(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開き扉を開けると、開き扉に付設した扉側部材のロックピンの先端部が、床面に固定した床側部材に有する上り勾配の傾斜部を経て床側部材のロック穴に自重又は弾発力により嵌り込み、開き扉を開位置に止めて保持する戸当りであって、
床側部材は、ロックピンの先端部が納まるロック穴を形成し、該ロック穴から傾斜部を横切る方向にガイド溝を凹設する一方、
扉側部材は、開き扉に固定し、ロックピンを、その先端部がガイド溝を通過できない第1回転位置と通過できる第2回転位置との間を回転可能に収納するガイドケースと、このロックピンの向きを第1回転位置から第2回転位置に切り換える切換手段を備え、
ロックピンは、先端部の形状を、第1回転位置にあるときガイド溝と対向する側面の幅サイズがガイド溝の幅より大きく、第2回転位置にあるときガイド溝と対向する端面の幅サイズがガイド溝の幅より小さい異形に形成してなることを特徴とする、戸当り。
前記ロック穴は、前記ロックピンの先端部が納まる深さ方向下段の位置決め凹部と、ロックピンの先端部が回転する上段の逃げ凹部とで形成し、該逃げ凹部には、前記先端部を嵌め込んだ前記ロックピンが前記第2回転位置の向きにあるとき、その先端部の一側の前記端面と対向する穴壁に、前記開き扉の開閉方向に勾配になった傾斜面の回転誘導面を形成する一方、
ロックピンは、その先端部の一側の端面に回転誘導面と傾斜角度の異なるテーパ部を設け、そのテーパ部が回転誘導面に当たると、先端部の前記側面が前記ガイド溝と対向する前記第1回転位置に向けて回転してなることを特徴とする、請求項1に記載の戸当り。
前記切換手段は、操作部材を押し下げ操作して前記ロックピンの向きを前記第1回転位置から前記第2回転位置に切り換えてなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の戸当り。
前記切換手段は、操作部材を回転操作して前記ロックピンの向きを前記第1回転位置から前記第2回転位置に切り換えてなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の戸当り。
前記ロック穴は、前記逃げ凹部と前記位置決め凹部とを該位置決め凹部からは上り勾配の規制斜面からなる段差を介して連設し、位置決め凹部を、前記ロックピンの先端部の形状に応じて凹形状に穿設してなることを特徴とする、請求項3に記載の戸当り。
前記ロックピンは、その先端部の一側の前記端面と反対側の端面に、前記ロック穴と前記ガイド溝との間に有する角縁に係止する外れ止め凹部を設けてなることを特徴とする、請求項3又は6に記載の戸当り。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述した従来の戸当りは、床側のストッパ装置Mにおいて、ストッパ板2を繰り返し起伏させるうちに、ヒンジ部1aに塵や屑やワックス等の異物が詰まり、詰まった異物がストッパ板2の回転の妨げになって磁力ではストッパ板2を吸い上げることができなくなることがあり、そのため、開き扉5を開位置に確実に止めて保持することができないという課題があった。また、場合によっては、ストッパ板2が途中で止まって起立したままになり、その起立したストッパ板2に足などが引っ掛かって怪我をするなど、安全性にも欠けるという課題があった。そこで、開き扉側に備える磁石を大型で強磁性のものに取り替えて対処することも考えられるが、磁石は比較的高価であるため、それではコストが著しく高くなるという課題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、開き扉を開位置に確実に止めて保持する安全性に富んだ安価な戸当りを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、開き扉Dを開けると、開き扉Dに付設した扉側部材Bのロックピン35の先端部35aが、床面fに固定した床側部材Aに有する上り勾配の傾斜部21を経て床側部材Aのロック穴20に自重又は弾発力により嵌り込み、開き扉Dを開位置に止めて保持する戸当りであって、床側部材Aは、ロックピン35の先端部35aが納まるロック穴20を形成し、該ロック穴20から傾斜部21を横切る方向にガイド溝25を設ける一方、扉側部材Bは、開き扉Dに固定し、ロックピン35を、その先端部35aがガイド溝25を通過できない第1回転位置と通過できる第2回転位置との間を回転可能に収納するガイドケース30と、このロックピン35の向きを第1回転位置から第2回転位置に切り換える切換手段55を備え、ロックピン35は、先端部35aの形状を、第1回転位置にあるときガイド溝25と対向する側面tの幅サイズがガイド溝25の幅dより大きく、第2回転位置にあるときガイド溝25と対向する端面rの幅サイズがガイド溝25の幅dより小さい異形に形成してなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の戸当りにおいて、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、前記扉側部材Bは、常時は前記ロックピン35を回転付勢して第1回転位置に止めて保持する第2付勢ばね45のような回転付勢ばねを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の戸当りにおいて、たとえば以下に示す実施の形態のとおり、前記ロック穴20は、前記ロックピン35の先端部35aが納まる深さ方向下段の位置決め凹部20aと、ロックピン35の先端部35aが回転する上段の逃げ凹部20bとで形成し、該逃げ凹部20bには、前記先端部35aを嵌め込んだ前記ロックピン35が前記第2回転位置の向きにあるとき、その先端部35aの一側の前記端面r1と対向する穴壁に、前記開き扉Dの開閉方向X・Yに勾配になった傾斜面の回転誘導面59を形成する一方、ロックピン35は、その先端部35aの一側の端面r1に回転誘導面59と傾斜角度の異なるテーパ部85を設け、そのテーパ部85が回転誘導面59に当たると、先端部35aの前記側面tが前記ガイド溝25と対向する前記第1回転位置に向けて回転してなることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の戸当りにおいて、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、前記切換手段55は、操作ボタン50のような操作部材を押し下げ操作して前記ロックピン35の向きを前記第1回転位置から前記第2回転位置に切り換えてなることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の戸当りにおいて、たとえば以下に示す実施の形態のとおり、前記切換手段55は、操作部材を回転操作して前記ロックピン35の向きを前記第1回転位置から前記第2回転位置に切り換えてなることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、
請求項3に記載の戸当りにおいて、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、前記ロック穴20は、前記逃げ凹部20bと前記位置決め凹部20aとを該位置決め凹部20aからは上り勾配の規制斜面20cからなる段差を介して連設し、前記位置決め凹部20aを、前記ロックピン35の先端部35aの形状に応じて凹形状に穿設してなることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明によれば、
請求項3又は6に記載の戸当りにおいて、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、前記ロックピン35は、その先端部35aの一側の前記端面r1と反対側の端面r2に、前記ロック穴20と前記ガイド25溝との間に有する角縁68に係止する外れ止め凹部67を設けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、床側の床側部材に塵や屑やワックス等の異物が詰まると障害となる可動物は備えず、しかも、床側部材側の可動物を開き扉側の磁石を利用して作動させて開き扉を開位置に磁気的にロックするものではないため、開き扉を開位置に確実に止めて保持することができ、従って、床側部材側の可動物に足などが引っ掛かって怪我をするなど安全性に欠けることがなく、しかも、比較的高価な磁石が不要なのでコストも著しく低減することができる。
【0015】
加えて、請求項1に係る発明によれば、ロックピンの先端部をロック穴に嵌め込み、開位置に止めて保持した開き扉を閉めるために保持状態を解除する場合は、切換手段を働かせて、ロックピンを、床側部材のガイド溝の溝幅より幅サイズが大きい先端部の側面がガイド溝と対向する第1回転位置から、ガイド溝の溝幅より幅サイズが小さい先端部の端面がガイド溝と対向する第2回転位置に回転してロックピンを第2回転位置に向けた状態で、開き扉を閉方向に回動すれば、先端部をガイド溝に通して擦り抜けさせてロック穴から外すことができ、そのように簡単な操作により開き扉を開位置に保持した状態を解除することができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、ロックピンを常時回転付勢して第1回転位置に保持する回転付勢ばねを備え、開き扉を閉じるために開位置に保持した状態を解除すれば、回転付勢ばねの付勢力によりロックピンは第2回転位置から元の第1回転位置に自動的に復帰する点において、それだけ操作性を向上させることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、ロック穴の逃げ凹部には、先端部を嵌めたロックピンが第2回転位置の向きにあるとき、その先端部の一側の端面と対向する穴壁に、開き扉の開閉方向に勾配になった傾斜面の回転誘導面を形成する一方、ロックピンは、先端部の一側の端面に回転誘導面と傾斜角度の異なるテーパ部を設け、そのテーパ部が回転誘導面に当たると、先端部の側面がガイド溝と対向する第1回転位置に向けて自動的に回転する構成とし、例えば回転付勢ばねを用いてロックピンを第1回転位置に回転付勢して保持する構成ではないので、開き扉を閉じるために開位置に保持した状態を解除するときに、他方で、わざわざロックピンがばね付勢力により元の第1回転位置に戻らないように押えながら操作する必要がなく、その点において、より操作性を上げることができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、操作部材を押し下げ操作するだけでロックピンの向きを第1回転位置から第2回転位置に簡単に切り換えることができる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、操作部材を回転操作するだけでロックピンの向きを第1回転位置から第2回転位置に簡単に切り換えることができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、床側部材のロック穴を、ロックピンの先端部の形状に応じて凹形状をなす深さ方向上段の逃げ凹部と下段の位置決め凹部とを位置決め凹部からは上り勾配の規制斜面からなる段差を介して連設した凹形状にするから、ロックピンは、先端部がロック穴に入ると、上段の逃げ凹部から下り勾配の規制斜面を下って下段の位置決め凹部内にスムーズに納まる一方、位置決め凹部からは上り勾配となる規制斜面の段差に囲まれて納まることにより、開き扉をガタ付かせずに開位置に止めて保持することができる。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、ロックピンは、テーパ部がロック穴の回転誘導面に当ったときに、その反動でガイド溝側へ弾むことがあっても、先端部の一側の端面と反対側の端面に有する外れ止め凹部が、ロック穴とガイド溝との間に有する角縁に係止し、これにより、回転誘導面に突き当った弾みでロック穴から外れるのを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
図1に本発明の一例である戸当りの構造を示し、
図2には本発明の戸当りを適用した扉構造体を開き扉全開状態で示す。扉構造体は、床Fと、矩形に開口部Sを開けた壁Wと、左右の縦枠10a・10bと上枠10cからなる矩形な扉枠10と、一側の縦枠10bに吊元側を上下のピボットヒンジ11a・11bで連結して回動可能に吊り込んだ開き扉Dとで構成されている。
【0025】
図示扉構造体において、本発明の戸当りは、床F側に設置する床側部材Aと、開き扉D側に付設する扉側部材Bとで構成する。
【0026】
床側部材Aは、
図3、
図4および
図5に示すように、扁平な円盤状の受座15と、受座15の化粧カバー16と、消音パッド17を備える。
【0027】
受座15は、樹脂製で、取付台部15aと、取付台部15aより一段肉厚な扇形のガイド部15bとからなる。取付台部15aは、位置決め用丸穴13や複数のねじ穴14を穿設した内周部分と、外周縁から内周部分に向け上り勾配となった環状の外周部分とからなる。ガイド部15bは、扇形の要寄りに矩形凹状に穿設したロック穴20を設けると共に、座外縁15cから上り勾配の傾斜部21を設け、傾斜部21にロック穴20から横切る方向に溝幅dのガイド溝25を形成する。
【0028】
ロック穴20は、深さ方向下段の位置決め凹部20aと、上段のガイド溝25側の逃げ凹部20bとを、位置決め凹部20aからは上り勾配の規制斜面20cからなる段差を介して連設した凹み形状になっている。下段の位置決め凹部20aは、後述するロックピン35の先端部35aの横断面形状に合わせて凹形状に穿設する。ガイド溝25は、底面をロック穴20の逃げ凹部20bの底面と面一に形成し、この底面にパッド取付穴22を凹設する。
【0029】
化粧カバー16は、樹脂製カバーで、受座15の取付台部15aに嵌着できるように、取付台部15aの表面形状に対応させて外周縁が勾配になった扁平な形状に成形し、
図3に示すように、取付台部15aに被せる内面側の中心に位置決め凸部16aを突設する。消音パッド17は、ゴム等の弾性材料によりエ型に成形し、パッド取付穴22に嵌め込む。
【0030】
そこで、床側部材Aは、
図1に示すように、開き扉Dが全開状態にあるとき扉側部材Bの真下となる床面f上の位置に受座15のロック穴20を合わせると共に、ガイド溝25を扉側部材Bの回動軌跡上に合わせて、
図4(B)に示すように、床面fに受座15をねじ止めする。それから、受座15の位置決め用丸穴13に位置決め凸部16aを係合させて化粧カバー16を取付台部15aに嵌着することにより、戸当りの床側部材Aを組み立てて床面f上に設置する。従って、床側部材Aのねじ止め箇所を化粧カバー16で覆うことによって戸当りを含む扉周りの見栄えが悪化するのを抑え、また、外周縁が床面fに連なる緩やかな勾配になって床側部材A全体が床面fから出っ張らず、歩行や掃除の邪魔にならないように平面的に床Fに設置することができる。
【0031】
一方、扉側部材Bは、
図6、
図7および
図8に示すように、開き扉Dに取付ピース29を用いて取り付けるガイドケース30と、ガイドケース30に入れ子式に重ねて直線移動可能且つ軸線方向に回転可能に嵌入するロックピン35と、ロックピン35を付勢する圧縮コイルばねの第1付勢ばね40およびねじりコイルばねの第2付勢ばね45と、ロックピン35を押し下げ操作する操作ボタン(操作部材)50と、ロックピン35の回転位置を切り換える切換手段55を備えた構成になっている。
【0032】
ガイドケース30は、樹脂製で、長さ方向にガイド穴22が円筒状に貫通するトンネル形の本体筒部23と、本体筒部23の背面に沿って設ける取付凹部24からなる。本体筒部23は、下端内周にロックピン35の抜止めリブ23aを環状に凸設する一方(
図1参照)、下端外周に雌ねじ穴79を螺設し、上端外周に複数のガイド凸部23bを設ける。ガイド穴22には、内周面にばね掛けリブ22aを深さ方向に形成する。取付凹部24には、ゲート24aで仕切った下側に矩形縦長な取付溝26を形成する一方、上側にカム連結部27を設ける。取付溝26は、向い合う溝側壁に凸条のガイドレール26aを長さ方向に形成する。カム連結部27には、細長いカム連結リブ27aをゲート24aと平行な横向きに凸設する。ゲート24aには、取付ピース29の係合穴28が開いている。取付ピース29は、取付溝26に合わせて細長矩形状に形成し、厚さ方向にねじ挿通穴を設ける一方、両側部にガイドレール26aが係合する案内溝29bを凹設し、図中上端に係合凸部29aを突設する。なお、取付ピース29には、片側側部の下端にねじ受け凹部29cを形成している。
【0033】
ロックピン35は、樹脂製で、内部に押え棒36を挿入する筒穴32を穿設し、
図1でも示すように、床側部材Aのロック穴20に係合する図中最も下段の先端部35aと、押え棒36を受け入れる円筒状の中段部35bと、中段部35bより一段太径な円筒状の基端連結部35cとからなる。先端部35aは、円筒状の中段部35bおよび基端連結部35cの円筒状に対して中実の異形な厚板状に形成し、側面tでの幅サイズが中段部35bの外径と同一で床側部材Aのガイド溝25の溝幅dより大きく、端面rでの幅サイズ(厚さ)がガイド溝25の溝幅dより小さい厚板状に成形してなる。基端連結部35cは、ガイドケース30のガイド穴22内を挿通可能に中段部35bより外径を一段大きくして段付きに形成し、中段部35bとの間において、内周側にばね受け段部34を設ける一方、外周側に抜け止め段部37を設ける。更に、基端連結部35cは、
図6および
図7に示すように、外周面に、その一部を薄肉にして段付きとした断面円弧状の連結凹部33を形成する一方、連結凹部33と隣接する筒穴32の穴縁から断面円弧状の連結凸部31を突設する。
【0034】
操作ボタン50は、樹脂製で、
図8でも示すように、ガイドケース30の上端の頭部に冠着できる大きさの同じドーム形に成形し、下部側と背面部側を開放したキャップ状をなす押下部38と、押下部38内にあって上部側の押え板38aから高さ方向下向きに円筒状に突設した位置決め部39と、位置決め部39の内周で押え板38aから高さ方向下向きに同心的に突設した取付筒部50a(
図1参照)とからなる。押下部38には、向い合う側板部の高さ方向にガイドケース30のガイド凸部23bと対応する複数の細長いガイド凹溝38bを設ける一方、押え板38aの端縁には切欠き凹部19を設ける。位置決め部39は、図中下側の先端を1つ1つが山形の鋸歯で形成している。
【0035】
切換手段55は、
図6、
図7および
図8に示すように、全体に略椅子形をなす固定カム60と、可動側の上部カム65および下部カム70を備える。固定カム60は、樹脂製で、円筒カム部60aと、円筒カム部60aの図中上端に設ける座部60bと、座部60bを挟んだ上側に円筒状に突設したストッパ部60cと、座部60bの一端に背もたれ状に直角に立設した矩形板状の表示板60dと、下向きに延びる取付片60eとを一体に成形してなる。円筒カム部60aは、座部60b側から高さ方向下向きに細長い案内溝41を設ける一方、案内溝41と反対側の側縁に回転止め部42を形成する。座部60bは、円筒カム部60aと連通する挿通穴43を設け、内周縁には、ガイドケース30の頭部が係止する段付きの係止リブ44を、ガイドケース30に合わせて周縁にU形に形成する。ストッパ部60cは、操作ボタン50の位置決め部39が嵌合可能な筒径を有している。図示例の表示板60dは、開き扉Dのロック状態を表示する表示板で、開き扉Dの色彩が例えば薄く淡い場合は濃い黒色で形成するなど、開き扉Dに対してコントラストがはっきりした色彩を付すことが望ましい。取付片60eには、ガイドケース30側のカム連結リブ27aに対応させて、カム連結リブ27aが係合可能な横に細長い連結細穴48を設ける。
【0036】
可動側の上部カム65は、樹脂製で、中心にねじ挿通穴の貫通した取付筒部47の図中下側外周に本体カム部46を重ねて一体に成形してなる。本体カム部46は、上端外周に操作ボタン50の位置決め部39に対応して、先端の1つ1つが山形の鋸歯からなる位置決め部46aを形成し、下端外周には、固定カム60の案内溝41に対応する縦長なガイドリブ46bを凸設すると共に、ガイドリブ46bと隣接する外周面を一部薄肉にして突当て段部46cを形成する。加えて、上部カム65は、下端縁にカム凸部65aを円弧爪状に突設している。カム凸部65aは、湾曲した端縁が傾斜カム面mになっている。
【0037】
下部カム70は、樹脂製で、円弧板状の本体カム部51と、本体カム部51の内壁面53の中段位置に突設した円板状のばね受台52を一体に成形する。本体カム部51は、図中下側半分にロックピン35側の連結凹部33の幅に合わせて嵌め合わせ板部51aを形成する一方、図中上側半分のカム板部51bには、その片側側縁に上部カム65の突当て段部46dに対応する回転規制凸部66を設ける一方、他側側縁の上端に回転止め部77を上向きに突設する。カム板部51bには、その内壁面53に上部カム65のカム凸部65aと対応するカム凸部70aを設ける。カム凸部70aの湾曲した端縁には、傾斜方向が上部カム65のカム凸部65aの傾斜カム面mと対称な傾斜カム面nが形成されている。ばね受台52には、上面中心にばね巻き凸部52aを立設すると共に、重ね合わせ板部51aとの間にロックピン35の連結凸部37を嵌め込む規制リブ52bを付設する。
【0038】
そこで、扉側部材Bは、第1付勢ばね40を巻装した押え棒36を、ロックピン35の筒穴32内に挿入し、連結凸部37を重ね合わせ板部51aと規制リブ52bの間に嵌め込み、連結凹部33に嵌め合わせ板部51aを差し込んで嵌め合わせ、重ね合わせ板部51aと規制リブ52bとの間に連結凸部37を嵌め込むことにより、ロックピン35に、ばね受台52との間に第1付勢ばね40を挟んで下部カム70を軸線回りに一体に回転可能に連結し、以って、下部組立体を組み立てる。
【0039】
他方、操作ボタン50は、位置決め部39を台座60b側から固定カム60の挿通穴43に嵌め込む一方、上部カム65は、取付筒部47を前向きに反対の円筒カム部60a側から固定カム60の挿通穴43に嵌め込み、円筒カム部60a内で位置決め部39・46aの鋸歯を噛み合わせて位置決めを行ってから、固定カム60の案内溝41に上部カム65のガイドリブ46bを係合し、表示部60dが操作ボタン50の背後に重なって立設した状態で、切欠き凹部19に表示部60dの上端を係着することにより、操作ボタン50を固定カム60に連結する。それから、取付筒部47内に連結ねじ69を挿入して連結筒部21にねじ込み、上部カム65と操作ボタン50を固定カム60に対しスライド移動可能に一体的に連結し、以って、上部組立体を組み立てる。
【0040】
次いで、扉側部材Bは、第2付勢ばね45をばね受台52のばね巻き凸部52aに巻装し、ばね一端を下部カム70の本体カム部51に掛け止めて、ガイドケース30のガイド穴22にロックピン35を、先端部35aが突出口22bから突出した状態で挿設してから、第2付勢ばね45のばね他端をガイド穴22内のばね掛けリブ22aに掛け止めて、下部組立体を軸線回りの一方向に回転付勢する一方、その付勢力に抗して下部カム70のカム凸部70aに上部カム65のカム凸部65aを、互いの傾斜カム面m・nを衝合させて係合することにより、下部組立体に上部組立体を連結する。そのとき、ガイドケース30のガイド凸部23bを操作ボタン50のガイド凹溝38bに係合して操作ボタン50をガイドケース30の頭部に被せ、カム連結リブ27aを連結細穴48に嵌め込んで固定カム60をガイドケース30に固定する。
【0041】
すると、扉側部材Bは、下部カム70の回転止め部77が固定カム60の回転止め部42に押し当たり、ロックピン35を、厚板状の先端部35aの側面tが固定カム60の表示板60dと略平行となる第1回転位置に止めて保持する。と同時に、扉側部材Bは、ロックピン35を、第1付勢ばね40により下部カム70・上部カム65・操作ボタン50と共に図中上方の軸線方向片側に付勢する一方、固定カム60の案内溝41に係合した上部カム65のガイドリブ46bが案内溝41の奥側溝縁に押し当たる上段位置に止めて保持し、
図9に示すように組み立ててなる。
【0042】
従って、扉側部材Bは、操作ボタン50を第1付勢ばね40に抗して押し込むと、
図10および
図13を参照して以下に説明するように、切換手段55が働いて、ロックピン35の向きを、先端部35aの長手な側面tが固定カム60の表示板60dに対して平行な向きになる第1回転位置から、先端部35aの短手な端面rが直交する向きになる第2回転位置に切り換えるようになっている。
【0043】
即ち、扉側部材Bは、ロックピン35を、第2付勢ばね45で付勢して第1回転位置に止めて保持した状態にあるとき、
図10(A)に示すように上段位置にある操作ボタン50を、
図10(B)に示すように、第1付勢ばね40に抗して押し下げると、切換手段55が始動し、ロックピン35を第2回転位置に回転して先端部35aの向きが90度切り換わるようになっている。
【0044】
そこで、ロックピン35の向きを第1回転位置から第2回転位置に切り換える場合は、操作ボタン50を、上段位置から、
図10(C)・
図13(B)に示すように、押え板38aが固定カム60のストッパ部60cに当たる下段位置までの、予め設定した所定ストロークだけ上部カム65を押し下げる。すると、上部カム65は、ガイドリブ46bが係合した固定カム60の案内溝41に沿って回転規制状態で下降する一方、回転規制状態の上部カム65に対し下部カム70が互いに湾曲した傾斜カム面m・nに沿って摺接しながら、軸線回り他方向に回転する。そして、ロックピン35は、下部カム70の回転規制凸部66が上部カム65の突当て段部46cに当たる、予め設定した所定回転角度まで第2付勢ばね45に抗して回転し、即ち、先端部35aの端面rが固定カム60の表示板60dに対して直交する向きになる第2回転位置まで略90度回転する。
【0045】
反対に、扉側部材Bは、操作ボタン50の押し下げを解除すると、上部カム65はガイドリブ46bが係合した固定カム60の案内溝41に沿って回転規制状態で上昇する一方、第2付勢ばね45の回転付勢力が働き、下部カム70が回転規制状態の上部カム65に対し互いに湾曲した傾斜カム面m・nに沿って摺接しながら軸線回り一方向に自動的に回転する。そして、ロックピン35は、下部カム70の回転止め部77が固定カム60の回転止め部42に押し当たり、先端部35aが固定カム60の表示板60dと平行となる元の第1回転位置に止めて保持する構成になっている。
【0046】
そこで、扉側部材Bは、
図2に示すように、開き扉Dを全開したとき、ロックピン35が床側部材Aのロック穴20の真上に位置する開き扉Dの下部戸先側に、
図6および
図7に示す取付ピース29を用いて取り付ける。取付時、取付ピース29は、係合凸部29aを上側に向けて開き扉Dの下部戸先側にねじ止めする。扉側部材Bは、ガイドケース30の取付溝26のガイドレール26aを取付ピース29の係合溝29bに係合して取付溝26に取付ピース29を差し込み、係合凸部29aをゲート24aの係合穴28に嵌め込んで取付ピース29に連結する。それから、扉側部材Bは、芋ねじ80を雌ねじ穴79にねじ込んで取付ピース29のねじ受け凹部29cに押し込むことにより、取付ピース29を介して開き扉Dに固定する。
【0047】
さて、本発明の戸当りにおいて、開き扉Dを全開した開位置に止めて保持する場合、扉側部材Bは、
図11(A)に示すように、開き扉Dを開方向に回動してロックピン35が床側部材Aの上り勾配になった傾斜部21に至っても、そのまま開き扉Dを押し開く。すると、
図11(B)に示すように、ロックピン35が第1付勢ばね40に抗して押し上がって傾斜部21を上昇してから、
図11(C)に示すように登り切ってロック穴20に至ると、第1付勢ばね40の下向きの弾発力により、
図12(D)に示すようにロックピン35は押し下げられて先端部35aがロック穴20の逃げ凹部20bに落ち込む。それから、ロックピン35は、先端部35aが下り勾配になる規制斜面20cを下って、
図12(E)に示すように、ロック穴20の位置決め凹部20aに、第1付勢ばね40のばね性で押えた状態で嵌り込むことにより、開き扉Dを開位置に止めて保持する。
【0048】
本発明の戸当りでは、扉側部材Bのロックピン35が床側部材Aの傾斜部21を上昇するとき、ロックピン35は、ガイド溝25の溝幅dより幅サイズが大きい先端部35aの側面tがガイド溝25と対向する第1回転位置に保持するから、その先端部35aがガイド溝25を跨いで傾斜面21を上昇してロック穴20の逃げ凹部20bに落ち込む。そのとき、ロックピン35は、先端部35aが逃げ凹部20bの底面に嵌め込んだ消音パッド17の上に落ち込むため、その都度、煩わしい衝突音の発生を抑えることができる。
【0049】
本発明の戸当りでは、ロック穴20を、ロックピン35の先端部35aの横断面形状に合わせた凹形状をなす深さ方向上段の逃げ凹部20bと下段の位置決め凹部20aとを位置決め凹部20aからは上り勾配の規制斜面20cからなる段差を介して連設した凹形状に形成し、そのロック穴20の位置決め凹部20aにロックピン35の先端部35aを嵌め込むことにより、開き扉Dをガタ付かせずに開位置に止めて保持することができる。
【0050】
しかも、本発明の戸当りでは、開位置に止めた開き扉Dに突風等の強い外力が閉方向に向けて加わったりしても、そのとき、ロックピン35は、ロック穴20の下段の位置決め凹部20aから、
図12(F)に示すように、第1付勢ばね40に抗して若干押し上がって上り勾配の規制斜面20cを上昇し、上段の逃げ凹部20bに乗り上がると、穴壁で抜け止めしてロックし、開き扉Dをそのまま開位置に確実に止めて保持することができる。
【0051】
次に、本発明の戸当りにおいて、
図1に示すように、ロックピン35の先端部35aをロック穴20の位置決め凹部20aに嵌め込んで開位置に保持した開き扉Dを、閉めるために保持状態を解除する場合は、まず、開き扉Dを閉方向に回動し、
図13(A)に示すように、ロックピン35の先端部35aを、ロック穴20の位置決め凹部20aから上段の逃げ凹部20bに乗り上げてから、操作ボタン50を、
図13(B)に示すように、押え板38aが固定カム60のストッパ部60cに当たる下段位置まで第1付勢ばね40に抗して押し下げて切換手段55を始動させる。操作ボタン50を押し下げると、切換手段55の上部カム65が、ガイドリブ46bの係合した固定カム60の案内溝41に沿って回転規制状態で下降し、上部カム65が下降するに従い、下部カム70が第2付勢ばね45に抗して互いに係合した傾斜カム面m・nに沿って回転する。すると、ロックピン35は、ロック穴20の逃げ凹部20bにおいて、ガイド溝25の溝幅dより幅サイズが大きい先端部35aの側面tがガイド溝25と対向する第1回転位置から、ガイド溝25の溝幅dより幅サイズが小さい先端部35aの端面rがガイド溝25と対向する第2回転位置に回転する。
【0052】
すると、本発明の戸当りでは、そのまま、操作ボタン50を下段位置に押し下げ、第2付勢ばね45に抗してロックピン35を第2回転位置に向けた状態で、
図13(C)に示すように、開き扉Dを閉方向に回動してロックピン35の先端部35aをガイド溝25に通して、
図13(D)に示すように擦り抜けさせてロック穴20から外すことにより、簡単に開き扉Dの開位置での保持状態を解除することがでる。
【0053】
次いで、開位置に保持状態にあるロックピン35の保持状態を解除した後に、操作ボタン50の押し下げを解くと、切換手段55の上部カム65がガイドリブ46bが係合した固定カム60の案内溝41に沿って回転規制状態で上昇し、上部カム65の上昇に従い、下部カム70が互いに係合した傾斜カム面m・nに沿って第2付勢ばね45の回転付勢力により一方向に回転し、ロックピン35は、第2回転位置から、先端部35aの側面tがガイド溝25と対向する元の第1回転位置に自動的に復帰する。
【0054】
従って、本発明の戸当りによれば、以上のように操作ボタン50を押す簡単な操作で、開き扉Dを開位置に保持したり、その保持状態を解除したりすることができる。
【0055】
ところで、本発明の以上に示した第1の実施形態では、ロックピン35を常時回転付勢して第1回転位置に保持する第2付勢ばね(回転付勢ばね)45を備え、開き扉Dを閉じるとき、操作ボタン50を押し下げて開き扉Dを開位置に保持した状態を解除してから、その押し下げを解くと、回転付勢ばね45の付勢力によりロックピン35が第2回転位置から元の第1回転位置に自動復帰する点において、それだけ操作性が向上する構成になっている。反面、第1の実施形態では、開き扉Dを開位置に保持した状態を解除するとき、操作ボタン50を下段位置に押し下げた後も、ロックピン35の先端部35aを床側部材Aのガイド溝25を擦り抜けてロック穴20から外れるまでの間、第2付勢ばね45の回転付勢力によりロックピン35が回って元の第1回転位置に戻らないように操作ボタン50を押し続ける操作が必要になる。
【0056】
そこで、本発明の戸当りは、上述した第1の実施形態に代え、例えば以下に示す第2の実施形態のように構成し、開き扉Dを閉じるとき、ロックピン35が元の第1回転位置に戻らないように操作ボタン50を押し続けなくても、開き扉Dを開位置に保持した状態をより簡単な操作で解除することができる。
【0057】
そのため、第2の実施形態の戸当りでは、床側部材Aにおいて、
図16、
図17および
図18に示すようにロック穴20を構成する。
【0058】
ロック穴20は、深さ方向下段の位置決め凹部20aを、上段の逃げ凹部20bの内側に重ねて凹設し、位置決め凹部20aから上り勾配の平面視で略D形の規制斜面20cからなる段差を介して連設した凹み形状にする。しかも、下段の位置決め凹部20aは、D形規制斜面20cの直線部分56がガイド溝25の幅方向と平行に向いて、且つ逃げ凹部20bのガイド溝25から離れた奥側に位置するように凹設する。
【0059】
逃げ凹部20bは、ガイド溝25の内部開口25aと対向する側の穴壁を、ガイド溝25の長さ方向に勾配になった傾斜面で形成し、全体に平面視が台形状に凹設する。即ち、逃げ凹部20bは、ロックピン35が先端部35aを嵌め込んだ第2回転位置にあるときに、先端部35の一側の端面r1と対向する側の穴壁に、開き扉Dの開閉方向X・Yに勾配の傾斜面からなる回転誘導面59を形成して平面視が台形状に凹設する。
【0060】
一方、扉側部材Bは、
図19、
図20、
図21および
図22に示すように、開き扉Dに取付ピース29を用いて取り付けるガイドケース30と、ガイドケース30に入れ子式に重ねて直線移動可能且つ軸線方向に回転可能に嵌入するロックピン35と、ロックピン35を付勢する圧縮コイルばねの付勢ばね58と、ロックピン35を押し下げ操作する操作ボタン(操作部材)50と、ロックピン35の回転位置を切り換える切換手段55を備える。
【0061】
ロックピン35は、
図15でも示すように、最も下段の先端部35aが、側面tでの幅サイズが中段部35bの外径と略同一で床側部材Aのガイド溝25の溝幅dより大きく、端面r1・r2での幅サイズがガイド溝25の溝幅dより小さい厚板状をなし、特に、一側の端面r1にそれがロック穴25の回転誘導面59に突き当たると、回転する向きに傾斜したテーパ部85を形成する。そのため、テーパ部85は、ロック穴20の回転誘導面59のように、ガイド溝25の長さ方向、即ち、開き扉Dの開閉方向X・Yに勾配になった斜面により形成するが、その斜面の傾斜角度を回転誘導面59とは異なる楔状に形成する。しかも、ロックピン35は、先端部35aの一側の端面r1と反対側の端面r2に、ガイド溝25の内部開口25aに有する角縁68の形状に対応して、V状に切り欠いた外れ止め凹部67を設ける。
【0062】
そこで、扉側部材Bは、付勢ばね58を巻装した押え棒36を、ロックピン35の筒穴32内に挿入し、連結凸部37を重ね合わせ板部51aと規制リブ52aの間に嵌め込み、連結凹部33に重ね合わせ板部51aを差し込んで嵌め合わせ、重ね合わせ板部51aと規制リブ52aとの間に連結凸部37を嵌め込んで、ロックピン35に、ばね受台52との間に付勢ばね58を挟んで下部カム70を一体に回転可能に連結し、以って、下部組立体を組み立てる。
【0063】
他方、操作ボタン50は、位置決め部39を台座60b側から固定カム60の挿通穴43に嵌め込む一方、上部カム65は、取付筒部47を前向きに反対の円筒カム部60a側から固定カム60の挿通穴43に嵌め込み、円筒カム部60a内で位置決め部39・46aの鋸歯を噛み合わせて、固定カム60の案内溝41に上部カム65のガイドリブ46bを上下一直線上に合わせてから、切欠き凹部19に表示部60dの上端を係着して操作ボタン50を固定カム60に連結する。それから、上部カム65と操作ボタン50を固定カム60に対しスライド移動可能に一体的に連結し、以って、上部組立体を組み立てる。
【0064】
次いで、扉側部材Bは、下部カム70のカム凸部70aに上部カム65のカム凸部65aを、互いの傾斜カム面m・nを衝合させて係合し、下部組立体に上部組立体を連結する。そのとき、ガイドケース30のガイド凸部23bを操作ボタン50のガイド凹溝38bに係合させて操作ボタン50をガイドケース30の頭部に被せ、カム連結リブ27aを連結細穴48に嵌め込んで固定カム60をガイドケース30に固定し、
図22に示すように組み立てる。そして、扉側部材Bは、開き扉Dを全開したとき、ロックピン35が床側部材Aのロック穴20の真上に位置する開き扉Dの下部戸先側に、取付ピース29を用いて取り付ける。
【0065】
そこで、扉側部材Bは、
図23(A)・(B)および
図27(B)・(B´)に示すように、操作ボタン50を押し下げると、切換手段55が働き、ロックピン35を、先端部35aの長手な側面tが固定カム60の表示板60dに沿った横向きになる第1回転位置から、先端部35aの端面r2が直交した縦向きになる第2回転位置に回転し、先端部35aの向きが切り換わる。即ち、ロックピン35の向きを第1回転位置から第2回転位置に切り換える場合は、操作ボタン50を、上段位置から押え板38aが固定カム60のストッパ部60cに当たる下段位置までの、予め設定した所定ストロークだけ押し込んで上部カム65を押し下げる。すると、下降する上部カム65に対し下部カム70が互いに湾曲した傾斜カム面m・nに沿って摺接しながら、軸線回りに回転する。そして、ロックピン35は、下部カム70の回転規制凸部66が上部カム65の突当て段部46cに当たる、予め設定した所定回転角度まで回転し、即ち、先端部35aの端面r2が固定カム60の表示板60dに対して直交する縦向きになる第2回転位置まで回転する。
【0066】
さて、第2の実施形態の戸当りにおいて、開き扉Dを開位置に止めて保持する場合、扉側部材Bは、
図24(A)・(A´)に示すように、開き扉Dを開方向Xに回動し、第2回転位置の向きにあるロックピン35が床側部材Aの上り勾配になった傾斜部21に至ると、
図24(B)・(B´)に示すように、先端部35aがガイド溝25を擦り抜けてから、ロック穴20に至ると、
図24(C)・(C´)に示すように、そのまま直進してテーパ部85の先端が位置決め凹部20aを越えて、
図25(A)に示すように回転誘導面59に突き当たる。すると、ロックピン35は、テーパ部85が開き扉Dの開閉方向X・Yに勾配になった同じ傾斜面でも、その傾斜角度が回転誘導面59と異なるから、
図25(B)および
図26(A)・(A´)に示すように上段の逃げ凹部20bの上で回転してテーパ部85が回転誘導面59に当ってから、
図15(A)・(B)に示すように押し戻され、先端部35aの側面tがガイド溝25と対向する第1回転位置に自動的に向きが変わる。すると、ロックピン35は、先端部35aが逃げ凹部20bからは下り勾配の規制斜面20cを下って下段の位置決め凹部20a内に納まり、位置決め凹部20aからは上り勾配のD形の規制斜面20cに囲まれ、これにより、開き扉Dを開位置に止めてガタ付かないように保持される。
【0067】
なお、第2の実施形態の戸当りにおいて、ロックピン35は、テーパ部85の一側の端面r1がロック穴20の回転誘導面59に当ったときに、押し戻される反動で入口のガイド溝25側へ弾むことがあっても、
図26(B)・(B´)に示すように、先端部35aの端面r1と反対側の端面r2に有する外れ止め凹部67が、ガイド溝25の内部開口25aに有する角縁68に係止し、これにより、回転誘導面59に突き当った弾みでロック穴20から外れるのを防止する。
【0068】
次に、第2の実施形態の戸当りでは、
図15(A)・(B)および
図27(A)・(A´)に示すように、ロックピン35の先端部35aを、ロック穴20の位置決め凹部20aに嵌め込んで開位置に保持した開き扉Dを、閉めるために保持状態を解除するときは、
図27(B)・(B´)に示すように、操作ボタン50を、押え板38aが固定カム60のストッパ部60cに当たる下段位置まで押し下げて切換手段55を始動する。即ち、操作ボタン50を押し下げると、切換手段55の上部カム65が、ガイドリブ46bの係合した固定カム60の案内溝41に沿って回転規制状態で下降する一方、下部カム70が互いに係合した傾斜カム面m・nに沿って回転する。すると、ロックピン35は、ロック穴20の位置決め凹部20aにおいて、先端部35aの側面tがガイド溝25側に向いた第1回転位置から、先端部35aの端面r2がガイド溝25と対向する第2回転位置に回転する。
【0069】
しかる後、開き扉Dを閉方向Yに回動すれば、第2回転位置にあるロックピン35の先端部35aが、
図27(C)・(C´)に示すように床側部材Aのガイド溝25を通って擦り抜け、
図27(D)・(D´)に示すように、ロックピン35をロック穴20から外すことにより、開位置に止めて保持した開き扉Dの保持状態が解除される。
【0070】
上述のように第2の実施形態の戸当りでは、ロック穴20の逃げ凹部20bには、ロックピン35の先端部35の一側の端面r1と対向する側の穴壁に、開き扉Dの開閉方向X・Yに勾配になった傾斜面の回転誘導面59を形成する一方、ロックピン35は、先端部35aの一側の端面r1に回転誘導面59と傾斜角度の異なるテーパ部66を設け、そのテーパ部66が回転誘導面59に突き当たると、ガイド溝25の溝幅dより幅サイズが大きい先端部35aの側面tがガイド溝25と対向する第1回転位置の向きに自動的に回転する構成とし、第1の実施形態のように第2付勢ばね(回転付勢ばね)45により常時回転付勢してロックピン35を先端部35aがガイド溝25を通過できない第1回転位置に保持するのではないから、開き扉Dを閉めるために開位置に保持した状態を解除するときに、操作ボタン50を一度だけ押し下げ操作すれば足り、わざわざロックピン35がばね付勢力により元の第1回転位置に戻らないように操作ボタン50をそのまま押し続けなくてもよく、その点において、より操作性を上げることができる。
【0071】
第2の実施形態の戸当りにおいて、そのように開き扉Dを閉めるために、ロックピン35で開位置に保持した状態を解除した後は、通常、互いに係合した切換手段55の上部カム65と下部カム70の傾斜カム面m・nの摩擦抵抗により、そのまま先端部35aがガイド溝25を通過する第2回転位置の向きに保持される。
【0072】
また、通常、開き扉Dを閉めた後に、再び開けた開位置に止めて保持するときも、その都度、ロックピン35は、先端部35aがガイド溝25を擦り抜けて第2回転位置に向いているから、
図24(A)・(A´)に示すように、そのまま開き扉Dを開方向Xに回動すれば、
図24(B)・(B´)に示すように、先端部35aがガイド溝25を通過し、
図24(C)・(C´)に示すようにロック穴20の逃げ凹部20aに嵌り込んでから、位置決め凹部20aに納まってロック状態で保持される。
【0073】
ところが、そのように開き扉Dを閉めた後に再び開けて開位置に保持するときに、ロックピン35が、床側部材Aのガイド溝25に至るまでに、先端部35aに掃除機等が衝突するなど、外力を受けて摩擦に抗してズレ動き、
図28(A)・(A´)に示すように、先端部35aがガイド溝25を通過できない横向きの状態で、ロックピン35が床側部材Aの上り勾配になった傾斜部21に至ることがある。しかし、第2の実施形態の戸当りは、ロックピン35が、そのように先端部35aがガイド溝25を通過できない横向きの状態にあっても、そのまま開き扉Dを押し開くと、
図28(B)・(B´)に示すように、ロックピン35が付勢ばね58に抗して押し上がり、ガイド溝25を跨いで傾斜部21を上昇し、
図28(C)・(C´)に示すように登り切ってロック穴20に至ると、ロックピン35は、先端部35aが付勢ばね58の弾発力により、
図28(D)・(D´)に示すようにロック穴20に落ち込み、下り勾配の規制斜面20cを下って第1回転位置のまま位置決め凹部20b内に納まりロック状態で保持される。
【0074】
ところで、以上の実施形態において、切換手段55は、操作ボタン50を押し下げ操作してロックピン35の向きを第1回転位置から第2回転位置に切り換えたが、本発明では、押し下げ操作による場合に限らず、例えば操作部材を回転操作してロックピンを第1回転位置から第2回転位置に切り換える構成にすることもできる。