特許第6078404号(P6078404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078404
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】包装装置及び包装用プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/10 20060101AFI20170130BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20170130BHJP
   B65B 57/12 20060101ALI20170130BHJP
   B65B 65/08 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B65B57/10 C
   B65B57/00 H
   B65B57/12
   B65B65/08
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-77618(P2013-77618)
(22)【出願日】2013年4月3日
(65)【公開番号】特開2014-201326(P2014-201326A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000129057
【氏名又は名称】株式会社カナエ
(73)【特許権者】
【識別番号】000141370
【氏名又は名称】株式会社岩黒製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】福井 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】岩黒 正孝
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−107707(JP,U)
【文献】 特開平11−255217(JP,A)
【文献】 実開平02−111605(JP,U)
【文献】 特開平10−160552(JP,A)
【文献】 特開2004−294856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/00−57/20
B65B 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒状物を、規定された数量の粒状物からなる供給群ごとに供給する粒状物供給部と、
前記粒状物を前記供給群ごとに包装して複数の包装体を形成する包装部と、
前記各包装体を搬送する搬送部と、
前記各包装体の重量を搬送順に検出する重量検出部と、
搬送順が連続する二つの包装体のうち、先行する包装体の重量と後続の包装体の重量との重量差を求める重量差導出部と、
前記重量差の絶対値が前記粒状物2個以上の数量差に関係づけられた重量差の絶対値を超えていることを条件として、前記先行する包装体及び前記後続の包装体を、包装体の搬送経路から排除する排除部と、を有する包装装置。
【請求項2】
規定された数量の粒状物からなる供給群ごとに供給される、複数の粒状物を前記供給群ごとに包装して複数の包装体を形成する包装部と、
前記各包装体を搬送する搬送部と、
前記各包装体の重量を検出する重量検出部と、
規定外の包装体を搬送経路から排除する排除部と、を有する包装装置を制御するための包装用プログラムであって、
前記重量検出部による各包装体の重量の検出値を取得する重量取得ステップと、
搬送順が連続する二つの包装体のうち、先行する包装体の重量と後続の包装体の重量との重量差を求める重量差導出ステップと、
前記重量差の絶対値が前記粒状物2個以上の数量差に関係づけられた重量差の絶対値を超えている場合に、前記先行する包装体及び前記後続の包装体を前記規定外の包装体と判定する判定ステップと、を有する包装用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の粒状物を所定数ごとに包装して包装体を形成する包装装置、及び、包装装置を制御するための包装用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の粒状物(錠剤等)を所定数ごとに包装して包装体を形成する包装装置が存在する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
従来の包装装置では、複数の粒状物を所定数ごとに供給しており、この供給された粒状物を一供給ごとに包装して個々の包装体を形成していた。このように粒状物を所定数ごとに供給するため計数ロータが用いられている。この計数ロータは、表面に前記所定数に一致する数の計数穴を複数備えた円筒状体である。この複数の計数穴に粒状物が配置され、計数ロータの回転とともに、計数穴に配置されていた粒状物が落下する。これにより、計数ロータの下方に位置し、樹脂フィルム等で包装を行う包装部に所定数の粒状物が供給される。複数の計数穴に漏れなく粒状物が配置されていることは、カメラが計数穴を撮影することにより確認される。
【0004】
ところが、前記のように計数ロータから所定数の粒状物が供給されていても、計数ロータから包装部に至るまでの途中の経路で粒状物が引っ掛かってしまったり、一部の粒状物の落下が遅くなったりすることがあった。このような場合、引っ掛かりや落下の遅れの分、粒状物の数量が少ない包装体ができてしまう。ここで、引っ掛かった粒状物が経路中で引っ掛かったまま包装部に落下してこないことは非常に稀である。すなわち、後続の包装体を形成するために計数ロータから落下する粒状物に押し流されるようにして、前記経路中に引っ掛かっていた粒状物も遅れて包装部に落下してくることがほとんどである。このように粒状物が遅れて落下すると、後続の包装体において粒状物の数量が多くなる。
【0005】
このように従来の包装装置では、計数ロータから所定数の粒状物が供給されていても、包装された包装体の粒状物の数量にばらつきが生じることがあった。このため、粒状物が医薬品である場合等、各包装体における粒状体の数量の厳格な管理が要求される場合には改善の余地があった。
【0006】
この問題に対して、包装体の重量を測定し、この測定した包装体の重量と、所定数の粒状物が包装された包装体の重量(正規重量)との重量差により、数量が多いまたは少ない包装体を検出して、当該包装体を排除することが考えられる。
【0007】
しかしながら、この包装装置で包装される粒状物は、1個当たりの重量が例えば数十mgという小さい重量である場合がある。また、粒状物1個の重量にも数%のばらつきがあり、かつ、重量を測定する際の測定誤差もある。このため、例えば粒状物1個に相当する重量差で検出を行おうとすると、誤検出(誤排除)が多発してしまうためスムーズに包装を行うことができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−253990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、誤検出(誤排除)を抑えつつ、数量が多いまたは少ない包装体を検出して排除できる包装装置及び包装用プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の発明者は、先行する包装体で粒状物の数量が少なくなった場合、後続の包装体ではほぼ例外なく粒状物の数量が多くなることに着目することで本発明に至った。
【0011】
つまり本発明は、複数の粒状物を、規定された数量の粒状物からなる供給群ごとに供給する粒状物供給部と、前記粒状物を前記供給群ごとに包装して複数の包装体を形成する包装部と、前記各包装体を搬送する搬送部と、前記各包装体の重量を搬送順に検出する重量検出部と、搬送順が連続する二つの包装体のうち、先行する包装体の重量と後続の包装体の重量との重量差を求める重量差導出部と、前記重量差の絶対値が前記粒状物2個以上の数量差に関係づけられた重量差の絶対値を超えていることを条件として、前記先行する包装体及び前記後続の包装体を、包装体の搬送経路から排除する排除部と、を有する包装装置である。
【0012】
また本発明は、規定された数量の粒状物からなる供給群ごとに供給される、複数の粒状物を前記供給群ごとに包装して複数の包装体を形成する包装部と、前記各包装体を搬送する搬送部と、前記各包装体の重量を検出する重量検出部と、規定外の包装体を搬送経路から排除する排除部と、を有する包装装置を制御するための包装用プログラムであって、前記重量検出部による各包装体の重量の検出値を取得する重量取得ステップと、搬送順が連続する二つの包装体のうち、先行する包装体の重量と後続の包装体の重量との重量差を求める重量差導出ステップと、前記重量差の絶対値が前記粒状物2個以上の数量差に関係づけられた重量差の絶対値を超えている場合に、前記先行する包装体及び前記後続の包装体を前記規定外の包装体と判定する判定ステップと、を有する包装用プログラムである。
【0013】
前記各構成によれば、搬送順が連続する二つの包装体のうち、先行する包装体の重量と後続の包装体の重量との重量差を求め、この求められた重量差の絶対値が粒状物2個以上の数量差に関係づけられた重量差の絶対値を超えている場合に、前記先行する包装体及び前記後続の包装体を、包装体の搬送経路から排除できる。このため、粒状物2個以上の数量差に関係づけられた基準で排除の判定をできるため、従来の測定した包装体の重量と正規重量との重量差で検出する場合(つまり、粒状物1個に相当する重量差で検出する場合)に比べ、検出精度を緩めることができる。よって、誤検出(誤排除)を抑えつつ、数量が多いまたは少ない包装体を検出して排除できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、粒状物2個以上の数量差に関係づけられた基準で排除の判定をできるので、従来よりも検出精度を緩めることができる。このため、誤検出(誤排除)を抑えつつ、数量が多いまたは少ない包装体を検出して排除できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る包装装置のうち、粒状物供給部及び包装部を示す概略図である。
図2】同包装装置のうち、搬送部及び重量判定部を示す概略図である。
図3】同包装装置の構成を示すブロック図である。
図4】同包装装置の包装フローを示すフロー図である。
図5】排除対象の包装体の決定に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明につき、一実施形態を取り上げて説明を行う。図1は本実施形態の包装装置のうち、粒状物供給部及び包装部を示す概略図である。図2は、同包装装置のうち、搬送部及び重量判定部を示す概略図である。図3はブロック図であり、図4はフロー図である。
【0017】
本実施形態の包装装置1は、粒状物の一例である錠剤Tに対してスティック包装やピロー包装等の包装を行うもので、錠剤Tの通る経路に沿い、粒状物供給部2、包装部3、搬送部4、重量判定部5、排除部6を備えている。なお、本実施形態の包装対象である錠剤Tの1個当たりの重量は36mgであり、1個当たりの重量のばらつきは5%と規定されている。
【0018】
粒状物供給部2では、複数の錠剤T〜Tを所定数(包装装置1にてあらかじめ規定された数量)からなる供給群ごとに包装部3へと供給する。この粒状物供給部2は、ホッパ21、導き部22、計数ロータ23、ガイド部24、シュート25、カメラ部26を備える。
【0019】
ホッパ21には複数の錠剤T〜Tを一時的に貯留しておくことができる。このホッパ21は円筒状である計数ロータ23の軸方向に沿って位置している。そして、このホッパ21は下方で寸法が絞られており、下端に開口部211を備えている。この開口部211から錠剤T〜Tが下方に落下する。
【0020】
導き部22は、ホッパ21の開口部211から下方に落下した錠剤T〜Tを計数ロータ23に導く部分である。この導き部22は底板221を備える。この底板221は、ホッパ21の開口部211の下方の位置から計数ロータ23の径方向外方の位置に至るまで、計数ロータ23の軸方向に沿うように位置する板状体である。この底板221は、ホッパ21の開口部211の下方に近い側が高く、計数ロータ側が低くなるように傾斜している。このため、錠剤T〜Tは、この底板221に沿って計数ロータ23の外周面まで導かれる。この導き部22における計数ロータ側の端部は、計数ロータ23の外周面に対し、計数ロータ23の回転の支障にならず、かつ、錠剤Tの厚みよりも小さな隙間が保たれるように位置している。
【0021】
計数ロータ23は、外周面に、前記所定数に一致する数の有底の計数穴231が、軸方向及び周方向に複数配列された円筒状体である。この計数ロータ23の外周面には、前記所定数分の複数の計数穴231…231からなる計数穴群231Xが、周方向に間隔を置いて複数形成されている。図1では周方向に2列並んだ計数穴231…231からなる計数穴群231Xを示している。計数穴群231Xを構成する各計数穴231は、各錠剤Tが入り込んだ状態で計数ロータ23が回転することに支障がない程度の大きさに形成されている。この計数ロータ23は、包装作業中においては図1に矢印で示したように反時計回りに回転する。なお、この回転は連続回転であっても間欠回転であってもよい。また、ガイド部24は、計数ロータ23の径方向外方の位置に、計数ロータ23が回転することに支障しない程度の隙間をもって沿う、湾曲した板状体を備えた部分である。
【0022】
ホッパ21から落下して導き部22に存在する錠剤T〜Tは、計数ロータ23が回転するに伴い、一つの計数穴群231Xにおける複数の計数穴231…231全てに入り込む。そして、この状態で計数ロータ23が回転する。ガイド部24は計数ロータ23に沿っているため、この回転の際、錠剤T〜Tは落下せずに各計数穴231に保持される。計数ロータ23が更に回転し、ガイド部24の存在しない部分に計数穴群231Xが移動すると、当該計数穴群231Xの複数の計数穴231…231に配置されていた錠剤T〜Tはシュート25の内部へと落下する。
【0023】
シュート25は計数ロータ23の下方に位置する。このシュート25は上広がりの形状で、上端部が計数ロータ23の軸方向に沿って位置し、計数ロータ23の外周面に面するように開口している。そして同下端部は包装部3における一対のヒートローラ311,311の間の上方に開口している。これにより、前記計数ロータ23の回転によってシュート25に落下した前記各供給群の錠剤T〜Tは、包装部3に供給される。
【0024】
カメラ部26はカメラ261と照明部262を備える。図1に示すように、照明部262によって照らされた各計数穴231をカメラ261が撮影することにより、錠剤T〜Tが配置されていない計数穴231の有無を、カメラ部26に接続された図示しない判定部が確認できるよう構成されている。錠剤T〜Tが配置されていない計数穴231が無い場合には、前記各供給群の錠剤T〜T全てが計数穴群231Xを構成する複数の計数穴231…231全てに配置されているということである。
【0025】
前記のように構成された粒状物供給部2により、各供給群の錠剤T〜Tを、計数ロータ23の回転に伴い、順次(間欠的に)、包装部3へと供給できる。
【0026】
包装部3は、前記各供給群の錠剤T〜Tを粒状物供給部2による間欠的な供給ごとに、包材(樹脂フィルムF)で包装して包装体Pを形成する。この包装部3は、シール部31及びカット部32を備える。シール部31は一対のヒートローラ311,311からなり、シュート25の下方に、各ヒートローラ311が図示左右に並んで位置している。2枚の長尺な樹脂フィルムF,Fは、シール部31の図示左上方と右上方とから供給される。そして、各ヒートローラ311が加熱されることにより、樹脂フィルムFの幅方向両端部と長手方向とに間欠的にヒートシールが形成される。このヒートシールに囲まれるようにして錠剤T〜Tが配置される。なお、本実施形態では、二つのヒートローラ311,311の両方が加熱されるが、一方だけが加熱され、他方は樹脂フィルムFを支持するだけであってもよい。
【0027】
カット部32は例えば対向する関係にあるカット刃と受け部とを備える。このカット部32は、前記ヒートシールされた樹脂フィルムFを幅方向に切断する。これにより、個々の包装体Pが形成される。
【0028】
搬送部4は、図2に示すように、包装部3により形成された包装体Pを1包ごとに搬送する。本実施形態の搬送部4は、包装部3から落下した包装体Pを斜め上方に搬送する第1コンベア41、第1コンベア41の下流端に隣接する支持台42、支持台42上にて包装体Pを水平方向に搬送するための第2コンベア43を備える。第1コンベア41及び第2コンベア43としてはアタッチコンベアが用いられている。このアタッチコンベアは、搬送面から外方に突出した棒状のアタッチ部4aが搬送面と共に移動することにより、このアタッチ部4aに各包装体Pを引掛けて搬送できる。
【0029】
重量判定部5は、重量検出部51、重量差導出部52を備える。更に、重量差導出部52は記憶部521、判定部522を備える。
【0030】
重量検出部51は、各包装体Pの重量を搬送順に検出するもので、本実施形態では重量センサーが用いられている。重量差導出部52は、重量検出部51の検出値を基に、搬送順が連続する二つの包装体P,Pのうち先行する包装体Pの重量と後続の包装体Pの重量との重量差を求める。具体的には、まず、記憶部521が搬送順に各包装体Pの重量検出値を記憶しておく。そして、判定部522が連続する二つの包装体P,Pにつき、記憶部521を参照して重量差を算出する。
【0031】
排除部6は、前記重量差の絶対値が錠剤Tの2個の数量差に関係づけられた重量差の絶対値を超えている場合に、前記先行する包装体P及び後続の包装体P(規定外の包装体P,P)を組で搬送経路から排除する。なお、包装工程の最初に包装された包装体Pは、先行する包装体Pが存在しないため、前記のように重量差を求めることができない。このため、安全のために無条件に排除されるよう設定されている。包装工程の最後に包装された包装体Pについても同様である(後続の包装体Pが存在しないため)。
【0032】
この排除部6は排除実施部61を備える。排除実施部61としては、アーム、シリンダー等の物理的接触による排除手段、落下により排除を行う排除手段、エアノズル等の間接的な付勢による排除手段が例示できるが、その他種々の手段を採用できる。本実施形態の排除実施部61は、図2に破線で示したように支持台42に設けられた落下穴である。この落下穴は、第2コンベア43に面する部分に開閉可能な蓋部を備え(図示しない)、排除時にこの蓋部が開放される。なお、本実施形態では、前記のように錠剤Tの2個の数量差に関係づけられた重量差の絶対値を「超えている」場合に包装体Pの排除を行うが、錠剤T2個の数量差に関係づけられた重量差の絶対値「以上」の場合に包装体Pの排除を行ってもよい。
【0033】
ここで、前記「錠剤Tの2個分の数量差に関係づけられた重量差の絶対値」とは、本実施形態における錠剤Tの2個分の重量(72mg)を基準として、当該基準に一例として検出精度または誤検出の頻度に応じた数値を加減した絶対値である。この絶対値が排除の基準となる基準値である。本実施形態では、この基準値Δmを50mgと設定している。
【0034】
このように、粒状物2個以上の数量差に関係づけられた基準値で排除の判定をできるため、従来の測定した包装体の重量と正規重量との重量差で検出する場合(つまり、粒状物1個に相当する重量差で検出する場合)に比べ、検出精度を緩めることができる。よって、本実施形態では、誤検出(誤排除)を抑えつつ、数量が多いまたは少ない包装体を検出して排除できる。
【0035】
この基準値Δmの設定範囲(単位mg)は、36<Δm<120、好ましくは、36<Δm<72、更に好ましくは、36<Δm<60である。ちなみに下限値の36mgは、本実施形態の錠剤Tの1個当たりの重量に相当する。これより下限値を小さく設定すると、誤検出が増加することにより排除数が激増してしまうため好ましくない。また、上限値を前記設定を超えた大きい数値に設定すると、各包装体Pにおける錠剤T〜Tの数量についての厳格な管理の要求に応えることができなくなる可能性があるため好ましくない。
【0036】
次に、フロー図である図4を示しつつ、本実施形態の包装フローについて簡単に説明する。
【0037】
まず、複数の錠剤T〜Tが所定数(包装装置1にてあらかじめ規定された数量)からなる供給群ごとに供給される(粒状物供給ステップS1)。そして、前記錠剤T〜Tを前記供給群ごとに包装して複数の包装体Pを形成する(包装ステップS2)。次に、各包装体Pの重量を搬送順に検出する(重量検出ステップS3)。そして、前記検出した重量を基に、搬送順が連続する二つの包装体P,Pのうち先行する包装体Pの重量と後続の包装体Pの重量との重量差を求める(重量差導出ステップS4)。次に、前記重量差の絶対値が前記基準値Δmを超えていることを判定(該当判定)する(判定ステップS5)。そして、前記判定ステップS5で前記重量差の絶対値が前記基準値Δmを超えていると判定された場合に、前記先行する包装体P及び後続の包装体Pを搬送経路から排除する(排除ステップS6)。なお、前記判定ステップS5で前記重量差の絶対値が基準値Δmを超えていないと判定された場合にはそのまま搬送がなされる(ステップS7)。
【0038】
次に、包装体Pの排除につき、図5に具体例を示す。図5に記載された搬送順のうち1番目の包装体Pの重量は3579mg(80個在中)、2番目の包装体Pの重量は3540mg(79個在中)、3番目の包装体Pの重量は3620mg(81個在中)、4番目の包装体Pの重量は3578mg(80個在中)である。よって、1番目と2番目の重量差は−39mg、2番目と3番目の重量差は+80mg、3番目と4番目の重量差は−42mgである。よって、重量差の絶対値が基準値Δmの50mgを超えている2番目の包装体P及び3番目の包装体Pの組が搬送経路から排除される。これにより、80個の錠剤T〜Tが包装された包装体Pを搬送経路に残すことができる。よって、各包装体Pにおける錠剤T〜Tの数量(この例では80個)についての厳格な管理の要求に応えることができる。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0040】
例えば、前記実施形態は包装装置に関するものであるが、本発明の対象は装置(ハードウェア)そのものに限られず、制御プログラム(ソフトウェア)も含む。例えば、前記包装フロー(図4参照)を構成する各ステップを実現するように、既存装置を最小限改造した上で(重量検出に係る構成と制御に係る電気配線を対象とする改造)、当該改造後の既存装置の制御プログラム(ソフトウェア)を更新することで本発明を実施することもできる。
【0041】
この制御プログラムは、一例として、重量検出部51による各包装体Pの重量の検出値を取得する重量取得ステップと、搬送順が連続する二つの包装体P,Pのうち、先行する包装体Pの重量と後続の包装体Pの重量との重量差を求める重量差導出ステップ(図4に示した重量差導出ステップS4と同様)と、前記重量差の絶対値が前記粒状物2個以上の数量差に関係づけられた重量差の絶対値を超えている場合に、前記先行する包装体P及び前記後続の包装体Pを排除すべき規定外の包装体と判定する判定ステップ(図4に示した判定ステップS5と同様)と、を有する包装用プログラムが挙げられる。
【0042】
また、重量検出、重量差導出、排除を制御する主体は、本実施形態では、単一の制御部7が前記全ての機能を果たすように構成されているが、これに限らずそれぞれ別個の制御部であってもよい。
【0043】
また、前記カット部32のほか、各包装体Pにミシン目や、開封を補助するための切り込み等を形成するための装置を備えていてもよい。
【0044】
また、重量差導出部52における重量差の導出は、算出以外に限らず、テーブル参照によるもの等、種々のプロセスによってよい。
【0045】
また、粒状物としては、前記実施形態の錠剤に限られない。例えば、錠剤以外の剤形を有する粒状の医薬品(カプセル剤、顆粒等)、栄養剤、食品、調味料等の粒状物であってもよい(ただし、粉末状、液体状、ペースト状の物体を除く)。更には、人体等の生体に摂取される粒状体に限定されず、肥料、農薬、工業部品(ネジ等)、電子部品(LED等)、文具(クリップ等)であってもよい。すなわち、本発明における粒状物には、包装された数量が厳格に管理される種々の物が該当する。
【0046】
また、包装体を形成するための包材は、前記実施形態の樹脂フィルムに限られない。例えば、紙や網状体であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 包装装置
2 粒状物供給部
3 包装部
4 搬送部
5 重量判定部
51 重量検出部
52 重量差導出部
6 排除部
L 包装ライン
T 粒状物、錠剤
P 包装体
Δm 数量差に関係づけられた重量差、基準値
図1
図2
図3
図4
図5