(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
登録された帳票データを提示する帳票メニュー画面、及び帳票実データを作成する際の集計条件を入力する条件入力画面を、配信担当者の第1の端末装置の第1の表示部に表示する制御を行う第1の表示制御部と、
前記帳票メニュー画面において前記配信担当者が選択した前記帳票データを示す選択情報、及び前記条件入力画面において前記配信担当者が入力した集計条件情報を受け付ける第1の入力受付部と、
前記第1の入力受付部が受け付けた前記選択情報及び前記集計条件情報に基づいて、前記帳票実データを閲覧者に参照させるための配信情報を作成する作成部と、
前記配信情報が前記閲覧者に配信されたことを通知する通知部と、
前記通知部による通知に対する、前記閲覧者による入力を受け付ける第2の入力受付部と、
前記配信情報に基づいて、前記閲覧者の第2の端末装置の第2の表示部に前記帳票実データを表示する制御を行う第2の表示制御部として、
コンピュータを機能させ、
前記作成部は、
配信ID、前記選択情報により選択指示された前記帳票データのIDである帳票データID、及び前記集計条件情報の入力タイミングに対応する前記帳票実データのIDであるデータIDを含む情報を、前記配信情報として作成することを特徴とするプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来手法では、ソフトウェア内(システム内)での帳票データの配信を行うことが想定されていない。例えば、特許文献1の手法では帳票データはPDFファイルとして配信されるものであるため、PDFファイルの作成後に、誤りが見つかったり、データベース(帳票データの作成に用いられるデータを記憶するもの)が更新された場合にも、帳票データを適切に修正すること、及び修正後データを共有することが困難である。
【0006】
また、帳票データの作成者(配信担当者)と閲覧者が異なる場合でも、帳票データの作成に用いられる集計条件として同一の条件を入力することができれば、配信担当者と閲覧者は対応する帳票データをソフトウェア内で共有することが可能である。しかし、一般的に集計条件は多数の項目が複雑に組み合わされたものになることが想定されるため、閲覧者に対して正確な集計条件の入力を強いるのでは利便性の観点から問題が大きい。
【0007】
本発明の幾つかの態様によれば、帳票データのソフトウェア内での配信を可能にするとともに、配信担当者及び閲覧者の負担を軽減するプログラム及び情報処理システムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、登録された帳票データを提示する帳票メニュー画面、及び帳票実データを作成する際の集計条件を入力する条件入力画面を、配信担当者の第1の端末装置の第1の表示部に表示する制御を行う第1の表示制御部と、前記帳票メニュー画面において前記配信担当者が選択した前記帳票データを示す選択情報、及び前記条件入力画面において前記配信担当者が入力した集計条件情報を受け付ける第1の入力受付部と、前記第1の入力受付部が受け付けた前記選択情報及び前記集計条件情報に基づいて、前記帳票実データを閲覧者に参照させるための配信情報を作成する作成部と、前記配信情報が前記閲覧者に配信されたことを通知する通知部と、前記通知部による通知に対する、前記閲覧者による入力を受け付ける第2の入力受付部と、前記配信情報に基づいて、前記閲覧者の第2の端末装置の第2の表示部に前記帳票実データを表示する制御を行う第2の表示制御部として、コンピュータを機能させるプログラムに関係する。
【0009】
本発明の一態様では、配信担当者による帳票データの選択、及び集計条件情報の入力に基づいて、配信情報が作成され、作成された配信情報が閲覧者に対して配信されたことが通知される。これにより、帳票実データを取り扱うソフトウェアにおいて、帳票実データの配信担当者と閲覧者とが異なる場合にも、当該帳票実データの配信、共有、回覧等を円滑に行うこと等が可能になる。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記作成部は、配信ID、前記選択情報により選択指示された前記帳票データのIDである帳票データID、及び前記集計条件情報のIDである集計条件IDを含む情報を、前記配信情報として作成してもよい。
【0011】
これにより、配信ID、帳票データID、及び集計条件IDを含む情報を、配信情報として作成することが可能になる。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記第2の入力受付部は、前記閲覧者による閲覧指示情報を受け付け、前記第2の表示制御部は、前記選択情報により選択指示された前記帳票データに含まれる各項目に対して、前記集計条件情報に応じて、前記閲覧指示情報の受付タイミングに対応するタイミングにおいて集計されたデータを対応づけることで取得される前記帳票実データを、前記閲覧者の前記第2の端末装置の前記第2の表示部に表示する制御を行ってもよい。
【0013】
これにより、配信ID、帳票データID、及び集計条件IDを含む配信情報を用いた場合に、閲覧者の閲覧時点における帳票実データの作成及び閲覧等が可能になる。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記作成部は、配信ID、前記選択情報により選択指示された前記帳票データを表す帳票データID、及び前記集計条件情報の入力タイミングに対応する前記帳票実データのIDであるデータIDを含む情報を、前記配信情報として作成してもよい。
【0015】
これにより、配信ID、帳票データID、及びデータIDを含む情報を、配信情報として作成することが可能になる。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記第2の入力受付部は、前記閲覧者による閲覧指示情報を受け付け、前記第2の表示制御部は、前記閲覧指示情報が受け付けられた場合に、前記データIDに基づいて、前記集計条件情報の入力タイミングに対応する前記帳票実データを、前記閲覧者の前記第2の端末装置の前記第2の表示部に表示する制御を行ってもよい。
【0017】
これにより、配信ID、帳票データID、及びデータIDを含む配信情報を用いた場合に、配信担当者による集計条件情報の入力時点における帳票実データを、閲覧者側で閲覧すること等が可能になる。
【0018】
また、本発明の一態様では、前記作成部は、配信ID、前記選択情報により選択指示された前記帳票データのIDである帳票データID、前記集計条件情報のIDである集計条件ID、及び前記集計条件情報の入力タイミングに対応する前記帳票実データのIDであるデータIDを含む情報を、前記配信情報として作成してもよい。
【0019】
これにより、配信ID、帳票データID、集計条件ID、及びデータIDを含む情報を、配信情報として作成することが可能になる。
【0020】
また、本発明の一態様では、前記第2の入力受付部は、前記閲覧者による閲覧指示情報を受け付け、前記第2の表示制御部は、前記閲覧指示情報が受け付けられた場合に、前記選択情報により選択指示された前記帳票データに含まれる各項目に対して、前記集計条件情報に応じて、前記閲覧指示情報の受付タイミングに対応するタイミングにおいて集計されたデータを対応づけることで取得される前記帳票実データを、前記閲覧者の前記第2の端末装置の前記第2の表示部に表示する制御、及び前記データIDに基づいて、前記集計条件情報の前記入力タイミングに対応する前記帳票実データを、前記閲覧者の前記第2の端末装置の前記第2の表示部に表示する制御の少なくとも一方の制御を行ってもよい。
【0021】
これにより、配信ID、帳票データID、集計条件ID、及びデータIDを含む配信情報を用いた場合に、集計条件ID及びデータIDの少なくとも一方を用いて、状況に合わせた適切な制御を行うこと等が可能になる。
【0022】
また、本発明の一態様では、前記第2の表示制御部は、前記閲覧者の前記第2の端末装置の前記第2の表示部にガジェットを表示する制御を行い、前記通知部は、前記第2の表示制御部に対して前記ガジェットの更新を指示することで、前記配信情報が前記閲覧者に配信されたことを通知してもよい。
【0023】
これにより、ガジェットを用いた通知処理等が可能になる。
【0024】
また、本発明の一態様では、前記第2の入力受付部は、前記閲覧者による前記ガジェットに対する操作を受け付け、前記第2の表示制御部は、前記第2の入力受付部が前記ガジェットに対する前記操作を受け付けた場合に、前記帳票実データを前記閲覧者の前記第2の端末装置の前記第2の表示部に表示する制御を行ってもよい。
【0025】
これにより、通知手法としてガジェットを用いた場合に、当該ガジェットに対する操作に基づく帳票実データの表示制御等が可能になる。
【0026】
また、本発明の一態様では、前記通知部は、前記帳票実データへの参照情報が含まれるメールを前記閲覧者の前記第2の端末装置に対して送信することで、前記配信情報が前記閲覧者に配信されたことを通知してもよい。
【0027】
これにより、電子メールを用いた通知処理等が可能になる。
【0028】
また、本発明の一態様では、前記第2の入力受付部は、前記メールに含まれる前記参照情報に対する、前記閲覧者による選択操作を受け付け、前記第2の表示制御部は、前記第2の入力受付部が前記参照情報に対する前記選択操作を受け付けた場合に、ログイン画面を前記閲覧者の前記第2の端末装置の前記第2の表示部に表示する制御を行い、前記第2の入力受付部は、前記ログイン画面において前記閲覧者により入力された認証情報を受け付け、前記第2の表示制御部は、前記認証情報により前記閲覧者のログイン処理が行われた場合には、前記帳票実データを前記閲覧者の前記第2の端末装置の前記第2の表示部に表示する制御を行ってもよい。
【0029】
これにより、通知手法として電子メールを用いた場合に、当該電子メールに参照情報を含めることで、当該参照情報に対する操作に基づく帳票実データの表示制御等が可能になるとともに、ログイン画面による認証処理を合わせて行うことが可能になる。
【0030】
また、本発明の一態様では、前記第2の表示制御部は、前記閲覧者の前記第2の端末装置の前記第2の表示部に、承認依頼の対象となっている前記帳票実データの一覧を提示する承認依頼一覧画面を表示する制御を行い、前記通知部は、前記第2の表示制御部に対して、前記承認依頼一覧画面において前記配信情報に対応する前記帳票実データの項目を追加する更新処理を指示することで、前記配信情報が前記閲覧者に配信されたことを通知してもよい。
【0031】
これにより、ワークフロー等における承認依頼一覧画面を用いた通知処理等が可能になる。
【0032】
また、本発明の一態様では、前記第2の入力受付部は、前記承認依頼一覧画面に含まれる前記項目に対する、前記閲覧者による選択操作を受け付け、前記第2の表示制御部は、前記第2の入力受付部が前記選択操作を受け付けた場合に、前記選択操作により選択された前記項目に対応する前記帳票実データを前記閲覧者の前記第2の端末装置の前記第2の表示部に表示する制御を行ってもよい。
【0033】
これにより、通知手法として承認依頼一覧画面を用いた場合に、当該承認依頼一覧画面における閲覧者の操作に基づく、帳票実データの表示制御等が可能になる。
【0034】
また、本発明の一態様では、前記第2の表示制御部は、前記閲覧者の前記第2の端末装置の前記第2の表示部に、ポータル画面を表示する制御を行い、前記通知部は、前記第2の表示制御部に対して、前記ポータル画面において前記配信情報に対応する前記帳票実データの項目を追加する更新処理を指示することで、前記配信情報が前記閲覧者に配信されたことを通知してもよい。
【0035】
これにより、ポータル画面を用いた通知処理等が可能になる。
【0036】
また、本発明の一態様では、前記第2の入力受付部は、前記ポータル画面に含まれる前記項目に対する、前記閲覧者による選択操作を受け付け、前記第2の表示制御部は、前記第2の入力受付部が前記選択操作を受け付けた場合に、前記選択操作により選択された前記項目に対応する前記帳票実データを前記閲覧者の前記第2の端末装置の前記第2の表示部に表示する制御を行ってもよい。
【0037】
これにより、通知手法としてポータル画面を用いた場合に、当該ポータル画面における閲覧者の操作に基づく、帳票実データの表示制御等が可能になる。
【0038】
また、本発明の一態様では、前記第1の入力受付部が前記選択情報及び前記集計条件情報を受け付けた場合に、前記第1の表示制御部は、前記選択情報に対応する前記帳票データに含まれる各項目に対して、前記集計条件情報に応じて集計されたデータを対応づけることで取得される前記帳票実データを、前記配信担当者の前記第1の端末装置の前記第1の表示部に表示する制御を行ってもよい。
【0039】
これにより、配信担当者の端末装置の表示部に、当該配信担当者により入力された集計条件情報等に基づいて作成された帳票実データを表示することができるため、配信前に帳票実データを確認すること等が可能になる。
【0040】
また、本発明の一態様では、前記第1の入力受付部は、前記第1の表示制御部による前記帳票実データの表示制御に対する、前記配信担当者からの配信可否情報の入力を受け付け、前記配信可否情報として配信実行指示が入力された場合には、前記作成部は、前記第1の入力受付部が受け付けた前記選択情報及び前記集計条件情報に基づいて、前記帳票実データを閲覧者に参照させるための配信情報を作成し、前記通知部は、前記配信情報が前記閲覧者に配信されたことを通知してもよい。
【0041】
これにより、帳票実データに対する配信担当者の確認処理を経た上で、配信実行指示に基づいて配信情報を配信すること等が可能になる。
【0042】
また、本発明の一態様では、前記配信可否情報として配信中止指示が入力された場合には、前記第1の表示制御部は、前記条件入力画面を表示する制御を行い、前記第1の入力受付部は、前記条件入力画面において前記配信担当者が入力した新たな前記集計条件情報を受け付けてもよい。
【0043】
これにより、帳票実データに対する配信担当者の確認処理を経た上で、当該帳票実データが適切でない場合には、新たな集計条件情報の受付を行うこと等が可能になる。
【0044】
また、本発明の一態様では、前記帳票データには、前記帳票データに対する操作の可否権限をあらわす権限情報が対応づけられ、前記通知部は、複数の前記閲覧者のうち、前記配信情報に対応する前記帳票データに対して操作権限を有すると、前記権限情報に基づいて判定された前記閲覧者に対して、前記配信情報が配信されたことを通知してもよい。
【0045】
これにより、適切な権限管理を行うこと等が可能になる。
【0046】
また、本発明の他の態様は、配信担当者により用いられる第1の端末装置と、閲覧者により用いられる第2の端末装置と、を含み、前記第1の端末装置は、登録された帳票データを提示する帳票メニュー画面、及び帳票実データを作成する際の集計条件を入力する条件入力画面を表示する第1の表示部と、前記帳票メニュー画面において前記配信担当者が選択した前記帳票データを示す選択情報、及び前記条件入力画面において前記配信担当者が入力した集計条件情報を受け付ける第1の入力受付部と、前記第1の入力受付部が受け付けた前記選択情報及び前記集計条件情報に基づいて、前記帳票実データを前記閲覧者に参照させるための配信情報を作成する作成部とを含み、前記第2の端末装置は、前記配信情報が前記閲覧者に配信されたことを通知する通知部と、前記通知部による通知に対する、前記閲覧者による入力を受け付ける第2の入力受付部と、前記配信情報に基づいて前記帳票実データを表示する第2の表示部とを含む情報処理システムに関係する。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0049】
1.本実施形態の手法
まず本実施形態の手法について説明する。ERP等のソフトウェアでは種々の帳票データが作成される。ここで帳票とは、帳簿及び伝票を表す用語であるが、金銭の収支にとどまらず、物品の出入りの他、組織における事務処理に用いられるものを広く指す。帳票データとは、帳票をソフトウェア上で扱う際のデータであり、複数の項目から構成される。帳票データは例えば
図6の右側部分(A2〜A5)に対応するデータであり、
図6の例では「取引先コード」、「取引先名称」、「社員コード」、「総売上」という項目を有し、各項目について属性等の設定が行われたデータとなる。
【0050】
また、以下で用いる帳票実データという用語は、上記帳票データの各項目に対して、実際に所与の値(数値に限定されず文字列等も含む)を入力したデータを表す。
図1が帳票実データの例であり、ここでは「取引先コード」に「3」、「取引先簡略名称」に「A電気」、「社員コード」に「5」、「社員名」に「○○○○」、「総売上」に「0」等の値を入力していることになる。
【0051】
帳票データは、帳票データに含まれる項目の設定や、当該項目の紙面上でのレイアウト設定等を行うことで作成される。帳票データの作成(設計)は、典型的には専門の知識を有するユーザにより行われることが想定されるが、近年視覚的、直感的なインターフェースが発展していること等を考慮すれば、組織内の一般ユーザにより行われる可能性も否定されるものではない。作成された帳票データとは、いわば項目名のみが記載されデータ部分が空欄のテンプレートデータであり、当該テンプレートを利用したいユーザが各自で空欄部分に値を埋めていくことで、帳票実データが作成されることになる。つまり、基本的には帳票データと、当該帳票データに基づいて作成された帳票実データとは1対多の関係となる。
【0052】
帳票データから帳票実データを作成するに当たっては、入力対象となる値を記憶したデータベースから、所与の集計条件に従って値を抽出することが想定される。集計条件としては、例えば時期的なものとして、「yyyy年mm月」の記録を抽出するといった指定をしてもよいし、「○○部○○課」の記録を抽出する、或いは「○○円以上」の記録を抽出するといった指定をしてもよく、作成元となる帳票データの項目等に応じて種々の設定が可能である。
【0053】
ここで、帳票実データの作成、利用の形態は種々考えられるが、従来は
図2の第1形態又は第2形態が用いられていた。
図2の帳票設計処理とは、帳票データの作成、登録処理に相当する。また、帳票設計者は配信担当者(第1形態であれば閲覧者)が兼ねてもよい。第1形態とは、帳票実データの作成者と閲覧者が同一の場合である。第1形態では作成された帳票実データを配信する必要はなく、作成者自身の利用にとどまる。この形態であれば特に問題は生じず、作成者兼閲覧者であるユーザは、帳票実データを作成した上で、端末装置(PC等)のソフトウェア上で閲覧してもよいし、印刷することで紙媒体により閲覧してもよいし、PDFファイル等に加工した上で記憶媒体等に保存してもよい。
【0054】
本実施形態で問題としているのは、帳票実データの作成者(配信担当者)と、作成された帳票実データの閲覧者が異なる場合に、効率的な配信ができないという点であり、これは
図2の第2形態として示した従来手法の問題点に対応する。第2形態では、配信担当者は帳票設計処理により作成、登録済みの帳票データを選択し、データの集計条件情報を入力して帳票実データを作成する。その後、作成した帳票実データを自身とは異なる閲覧者に配信しようとした場合に、従来手法ではソフトウェア内での受け渡しが想定されていない。そのため第2形態では、作成した帳票実データを紙媒体に印刷した上で、当該印刷物を受け渡したり、帳票実データをPDFファイル等に加工した上で、当該PDFファイルを配信(PDFファイルを記憶した記憶媒体の受け渡しでもよいし、電子メール等によるPDFファイルの配信でもよい)していた。
【0055】
そのため、ERP等のソフトウェア内においてデータを共有する手法が十分用意されておらず、例えば紙に印刷する場合には印刷、及び配布に多大な労力が必要となる。また、情報記憶媒体に記憶して配布する場合にも、媒体を実際に閲覧者の所まで持ち運ぶ必要があり、利便性の面で問題が大きい。
【0056】
特許文献1のようにメール配信を行うのであれば、利便性の問題の改善は図れるが、帳票実データの修正、更新、或いは閲覧権限等を考慮すると問題が残る。具体的には、帳票実データをPDFファイルに加工した場合、当該PDFファイルは帳票実データの作成に用いられた帳票データやデータベースとの対応付けが失われることが想定される。つまり、PDFファイルが複数人に同報通信された場合、ひも付け用データを別途用意する等の手法を用いない限り、それらファイルの相互間のつながりを維持することもできない。よって、閲覧者のうちの1人がPDFファイルに修正を加えたとしても、同一のPDFファイルを受け取った他の閲覧者にその旨の通知(或いは修正後ファイルの送信)を自動的に行うシステムを実現することは困難であり、情報共有が難しい。また、PDFファイルの作成後にデータベースが更新された場合には、当該更新をPDFファイルに反映させる手法がないため、閲覧者は古いデータを閲覧することになる。また、同一の帳票データ、同一の集計条件情報を用いたとしても、閲覧者の権限に応じて閲覧できるデータは異なるものにすべきであるが、PDFファイルに加工した後では当該ファイルを全て閲覧させるか、それとも一切閲覧させないかという選択しかできず、柔軟な権限管理が困難となる。
【0057】
なお、帳票実データを共有したいユーザ全員が、それぞれ独自に同一の集計条件情報を入力することが可能であれば、帳票実データのソフトウェア内での共有は可能である。しかし、集計条件情報は多くのパラメータが複雑に組み合わされることが想定されるため、全ユーザに対して正確な集計条件情報の入力を強いることは問題である。また、従来手法においては、多数のユーザによる同一の集計条件情報の入力をサポートするような手法も開示されていない。
【0058】
そこで本出願人は、ソフトウェア内において帳票実データを効率的に共有する手法を提案する。具体的には
図2の第3形態に示したように、配信担当者が帳票実データの作成を行った場合に、当該帳票実データに対応する配信情報を作成し、作成した配信情報を閲覧者に配信する。ここで配信されるのは、あくまで配信情報であり、作成された帳票実データそのものではなく例えば帳票実データの作成に用いられる集計条件情報等が共有されればよい。それとともに、閲覧者に対して配信情報が配信されたことを通知する。閲覧者により当該通知に対して何らかの操作(狭義には閲覧操作)が行われた際に、本実施形態では、配信情報により特定される帳票データと、同じく配信情報により特定される集計条件情報とを用いて、帳票実データの作成を行うことになる。
【0059】
このようにすれば、ソフトウェア内での情報共有の利便性を高めることができる。例えば、各閲覧者は独自に集計条件情報を入力する必要なく、帳票実データを閲覧することが可能になる。また、閲覧者の閲覧時点において帳票実データの作成が行われるため、上述したPDFファイル配信における問題点も解消できる。例えば、配信担当者による帳票実データ作成後にデータベースが更新されたとしても、閲覧者が閲覧する帳票実データは更新後のデータベースに基づき作成されるため、最新データの閲覧が可能である。また、配信情報を用いることで、ソフトウェア側で情報共有をすべきユーザグループを把握可能となるため、当該ユーザグループのうちの1人が修正作業等を行った場合に、ユーザグループの他のユーザに通知するシステムの実現は可能である。さらに閲覧者による帳票実データの作成時に、当該閲覧者の権限に応じて、データベースから取得するデータを制限することができるため、柔軟な権限管理が容易となる。
【0060】
ただし、本実施形態の手法を用いた場合には新たな問題が生じうる。具体的には、閲覧者の閲覧時点で帳票実データが作成されるため、配信担当者の作成した帳票実データと閲覧者が閲覧する帳票実データが異なる可能性がある点である。これは、最新のデータベースの状態を反映するという点では上述したように利点ではあるが、所与の書類の回覧(例えば作成者の上長による帳票の承認等)では問題となる。承認を求めるような場面では、作成者及び全ての閲覧者の閲覧する帳票実データの同一性が確保されていなければならないためである。つまり、帳票実データの利便性の高い配信手法を実現することで、データの同一性確保が困難という新たな問題が生じる。
【0061】
そこで本出願人は、配信担当者による帳票実データ作成時におけるデータベース(狭義には全データベースのうち、対象となる帳票実データに関わる部分)を表すデータIDを、配信情報に含める手法を提案する。具体的には、配信者による帳票実データ作成時のデータのコピーデータを保存しておき、保存したコピーデータと上記データIDを対応づける。そして、上述したようにデータの同一性が求められる状況においては、閲覧者による閲覧時点で帳票実データの作成を行う際に、その時点での最新のデータベースではなく、データIDに対応づけられたコピーデータを参照する。このようにすれば、データの同一性を確保することが可能になる。また、この場合の「データの同一性」とは必ずしも全て同一であるものに限定されない。例えば、閲覧者のなかに閲覧権限が制限されるユーザが含まれている場合、帳票作成者の作成した帳票実データと完全に同一のデータを閲覧させるのはかえって好ましくないためである。上述したように、PDFファイルの配信では柔軟な権限管理が困難であったが、本実施形態の手法を用いれば、閲覧時点で帳票実データの作成が行われるため、そのタイミングでコピーデータのうち閲覧者の権限で取得可能なデータのみを用いて帳票実データを作成すれば、適切且つ柔軟な権限管理が可能となる。
【0062】
以下、システム構成例について説明した後、本実施形態の処理の流れについて説明する。具体的には、閲覧者に対する通知手法が種々考えられるため、ガジェット、電子メール、ワークフロー、ポータル画面による通知を行う例についてそれぞれ説明する。
【0063】
2.システム構成例
図3に本実施形態に係るプログラムが用いられる情報処理システムの構成例を示す。情報処理システムは、
図3に示したように第1の端末装置100と、第2の端末装置200を含む。またサーバシステム300を含むことができる。ただし、情報処理システムや当該情報処理システムに含まれる端末装置、或いは端末装置の各部等は
図3の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。なお、
図3では説明の簡素化のために、端末装置を第1の端末装置100と第2の端末装置200の2つとしたが、これに限定されるものではなく、情報処理システムには本実施形態に係るプログラムを利用するユーザ数に相当する数の端末装置が含まれることが想定される。
【0064】
第1の端末装置100は、配信担当者側の端末装置であり、処理部110と、記憶部120と、表示部130と、操作部140と、通信部150とを含む。ただし、第1の端末装置は
図3の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0065】
処理部110は、各種プロセッサ(CPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムなどにより実現されるものであり、後述するような種々の処理を行う。
【0066】
処理部110は、第1の表示制御部111と、第1の入力受付部113と、作成部115を含む。これら各部の機能は、本実施形態に係るプログラムにより実現される。
【0067】
第1の表示制御部111は、表示部130の表示制御を行う。具体的には、第1の端末装置100を用いる配信担当者たるユーザに対して、帳票実データの作成に必要な画面情報を適切に表示する制御を行う。
【0068】
第1の入力受付部113は、操作部140等に対する入力の受付処理を行う。受付処理の結果は、第1の表示制御部111や作成部115、或いは記憶部120や通信部150等に送信され、それら各部は受付処理の結果に基づいて動作することになる。
【0069】
作成部115は、配信情報の作成処理を行う。配信情報とは、配信担当者が帳票実データの作成を行った場合に、当該帳票実データを閲覧者(例えば第2の端末装置200を用いるユーザ)と共有するために用いられる情報である。配信情報の詳細については後述する。
【0070】
記憶部120は、処理部110等のワーク領域となるもので、その機能はRAM等のメモリーやHDD(ハードディスクドライブ)などにより実現できる。表示部130は、各種の表示画面を表示するためのものであり、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどにより実現できる。操作部140は、第1の端末装置100に対するユーザからの操作を受け付けるインターフェースであり、マウスやキーボード、或いはタッチパネル等種々の機器により実現できる。通信部150は、ネットワークを介してサーバシステム300や他の端末装置等と通信を行う。ここで、ネットワークはWAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)などにより実現することができ、有線・無線を問わない。ただし、本実施形態に係るプログラムがERP等、組織内での使用を想定していることに鑑みれば、第1の端末装置100、第2の端末装置200と、サーバシステム300間のネットワークは、組織外からのアクセスができない閉じたネットワークであることが想定される。
【0071】
第2の端末装置200は、閲覧者側の端末装置であり、処理部210と、記憶部220と、表示部230と、操作部240と、通信部250とを含む。第2の端末装置200の処理部210は、各種プロセッサ(CPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムなどにより実現されるものであり、後述するような種々の処理を行う点で、第1の端末装置100の処理部110と同様である。
【0072】
処理部210は、第2の表示制御部211と、第2の入力受付部213と、通知部217とを含む。これら各部の機能は、本実施形態に係るプログラムにより実現される。
【0073】
第2の表示制御部211は、第2の端末装置200を用いる閲覧者たるユーザに対して、帳票実データの閲覧に必要な画面情報を適切に表示する制御を行う。
【0074】
第2の入力受付部213は、操作部240等に対する入力の受付処理を行う。例えば、配信情報が配信されたことが通知された場合に、当該通知に対するアクションを受け付けることが考えられる。
【0075】
通知部217は、第1の端末装置100の作成部115において作成された配信情報が第2の端末装置200に対して配信された場合に、その旨を第2の端末装置200を用いるユーザに通知する。通知部217による通知の形態は種々考えられ、詳細については後述する。
【0076】
記憶部220、表示部230、操作部240及び通信部250については、第1の端末装置100の記憶部120、表示部130、操作部140及び通信部150と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0077】
サーバシステム300は、例えば組織内のシステム運営に用いられるサーバであり、複数のサーバから構成されてもよい。具体的には、サーバシステム300はデータベースサーバ310と、アプリケーションサーバ320を含んでもよい。データベースサーバ310は、帳票実データの作成に用いられるデータを記憶する。
図1の例であれば、データベースサーバ310は、取引先コードや取引先名称、自社社員の社員コードや社員名といった情報(具体的な値)を記憶している。データベースサーバ310におけるデータの記憶形式は種々考えられるが、例えばリレーショナルデータベース等の形式であってもよい。アプリケーションサーバ320は、配信情報の配信処理や、データベースサーバ310を参照してサーバ側での帳票実データの作成処理等を行う。その他、サーバシステム300は、メールサーバやWebサーバ、プリントサーバ等、種々のサーバを含むことができる。
【0078】
なお、本実施形態に係るプログラムは、上述したように例えば企業等の組織運営等に用いることが想定されるものであり、組織内の複数の端末装置(狭義にはPC等)にそれぞれインストールされ用いられる。この際、配信担当者の端末装置には配信者用プログラムをインストールし、閲覧者の端末装置には閲覧者用プログラムをインストールするという手法は現実的ではない。なぜなら各ユーザは配信担当者と閲覧者のどちらであるかを確定できるものではなく、同一ユーザがある場面では配信担当者となり、他の場面では閲覧者となることが想定されるためである。
【0079】
つまり、
図3においては、便宜上第1の端末装置100の処理部110を、第1の表示制御部111,第1の入力受付部113、作成部115として機能させるプログラムと、第2の端末装置の処理部210を、第2の表示制御部211、第2の入力受付部213、通知部217として機能させるプログラムとを分けて表記した。しかしながら本実施形態に係るプログラムは、第1の表示制御部111,第1の入力受付部113、作成部115、第2の表示制御部211、第2の入力受付部213、及び通知部217として端末装置を機能させることができる。そして、プログラムはそのインストール対象である端末装置が、配信担当者側の端末装置として用いられるか、閲覧者側の端末装置として用いられるかに応じて、自身の持つ機能のうち必要なものをアクティブにすることで、結果として
図3に示したシステムが実現される。
【0080】
3.処理の流れ
次に、配信情報の作成、配信、及び帳票実データの共有について処理の流れを説明する。まず処理フローの概要について
図5を用いて説明する。事前に配信担当者側で帳票データを登録しておく。そして登録された帳票データと、業務データ(
図3のデータベースサーバ310に記憶されたデータを想定)に基づいて帳票実データを作成する。具体的には、集計条件情報を入力し、業務データのうち当該集計条件情報に適合するデータを用いることになる。
【0081】
作成した帳票実データが適切であると判定した場合には、配信担当者は配信依頼を行い、配信サービスにより配信情報を配信する。配信サービスは、例えばサーバシステム300のうちの当該機能を有するサーバにより行われる。
【0082】
閲覧者側では、配信情報が配信された際に通知処理を行い、その旨の画面等を表示する。その上で、配信情報に基づいて帳票実データを作成し、作成した帳票実データを画面上に表示することになる。
【0083】
この際、閲覧者側に配信情報が配信されたことを通知する手法が種々考えられるため、通知処理にガジェットを用いる例、電子メールを用いる例、ワークフローを用いる例についてそれぞれ分けて説明する。
【0084】
3.1 ガジェットによる通知処理
3.1.1 事前処理(配信担当者)
ガジェットを用いる場合の処理の流れを
図4に示す。まず、事前処理として帳票データの作成及び登録が行われる。帳票データとは上述したように、項目名や各項目のレイアウト等を決定するデータのことである。事前準備は、帳票データを作成し、作成した帳票データをメニュー画面に登録する処理を行う。なお、帳票データは、一度作成したものは同一配信者による再利用や、他のユーザによる利用等が想定されることから、同一組織内において本実施形態のプログラムを利用するユーザに対して公開し、メニュー画面において提示されるものとする。
【0085】
帳票データ作成時に第1の表示制御部111により表示部130に表示される画面例を
図6に示す。帳票データ作成画面では、例えば項目名の候補がA1に示したように提示され、配信担当者は表示された候補の中から利用したい項目名を選択する。選択された項目は帳票データを構成する項目名となり(A2)、配信担当者は当該項目名に対して、表示の際の表示名(A3)や文字数・桁数等のデータサイズ(A4)、集計処理に当該項目を用いるか否か等の属性(A5)等を付与することで帳票データを構成する。
【0086】
作成された帳票データは、ユーザによる利用を考えてメニュー画面に登録される。
図7に作成された帳票データのメニューへの登録画面を示す。
図7の例では、帳票データをメニュー画面のどの項目に表示するか(例えばどのフォルダに格納するか)をB1において決定するとともに、当該帳票データに基づいて作成された帳票実データに対する処理権限等をB2で設定する。例えば、第1のグループに属するユーザに対しては閲覧、印刷、出力を全て許可するが、第2のグループに属するユーザに対しては閲覧しか許可しない等の設定を行えば、適切なデータ管理が可能となる。
【0087】
なお、上述したように一度作成した帳票データは記憶され再利用が可能である。よって、配信情報を作成する際に、毎回必ず上記事前処理が行われるわけではない。
【0088】
3.1.2 配信処理(配信担当者)
次に、帳票データに基づいて、帳票実データを作成するとともに、配信情報を作成、配信する。まず、メニュー画面を用いて使用する帳票データを選択する。ここでメニュー画面とは、例えば
図8に示したものであり、
図7で示した登録画面において登録された帳票データを提示する画面である。
図8の例であれば、カテゴリ毎にフォルダ分けすることで選択の際の負担軽減等を図っており、「財務フォルダ」内に「科目別分析」や「月次推移損益」といった帳票データが格納されている。ただし、メニュー画面の構成は
図8に限定されるものではない。
【0089】
帳票データが選択されたら、帳票実データの作成に用いる集計条件情報を条件入力画面で入力する。条件入力画面は例えば
図9(A)を用いることができ、ここでは集計期間を集計条件情報として入力する他、税区分や数字のゼロの記載手法等の設定を行っている。
【0090】
図9(A)の画面で条件を設定した上で、配信ボタンをクリック(押下)すれば、配信情報の配信処理に移行する。ここでは一旦
図9(B)の画面に遷移して、配信時の識別名やコメント等を入力可能にしている。例えば
図9(B)で識別名等を入力した上で即時配信ボタンをクリックすれば、
図9(A)で入力した集計条件情報に基づいて作成された配信情報が即時配信されることになる。或いは、所与の日付、時刻等を指定して、指定時刻に配信を行ってもよく、これは
図9(B)のスケジュール配信ボタンをクリックすることで実現される。
【0091】
なお、集計条件情報の入力だけでは、入力した当該集計条件情報により適切な帳票実データが作成されるか否かが不明である。よって、集計条件情報の入力後、そのまま配信処理に移行するのではなく、配信担当者の端末装置の表示部(第1の端末装置100の表示部130)に帳票実データを表示することで、その内容確認の機会を設けてもよい。
図9(A)の例であれば、集計条件情報の入力後、集計ボタンをクリックすることで、メニュー画面で選択された帳票実データに対して、集計条件情報により表される条件に基づいて集計されたデータを埋め込んだ帳票実データを作成、表示する。帳票実データの具体例は
図1に示したとおりである。この場合、配信担当者は表示された帳票実データを確認し、問題がないのであれば上述したように配信処理を実行すればよく、問題があるのであれば
図9(A)の条件入力画面に戻り、集計条件情報の修正を行えばよい。なお、
図4には不図示であるが、集計結果の確認画面に配信ボタン等を配置し、集計結果画面から配信処理を実行してもよい。
【0092】
また、上記配信処理における配信対象となる閲覧者は、種々の手法により決定可能である。例えば、後述するガジェットの配置処理を行っている(配信を受けるための事前準備が終了している)ユーザであり、且つ当該配信情報に対応する帳票実データの参照権限を有するユーザに対して配信処理を行えばよい。ただし、配信対象はシステムが自動的に決定するものに限定されず、例えば配信担当者により選択されたユーザ(或いはユーザグループ)に対して配信処理が行われてもよい。
【0093】
3.1.3 事前処理(閲覧者)
閲覧者側についても、閲覧処理の準備として事前処理を行う必要がある。具体的には、閲覧者の端末装置(第2の端末装置200)の表示部230に、ガジェットを表示する設定を行う。例えば、
図10(A)は第2の端末装置200の表示部230の一部(又は全部)に表示される画面例であり、
図10(A)の四角形で囲まれた各領域がガジェットを表す。ガジェットは、本実施形態に係るプログラム(ERPのソフトウェア等)をウィンドウ(或いはフルスクリーン)で表示せずとも、当該プログラムにおける作業状況等を視覚的にユーザに通知するためのものである。
図10(A)の例であれば、ソフトウェアが有する種々の機能(納期管理や、承認、申請等)の状況を通知している。配信情報についてのガジェットは例えば
図10(A)のC1に示したものであり、ここでは3件の配信情報が配信されていることを表している。
【0094】
つまり、閲覧者はソフトウェアを有効に動作させる(例えばログイン処理を済ませておく)必要はあるが、当該ソフトウェアのウィンドウ等を常時表示する必要はなく、通知機能を有するガジェットを表示領域に配置しておけばよい。
【0095】
3.1.4 閲覧処理(閲覧者)
実際の閲覧処理は、上記ガジェットの変化に対応して、何らかの操作を行うことにより実行する。具体的には、
図10(A)のガジェットであれば、未読の配信情報の件数を表示している。つまり、配信情報が新たに配信された場合には、この件数が変動することになるし、ガジェットの機能次第では色の変更、音による通知、ポップアップ表示機能を用いた表示等、明確な通知が行われる可能性もある。
【0096】
閲覧者はこれらの通知に対して閲覧を指示する入力を行えばよい。閲覧指示は、例えばバックグラウンドで動作していたソフトウェアのウィンドウを表示させ、当該ウィンドウ内で所定の操作を行ってもよい。しかし、通常のガジェットは当該ガジェットの選択操作(クリック等)を受け付けるものである。よって、閲覧者によりガジェットがクリックされた場合に、ソフトウェアのウィンドウの表示、及び新たに配信された配信情報に対応する帳票実データの表示を行ってもよい。この場合には、
図10(A)のガジェットをクリックすると、
図10(B)に示したように帳票実データ(C2)が表示されることになる。なお、
図10(B)の例では、配信者や配信日、コメントといった配信情報に含まれる情報を表示する(C3)とともに、未読の帳票実データが複数有ることを想定し、どの帳票実データを表示するかを、画面左部(C4)で選択可能な構成としている。この際、上述してきたように配信されるのは配信情報であり、帳票実データそのものではないため、閲覧時に配信情報に基づいて帳票実データの作成処理が行われていることになる。
【0097】
なお、同一の帳票実データを表示する際に、異なるガジェットを用いることも考えられる。例えば、
図11に示したように、ガジェットとしては配信情報全てについて件数表示をするガジェットも考えられるし、「商品別売上表」といったように特定の属性を有する配信情報についてのみ表示を行うガジェットも考えられる。この場合、商品別売上に関する帳票実データは、
図11に示したように上記のいずれのガジェットをクリックしても表示することが可能である。
【0098】
3.1.5 データ構造の例
ここで、本実施形態における配信情報のデータ構造について
図12を用いて説明する。配信情報に関するデータベースは、配信情報テーブルと、配信帳票セットテーブルと、出力パターンテーブルとを含む。なお、本実施形態の配信情報とは、配信情報テーブルにより表されるデータの各行(レコード)だけではなく、配信帳票セットテーブル、出力パターンテーブルに関するデータも含む概念である。
【0099】
配信情報テーブルは配信情報を表す基本テーブルであり、主キーであるPushIDと、コメント、配信時刻、配信者を表す社員コード等が含まれる。
【0100】
配信帳票セットテーブルは、実際に帳票実データを作成可能とする情報に対応するテーブルであり、PushIDと、帳票データIDと、集計条件情報IDとを含む。帳票データIDは帳票実データの作成に用いられる帳票データを特定するIDである。集計条件情報IDは集計条件情報を特定するIDである。ここで、1回の配信において1つの帳票実データを共有するのであれば、配信情報テーブルと配信帳票セットテーブルとは1対1に対応することになる。しかし、1回の配信で複数の帳票実データを共有するケースが考えられる。例えば、1つの帳票データに対して、複数の異なる集計条件情報を用いて複数の帳票実データを作成・配信する場合もあれば、複数の帳票データを用いて複数の帳票実データを作成・配信する場合もある。その際には、配信情報テーブルと配信帳票セットテーブルとは1対多対応になる。
【0101】
出力パターンテーブルは、集計条件情報IDを主キーとし、当該集計条件情報IDにより特定される集計条件情報の具体的な内容を表すテーブルである。
【0102】
これらのデータは各端末装置に搭載されるプログラムにより参照可能な領域(例えばサーバシステム300)に保存される。配信担当者からは配信情報テーブルに対応する配信情報が配信されることになる。そして当該配信情報を受け取った閲覧者は、配信情報に含まれるPushIDに対応する配信帳票セットテーブルを参照し、帳票データIDと集計条件情報IDから、共有すべき帳票実データの作成に必要な帳票データと集計条件情報とを取得する。集計条件情報の具体的内容は、集計条件情報IDに対応する出力パターンテーブルを参照して取得可能であるため、閲覧者は上記データ構造に基づいて、共有すべき帳票実データを作成することが可能となる。
【0103】
3.1.6 処理の詳細
以上の処理を説明するフローチャートを
図13、
図14に示す。
図13は配信担当者側の処理を説明するものであり、この処理が開始されると、まず集計条件情報の入力を受け付け(S101)、入力された集計条件情報に基づいてデータを集計し帳票実データを作成する(S102)。そして、作成した帳票実データを端末装置の表示部に表示することで配信担当者による確認を促し(S103)、適切でない場合(S103でNoの場合であり、例えば配信担当者による修正指示を受け付けた場合)にはS101に戻り新たな集計条件情報を受け付ける。
【0104】
帳票実データが適切である場合(S103でYesの場合)には、配信処理を行う(S104)。これは例えば、ユーザによる配信ボタンのクリック操作を受け付ける処理である。そして、配信サービスに配信依頼を行う(S105)。これは例えば、サーバシステム300の配信サーバに対して、配信情報の配信を指示する処理である。
【0105】
また、
図14は閲覧者側の処理を説明するものであり、この処理が開始されると、まずガジェットを表示領域に配置し待機状態とする(S201)。そして、閲覧者の端末装置に対して配信情報が配信されたか否かの判定を行い(S202)、配信されない場合にはS201に戻り通知を待つ。配信があった場合には、ガジェットを更新する(S203)。これはガジェットに表示される未読件数を更新するものであってもよいし、その他ユーザの注意を引きつけるような手法を用いてもよい。その後、ユーザによるガジェットのクリック操作を受け付け(S204)、受け付けた場合には帳票実データの作成・表示処理に移行することになる。
【0106】
3.2 電子メールによる通知処理
閲覧者に対する通知手法として電子メールを用いてもよい。この場合の処理の流れは
図15のようになり、事前処理(配信担当者)、配信処理(配信担当者)についてはガジェットの場合と同様になる。
【0107】
ただし、本実施形態では配信担当者に対して電子メールにより通知を行うため、配信担当者側でメール配信の手配を行う必要がある。また閲覧者側で配信情報が配信されたことは、閲覧者の第2の端末装置に搭載されたメールソフト(メーラー)或いは、Webブラウザ等、他のアプリケーション上で機能するメールアプリケーション等により通知される。つまり、本実施形態の情報処理システムでは、プログラムにより実現される通知部217は、第2の端末装置200の処理部210ではなく、
図16に示したように第1の端末装置100の処理部110に設けられ、当該通知部117は電子メールの配信手配処理を行うことになる。
【0108】
或いは、本実施形態に係るプログラムがメーラーの機能を有していてもよく、その場合、第1の端末装置100の処理部110が、第1の通知部117を含むとともに、第2の端末装置200の処理部210が第2の通知部217を含んでもよい。この場合、第1の通知部117はメールの送信処理を行い、第2の通知部217はメールの受信処理及びポップアップ表示等の通知処理を行うことになる。
【0109】
ここで、送信される電子メールは、例えば
図17のD1のようなものであり、メール内に帳票実データを参照するための参照情報(具体的にはリンク)D4が含まれる。このようにすれば、閲覧者は当該参照情報により容易に帳票実データを参照することができ、ソフトウェア自体の起動や、当該ソフトウェアにおいて帳票実データ閲覧のための操作等を行わなくてもよいためである。
【0110】
ただし、このような参照情報を埋め込んだメールを配信担当者が手動で作成することは、利便性の観点から好ましくない。よって、第1の入力受付部113は、配信情報の配信先となるユーザの指定(或いは個人の指定ではなくユーザグループの指定でもよい)を受け付け、通知部117は受け付けた指定に基づいて、電子メールの自動作成、及び配信手配を行う。メール配信の手配とは、例えば一般的な電子メールの送信処理を行えばよい。メールの送信処理は、本実施形態に係るプログラムがメーラーとしての機能を有するのであれば、本プログラムの実行ウィンドウ等における操作により行えばよい。また、本実施形態に係るプログラムがメーラーとしての機能を有さないのであれば、本プログラムの実行ウィンドウ等における操作により端末装置に含まれる所与のメーラーを起動すればよく、その際にはメールの作成に必要な情報(例えば閲覧者のメールアドレスや参照情報D4を含むメール本文等)を受け渡すことになる。
【0111】
また、本実施形態のプログラムがメーラー機能を有さず、閲覧者側が任意のメールアプリケーションでメールを受信する場合、当該メール受信をユーザーに通知する手法は、各メールアプリケーションの有する機能により決定されることになる。この場合、ガジェットのように事前処理は必要とならない。そして閲覧者はメール本文を表示し、そこに記載された参照情報に対する操作(狭義にはリンクのクリック)を行うことで帳票実データを閲覧する。
【0112】
ただし、電子メールを用いるケースではガジェットの場合と異なり、本実施形態に係るプログラム(ソフトウェア)がバックグラウンドで動作していることが必ずしも保証されない。しかし、帳票実データが本プログラムを離れて自由に閲覧可能であっては、セキュリティ等の観点から問題が残る。そこで本実施形態では、参照情報に対し操作が行われた際に、ソフトウェアへのログインが行われていない場合には、まずログイン画面を第2の端末装置200の表示部230に表示する(
図17のD2)。そして、当該ログイン画面においてログイン処理を行い(例えば閲覧者によるユーザ名とパスワードの入力を受け付け、認証用データとの照合を行い)、閲覧者が正規ユーザであると確認された場合に、
図17のD3に示したように帳票実データを表示する。
【0113】
なお、既にログイン処理が行われている場合には、
図17のD2のログイン画面の表示を省略し、参照情報に対する操作に応じて帳票実データを表示してもよいが、セキュリティ等を考慮して毎回ログイン処理を行ってもよく、ログイン処理の手順等については種々の変形実施が可能である。
【0114】
3.3 ワークフローによる通知処理
また、通知処理はワークフローを用いて行われてもよい。ここでワークフローとは、手続きの処理手順を規定し、当該処理手順に従って手続きの自動化を図るものである。例えば、所与の帳票実データが作成された場合、当該帳票実データを適切なものとして確定し、保存或いは他社等へ送付する際には、作成者の上長等による承認を経ることが一般的である。この場合、作成された帳票実データは、あらかじめ設定されたルートに従って回覧されることになる。帳票実データの回覧ルートとしては例えば、作成者による帳票実データの配信処理をトリガーとして、第1の承認者へ配信され、第1の承認者の承認処理をトリガーとして第2の承認者へ配信され、第2の承認者の承認処理をトリガーとして作成者に帳票実データが返されるといったものが考えられる。この際のルート設定及び配信処理がワークフローにより実現されてもよい。
【0115】
つまり、ワークフローを用いる実施形態では、
図18に示したように配信担当者は事前処理においてルートの登録処理を行っておく。ルートの登録は帳票データの登録とは独立に行われるものであり、例えば、帳票実データの回覧ルートとして考えられるルートをあらかじめ登録しておく。また、登録されているルートの中に所望のルートがないのであれば、その都度配信担当者が新しいルートを設定、登録すればよい。
【0116】
そして配信処理では、帳票データの選択、集計条件情報の入力、帳票実データの確認等は上述したガジェット等の例と同様であるが、配信時に、登録されているルートの中から所望のルートを選択する処理を行うことになる。具体的には、
図9(C)に示したように、
図9(A)で回覧ボタンがクリックされた場合に、ワークフローの情報を入力するための申請情報入力画面を表示する。申請情報入力画面では、ルートの選択(
図9(C)の例であれば「売上実績回覧ルート」という名称で規定されるルートを選択している)や、コメントの入力が行われる。そして、配信処理が指示されると(
図9(C)の例ではOKボタンがクリックされると)、選択されたルートに従ってワークフローにより帳票実データの回覧が行われることになる。
【0117】
閲覧者側は、電子メールを用いる実施形態と同様に事前処理は不要である。配信担当者による処理により、ワークフロー上で配信情報が配信されると、閲覧者が参照可能な承認依頼一覧画面が更新され、新たに配信された配信情報(具体的には当該配信情報に対応づけられた帳票実データ等の情報)が承認依頼一覧画面に表示されることになる。
【0118】
承認依頼一覧画面とは例えば
図19(A)に示した画面であり、処理No、処理名称、起票者等の情報が一覧で表示される。この際、「NEW」で示したように、新たに配信された配信情報に関する項目が強調されるようにすると、閲覧者による選択処理が容易となる。そして、各行には当該行に表示された情報に対応する帳票実データへの参照情報が含まれており、当該参照情報を選択することで帳票実データが表示される。例えば、
図19(A)の処理名称「月次売上実績表」等の文字列部分をリンクにしておき、当該リンクをクリックすることで
図19(B)の帳票実データを表示するようにすればよい。
【0119】
閲覧者は、
図19(B)により帳票実データの内容を確認して、
図19(A)の画面に戻り当該帳票実データを承認するか、否認するか等を決定する。これは例えば、
図19(A)のチェックボックスにチェックを入れた上で、画面下部の承認ボタン等をクリックすることで行えばよい。ここで承認された場合には、配信処理時に設定されたルートに従い、次の閲覧者に対して配信情報が配信されることになる。
【0120】
なお、ワークフローを用いる場合にも、本実施形態に係るプログラム(ソフトウェア)がバックグラウンドで動作していることが保証されない。よって、ログイン処理がまだ行われていない場合には、閲覧者はまずソフトウェアに対してログインする必要がある点は電子メールを用いた実施形態の場合と同様である。
【0121】
なお、上述したようにワークフローを用いて帳票実データの回覧を行う場合には、回覧対象となるデータの同一性を保持する必要がある。そのため、配信情報等のデータ構造としては、
図12ではなく
図20のものを用いるとよい。
図20では、
図12と比較した場合に、データ格納先テーブルが追加されるとともに、配信帳票セットテーブルにデータIDが追加されている。
【0122】
データIDは、配信担当者により帳票実データが作成された際の、データベースのコピーデータを表すIDである。当該コピーデータはデータベースサーバ310等の所与の箇所に記憶されることになり、データ格納先テーブルはデータIDを主キーとし、当該データIDに対応するコピーデータの格納先を表すテーブルとなる。
【0123】
そして、閲覧者側では、集計条件情報IDと出力パターンテーブルで決まる集計条件情報を用いた帳票実データが閲覧される点では
図12の例と同様であるが、当該集計条件情報を用いた抽出処理の対象が、データベース全体ではなく、データIDにより表されるコピーデータとなる。このようにすることで、配信担当者と閲覧者が閲覧する帳票実データの同一性を確保することが可能になる。
【0124】
3.4 個人ポータル画面による通知処理
また、通知処理はポータル画面を用いて行われてもよい。ここでポータル画面とは、本実施形態に係るソフトウェアを利用する際に表示される画面であり、特に当該ソフトウェアに含まれる各機能を効率的に利用可能とする画面のことである。ポータル画面は、狭義には本実施形態に係るソフトウェアにログインした際に最初に表示される画面であってもよく、例えばソフトウェアの各機能(或いは
図1や
図6〜
図9(C)等に示した各画面)へのリンク(ショートカット)を並べた画面であってもよい。
【0125】
なお、閲覧者側の端末装置(第2の端末装置200)におけるポータル画面の表示手法は種々考えられ、例えば本実施形態のソフトウェアが端末装置内に保存されていれば、当該ソフトウェアを起動することで表示されるウィンドウ内等に表示される。或いは、本実施形態のソフトウェアがサーバシステム300に集約され、各端末装置からはWebアプリケーションの形で利用する形態であってもよく、その場合には各端末装置に含まれるWebブラウザ等を用いてサーバシステム300にアクセスすることで、当該Webブラウザ等のウィンドウ内にポータル画面が表示されることになる。
【0126】
ポータル画面は、例えば
図23に示した画面であり、ここではE1に示した領域には配信された配信情報の一覧が表示され、E2に示した領域には上述した承認依頼一覧画面に表示される情報に相当する情報が表示される。また、E3に示したように他の情報を表示してもよい。ポータル画面の画面構成は、本実施形態のソフトウェアを利用する全てのユーザで同一としてもよいし、各ユーザによるカスタマイズ等を可能にしてもよい。なお、仮に画面構成が複数ユーザで共通であったとしても、実際に表示される具体的データはログイン処理を行ったユーザ毎に異なるものとなることは言うまでもない。例えば、E1の領域に表示される配信情報の内容は、ログインユーザに配信された情報のみとなる。
【0127】
ポータル画面を用いる場合の処理の流れを
図24に示す。
図24に示したように、配信担当者側の処理は、
図4を用いて説明したガジェットによる通知処理を行う場合と同様であるため、詳細な説明は省略する。ポータル画面を用いる場合には、ワークフローとは異なり事前のルート登録等は必須でない。
【0128】
また
図24に示したように、閲覧者側では事前処理として個人ポータル設定画面(不図示)において、「配信通知一覧」に対応するポートレットを登録する。ここでポートレットとは、ポータル画面において管理、表示されるユーザインターフェースコンポーネントである。つまりここでは、各ユーザが複数のポートレットから必要なものを選択することで、個人ポータル画面に表示される内容をカスタマイズ可能な形態を想定している。この場合、配信通知一覧(
図23のE1)を個人ポータル画面に表示するというカスタマイズを行ったユーザに対して、当該個人ポータル画面において配信情報が通知されることになる。そして参照処理は、個人ポータル画面を表示し、そこに表示された配信情報の選択処理(具体的にはリンクのクリック等)に基づいて、集計結果(対応する帳票実データ)を表示することで行われる。
【0129】
ポータル画面が
図23に示した画面であれば、E1に示した領域に配信情報の一覧が表示されるため、本実施形態に係るソフトウェアにより、適宜当該領域の更新処理が行われることで、配信情報の配信がユーザに通知されることになる。E1の各行には当該行に表示された情報に対応する帳票実データへの参照情報が含まれており、当該参照情報を選択することで帳票実データが表示される。例えば、
図23のパターン名「月次売上実績」等の文字列部分をリンクにしておき、当該リンクをクリックすることで
図1等の帳票実データを表示するようにすればよい。
【0130】
なお、ポータル画面の例では閲覧者による帳票実データの承認等を考慮していないため、データ構造としては
図12に示したものを用いればよい。
【0131】
また、ポータル画面とは上述したようにソフトウェアに含まれる機能(サービス)を利用するためのリンク等を表示する画面であるため、ポータル画面を起点として
図19(A)に示した承認依頼一覧画面に遷移する(広義にはワークフローを利用する)ことも可能である。この場合には、上述したワークフローによる通知処理を実行すればよい。
【0132】
3.5 画面遷移のまとめ
以上の処理における画面遷移の例を
図21、
図22に示す。
図21が配信担当者の第1の端末装置100の表示部130に表示される画面の遷移例である。まずメニュー画面(
図8)により帳票データの一覧を表示する。メニュー画面で所与の帳票データが選択されると、集計条件情報を入力する条件入力画面(条件ダイアログ、
図9(A))が表示される。ここでOKボタンを押せば、集計結果画面(
図1等)により帳票実データが表示される。集計結果画面では、印刷を選択することで印刷ダイアログを表示することができる。印刷ダイアログでは、実際に印刷処理を指示したり、CSVファイル等の形式で出力したり、印刷プレビュー画面に遷移することが可能となる。また、集計結果画面から条件入力画面に戻ることもできる。
【0133】
また、条件入力画面において配信ボタンを押せば、通知用ダイアログ(
図9(B))が表示される。通知用ダイアログでは即時配信をしてもよい。また、スケジュール配信をするのであれば、スケジュール設定用のスケジュール登録ダイアログを表示することになる。
【0134】
また、条件入力画面において回覧ボタンを押せば、ワークフロー申請ダイアログ(
図9(C))が表示されることになる。
【0135】
また、
図22が閲覧者の第2の端末装置200の表示部230に表示される画面の遷移例である。ガジェットを利用する実施形態では、まずログイン画面においてソフトウェアにログインし、表示領域上にガジェットを配置しておく(
図10(A))。そして当該ガジェットをクリックすることで、集計結果画面(
図10(B))が表示されることになる。なお、上述の説明では触れなかったが、集計結果である帳票実データを表示するだけでなく、当該帳票実データの作成に用いられた集計条件情報を提示する画面を表示してもよい。また、集計結果画面からは、集計結果である帳票実データの印刷やファイル出力等が可能である。
【0136】
電子メールを用いる場合には、メール(
図17のD1)に含まれる参照情報(リンク、
図17のD4)を選択し、ログイン画面(
図17のD2)を表示する。そしてログイン画面においてログインが正常に行われた場合に、集計条件情報(
図17のD3)を表示すればよい。
【0137】
ワークフローを用いる場合には、ログイン画面からソフトウェアにログインし、承認依頼一覧画面(
図19(A))を表示する。そして、承認依頼一覧画面から所与の項目を選択することで、集計結果画面(
図19(B))の表示に移ることになる。
【0138】
また、ワークフローに限定せず、ログイン画面からソフトウェアにログインしてポータル画面(
図23)を表示してもよい。その場合、ポータル画面から所与の項目を選択することで、集計結果画面(
図1や
図19(B)等)の表示に移ることになる。
【0139】
以上の本実施形態では
図3に示したように、プログラムは、登録された帳票データを提示する帳票メニュー画面、及び帳票実データを作成する際の集計条件を入力する条件入力画面を、配信担当者の第1の端末装置100の第1の表示部(表示部130)に表示する制御を行う第1の表示制御部111と、帳票メニュー画面において配信担当者が選択した帳票データを示す選択情報、及び条件入力画面において配信担当者が入力した集計条件情報を受け付ける第1の入力受付部113と、第1の入力受付部113が受け付けた選択情報及び集計条件情報に基づいて、帳票実データを閲覧者に参照させるための配信情報を作成する作成部115として、コンピュータ(狭義には第1の端末装置100)を機能させる。また、本実施形態のプログラムは、配信情報が閲覧者に配信されたことを通知する通知部217と、通知部217による通知に対する、閲覧者による入力を受け付ける第2の入力受付部213と、配信情報に基づいて、閲覧者の第2の端末装置200の第2の表示部(表示部230)に帳票実データを表示する制御を行う第2の表示制御部211としてコンピュータ(狭義には第2の端末装置200)を機能させる。
【0140】
ここで、上述したように帳票データの具体例としては
図6のA2〜A5、帳票実データの具体例としては
図1が考えられる。また、帳票メニュー画面は
図8に対応し、条件入力画面は
図9(A)に対応する。選択情報とは、
図8において選択された帳票データを表す情報であり、集計条件情報とは
図9(A)において設定された集計条件を表す情報である。また、電子メールを用いた通知処理において上述したように、通知機能の実現手法によっては、本実施形態のプログラムは、
図16に示したように、通知部117として第1の端末装置100を機能させてもよい。
【0141】
これにより、配信担当者により帳票データの選択、及び集計条件情報の入力が行われた場合に、配信情報を作成し、当該配信情報を閲覧者に配信することが可能になる。この際、配信情報を適切に設定すれば、ERP等のソフトウェア内で帳票実データを共有等することが可能になり、組織内での情報共有、情報伝達を円滑にすること等が可能になる。
【0142】
そして、上記プログラムは、情報記憶媒体に記録されてもよい。ここで、情報記録媒体としては、DVDやCD等の光ディスク、光磁気ディスク、ハードディスク(HDD)、不揮発性メモリーやRAM等のメモリーなど、PC等の情報処理システムによって読み取り可能な種々の記録媒体を想定できる。
【0143】
また、作成部115は、配信ID、選択情報により選択指示された帳票データのIDである帳票データID、及び集計条件情報のIDである集計条件IDを含む情報を、配信情報として作成してもよい。
【0144】
ここで配信IDとは、配信情報を特定するためのIDである。
図12の例では、1つの配信情報は1つの配信情報テーブルのレコードと、それと1対多(或いは1対1)に関係づけられた配信帳票セットテーブルのレコードを含む。よって、帳票実データの作成に用いられる帳票データや集計条件情報等は、配信帳票セットテーブル及び出力パターンテーブル等を参照する必要があるが、配信情報自体は配信情報テーブルの主キーであるPushIDを用いることで特定可能である。つまり、配信IDとは具体的には上述してきたPushIDであってもよい。ただし、配信IDは配信情報を特定する情報であればよく、PushID以外の情報が用いられてもよい。
【0145】
そして、閲覧者が配信情報の配信を受けた場合に、第2の入力受付部213は、閲覧者による閲覧指示情報(例えばガジェットのクリック等)を受け付ける。第2の表示制御部211は、選択情報により選択指示された帳票データに含まれる各項目に対して、集計条件情報に応じて、閲覧指示情報の受付タイミングに対応するタイミングにおいて集計されたデータを対応づけることで取得される帳票実データを、閲覧者の第2の端末装置200の第2の表示部に表示する制御を行う。
【0146】
これにより、適切なデータ構造を有する配信情報を作成し、帳票実データの共有等を行うことが可能になる。帳票データIDにより用いる帳票データが特定でき、集計条件IDにより集計条件情報も特定できる。よって、データベースサーバ310から帳票データ、集計条件情報に基づいて適切なデータを取得することで、閲覧者は配信担当者が作成した帳票実データに対応する帳票実データを共有することが可能になる。この場合、最新のデータベースの状態に応じて帳票実データが作成されることになるため、最新の帳票実データを参照することが可能になる。
【0147】
また、作成部115は、配信ID(PushID)、選択情報により選択指示された帳票データのIDである帳票データID、及び集計条件情報の入力タイミングに対応する帳票実データを表すデータIDを含む情報を、配信情報として作成してもよい。
【0148】
そして、閲覧者が配信情報の配信を受けた場合に、第2の入力受付部213は、閲覧者による閲覧指示情報(例えば
図19(A)でのリンククリック等)を受け付ける。第2の表示制御部211は、閲覧指示情報が受け付けられた場合に、データIDに基づいて、集計条件情報の入力タイミングに対応する帳票実データを、閲覧者の第2の端末装置200の第2の表示部に表示する制御を行う
【0149】
ここで、データIDにより表されるデータは、帳票実データそのものであってもよいが、それに限定されず、帳票実データを再現可能な実データ(値)を適切に保持していればその保存形式は任意である。例えば、配信担当者により帳票データの選択、及び集計条件情報の入力が行われた場合に、データベースサーバ310に保存されている実データ(値)のうち、必要なものが抽出されることになる。その場合、データベースサーバ310における保存形式(例えばリレーショナルデータベースであればテーブル構造等)を維持しつつ、必要な実データを抽出し、抽出された当該実データをコピーデータとしてデータIDに対応づければよい。このコピーデータは、複数のテーブルから構成される可能性がある以上、帳票実データそのものとはならないことが想定されるが、帳票実データを作成可能なデータとなる。
【0150】
これにより、データIDを用いて適切な帳票実データの共有等が可能になる。この場合、閲覧者側の端末装置では、コピーデータに基づいて帳票実データが作成されることになるため、データの同一性が求められる承認処理等において適切な配信処理を行うことができる。
【0151】
また、作成部115は、
図20に示したように配信ID(PushID)、選択情報により選択指示された帳票データのIDである帳票データID、集計条件情報のIDである集計条件ID、及び集計条件情報の入力タイミングに対応する帳票実データのIDであるデータIDを含む情報を、配信情報として作成してもよい。
【0152】
そして、閲覧者が配信情報の配信を受けた場合に、第2の入力受付部213は、閲覧者による閲覧指示情報(例えばガジェットのクリック等)を受け付ける。第2の表示制御部211は、閲覧指示情報が受け付けられた場合に、選択情報により選択指示された帳票データに含まれる各項目に対して、集計条件情報に応じて、閲覧指示情報の受付タイミングに対応するタイミングにおいて集計されたデータを対応づけることで取得される帳票実データを、閲覧者の第2の端末装置200の第2の表示部に表示する制御を行ってもよい。或いは、第2の表示制御部211は、データIDに基づいて、集計条件情報の入力タイミングに対応する帳票実データを、閲覧者の第2の端末装置200の第2の表示部に表示する制御を行ってもよい。
【0153】
これにより、
図20に示したように集計条件IDとデータIDの両方を配信情報を含めておくことで、最新のデータベースの状態を反映させた方がよいケース、及び帳票実データの同一性を保証した方がよいケースの両方に対応することが可能になる。例えば、通常の配信場面では集計条件IDに基づいて処理を行い、ワークフローでの承認依頼を行う場面ではデータIDに基づいて処理を行えばよい。
【0154】
また、第2の表示制御部211は、
図10(A)(特にC1)に示したように、閲覧者の第2の端末装置200の第2の表示部にガジェットを表示する制御を行ってもよい。そして通知部217は、第2の表示制御部211に対してガジェットの更新を指示することで、配信情報が閲覧者に配信されたことを通知する。
【0155】
そして、第2の入力受付部213は、閲覧者によるガジェットに対する操作(狭義にはガジェットのクリック操作)を受け付け、第2の表示制御部211は、第2の入力受付部213がガジェットに対する操作を受け付けた場合に、帳票実データを閲覧者の第2の端末装置200の第2の表示部に表示する制御を行ってもよい。
【0156】
これにより、ガジェットを用いた通知処理、及び帳票実データの表示制御が可能になる。具体的には、
図10(A)に示したように、第2の端末装置200の表示部230の表示領域内にガジェット(例えばガジェットアイコン)を配置しておく。そして通知処理は、ガジェットに含まれる未読件数の変化、或いはガジェットアイコンの色彩変化等、ガジェットの更新処理により行う。ただし、音声通知等他の手法を用いてもよい。また、ガジェットは本実施形態に係るプログラムと連動して動作するものであるため、当該ガジェットに対する操作を本実施形態に係るプログラムにより受け付けて、当該操作の受け付けをトリガーとして所与の処理を行うことができる。ここでは、ガジェットに対する操作を受け付け、
図10(B)に示したように帳票実データ(
図10(B)のC2)を表示する制御を行うことでスムーズな帳票実データの共有を可能にしている。
【0157】
また、通知部117は、帳票実データへの参照情報が含まれるメールを閲覧者の第2の端末装置200に対して送信することで、配信情報が閲覧者に配信されたことを通知してもよい。
【0158】
そして、第2の入力受付部213は、メールに含まれる参照情報に対する、閲覧者による選択操作を受け付け、第2の表示制御部211は、第2の入力受付部213が参照情報に対する選択操作を受け付けた場合に、ログイン画面を閲覧者の第2の端末装置200の第2の表示部に表示する制御を行ってもよい。さらに、第2の入力受付部213は、ログイン画面において閲覧者により入力された認証情報(狭義にはユーザ名及びパスワード)を受け付け、第2の表示制御部211は、認証情報により閲覧者のログイン処理が行われた場合には、帳票実データを閲覧者の第2の端末装置200の第2の表示部に表示する制御を行ってもよい。
【0159】
ここで、参照情報とは閲覧者に帳票実データを参照させるための情報であり、狭義には
図17のD4に示したようにリンク情報であってもよい。
【0160】
これにより、電子メールを用いた通知処理、及び帳票実データの表示制御が可能になる。具体的には、第1の端末装置100の通知部117は、第2の端末装置200に対して、
図17のD1に示したような電子メールを送信する依頼を行う。当該依頼は例えば、サーバシステム300に含まれるメールサーバに対して行えばよい。ただし、本実施形態に係るプログラム自身が電子メールの送信処理を行う必要はなく、本プログラムとは異なるメーラーの起動及び必要な情報の受け渡しを行うものでもよい。或いは、本実施形態に係るプログラムがメーラーとしての機能を有するのであれば、第1の端末装置100の処理部110が通知部117として機能するとともに、第2の端末装置200の処理部210が通知部217として機能するものであってもよい。この場合、第2の端末装置200の通知部217は、電子メールの受信を行うとともに、当該電子メールを受信した旨をユーザ(閲覧者)に通知する。この通知は、通常のメーラーで用いられる種々の手法を適用可能であり、ポップアップ表示や音声通知等が考えられる。
【0161】
また、第2の表示制御部211は、閲覧者の第2の端末装置200の第2の表示部に、承認依頼の対象となっている帳票実データの一覧を提示する承認依頼一覧画面(例えば
図19(A))を表示する制御を行ってもよく、その場合、通知部217は、第2の表示制御部211に対して、承認依頼一覧画面において配信情報に対応する帳票実データの項目を追加する更新処理を指示することで、配信情報が閲覧者に配信されたことを通知してもよい。
【0162】
そして、第2の入力受付部213は、承認依頼一覧画面に含まれる項目に対する、閲覧者による選択操作を受け付け、第2の表示制御部211は、第2の入力受付部213が選択操作を受け付けた場合に、選択操作により選択された項目に対応する帳票実データを閲覧者の第2の端末装置200の第2の表示部に表示する制御を行ってもよい。
【0163】
これにより、ワークフロー等を用いた通知処理、及び帳票実データの表示制御が可能になる。具体的には、通知部217は新たな配信情報が配信された場合には、承認依頼一覧画面の更新指示を行うことで閲覧者に対する通知を行うことになり、更新指示とは具体的には、
図19(A)の表に対して新たな行を追加する指示に相当する。また、承認依頼一覧画面には帳票実データへの参照情報等が含まれるものであり、当該参照情報に対する選択処理により対応する帳票実データが表示されることになる。
図19(A)の例であれば、各行について当該行に対応する帳票実データへのリンク情報が含まれることになり、当該リンク情報は、特定の文字列部分に埋め込まれるものであってもよいし、行に対応する領域全体に埋め込まれるものであってもよい。
【0164】
また、第2の表示制御部211は、閲覧者の第2の端末装置200の第2の表示部に、ポータル画面を表示する制御を行ってもよく、その場合、通知部217は、第2の表示制御部211に対して、ポータル画面において配信情報に対応する帳票実データの項目を追加する更新処理を指示することで、配信情報が閲覧者に配信されたことを通知してもよい。
【0165】
そして、第2の入力受付部213は、ポータル画面に含まれる項目に対する、閲覧者による選択操作を受け付け、第2の表示制御部211は、第2の入力受付部213が選択操作を受け付けた場合に、選択操作により選択された項目に対応する帳票実データを閲覧者の第2の端末装置200の第2の表示部に表示する制御を行ってもよい。
【0166】
ここでポータル画面とは、ソフトウェアの各機能を効率的に利用するために表示される画面であり、狭義にはソフトウェアへのログイン時(或いはソフトウェア起動時)に表示される各機能へのリンク等を含む画面である。具体的には
図23に示した画面であってもよい。また、
図23の例であれば、配信情報に対応する帳票実データの項目とは、E1の領域において1行で表される項目に相当する。よって、配信情報のユーザへの通知処理は、E1の領域に新たな行を追加する更新処理となる。
【0167】
なお、1つの配信情報に複数の帳票実データが対応づけられている場合もあるが、ポータル画面での表示は配信情報単位で行ってもよいし、帳票実データ単位で行ってもよい。配信情報単位で表示する場合、当該配信情報に対する選択処理の後、選択された配信情報に対応づけられた複数の帳票実データから、実際に表示する1つの帳票実データを選択する等の処理を行うことが考えられる。つまり、本実施形態の「配信情報に対応する帳票実データの項目」とは、帳票実データを直接表す項目であってもよいし、1つの帳票実データと対応づけられた配信情報を表す項目であってもよいし、複数の帳票実データと対応づけられた配信情報を表す項目であってもよい。
【0168】
これにより、ポータル画面を用いた通知処理、及び帳票実データの表示制御が可能になる。なお、ポータル画面には帳票実データへの参照情報等が含まれるものであり、当該参照情報に対する選択処理により対応する帳票実データが表示されることになる。
図23の例であれば、E1の各行について当該行に対応する帳票実データへのリンク情報が含まれることになり、当該リンク情報は、特定の文字列部分に埋め込まれるものであってもよいし、行に対応する領域全体に埋め込まれるものであってもよい。
【0169】
また、第1の入力受付部113が選択情報及び集計条件情報を受け付けた場合に、第1の表示制御部111は、選択情報に対応する帳票データに含まれる各項目に対して、集計条件情報に応じて集計されたデータを対応づけることで取得される帳票実データを、配信担当者の第1の端末装置100の第1の表示部(表示部130)に表示する制御を行ってもよい。
【0170】
これにより、配信担当者側でも入力した情報により作成される帳票実データを閲覧・確認することが可能になる。入力した集計条件情報等により、所望の帳票実データが取得されるか否かを確認した上で配信処理等ができるため、共有する帳票実データの正確性等を向上させることができる。これは
図21では、条件ダイアログでOKとなった場合に、集計結果画面が表示される画面遷移に対応し、具体的には
図9(A)において集計条件情報を入力した上で集計ボタンを押した場合に、
図1等の帳票実データが表示される画面遷移に対応することになる。
【0171】
また、第1の入力受付部113は、第1の表示制御部111による帳票実データの表示制御に対する、配信担当者からの配信可否情報の入力を受け付け、配信可否情報として配信実行指示が入力された場合には、作成部115は、第1の入力受付部113が受け付けた選択情報及び集計条件情報に基づいて、帳票実データを閲覧者に参照させるための配信情報を作成してもよい。そして、第2の端末装置200の通知部217(或いは第1の端末装置100の通知部117)は、配信情報が閲覧者に配信されたことを通知する。
【0172】
また、配信可否情報として配信中止指示が入力された場合には、第1の表示制御部111は、条件入力画面を表示する制御を行い、第1の入力受付部113は、条件入力画面において配信担当者が入力した新たな集計条件情報を受け付けてもよい。
【0173】
これにより、帳票データの選択、及び集計条件情報の入力が行われ、それに基づき帳票実データの作成・表示が行われた場合に、当該帳票実データを確認した配信担当者からのリアクションに基づいて適切な処理を行うことが可能になる。具体的には、表示された帳票実データに問題はないと配信担当者が判断した場合には、配信実行指示が入力される。
図21では、一旦条件入力画面(
図9(A))に戻った上で、当該条件入力画面で配信ボタンをクリックする操作が配信実行指示に対応することになるが、例えば帳票実データを表示する画面に配信実行指示に対応するOKボタン(配信ボタン)を設けてもよい。また、帳票実データに問題があれば、配信担当者は集計条件情報の再入力を希望すると考えられるため、条件入力画面を再度表示し、再入力された集計条件情報を受け付けることになる。
【0174】
また、帳票データには、帳票データに対する操作の可否権限をあらわす権限情報が対応づけられてもよい。そして、通知部217(或いは通知部117)は、複数の前記閲覧者のうち、配信情報に対応する帳票データに対して操作権限を有すると、権限情報に基づいて判定された閲覧者に対して、配信情報が配信されたことを通知してもよい。
【0175】
ここで権限情報とは、例えば
図7のB2で示した箇所で設定されるものであり、帳票データに対する各種処理の可否を決定する情報である。
【0176】
これにより、帳票実データの共有、回覧等を行う場合に、参照等の権限が有るユーザに対してのみ通知を行うことが可能になる。よって、権限のないユーザによる不適切な閲覧等を抑止でき、セキュリティ機能の向上等が可能になる。なお、
図7の例であれば、権限は帳票データ全体を対象として設定されるものとしているがこれに限定されず、例えば
図6のA2〜A5の各項目毎に権限情報を付与してもよい。権限情報の設定処理は複雑となるが、より細かい権限管理が可能となる。
【0177】
また以上の本実施形態は、配信担当者により用いられる第1の端末装置100と、閲覧者により用いられる第2の端末装置200とを含む情報処理システムに適用可能である。第1の端末装置100は、登録された帳票データを提示する帳票メニュー画面、及び帳票実データを作成する際の集計条件を入力する条件入力画面を表示する第1の表示部(表示部130)と、帳票メニュー画面において配信担当者が選択した帳票データを示す選択情報、及び条件入力画面において配信担当者が入力した集計条件情報を受け付ける第1の入力受付部113と、第1の入力受付部113が受け付けた選択情報及び集計条件情報に基づいて、帳票実データを閲覧者に参照させるための配信情報を作成する作成部115とを含む。第2の端末装置200は、配信情報が閲覧者に配信されたことを通知する通知部217と、通知部217による通知に対する、閲覧者による入力を受け付ける第2の入力受付部213と、配信情報に基づいて帳票実データを表示する第2の表示部(表示部230)とを含む。
【0178】
これにより、
図3に示したように、上述した処理を実行する情報処理システムを実現することが可能になる。なお、この情報処理システムは、さらにサーバシステム300等を含んでもよい。
【0179】
また、上述したように通知部は第1の端末装置側に設けられてもよい。この場合、第1の端末装置100は、登録された帳票データを提示する帳票メニュー画面、及び帳票実データを作成する際の集計条件を入力する条件入力画面を表示する第1の表示部(表示部130)と、帳票メニュー画面において配信担当者が選択した帳票データを表す選択情報、及び条件入力画面において配信担当者が入力した集計条件情報を受け付ける第1の入力受付部113と、第1の入力受付部113が受け付けた選択情報及び集計条件情報に基づいて、帳票実データを閲覧者に参照させるための配信情報を作成する作成部115と、配信情報が閲覧者に配信されたことを通知する通知部117と、を含む。そして、第2の端末装置200は、通知部117による通知に対する、閲覧者による入力を受け付ける第2の入力受付部213と、配信情報に基づいて帳票実データを表示する第2の表示部(表示部230)とを含む。
【0180】
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また情報処理システム等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。