量を基準とする)を含む上部濃縮器流出物を生成する工程、及び
(IV-1E) 容器を含む開裂反応器に(i) 下部濃縮器流出物中のシクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシドの少なくとも一部及び(ii)開裂触媒を供給してフェノール、シクロヘキサノン、及びシクロヘキシルベンゼンを含む開裂反応流出物を生成する工程
を含む、IV-1の方法。
V-1.先の実施態様II-1〜II-19 のいずれかに記載のシステムを使用するフェノール及び/又はシクロヘキサノンの製造方法。
【0055】
V-2. 下記の工程:
(V-1A)第一の分別カラム中で反応混合物の少なくとも一部を分別してアミン塩を含む第一の下部流出物、シクロヘキシルベンゼンを含む第一の中間流出物、並びにフェノール、シクロヘキサノン及び水を含む第一の上部流出物を生成する工程、
(V-1B)第一の上部流出物の少なくとも一部を受け取るように構成された第一の分別カラムと流体連通の第二の分別カラム中で分別してフェノール及びシクロヘキサノンを含む第二の下部流出物と、水を含む第二の上部流出物を生成する工程、
(V-1C) 第二の下部流出物の少なくとも一部及び抽出溶媒を受け取るように構成された第二の分別カラムと流体連通の第三の分別カラム中で分別してフェノール及び抽出溶媒を含む第三の下部流出物と、少なくとも60質量%のシクロヘキサノン(その%は第三の上部流出物の合計質量を基準とする)を含む第三の上部流出物を生成する工程、
(V-1D)第三の上部流出物の少なくとも一部を受け取るように構成された第三の分別カラムと流体連通の任意の第四の分別カラム中で分別してシクロヘキサノンの沸点より高い通常の沸点を有する成分を含む第四の下部流出物と、少なくとも90質量%のシクロヘキサノン(その%は第四の上部流出物の合計質量を基準とする)を含む第四の上部流出物を生成する工程、
(V-1E)第三の下部流出物の少なくとも一部を受け取るように構成された第三の分別カラムと流体連通の第五の分別カラム中で分別して抽出溶媒を含む第五の下部流出物と、少なくとも60質量%のフェノール(その%は第五の上部流出物の合計質量を基準とする)を含む第五の上部流出物を生成する工程、及び
(V-1F)第五の上部流出物の少なくとも一部を受け取るように構成された第五の分別カラムと流体連通の第六の分別カラム中で分別してシクロヘキシルベンゼンを含む第六の底部流出物と、少なくとも90質量%のフェノール(その%は第六の上部流出物の合計質量を基準とする)を含む第六の上部流出物を生成する工程
を含む、V-1 の方法。
VI-1. III-1 のシステムを使用するフェノール及び/又はシクロヘキサノンの製造方法。
VII-1.IV-1又はIV-2の方法、及びV-1 又はV-2 の方法を含む、フェノール及び/又はシクロヘキサノンの製造方法。