(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
裏地および表地の間に形成された内部接合線、および、前述の裏地または表地の外側表面に形成された表面パターン線からなる隔室区分用パターン接合線を一つ以上有するダウン製品において、
−前述の内部接合線は、裏地または表地の表面に熱反応型接着剤を所定の印刷パターンで印刷し、乾燥させて固着させ、固着された接着剤を高周波加熱して接着剤を硬化反応させ、このように硬化反応した接着剤によって原緞が接合されている形態で、裏地および表地の間の内部に形成され、
−前述の表面パターン線は、前記高周波加熱と同時に裏地および表地を所定の圧着パターンで圧着することによって、表面の質感が異なる形態で表地の表面に形成され、
−前述の印刷パターンに由来する内部接合線と、前述の圧着パターンに由来する表面パターン線は、パターン(形状)が互いに同一であり、幅の差が10%以内であり、
−前述の表面パターン線は、表地の表面または表面の近くに染み出て硬化反応した接着剤によって内部接合線と実質的に一体化されていることを特徴とする、裏地および表地の間に隔室区分用パターン接合線が形成されたダウン製品。
前述の印刷パターンおよび圧着パターンは、それぞれ幅が1〜20mmであることを特徴とする、請求項1に記載の裏地および表地の間に隔室区分用パターン接合線が形成されたダウン製品。
前述の裏地原緞および表地原緞の間に補強部材をさらに含み、前述の補強部材は、隣接したパターン接合線間に連続的に含まれるか、パターン接合線の付近に断続的に含まれることを特徴とする、請求項1に記載の裏地および表地の間に隔室区分用パターン接合線が形成されたダウン製品。
前述の補強部材は、0.01〜2mmの網紗太さおよび0.1〜5mmの網目サイズを有するメッシュ型補強部材であることを特徴とする、請求項4に記載の裏地および表地の間に隔室区分用パターン接合線が形成されたダウン製品。
前述の補強部材は、所定の印刷パターンで接着剤が塗布および乾燥されている補強部材であることを特徴とする、請求項4に記載の裏地および表地の間に隔室区分用パターン接合線が形成されたダウン製品。
前述の印刷ステップ(2)においては、裏地原緞および表地原緞に液状接着剤を同一の印刷パターンで印刷し、前述の乾燥ステップ(3)においては、印刷された液状接着剤を乾燥させ、前述の合布ステップ(4)においては、前記裏地原緞および表地原緞の印刷パターンが一致するように表地原緞および裏地原緞を合布することを特徴とする、請求項7に記載のダウン製品の製造方法。
前述の液状接着剤の印刷は、スタンピング印刷技法、圧延プレス印刷技法、ローラー印刷技法またはスクリーン印刷技法からなる群から選択される印刷技法で行われることを特徴とする、請求項7に記載のダウン製品の製造方法。
ステップ(5)において、前述の高周波加熱接合は、前述の印刷パターンと同一の圧着パターンが刻まれた加熱チップを有する高周波加熱ローラーまたはプレスを用いて行われることを特徴とする、請求項7に記載のダウン製品の製造方法。
裏地および表地の間に形成された内部接合線、および、前述の裏地または表地の外側表面に形成された表面パターン線からなる隔室区分用パターン接合線を一つ以上有するダウン製品用二重原緞において、
−前述の内部接合線は、裏地または表地の表面に熱反応型接着剤を所定の印刷パターンで印刷し、乾燥させて固着させ、固着された接着剤を高周波加熱して接着剤を硬化反応させ、このように硬化反応した接着剤によって原緞が接合されている形態で、裏地および表地の間の内部に形成され、
−前述の表面パターン線は、前記高周波加熱と同時に裏地および表地を所定の圧着パターンで圧着することによって、表面の質感が異なる形態で表地の表面に形成され、
−前述の印刷パターンに由来する内部接合線と、前述の圧着パターンに由来する表面パターン線は、パターン(形状)が互いに同一であり、幅の差が10%以内であり、
−前述の表面パターン線は、表地の表面または表面の近くに染み出て硬化反応した接着剤によって内部接合線と実質的に一体化されていることを特徴とする、裏地および表地の間に隔室区分用パターン接合線が形成されたダウン製品用二重原緞。
前述の裏地原緞および表地原緞の間に補強部材をさらに含み、前述の補強部材は、隣接したパターン接合線間に連続的に含まれるか、パターン接合線の付近に断続的に含まれることを特徴とする、請求項21に記載のダウン製品用二重原緞。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第一の目的は、裏地および表地の間に形成された内部接合線、および、前述の裏地または表地の外側表面に形成された表面パターン線からなるパターン接合線を一つ以上有するダウン製品を提供することであって、下記のような構成を有する:
【0030】
−前述の内部接合線は、裏地または表地の表面に熱反応型接着剤を所定の印刷パターンで固着させ、固着された接着剤を高周波加熱して接着剤を硬化反応させ、このように硬化反応した接着剤によって原緞が接合されている形態で、裏地および表地の間の内部に形成され、
【0031】
−前述の表面パターン線は、上記高周波加熱と同時に裏地および表地を所定の圧着パターンで圧着することによって、表面の質感が異なる形態で表地の表面に形成され、
【0032】
−前述の印刷パターンに由来する内部接合線と、前述の圧着パターンに由来する表面パターン線は、パターン(形状)が互いに同一であり、幅の差が10%以内であり、
【0033】
−前述の表面パターン線は、表地の表面または表面の近くに染み出て硬化反応した接着剤によって内部接合線と実質的に一体化されており、
【0034】
−場合によっては、前述の裏地原緞および表地原緞の間に補強部材がさらに含まれ、前述の補強部材は、隣接したパターン接合線間に連続的に、または、パターン接合線の付近に断続的に含まれ得る。
【0035】
本発明の第二の目的は、裏地および表地を熱反応型接着剤でもって高周波接合させて隔室区分用パターン接合線を形成させたダウン製品の製造方法を提供することであって、下記のステップを含む:
【0036】
(1)裏地原緞および表地原緞を準備する準備ステップ、
【0037】
(2)裏地原緞の内面、表地原緞の内面、またはこれらの二つともに熱反応型液状接着剤を所定の印刷パターンで一つ以上印刷する印刷ステップ、
【0038】
(3)印刷された液状接着剤を乾燥させる乾燥ステップ、
【0039】
(4)表地原緞および裏地原緞を合布する合布ステップ、
【0040】
(5)合布された表地原緞および裏地原緞を、前述の印刷パターンと同一の圧着パターンで圧着しながら高周波加熱することによって、一つ以上のパターン接合線を形成させる高周波接合ステップ。
【0041】
本発明の一つの変法によると、前述の裏地原緞および表地原緞の間に任意の補強部材をさらに含むことができ、前述の補強部材は、隣接したパターン接合線間に連続的に、または、パターン接合線の付近に断続的に含まれ得る。
【0042】
本発明の第三の目的は、裏地および表地の間に形成された内部接合線、および、前述の裏地または表地の外側表面に形成された表面パターン線からなる隔室区分用パターン接合線を一つ以上有するダウン製品用二重原緞を提供することであって、場合によっては、裏地および表地の間に補強部材が挿入され得る。
【0043】
本発明の一つの具現例によると、前述の印刷ステップ(2)において、裏地原緞および表地原緞の二つともに液状接着剤を同一の印刷パターンで印刷し、前述の乾燥ステップ(3)において、印刷された液状接着剤を乾燥させ、前述の合布ステップ(4)において、上記裏地原緞および表地原緞の印刷パターンが一致するように表地原緞および裏地原緞を合布させることができる。
【0044】
前述の印刷ステップ(2)は、熱反応型液状接着剤を通常の印刷技法で塗布または印刷することによって行われ得るが、印刷技法の例としては、スタンピング印刷技法、圧延プレス印刷技法、ローラー印刷技法またはスクリーン印刷技法を言及することができる。前述の印刷パターンは、1〜20mm、具体的には2〜15mm、好ましくは3〜10mmの幅を有することができ、製品によって5〜30cmの間隔で1行以上印刷され得る。
【0045】
熱反応型接着剤としては、熱によって反応して接着性を示すことができる類型の接着剤であれば制限なく用いることができ、非制限的な例として、エポキシ系樹脂を言及することができる。このような接着剤は、硬化剤、希釈剤および遅延剤を5〜15%w/wの量でさらに含むことができる。
【0046】
本発明において、接着剤は、室温で液状であるか、または溶媒などで液状化できる類型のものが良い。液状接着剤または液状化された接着剤の粘度は、印刷の便宜のために、1〜500mPa.s、具体的には5〜300mPa.s、好ましくは10〜200mPa.sから選択され得る。
【0047】
本発明の一つの具現例によると、接着剤の乾燥ステップ(3)は、裏地/表地が互いに偏るか、または摩擦される際、接着剤が付かない程度まで行うことが良いが、例えば、50〜100℃の温度でおよび1分〜60分の時間の間、乾燥を行うことによって達成され得る。
【0048】
本発明の一つの具現例によると、表地原緞および裏地原緞を合布する合布ステップ(4)において、印刷パターンを一致させるために原緞の位置を調整する必要がある。このような原緞の位置を調整するステップは、原緞の位置または印刷パターンの位置を測定するステップ、および、原緞の位置または原緞の移送速度を調整するステップを含むこともできる。接着剤が一つの原緞にのみ印刷された場合、接着剤が印刷されていない原緞であるにもかかわらず、所定の接着予定線が存在する可能性があるため、前述の印刷パターンと前述の接着予定線とを一致させようとする際にも、上述の位置調整ステップが必要であり得る。
【0049】
本発明による高周波接合ステップ(5)は、所定の印刷パターンで接着剤が付着または印刷された原緞を、前述の印刷パターンと同一の圧着パターンで圧着しながら同時に高周波を照射して加熱することによって行われ得る。このような圧着および高周波加熱は、例えば、圧着パターンを有する突出部(または、圧着チップ)が形成されている高周波接合ローラーまたはプレスを用いて同時に行われ得る。
【0050】
本発明のさらなる具現例によると、前述の高周波接合は、7KHz〜400KHzの超音波または高周波を用いて、1〜30秒間、誘電加熱または誘導加熱方式で行われ得る。
【0051】
本発明の一つの具現例によると、本発明の方法は、下記のステップをさらに含むことができる:
【0052】
(6)上記ステップ(5)において得られた二重原緞にマーカーして部分品に裁断し、
【0053】
(7)前述の部分品をオーバーロッキング仕上げ(隔室入口の縫い合わせ)し、
【0054】
(8)隔室にダウンを注入した後、ダウン注入口を密封し、
【0056】
以下において、本発明をさらに詳しく説明する。
【0057】
本発明の明細書において用いる用語は、次のとおりである。
【0058】
用語“縫製線”、“接着線”および“融着線”は、それぞれ縫製(裁縫)、接着剤による接着、および、原緞の表面の融着によって、裏地と表地とを物理的または化学的に結合している線状(線形態)または帯状(帯形態)の部位を意味するが、これらのすべてが“結合線”と通称され得る。これらは、場合によって、縫製結合線、融着結合線、または、接着結合線と指称されることもある。用語“接合線”は、融着または接着などの方式で物理的または化学的に連結されている“結合線”を意味するが、縫製線は除く。
【0059】
用語“結合予定線”は、物理的な結合線ではなく、結合線が位置する仮想の領域または範囲を意味し、場合によっては、インク、染料などで原緞の表面にその位置または領域が表示され得る。用語“縫製予定線”および“接着予定線”も、類似の意味を有する。
【0060】
用語“パターン線”は、原緞の表面に、表面の質感または表面の微細構造の差によって目視で区分されて見える線状または帯状のパターンを意味するが、原緞の加熱圧着の際に圧着部分の原緞の表面に永久的または半永久的に形成され得る。パターン線の例としては、原緞の表面に永久的または半永久的に形成された加熱圧着パターン、原緞の表面に見られる縫製線パターン、原緞の表面に漏れ出た接着剤によって形成されたパターンなどを言及することができる。縫製方式においては、内部の結合線と表面のパターン線とが同一であるのに対し、融着方式においては、原緞内部の結合線(すなわち、融着線)と原緞の表面のパターン線とが同一でないことがある。原緞の表面を加熱圧着する場合には、内部接着線がない状態でも表面パターン線を形成させることもできる。
【0061】
用語“裏地原緞”および“表地原緞”は、“裏地(inner fabric)”と“表地(outer fabric)”と実質的に同一の意味を有するが、裏地原緞は、裁断する前の原緞を、裏地は、裁断した後の原緞とに区分して用いられ得る。
【0062】
用語“ダウン(down)”は、アヒルとガチョウの胸毛であるダックダウンまたはグースダウンを意味するが、一般的な意味でアヒルの毛およびガチョウの毛を包括する意味で用いられ、さらに、これらに代替できる保温材または充填材で一部または全部が代替された物質を指称することもある。
【0063】
以下において、本発明の重要な構成要素および工程ステップについて具体的に説明する。
【0065】
本発明において用いることができる原緞には、特に制限されず、一般原緞、ダウンプルーフ原緞および機能性原緞のいずれもを用いることができ、裏地と表地は同一であるか、または、異なり得る。
【0066】
一般原緞は、天然纎維および/または合成纎維からなる一般的な織物(fabric)を意味し、例えば、綿、繻子(絹)、麻、羊毛、ナイロン、ポリエステル、ポリエステル/羊毛、T/C(テトロン/綿)、オックスフォード、スエード、フェルト紙、ジャガード、捺染、先染などを言及することができる。しかし、このような一般原緞は、ダウン製品用の裏地や表地としては多く用いられない。
【0067】
ダウンプルーフ(Down Proof)原緞は、毛羽、綿毛またはダウンを入れるのに適するように加工するか、または特別に製造された原緞であって、一般には、ダウンが外に漏れるかもしくは抜け出ないように加工処理されるか、またはダウンプルーフ加工された原緞を通称する。
【0068】
ダウンプルーフ加工は、ダウンが原緞の外に抜け出ないように処理する加工であって、織物の織造過程において、原緞自体を高密度(high density)または低デニール(low denier)で作る方法と、原緞の粗い組織間を溶かして埋めるようにする後加工方法を用いることができる。
【0069】
例えば、通常、通気性の高い原緞であるほどダウンの特性を生かすことができるが、糸と糸の隙間が密でなければ、その隙間からダウンが滲出して出るため、高密度で織造された原緞にフェザー綿透過抵抗加工のような特殊加工、すなわち、ダウンプルーフ加工をするようになる。具体的に、100%綿、T/C(ポリエステル−綿混紡糸)、極細糸繊維、ゴアテックスなどを、フェザーなどが滲出しないように極めて密に織り、また、カレンダーで強い圧力をかけて、ストランドを押さえた状態で加工処理することができる。
【0070】
機能性原緞は、フィルムまたはコーティングなどを通じて、原緞に防水、透湿、通風などの機能を与えた原緞であって、すべての透湿防水性(Breathable)コーティング原緞を含むが、例えば、ゴアファブリック(Gore Fabric)、ハイベントファブリック(Hyvent Fabric)、および、コーロン、シンハンなどで生産するすべての機能性原緞を言及することができる。このような機能性原緞は、それ自体でダウンプルーフ原緞と見なされ得る。
【0071】
纎維または織物にコーティングする目的は、纎維または織物に特殊の性能(機能性)や外観の変化(感性)を与えるためのものであるため、樹脂の種類、コーティング方式および設備を適切に選択して、樹脂液の浸透が容易であり、外部応力によって変形が生じやすい纎維基材に、纎維自体の柔軟性および物性を損なうことなく、適切な樹脂厚さおよび均一な被膜を有するように、樹脂−纎維を堅固に接着させて一体化させることが重要である。
【0072】
従来の防水布地は、基材の織物上にゴムまたはアクリル樹脂をコーティング(Coating)またはラミネーティング(Laminating)加工することによって、外部から雨、水などが浸透できないように徹底して防ぐことで完全防水させる機能を有するが、汗、蒸気、熱などを発散する透湿性がなく、着用の際に不快感を与える問題があった。最近開発された機能性原緞の透湿防水コーティングは、このような従来の防水布地の問題点を解決するために提案されたコーティングである。
【0073】
一般に、透湿防水性の機能性原緞は、ゴアテックス(Gore−tex)のようにフッ素樹脂膜を布と接着(laminating)させることと、ポリウレタンをコーティングして微細な気孔を作る二つの方法で製造される。上記二つの原緞を比較すると、性能の面において、フィルム接着方式がコーティング方式より遥かに優れ、防水性能と耐久性においても大きな差を示す。そのため、最近の透湿防水性原緞は、大抵、フィルム接着方式が用いられる。
【0074】
しかし、機能性原緞は、縫製孔を通じて雨水が流入すると、容易に放出されず、悪臭を発生させ得るため、縫製方式で加工する場合には、縫製孔を密封または密閉させることが必要である。ゴアテックスのような場合には、この販売条件として縫製線のテーピング処理を義務化しているほど、縫製孔を通じた雨水の吸収、および、これによる悪臭は非常に重大な問題である。
【0075】
市販の透湿防水機能性原緞の非制限的な例として、ゴアテックス(ゴアテックス製品)、プロアクト(暁星T&C製品、ポリウレタン樹脂膜、湿式ラミネーション工法)、ハイポラ(コーロン製品、ポリウレタンコーティング)、ヒルテックス(Hopehill製品、樹脂膜使用)、ハイフレックス(ニューワールド製品;デュポンの防水透湿性ポリエステルエラストマー樹脂ハイトレル使用)、Entrant(日本Toray、ポリウレタン樹脂液を直接織物にコーティング)などを例示することができる。
【0076】
一般に、ダウン製品においては、表地としてダウンプルーフ原緞または機能性原緞を用い、裏地としてダウンプルーフ原緞を用いることが一般的であり、好ましくは、表地として機能性原緞を用い、裏地としてダウンプルーフ原緞を用いる。
【0078】
本発明によると、接着剤は、室温または工程温度で液状であり、乾燥によって固相または半固相形態に変化され得る液状接着剤(以後“接着液”とも称する)の形態で用いることができる。液状接着剤(接着液)は、裏地および表地に十分に染み込むことができ、高周波加熱時に原緞に染み込んだ接着液もともに熱硬化され、裏地および表地を堅く接合させることができる。
【0079】
室温または工程温度で固体である接着剤は、溶媒に溶解させた後、接着液または接着剤組成物の形態で用いることができるが、これらは、塗布時には液状で塗布され得、乾燥によって溶媒を除去することによって半固相または固体相で原緞の表面に付着され得る。乾燥された接着剤は、合布過程において原緞同士で偏るか摩擦されても、他の箇所に付くことが防止されるか、または塗布パターンが変化することが防止され得る。
【0080】
一般に、纎維または織物の接着のための接着剤として、通常、熱溶融型接着剤、溶媒揮散型接着剤または化学反応型接着剤を言及することができる。
【0081】
加熱溶融型接着剤は、室温で固体であるが、加熱時に溶融可能であり、冷却時にさらに固化して接着力を示す類型の接着剤であって、典型的には、ホットメルト型接着剤が言及され得、具体的には、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂などが例示され得る。
【0082】
溶媒揮散型接着剤は、一般に、室温で固形の接着剤を溶媒に溶解させ、これを塗布した後、溶媒を蒸発させ、固化した接着剤によって接着力を示す類型であって、例えば、有機溶剤型接着剤(例。クロロプレン、ウレタン樹脂)、水溶剤型接着剤(例。ポリビニルアルコール)および水分散型接着剤(ポリビニルアセテート、ポリアクリル系エマルション)を言及することができる。
【0083】
化学反応型接着剤は、重合、縮合、グラフトなどの化学反応によって接着力を示す類型の接着剤であって、具体的には、化学反応を熱、光などで開始できる1液型接着剤、および、化学反応を構成成分の混合によって開始する2液型接着剤に区分することができる。1液型化学反応型接着剤として、熱硬化型接着剤(例。エポキシ樹脂)、湿気硬化型接着剤(例。シリコーン樹脂)、紫外線硬化型接着剤(アクリルオリゴマー樹脂)を例示することができ、2液型化学反応型接着剤として、縮合反応型接着剤(ウレア系)、付加反応型接着剤(エポキシ樹脂)、ラジカル重合型接着剤(アクリルオリゴマー)を言及することができる。
【0084】
本発明において、接着剤として高周波加熱接合用接着剤を用いることが好ましい。上記“高周波加熱接合用接着剤”は、特に区分されて限定されるか、市販される類型ではなく、熱、高周波などの外部エネルギー源による加熱時に反応を進め、接着力を示す熱反応型接着剤を意味し、具体的には、熱硬化型接着剤、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤を言及することができる。前述の熱反応型接着剤は、場合によっては、原緞および/または原緞にコーティングされた物質とも重合、縮合またはグラフトによる化学結合を形成することができるが、このような場合、接着力がさらに向上し得る。
【0085】
本発明によると、接着剤を高周波加熱などの方式で熱反応または熱硬化させて原緞を結合させるが、このように反応が進められた後でも、原緞の柔軟性(flexibility)を維持することができる結果物を与えることができる接着剤を用いることが好ましい。
【0086】
本発明による接着剤組成物または接着液において用いられ得る溶媒は、必要に応じて容易に揮発または除去することができ、原緞を変形させず、原緞に悪い影響を与えない類型であれば、特に限定されない。用いることができる溶媒の非制限的な例としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)、エステル類(メチルアセテート、エチルアセテートなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、ヘキサン、ヘキセン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロエタン)などを例示することができる。一般に市販される接着剤には溶媒または溶剤が含まれ得、このような溶媒または溶剤も、上述の溶媒として見なされ得る。
【0087】
接着液または接着剤組成物における溶媒の使用量または使用比率は、特に限定されず、接着液がローラープリンティングまたはスクリーンプリンティング工程に用いられ得る程度の粘度を有するように、当業者によって工程中に適切に任意選択され得る。前述の接着液の粘度は、特に臨界的ではなく、通常、0.1〜1000mPa.s、具体的に1〜500mPa.s、好ましくは2〜100mPa.s、特に好ましくは3〜50mPa.sから選択され得る。接着液の粘度が高すぎると、原緞に染み込むことができないか、または原緞の表面にまともに付着することができなくなるおそれが高い。
【0088】
本発明の一つの具現例によると、接着剤組成物または接着液は、熱反応性接着剤(熱硬化性接着剤)および溶媒の混合物であって、希釈剤、硬化剤(硬化促進剤)および任意の遅延剤を含むことができる。
【0089】
前述の接着剤組成物において、各成分の含量または比率は、特に限定されず、工程条件によって適切に調節され得る。例えば、接着剤組成物において、接着剤および溶媒は、80〜99%w/w、好ましくは85〜95%w/wの比率で含有され得、溶媒は、接着剤の重量を基準として、50%w/w以下、好ましくは30%w/w以下、さらに好ましくは10%w/w以下から選択され得る。このような場合にも、接着液の粘度を上述の範囲、具体的には1〜500mPa.sとなるようにすることが好ましい。接着剤組成物において、硬化剤、希釈剤および遅延剤は、それぞれ1〜10%w/w、好ましくはそれぞれ2〜7%w/wの量で用いられ得る。必要に応じて、上記溶媒、希釈剤、遅延剤などは含まれないこともあるが、例えば、接着剤組成物をスクリーンプリンティング工程で印刷する場合には、遅延剤を含まないこともある。
【0090】
本発明の一つの好ましい変法によると、前述の接着剤組成物は、顔料または染料を1〜20%w/wの量で含むことができる。用いることができる顔料および染料は、特に限定されないが、高周波加熱時に変色または変形されないか、または意図したとおりに変色または変形され得る種類を用いることが良い。
【0091】
一方、熱反応型接着剤は、反応性モノマー、反応性基を有する重合体、またはこれらの混合物であり得、熱によって硬化を開始または促進するための熱硬化型硬化剤をともに含有する組成物の形態で用いることができる。
【0092】
本発明による接着剤組成物は、熱反応型接着剤の他にも、必要に応じて、他の類型の接着剤、例えば、加熱溶融型接着剤および/または溶媒揮散型接着剤を、例えば50重量%の量まで含有することができる。
【0094】
熱反応性接着剤として、エポキシ系接着剤を用いることができる。エポキシ系樹脂の常温硬化は通常10〜40℃、中温硬化は通常60〜100℃、高温硬化は140℃以上の温度を要し、硬化時間は、短くは数時間、長くは24時間またはそれ以上を要するため、必要に応じて硬化促進剤または硬化遅延剤を用いて硬化速度を調節することができる。
【0095】
一般に、硬化促進の効果がある末端基としては、−OH、−COOH、SO
3H、−CONH
2、−CONHR、−SO
3NH
2、SO
3NHRなどを例示することができ;硬化遅延の効果がある末端基としては、−OR、−COOR、−SO
3R、−CONR
2、−CO、−CN、−NO
2(上記式において、Rは、炭素数1〜6のアルキル基を示すが、特に限定されるものではない)などを例示することができる。
【0096】
硬化促進剤(すなわち、硬化剤)としてアミンおよび酸が主として用いられるが、アミン硬化用促進剤の例としては、フェノール、クレゾール、ノニルフェノール、ビスフェノール−Aなどのフェノール類と、DMP−30、ポリメルカプタン系列を例示することができ、酸硬化用促進剤の例としては、ベンジルメチルアミン、DMP−30、ピリジン、K−61B、ルイス酸、ルイス塩基系列の物質を例示することができる。
【0097】
一般に、アミン硬化用促進剤としては、−OH基を有する化合物であるフェノールおよびアルキルフェノール、3級アミンなどを好ましく用いることができ、低温および速硬化促進剤としては、−SH基を有するメルカプタン類を好ましく用いることができる。
【0098】
希釈剤は、エポキシ系樹脂や硬化剤に添加して粘度を低下させることが主な目的であり、使用時の流れ性、脱泡性の改善、部品細部への浸透の改善など、または、充填剤を効果的に添加することができるようにする役割をする。希釈剤は、一般に、溶剤とは異なり、揮発せず、樹脂の硬化時に硬化物に残存するものであって、反応性と非反応性の希釈剤に分けられる。ここで、反応性の希釈剤は、エポキシ基を一つまたはそれ以上有しており、反応に参与して硬化物に架橋構造で入り、非反応性希釈剤は、硬化物中に単に物理的に混合および分散のみがされている状態である。
【0099】
反応性希釈剤は、硬化物の機械的、熱的、化学的、電気的特性を低下させるため、粘度低下の目的で用いるときのみ、1官能基を有する希釈剤を用いることが良く、なるべく多官能性希釈剤を用いることが、物性の低下をある程度防ぐことができる。一般に多く用いられる反応性希釈剤としては、ブチルグリシジルエーテル(BGE)、フェニルグリシジルエーテル(PGE)、脂肪族グリシジルエーテル(C
12〜C
14)、変性tert−カルボキシルジグリシジルエステル、その他に様々なものを言及することができる。
【0100】
非反応性希釈剤は、エポキシ樹脂や硬化剤と相溶性が良く、低粘度で不揮発性でなければならず、硬化物中に化学的に結合されたものでないことから、過量に使用するようになると、表面に析出され得るため、使用量の決定は、十分に実験した後に決定しなければならない。一般に用いられる非反応性希釈剤としては、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ノニル−フェノール、ハイソール(Hysol)、その他に様々なものを言及することができる。希釈剤の選択においては、使用目的、樹脂成分の特性を考慮することが必要であり、一般土木関係の用途ではBGEの使用が多く、鋳型、含浸などの電気特性を要求する分野ではBGEよりはPGE、CGE、SOなどが用いられている。
【0101】
希釈剤の選択において、希釈効果の他に、要求される樹脂の硬化特性の変化にも大きな影響を及ぼすため、希釈効果、硬化物の特性に関する影響、安全性、経済性などを考慮する必要がある。非反応性希釈剤または反応性希釈剤を単独で用いる場合は多くなく、非反応性希釈剤および反応性希釈剤の混合使用もほとんどなく、反応性希釈剤の2−3種をともに用いる場合が多い。
【0103】
上述の高周波加熱接合用接着剤として、合成系熱反応型接着剤のみならず、次のような樹脂系熱反応型接着剤を言及することもできる:
【0104】
−熱硬化性:尿素系、メラミン系、フェノール系、不飽和ポリエステル系、エポキシ系、レゾルシノール系;
【0105】
−熱可塑性:酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系、塩化ビニル系、ポリビニルアセタール系、アクリル系、飽和ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエチレン系;
【0106】
−ゴム系−スチレン:ブタジエンゴム系、ニトリルゴム系、ブチルゴム系、シリコーンゴム系、クロロプレン。
【0107】
高周波加熱接合用接着剤として、下記の混合系接着剤を言及することができる:
【0108】
−混合系−フェノール:ビニル系フェノール−クロロプレンゴム系;
【0109】
−エポキシ:ポリアミド系、ニトリルゴム−エポキシ系。
【0110】
接着剤として熱硬化型接着剤を用いることができるが、例えば、ビニルアセテート系、ニトロセルロース、エポキシ系およびフェノール系樹脂からなる接着剤を例示することができ、好ましくは、エポキシ系およびフェノール系樹脂からなる接着剤を言及することができる。
【0111】
接着剤として、反応性アクリル系接着剤を総称するSGA(第2世代接着剤)を用いることができるが、配合組成物中の弾性体とアクリルモノマーが硬化反応中にグラフト重合をし、耐熱性、耐薬品性などに優れた接着を形成することができる。
【0112】
接合力が直ちに発揮される急速反応性接着剤を用いることが好ましいことがある。
【0114】
液状接着剤または接着剤組成物は、通常の印刷技法、例えば、スタンピング印刷技法、圧延プレス印刷技法、ローラー印刷技法またはスクリーン印刷技法で原緞に印刷または塗布され得る。印刷または染色分野において2〜4種の色相で微細パターンを形成させることができるが、液状接着剤をインクと見なす場合、上記印刷または染色技術を本発明にも無理なく適用することができる。
【0115】
前述のスタンプ、プレス、ローラーおよびスクリーンに刻まれる印刷パターンには、特別な制限がなく、好ましくは直線、曲線、破断線(−−−)、波線(〜)、ジグザグ線が1行以上、具体的には1行または2行刻まれたパターンであり得る。印刷パターンが2行以上で形成された場合には、パターンの全体幅が下記に言及の接着液印刷パターンの最大幅を超えないようにすることが良い。
【0116】
接着液は、裏地原緞と表地原緞とが対面して接触する面(以下、“内面”と称する)に塗布または印刷されるが、例えば、裏地原緞の内面、表地原緞の内面、またはこれらの二つともに塗布または印刷される。
【0117】
機能性原緞を表地として用いる場合には、裏地(あるいは、ダウンバッグ)の内面にのみ接着液を印刷し、表地である機能性原緞の内面には接着液を印刷しないこともある。また、一般のダウンプルーフ原緞を表地と裏地(あるいは、ダウンバッグ)の二つともに用いる場合には、裏地と表地の内面に二つとも接着液を印刷することができる。
【0118】
印刷パターンの幅は、少なくは0.5mmまで可能であるが、接着線の接着強度および工程効率(コスト/性能)の観点から1mm以上、好ましくは2mm以上、特には3mm以上となるようにする。印刷パターンにおいて、パターン幅の範囲の上限線は意味がないが、内部接合線および表面パターン線の組み合わせで隔室区分線を形成しようとする本発明の目的によると、上限線は、20mm以下、好ましくは10mm以下、特には8mm以下から選択され得る。前述の印刷パターンの幅は、効率の面において3〜8mmから選択され得る。印刷パターンの幅が20mmを超過しても、本発明を適用するのに大きな問題はないが、ダウン製品の特性を考慮すると、20mm以上の隔室区分線は、ダウン製品の着用時に保温や外観上の問題があり得る。
【0119】
隔室区分用接合線の間隔、すなわち、原緞に印刷される印刷パターンの間隔は、特に制限されないが、衣類の場合には、3〜30cm、具体的には4〜25cm、好ましくは5〜20cmから選択され得、寝具類の場合には、5〜50cm、具体的には10〜40cm、好ましくは15〜30cmから選択され得、必要に応じて加減することができる。
【0120】
織物または衣類の全体面積に対し、接着剤が印刷もしくは塗布された面積、または印刷パターンが占める面積の比率は、特に限定されないが、隔室区分線を形成するための目的を考慮すると、20%以下、具体的には15%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下となるようにする。
【0122】
高周波接合によって隔室区分用パターン接合線を形成させるとき、接着液の乾燥工程は重要であり得る。原緞にプリンティングされた接着液の乾燥は、合布工程において原緞が重なるとき、または、原緞同士ぶつかり、摩擦されるときに接着液が付かないようにするために必要である。
【0123】
さらに、高周波加熱時に溶融された接着液の流動性が大きすぎると、接着力が不足するか、または、接着線の仕上げが不良となるおそれがあるため、接着液の適切な乾燥は必要である。具体的に、高周波加熱ローラーまたはプレスの圧着時に乾燥された接着液が高温で溶融されながら硬化されるとき、接着液の乾燥度が低ければ、接着液の流動性があまりにも大きく、結果として接着液が横へ過度に広がるか押され得るが、これによって、接合線を形成する接着液が不足となる可能性もある。また、高周波加熱範囲から外れる程度に遠く広がった接着液は、高周波接合時に反応を進めない可能性があり、隔室内においてダウンを固まらせながら、使用の途中に徐々に硬化を進め、ダウンが縺れるようにする可能性がある。
【0124】
原緞に付着された接着液の乾燥程度は、臨界的ではなく、接着液を塗布または印刷した後、原緞の移送時に接着液が流れ落ちることなく、かつ、原緞の合布時に接着液が付かない程度に乾燥するか、または、手で軽く擦ったときに接着液が付かない程度で行う。
【0125】
乾燥温度と乾燥時間は、特に限定されず、接着液における溶媒の種類と濃度によって適切に選択され得るが、例えば、50〜250℃、具体的には70〜200℃、好ましくは100〜150℃の温度、および、1分〜60分、具体的には1分〜40分、好ましくは2〜20分の乾燥時間から選択され得る。好ましくは、上記温度を有する温風または熱風を用いるか、または、テンター機を用いて乾燥が行われ得る。
【0126】
乾燥後に原緞に付着された接着剤の厚さ(原緞に染み込んだ厚さは除く)は、1mm以下、好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下である。接着剤の厚さが厚すぎると、高周波加熱圧着時に余分の接着液がパターン線を超えて流れ、仕上げ品質を低下させるおそれがあるか、または、パターン線の厚さが厚くなり、隔室面とパターン線が層をなすおそれがある。
【0127】
本発明のさらなる好ましい具現例によると、接着液乾燥工程は、接着剤自体の粘度によって差があるが、付着された接着液の粘度が100mPa.s以上、具体的には500mPa.s以上、好ましくは1000mPa.s以上となるまで行うことができる。ただし、付着された接着液における溶媒の除去は表面の方で早い場合が多く、このような場合には、表面における半固相被膜の形成によって、原緞の摩擦時に付かない程度に乾燥されたものと判断され得る。したがって、上記粘度は、付着された接着液の表面粘度を意味することができ、好ましくは付着された接着液の平均粘度を意味することができる。
【0129】
本発明において、原緞の“合布”は、裏地原緞および表地原緞を単に重ねることを意味し、化学的または物理的な結合は排除された状態を意味するが、2つ以上の織物をボンディングまたはラミネーティングなどの方法で付着または結合させる一般的な意味とは差がある。また、裏地原緞および表地原緞が接合線で結合されている場合には、用語“二重原緞”と指称し、原緞が互いに結合されることなく、単に重畳されている場合には“合布された原緞”と指称する。
【0130】
よって、原緞の合布は、裏地原緞と表地原緞を重ねて密着させるものの、裏地原緞と表地原緞がまだ物理的または化学的に接合されていない状態を意味するが、一般には、裏地原緞の上に表地原緞を重ねてセッティングする。
【0131】
本発明によると、原緞の合布ステップは、裏地原緞と表地原緞とを密着させるとともに、裏地原緞の内面の接着液の印刷パターンと表地原緞の接着液の印刷パターンとが互いに一致するようにすることが必要である。
【0132】
一般的なダウン製品の製造のための他の先行技術においては、印刷パターンまたは圧着パターンを一致させる過程や、これに対する概念がないため、原緞の合布ステップは非常に難しいかまたは困難なステップではないが、本発明においては、裏地原緞と表地原緞とを密着させるとき、原緞の印刷パターンおよび/または接着予定線を一致させなければならない難しいステップである。本発明による合布ステップは、裏地原緞および表地原緞の膨潤度、張力などを考慮して、これらの移動速度またはローラーの回転速度を調節することによって行われ得る。場合によっては、レーザー計測器などを用いて、原緞の移動速度およびパターンの位置などを測定して制御することができる。
【0133】
一方、一般の縫製工程においては、裏地原緞と表地原緞をそれぞれ裁断して裏地および表地を製造し、結果として得られた裏地と表地を合布して接合させるため、合布工程および接合(縫製)工程を機械化することが難しく、いちいち手工で行うことから、大量生産も難しかった。一方、印刷技法で接着液を印刷し、高周波接合法でパターン接合線を形成させる本発明の方法においては、このような接着剤印刷工程、乾燥工程、合布工程および後続の接合工程をすべて機械化することが容易であるため、ダウン製品を大量生産することが可能である。
【0134】
本発明によると、印刷工程を応用して接着液を塗布または印刷するが、このような印刷工程は、原緞の合布工程における接着剤のパターンの一致のためにも応用され得る。
【0137】
超音波または高周波加熱は、被加熱材の物理的性質によって大きく誘導加熱と誘電加熱とに分けられ、前者は、導電性金属を加熱するのに用い、後者は、誘電損失のある材料、すなわち、水、紙、プラスチックなどを加熱するのに主として用いる。
【0138】
また、加熱する電源の周波数によって分類すると、下記表1のとおりである。特に、高周波誘導加熱に用いられる周波数は、さらに細分化して、低周波(使用周波数50〜60Hz)および中周波(100Hz〜10KHz)、高周波(10KHz〜500KHz)、ラジオ周波数(100KHz〜500KHz)と言い、特に、中周波、高周波、ラジオ周波数を用いた加熱を高周波加熱と言う。
【0140】
本発明において、高周波加熱方式は、特に限定されず、3KHz〜800KHz、具体的には7KHz〜400KHzの高周波を用いる誘導加熱、または、2MHz〜100MHz、具体的には5MHz〜50MHzの高周波を用いる誘電加熱の中から選択され得る。高周波加熱時間は、原緞の類型、厚さ、接着剤の類型によって変わり得るが、1〜30秒、具体的には2〜20秒から選択され得、これらに限定されない。
【0141】
例えば、何らのコーティング処理がされていない薄い原緞には、おおよそ15KHzの高周波を4〜5秒間照射するとともに加熱し、コーティング原緞は、30〜40KHzの高周波をおおよそ6〜8秒間照射して加熱し、フィルムまたはラミネーティング処理された厚い原緞は、60〜80KHzの高周波をおおよそ10〜12秒間照射して加熱することができるが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0142】
高周波加熱の長所としては、第一、被加熱体が直接加熱されることによる経済性、第二、局部加熱および選択加熱が可能であることによる高品位の品質確保、第三、秒単位の迅速な処理による大量生産の可能性、第四、非接触加熱による汚染や損傷の防止などが主に言及されるが、それらの他にも、材料の節減、無公害、稼動効率の増加、設置面積の効率性といった利点も言及され得る。
【0143】
一方、すべての材料は、導電性と誘電性とに大きく区分することができる。導電性と関連して、ある材料に電気を加えると、それは、与えられた箇所に留まらず、電圧の低い箇所に移動するが、ある材料はこれを妨害する抵抗が存在し、この程度によって、抵抗が少ないと導電体あるいは導体と言い、これとは逆に、抵抗が大きいと不導体と呼ぶ。
【0144】
また、誘電性は、抵抗とは異なり、その値を誘電率で表示するが、あえて固有抵抗値で表示すると、誘電体として用いられる物質は、固有抵抗が概して大きな不導体である。そのため、すべての材料は、導体と誘電体とに区分され得る。このように区分した材料を高周波加熱方式と組み合わせると、導体は誘導加熱で、誘電体は双極子振動を用いた誘電加熱で加熱することができるため、結局、すべての材料は高周波加熱の対象となり得る。
【0145】
また、誘導加熱を加熱される原理によってさらに細分すると、ヒステリシス損(hysteresis損)と渦電流による加熱とに区分される。材料中の磁性体はこの二つの損失を用いた加熱が可能であるが、不幸にも非磁性体はヒステリシス損による加熱は不可能であり、加熱効率が相対的に低くなるが、我々はこの点を逆利用して、高周波加熱において被加熱物を入れる器として用いたりもする。高周波加熱は、電気や燃料のような他の方式に比べて、上述のような長所があり、最近、急速に広い分野に広がっている。
【0147】
本発明によると、合布された裏地原緞および表地原緞を高周波加熱して接着剤を硬化させ、同時に圧着して裏地−接着剤−表地を接合または一体化させることによって接合パターン線を形成させる。前述の裏地原緞および表地原緞は、これらに印刷された接着液パターンが互いに一致するように合布されているが、前述の接着液の印刷パターンと同一のパターンを有する圧着チップを有する高周波加熱ローラーまたはプレスを用いて高周波加熱および圧着することが好ましい。具体的に、裏地原緞および表地原緞用の印刷ローラーに刻まれた陰刻のパターン(すなわち、印刷パターン)と、高周波加熱ローラーに形成された陽刻のパターン(すなわち、圧着パターン)は、実質的に互いに同一であることが好ましい。ここで、パターンが同一であるということは、パターンの形態のみならず、パターンの幅も含む意味である。
【0148】
本発明のさらなる具現例によると、前述の圧着チップの圧着パターンの幅は、前述の接着予定線または接着剤の印刷パターンの幅とは実質的に同一であるが、例えば、これらの幅の差または形態離隔率が20%以内、具体的には10%以内、好ましくは5%以内、さらに好ましくは1%以内であり、圧着パターンが印刷パターンより小さいものが良いことがある。
【0149】
表地である透湿防水性(Breathable)コーティング原緞に接着溶液印刷技法で接着液が付着された裏地(あるいは、ダウンバッグ)を重ねた後、高周波加熱ローラーまたはプレスを用いて、指定された模様のパターンを形成させることができる。高周波加熱ローラーまたはプレスにおいて突出している圧着チップのパターン、すなわち、圧着パターンは、接着液印刷工程において用いられたメインローラーまたはスクリーンに刻まれた印刷パターンと同一であるか、または類似し得る。透湿防水性コーティング原緞のように、高周波加熱を用いた融合が不可能な原緞もあるが、本発明によって、接着剤を用いて高周波接合させる場合には、これらの原緞にも適用することができるという利点がある。
【0151】
高周波接合ステップ(5)において、高周波接合用ローラーまたはプレスの圧着チップの圧着パターンに沿って圧着および高周波加熱が加えられるため、原緞は、圧着パターンに沿って加熱圧着され、表面の質感に変化が発生し、これによって、パターン線が形成されるのに対し、接着剤は、圧着パターンに沿って投射される高周波照射線または高周波加熱線の影響で加熱され、硬化反応を進め、これによって、接合線を形成する。結果として、圧着パターンに沿って発生した表面の質感の変化によってパターン線が形成され、また、圧着パターンに沿って硬化反応が進められた接着剤によって接着線が形成される。このとき、圧着パターンと印刷パターンとが一致しなければ、すなわち、圧着パターンと印刷パターンとが同一でないか、または、圧着パターンと印刷パターンとが同一であるとしても合布過程において一致しなければ、圧着パターンと異なる位置にある接着剤は硬化反応を進めないこともあり得、したがって、接着線は、印刷パターンに沿って全体的に形成され得ず、圧着パターンと重複または一致する部分にのみ形成されるようになる。
【0152】
本発明によると、印刷パターンと圧着パターンが実質的に同一であり、前述の合布ステップ(4)において上記圧着チップの圧着パターンと接着剤の印刷パターンとが一致して合布されるため、印刷パターンに沿って印刷された接着剤は、実質的にすべてが高周波照射範囲または高周波加熱範囲内に含まれ、したがって、印刷パターンに沿って印刷された接着剤は実質的にすべて高周波加熱され、硬化反応を進める。
【0153】
このように、前述の高周波加熱および圧着によって、熱反応型接着剤は硬化反応を進め、原緞を接合させて接合線を形成させ、原緞の表面は、加熱圧着されて表面の質感の差を発生させ、パターン線を形成させるようになる。このように形成されたパターン線は、鮮明であり、仕上げに優れている。
【0154】
併せて、一般に原緞の厚さが非常に薄いため、原緞の構成および緻密度によって、表地の内面に付着された液状接着剤は加熱圧着時に表地の外面に染み出る可能性があるが、表地の表面または表面の近くにまで染み出た接着剤が硬化反応して形成された部分は、原緞の表面の質感とはさらに異なる表面の質感を示すため、パターン線はさらに鮮明に見えることもある。
【0155】
本発明の一つの好ましい具現例によると、前述の圧着チップまたは突出部の圧着パターンは、接着剤の印刷パターンと実質的に同一に構成され、接着剤の印刷パターンと圧着チップの圧着パターンとが一致するように位置を調整し、高周波加熱下で圧着する構成を有する条件で高周波接合を行う。印刷パターンと圧着パターンとが一致していない状態で高周波接合が行われると、結果として接合線とパターン線の位置が一致しないようになるが、その結果、内部接合線がまともに形成されず、接着力が低下し、また、内部接合線と表面パターン線とが一致しないことから、これらの一体化の程度が低下し、その結果、内部接着線が表面パターン線の形態および表面の質感を維持する能力も低下し、時間の経過によってパターン線の形態および表面の質感が崩れてパターン線がはっきりしないようになる。
【0156】
内部接合線の幅は、印刷された接着剤の幅および/または量に左右されるのに対し、表面パターン線の幅は、高周波加熱用ローラーまたはプレスの加熱チップに刻まれた圧着パターンの幅に左右される。したがって、印刷パターンと圧着パターンとの同一性および一致性はさらに重要となる。
【0157】
一方、縫製によって原緞を結合させた場合、縫製線は、原緞内部において裏地と表地を実際に結合させているため結合線であり、同時に、原緞の表面(外面)において目視で見られるためパターン線でもある。
【0158】
また、ホットメルトのような加熱溶融型接着剤を用い、単なる加熱圧着によって原緞を接合させた場合には、原緞の間には接合線が形成されるが、原緞の表面にはパターン線が形成されないか、または、形成されても鮮明でなく、仕上げが不良である。その理由は、第一、一般にホットメルトが溶融され得る比較的低温で接合工程が行われるため、原緞の表面に永久的な表面の質感の差を発生させる可能性が低く、第二、ホットメルトが付着された部位のみを選択的に圧着できる圧着チップのないローラーまたはプレスを用いることが一般的であるため、原緞の表面に表面の質感の差を発生させないためである。それのみならず、ホットメルトのような加熱溶融型接着剤は、接着耐久性が低いため、形成された接合線の耐久性も低く、これによって、接合線とパターン線が形成されるとしても、これらの耐久性が低く、時間が経過することによってパターン線の鮮明度がさらに不良になるおそれが高い。
【0159】
一方、ホットメルトのような加熱溶融型接着剤を用いた加熱圧着において、溶融されたホットメルトが原緞内部に染み込み、表地の表面にまたは表面の近くにまで滲出する場合には、原緞の組織の変形および表面の質感の変化が発生し、ホットメルト接合線に沿ってパターン線が形成され得るものの、接合線の接着力および耐久性が低いため、時間の経過によってパターン線がはっきりしなくなるとともに、接合線と分離されるおそれが高い。
【0160】
もし、ホットメルト接着剤の代わりに加熱硬化型接着剤を用い、単なる加熱圧着方式で原緞を接合させる場合にも、選択的に圧着できる圧着チップのないローラーまたはプレスを用いると、原緞の表面に表面の質感の差を選択的に発生させ難く、したがって、鮮明なパターン線を得ることが難しい。また、高周波加熱方式ではない一般の加熱方式で原緞を高温で加熱圧着する場合、原緞の表面の損傷なしに表面の質感の差のみを発生させるように温度を調節することは極めて難しい。
【0161】
一方、接着剤を用いた高周波接合工程は、プラスチック、紙、ゴムなどの接着分野においてはすでに知られている。しかし、接着液を印刷方式で印刷し、印刷された接着液をあらかじめ乾燥させ、そして、印刷パターンと圧着パターンとを一致させる方式、すなわち、印刷パターンに沿って圧着しながら高周波接合を行うことについては知られていない。さらに、接着しようとする両面にすべて接着液を塗布および乾燥し、これらのパターンに一致させて重なるようにした後、高周波接合を行うことを開示する文献は見出すことができなかった。さらに、既存のプラスチック、紙、ゴムなどの高周波接合において、接合線をパターン化し、形成されたパターンを審美的に用いることについてもほとんど知られていない。
【0162】
上記高周波接合法で製造されて隔室区分用パターン接合線が形成された二重原緞は、それ自体で販売されるか、または、後続のマーカーおよび裁断工程に移送されて用いられ得る。
【0164】
本発明によると、接着剤が塗布および乾燥され、合布された原緞は、圧着下で高周波加熱されるが、これを高周波加熱圧着と称することができる。接着剤は、熱硬化性であるため、高周波加熱が終わると、合布された原緞は、圧着された状態で接合パターン線を形成する。したがって、接着剤の染み込んだ原緞は、元の状態(元の厚さ)に回復せず、その状態で、すなわち、圧着された状態で接合パターン線を形成する。これによって、接合パターン線は、周辺の原緞に比べて、原緞の厚さが少なくなり、全体的に凹んだ立体感を与えるようになる。
【0165】
本発明において、結果として得られたパターン接合線の厚さは、元の合布された原緞厚さを基準として、5%以上、具体的には5〜50%、好ましくは10〜30%程度が減少され得る。原緞の間にメッシュのような補強材を挿入する場合には、上述の厚さ減少比率において補強材の厚さを含めて計算する。
【0167】
マーカー(Marker)は、所定のサイズの原緞に対する最小の原副資材所要量を算出するためにパターン部分品(Pattern Piece)を最大限の効率で配置した設計図を意味し、裁断は、上記マーカーに沿って原緞を切り出すことを意味する。
【0168】
上述したように、高周波加熱接合法で製造されて隔室区分用パターン接合線が形成された二重原緞は、マーカーステップに移送され、表地または裏地の表面に裁断用マーカーが表示され、次いで、上記マーカーどおりに裁断するステップを行うことができる。
【0169】
一般の縫製法のような先裁断後接合方式では、マーカーと裁断は表地と裏地(あるいは、ダウンバッグ)に対して別途に進められるのに対し、本発明による先接合後裁断方式では、合布および結合された表地と裏地からなる二重原緞にマーカーした後、裁断する方式で進められるため、表地のマーカーおよび裏地のマーカーを同時に進めることができ、また、表地の裁断および裏地の裁断を同時に進めることができる。したがって、裁断の正確性と生産工程の簡素化を達成することができる。
【0170】
本発明による先接合後裁断方式では、隔室区分線がすでに形成されているため、隔室区分線を形成するための工程(例。縫製)を行う必要がない。このような隔室区分線を形成する工程は、隔室区分線を有するダウン製品の生産工程において人力消耗および時間消耗の最も多い工程の一つであって、この工程の省略は、それ自体で生産工程の単純化、生産コストの節減および生産速度の増加に繋がることができるだけでなく、生産工程の機械化に相当な利点を提供することができる。
【0171】
先接合後裁断方式および高周波接合による隔室区分線の形成を特徴とする本発明の方法は、原緞の準備、接着液の塗布、乾燥、高周波加熱接合、マーカーおよび裁断工程といった大部分の生産工程を機械化および自動化することができるため、大量生産を可能とするというさらなる利点を提供する。
【0172】
8.オーバーロッキング仕上げ、ダウン注入およびダウン注入口の密封
【0173】
縫製業において、オーバーロック(overlock)は、裁断された原緞の端のストランドが解れることを防ぐために裁ち目かがりすることを意味し、オーバーロッキング仕上げは、裁断された二重原緞の端部分において裏地と表地を同時にオーバーロックし、隔室壁を形成させる工程を意味する。
【0174】
本発明において、用語“オーバーロック(overlock)”は、一般に、裁断された原緞の端のストランドが解れることを防ぐために裁ち目かがりすることを意味するが、本発明の明細書において、“オーバーロッキング仕上げ”は、裁断された二重原緞の端部分において裏地と表地を同時にオーバーロックし、隔室壁を形成させる工程を意味する。
【0175】
本発明によって製造され、隔室区分用パターン接合線が形成されている二重原緞を裁断すると、隔室接合線は、上下の2方向にのみ形成されており、左右の両方向は開かれている形態で裁断されるため、左右両方の開かれている縁部分をオーバーロッキング仕上げして密封する工程を経なければならない。このとき、縁部分をすべて密封せず、ダウン注入のためのダウン注入口は開けておくことが必要である。
【0176】
ダウンの注入は、ダウン(ダックダウン、グースダウンなど)を所定の量で隔室内に注入することであって、最近になっては、ダウン注入管をダウン注入口を通じて隔室内に挿入し、ダウン注入口を通じてダウンを注入する方式で行われている。本発明において、ダウン注入口の位置およびサイズ、ダウン注入方式は、特に限定されない。
【0177】
一つの具現例によると、高速の気体または流体の壁面吸着現象であるコアンダ現象を用いて、周辺の多くの量の空気を吸引して、ともに吐出するエアジェット方式でダウンを所定の量でダウン隔室に注入することができる。
【0178】
必要量のダウンが注入されると、ダウン注入口も密封するが、オーバーロッキング仕上げによって密封することができる。
【0179】
一般に、ダウン隔室を有するダウン製品において、オーバーロッキング仕上げの縫製孔を通じて、ダウンが滲出するか、または、雨水が染み込む場合も多い。そのため、これを防止するための防水性が与えられたオーバーロッキング仕上げ方法が多く開発されているが、例えば、重ね当て原緞、シームシーリングテープ、両面テープなどを裏地と表地との間に挿入して縫製する方法、オーバーロッキング仕上げられた縫製部分を接着テープまたは原緞テープで覆って密封する方法などが提示されている。
【0180】
本発明の一つの変法によると、開かれている縁部分を一方のみオーバーロッキング仕上げし、他方の開かれている縁部分を通じてダウンを注入した後、開かれている縁をオーバーロッキング仕上げすることもできる。
【0182】
用語“繋ぎ合わせ”は、ダウン製品の部分品または部分パネルを連結して完成品を作るステップを意味する。
【0183】
ダウン製品がダウンジャケットである場合、二重原緞は、背面(後面)部位、左前面部位、右前面部位、左側腕部位、右側腕部位、任意の帽子部位などの細部のパネルにマーカーおよび裁断され得る。これらのそれぞれのパネル部位は、オーバーロッキング仕上げ、ダウンの充填およびダウン注入口の密封過程を経た後、ダウン製品を形成する部分品(例。背面パネル、前面右側パネル、前面左側パネル、右側腕パネル、左側腕パネルなど)に製造される。
【0184】
このように製造された部分品は、これらの連結部品を縫製またはオーバーロッキングなどで互いに連結して一つの製品を製造する繋ぎ合わせ過程を経るようになる。
【0185】
また、これらの連結部品または繋ぎ合わせ部位は、同一の他の原緞を用いて同一の模様にパターン加工し、ウェルディング/ボンディング処理することによって、上記連結部品または繋ぎ合わせ部位を防水処理することができる。上述のパターン加工は、既存の方法を用いて行われる。
【0186】
繋ぎ合わせおよび繋ぎ合わせ部位の加工については、当業界において通常用いられるか、または、文献に公知の方式を用いることができる。
【0188】
本発明による先接合後裁断方式でダウン製品を製造する方法によると、裏地および表地の間に形成された内部接合線、および、表地の表面に形成された表面パターン線からなる隔室区分用パターン接合線を一つ以上有するダウン製品用二重原緞が提供され得るが、前述の二重原緞は、下記の特性を有することができる:
【0189】
−前述の内部接合線は、裏地または表地の表面に熱反応型接着剤を所定の印刷パターンで固着させ、固着された接着剤を高周波加熱して接着剤を硬化反応させ、このように硬化反応した接着剤によって原緞が接合されている形態で、裏地および表地の間の内部に形成され、
【0190】
−前述の表面パターン線は、上記高周波加熱と同時に裏地および表地を所定の圧着パターンで圧着することによって、表面の質感が異なる形態で表地の表面に形成され、
【0191】
−前述の印刷パターンに由来する内部接合線と、前述の圧着パターンに由来する表面パターン線は、パターン(形状)が互いに同一であり、幅の差が10%以内であり、
【0192】
−前述の表面パターン線は、表地の表面または表面の近くに染み出て硬化反応した接着剤によって内部接合線と実質的に一体化されている。
【0193】
本発明の明細書において、“パターン接合線を構成する表面パターン線と内部接合線とが一体化されている”という表現は、本発明において形成される表面パターン線は、原緞の高周波加熱および圧着による原緞の表面組織および表面構造の変化に起因する表面の質感の変化のみならず、表地の表面または表面の近くに染み出て硬化反応した接着剤による原緞の内部組織および内部構造の変化から結果として得られる表面の質感の変化を総合的に反映したものであることを意味する。このような表面パターン線と内部接合線との一体性は、液状接着剤を吸収する原緞の吸収能力が高いほど、および/または、液状接着剤が原緞内部に染み込むことができる浸透能力が高いほど増加される。
【0195】
本発明によると、前述の裏地原緞および表地原緞の間に補強部材をさらに挿入することができ、このとき、前述の補強部材は、隣接したパターン接合線間に連続的に、または、パターン接合線の付近に断続的に含まれ得る。
【0196】
具体的に、裏地および表地の間で裏地原緞、補強部材および表地原緞がともに結合されて形成された内部接合線、および、表地の外側表面に形成された表面パターン線からなる、補強部材−含有パターン接合線を有するダウン製品が提供されるが、次のことを特徴とする:
【0197】
−前述の内部接合線は、裏地−補強部材−表地がともに結合されて形成されたものであって、裏地または表地の内側表面に、または補強部材に熱反応型接着剤を所定の印刷パターンで固着させ、裏地−補強部材−表地を合布し、上記固着された接着剤を高周波加熱して接着剤を硬化反応させ、このように硬化反応した接着剤によって、裏地−補強部材−表地が接合されている形態で裏地および表地の間の内部に形成され、
【0198】
−前述の表面パターン線は、上記高周波加熱と同時に、裏地−補強部材−表地を所定の圧着パターンで圧着することによって、圧着されていない部分とは表面の質感が異なる形態で表地の外側表面に形成される。
【0199】
前述の補強部材−含有パターン接合線を有するダウン製品は、下記のステップを含む方法で製造され得る:
【0200】
(1)裏地原緞、補強部材および表地原緞を準備する準備ステップ、
【0201】
(2)裏地原緞の内面、補強部材または表地原緞の内面に熱反応型液状接着剤を所定の印刷パターンで印刷する印刷ステップ、
【0202】
(3)上記裏地原緞の内面、補強部材または表地原緞の内面に印刷された液状接着剤を乾燥させる乾燥ステップ、
【0203】
(4)前述の表地原緞、補強部材および裏地原緞を合布する合布ステップ、
【0204】
(5)上記合布された表地原緞−補強部材−裏地原緞を、上記印刷パターンと同一の圧着パターンで圧着しながら高周波加熱してパターン接合線を形成させる高周波接合ステップ。
【0205】
本発明において用いられる補強部材は、印刷ステップにおける液状接着剤および/または高周波加熱ステップにおける液状化された接着剤が補強部材を横切って容易に通過できる程度の透液性(溶液透過性)を有することが良いが、このような透液性は、補強部材の材質の物性(例。湿潤性)およびストランドとストランドとの間の間隔(例。網目間隔)を適切に選択することによって達成され得るが、一般に、一般の織造織物または不織布よりも網目間隔の広いメッシュ型補強部材を用いることが好ましい。
【0206】
本発明において用いられる補強部材は、高周波接合ステップにおいて形態の変化が少ないか、または、ないことが好ましいと言えるが、例えば、熱硬化性合成纎維で製造することができる。
【0207】
本発明において、透液性を有する補強部材としてメッシュ型補強部材を言及することができ、一般に0.01〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、さらに好ましくは0.2〜0.5mmの網紗太さ、および、一般に0.1〜5mm、好ましくは0.2〜2mm、さらに好ましくは0.5〜1mmの網目サイズを有するメッシュ型補強部材を言及することができる。補強部材が透液性を有している場合、網紗太さおよび網目サイズは、上述の範囲に限定されないこともある。
【0208】
補強部材を用いる場合、前述の印刷ステップ(2)において、液状接着剤は、裏地原緞および/または表地原緞にのみ印刷するか、補強部材にのみ印刷することができるか、または、原緞および補強部材の二つともに印刷することができる。
【0209】
原緞にのみ接着剤を適用する場合には、液状接着剤を裏地原緞の内面および/または表地原緞の内面に所定の印刷パターンで塗布および乾燥させ、補強部材を裏地原緞および表地原緞の間に単に挿入して合布した後、圧着下で高周波接合させて、補強部材−含有接合パターン線を形成させることができる。
【0210】
補強部材にのみ接着剤を適用する場合には、裏地原緞および表地原緞には接着剤を印刷せず、前述の補強部材の片面または両面に液状接着剤を所定の印刷パターンで塗布および乾燥させ、結果として得られた接着剤−固着されたメッシュ部材を裏地原緞および表地原緞の間に挿入および合布し、高周波接合させ、メッシュ−補強された接合パターン線を形成させることができる。補強部材が透液性に優れている場合には、補強部材の片面にのみ接着剤を塗布することができる。補強部材の透液性が不足している場合には、補強部材の両面に対称するように接着剤を塗布することができる。
【0211】
メッシュ型補強部材を用いる場合、メッシュ部材に塗布および乾燥し、接着剤−固着されたメッシュ部材を得、これを原緞の間に連続的または断続的に挿入した後、合布ステップを経ることができる。
【0212】
一般に、メッシュ型補強部材を構成する網紗は、接着剤−固着されたメッシュ型補強部材において固化された接着剤の形態を支え、維持することを手伝う役割をするだけでなく、高周波接合時に液化された接着剤の滲み出しを防止する役割をすることによって、パターン接合線の接合力、耐久性および仕上げ品質をさらに向上させることができるようにする。一方、ホットメルトは、固形接着剤を固化または成形させて製造され、内部に補強部材を含む場合もほとんど提案されていない。したがって、通常用いられるホットメルトは、本発明の接着剤−固着された補強部材とは構成自体が異なっており、補強部材(メッシュ)による有利な作用および効果を示すことができない。
【0213】
補強部材、具体的にはメッシュ型補強部材、好ましくはメッシュ部材は、メッシュ原緞をそれ自体で用いて裏地と表地との間に挿入および合布することができるが、このような場合、メッシュ部材は、隣接したパターン接合線間に連続的に存在するようになる。前述のメッシュ原緞を適切なサイズ(幅)および形態で切断し、裏地と表地との間に挿入および合布することができるが、このような場合、メッシュ部材は、隣接したパターン接合線またはその付近にのみ断続的に存在するようになる。
【0214】
補強部材−含有接合パターン線を有するダウン製品、具体的にはメッシュ−補強された接合パターン線を有するダウン製品は、原緞の間に補強されたメッシュ部材によって、接着強度と耐久性にさらに優れるだけでなく、表面パターン線の鮮明性および仕上げ品質もほぼ損なわれることなく、むしろ改善され得る。
【0215】
本発明において、補強部材は、透液性および形態変形性が十分であると、メッシュの形態ではなく、一般の織造織物または不織布の形態を採択することもできる。この場合、織造織物または不織布は、ストランド間の空間が比較的に大きいことが好ましいが、例えば0.1〜3mmの気孔サイズ(ストランドとストランドとの間の距離)を有することができる。
【0216】
以下において、本発明は、図面を参照してさらに詳しく説明される。
【0217】
図1は、隔室を有するダウン製品を製造する手順を、本願発明と従来技術を比較図示した図であって、図(a)および図(b)は、本発明の高周波接合法による先接合後裁断方式の生産工程、および、先裁断後接合方式の生産工程をそれぞれ示す工程手順図であり、図(c)は、従来技術の縫製法による先裁断後接合方式の生産工程を示す工程手順図である。
【0218】
具体的に、図(a)は、本発明による先接合後裁断方式でダウン製品を製造する工程手順を示すが、ここでは、原緞自体に高周波接合で隔室区分線を先に形成させて二重原緞を製造し、後続の工程でダウン製品を製造する。図(b)は、本発明の変法による先裁断後接合方式でダウン製品を製造する工程手順を示すが、ここでは、原緞を先に裁断して部分品を作り、ここに高周波接合で隔室区分線を形成させる。また、図(c)は、従来技術によって先裁断後接合方式でダウン製品を製造する工程手順を示すが、ここでは、原緞を裁断して作られた部分品に縫製法で隔室区分線を形成させる。
【0219】
添付の
図1の図(a)によると、本発明のダウン衣類の製造方法は、第一、原緞を準備する原緞準備ステップ、第二、接着剤を準備し、印刷する印刷ステップ、第三、接着剤を乾燥する乾燥ステップ、第四、原緞を合布する合布ステップ、第五、高周波接合ステップ、第六、マーカーおよび裁断ステップ、第七、オーバーロッキング仕上げ、ダウン注入、ダウン注入口密封ステップ、第八、繋ぎ合わせおよび繋ぎ合わせ部位仕上げステップに大きく区分することができる。
【0220】
高周波加熱接合方式および先接合後裁断方式による本発明によるダウン製品の製造工程(図a)と、従来技術による縫製方式および先裁断後接合方式による従来技術によるダウン製品の製造工程(図c)とを比較すると、工程上の差およびこれによる効果上の差をさらに明確に理解することができる。
【0221】
さらに、高周波加熱接合方式および先裁断後接合方式による本発明の変法によるダウン製品の製造工程(図b)を、同一の従来技術の製造工程(図c)と比較しても、やはり工程上の差およびこれによる効果の差をさらに明確に理解することができる。
【0222】
図2は、印刷ステップから乾燥ステップまでの工程手順を説明する。
【0223】
図2の左側図は、原緞を接着液でローラー印刷技法によって印刷することを説明しているが、記載されているローラー印刷装置は、接着液容器、接着液伝達用リリースローラー、印刷パターンが刻まれたメインローラーおよび過剰の接着剤を除去するためのガイドナイフ(図示されず)を含んでいる。接着剤は、接着液容器から流れ出てリリースローラーの表面に塗布され、次いで、噛み合って回るメインローラーの表面および印刷パターンの陰刻内に移動されるが、印刷パターンの陰刻内の接着液の他にメインローラーの表面に付着された接着剤は、メインローラーに接着されたガイドナイフによって除去される。その次に、メインローラーの印刷パターンの陰刻内の接着液は、原緞と接着されるとき、印刷パターンの陰刻から原緞の表面に移動する。このような過程によって、接着液は、印刷パターンの形態で原緞に印刷される。
【0224】
図2の右側図は、原緞に接着液をプレス方式で印刷した後、テンター機のような乾燥装置に移送する過程を説明する。乾燥は、常温または高温の下で、場合によっては送風の下で行われ得るが、前述の接着液が後続の移送過程において流れ落ちることを防止するだけでなく、後続の合布工程において流れ落ちるか、または互いに付かないようにするために行われる。
【0225】
図3は、裏地と表地のうち一つの原緞にのみ接着液を印刷して高周波接合させる工程を説明する概念図であって、機能性原緞のように内面がコーティングされている原緞を表地として用いる場合、裏地にのみ液状接着剤を印刷して高周波接合工程を行うことを説明している。表地には接着液を印刷せず、裏地あるいはダウンバッグにのみ接着液を所定の印刷パターンで印刷し、乾燥させた後、乾燥固着された接着剤(“プリント後乾燥固着された接合溶液”)が付着された裏地あるいはダウンバッグに表地を密着して合布させる。高周波接合用モールド(Design carved)には、所定の圧着パターンを有する圧着チップまたは突出部が形成されているが、前述の圧着チップまたは突出部は、図に明示的に図示されていない。前述のモールドを用いて高周波接合を行う。このとき、裏地内面に乾燥固着された接着剤およびこの印刷パターンは、合布された表地原緞によって見えない状態である。このような状況で、前述の圧着チップ(“高周波接合用モールド”に付着された圧着チップ)を前述の表地原緞上に位置させる。このとき、前述の圧着チップの圧着パターンと、前述の裏地原緞の印刷パターンとが同一に一致するように圧着チップの位置を調整する。その後、圧着チップを下降させ、合布された原緞を圧着しながら高周波加熱する。裏地に乾燥固着された接着溶液は、硬化反応し、裏地と表地とを接合させて接合線を形成させる。表地の表面には、前述の圧着チップによる加熱圧着によって圧着パターンのパターン線が形成される。一定の時間後、圧着チップ(高周波接合用モールドの圧着チップ)を上昇させ、原緞と分離すると、原緞の間には接合線が形成され、表地の表面にはパターン線が形成された二重原緞を得ることができる。上述の方法は、表地と裏地が二つとも一般原緞またはダウンプルーフ原緞である場合にももちろん適用することができる。
【0226】
図4は、裏地原緞と表地原緞のいずれもに接着液を印刷し、高周波接合させる工程概念図であって、表地が一般原緞またはダウンプルーフ原緞である場合に主として適用され得る。裏地あるいはダウンバッグに接着液を所定の印刷パターンで印刷し、乾燥させる。次いで、乾燥固着させた接着液(接合溶液)が付着された裏地あるいはダウンバッグに、同一の印刷パターンで乾燥固着された接着液が付着された表地を密着し、合布させる。このとき、表地原緞の接着液の印刷パターンと裏地原緞の接着液の印刷パターンとが一致するように合布させることが重要である。表地原緞によって、裏地内面および表地内面に付着された接着液のパターンが二つとも見えない状態で、前述の印刷パターンと同一の圧着パターンで形成された圧着チップを有する高周波接合用モールド(すなわち、ローラーまたはプレス)を表地原緞上に位置させ、圧着および高周波加熱して、接着液でもって裏地原緞(10)および表地原緞を高周波接合させる。一定の時間後、上記モールドを表地原緞から除去すると、原緞の間には接合線が形成され、表地の表面にはパターン線が形成された二重原緞を得ることができる。
【0227】
本発明によると、先接合後裁断方式で工程を行ってダウン製品用二重原緞を得ることができるため、種々の利点を示すことができる。例えば、通常の縫製方法と比較すると、第一、接着剤印刷技法および高周波接合工程による工程の自動化、第二、裁断しなければならない物品の個数の減少による生産性の向上および裁断正確性の向上、第三、人力および時間消耗的な隔室区分線形成用縫製工程の減少による生産コストの節減、生産速度の増加および大量生産の可能性などの利点を言及することができる。
【0228】
前述の工程自動化は、本発明によって二重原緞を製造する個別工程、すなわち、準備ステップ、印刷ステップ、乾燥ステップ、合布ステップおよび高周波接合ステップのいずれもを自動化または機械化することが可能であるため達成され得る。従来技術においては、機械化が不可能な縫製工程を必須として含むため、工程自動化または機械化が事実上不可能であるが、本発明においては、このような縫製工程なしに隔室区分線を形成することができ、このような隔室区分線を裁断前に形成することができるため、機械化および自動化が可能となる。このとき、接合剤印刷ステップおよび乾燥工程と工程の個数は増えたものの、これらの工程のいずれもが機械化、自動化が可能であり、コンベヤー方式の機械式移送装置を適用することができるため、むしろ全体的な生産所要時間は短縮され得るだけでなく、印刷技法を用いた印刷ステップおよび高周波接合ステップとパターンの生成を機械化、自動化することができるため、生産所要時間はさらに短縮され得る。
【0229】
併せて、接合線を印刷方式によって統合的に形成させることによって、製品の表面にパターン線を印刷方式で形成させることと同一の効果、すなわち、微細であり、鮮明なパターン線を優れた仕上げ品質で形成させることができる。
【0230】
第二、裁断の正確性の向上は、裏地と表地とが一体化された二重原緞を裁断することによって達成される。本発明においては、表地と裏地(あるいは、ダウンバッグ)とが接合線によって二重原緞として一体化されており、これらをともに裁断するため、裁断時における内在的な誤謬の可能性を最小化するか、または根本的に防止することができるためである。併せて、このような一体化された裁断によって、裁断しなければならない部分品の個数が半分近く減少されるため、生産性がまた向上され得る。
【0231】
第三、縫製工程の減少および生産工程の短縮は、隔室接合線があらかじめ形成された二重原緞の使用および先接合後裁断工程の採用によって達成される。すなわち、初期の工程ステップにおいて隔室接合線を自動化工程で形成させることによって、後続のステップにおいて隔室接合線の形成のための縫製ステップを除去することができ、これにより、工程への投入人力および所要時間を減縮することができる。原緞の準備から製品の生産までの工程数および投入人力を比較すると、縫製によって隔室接合線を形成させる既存の方法においては、40〜50の工程数および平均60名余りの投入人力が必要であるのに対し、高周波接合によって隔室接合線を形成させる本発明の方法においては、30〜35の工程数および平均45名の投入人力が必要であるため、工程数および投入人力において多くの節減効果を得ることができる。
【0232】
本発明において、接着液の乾燥は、高周波接合法で隔室接合線(すなわち、接合線およびパターン線)を高品質および高効率で形成させるのに非常に重要である。原緞にプリンティングされた接着液の乾燥は、合布工程における原緞の重なりまたは摩擦の際に接着液が付かないようにするだけでなく、高品質のパターン接合線を形成するためにも重要である。その理由は、高周波接合時に溶融される接着液の流動性が高すぎると、結果として得られた接合線において接着力の不足または仕上げ不良が引き起こされ得る。乾燥された接着液は、高周波加熱によって発生する高温で溶融され得るが、高周波加熱ローラーまたはプレスでもって圧着されるとき、流動性が大きすぎると、接着液が左右に広がりすぎるようになり、これによって、接合線を形成する接着液が不足するようになり得るだけでなく、高周波加熱範囲から外れるほど広く広がった接着液は、加熱されず、反応を進めないおそれもある。
【0233】
図5および
図6は、本発明の方法における乾燥の重要性を示すが、高周波加熱圧着時における接着液の挙動、および、結果として得られた接合線およびパターン線の関係を説明する。
【0234】
図5は、適切に乾燥された接着液が高周波接合工程において示す挙動、および、結果として得られたパターン接合線の形態を説明する図である。図(a)は、高周波接合工程前の状態であって、裏地(101)と表地(102)が合布されており、同時に、裏地(101)に印刷された接着液(103)の印刷パターンと圧着チップ(154)の圧着パターンとが互いに一致するように整列されている状態を示し;図(b)は、高周波接合が進められている状態であって、圧着チップ(154)は表地(102)を圧着してパターン線(108)を形成し、同時に、接着液を加熱して硬化反応させることによって接合線(107)を形成することを示し;および、図(c)は、高周波接合工程が完結した後の状態であって、裏地(101)および表地(103)は接着剤に由来する接合線(107)によって結合されており、表地(103)の表面にパターン線(108)が形成されていることを示す。このとき、接着液は、適切に乾燥されているため、高周波加熱および圧着時に流れ落ちるか、または広がらず、高周波加熱領域内において硬化反応を進めることができ、結果として、パターン接合線の品質(鮮明度、仕上げ)および物性(接着力、耐久性)に優れるようになる。
【0235】
図6は、適切に乾燥されないか、または流動性の高い接着液が高周波接合工程において示す挙動、および、結果として得られたパターン接合線の形態を説明する図である。
図6の図(a)、(b)および(c)は、
図5の図(a)、(b)および(c)に対応する。ただし、裏地(102)に印刷された接着液(103)は高流動性であるため、高周波接合(図b)時に硬化反応による接合線(107)の形成以前に、点線で表示された高周波加熱範囲の外に広がることを示す。高周波加熱範囲の外に広がった接着液は、硬化反応を進める場合には、接合予定線の外の原緞に付着し、接合線の仕上げを不良にさせることができ、硬化反応を進めず、未反応接着液(107において
【表2】
で表示された部分)として残留すると、追って隔室内のダウンがもつれるようにすることができる。
【0236】
本発明の一つの好ましい具現例によると、高周波加熱ローラーまたはプレスにおいて、接着液印刷パターンと圧着チップの圧着パターンとは実質的に同一であることが好ましいが、これらの幅(width)の差が20%以内、具体的には10%以内、好ましくは5%以内でなければならない。圧着チップの圧着パターンが接着液の印刷パターンよりも僅かに少ないことが鮮明なパターン線の形成および優れたパターン線の仕上げのために好ましいことがある。
【0237】
本発明において、高周波加熱ローラーまたはプレスの加熱チップの圧着パターンが接着液の印刷パターンと形状およびサイズが実質的に同一であるか、またはその差が5%以内であると、接着剤の大部分が接着線に含まれ得るため、結果として得られたパターン接合線の品質(鮮明度、仕上げ)および物性(接着力、耐久性)に満足し得る。接着剤の乾燥程度および圧着パターンと印刷パターンとのサイズの差を適切に選択することによって、加熱圧着時に横に流れ出るかまたは抜け出て接合線に含まれない未反応接着剤の量を最小限に制御することができる。
【0238】
圧着チップの圧着パターンが接着液の印刷パターンよりも広すぎると、用いられた接着剤は大部分が接合線の形成に用いられ得るのに対し、接着剤の量が圧着パターンの幅に比べて接着剤の量が相対的に少なく、圧着パターンをすべて包括することができなくなるため、内部接合線は縁がデコボコし、仕上げが不良となり、内部接合線で支持され得ない表面パターン線が部分的に形成される可能性があるため、パターン接合線の品質が全体として低下する。
【0239】
圧着チップの圧着パターンが接着液の印刷パターンよりも狭すぎると、さらには、接着液の印刷パターンが圧着チップの印刷パターンよりも広すぎると、表面パターン線はすべて内部接合線によって支持され得るが、圧着パターンと類似の高周波加熱範囲の外に存在する接着液は加熱が不十分であり、未反応接着液の比率が増加するようになる。これにより、印刷されたすべての接着剤が接合線の形成に用いられなくなり、経済的に不利であり、場合によっては、接着力が不足するようになる可能性もある。また、未反応接着液は、隔室内においてダウンのもつれなどを誘発し、高温洗濯または乾燥時に遅くても硬化反応を進め、パターン接着線の仕上げ品質を損なうため、製品不良の原因となり得る。
【0240】
図7は、高周波接合工程を高周波誘電加熱方式による高周波接合工程を図式的に説明する。
【0241】
図(a)に図示されたように、圧着プレス(153)および受け台(158)の内部には、それぞれ高周波回路(157)および高周波回路(159)が設置されており、上記圧着プレス(153)の末端に付着された突出部(154)は圧着チップとして作用する。
【0242】
図(b)に図示されたように、誘電加熱方式においては、前述の2個の高周波回路コイル(157および159)の磁力線内に位置する接着剤(103および104)は誘電加熱によって選択的に加熱される。上記磁力線内に位置する原緞も、場合によっては加熱され得る。前述の圧着プレス(153)における高周波の照射および突出部(154)の圧着が原緞の表面における同一の領域において同時に行われ、接着剤の硬化による内部接合線と、圧着チップの圧着による表面パターン線が同時に形成され得る。これに対し、誘導加熱方式においては、接着剤を直接加熱するか、または接着剤が熱を発生するようにする方式ではなく、誘導回路の内部において発生した熱が突出部に伝達または伝導され、突出部の熱が伝導によって原緞内部の接着剤に伝達または伝導され、接着剤の硬化反応を起こす。
【0243】
図(c)に図示されたように、所定の印刷パターンで印刷された接着剤(103および104)と、印刷パターンと同一の圧縮パターンを有する加熱チップ(154)とが互いに一致した状態で加熱圧着されると、高周波誘導加熱と同様に、優れた接着強度を有する接合線(107)および優れた仕上げ品質のパターン線(108)を同一のパターンで同時に得ることができるようになる。
【0244】
ただし、高周波誘電加熱方式においては、所望の接着剤の加熱温度および接着剤の誘電加熱定数を考慮して、適用する高周波の周波数、照射時間および電力を適切に選択することが必要である。
【0245】
もし、印刷パターンと圧縮パターンとが一致しない状態で高周波誘電加熱方式で接合工程が行われると、磁力線領域の外部に位置する接着剤は加熱されず、硬化を進めないか、または、硬化を進めても圧着されないこともあるため、原緞内部の接合線の不均一性、および、接合線とパターン線との不一致によって、パターン線の仕上げも不良であり、一部のパターン線部分においては、裏地および表地が互いに接合されない可能性もある。
【0246】
一方、高周波誘導加熱方式の接合手段を用いる場合、突出部は圧着加熱チップとして作用し、接着剤は、圧着加熱チップから発生し、原緞を通じて伝達された熱によって加熱される。圧着加熱チップは、印刷パターンが一致したままで合布された原緞を圧着パターンに沿って加熱圧着するが、もし、印刷パターンと圧着パターンとが同一であり、互いに一致した状態で加熱圧着されると、原緞内部には圧着パターンに沿って硬化された接着剤が形成する接合線、および、原緞の表面には圧着パターンに沿って形成されたパターン線が同時に同一のパターンで形成される。このような場合、接合線(すなわち、隔室区分線)の接合強度およびパターン線の仕上げ品質が非常に優れるようになる。ただし、高周波誘導加熱方式においては、原緞の表面の温度が上がりすぎないように、圧着加熱チップの温度および圧着時間を適切に調節することが必要である。
【0247】
もし、印刷パターンと圧縮パターンとが一致しない状態で高周波接合が行われると、加熱圧着チップの領域の外部に位置する接着剤は硬化反応を進めないか、または、硬化反応を進めても圧着されないこともあるため、上記と同様に、原緞内部の接合線の不均一性、および、接合線とパターン線との不一致によって、パターン線の仕上げも不良であり、一部のパターン線部分においては、裏地および表地が互いに接合されない可能性もある。
【0248】
図8は、圧着チップの圧着パターンの幅(Wt)と接着液の印刷パターンの幅(Wa)との差による接合線の形成様態および問題点を説明する図であって、
図8の図(a)は、接着液(103)が印刷された裏地(101)、および、接着液(104)が印刷された表地(102)が合布された状態を示す。
【0249】
図8の図(b)は、圧着パターンと印刷パターンの幅が実質的に同一である場合(Wt=Wa)における接合線(107)の形成過程を示すが、接着剤の大部分が高周波加熱範囲(円形の点線)に含まれ、硬化後に接合線(107)がパターン線(108)とほぼ一致するように形成されることが分かる。所定のパターン予定線(すなわち、圧着パターンの幅)の外に広がった接着剤は最小化され、結果として得られた接合線(107)は幅が均一に形成され、この仕上げも優れている。
【0250】
図8の図(c)は、圧着パターンの幅が印刷パターンの幅より少ない場合(Wt<Wa)における、パターン線(108)より広い接合線(107)の形成過程、および、発生し得る問題点を示す。硬化後に接合線(107)はパターン線(108)より広く形成され、パターン線は優れた仕上げで形成され得るが、原緞内部には未反応接着液(点線の外部分)が過度に残存する可能性がある。結果として得られた接着線の仕上げは優れているが、未反応接着液は工程コストを増加させる。高周波加熱範囲の境界線が接着剤の反応の境界線でないため、反応した接着剤と未反応の接着剤の境界が明確でないことから接合線の境界が不明確であり、したがって、仕上げが不良である。加熱圧着後に残るようになる未反応接着液は、後続の工程またはダウン製品の使用中に硬化反応を進めることがあるが、これによって、付近の原緞をさらに結合させるか、または、近くのダウンがもつれるようにして、製品不良を引き起こすことがある。
【0251】
図8の図(d)は、圧着パターンの幅が印刷パターンの幅より広い場合(Wt>Wa)における、パターン線(108)より狭い接合線(107)の形成過程を示す。この場合、加熱圧着後に接着液は大部分が硬化され、未反応接着液はほとんどないが、接合線の縁または境界線が滑らかでなく、デコボコに形成され得る。また、パターン幅に比べて接着剤が相対的に不足しており、表面パターン線の一部が未接着部位(接着線の右下段および左上段に点線円で表示された部分)によって支持される状態が発生する。このように、内部接着線(107)と表面パターン線(108)とが一体化されないと、パターン接着線の仕上げが不良となり、品質(接着力および耐久性)が低下する。
【0252】
一方、添付の
図5、6および7から、接着剤の印刷幅と圧着チップの圧着幅との差、および、これによる仕上げ品質の結果を説明することができる。先行文献に、原緞に接着剤またはホットメルトを塗布または付着し、ローラーまたはプレスで加熱圧着することによって原緞を接合するか、または、原緞の表面にフィルムを付着または形成する技術が提案されているが、これらは、いずれも上記
図8の図(d)において、圧着パターンの幅が印刷パターンの幅より広い場合(Wt>Wa)と同一であり、したがって、同一または類似の問題点が引き起こされ得る。
【0253】
結論として、圧着パターンと印刷パターンの形状が類似し、サイズが実質的に同一であることが好ましく、このような圧着パターンと印刷パターンは、実際には圧着手段に陽刻された圧着パターン、および、印刷装置に陰刻された印刷パターンで形成されるため、前述の圧着手段の圧着パターン(例、圧着ローラーの圧着チップ)と印刷手段の印刷パターン(例、印刷ローラーの溝)は、パターンが同一であり、パターン幅の差が20%以内、好ましくは10%以内、さらに好ましくは5%以内であることが良い。
【0254】
一般に、高周波加熱によって形成された接合線の引っ張り強度は、接着剤の種類、使用量、接合線厚さ、織物の類型によって変わり得る。本発明によって形成された隔室区分用パターン接合線を有する二重原緞、および、これを用いたダウン製品において、接合線の幅が2〜10mmである場合、接合線はおおよそ1〜20Kgf、具体的には1.2〜18kgf、好ましくは1.5〜15Kgfの引っ張り強度を示すことができる。
【0255】
本発明の一つの具現例によると、幅6mmの接合線は、原緞が一般の原緞および一般のダウンプルーフ原緞である場合には、おおよそ2.8Kgf以上、好ましくは3.8Kgf以上の引っ張り強度を示すことができ、原緞が機能性原緞である場合には、コーティング原緞またはラミネーティング原緞によって差があるが、少なくとも1.8Kgf以上、好ましくは4.0Kgf以上、特には6.0Kgf以上の引っ張り強度を示すことができる。
【0256】
既存の縫製による隔室接合線の引っ張り強度は、縫製糸および原緞の種類によって差があるが、おおよそ1〜4Kgfであることと比較すると、本願発明による隔室接合線の引っ張り強度の範囲は不足しておらず、むしろさらに優れることもある。
【0257】
一部のラミネーティング原緞の場合には、原緞本体とラミネートされたフィルムとの間の接着力が、高周波加熱によって形成された接合線の引っ張り強度より低いため、本発明による優れた引っ張り強度の効果を十分に発揮することができないこともあるが、これらの原緞を縫製法で接合する場合、他の不利な点が多いため、これらの原緞にも、本願発明の高周波接合法がさらに有利に適用され得る。
【0258】
本発明によって形成された隔室区分用パターン接合線を有する二重原緞、および、これを用いたダウン製品は、せん断力に対する耐性にも優れており、洗濯耐久性にも優れている。本発明によって製造された製品に対し、機能性原緞製品の耐久性の検証のために通常行う洗濯テストを行ったとき、1回の洗濯工程が洗濯40分および脱水乾燥40分からなる洗濯テストを10回、20回および30回行った後にも、接合部位において分離、離脱などの損傷がないことを確認した。
【0259】
本発明は、ダウン(アヒルの毛またはガチョウの毛中の胸毛)、羽毛、フェザーなどを区分充填するための隔室を有する衣類および寝具類、ならびにこの製造に適用することができるが、具体的には、ダウン衣類とダウン寝具類、特に、ジャケット、ズボン、布団、枕、寝袋、パディング、フェザーベッドなどを非制限的に言及することができる。
【0260】
一般に、ダウン(down、綿毛)は、水鳥のフェザー(Feather)の隣で育つ綿毛を言い、水鳥の胸、腹の下の部分、首下の部分、羽下で育つ。このダウンは、水鳥からのみ発見され、水鳥においても全体毛の10%未満の分量に過ぎず、値段が高い欠点があった。しかし、最近は、ダウンを得るためにアヒルの飼育が普遍化しているため、近ごろは非常に安価な値段で購入することができるようになった。
【0261】
ダウン(Down)は、天然素材の中でも最も軽いながらも暖かいという長所により多くの愛情を受けてきた。ダウンは、纎維それ自体が暖かいというよりは、纎維の構造上、多い量の停止空気層(Still Air Film)を含んでいることから、保温性が増加するようになるものである。しかし、ダウンは、纎維長が短く、弱いことから、製織することができないため、ダウン自体のみをもっては衣類に用いられ得ず、表地の内部を満たす充填素材としてのみ用いられている。市販のダウン製品の充填素材としては、大きく、アヒルの毛(Duck Down)とガチョウの毛(Goose Down)がある。通常、ダウン製品をアヒルの毛と言うのは、ダウンの多くの部分はアヒルの毛が占めているためであり、最近ではガチョウの毛が多く用いられている。
【0262】
ダウンの機能は、綿毛の群れと群れの間に空気を多量含んでおり、保温性に優れることから、高温や低温で体温を維持できるようにする役割をする。また、過多な湿気が体の中に入ってくることを防ぎ、湿気を防水する能力を有している。
【0263】
したがって、よく加工されたダウンが有する代表的な特徴は、第一、天然および人造綿に比べて軽く、第二、現在まで発見されている天然保温材のうち最も暖かく、第三、弾性に優れ、第四、大気の変化によって自然に収縮、膨脹、吸湿、防湿、防水の機能を発揮し、衛生的であるということである。
【0264】
ダウンの種類は、白色のアヒルの毛、灰色のアヒルの毛、白色のガチョウの毛、灰色のガチョウの毛がある。また、ダウンの含量が50%未満であると、フェザー製品に分けられる。すなわち、ダウンパーカーであるからといって、いずれもがダウン100%ではなく、実際的に見ると、市中で販売されているダウンパーカー製品のダウンの含量は平均80%未満である。
【0265】
以下において、本発明によるダウン製品用二重原緞の製造方法および製造装置についてさらに具体的に説明する。本発明によるダウン製品用二重原緞は、
図9に図示された製造装置を用いて製造され得る。
図9の製造装置は、説明のために例示されたものであって、本発明は、このような製造装置によって限定されない。
図9の製造装置は、典型的に、投入手段(110)、印刷手段(120)、乾燥手段(130)、合布手段(140)、接合手段(150)および巻取手段(160)を含むが、それぞれの装置の役割および/または機能は、次のとおりである:
【0266】
投入手段(110)は、裏地原緞ロール(111)および表地原緞ロール(112)をそれぞれコンベヤー式またはローラー式工程ラインの導入部に連結し、原緞が工程ラインに連続的に投入され得るようにする手段を意味する。
【0267】
印刷手段(120)は、接着剤を所定の印刷パターンで原緞に印刷する手段であって、スタンピング印刷手段、圧延プレス印刷手段、ローラー印刷手段またはスクリーン印刷手段などから選択され得る。前述のスタンプ、プレスまたはローラーには、上記印刷パターンが陰刻または陽刻で、好ましくは陰刻で刻まれており、前述のスクリーンには、印刷パターンがスクリーンされている。印刷手段は、二重原緞を構成する第1原緞(表地)および第2原緞(裏地)に対してそれぞれ設置され得るが、接着剤は、第1原緞および第2原緞のうちいずれか一つまたは二つともに印刷される。
図9において、ローラー印刷方式の裏地印刷手段(121)およびスクリーン印刷方式の表地印刷手段(122)が図示されている。
【0268】
また、裏地原緞に印刷された接着剤(103)および表地原緞に印刷された接着剤(104)は、水平移動される裏地原緞(101)および表地原緞(102)の上向き面に印刷されるものと図示されているが、これは、便宜のためのものであって、必要に応じて、原緞の下向き面に印刷されるか、または垂直移動もしくは傾斜移動される原緞に印刷されることもあるが、このような場合には、接着液は流れ落ちない程度の粘度を有することが良い。
【0269】
裏地印刷装置として、ローラー印刷装置(121)が例示されているが、これを用いた印刷方法は、
図10に例示されている。ローラー印刷装置(121)は、
図10に図示されたように、接着液供給機(128)、リリースローラー(127)、メインローラー(125)およびガイドナイフ(129)を基本的に含む。接着液(103)は、接着液容器(128)からリリースローラー(127)に供給され[参照:図(a)]、次いで、印刷パターンが刻まれたメインローラー(125)の溝(124)に伝達され[参照:図(b)および(c)]、このようにメインローラーの溝(125)に伝達された接着液は、原緞と接触するとき、原緞の表面に付けられ、原緞に伝達される[参照:図(d)、(e)および(f)]。このように原緞に印刷された接着液(103)は、後続の乾燥装置において乾燥され、原緞に固着され得る。ローラー印刷装置(121)は、メインローラーの溝(124)(印刷パターンが陰刻された部分)以外に付いた印刷を除去するためのガイドナイフ(129)をさらに含むことができる。
【0270】
図9においては、表地印刷装置(122)として、スクリーン印刷装置が例として図示されているが、スクリーン印刷装置は、接着液供給機、スクリーンおよびブラシを含むことができる。スクリーン印刷装置において、接着液は、接着液供給機からスクリーンに供給され、次いで、スクリーンが原緞に接触したとき、ブラシでスクリーンを掃くと、スクリーンに刻まれたパターンに沿って接着液が原緞に塗布される。このように塗布された接着液(104)は、後続の乾燥装置(130)において乾燥され、原緞に固着され得る。
【0271】
乾燥手段(130)においては、原緞に印刷された接着液が乾燥されるが、合布時に互いに付くか、またはパターンが崩れないように適切な水準で乾燥または固化され、原緞に付着されるようにする。乾燥ステップにおいて、原緞の表面に付着された接着液は、高い乾燥温度によって粘度が低下し、原緞内部にさらに染み込んで固着され得る。裏地および表地は、同一または異なる乾燥手段で乾燥され得る。
図9においては、裏地と表地の乾燥を同一の乾燥手段で行うものと図示されているが、これは、例示のためのものであって、これによって本発明が限定されない。乾燥は、加熱、送風、赤外線照射またはこれらの組み合わせによって行われ得るが、これのための発熱体(例。発熱フィラメント)、送風機および発光体などは、
図9に具体的に記載しない。本発明の一つの好ましい具現例によると、上記乾燥手段は、テンター機から選択され得る。
【0272】
合布手段(140)は、裏地と表地とを互いに接近させて密着させることによって原緞を合布する手段であって、例えば、裏地および表地を密着させ、裏地の印刷パターンおよび表地の印刷パターンを互いに一致するように密着させる。
【0273】
前述の合布手段は、第1原緞(または、下部原緞もしくは裏地)および第2原緞(または、上部原緞もしくは表地)を密着させる過程において、裏地の印刷パターンおよび表地の印刷パターンを一致するように整列するための第1整列手段(原緞位置調整手段)をさらに含むことができる。本発明において、裏地の印刷パターンおよび表地の印刷パターンを一致させる位置整列は、原緞の位置の調節および/または移送速度の調節によって達成され得るが、これのための手段として、可変ローラー手段(142)または原緞速度調節手段などを例示することができる。可変ローラー(142)は、原緞の移送経路において原緞と接触しているが、この位置を上下に移動させ、原緞の経路を変更することができる。これによって、裏地と表地に付着された接着剤の相対位置が調整され得る。
【0274】
一般に、原緞の移送速度の調節は、印刷工程または乾燥工程などの速度を調整することによって達成され得るが、工程ラインの全体にわたって原緞の移送速度を調節することが要求されるという問題点がある。したがって、移送速度の調節よりは、移送経路の調節によって原緞の位置を整列することがさらに容易または効率的であり得る。
【0275】
可変ローラー(142)を用いる第1整列手段の作動方式を説明すると、次のとおりである。例えば、裏地(101)に付着された接着剤(103)が、表地(102)に付着された接着剤(104)より少し遅れて合布装置内に引き込まれると、表地(102)の移送速度を全体的に少し遅らせることができる。さらには、表地の移送経路上に位置した可変ローラー(142)を上方へ移動し、表地(102)の移送経路を長くすることによって、表地の接着剤(104)の位置を後方に移すことができ、結果として、裏地と表地とのパターンを一致させることができる。
【0276】
このような第1整列手段(原緞位置調整手段)は、例えば、裏地原緞および表地原緞に付着された接着剤の相対位置を測定する手段、ならびに、上記相対位置が一致するように原緞の移送速度または原緞の移送経路を調節することができる調整手段をさらに含むことができる。位置測定装置は、原緞の移送速度および/または原緞の移送経路を調節することができる手段とともに連携してコンピューターで制御することによって、上述の整列過程を精密に行うことができるだけでなく、自動化することもできる。
【0277】
一方、補強部材(例。メッシュ部材)を用いる場合には、前述の投入手段、印刷手段、乾燥手段および合布手段ならびにこれらの作動様態は適切に変形または補完され得る。
【0278】
補強部材の投入は、補強部材原緞ロール(不図示)を用いて連続的に提供することができるか、または、切断された補強部材を裏地と表地との間に挿入することができる補強部材挿入手段(不図示)を用いて所定の位置に提供することができる。
【0279】
補強部材原緞ロール(不図示)および補強部材挿入手段(不図示)の位置は、特に決められておらず、補強部材原緞ロールは、補強部材が裏地原緞および表地原緞の間に連続的に挿入され得るように位置されなければならず、切断された補強部材の挿入手段は、好ましくは乾燥手段および合布手段の間に位置することができる。
【0280】
例えば、メッシュ部材印刷手段(不図示)およびメッシュ部材乾燥手段(不図示)を用いて、接着剤−固着されたメッシュ部材を先に形成させ、これを表地と裏地との間に連続的にまたは断続的に挿入することができる。接着剤−固着されたメッシュ部材を、裏地または表地と類似の幅を有する原緞の形態で用いて連続的に挿入する場合には、裏地および表地と単に挿入することによって合布され得るが、メッシュ部材を適切な長さに切断して断続的に挿入する場合には、メッシュ部材挿入手段(不図示)を用いて、裏地および表地の間の適切な位置(すなわち、パターン接合線を形成させる位置)に挿入および合布することができる。この場合、位置整列手段を用いて挿入位置を正確に調整することができる。
【0281】
接合手段(150)は、原緞の圧着下で高周波加熱によって接着剤を硬化させ、原緞を結合させる手段であって、表面に所定の圧着パターンを有する圧着用突出部もしくは圧着チップが形成されている圧延プレス、または、ローラー圧着手段を用いて行われ得る。
【0282】
接合手段(150)においては、突出部の圧着パターンが、合布された原緞の印刷パターンと一致するように、上記突出部と合布された原緞とをそれぞれ位置させた後、突出部を原緞の方に接近させ、原緞を圧着させ、同時に高周波加熱で接着剤を硬化反応させ、原緞を接合させるようになる。
【0283】
本発明の一つの好ましい具現例によると、前述の接合手段(150)は、接着剤の印刷パターンと突出部の圧着パターンとが互いに一致するように原緞および/または突出部の位置を調整できる第2整列手段(不図示)を含むことができる。第2整列手段は、合布された原緞の移送速度、突出部の位置、ローラーの速度などを調整する手段を含むことができる。
【0284】
合布された原緞の印刷パターンの位置は、可変ローラー(不図示)による位置の調整または移送速度の調整によって微細に変更され得る。合布された原緞の移送速度の調整は、全体の工程ラインにわたって原緞の移送速度を変更しなければならないという問題があるため、可変ローラーでもって合布された原緞の位置を変更し、合布された原緞の印刷パターンの位置を調整することが容易である。
【0285】
一方、印刷パターンと圧着パターンとの一致は、圧着パターンの位置を調整することによって達成されることもある。圧着パターンの位置、具体的には、圧着ローラーまたはプレスの圧着チップまたは突出部の位置は、これらの動作速度(すなわち、ローラーの回転速度またはプレスの圧着速度)、またはこれらの位置(例、高低)を変更することによって調整され得る。ローラーもしくはプレスの動作速度および/または位置を調節することが最も容易であり、効率的であり得る。したがって、印刷パターンおよび圧着パターンが一致するように原緞と圧着チップを整列させる第2整列手段の目的は、原緞の位置、圧着チップの位置、原緞の移送速度、圧着チップの動作速度などを調節する方式で達成され得るが、好ましくは、圧着チップの位置または動作速度を調節することによって達成され得る。
【0286】
前述の第2整列手段は、接着剤位置測定装置および/または加熱チップ位置調整装置を含むことができ、これらをコンピューターでもってともに制御することによって、上記整列工程をさらに精密に行うことができ、さらには自動化することもできる。
【0287】
上述の第1整列手段および第2整列手段は、印刷分野において2種以上の色相を印刷する印刷技法、例えば、3種の色相をそれぞれ印刷する3色印刷技法、または、4種の色相をそれぞれ印刷する4色印刷技法と類似の技術および装置を用いることができる。
【0288】
本発明の一つの具現例によると、印刷パターンおよび圧着パターンは、パターン中心線を基準としてパターン(形態)が互いに重畳され得るとともに、互いのサイズ(幅)の差が20%以下、好ましくは10%以下となるようにすることが良い。
【0289】
巻取手段(160)は、連続的に製造された二重原緞(161)を任意の冷却過程を経た後、ロール(162)形態で巻取る手段を指称するが、必ずしも巻取ロールの形態に限定されるものではなく、移送しやすい形態に合わせることができる。接合工程において製造された二重原緞は、巻取手段からそのまま、またはロールもしくは他の形態に合わせ、後続のダウン製品の製造工程、例えば、マーカーおよび裁断工程に直ちに移送されることもある。
【0290】
一方、裏地原緞および表地原緞から始め、
図9に記載の製造装置においてダウン製品製造用二重原緞を製造する工程を順に沿って説明すると、次のとおりである。裏地原緞(101)は、裏地原緞ロール(111)から解れ、印刷手段(120)に供給される。印刷手段(120)の裏地印刷装置(121)は、
図9においてはローラー印刷技法で図示されているが、供給された裏地原緞(101)の内面に所定の印刷パターンで接着液(103)を印刷する。接着液(103)が印刷された裏地原緞(101)は、テンター機のような乾燥手段(130)に移送され、所定の温度および所定の時間の間、乾燥される。
【0291】
また、表地原緞(102)にも接着液を印刷することができ、好ましくは、裏地原緞と同一の印刷パターンで接着液を印刷する。表地原緞ロール(112)から解れた表地原緞(101)の内面には、表地印刷装置(122)によって接着液が所定の印刷パターンで印刷される。前述の表地印刷装置(122)は、
図9によると、スクリーン印刷技法を用いるものと図示されているが、他の印刷手段、例えば、ローラー、プレスを用いることができる。接着液(103)が印刷された表地原緞は、テンター機のような乾燥手段(130)に移送され、所定の温度および所定の時間の間、乾燥される。
【0292】
接着液(103)が印刷された裏地原緞(101)および接着液(104)が印刷された表地原緞(102)は、それぞれ乾燥された後、合布手段(140)に移送され、接着液(103)の印刷パターンおよび接着液(104)の印刷パターンが一致するように合布される。このとき、前述の印刷パターンの位置に差があり、互いに一致しない場合には、原緞の移送速度を調節することによって、または、移送ローラー(142)を用いて表地原緞の移送距離を調整することによって、印刷パターンの差を調整することができる。
【0293】
印刷パターンが一致するように合布された裏地原緞(101)および表地原緞(102)は、高周波接合手段(150)に供給され、高周波接合装置(153)の圧着チップ(154)で印刷パターンの位置において原緞を圧着しながら高周波加熱を行い、裏地原緞および表地原緞は、接着剤に由来する接合線で結合させることによって、二重原緞(161)を製造することができる。製造された二重原緞(161)は、巻取って二重原緞巻取ロール(162)を形成させる。
【0294】
図11aは、印刷手段(130)において用いられ、所定の印刷パターンで溝部(124)が陰刻されたプレス(123)、および、高周波接合手段(150)において用いられ、前述の印刷パターンと同一の圧縮パターンで突出部(154)が形成されたプレス(153)を示す図であり、
図11bは、
図11aにおいて、印刷手段および接合手段がプレスではなくローラー形態を有する場合を図示した図であって、所定の印刷パターンで溝部(124)が陰刻されたローラー(125)、および、前述の印刷パターンと同一の圧着パターンで突出部(153)が陽刻されたローラー(152)を示している。前述のプレス(123)およびローラー(125)において、左側の斜線の断面は切断面を意味し、陰刻された溝(124)は、両末端が塞がれているか(
図11aおよび
図11b)、または空けられていることもある。
【0295】
上記
図11aおよび
図11bにおいて、陰刻された溝(124)の印刷パターンおよび突出した圧着チップ(154)の圧着パターンは、形状およびサイズが互いに対応し、同一であり、具体的に、パターン中心線を基準としてパターン(形態)が互いに重畳され得るとともに、互いのサイズ(幅)の差が20%以下、好ましくは10%以下である。溝(124)の深さと圧着チップ(154)の高さは、互いに対応するものではなく、それぞれ独立して選択され得るが、例えば、陰刻の深さは一般に0.5〜5mm、好ましくは1〜3mmから選択され得、陽刻の高さは1〜30mm、好ましくは5〜20mmから選択され得る。
【0296】
図12は、印刷パターンと圧着パターンとの一致に対する概念を示す概念図であって、突出した圧着チップ(154)の圧着パターン、表地(102)に印刷された接着剤(104)の印刷パターン、および、裏地(103)に印刷された接着剤(105)の印刷パターンは、一点鎖線に沿って一致するように整列されていることを示す。
【0297】
図13aおよび
図13bは、本発明によって高周波接合法で形成されたパターン接合線を示す写真であって、表地の表面に小さな網状の模様および大きな網状の模様が連続的に形成されていることをそれぞれ示す。
【0298】
図14aは、高周波接合法で形成された隔室区分用パターン接合線の引っ張り強度を測定することを示す図であり、
図14bは、縫製法で形成された隔室区分用縫製線の引っ張り強度を測定することを示す図である。
【0299】
図15は、高周波接合法で形成された隔室区分用パターン接合線が形成され、ダウンを充填させたダウン製品用部分品の洗濯テストの結果を示す図である。
【0300】
図16は、高周波接合法で形成された隔室区分用パターン接合線を有する二重原緞、または、ダウン製品の表面および構造を説明する図であって、(a)波模様のパターン線(108)が形成された原緞の外側表面、(b)A−A切断線による断面における内部の構造の断面図、および(c)裏地(101)および表地(102)が接合された部位の構造と、接合されていない部位における構造を立体的に描写する斜視図である。
【0301】
図17は、補強部材(103)を挿入して形成されたパターン接合線の構造を示す図であって、(a)および(c)は、連続的に挿入される接着剤−固着された補強部材(103)、および、これを含むパターン接合線(108)の断面の構造を描写する図であり、(b)および(d)は、断続的に挿入される接着剤−固着された補強部材(103)、および、これを含むパターン接合線の断面の構造を描写する図である。
【0302】
本発明によると、印刷手段および圧着手段は、同一の類型の装置、すなわち、印刷プレス−圧着プレスの組み合わせ、または、印刷ローラー−圧着ローラーの組み合わせを選択することができ、互いに異なる類型の組み合わせ、例えば、印刷プレス−圧着ローラー、印刷ローラー−圧着プレス、または、印刷スクリーン−圧着プレスの組み合わせを選択することができる。
【0303】
本発明の明細書における、裏地と表地の二つともに接着剤を印刷し、高周波接合工程を行う方法に対する説明は、裏地と表地のうち一つにのみ接着剤を印刷し、高周波接合工程を行う方法にも適切に変形されて適用され得るが、このような変形は、当業者にとって容易に理解され得るであろう。
【実施例】
【0304】
以下において、本発明は、実施例を参考にしてさらに詳しく説明される。下記の実施例は、本発明を説明するために与えられたものであって、いかなる方式でも本発明を限定しない。
【0305】
実施例1
【0306】
裏地および表地として市販のダウンプルーフ原緞を用いて、ダウン製品用二重原緞を製造した。
【0307】
ダウンプルーフ原緞からなる裏地原緞に、エポキシ系液状接着剤を幅6mmの印刷パターンで印刷した。印刷パターンは、連続する網印(〜)の形態を有し、印刷パターン間の間隔は約10〜20cmであった。結果として得られた裏地原緞をテンター機に移送し、約100℃で約30分間、接着剤を乾燥させ、接着剤−印刷パターンが固着された裏地原緞を製造した。
【0308】
ダウンプルーフ原緞からなる表地原緞を上記と同様に処理し、接着剤−印刷パターンが固着された表地原緞を製造した。
【0309】
上記準備された裏地原緞の印刷パターンと表地原緞の印刷パターンとを一致させながら、裏地原緞と表地原緞とを合布させた。
【0310】
印刷パターンと同一の圧着パターンで突出した圧着チップを有する高周波加熱ローラーを用いて、高周波接合工程を行った。圧着チップの圧着パターンと原緞の印刷パターンとが一致するように圧着チップを位置させた後、この圧着チップで原緞を圧着しながら、15KHzの高周波を4〜5秒間照射し、接着剤を加熱硬化させた。
【0311】
上記高周波接合によって得られた二重原緞の表面には、内部接合線と同一の位置にパターン線が鮮明に形成されていることを確認した(
図13aおよび
図13b参照)。
【0312】
上記得られた二重原緞の隔室区分用内部接合線の引っ張り強度は、プッシュ−プルゲージ(FB push−pull scale;Imada、Japan)を用いて、接合部位が離脱するまで測定し、数回測定して平均3.8kgの引っ張り強度を得た(
図14a参照)。
【0313】
比較例1
【0314】
ダウン製品の縫製に通常用いられるポリエステル混紡縫製糸でもって縫製して裏地および表地を結合させ、隔室区分用接合線および表面パターン線のいずれもが縫製線で形成された二重原緞を製造した。縫製線の縫製孔(針孔)の間隔は0.5cmであった。
【0315】
上記得られた二重原緞の隔室区分用内部接合線の引っ張り強度を実施例1と同様に測定し、測定された引っ張り強度は3.5kgであった(
図14b参照)。
【0316】
実施例2〜3
【0317】
印刷パターンおよび圧着パターンの幅を2mm(実施例2)および4mm(実施例3)とすることを除いては、実施例1と同様に進め、隔室区分用接合線および表面パターン線を有する二重原緞を製造した。
【0318】
上記二重原緞の隔室区分線は、二つとも1.8kg以上の引っ張り強度を示し、30回以上の洗濯試験(1回の洗濯:洗濯40分、脱水乾燥40分)においても接合部位の離脱はなかった。
【0319】
実施例4
【0320】
裏地および表地原緞として、市販の一般の通気性織物(normal breathable fabric)を用いることを除いては、実施例1と類似して進め、隔室区分用接合線および表面パターン線を有する二重原緞を製造した。
【0321】
上記二重原緞をマーカーおよび裁断し、仕上げし、ダウンを注入し、オーバーロッキング仕上げでダウン注入口を密封することによって、ダウン製品を製造した。
【0322】
上記ダウン製品の隔室区分線は、1.8kg以上の引っ張り強度を示し、それぞれ10回、20回および30回の洗濯試験(1回の洗濯:洗濯40分、脱水乾燥40分)を経た後にも接合線の破裂や接合部位の離脱はなかった(
図15b)。
【0323】
実施例5
【0324】
裏地および表地原緞として、通気性コーティング織物であるゴアテックス原緞[製品名Gore−Tex(R);製造社、ゴアテックス社]を用いることを除いては、実施例1と類似して進め、隔室区分用接合線および表面パターン線を有する二重原緞を製造し、これを用いてダウン製品を製造した。
【0325】
上記二重原緞の隔室区分線は、4.3kg以上の引っ張り強度を示し、それぞれ10回、20回および30回の洗濯試験(1回の洗濯:洗濯40分、脱水乾燥40分)を経た後にも接合線の破裂や接合部位の離脱はなかった(
図15a)。
【0326】
実施例6
【0327】
裏地および表地原緞として、市販の延伸型通気性コーティング織物(stretch breathable coating fabric)を用いることを除いては、実施例1と類似して進め、隔室区分用接合線および表面パターン線を有する二重原緞を製造し、これを用いてダウン製品を製造した。
【0328】
上記二重原緞の隔室区分線は、9.4kg以上の引っ張り強度を示し、30回以上の洗濯試験(1回の洗濯:洗濯40分、脱水乾燥40分)でも接合部位の離脱はなかった(
図15c)。
【0329】
実施例7
【0330】
裏地および表地原緞の液状接着剤を印刷および乾燥し、裏地および表地原緞の間にメッシュ原緞(幅は原緞の幅と類似)を連続的に挿入してともに合布することを除いては、実施例1と類似して進め、隔室区分用接合線および表面パターン線を有する、メッシュ−補強されたパターン接合線を有する二重原緞を製造し、これを用いてダウン製品を製造した。
【0331】
実施例8
【0332】
裏地および表地原緞の液状接着剤を印刷および乾燥し、裏地および表地原緞の間に接着剤が固着された位置にメッシュ原緞(長さは原緞の幅と類似、幅は約3〜4cm)を挿入することを除いては、実施例5と類似して進め、隔室区分用接合線および表面パターン線を有する、メッシュ−補強されたパターン接合線を有する二重原緞を製造し、これを用いてダウン製品を製造した。
【0333】
実施例9
【0334】
裏地および表地原緞には液状接着剤を塗布せず、メッシュ原緞に液状接着剤を10cm間隔で所定の印刷パターンで印刷および乾燥し、接着剤−固着されたメッシュ原緞を幅10cmに切断した。結果として得られた接着剤−固着されたメッシュ原緞は、長さが裏地および表地原緞の幅と類似し、幅が10cmであり、接着剤の印刷パターンは幅10cmの中間に位置した。上記製造された接着剤−固着されたメッシュ原緞を裏地および表地原緞の間の所定の位置に挿入し、合布した。
【0335】
印刷パターンと同一の圧着パターンで突出した圧着チップを有する高周波加熱ローラーを用いて、高周波接合工程を行った。裏地と表地原緞の間に挿入されたメッシュ部材の印刷パターンが圧着チップの圧着パターンと一致するように圧着チップを位置させた後、この圧着チップで原緞を圧着しながら15KHzの高周波を5〜6秒間照射し、接着剤を加熱硬化させることによって、メッシュ−補強されたパターン接合線を有する二重原緞を製造した。
【0336】
上記得られた二重原緞の表面には、内部接合線と同一の位置にパターン線が鮮明に形成されていることが確認され、メッシュ−補強されたパターン接合線の引っ張り強度は、メッシュ−補強されていないパターン接合線より優れていることを確認した。
【0337】
比較例2〜3
【0338】
ダウンプルーフ原緞を裏地および表地として用い、ポリウレタン系ホットメルトおよびポリエステル系ホットメルトを接着剤として用いて、ダウン製品用二重原緞を製造した。
【0339】
市販のポリウレタンホットメルトフィルムまたはポリエステル系ホットメルトフィルムを幅1cmの直線形態で切断し、裏地原緞の内面に10cmの間隔で付着し、ホットメルトが付着されていない表地原緞をその上に合布する。
【0340】
合布された裏地原緞および表地原緞に対し、所定の圧着パターンで突出した圧着チップを有する高周波加熱ローラーを用いて、次のように高周波接合工程を行った。
【0341】
圧着チップの圧着パターンと原緞のホットメルト接着部位とが一致するように圧着チップを位置させた後、この圧着チップで原緞を圧着しながら15KHzの高周波を4〜5秒間照射し、接着剤を加熱溶融させた後、冷凍させた。上記高周波接合によって得られた二重原緞の表面には、内部接合線と同一の位置にパターン線が形成されていることを確認し、実施例1と同様に隔室区分線の引っ張り強度を測定した。
【0342】
上記二重原緞は、30回以上の洗濯試験(1回の洗濯:洗濯40分、脱水乾燥40分)を行ったとき、接合部位の離脱や分離が部分的に発生した。