(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078310
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】材料粉末供給装置及び粉末成形装置
(51)【国際特許分類】
B30B 11/00 20060101AFI20170130BHJP
B30B 11/02 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
B30B11/00 F
B30B11/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-264332(P2012-264332)
(22)【出願日】2012年12月3日
(65)【公開番号】特開2014-108442(P2014-108442A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390004879
【氏名又は名称】三菱マテリアルテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100129403
【弁理士】
【氏名又は名称】増井 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】川原 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和俊
【審査官】
矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−246463(JP,A)
【文献】
実開昭60−195197(JP,U)
【文献】
特開平05−255702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 11/00
B30B 9/28
B22F 3/02
B22F 3/03
B30B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料粉末が充填される充填部が形成されたダイと、
前記ダイに対してダイの軸線方向に相対移動可能に取り付けられ、前記ダイとともに充填部を画成する下パンチと、
前記ダイの上方に配置され、前記ダイの充填部に対して前記軸線方向に相対移動可能に支持された上パンチと、を備え、
前記ダイが前記下パンチに対して上昇して前記充填部が形成されるように構成された粉末成形装置本体に設けられ前記充填部に材料粉末を充填する材料粉末供給装置であって、
前記材料粉末を貯留し、前記充填部を覆うことで、前記充填部に前記材料粉末を供給するシューボックスと、
基端側が前記粉末成形装置本体に取り付けられるとともに先端側に前記シューボックスが配置されるリンク部材と、
前記リンク部材を駆動して、前記シューボックスを前記ダイの平面視外方から前記充填部に対して進退する駆動部と、
前記シューボックスの前記進退方向位置を調整する位置制御手段とを、備え、
前記位置制御手段は、
前記ダイの高さ方向位置を検出する上下位置検出センサと、位置制御部と、を備え、
前記ダイが上昇して形成される前記充填部に前記材料粉末を供給する際に、前記シューボックスを前記ダイの上下方向位置と対応して進退させるように構成され、
前記位置制御部は、
前記上下位置検出センサにより検出した前記ダイの上下方向位置に基づいて前記駆動部を作動し、前記シューボックスの進退位置を調整することを特徴とする材料粉末供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の材料粉末供給装置を備えることを特徴とする粉末成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイが上昇することで充填部が形成される粉末成形装置において、充填部に材料粉末を安定して充填可能な
材料粉末供給装置及び粉末成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、粉末成形装置のダイに形成された充填部に材料粉末を充填する場合、下側が開口したシューボックをダイの所定位置(充填部予定位置上方)に移動させて、充填部が形成されるのに応じて材料粉末を落下させ、充填することが一般的である。ダイに充填部を形成する場合、ダイを下パンチに対して上昇させる場合と、下パンチをダイに対して下降させる場合がある(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
一方、粉末成形装置に取付けたフィーダー装置(材料粉末供給装置)は、ダイ交換を効率的にするために、基端側を上フレーム等の粉末成形装置本体に支持させて、ダイ交換時に、シューボックス等の部材をダイ交換スペース外に退避させ、ダイ交換空間に充分なダイ交換用のスペースを確保するように構成されたものが広く採用されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
図5は、ダイが上昇して充填部が形成される粉末成形装置における材料粉末の充填の一例を示す図であり、粉末成形装置は、粉末成形装置本体110と、材料粉末供給装置120とを備え、粉末成形装置本体110は、粉末成形品に対応する孔が形成されたダイ111と、この孔に挿入されダイ111とともに充填部Aを画成する下パンチ112とを備えている。
また、材料粉末供給装置120は、例えば、基端部が粉末成形装置本体110の上プラテンや装置側部に配置された支柱に取付けられたリンク部材(
図5において二点鎖線で示す)121と、リンク部材121の先端側に接続されたシューボックス122とを備えている。
【0005】
このように、基端部が粉末成形装置本体110の固定部分に取付けられた材料粉末供給装置120を用いて、充填部Aに材料粉末Pを充填する場合、
図5(A)〜
図5(C)に示すような工程で、材料粉末Pが充填部Aに充填される。
【0006】
まず、
図5(a)に示すように、ダイ111に下パンチ112が挿入されダイ111表面が面一で充填部Aが形成されていない状態で、リンク部材121が駆動されてシューボックス122が矢印F方向に前進する。
次に、
図5(b)に示すように、シューボックス122の開口部が、充填部Aが形成されるべき位置まで前進したら、リンク部材121の駆動が停止されてシューボックス122が停止する。
次いで、下パンチ112に対して、ダイ111が矢印G方向に上昇して充填部Aが形成され、充填部Aの形成にともなってシューボックス122内の材料粉末Pが充填部A内に落下して充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−266752号公報
【特許文献2】特公昭62−29160号公報
【特許文献3】特開2007−61848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の材料粉末供給装置では、材料粉末が充填部内に偏って充填されて安定した充填ができない場合があり、ダイの上昇により充填部が形成される粉末成形装置において、充填部に材料粉末を安定して充填することが可能な材料粉末供給技術に対する強い要請がある。
【0009】
そこで、発明者らは、基端側(シューボックスよりも基端側のいずれかの位置)が粉末成形装置本体110又は床面等に配置されダイ111が上昇して充填部Aが形成される材料粉末供給装置において、充填部Aに材料粉末Pを安定して充填する技術について鋭意研究した結果、ダイ111の所定位置まで移動させたシューボックス122は、ダイ111の上昇にともなってリンク部材121がほぼ水平となり、
図5(c)に示すように矢印H方向にシューボックスが移動し、結果的に、シューボックス122と充填部Aとの相対的位置が変化して充填部Aの中心からずれるとともに、シューボックス122が充填部Aに対して相対移動しながら材料粉末Pを充填することにより、材料粉末Pの中心が充填部Aの中心に対して変位し、材料粉末Pが崩れながら偏って充填部Aに充填される ことが、安定した充填を妨げる大きな要因であるとの知見を得た。
【0010】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、基端側(シューボックスよりも基端側のいずれかの位置)が粉末成形装置本体に取付けられダイが上昇することで充填部が形成される材料粉末供給装置において、材料粉末を充填部に安定して充填することが可能な
材料粉末供給装置及び粉末成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、材料粉末供給装置であって、材料粉末が充填される充填部が形成されたダイと、前記ダイに対してダイの軸線方向に相対移動可能に取り付けられ、前記ダイとともに充填部を画成する下パンチと、前記ダイの上方に配置され、前記ダイの充填部に対して前記軸線方向に相対移動可能に支持された上パンチとを備え、前記ダイが前記下パンチに対して上昇して前記充填部が形成されるように構成された粉末成形装置本体に設けられ前記充填部に材料粉末を充填する材料粉末供給装置であって、前記材料粉末を貯留し、前記充填部を覆うことで、前記充填部に前記材料粉末を供給するシューボックスと、基端側が前記粉末成形装置本体に取り付けられるとともに先端側に前記シューボックスが配置されるリンク部材と、前記リンク部材を駆動して、前記シューボックスを前記ダイの平面視外方から前記充填部に対して進退する駆動部と、前記シューボックスの前記進退方向位置を調整する位置制御手段とを備え、
前記位置制御手段は、
前記ダイの高さ方向位置を検出する上下位置検出センサと、位置制御部と、を備え、前記ダイが上昇して形成される前記充填部に前記材料粉末を供給する際に、前記シューボックスを前記ダイの上下方向位置と対応して進退させるように構成
され、前記位置制御部は、前記上下位置検出センサにより検出した前記ダイの上下方向位置に基づいて前記駆動部を作動し、前記シューボックスの進退位置を調整することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、粉末成形装置であって、
請求項1に記載の材料粉末供給装置を備えることを特徴とする。
【0014】
この発明に係る
材料粉末供給装置、粉末成形装置によれば、ダイが下パンチに対して上昇して充填部が形成される粉末成形装置本体に、リンク部材の基端側が取り付けられ、材料粉末をリンク部材先端側のシューボックスで充填部に充填する場合に、シューボックスがダイの上昇に応じて進退するので、平面視シューボックスと充填部の相対位置が所定範囲内に調整される。その結果、材料粉末を充填部に安定して充填することができる。
また、上下位置検出センサにより検出したダイの上下方向位置に基づいて駆動部を作動して、リンク部材の姿勢を変えることによりシューボックスを進退させるので、シューボックスの位置を充填部に対して所定範囲内に確実に調整することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る
材料粉末供給装置、粉末成形装置によれば、材料粉末を充填部に充填する場合に、シューボックスと充填部の相対位置が所定範囲内に調整されるので、材料粉末を安定して充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る粉末成形装置の概略構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係るフィーダー装置の概略構成を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係るフィーダー装置により、粉末金属の充填を説明する図である。
【
図4】第2の実施形態に係るフィーダー装置の概略構成を示す図である。
【
図5】従来のフィーダー装置の作動を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1から
図3を参照し、この発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る粉末成形装置を示す図であり、符号1は粉末成形装置を、符号2は粉末成形装置本体を、符号3はフィーダー装置(材料粉末供給装置)を示している。また、
図2は、フィーダー装置の概略構成を示す図である。
【0020】
粉末成形装置1は、
図1に示すように、粉末成形装置本体2と、フィーダー装置3とを備え、フィーダー装置3は、その基端部が粉末成形装置本体2の固定部に取付けられており、フィーダー装置3が作動することで、粉末成形装置本体2に形成された充填部Aに金属粉末Pを充填するようになっている。
【0021】
粉末成形装置本体2は、孔が形成されたダイ21と、下パンチ22と、上パンチ23と、ダイ21が載置されるダイプレート24と、上パンチ23が配置される上フレーム25と、装置基台26とを備え、例えば、上パンチ23、ダイプレート24は、それぞれサーボ機構を備えたシリンダ等の駆動部21S、23Sにより上下方向に相対移動するようになっている。
【0022】
ダイ21は、ダイプレート24に嵌挿されていて、ダイプレート24とともに上下方向に移動可能とされていて、ダイ21がダイプレート24とともに上昇して下パンチ22が下方に相対移動することで充填部Aが形成され、充填部Aに、金属粉末Pが充填された後、この金属粉末Pを上パンチ23が下降して圧粉して、粉末成形品が成形されるようになっている。
【0023】
フィーダー装置3は、
図1、
図2に示すように、モータ3Mと、リンク機構(リンク部材)30と、シューボックス40と、位置制御手段45と、ホッパー50とを備え、モータ3Mは上フレーム25に固定されている。
【0024】
モータ3Mの回転軸には、リンク機構30の基端側が連結されていて、リンク機構30がモータ3Mにより揺動され、リンク機構30の姿勢(リンク機構30を構成するリンク相互の相対位置関係)が変化することで、シューボックス40がダイ21上を進退して、シューボックス40内の金属粉末Pを充填部Aに充填するようになっている。
【0025】
リンク機構30は、第1リンク31と、第2リンク32と、第1リンク31の基端側と第2リンク32の基端側とを連結する第3リンク33と、第1リンク32の先端側と第2リンク33の先端側とを連結する第4リンク34と、第4リンク34の先端側に形成された取付ステー35と、連結リンク36と、支持ロッド37とを備えている。
【0026】
第1リンク31と第2リンク32、第3リンク33と第4リンク34は、それぞれ平行に配置されていてパンタグラフを構成している。
連結リンク36は、基端側が、取付ステー35と揺動自在に連結されるとともに、先端側にシューボックス40が連結されている。
【0027】
また、支持ロッド37は、例えば、エアシリンダにより構成され、基端側が上フレーム25に揺動自在に連結されるとともに、先端側が連結リンク36の中央部に揺動自在に連結されていて、連結リンク36を介してシューボックス40をダイプレート24に押し付けて、粉漏れを防ぐように構成されている。
【0028】
また、リンク機構30の基端側は、粉末成形装置本体2の固定部又は固定部に相当する部位に連結されていて、ダイ21が上昇した場合に、リンク機構30の基端側に対するダイ21の上下方向の相対位置が変化するようになっている。
【0029】
この実施形態では、例えば、リンク機構30は、第1リンク31の基端側が駆動モータ3Mを介して上フレーム25に取付けられるとともに、第1リンク31の基端側が駆動モータ3Mの回転軸に回動可能に連結されることで、ダイ21が上昇すると、シューボックス40もダイ21にともなって上昇するとともにダイ21上を前進するようになっている。
【0030】
シューボックス40は、下部に開口部が形成された筐体からなり、リンク機構30のステー35の先端側に連結リンク36を介して連結されていて、上パンチ23が下降しても上パンチ23を干渉しない領域からダイ21上の充填部Aまで進退可能とされている。また、シューボックス40は、給粉ホースを介して上フレーム25上に配置されたホッパー50に接続され、ホッパー50から金属粉末Pが供給されるようになっている。なお、シューボックス40と連結リンク36及びリンク機構30とステー35とは、回動自在とされている。
【0031】
位置制御手段45は、ダイ21の高さ方向位置を検出するリニアスケール(上下位置検出センサ)46と、リンク機構30の姿勢を変位させてシューボックス40を進退させるモータ3Mと、制御部(位置制御部)48とを備え、制御部48は、例えば、リニアスケール46によって検出されたダイ21の上下方向位置を取得し、このダイ21の上下方向位置を、予め格納されたダイ21の上下方向位置とモータ3Mの調整量(調整回動角度)との対応関係を参照して、リアルタイムにモータ3Mの調整量を算出するとともにモータ3Mに出力するようになっている。
【0032】
また、
図2において示した符号40A、40B、40C、40Dは、ダイ21が下降した位置におけるシューボックス40の後退端(40A)、ダイ21が下降した位置におけるシューボックス40の前進端(40B)、ダイ21が上昇した位置におけるシューボックス40の前進端(40C)、ダイ21が上昇した位置におけるシューボックス40の後退端(40D)を示している。なお、
図2において、シューボックス40の前進端は、シューボックス40の中心がダイ21の充填部A上に位置するように設定されている。
【0033】
次に、
図2、
図3を参照して、粉末成形装置1の動作について説明する。
(1)まず、ホッパー50からシューボックス40に金属粉末Pが供給される。
(2)次に、モータ3Mを駆動して第1リンク31を回動することにより、
図3(a)に示すように、ダイ21が下降した状態で後退端に位置していたシューボックス40(40A)を充填部Aの形成予定位置に向けて、矢印F方向に前進させる。
(3)次いで、
図3(b)に示すように、シューボックス40が充填部Aの形成予定位置に到達したら、シューボックス40(40B)を停止する。
(4)次に、
図3(c)に示すように、ダイ21とともにダイプレート24を矢印G方向に上昇させてダイ21に充填部Aを画成するとともに、金属粉末Pを、充填部Aに充填する。
このとき、シューボックス40は、ダイ21の上昇に応じて、シューボックス40は矢印B方向に後退され、シューボック40中央部の充填部Aに対する位置が所定範囲内となるように調整される。
(5)ダイ21が上昇端まで上昇して充填部Aに金属粉末Pが充填されたら、制御部48は、
図3(d)に示すように、リンク機構30がシューボックス40を後退端(
図2における40D)の位置まで後退するようにモータ3Mに信号を出力する。
【0034】
このように、シューボックス40は、進退方向における位置が、充填部Aに対して一定又は所定範囲内に調整されるので、金属粉末Pは充填部Aに重力で落下し充填される。その結果、金属粉末Pを充填部Aに安定して充填することができる。
ダイ21が上昇端まで上昇して、充填部A内に金属粉末Pが充填されたら、上パンチ23を下降させ、上パンチ23の下面が金属粉末Pの圧粉を開始したら、ダイプレート24を上パンチ23の1/2の速度で下降させて、金属粉末Pが上下から等しい速度で押圧されるようにする。
【0035】
以上のように、第1の実施形態に係る粉末成形装置1、フィーダー装置3によれば、リニアスケール46により検出したダイ21の上下方向位置に基づいて、制御部48がモータ3Mを作動して、シューボックス40のダイ21上における進退方向位置が充填部Aに対して所定範囲内となるように調整するので、シューボックス40内に貯留された金属粉末Pを充填部Aに安定して充填することができる。
【0036】
次に、
図4を参照して、この発明の第2の実施形態について説明する。
図4は、第2の実施形態に係る粉末成形装置1Aを示す図である。第2の実施形態が、第1実施形態と異なるのは、フィーダー装置3に代えて、フィーダー装置3Aを備えている点であり、その他は、第1の実施形態と同様であるので、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0037】
フィーダー装置3Aは、モータ4Mと、リンク機構(リンク部材)30Aと、シューボックス40Aと、位置制御手段とを備えて、モータ4Mが回動してリンク機構30Aの形状を変化させることによりシューボックス40を進退させるようになっている。
【0038】
リンク機構30Aは、揺動アーム32Aと、連結ロッド33Aと、支持ロッド34Aとを備え、揺動アーム32Aは基端側がモータ4Mと連結されるとともに先端側が連結ロッド33Aと連結され、支持ロッド34Aは基端側がホッパー50Aの下端と回動自在に連結されていて連結ロッド33Aの重量を支持するようになっている。また、連結ロッド33Aの先端側には、シューボックス40Aが連結され、モータ4Mが矢印U方向に回動して、シューボックス40Aを進退するようになっている。
【0039】
なお、揺動アーム32Aの基端側が連結されるモータ4Mは、例えば、粉末成形装置本体2の固定部又は固定部に相当する部位、例えば、床面に配置されていて、リンク機構30Aは、ダイが上昇することによりシューボックス40Aが前進する方向へと変形されるように配置されている。
また、位置制御手段は、モータ4Mと、図示しない上下位置検出センサと、位置制御部とを備えて構成され、位置制御部は、上下位置センサが検出したダイの上下方向位置に応じて、モータ4Mを矢印U1方向に回動して連結ロッド33Aを矢印V方向に作動させるとともにシューボックス40Aを矢印W方向に移動させて、シューボックス40Aの充填部に対する位置が所定範囲内に調整可能とされている。
【0040】
第2の実施形態に係る粉末成形装置1A、フィーダー装置3Aによれば、シューボックス40Aのダイ上における進退方向位置が充填部Aに対して所定範囲内となるようにモータ4Mを調整するので、シューボックス40A内の金属粉末Pを、充填部Aに安定して充填することができる。
【0041】
なお、上記の実施形態において記載した技術的事項については、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、位置制御手段が、モータ3M、モータ4Mを備えて構成される場合について説明したが、モータ3M、モータ4Mの回動角度調整に代えて、ボールナット等のアクチュエータやカム等により駆動される部材を用いてもよい。また、上記実施の形態においては、シューボックス40、40Aの進退量をリアルタイムで算出、調整する場合について説明したが、シューボックス40、40Aの進退量を所定の時間間隔をあけて調整してもよい。
【0042】
また、ダイ21の上下方向位置を、リニアスケール46を用いて検出する場合について説明したが、リニアスケール46を用いるかどうかは任意に設定可能であり、ダイ21を制御するサーボモータから出力される信号に基づいてモータ3M、モータ4M等の調整手段を用いてもよい。
上記実施の形態においては、材料粉末が金属粉末である場合について説明したが、例えば、材料粉末として、一般に粉末成形法で製造される別種の粉末を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る
材料粉末供給装置、粉末成形装置によれば、材料粉末を充填部に安定して充填することができるので、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
P 金属粉末(材料粉末)
A 充填部
1、1A 粉末成形装置
2 粉末成形装置本体
3、3A フィーダー装置(材料粉末供給装置)
3M、4M モータ
21 ダイ
22 下パンチ
23 上パンチ
30、30A リンク機構(リンク部材)
46 リニアスケール(上下位置検出センサ)
48 制御部(位置制御部)