特許第6078201号(P6078201)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6078201シートを加工する方法及びシートの加工装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6078201
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】シートを加工する方法及びシートの加工装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 11/00 20060101AFI20170130BHJP
   B26D 5/00 20060101ALI20170130BHJP
   B26D 1/02 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B26D11/00
   B26D5/00 F
   B26D1/02 A
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-174898(P2016-174898)
(22)【出願日】2016年9月7日
【審査請求日】2016年9月7日
(31)【優先権主張番号】特願2015-239190(P2015-239190)
(32)【優先日】2015年12月8日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599040355
【氏名又は名称】日本製図器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100201684
【弁理士】
【氏名又は名称】橋爪 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】福田 正範
(72)【発明者】
【氏名】越智 登志郎
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−230227(JP,A)
【文献】 特開2009−28860(JP,A)
【文献】 特開2004−148708(JP,A)
【文献】 特開2007−307655(JP,A)
【文献】 実開昭60−14896(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/149378(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置において、加工対象のシートに複数の工具を選択的に接触及び離接させると共に前記シートに対し前記複数の工具を第1の方向に相対的に移動させることにより、前記シートに前記第1の方向に延在する複数の第1の加工線を形成する第1の加工部と、
第2の位置において、前記シートに複数の工具を選択的に接触及び離接させると共に、前記シートに対して前記複数の工具を前記第1の方向に直交する第2の方向に相対的に移動させることにより、前記シートに前記第2の方向に延在する複数の第2の加工線を形成する第2の加工部と、
第3の位置において、前記シートに工具を選択的に接触及び離接させると共に前記シートと前記工具とを相対的に移動することにより、第3の加工線を前記シートに形成する第3の加工部と、
前記シートを、前記第1の位置、前記第2の位置と前記第3の位置との間で搬送する搬送装置と、
を備えるシート加工装置。
【請求項2】
前記第1の加工部は、前記複数の工具の位置を固定して、前記シートを前記第1の方向に搬送し、
前記第2の加工部は、前記シートの位置を固定して、前記複数の工具を前記第2の方向に移動し、
前記第3の加工部は、前記シートの位置を固定して、前記工具を二次元的に移動する、
請求項1に記載のシート加工装置。
【請求項3】
前記第1から第3の加工位置は、直線上に配置されており、
前記第1の加工部は、前記複数の工具の位置を固定して、前記シートを前記直線に平行に搬送し、
前記第2の加工部は、前記シートの位置を固定して、前記工具を前記直線に略直交する方向に移動し、
前記第3の加工部は、前記シートの位置を固定して、前記工具を前記直線に平行な方向と前記直線に直交する方向に同調して移動する、
請求項2に記載のシート加工装置。
【請求項4】
前記第1の加工部は、前記シートを前記第2の位置又は第3の位置に搬送しつつ第1の加工を実行する、
請求項2又は3に記載のシート加工装置。
【請求項5】
前記工具は、前記シートを切断する刃と、該刃の向きを制御する角度制御機構と、を含み、
前記加工線は、前記刃により形成された切断線である、
請求項1から4の何れか1項に記載のシート加工装置。
【請求項6】
前記工具は、折目線を形成する押罫部材と従動的に前記押罫部材の向きを調整する向き調整機構とを備える、
請求項1から5の何れか1項に記載のシート加工装置。
【請求項7】
前記シートの加工データから、前記第1の加工線を形成するための第1の加工データと、前記第2の加工線を形成するための第2の加工データと、前記第3の加工線を形成するための第3の加工データとを識別する制御装置を備え、
前記第1の加工部は、前記第1の加工データに基づいて、前記第1の加工線を形成し、
前記第2の加工部は、前記第2の加工データに基づいて、前記第2の加工線を形成し、
前記第3の加工部、前記第3の加工データに基づいて、前記第3の加工線を形成する、
請求項1から6の何れか1項に記載のシート加工装置。
【請求項8】
第1の位置において、複数の工具を加工対象のシートに選択的に接触及び離接させると共に前記シートに対し前記複数の工具を第1の方向に相対的に移動させることにより、前記シートに前記第1の方向に延在する複数の第1の加工線を並行して形成する第1の加工工程と、
第2の位置において、複数の工具を前記シートに選択的に接触及び離接させると共に、前記シートに対して複数の工具を前記第1の方向に直交する第2の方向に相対的に移動させることにより、前記シートに前記第2の方向に延在する複数の第2の加工線を並行して形成する第2の加工工程と、
第3の位置において、工具を前記シートに選択的に接触及び離接させると共に前記シートと前記工具とを相対的に移動することにより、第3の加工線を前記シートに形成する第3の加工工程と、
前記シートを、前記第1の位置、前記第2の位置と前記第3の位置との間で搬送する搬送工程と、
を含むシートの加工方法。
【請求項9】
コンピュータに、
第1の位置において、加工対象のシートに複数の工具を選択的に接触及び離接させると共に前記シートに対し前記複数の工具を第1の方向に相対的に移動させることにより、前記シートに前記第1の方向に延在する複数の第1の加工線を形成するように、前記工具の駆動機構と前記シートの搬送機構を制御するステップと、
第2の位置において、前記シートに複数の工具を選択的に接触及び離接させると共に、前記シートに対して複数の工具を前記第1の方向に直交する第2の方向に相対的に移動させることにより、前記シートに前記第2の方向に延在する複数の第2の加工線を形成するように、前記工具の駆動機構と前記シートの搬送機構とを制御するステップと、
第3の位置において、前記シートに工具を選択的に接触及び離接させると共に前記シートと前記工具とを相対的に移動することにより、第3の加工線を前記シートに形成するように、前記工具の駆動機構を制御するステップと、
を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを加工する方法及び加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを切断加工及び押罫加工して、加工後のシートを組み立てて梱包箱やディスプレイとして使用することが行われている。
【0003】
シートを切断加工及び押罫加工する方法として、一般に、打ち抜き型を用いる方法とカッティングプロッタを用いる方法が使用されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、被切断媒体を第1の方向に駆動するとともに、刃を第1の方向と直交する第2の方向に駆動することにより、被切断媒体を所望の形状に切断するカッティングプロッタが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、カッタをX軸方向とY軸方向に移動させて、材料を切断する方法が記載されている。
【0006】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005―230917号公報
【特許文献2】特開平7―24785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
加工毎に専用の打ち抜き型を用意しなければならず、加工を変更することが容易ではない。打ち抜き型を使用する方法は、型の生産コスト及び保管コスト、さらには自動打ち抜き装置に打ち抜き型を脱着、調整する段取り時間コストが発生する。このため、コストが大きいという問題がある。特に、少量多品種の加工を行う場合には、コストが大きくなる。また、加工形状の変更が困難である。
また、特許文献1及び2が開示された技術は、一つの刃で切断加工を行うものであり、その高速化には自ずと限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、この発明に係るシート加工装置(1)は、
第1の位置において、加工対象のシート(4200)に複数の工具(210,10)を選択的に接触及び離接させると共に前記シートに対し前記複数の工具を第1の方向(X軸方向)に相対的に移動させることにより、前記シートに前記第1の方向に延在する複数の第1の加工線(LX1,LX2)を形成する第1の加工部(1000)と、
第2の位置において、前記シート(4200)に複数の工具(210,10)を選択的に接触及び離接させると共に、前記シートに対して前記複数の工具を前記第1の方向に直交する第2の方向(Y軸方向)に相対的に移動させることにより、前記シートに前記第2の方向に延在する複数の第2の加工線(LY1,LY2)を形成する第2の加工部(2000)と、
第3の位置において、前記シート(4200)に工具(210)を選択的に接触及び離接させると共に前記シートと前記工具とを相対的に移動することにより、第3の加工線(傾斜線、曲線)を前記シートに形成する第3の加工部(3000)と、
前記シートを、第1の位置、第2の位置と第3の位置との間で搬送する搬送装置と、
を備える。
【0010】
例えば、前記第1の加工部(1000)は、前記複数の工具(210,10)の位置を固定して、前記シートを前記第1の方向(X軸方向)に搬送し、前記第2の加工部(2000)は、前記シートの位置を固定して、前記複数の工具(210.10)を前記第2の方向(Y軸方向)に移動し、前記第3の加工部は、前記シートの位置を固定して、前記工具(10)を二次元的に移動する。
【0011】
例えば、前記第1から第3の加工位置は、直線上に配置されており、第1の加工部(1000)は、前記複数の工具の位置を固定して、前記シートを前記直線に平行に搬送し、第2の加工部(2000)は、前記シートの位置を固定して、前記工具を前記直線に略直交する方向に移動し、第3の加工部(3000)は、前記シートの位置を固定して、前記工具を前記直線に平行な方向と前記直線に直交する方向に同調して移動する。
【0012】
例えば、第1加工部は、前記シートを前記第2の位置又は第3の位置に搬送しつつ前記第1の加工を実行する。
【0013】
例えば、前記工具は、シートを切断する刃(10)と、該刃の向きを制御する角度制御機構(120)と、を含み、前記加工線は、前記刃により形成された切断線である。
【0014】
例えば、前記工具は、折目線を形成する押罫部材(210)と従動的に前記押罫部材の向きを調整する向き調整機構とを備える。
【0015】
例えば、前記シートの加工データから、前記第1の加工線を形成するための第1の加工データと、前記第2の加工線を形成するための第2の加工データと、前記第3の加工線を形成するための第3の加工データとを識別する制御装置を備えてもよい。この場合、前記第1加工部は、前記第1の加工データに基づいて、前記第1の加工線を形成し、前記第2加工部は、前記第2の加工データに基づいて、前記第2の加工線を形成し、前記第3加工部、前記第3の加工データに基づいて、前記第3の加工線を形成する。
【0016】
上記目的を達成するため、この発明に係るシート加工方法は、
第1の位置において、複数の工具を加工対象のシートに選択的に接触及び離接させると共に前記シートに対し前記複数の工具を第1の方向に相対的に移動させることにより、前記シートに前記第1の方向に延在する複数の第1の加工線を並行して形成する第1の加工工程と、
第2の位置において、複数の工具を前記シートに選択的に接触及び離接させると共に、前記シートに対して複数の工具を前記第1の方向に直交する第2の方向に相対的に移動させることにより、前記シートに前記第2の方向に延在する複数の第2の加工線を並行して形成する第2の加工工程と、
第3の位置において、工具を前記シートに選択的に接触及び離接させると共に前記シートと前記工具とを相対的に移動することにより、第3の加工線を前記シートに形成する第3の加工工程と、
前記シートを、第1の位置、第2の位置と第3の位置との間で搬送する搬送工程と、
を含む。
【0017】
上記目的を達成するため、この発明に係る第1のコンピュータプログラムは、
コンピュータに、
第1の位置において、加工対象のシートに複数の工具を選択的に接触及び離接させると共に前記シートに対し前記複数の工具を第1の方向に相対的に移動させることにより、前記シートに前記第1の方向に延在する複数の第1の加工線を形成するように、前記工具の駆動機構と前記シートの搬送機構を制御するステップと、
第2の位置において、前記シートに複数の工具を選択的に接触及び離接させると共に、前記シートに対して複数の工具を前記第1の方向に直交する第2の方向に相対的に移動させることにより、前記シートに前記第2の方向に延在する複数の第2の加工線を形成するように、前記工具の駆動機構と前記シートの搬送機構とを制御するステップと、
第3の位置において、前記シートに工具を選択的に接触及び離接させると共に前記シートと前記工具とを相対的に移動することにより、第3の加工線を前記シートに形成するように、前記工具の駆動機構を制御するステップと、
を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、専用の打ち抜き型などを用いることなく加工が可能であり、加工形状を任意に調整できる。また、段取り時間を抑えることができる。また、加工コストも抑えることができる。また、複数の工具で並行して加工を行うので、加工を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願発明の実施の形態にかかるシート加工装置の斜視図
図2図1に示すシート加工装置の押罫機構の構成図
図3図1に示すシート加工装置の切断機構の構成図
図4図1に示すシート加工装置の制御機構の構成図
図5】(A)〜(D)は、シートの加工の例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下に本願発明を実施する形態に係るシート加工装置とシート加工方法を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
本実施の形態に係るシート加工装置1は、図1に示すように、処理対象のシート4200に工具(押罫部材210とカッタ刃10)を用いて切断加工と押罫加工を施す装置である。シート加工装置1は、第1のステージ1000と、第2のステージ2000と、第3のステージ3000を備える。シート加工装置1は、シート4200を、第1ステージ1000から第3ステージ3000に搬送しつつ、順次加工する。
【0022】
以下の説明では、理解を容易にするため、図1に示すように、XYZ座標を設定し、適宜参照する。X軸方向は、シート4200の搬送方向であり、Y軸方向はシート4200の搬送方向と直交し且つシート4200と平行である方向、Z軸方向はシート4200の表面に垂直な方向である。なお、単にX軸方向、Y軸方向、Z軸方向と説明する際には、±X軸方向、±Y軸方向、±Z軸方向を含む。
【0023】
第1ステージ1000〜第3ステージ3000の上面は、面一に形成され、全体として1つの載置面を形成している。シート4200が載置されたテーブル4100が、載置面上を搬送される。テーブル4100を搬送する搬送機構は既知の任意の構成を採用可能である。例えば、搬送機構は、シート加工装置1に形成され、X軸方向に延在するラックと、テーブル4100に形成されたピニオンとから構成される。ピニオンとラックは噛み合っている。ピニオンの回転に伴ってテーブル4100は±X軸方向に移動する。
【0024】
加工対象のシート4200は、テーブル4100の所定の位置に且つ所定の向きに配置される。シート4200としては板紙、段ボールや樹脂製フィルムなどがある。シート4200の形状、サイズ、材質は限定されない。テーブル4100は、その表面に微細な穴が開けられており、内部に吸引機構を有する。シート4200は、吸引力によってテーブル4100の上面に吸着される。
【0025】
第1ステージ1000には、6つの押罫機構1110〜1160と、6つの切断機構1210〜1260が配置されている。
【0026】
押罫機構1110〜1160は、押罫部材をシート4200に押し当てて、X軸方向に延在する折目線(以下、X折目線)をシート4200に形成する。
【0027】
押罫機構1110〜1160は、Y軸方向に延在して配置された固定フレーム1100に支持されている。各押罫機構1110〜1160は、それぞれ、移動機構を有し、互いに独立して、固定フレーム1100に沿ってY軸方向に移動可能に構成されている。移動機構は、ラックアンドピニオン機構、ボール螺子による直動機構、タイミングベルト移動機構などから構成される。移動機構の動力源は、ステッピングモータ、サーボモータ等から構成される。
【0028】
押罫機構1110〜1160の詳細な構造を、図2を参照して説明する。
図2は、押罫機構1110の構造を示す。押罫機構1120〜1160も押罫機構1110と同様の構成を有する。
【0029】
図示するように、押罫機構1110は、フレーム201と、ブラケット202と、押罫部材210と、ローラ保持部材223と、ガイド部材221と、上下動用モータ220と、スライド機構222と、スライド用モータ230と、ピニオン231と、ラック232と、スライド機構240a、240bとを備える。
【0030】
押罫部材210は、円板から構成されている。この円板は外縁部の厚みが徐々に薄くなり、周縁が尖った形状を有する。押罫部材210の中心軸211はローラ保持部材223に回転自在に保持されており、R1方向に回転可能である。
【0031】
ローラ保持部材223はガイド部材221を介して上下動用モータ220の軸224に、軸224と同軸の回転軸225を中心に回動可能に保持されている。これにより、押罫部材210に受ける力に応じて、押罫部材210の向きが自由に変化する。
上下動用モータ220はボール螺子機構を内蔵し、その回転により、軸224がZ軸方向(上下方向)に出し入れされる。
【0032】
ガイド部材221は軸224に固定され、上下動用モータ220の側面に沿って上方に延在している。ガイド部材221の上端部には、スライダ222が固定されている。スライダ222は、上下動用モータ220の側面にZ軸方向に延在して装着されたレール220aにスライド可能に取りつけられている。
【0033】
スライダ222がレール220aに沿ってZ軸方向に移動することにより、ガイド部材221を介して、押罫部材210もZ軸方向(上下方向)に移動する。
【0034】
上下動用モータ220はブラケット202を介してフレーム201に固定されている。フレーム201はX軸方向に延びる腕部を備える。この腕部には、横移動用モータ230が固定されている。横移動用モータ230の回転軸にはピニオン231が固定されている。ピニオン231は、固定フレーム1100に固定され、Y軸方向に延在するラック232と噛み合っている。フレーム201にはスライダ240aが取り付けられている。一方、固定フレーム1100には、Y軸方向に延在するレール240bが固定されている。スライダ240aは、レール240bにスライド可能に取りつけられている。この構成により、モータ230の回転により、フレーム201及びフレーム201に支持された押罫部材210がY軸方向にスライドする。
【0035】
図示せぬ制御部は、押罫加工を開始する前に、横移動用モータ230を駆動してピニオン231を回転することで、フレーム201を±Y軸方向へ移動し、押罫部材210をシート4200の押罫加工する位置に配置する。制御部は、押罫加工を開始する時に、上下動用モータ220を駆動して軸224をモータ220本体から突出させ、押罫部材210をシート4200の押罫加工の開始位置に押し当てる。制御部は、その後、押罫部材210の位置を固定したまま、テーブル4100を±X軸方向に搬送する。テーブル4100の搬送に伴って加工対象のシート4200がX軸方向に移動し、押罫部材210がシート4200の移動に伴って回転し、シート4200に折目線を形成する。
【0036】
押罫部材210をシート4200に押し込む量(深さ)は、シート4200の厚みや材質によって微調整が必要である。例えば、上下動用モータ220の駆動を制御することにより押罫部材210をシート4200に押し込む量を調整することが可能である。
【0037】
図1に示す切断機構1210〜1260は、Y軸方向に延在する固定フレーム1200に配置されている。押罫機構1110〜1160と同様に、切断機構1210〜1260は、それぞれ、移動機構により、固定フレーム1200に沿ってY軸方向に移動し、切断加工位置に移動出来る。
【0038】
切断機構1210〜1260の詳細な構造を、図3を参照して説明する。
図3は、切断機構1210の構造を示す。切断機構1220〜1260も切断機構1210と同様の構成を有する。
切断機構1210は、図示するように、カッタ刃10、カッタホルダ30、カッタ軸40、スリーブ50、プーリ51、検知板52、センサ53、ハウジング55、偏心カム60、圧縮バネ65、振動モータ110、角度調整用モータ120、プーリ121、タイミングベルト122、を備える。
【0039】
カッタ刃10は、カッタホルダ30に取り外し可能に装着されている。カッタホルダ30はカッタ軸40に固定されている。カッタ軸40は、スリーブ50内に、所定のストロークのみその中心軸方向(Z軸方向)に移動可能に保持されている。スリーブ50はハウジング55内でカッタ軸40の中心軸を中心に回転可能に保持されている。スリーブ50にはプーリ51が同軸で固定されている。プーリ51は、角度調整用モータ120の回転軸に同軸で固定されたプーリ121とタイミングベルト122で連結されている。検知板52はプーリ51に固定され、センサ53は検知板52を検知する。
【0040】
角度調整用モータ120の回転により、プーリ121が回転し、プーリ121の回転により、タイミングベルト122を介して、プーリ51とプーリ51に固定されたスリーブ50が回転する。スリーブ50が回転すると、スリーブ50内でカッタ軸40も回転し、カッタホルダ30に保持されたカッタ刃10がZ軸回りに回転する。カッタ刃10の回転量はセンサ53が検知板52を検知することで測定できる。
【0041】
ハウジング55の上部には振動モータ110が固定されている。振動モータ110の回転軸には偏心カム60が固定されている。偏心カム60は、カッタ軸40の上部に配置されている。カッタ軸40は、その上端部が偏心カム60に当接するように圧縮バネ65により上方に付勢されている。
【0042】
振動モータ110が回転すると、偏心カム60も回転し、偏心カム60に当接しているカッタ軸40がその軸方向に移動する。これにより、カッタ刃10がカッタ軸40の軸方向に振動する。
【0043】
ハウジング55はベース75に固定されている。ベース75にはスライダ150aが固定されている。スライダ150aは、Z軸方向に延在し、フレーム151に固定されたレール150bにスライド可能に保持されている。ベース75には、Z軸方向に延在するラック80が固定されている。ラック80には、ピニオン70が噛み合っている。ピニオン70は、フレーム151に固定された上下動用モータ130により駆動される。
【0044】
上下動用モータ130が回転すると、ピニオン70が回転し、ラック80をZ軸方向へ移動させる。ラック80の移動に伴って、フレーム75もZ軸方向に移動し、フレーム75に保持されたカッタ刃10をZ軸方向へ移動させる。
【0045】
フレーム151にはスライダ160aが固定されている。一方、固定フレーム1200には、Y軸方向に延在するレール160bが固定されている。スライダ160aは、スライド可能にレール160bに取りつけられている。これにより、フレーム151は、固定フレーム1200にY軸方向へ移動可能に保持される。固定フレーム1200にはラック100が固定されている。ラック100と噛み合うピニオン90は、フレーム151に固定された横移動用モータ140の回転軸と連結される。
【0046】
横移動用モータ140が回転すると、ピニオン90が回転し、固定フレーム1200に沿って、フレーム151がY軸方向に移動する。
【0047】
制御部は、切断加工をする前に、横移動用モータ140を駆動してフレーム151をY軸方向に移動して、カッタ刃10を、シート4200を切断する位置に移動する。次に、制御部は、角度調整用モータ120を駆動して、カッタ刃10の向きを形成予定の切断線の向き(X軸方向とY軸方向の向き)に一致させる。振動用モータ110を駆動してカッタ刃10にZ軸方向の振動を与える。切断加工を開始するときに上下動用モータ130を駆動し、カッタ刃10がシート4200を切断する位置へ移動する。その後、カッタ刃10の位置を固定した状態で、シート4200をX軸方向に移動させることで、被加工シート4200に切断線を形成する。
【0048】
図1に示す第2のステージ2000は、被加工シート4200に、Y軸方向に延びる加工線(以下、Y加工線)を形成するためのステージである。第2ステージ2000では、シート4200は、停止した状態で加工される。
【0049】
第2のステージ2000には、Y軸方向に延在する一対の固定フレーム2300と2400が配置されている。
固定フレーム2300と2400に掛け渡されて、移動フレーム2100と2200とが配置されている。移動フレーム2100と2200は、それぞれ、移動機構2170と2270により、固定フレーム2300と2400上を、Y軸方向に移動可能である。
【0050】
移動フレーム2100は、6つの押罫部材2110〜2160を備える。
各押罫部材2110〜2160は、図2に示す構成を有し、押罫部材210をシート4200に押しつけ又は離接し、また、移動フレーム2100に沿ってX軸方向に移動する。押罫部材210をシート4200に押しつけた状態で、移動フレーム2100がY軸方向に移動すると、シート4200には、Y軸方向に延在する折り曲げ線が形成される。
【0051】
移動フレーム2200は、6つの切断部材2210〜2260を備える。
各切断部材2210〜2260は、図3に示す構成を有し、カッタ刃10を、シート4200を貫通させ又は離接し、また、移動フレーム2200に沿ってX軸方向に移動する。カッタ刃10をシート4200に貫通させた状態で、移動フレーム2200がY軸方向に移動すると、シート4200には、Y軸方向に延在する切断線が形成される。
【0052】
なお、被加工シート4200を吸着したテーブル4100が移動中に、第2ステージ2000で先に加工する方(例えば回転ローラ機構)を相手方の原点位置(例えばカッタ機構)側へ送り込んでおけばさらに加工時間を短縮することが出来る。
【0053】
図1に示す第3のステージ3000は、被加工シート4200に、傾斜線か曲線状の切断線を形成するためのステージである。第3ステージ3000では、シート4200は、停止した状態で加工される。
【0054】
第3のステージ3000の両側部に、X軸方向に延在するレール3210が固定されている。
レール3210に掛け渡されて、移動フレーム3100が配置されている。移動フレーム3100は、駆動機構3220を備え、レール3210上を、移動可能に形成されている。
【0055】
移動フレーム3100は、2つの切断部材3110、3120を備える。
各切断部材3110、3120は、図3に示す構成を有し、カッタ刃10を、シート4200を貫通させ又は離接し、また、移動フレーム3100に沿ってY軸方向に移動する。
【0056】
次に、シート加工装置1の内部構造について説明する。
シート加工装置1は、上述した各モータを駆動するための制御機構400を備える。
【0057】
制御機構400は、図4に示すように、記憶部410と、第1ステージドライバ420と、第2ステージドライバ430と、第3ステージドライバ440と、搬送ドライバ450と、制御部460と、を備える。
【0058】
記憶部410は、切断加工と押罫加工の内容を定義するCADデータを記憶する。
【0059】
第1ステージドライバ420は、制御部460の制御に従って、第1ステージ1000の各モータを駆動する。第1ステージ1000のモータは、押罫機構1110〜1160の上下動用モータ220と横移動用モータ230、各切断機構1210〜1260の振動モータ110と角度調整用モータ120と上下動用モータ130と横移動用モータ140とを含む。
【0060】
第2ステージドライバ430は、制御部460の制御に従って、第2ステージ2000の各モータを駆動する。第2ステージ2000のモータは、移動フレーム2100と2200をそれぞれY軸方向に移動するモータ、押罫機構2110〜2160の上下動用モータ220と横移動用モータ230、各切断機構2210〜2260の振動モータ110と角度調整用モータ120と上下動用モータ130と横移動用モータ140とを含む。
【0061】
第3ステージドライバ440は、制御部460の制御に従って、第3ステージ3000のモータを駆動する。第3ステージ3000のモータは、移動フレーム3100をX軸方向に移動するモータと、各切断機構3110、3120の振動モータ110と角度調整用モータ120と上下動用モータ130と横移動用モータ140とを含む。
【0062】
搬送ドライバ450は、搬送機構のモータを制御し、テーブル4100を搬送する。
【0063】
制御部460は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力装置(I/O装置)等から構成される。
【0064】
ROMは、CPUが実行するための制御プログラムを記憶する。この制御プログラムは、記憶部410に記憶されているCADデータを解析して、解析結果に基づいて、第1ステージ1000〜第3ステージ3000の各モータと、搬送機構を制御する動作をCPUに実行させるためのプログラムである。制御の詳細は後述する。
【0065】
RAMは、CPUのワークメモリとして機能し、展開されたCADデータ、加工対象のシート4200の位置、各押罫部材210、カッタ刃10の位置等を記憶する。
【0066】
CPUは、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、記憶部410に記憶されたCADデータをRAMに展開し、展開したCADデータを解析して、加工線(切断線と押罫線)を、X軸方向に延在する加工線(以下、X加工線と呼ぶ)、Y軸方向に延在する加工線(以下、Y加工線と呼ぶ)、曲線又は傾斜線の加工線に分類する。次に、CPUは、X加工線のデータに基づいて、第1ステージドライバ420と搬送ドライバ450とを介して、第1ステージ1000のモータと搬送機構のモータとを同期して制御し、X加工線を形成する。
【0067】
続いて、CPUは、搬送ドライバ450を介してテーブル4100を搬送し、シート4200を第2ステージ2000に搬送する。
【0068】
続いて、CPUは、Y加工線のデータに基づいて、第2ステージドライバ430を介して、第2ステージ2000のモータを制御し、Y加工線を形成する。
【0069】
続いて、CPUは、搬送ドライバ450を介してテーブル4100を搬送し、シート4200を第3ステージ3000に搬送する。
【0070】
続いて、CPUは、曲線又は傾斜線の加工線のデータに基づいて、第3ステージドライバ440を介して、第3ステージ3000の各モータを制御し、曲線又は傾斜線の加工線を形成する。
【0071】
次に、上記構成を有するシート加工装置1によるシートの加工方法を説明する。
理解を容易にするため、図5(A)に示すように、シート4200から箱の展開シート4300を得るように、シート4300に切断加工線及び押罫線施す例を参照しつつ説明する。なお、図5(A)において、実線は切断線、破線は押罫線を示し、全体として箱の展開図に相当する。
【0072】
また、シート4200の一角を基準として、直交するU軸とV軸を設定し、適宜参照する。また、シート4200は、U軸がX軸に平行、V軸がY軸に平行になるように、テーブル4200にセットされるものとする。制御部460は、シート4200のセンサによりシート加工装置1のXYZ座標上の位置を判別することで、各工具のUV座標上での位置を求めることができる。
【0073】
まず、記憶部410に、展開シートの加工内容を定義するCADデータが記憶される。
【0074】
制御部460は、CADデータを解析し、図5(B)に模式的に示すX軸方向に延在するX加工線と図5(C)に模式的に示すY軸方向に延在するY加工線を抽出する。残りの加工線が、図5(D)に示す曲線/傾斜加工線となる。
【0075】
制御部460は、図5(B)に示す押罫線と切断線に第1ステージ1000の押罫機構1110〜1160と切断機構1210〜1260を割り当てる。ここでは、切断線LX1に切断機構1260を、押罫線LX2に押罫部材1160を有り当てることとする。また、制御部460は、各加工線の始点と終点を求める。
【0076】
次に、制御部460は、図5(C)に示すY押罫線とY切断線に第2ステージ2000の押罫機構2110〜2160と切断機構2210〜2260を割り当てる。ここでは、Y切断線LY1に切断機構2260を、Y押罫線LY2に押罫機構2160を有り当てることとする。また、制御部460は、各加工線の始点と終点を求める。
【0077】
同様に、制御部460は、図5(D)に示す各切断線を第3ステージ3000の切断部材に割り当てる。また、制御部460は、各加工線の始点と終点を求める。
制御部460は、シート4200のセンサによりシート加工装置1のXYZ座標上の位置を判別する。制御部460は、各工具のXYZ座標上の位置を把握しており、座標変換により、各工具のUV座標上での位置を求めることができる。
【0078】
次に、加工対象のシート4200をテーブル4100上に配置する。テーブル4100に備えた吸引機構によりシート4200はテーブル4100に固定される。
【0079】
制御部460は、第1ステージドライバ420を介して、各押罫機構1110〜1160を、固定フレーム1100に沿って移動させ、対応するX押罫線のY軸方向の形成位置に移動させる。制御部460は、同様に、第1ステージドライバ420を介して、各切断機構1210〜1260を、固定フレーム1200に沿って移動させ、対応するX切断線のY軸方向の形成位置に移動させる。図4の例では、押罫機構1160をX折り線LX2のY軸方向位置、切断機構1260をX切断線LX1のY軸方向位置に移動させる。
【0080】
一方で、制御部460は、搬送ドライバ450を介して搬送機構を駆動し、テーブル4100を押罫機構1110〜1160及び切断機構1210〜1260に向けて搬送する。
【0081】
制御部460は、シート4200上の各X押罫線の始点が、そのX押罫線に割り当てられている押罫機構1110〜1160の部材210の位置に達したか否かを判別する。制御部460は、達したと判別すると、その押罫機構1110〜1160のモータ220を駆動して、押罫部材210をシート4200に押し当てる。押罫部材210は、シート4200の搬送に伴って、その向きがX軸方向となる。
【0082】
以後、押罫部材210がシート4200を押圧し、シート4200のX軸方向への搬送により、X軸方向に延びる折目線が形成される。
【0083】
制御部460は、シート4200上の各X押罫線の終点が、そのX押罫線に割り当てられている押罫機構1110〜1160の部材210の位置に達したか否かを判別する。制御部460は、達したと判別すると、その押罫機構1110〜1160のモータ220を駆動して、押罫部材210をシート4200から離し、非加工位置へ移動させる。これにより、始点から終点までX軸方向に延びる折目線がシート4200に形成される。
【0084】
同様に、制御部460は、シート4200上の各X切断線の始点が、そのX切断線に割り当てられている切断機構1210〜1260のカッタ刃10の位置に達したか否かを判別する。制御部460は、達したと判別すると、その切断機構1210〜1260の上下動用モータ130を駆動して、カッタ刃10をシート4200に貫通させる。また、制御部460は、角度調整用モータ120を駆動して、カッタ刃10の向きを−X軸方向に向ける。さらに、制御部460は、振動用モータ110を駆動し、カッタ刃10を上下に振動させる。
【0085】
以後、カッタ刃10が振動しながらシート4200を切断し、シート4200にX軸方向に延びる切断線が形成される。
【0086】
制御部460は、シート4200上の各X切断線の終点が、そのX切断線に割り当てられている切断機構1210〜1260のカッタ刃10の位置に達したと判別すると、切断機構1210〜1260の上下動用モータ130を駆動して、カッタ刃10をシート4200から離し、非加工位置へ移動させる。これにより、始点から終点までX軸方向に延びる折目線がシート4200に形成される。制御部460は、また、振動用モータ110を停止する。
【0087】
図4の例では、制御部460は、切断線LX1の始点PX1の位置が、切断機構1260のカッタ刃10の位置に達すると、制御部460は、上下動用モータ130を駆動して、カッタ刃10をシート4200に貫通させる。なお、カッタ刃10の向きは−X軸方向に予め調整されている。これにより、シート4200がカッタ10により切断される。一方、制御部460は、シート4200の切断線LX1の終点PX2の位置が、切断機構1260のカッタ刃10の位置に達すると、上下モータ230を駆動して、カッタ刃10をシート4200から離す。これにより、シート4200にX軸方向に延在する切断線LX1が形成される。
【0088】
同様に、シート4200の押罫線LX2の始点PX3の位置が、押罫機構1160の押罫部材210の位置に達すると、制御部460は、上下動用モータ220を駆動して、押罫部材210をシート4200に押しつける。これにより、シート4200が押罫部材210により折目線が形成される。一方、制御部460は、シート4200の押罫線LX2の終点PX4の位置が、押罫機構1160の押罫部材210の位置に達すると、上下動用モータ220を駆動して、押罫部材210をシート4200から離す。これにより、シート4200にX軸方向に延在する折目線LX2が形成される。
【0089】
テーブル4100の第1ステージ1000上の搬送が終了すると、
シート4200への縦加工線の形成が完了する。
こうして、シート4200を第1ステージ1000から第2ステージ2000に搬送しながら、シート4200の加工が完了する。
【0090】
なお、テーブル4100の1回の搬送で全ての折目線と切断線を形成できない場合には、テーブル4100を第1ステージ1000上の基準位置に戻し、再度テーブル4100をX軸方向に移動しながら、残りの加工線を形成すればよい。
また、シート4200を−X軸方向に搬送する際に加工してもよい。この場合、制御部460は、第1ステージドライバ420を介して、角度調整用モータ120を制御して、カッタ刃10を+X軸方向に向ける。また、押罫部材210は、シート4200の動きに従って回転し、その向きを変更する。
【0091】
こうして、シート4200(テーブル4100)が第2のステージ2000の所定の位置へ移動したときには、シート4200にX折目線とX切断線の加工は完了している。
【0092】
続いて、制御部460は、テーブル4200を第2ステージ2000の基準位置まで搬送する。
【0093】
続いて、制御部460は、第2ステージドライバ430を介して、押罫機構2110〜2160の横移動用モータ230を制御して、各押罫部材210を、その押罫部材210に割り当てられたY折目線のX座標の位置に移動させる。同様に、制御部460は、第2ステージドライバ430を介して、横移動用モータ140を駆動して、各カッタ刃10を、対応するY切断線のX座標位置に移動させる。
【0094】
次に、制御部460は、テーブル4100を固定した状態のまま、第2ステージドライバ430を介して移動機構2170を駆動し、移動フレーム2100を、固定フレーム2300に沿って−Y軸方向に移動させる。
【0095】
各押罫部材210が対応するY折目線の始点位置に達したと判定すると、制御部460は、押罫機構1110〜1160のモータ220を駆動して、その押罫部材210をシート4200に押し当てる。以後、押罫部材210がシート4200を押圧した状態のまま、移動フレーム2100は−Y軸方向に移動し、Y軸方向に延びる折目線が形成される。制御部460は、押罫部材210が形成中の横折目線の終点位置に達すると、上下動用モータ220を駆動して、押罫部材210をシート4200から離す。これにより、始点から終点までY軸方向に延びる折目線がシート4200に形成される。
制御部460は、折目線の形成が終了すると、移動フレーム2100をホームポジションに戻す。
【0096】
続いて、制御部460は、テーブル4100を固定した状態のまま、第2ステージドライバ430を介して移動機構2270を駆動し、移動フレーム2200を、固定フレーム2300、2400に沿って+Y軸方向に移動させる。また、制御部460は、各切断機構2210〜2260の角度調整用モータ120を駆動して、カッタ刃10を+Y軸方向に向ける。
【0097】
制御部460は、各押罫部材210が対応するY折目線の始点位置に達したと判定すると、切断機構2210&#12316;2260の上下動用モータ130を駆動して、カッタ刃10をシート4200に貫通させる。また、振動用モータ110を駆動して、カッタ刃10を上下方向に振動させる。
【0098】
以後、カッタ刃10がシート4200を貫通して上下動した状態のまま、移動フレーム2200は+Y軸方向に移動し、Y軸方向に延びる切断線が形成される。制御部460は、カッタ刃10が切断線の終点位置に達すると、上下動用モータ130を駆動して、カッタ刃10をシート4200から離す。また、振動用モータ110を停止する。これにより、始点から終点までY軸方向に延びる切断線がシート4200に形成される。
【0099】
制御部460は、切断線の形成が終了すると、移動フレーム2100をホームポジションに戻す。
【0100】
図4の例を参照すると、制御部460は、移動フレーム2100の移動により、押罫機構2160の押罫部材210が押罫線LY2の始点PY3に到達すると、制御部460は、押罫部材210をシート2000に押しつける。制御部460は、押罫機構2160の押罫部材210が押罫線LY2の終点PY4に到達すると、押罫部材210をシート4200から離す。これにより折目線LY2が形成される。
【0101】
折目線の形成が完了すると、制御部460は、移動フレーム2200を+Y軸方向に移動する。この移動により、切断機構2260の+Y軸方向を向いたカッタ刃10が切断線LY1の始点PY1に到達すると、制御部460は、カッタ刃10にシート2000を貫通させる。制御部460は、切断機構2260のカッタ刃10が切断線LY1の終点PY2に到達すると、カッタ刃10をシート4200から離す。これにより切断線LY1が形成される。
【0102】
全てのY押罫線及びY切断線の形成が完了すると、シート4200を固定したままテーブル4100を第3のステージ3000の基準位置へ移動させる。
【0103】
制御部460は、第3のステージ3000で、シート4200に、斜め切断線と曲線剪断線の切断加工を行う。具体的には、制御部460は、第3ステージドライバ440を介して移動機構3220を駆動し、移動フレーム3100をX軸方向に移動し、且つ、移動フレーム3100に沿って切断機構3110,3120を同調(同期)して移動させる。制御部460は、さらに、形成する切断線のカッタ刃10の現在の位置での傾きに合致するように、角度調整用モータ120を駆動して、カッタ刃10の向きを制御する。
【0104】
さらに、制御部460は、第3ステージドライバ440を介して、切断線の開始位置でカッタ刃10を押し下げてシート4200を貫通させ、終了位置でカッタ刃10を引き上げて、シート4200から離接させる。また、切断中は、カッタ刃10を振動させる。さらに、制御部460は、切断中は、形成する切断線のカッタ刃10の現在の位置での傾きに合致するように、角度調整用モータ120を駆動して、カッタ刃10の向きを制御する。
このような動作により、制御部460は、斜め切断線と曲線切断線を形成する。
【0105】
図5に示す例の場合、例えば、曲線切断線L11,L12,L15、L15と斜め切断線L13、L14に切断機構3110に割り当て、曲線切断線L21,L22,L23、L24を切断機構3120を割り当てる。続いて、制御部460は、移動フレーム3100をX軸方向に移動させながら、切断機構3120と3110を移動フレーム3100に沿って移動させ、カッタ刃10の向きを調整し、且つ、カッタ刃10の上下動を制御することにより、各切断線を形成する。
【0106】
なお、加工が終了すると、シート4200は、図示せぬ次段の装置に引き渡され、テーブル4100は図1に示すホームポジションに復帰する。あるいは、加工終了後、テーブル4100は図1に示すホームポジションに復帰し、加工済のシート4200は他装置に引き取られる。
【0107】
このようにして、本実施の形態のシート加工装置1は、加工線のうち、X軸方向の加工線と、Y軸方向の加工線と、その他の加工線とを分離し、それぞれを、並行して、且つ、複数の加工機構で実行する。従って、高速でシート4200を加工することができる。
【0108】
なお、本実施例では、第1ステージ1000では、X軸方向に延在する加工線のみを加工した。ただし、これに限定されず、加工線がX軸方向に対し所定角度、例えば、25°程度以下であるならば、傾斜加工線、曲線加工線を加工してもよい。例えば、テーブル4100をX軸方向に移動させながら、押罫機構1110〜1160をY軸方向に移動させることにより、傾斜したあるいは曲線の折目線を形成してもよい。同様に、テーブル4100をX軸方向に移動させながら、切断機構1210〜1260をY軸方向に移動させることにより、傾斜したあるいは曲線の切断線を形成してもよい。この際、切断機構1210〜1260の動きに同調(同期)して、カッタ刃10の回転角を制御することが望ましい。
【0109】
また、本実施例では、第2ステージ2000では、Y軸方向に延在する加工線のみを加工した。ただし、これに限定されず、加工線がY軸方向に対し所定角度、例えば、25°程度以下であるならば、傾斜加工線、曲線加工線を加工してもよい。例えば、移動フレーム2100をY軸方向に移動させながら、各押罫機構2110〜2160をY軸方向に移動させることにより、傾斜したあるいは曲線の折目線を形成してもよい。同様に、移動フレーム2200をX軸方向に移動させながら、切断機構2210〜2260をX軸方向に移動させることにより、傾斜したあるいは曲線の切断線を形成してもよい。この際、切断機構2210〜2260のX軸方向の動きに同調(同期)して、カッタ刃10の回転角を制御することが望ましい。
【0110】
本実施例では第3のステージ3000では、折目加工を行っていないが、押罫機構を配することも可能である。この場合、レール3210上をX軸方向に移動するフレームを配置し、このフレームをY軸方向に移動する押罫機構を求めればよい。
【0111】
第1〜第3のステージ1000〜3000の配置順は任意である。例えば、第3〜第1のステージ3000〜1000の順番としてもよい。
【0112】
また、第1ステージ1000では、工具(カッタ刃10,押罫部材210)を固定して、シート4200を搬送したが、第2ステージ2000と同様に、シート4200を固定し、工具をX軸方向に移動させてもよい。
【0113】
(実施の形態2)
実施の形態1では、第1のステージ1000、第2のステージ2000及び第3のステージ3000と、異なる場所でシート4200を加工するシート加工装置1を説明した。この発明はこれに限定されない。同一の場所で、X加工線と、Y加工線と、傾斜加工線、曲線加工を形成することも可能である。
この場合、例えば、実施の形態1の第2ステージ2000の構成のみを使用することで達成できる。
この場合、被加工シート4200をテーブル4100上に固定し、第2ステージ2000に固定する。
【0114】
まず、X加工線(又はY加工線)を形成する。
続いて、テーブル4100を90度回転し又は被加工シート4200を90°回転する。
続いて、Y加工線(又はX加工線)を加工する。
続いて、傾斜加工線と曲線加工線の形成を1個若しくは2個の押罫機構及び/又は切断機構をXY軸方向に移動させながら形成する。以上で、被加工シート4200の加工が完了する。
【0115】
(変形例)
実施の形態1と実施の形態2では、カットシート4200を加工する例を示したが、連続紙を加工してもよい。連続紙を加工する場合、連続紙を搬送しながら第1ステージ1000でX加工線を形成し、搬送を停止してから第2ステージ2000でY加工線を形成し、さらに、搬送してから第3ステージ3000で傾斜/曲線加工線を形成する。
【0116】
連続紙を加工する場合、実施の形態1の構成では、連続紙を搬送しながら第1ステージ1000でX加工線を形成し、搬送を停止してから第2ステージ2000でY加工線を形成し、さらに、搬送してから第3ステージ3000で傾斜/曲線加工線を形成する。
【0117】
また、上記実施の形態では、吸着することでテーブル4100にシート4200を吸着して固定した。シート4200をテーブル4100に固定する手法は任意である。例えば、粘着材で被加工シート4200をテーブル4100に固定し、あるいは、被加工シート4200の縁部をテーブル4100に形成されたクリップに挟み込んで固定する方法なども採用可能である。
【0118】
上記実施の形態では、制御部460が、CADデータから、X軸方向加工線のデータ、Y軸方向加工線のデータ、その他の加工線のデータを抽出した。この発明はこれに限定されず、予め、仕分けられた加工線のデータが外部から制御部460に供給される形態でもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 シート加工装置
10 カッタ刃
40 カッタ軸
60 偏心カム
65 圧縮バネ
70、90、231 ピニオン
80、100、232 ラック
110 振動モータ
120 角度調整用モータ
130 上下動用モータ
140 横移動用モータ
210 押罫部材
220 上下動用モータ
230 横移動用モータ
1100、1200、2300、2400 固定フレーム
2100、2200、3100 移動フレーム

【要約】
【課題】加工形状を容易に変更可能で、高速でシートを加工する。
【解決手段】シート加工装置1は、シート4200に第1の方向に延在する加工線を複数の加工ヘッド210、10で並行して加工する工程と、シート4200に第1の方向と直交する第2の方向に延在する加工線を複数の加工ヘッド210,10で並行して加工する工程と、シート4200に第1の方向及び第2の方向以外の方向に延在する部分を含む加工線を加工ヘッドで加工する工程と、を実行する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5