特許第6078307号(P6078307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078307
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】排水ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/60 20060101AFI20170130BHJP
   F04D 13/00 20060101ALI20170130BHJP
   F04D 1/14 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   F04D29/60 E
   F04D13/00 F
   F04D1/14
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-257607(P2012-257607)
(22)【出願日】2012年11月26日
(65)【公開番号】特開2014-105599(P2014-105599A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 永
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−108593(JP,U)
【文献】 特開2012−127281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/60
F04D 1/14
F04D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転羽根と、該回転羽根を収容するポンプ室を有するポンプハウジングと、該ポンプハウジングの上面の開口部を覆う蓋部として機能するハウジングカバーと、該ハウジングカバーの上部に装備されるモータと、該モータを覆うモータカバーとを含み、
前記モータは、樹脂モールドされたステータ組立体と、該ステータ組立体によって電磁気的に回転駆動されるロータ組立体とを備え、
前記ステータ組立体は、積層形成されたステータコア部材と、該ステータコア部材を樹脂モールドしてなる樹脂モールド体と、該樹脂モールド体に固定的に配置される中心シャフトとを備え、
前記ステータ組立体のステータコア部材の外周面は、前記ハウジングカバーの上部内周壁に嵌装され、
前記ロータ組立体は、円筒形のマグネットロータと、該ロータを保持するロータ中心体とからなり、
前記ロータ中心体には有底の中心軸穴が備わっており、該中心軸穴が前記中心シャフトに回転自在に支持されると共に、
前記ロータ中心体は、前記回転羽根の連結用の取付部を下端部に備える
ことを特徴とする排水ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機のドレンパンに溜った水を排水するための排水ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献は、この種の排水ポンプの基本的な構成を示す。
排水ポンプは、樹脂製のポンプ本体内に樹脂製の回転羽根が収容される。ポンプ本体の上部には、ポンプ本体の上面の蓋部材を有する樹脂製のカバーが取り付けられ、このカバーの上部にモータが支持される。そして、モータの出力軸によって回転羽根を駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−264315号公報
【特許文献2】特開平9−053591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近の排水ポンプは、駆動用のモータとしてステータを樹脂モールド構造として、絶縁性の向上を図る構造が採用されており、この樹脂モールドモータを支持する合成樹脂製カバーと当該カバーに連結する合成樹脂製のポンプ本体とを組み立てる構造となる。
【0005】
一般的に樹脂製品の寸法精度は、金属製品の寸法精度に比べて劣る場合が多い。
この寸法公差が大きい樹脂製品を組み立てる場合、寸法誤差が積み重なって回転羽根の軸とポンプ本体の軸線との間の同軸性が悪くなり、振動発生の原因となる不都合があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、回転羽根の同軸度を向上することの容易な排水ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述目的を達成するために本発明の排水ポンプは、基本的手段として、回転羽根と、該回転羽根を収容するポンプ室を有するポンプハウジングと、該ポンプハウジングの上面の開口部を覆う蓋部として機能するハウジングカバーと、該ハウジングカバーの上部に装備されるモータと、該モータを覆うモータカバーとを含み、前記モータは、樹脂モールドされたステータ組立体と、該ステータ組立体によって電磁気的に回転駆動されるロータ組立体とを備え、前記ステータ組立体は、積層形成されたステータコア部材と、該ステータコア部材を樹脂モールドしてなる樹脂モールド体と、該樹脂モールド体に固定的に配置される中心シャフトとを備えている。
そして、前記ステータ組立体のステータコア部材の外周面は、前記ハウジングカバーの上部内周壁に嵌装されている構成を具備する。
さらに、前記ロータ組立体は、円筒形のマグネットロータと、該ロータを保持するロータ中心体とからなり、前記ロータ中心体には有底の中心軸穴が備わっており、該中心軸穴が前記中心シャフトに回転自在に支持されると共に、前記ロータ中心体は、前記回転羽根の連結用の取付部を下端部に備える構成を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の排水ポンプは、以上の構成を備えることにより、組立性に優れると共に、同軸性も高く、排水ポンプとしての性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】排水ポンプの側面図。
図2】排水ポンプの上面図。
図3図2のA−A断面図。
図4】モータの断面図。
図5】ステータユニットの断面図。
図6】ロータユニットの断面図。
図7】排水ポンプ部品構成と組立工程を示す図。
図8】下カバーの側面図。
図9】下カバーの上面図。
図10】下カバーの断面図。
図11】ステータユニットの側面図。
図12】ステータユニットの下面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の排水ポンプの側面図、図2は上面図、図3図2のA−A断面図である。
排水ポンプは樹脂製のポンプハウジング10を有し、ポンプハウジング10のポンプ室12内に回転羽根200が装備される。ポンプハウジング10の上部にはOリング30を介して樹脂製のハウジングカバー(以後下カバーという)40が取り付けられる。下カバー40はポンプハウジング10に設けられるスナップフィットアーム14を利用してスナップフィット機能によりポンプハウジング10に着脱自在に取り付けられる。
下カバー40はポンプハウジング10の上面の開口部を覆う蓋部46を有し、蓋部46の中央部には回転羽根200の軸部210が貫通する開口部48が形成される。
【0012】
回転羽根200の軸部210には後述するロータ組立体140の取付部144が圧入される。下カバー40の上部には、モータ100が搭載され、合成樹脂製のモータカバー(以後上カバーという)50により覆われる。上カバー50の上部には相手部材(図示せず)への取付部52が設けられる。
上カバー50はスナップフィットアーム54を有し、下カバー40に対して樹脂の弾性を利用したスナップフィット機能により取り付けられる。
【0013】
モータ100は図4に示すように、それぞれ別体に製造されるステータ組立体120とロータ組立体140とにより構成される。
【0014】
ステータ組立体120は、図5に示すように、樹脂モールド体121内に一体に配設されたボビン122を有している。ボビン122にはコイル124が巻かれ、配線125から給電を受ける。コイル124は金属板を重ねたステータコア部材126を励磁する。樹脂モールド体121の中心部には円柱形のシャフト130が取り付けられる。
【0015】
ロータ組立体140は、図6に示すように、樹脂製のロータ中心体141を備える。ロータ中心体141は中空の円筒形状をなし、その下端部に回転羽根200の軸部210に圧入される取付部144を有する。ロータ中心体141の上部外側にはロータ部146が固着される。ロータ部146の下方にはロータ部146への水の浸入を防止するフランジ部142が設けられる。ロータ中心体141の内径部にはシャフト130に対する軸受150、152が取り付けられる。下方の軸受152の底部にはスラスト受け板160が挿入される。
【0016】
ロータ組立体140をステータ組立体120に対して組立てる工程を図7を参照して説明する。
先ず、ステータ組立体120のシャフト130を、ロータ組立体140のロータ中心体141に配設する軸受150と軸受152に対して挿入する。シャフト130の先端部はスラスト受け板160に当接するとともに、ステータコア部材126とロータ部146は互いの磁力により引き合い、ロータ組立体140がシャフト130から抜け落ちることはない。
【0017】
この状態で樹脂モールド121の底部121aとフランジ部142の間に間隙Gが形成される。この間隙Gはロータ組立体140が回転時に樹脂モールド121と干渉することのないように設定される。またフランジ部142の存在によって、水の内部への浸入を防止する。
【0018】
モータ100にあっては、ステータ組立体120側のシャフト130をロータ中心体141の内部に取り込んで樹脂製のロータ組立体140で囲む構造を採用している。この構造により、ポンプハウジング10側から飛散する水がモータ100内に浸入することが防止され、排水ポンプの機能を向上することができる。
【0019】
次に、図7図12を参照しつつ、排水ポンプの組立の詳細を説明する。図8は下カバー40の側面図、図9は下カバー40の上面図、図10は下カバー40の断面図、図11はステータ組立体120の側面図、図12はステータ組立体120の下面図である。
【0020】
図10に示すように、下カバー40の最上部の内径部には、ステータ組立体120を嵌合させるためのカバー壁厚を薄くしたステータユニット受け部45が形成され、段付のステータユニット支持部43が設けられる。ステータ組立体120が嵌合するステータユニット受け部45は排水ポンプを組み立てる際の基準位置となる。この基準位置を第3の基準位置Kとする。
【0021】
図11、12に示すように、ステータ組立体120のステータコア部材126は磁性金属板を打ち抜き加工等により製造されるものであって、その外周面(外径部)の寸法制度は高い。そこで、ステータコア部材126の外周面(外径部)を第1の基準位置Kとすると、第1の基準位置Kの寸法精度は、樹脂製品の寸法精度に比較して高いものとなる。そして、ステータ組立体120の中心位置に挿入され固定する金属製のシャフト130の外径位置を第2の基準位置Kとすると、第2の基準位置Kの精度も高いものとなる。
【0022】
図7に示す組立工程において、上記第1の基準位置K、第2の基準位置K、第3の基準位置Kを基準として排水ポンプを組み立てる。
ポンプハウジング10のポンプ室12内に回転羽根200を配置する。ポンプハウジング10に対してOリング30を介して下カバー40を、スナップフィット機能により取り付ける。
【0023】
ステータ組立体120の中央位置にシャフト130を固定し第2の基準位置K(中央位置)を決める。シャフト130をロータ組立体140の軸受150、152に挿入してモータを組み立てる。ステータ組立体120のステータコア部材126の外周面(外径部)の第1の基準位置Kを下カバー40のステータユニット受け部45の第3の基準位置Kに合わせて嵌合させて組み付ける。ロータ組立体140のロータ中心体141の取付部144に回転羽根200の軸部210を挿入して連結する。
上カバー50を下カバー40の上部にスナップフィット機能により取り付けて排水ポンプを完成する。
【0024】
本発明の排水ポンプにあっては、ステータ組立体120にモールドされる金属製のステータコア部材126の外径部を第1の基準位置Kとして樹脂製の下カバー40のステータユニット受け部45を第3の基準位置Kとして嵌合させる。そして、ステータ組立体120の中央部に挿入されるシャフト130の外径部を第2の基準位置Kとしてロータ組立体140を一体化し、ロータ組立体140を回転羽根200に連結する構成を採用している。
この構成により、ポンプハウジング10の軸線と回転羽根200の軸線の同軸精度が向上し、回転羽根200の回転時の振動等の発生が防止される。
【符号の説明】
【0025】
10 ポンプハウジング
12 ポンプ室
30 Oリング
40 ハウジングカバー(下カバー)
42 スナップフィット受け
43 ステータユニット支持部
44 スナップフィット受け
45 ステータユニット受け部
46 蓋部
48 開口部
50 モータカバー(上カバー)
54 スナップフィットアーム
100 モータ
120 ステータ組立体
121 樹脂モールド
122 ボビン
124 コイル
125 配線
126 ステータコア部材
130 シャフト
140 ロータ組立体
141 ロータ中心体
142 フランジ部
144 取付部
146 ロータ部
150、152 軸受
160 スラスト受け板
200 回転羽根
210 軸部
間隙
第1の基準位置
第2の基準位置
第3の基準位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12