(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
端末を管理する管理装置と、無線LAN接続用デバイスを備えた端末と、前記端末からの無線通信を前記管理装置へ中継する無線アクセスポイントとを備えたネットワークシステムであって、
前記端末は、初期状態において、予め前記無線アクセスポイントに設定される無線接続情報と同一内容の情報である初期無線接続情報に予め設定されており、所定の操作方法での電源投入を契機に、仮IPアドレスを生成し、前記初期無線接続情報に基づき前記無線アクセスポイントに接続し、さらに前記無線アクセスポイントを介して、初期IPアドレスに予め設定された前記管理装置に対して、ネットワーク構成情報設定開始要求を送信し、
前記管理装置は、前記端末からの前記ネットワーク構成情報設定開始要求の到来を待って、前記端末に、正式IPアドレスを割り当て、ネットワーク構成情報書換え指示を返信し、
前記端末は、前記ネットワーク構成情報書換え指示にしたがい、ネットワーク構成情報の設定を行う、ことを特徴とする、ネットワークシステム。
端末を管理する管理装置と、無線LAN接続用デバイスを備えた端末と、前記端末からの無線通信を前記管理装置へ中継する無線アクセスポイントとを備えたネットワークシステムにおいて、前記端末にネットワーク構成情報を設定する方法であって、
初期状態において予め前記無線アクセスポイントに設定される無線接続情報と同一内容の情報である初期無線接続情報に予め設定された、前記端末が、所定の操作方法での電源投入を契機に、仮IPアドレスを生成し、前記初期無線接続情報に基づき前記無線アクセスポイントに接続し、さらに前記無線アクセスポイントを介して、初期IPアドレスに予め設定された前記管理装置に対して、ネットワーク構成情報設定開始要求を送信する、第1のステップと、
前記管理装置が、前記端末からの前記ネットワーク構成情報設定開始要求の到来を待って、前記端末に正式IPアドレスを割り当て、ネットワーク構成情報書換え指示を返信する、第2のステップと、
前記端末が、前記ネットワーク構成情報書換え指示にしたがい、ネットワーク構成情報の設定を行う、第3のステップと、を有することを特徴とするネットワーク構成情報を設定する方法。
【背景技術】
【0002】
物流現場では、商品のピッキング作業又はソーティング作業のために、商品コード及び仕分け個数を表示させる端末が使用されている。この端末は、ホストコンピュータに有線で接続され、ホストコンピュータが送信する信号によってその表示内容が管理される。
【0003】
ところで、端末を設置する場所の自由度向上を目的として、コードレス化された端末が使用されることがある。この場合、端末は無線LAN接続デバイスと電池とを備えることによってコードレス化が実現され、その表示内容が無線LAN通信を介してホストコンピュータによって管理される。
【0004】
端末を無線LAN通信回線に接続するためには、ネットワーク構成情報(無線接続情報及びLAN通信情報)を端末に事前に設定しておく必要がある。端末にネットワーク構成情報を設定する方法として、端末とPC(Personal Computer)とを有線で接続し、手作業によってPCから端末に設定する方法と、無線LAN通信回線を介して自動的に端末に設定する方法が知られている。
【0005】
後者の方法によれば、無線LAN通信を中継する無線アクセスポイントと端末に所定の操作を加えることによって無線アクセスポイントを通じて無線接続情報を端末に付与し、ネットワーク内のDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバがLAN通信情報を端末に付与する。
【0006】
DHCPによれば、(1)まず、ネットワーク内に置かれた端末が、DHCPサーバを探索するためにDHCP−DISCOVERパケットをブロードキャストする。この時点で、端末は、ネットワーク内にあるDHCPサーバを知り得ないので、ネットワーク内の全ての機器に対してブロードキャストする。
【0007】
(2)DHCPサーバは、DHCP−DISCOVERパケットを受け取ると、DHCP−OFFERパケットを端末に返信する。DHCP−OFFERパケットには、端末が使用可能なLAN通信情報が含まれている。
【0008】
(3)DHCP−OFFERパケットを受け取った端末は、使用するDHCPサーバとそれに対応するLAN通信情報を決定し、DHCP−REQUESTをネットワーク内にブロードキャストする。
【0009】
(4)DHCP−REQUESTパケットによって指定されたDHCPサーバは、DHCP−ACKを端末に返信する。端末はDHCP−ACKを受信し、DHCPサーバから付与されたLAN通信情報に基づいてTCP/IPを構成する。これによって、端末はネットワーク内において通信可能な状態になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、流通現場のように使用する端末台数が多い場合、前者の方法によれば、端末とPCとを1台ずつ有線で接続して、無線接続情報とLAN通信情報とを手作業によって1台ずつPCから端末に入力する必要があることから、相当な時間と手間を要する。また、入力は人為的作業によるため、入力ミスを生じる可能性がある。
【0011】
後者の方法によれば、無線接続情報の設定は、端末1台ずつ行われ、複数の端末を同時に設定できない。このため、複数の端末にネットワーク構成情報を設定する場合、やはり相当な時間と手間を要する。さらに、DHCPによってネットワークの構成情報を端末に設定するときに端末が電気を著しく消費し、電池で駆動される端末の使用時間が短くなる。
【0012】
具体的には、端末は、DHCPサーバからLAN通信情報を取得する過程において、DHCP−DISCOVERパケット及びDHCP−REQUESTパケットをネットワーク内の全ての機器にブロードキャストする。この結果、端末は、他の端末によってネットワーク内にブロードキャストされるパケットを全て受信して、自端末に関係するか否かを判断している。このようなパケットは自端末には関係のないパケットであるが、これらの不要なパケットを受信することによって、端末は電気を無駄に消費する。
【0013】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、すなわち、複数の端末に、ネットワーク構成情報を簡便な手法で自動的に並行して設定すると共に、その際の端末の電気消費量を低減可能なネットワークシステム、及びネットワーク構成情報を設定する方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のネットワークシステムは、端末を管理する管理装置と、無線LAN接続用デバイスを備えた端末と、前記端末からの無線通信を前記管理装置へ中継する無線アクセスポイントとを備えたネットワークシステムであって、前記端末は、初期状態において
、予め前記無線アクセスポイントに設定される無線接続情報と同一内容の情報である初期無線接続情報に
予め設定されており、所定の操作方法での電源投入を契機に、仮IPアドレスを生成し、前記初期無線接続情報に
基づき前記無線アクセスポイントに接続し、さらに前記無線アクセスポイントを介して、初期IPアドレス
に予め設定された前記管理装置に対して、ネットワーク構成情報設定開始要求を送信し
、前記管理装置は、前記端末からの前記ネットワーク構成情報設定開始要求の到来を待って、前記端末に、正式IPアドレスを割り当て、ネットワーク構成情報
書換え指示を返信し、前記端末は、前記ネットワーク構成情報書換え指示にしたがい、ネットワーク構成情報の設定を行う、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明のネットワークシステムにおいて、端末にネットワーク構成情報を設定する方法は、端末を管理する管理装置と、無線LAN接続用デバイスを備えた端末と、前記端末からの無線通信を前記管理装置へ中継する無線アクセスポイントとを備えたネットワークシステムにおいて、前記端末にネットワーク構成情報を設定する方法であって、
初期状態において予め前記無線アクセスポイントに設定される無線接続情報と同一内容の情報である初期無線接続情報に予め設定された、前記端末が、所定の操作方法での電源投入を契機に、仮IPアドレスを生成し、前記初期無線接続情報に
基づき前記無線アクセスポイントに接続し、さらに前記無線アクセスポイントを介して、初期IPアドレス
に予め設定された前記管理装置に対して、ネットワーク構成情報設定開始要求を送信する、第
1のステップと
、前記管理装置が、前記端末からの前記ネットワーク構成情報設定開始要求の到来を待って、前記端末に正式IPアドレスを割り当て、ネットワーク構成情報
書換え指示を返信する、第
2のステップと、前記端末が、前記ネットワーク構成情報書換え指示にしたがい、ネットワーク構成情報の設定を行う、第
3のステップとを有することを特徴とする。
【0016】
本発明のネットワークシステム及び、ネットワークシステムにおいて端末にネットワーク構成情報を設定する方法によれば、端末にネットワーク構成情報を設定する際に、無線アクセスポイントの無線接続情報を初期無線接続情報に設定することによって、初期状態の端末及び無線アクセスポイントの無線接続設定が同一となる。これによって、初期状態の端末と無線アクセスポイントとの間の無線通信を簡便に確立できる。
【0017】
また、管理装置のIPアドレスを初期IPアドレスに設定することによって、初期状態の端末は、初期IPアドレスによって管理装置を特定して通信できる。さらに、初期状態の端末は、所定の操作方法で電源投入されることを契機として自端末に固有な仮IPアドレス生成する。これによって、管理装置は、仮IPアドレスによって端末を特定して通信できる。
【0018】
この結果、初期状態の端末は、所定の操作方法で電源投入することによって、無線アクセスポイントを介して管理装置と通信可能となる。さらに、端末は、ネットワーク構成情報書換え指示を管理装置から受信し、ネットワーク構成情報書換え指示にしたがい、ネットワーク構成情報を自動的に設定することができる。したがって、端末のネットワーク構成情報の設定を確実に実行することができる。
【0019】
また、複数の端末に対してネットワーク構成情報の設定が並行して行われるので、多数の端末へのネットワーク構成情報の設定作業を短時間に終えることができる。
【0020】
しかも、端末と管理装置との間のLAN通信を互いにIPアドレスにより送信先を特定したユニキャストで実行できるので、端末は、他の端末と管理装置との間で通信される不要なパケットを受信することが無い。これによって、複数の端末にネットワーク構成情報を並行して設定する場合でも、他の端末が発信する不要なパケットを受信して判断するのに要する電気の消費を防止できる。したがって、複数の端末にネットワーク構成情報を並行して設定する際の各端末の電気消費を低減できる。
【0021】
したがって、本発明によれば、複数の端末にネットワーク構成情報を簡便な手法で自動的に並行して設定すると共に、その際の端末の電気消費量を低減可能なネットワークシステム、及びネットワーク構成情報を設定する方法を得ることができる。
【0022】
前記ネットワーク構成情報設定開始要求には、前記仮IPアドレスと、前記端末に固有な固有IDとが含まれており、前記管理装置は、前記端末に正式IPアドレスを割り当て、前記正式IPアドレスと前記固有IDとを関連付けて記憶する、ように構成してもよい。
【0023】
この構成によれば、管理装置は、複数の端末の正式IPアドレスと固有IDとを関連付けて記憶している。これによって、端末の無線LAN接続用デバイスが交換されたためにMACアドレスが変更となった場合でも、端末の固有IDに関連付けられたIPアドレスは変わらない。つまり、端末のMACアドレスが変更となった場合でも、端末のIPアドレスを変更することなく端末と管理装置との間のLAN通信を継続できる。したがって、端末の無線LAN接続用デバイスが交換された場合でも、ネットワーク構成情報の再設定するために要する手間と時間が不要になる。
【0024】
前記ネットワーク構成情報書換え指示には、前記無線アクセスポイントと共有する運用時無線接続情報と、前記正式IPアドレスとが含まれるように構成することが望ましい。
【0025】
この構成によれば、端末は、ネットワークシステムを運用する際に使用する、無線アクセスポイントと共有する運用時無線接続情報と正式IPアドレスを管理装置から受信できるので、ネットワーク構成情報を、ネットワークシステムを運用する際に適するように自動的に設定することができる。これによって、ネットワークシステムを運用するための、管理装置と端末との間の無線LAN通信を確実に構築できる。
【0026】
本発明に係る端末は、管理装置から無線アクセスポイントを介して管理される無線LAN接続用デバイスを備えた端末であって、
初期状態において、前記管理装置の初期IPアドレスと
、前記無線アクセスポイント
に設定される無線接続情報と同一内容の情報である初期無線接続情報とを記憶する記憶手段と、所定の操作方法によって電源投入されたことを検知する検知手段と、該検知手段によって所定の操作方法での電源投入を検知したとき、仮IPアドレスを生成する仮IPアドレス生成手段と、前記初期無線接続情報に
基づき前記無線アクセスポイントに接続し、さらに前記無線アクセスポイントを介して、前記記憶
手段から読み出した初期IPアドレス
に予め設定された前記管理装置に対して、前記仮IPアドレスと前記端末に固有な固有IDとを含んだネットワーク構成情報設定開始要求を送信する送信手段と、前記初期IPアドレスに設定された管理装置から返信されるネットワーク構成情報書換え指示にしたがい、ネットワーク構成情報を書換える書換え手段と、を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、検知手段によって端末が所定の操作方法により電源投入されたことを検知して、仮IPアドレス生成手段によって仮IPアドレスを生成する。次いで、初期無線接続情報を共有する無線アクセスポイントを介して記憶手段に記憶された初期IPアドレス宛に、送信手段によってネットワーク構成情報設定開始要求を送信する。続いて、初期IPアドレスに設定された管理装置から返信されるネットワーク構成情報書換え指示にしたがい、ネットワーク構成情報を書換えることができる。
【0028】
したがって、初期状態の端末は、所定の操作方法により電源投入されると、自動的に無線アクセスポイントを介して管理装置と通信を行い、管理装置からのネットワーク構成情報書換え指示にしたがい、端末のネットワーク構成情報が自動的に設定される。
【0029】
本発明に係る管理装置は、無線LAN接続用デバイスを備えた端末を無線アクセスポイントを介して管理する管理装置であって、前記
無線アクセスポイントの運用時無線接続情報を記憶する記憶手段と、
初期状態において予め前記無線アクセスポイントに設定される無線接続情報と同一内容の情報である初期無線接続情報に予め設定されており、所定の操作方法での電源投入を契機に、仮IPアドレスを生成し、前記初期無線接続情報に基づき前記無線アクセスポイントに接続された、前記端末から、前記無線アクセスポイントを介して、初期IPアドレスに予め設定された前記管理装置に対して、送信されるネットワーク構成情報設定開始要求の到来を待って、前記端末に正式IPアドレスを割り当てる正式IPアドレス割り当て手段と、前記記憶手段から読み出した前記
無線アクセスポイントの前記運用時無線接続情報と前記正式IPアドレスとを含んだネットワーク構成情報書換え指示を、前記端末に返信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0030】
本発明によれば、端末から送信されるネットワーク構成情報設定開始要求の到来を待って、正式IPアドレス割り当て手段によって正式IPアドレスを端末に割り当て、記憶手段から読み出したアクセスポイントの運用時無線接続情報と正式IPアドレスとを含んだネットワーク構成情報書換え指示を送信手段によって端末に送信できる。したがって、管理装置は、端末からネットワーク構成情報設定開始要求を受信した場合、ネットワーク構成情報を含んだネットワーク構成情報書換え指示を自動的に端末に送信できる。
【0031】
前記端末は、前記仮IPアドレスを、前記端末に固有の情報に基づき生成することを、特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
要するに本発明によれば、複数の端末に、ネットワーク構成情報を簡便な手法で自動的に並行して設定でき、且つ、その際の電気消費量を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施形態に係るネットワークシステム1を示す構成図である。
図1に示すように、ネットワークシステム1は、管理装置10と、無線アクセスポイント20と、複数の無線式表示端末30とを備えている。管理装置10と無線アクセスポイント20はLANケーブル40で接続されている。複数の無線式表示端末30は、無線アクセスポイント20に無線通信可能に構成されている。
【0037】
図2は、ネットワーク構成情報を設定される端末として、無線式表示端末30の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
図2に示すように、無線式表示端末30は、機能的には、電源投入検知部310と、仮IPアドレス生成部320と、ネットワーク構成情報記憶部330と、ネットワーク構成情報設定開始要求送信部340と、ネットワーク構成情報書換え指示受信部350と、ネットワーク構成情報書換え部360と、ネットワーク構成情報設定完了表示部370と、所定時間経過判定部380と、ネットワーク構成情報設定未完了表示部380を備えている。
【0038】
電源投入検知部310は、所定の操作方法で無線式表示端末30が電源投入されたことを検知して、仮IPアドレス生成部320を起動する機能を有する。本実施形態に係る無線式表示端末30では、特定の釦を押しながら電源投入することによって、所定の操作方法がなされたと検知する。
【0039】
仮IPアドレス生成部320は、所定の操作方法での電源投入を契機に仮IPアドレスを生成し、ネットワーク構成情報設定開始要求送信部340を起動する機能を有する。仮IPアドレスは、無線式表示端末に備えられた無線LAN通信デバイスのMAC(Media Access Control)アドレスを利用して生成される。
【0040】
ネットワーク構成情報記憶部330には、初期状態の無線式表示端末30にネットワーク構成情報を設定する場合に利用される、無線アクセスポイント20の初期無線接続情報510と管理装置10の初期IPアドレス520が記憶されている。
【0041】
ネットワーク構成情報設定開始要求送信部340は、ネットワーク構成情報設定開始要求を管理装置10に送信する機能を有する。ネットワーク構成情報設定開始要求には、仮IPアドレスとMACアドレスとそれぞれの無線式表示端末30に固有な固有IDが含まれている。無線式表示端末30は、ネットワーク構成情報記憶部330から呼び出した初期無線接続情報510を利用して、初期無線接続情報510に予め設定された無線アクセスポイント20を介して無線通信を行う。このとき、無線式表示端末30は、ネットワーク構成情報記憶部330から呼び出した初期IPアドレス520宛にネットワーク構成情報設定開始要求を送信する。
【0042】
ネットワーク構成情報書換え指示受信部350は、管理装置10から返信されるネットワーク構成情報書換え指示を受信して、ネットワーク構成情報書換え部360を起動する機能を有する。なお、管理装置10は、初期IPアドレス520に予め設定されている。ネットワーク構成情報書換え指示には、ネットワークシステム1を運用する際に利用される無線アクセスポイント20の運用時無線接続情報530と無線式表示端末30の正式IPアドレス540が含まれている。
【0043】
ネットワーク構成情報書換え部360は、ネットワーク構成情報書換え指示にしたがい、無線式表示端末30のネットワーク構成情報を書換え、ネットワーク構成情報書換え終了表示部370を起動する機能を有する。
【0044】
ネットワーク構成情報書換え終了表示部370は、無線式表示端末30へのネットワーク構成情報の設定が終了したことを表示する機能を有する。本実施形態に係る、無線式表示端末30では、ネットワーク構成情報の設定が正常に完了した場合には、正式IPアドレス540を表示する。
【0045】
電源投入検知部310は、所定時間経過判定部380を起動する機能をさらに有する。所定時間経過判定部380は、電源投入検知部310が起動してから所定時間内にネットワーク構成情報書換え指示受信部350が起動されない場合、ネットワーク構成情報設定未完了表示部390を起動する機能を有する。ネットワーク構成情報設定未完了表示部390は、無線式表示端末30へネットワーク構成情報の設定が未完了である旨表示する機能を有する。
【0046】
図3は、ネットワーク構成情報を設定する装置として、管理装置10の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
図3に示すように、管理装置10は、機能的には、ネットワーク構成情報記憶部110と、ネットワーク構成情報設定開始要求受信部120と、固有ID重複確認部130と、正式IPアドレス割り当て部140と、ネットワーク構成情報書換え指示送信部150と、正式IPアドレス記憶部160を備えている。
【0047】
ネットワーク構成情報記憶部110には、ネットワークシステム1を運用する際に利用される無線アクセスポイント20の運用時無線接続情報530と、初期状態の無線式表示端末30にネットワーク構成情報を設定する際に利用される管理装置の初期IPアドレス520が記憶される。
【0048】
ネットワーク構成情報設定開始要求受信部120は、無線式表示端末30から送信されるネットワーク構成情報設定開始要求を受信して、固有ID重複確認部130を起動する機能を有する。
【0049】
固有ID重複確認部130は、無線式表示端末30より受信したネットワーク構成情報設定開始要求に含まれる固有IDを確認し、その固有IDが、既に正式IPアドレス記憶部160に登録されている固有IDと重複していない場合、正式IPアドレス割り当て部140を起動する機能を有する。
【0050】
正式IPアドレス割り当て部140は、無線式表示端末30に正式IPアドレス540を割り当て、ネットワーク構成情報書換え指示送信部150を起動する機能を有する。
【0051】
ネットワーク構成情報書換え指示送信部150は、ネットワーク構成情報書換え指示を無線式表示端末30に送信し、正式IPアドレス記憶部160を起動する機能を有する。ネットワーク構成情報書換え指示には、ネットワーク構成情報記憶部110から読み出したネットワークシステム1を運用する際に利用される無線アクセスポイント20の運用時無線接続情報530と正式IPアドレス540とが含まれている。
【0052】
正式IPアドレス記憶部160は、それぞれの無線式表示端末30に割り当てた正式IPアドレス540と固有IDを関連付けて記憶する機能を有する。
【0053】
図4は、ネットワークシステム1に複数の無線式表示端末30を並行して設定する場合の、ネットワークシステム1の各機器の処理内容を説明するために示したフローチャートである。
図5はネットワークシステム1に無線式表示端末30を新たに追加する際の各機器のネットワーク構成情報を示し、
図6はネットワークシステム1を運用する際の各機器のネットワーク構成情報を示す。以下、
図4〜
図6を参照して、本発明の実施形態に係るネットワークシステム1に複数の無線式表示端末30を並行して設定する場合の処理内容について説明する。
【0054】
複数の無線式表示端末30は、製造時、初期ネットワーク構成情報がネットワーク構成情報記憶部330に格納される。初期ネットワーク構成情報は、初期状態の無線式表示端末30にネットワーク構成情報を設定する際に利用される初期無線接続情報510及び管理装置10の初期IPアドレス520である。
図5に示すように、初期無線接続情報510及び初期IPアドレス520は複数の無線式表示端末30に共通して決められている。
【0055】
初期無線接続情報510は、初期状態の無線式表示端末30にネットワーク構成情報を設定する際に利用される無線アクセスポイント20のSSID及び暗号鍵を含む。初期IPアドレス520は、リンクローカルアドレスに設定されている。
【0056】
複数の無線式表示端末30にネットワーク構成情報を設定する前に、管理装置10のIPアドレスを初期IPアドレス520に変更する(ステップS101)。加えて、無線アクセスポイント20の運用時無線接続情報530を管理装置10のネットワーク構成情報記憶部110に記憶させる(ステップS102)。その後、無線式表示端末30にネットワーク構成情報を設定するため管理装置10を登録モードに設定する(ステップS103)。一方、無線アクセスポイント20の無線接続情報を初期無線接続情報510に変更する(ステップS201)。
【0057】
無線式表示端末30を所定の操作方法で電源投入すると、電源投入検知部310は、所定の操作方法によって電源投入されたことを検知し、仮IPアドレス生成部320を起動する(ステップS301)。仮IPアドレス生成部320は、仮IPアドレスを生成し、ネットワーク構成情報設定開始要求送信部340を起動する(ステップS302)。
【0058】
ここで、仮IPアドレスは、複数の無線式表示端末30と管理装置10との間のそれぞれの通信を並行して行うため、互いに重複しないように設定する必要がある。そのため、本実施形態に係るネットワークシステム1では、それぞれの無線式表示端末装置30に固有なMACアドレスを利用して仮IPアドレスを生成する。具体的には、
図5に示すように、上2桁を固有のアドレスとし、下2桁をMACアドレスの下2桁に基づいて設定されるリンクローカルアドレスとしている。
【0059】
ネットワーク構成情報設定開始要求送信部340は、ネットワーク構成情報記憶部330に格納された初期IPアドレス520を読み出し、仮IPアドレスとMACアドレスと固有IDを含んだネットワーク構成情報設定開始要求を、初期IPアドレス520に設定された管理装置10に送信する(ステップS303)。この通信は、ネットワーク構成情報記憶部330に格納された初期無線接続情報510を利用した無線通信であり、初期IPアドレス520によって送信先を管理装置10に特定したユニキャストで行われる。
【0060】
無線アクセスポイント20は、複数の無線式表示端末30によって無線通信されるネットワーク構成情報設定開始要求を管理装置10へ中継する(ステップS202)。なお、ステップS201において、無線アクセスポイント20は、初期無線接続情報510に変更されて、初期状態の無線式表示端末30と無線接続情報を共有しているので、複数の無線式表示端末30と無線通信可能になっている。
【0061】
管理装置10は、ネットワーク構成情報設定開始要求受信部120が、ネットワーク構成情報開始要求を受信した場合、固有ID重複確認部130を起動する(ステップS104)。固有ID重複確認部130は、ネットワーク構成設定開始要求に含まれる固有IDが、既に正式IPアドレス記憶部160に登録されている固有IDと重複していないかを確認し、固有IDが重複していない場合に、正式IPアドレス割り当て部140を起動する(ステップS105)。
【0062】
正式IPアドレス割り当て部140は、複数の無線式表示端末30に正式IPアドレス540を割り当て、ネットワーク構成情報書換え指示送信部150を起動する(ステップS106)。
【0063】
ステップS105において、固有IDが重複している場合には、既に登録されている正式IPアドレスを正式IPアドレス記憶部160から読み出し、ネットワーク構成情報書き換え指示送信部150を起動する(ステップS109)。
【0064】
ネットワーク構成情報書換え指示送信部150は、ネットワーク構成情報記憶部110から読み出した運用時無線接続情報530と正式IPアドレス540を含んだネットワーク構成情報書換え指示を、無線アクセスポイント20を介して、無線式表示端末30に返信し、正式IPアドレス記憶部160を起動する(ステップS107)。この通信は、ネットワーク構成情報設定開始要求に含まれる仮IPアドレスによって送信先を特定の無線式表示端末30に特定したユニキャストで行われる。
【0065】
正式IPアドレス記憶部160は、それぞれの無線式表示端末30に割り当てられた正式IPアドレス540と固有IDを関連付けて記憶する(ステップS108)。
【0066】
無線アクセスポイント20は、管理装置10によって送信されるネットワーク構成情報書換え指示を、それぞれの無線式表示端末30へ無線中継する(ステップS203)。
【0067】
無線式表示端末30は、ネットワーク構成情報書換え指示受信部350によってネットワーク構成情報書換え指示を受信した場合、ネットワーク構成情報書換え部360を起動する(ステップS304)。ネットワーク構成情報書換え部360は、ネットワーク構成情報書換え指示に含まれる正式IPアドレス540と運用時無線接続情報530を自端末のネットワーク構成情報に書換え、ネットワーク構成情報設定完了表示部370を起動する(ステップS305)。
【0068】
ネットワーク構成情報設定完了表示部370は、無線式表示端末30へのネットワーク構成情報の設定が完了した旨を表示する。本実施形態に係る無線式表示端末30では、その表示部に正式IPアドレス540を表示する。これによって、無線式表示端末30へのネットワーク構成情報の設定が完了したことを判別できると共に、設定された正式IPアドレス540を確認できる。
【0069】
なお、仮IPアドレスは、それぞれの無線式表示端末30に固有なMACアドレスを利用して決定されているが、万が一仮IPアドレスが重複した場合には、先に管理装置10に受信されたネットワーク構成情報設定開始要求を送信した無線式表示端末30への処理が優先される。
【0070】
正式IPアドレス540を割り当てられなかった無線式表示端末30は、ネットワーク構成情報書換え指示を受信することはない。この場合、無線式表示端末30は、所定の操作で電源投入されてから所定の時間が経過したことを所定時間経過判定部380によって判定して、ネットワーク構成情報設定未完了表示部390を起動する(ステップS307)。ネットワーク構成情報設定未完了表示部390は、無線式表示端末30へのネットワーク構成情報の設定が完了しなかった旨を表示する(ステップS308)。
【0071】
ネットワーク構成情報の設定が完了しなかった無線式表示端末30にネットワーク構成情報を設定するためには、管理装置10を登録モードに設定し直し、所定の操作方法で無線式表示端末30を再度電源投入する。この操作によって、ネットワーク構成情報の設定を完了させることができる。これによって、ネットワークシステム1を運用する際に必要な、ネットワーク構成情報が、無線式表示端末30と、管理装置10と、に設定される。
【0072】
最後に、管理装置10のIPアドレス及びアクセスポイント20の無線接続情報を、ネットワーク1を運用する場合の運用時IPアドレス550及び運用時無線接続情報530に戻し、ネットワークシステム1を再起動する。ネットワークシステム1を再起動することによって、無線式表示端末30に設定したネットワーク構成情報が有効となる。その結果、無線式表示端末30は、無線アクセスポイント20を介して、管理装置10によってその表示内容が管理可能になる。
【0073】
以上説明した、本発明の実施形態に係るネットワークシステム1、及びネットワークシステム1における無線式表示端末30にネットワーク構成情報を設定する方法によれば、無線式表示端末30にネットワーク構成情報を設定する際に、無線アクセスポイント20の無線接続情報を初期無線接続情報510に設定することによって、初期状態の無線式表示端末30及び無線アクセスポイント20の無線接続設定が同一となる。これによって、初期状態の無線式表示端末30と無線アクセスポイント20との間の無線通信を簡便に確立できる。
【0074】
また、管理装置10のIPアドレスを初期IPアドレス520に設定することによって、初期状態の無線式表示端末30は、初期IPアドレス520によって管理装置10を特定して通信できる。さらに、初期状態の無線式表示端末30は、所定の操作方法で電源投入されることを契機として、自端末に固有な仮IPアドレス生成する。これによって、管理装置10は、仮IPアドレスによって無線式表示端末30を特定して、通信できる。
【0075】
この結果、初期状態の無線式表示端末30は、所定の操作方法で電源投入することによって、無線アクセスポイント20を介して管理装置10と通信可能となる。さらに、無線式表示端末30は、ネットワーク構成情報書換え指示を管理装置10から受信し、ネットワーク構成情報書き換え指示にしたがい、ネットワーク構成情報を自動的に設定することができる。したがって、無線式表示端末30のネットワーク構成情報の設定を確実に実行することができる。
【0076】
また、複数の無線式表示端末30に対してネットワーク構成情報の設定が並行して行われるので、多数の無線式表示端末30へのネットワーク構成情報の設定作業を短時間に終えることができる。
【0077】
しかも、無線式表示端末30と管理装置10との間のLAN通信を互いにIPアドレスにより送信先を特定したユニキャストで実行できるので、無線式表示端末30は他の無線式表示端末30と管理装置10との間で通信される不要なパケットを受信することが無い。この結果、複数の無線式表示端末30にネットワーク構成情報を並行して設定する場合でも、他の無線式表示端末30が発信する不要なパケットを受信して判断するのに要する電気の消費を防止できる。したがって、複数の無線式表示端末30にネットワーク構成情報を並行して設定する際の無線式表示端末30の電気消費を低減できる。
【0078】
したがって、本発明の実施形態に係るネットワークシステム1、及びネットワークシステム1における無線式表示端末30にネットワーク構成情報を設定する方法によれば、複数の無線式表示端末30にネットワーク構成情報を簡便な手法で自動的に並行して設定できるので、設定に要する手間と時間を低減できると共に、手作業による入力ミスを防止することができる。さらに、複数の無線式表示端末30にネットワーク構成情報を並行して設定するにあたって、各無線式表示端末30の電気消費量を低減できる。
【0079】
さらに、管理装置10は、複数の無線式表示端末30の正式IPアドレス540と固有IDとを関連付けて記憶している。これによって、無線式表示端末30の無線LAN接続用デバイスが交換されたためにMACアドレスが変更となった場合でも、無線式表示端末30の固有IDに関連付けられたIPアドレスは変わらない。つまり、無線式表示端末30のMACアドレスが変更となった場合でも、無線式表示端末30のIPアドレスを変更することなく無線式表示端末30と管理装置10との間のLAN通信を継続できる。したがって、無線式表示端末30の無線LAN接続用デバイスが交換された場合でも、ネットワーク構成情報の再設定するために要する手間と時間が不要になる。
【0080】
仮IPアドレスは無線式表示端末30に固有のMACアドレスを利用して生成される。このため、複数の無線式表示端末によって生成される仮IPアドレスが相互に重複する可能性は極めて低い。また、無線式表示端末30の仮IPアドレス及び管理装置10の初期IPアドレス520は、共にリンクローカルアドレスとして設定されている。
【0081】
ここで、リンクローカルアドレスは、DHCPによるIPアドレスの割り当ての際に、自動的にIPアドレスを割り当てられなかった際に使用される、ネットワーク内でのみ通信可能なIPアドレスであり、通常のネットワークにおいては使用されることはない。したがって、ネットワーク1内に既に他の機器が存在したとしても、他の機器のIPアドレスと、仮IPアドレス及び初期IPアドレスとが、重複する可能性は極めて低い。
【0082】
このため、複数の無線式表示端末30にネットワーク構成情報を設定する際に行われる複数の無線式表示端末30と管理装置10の間のLAN通信を容易に構築できる。
【0083】
本発明の実施形態に係る無線式表示端末30によれば、電源投入検知部310によって無線式表示端末30が所定の操作方法により電源投入されたことを検知して、仮IPアドレス生成部320によって仮IPアドレスを生成する。次いで、初期無線接続情報510を共有する無線アクセスポイント20を介して、ネットワーク構成情報記憶部330に格納された初期IPアドレス520宛に、ネットワーク構成情報設定開始要求送信部340によってネットワーク構成情報設定開始要求を送信する。続いて、初期IPアドレス520に設定された管理装置10から返信されるネットワーク構成情報書換え指示にしたがい、ネットワーク構成情報を書換えることができる。
【0084】
したがって、初期状態の無線式表示端末30は、所定の操作方法により電源投入されると、自動的に無線アクセスポイント20を介して管理装置10と通信を行い、管理装置10から返信されるネットワーク構成情報書換え指示にしたがい、自端末のネットワーク構成情報を自動的に設定できる。
【0085】
本発明の実施形態に係る管理装置10によれば、無線式表示端末30から送信されるネットワーク構成情報設定開始要求の到来を待って、正式IPアドレス割り当て部140によって正式IPアドレス540を無線式表示端末30に割り当て、ネットワーク構成情報記憶部110から読み出したアクセスポイント20の運用時無線接続情報530と無線式表示端末30に割り当てた正式IPアドレス540とを含んだネットワーク構成情報書換え指示を、ネットワーク構成情報書換え指示送信部150によって、無線式表示端末30に送信できる。したがって、管理装置10は、無線式表示端末30からネットワーク構成情報設定開始要求を受信した場合、ネットワーク構成情報を含んだネットワーク構成情報の書換え指示を自動的に無線式表示端末30に送信できる。
【0086】
本発明の実施形態に係るプログラムは、上記のネットワーク構成情報を設定する方法において、管理装置10又は無線式表示端末30を、管理装置10及び無線式表示端末30の少なくとも一方が行う、無線式表示端末30にネットワーク構成情報を設定する手段として、機能させるプログラムである。
【0087】
本発明の実施形態に係る、プログラムによれば、このプログラムが管理装置10又は無線式表示端末30が備えるコンピュータに読み取られて実行されることにより、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0088】
なお、本発明は以上の実施形態に示すものに限らず、特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。