(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物体の周囲を覆うと共に、複数の山部と、複数の谷部と、当該山部と当該谷部とを連結する連結部とを有し、当該複数の山部および当該複数の谷部の並び方向に伸縮自在なカバー部材であって、
前記山部は、当該山部の頂から前記物体側に凹んだ凹部を有し、
前記谷部は、当該谷部の底から前記物体側とは反対側に突出した凸部を有する
ことを特徴とするカバー部材。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る懸架装置100の概略構成を示す図である。
懸架装置100は、
図1に示すように、減衰装置(不図示)を内蔵するシリンダ10と、このシリンダ10内に収納されたピストン(不図示)を支持するピストンロッド20と、このピストンロッド20の外側に配置されたスプリング30と、を備えている。ピストンロッド20は、円筒状または円柱状の部材であり、円筒または円柱の中心線方向の一方の端部側にピストンが取り付けられ、中心線方向の他方の端部側にナット21が取り付けられている。以下、ピストンロッド20の円筒または円柱の中心線方向を、単に「中心線方向」と称す場合がある。また、中心線方向の一方の端部を「下端部」、中心線方向の他方の端部を「上端部」と称す場合がある。
【0009】
懸架装置100は、シリンダ10の外周に取り付けられてスプリング30の下端部を支持する下スプリングシート31と、ピストンロッド20の中心線方向の他方の端部側における外周に取り付けられてスプリング30の上端部を支持する上スプリングシート32とを備えている。スプリング30の下端部と下スプリングシート31との間には下シートラバー35が介在し、スプリング30の上端部と上スプリングシート32との間には上シートラバー36が介在している。
【0010】
懸架装置100は、シリンダ10の下部に設けられた車輪側取付部40を備えている。一方、上スプリングシート32には、この懸架装置100を車体に取り付けるためのボルト33が取り付けられている。
また、懸架装置100は、シリンダ10から飛び出しているピストンロッド20の外周に圧入されたバンプラバー41と、このバンプラバー41の外周部に配置されたバンプラバーカップ42と、を備えている。また、懸架装置100は、シリンダ10におけるピストンロッド20の摺動部に装着されたバンプストッパキャップ43を備えている。このバンプストッパキャップ43には、懸架装置100の最圧縮時にバンプラバー41が衝突するキャップ板43aが取り付けられている。
【0011】
また、懸架装置100は、上端部がバンプラバーカップ42の外周に装着されるとともに下端部が下スプリングシート31に装着され、この間のシリンダ10およびピストンロッド20の外周を覆うカバー部材の一例としてのダストカバー50を備えている。ダストカバー50の下端部は、下スプリングシート31に、例えば、締め付けリング(不図示)およびビスにて締結されている。
【0012】
また、懸架装置100は、ピストンロッド20の上端部側において上下方向に配置され、振動を吸収する複数(本実施形態においては2個)のマウントラバー61と、複数のマウントラバー61の内側に配置された円筒状のマウントカラー62と、複数のマウントラバー61を上下から挟む上座金63,下座金64と、を備えている。複数のマウントラバー61の内の上側のマウントラバー61は、上スプリングシート32にその上端から凹むように形成された凹みに挿入されている。下側のマウントラバー61は、上スプリングシート32の下方に配置されたマウントラバーカップ65により、その上端および外周が覆われている。
【0013】
図2(a)は、懸架装置100の圧縮状態を示す図であり、
図2(b)は、懸架装置100の伸張状態を示す図である。
以上のように構成された懸架装置100は、
図2(a)に示す圧縮状態および
図2(b)に示す伸張状態に変化し、スプリング30にて路面からの衝撃を吸収したりシリンダ10が内蔵する減衰装置にてスプリング30の伸縮振動を制振したりすることで、路面の凹凸を車体に伝えない緩衝装置としての機能と、車体を路面に対して押さえつける機能とを果たす。これにより、車両の乗り心地や操縦安定性が向上する。
【0014】
次に、ダストカバー50について詳述する。
図3は、ダストカバー50の概略構成を示す断面図である。
図4(a)は、
図3のIVa部の拡大図である。
図4(b)は、
図4(a)のIVb部の拡大図である。
図4(c)は、
図4(a)のIVc部の拡大図である。
ダストカバー50は、蛇腹状の部材であり、
図1、
図2に示すように、上端部がバンプラバーカップ42の外周を覆うとともに、下端部が下スプリングシート31に装着される。そして、ダストカバー50は、スプリング30と、シリンダ10およびピストンロッド20との間に配置され、シリンダ10およびピストンロッド20の外周を覆う。
【0015】
ダストカバー50は、中心線50a方向に交互に配置された、複数の山部51および複数の谷部52と、山部51と谷部52とを連結する連結部53と、を有する。
図3においては、複数の山部51および複数の谷部52を、中心線50aを含む平面で切断した場合の断面図を示しているが、山部51および谷部52は、全周に亘って形成されている。そして、ダストカバー50は、これら複数の山部51の並び方向および複数の谷部52の並び方向(中心線50aの方向)に伸縮自在である。また、ダストカバー50は、中心線50aに交差する方向に屈曲自在である。このダストカバー50が懸架装置100に装着された状態では、ダストカバー50の中心線50aがピストンロッド20の円筒または円柱の中心線と重なるように配置される。それゆえ、ダストカバー50の複数の山部51および複数の谷部52は、ピストンロッド20の円筒または円柱の中心線方向に並び、ダストカバー50は、この中心線方向に伸縮する(
図2参照)。
【0016】
山部51は、
図4(a)に示すように、この山部51の頂51a(隣り合う連結部53の外面(
図3の断面図では外形をなす線)を延長した場合にぶつかり合う部位)から内側(中心線50a側)に凹んだ凹部70と、凹部70と連結部53とを接続する接続部75と、を有している。
谷部52は、
図4(a)に示すように、この谷部52の底52a(隣り合う連結部53の内面(
図3の断面図では内形をなす線)を延長した場合にぶつかり合う部位)から外側(中心線50aとは反対側)に突出した凸部80と、凸部80と連結部53とを接続する接続部85と、を有している。
連結部53は、
図4(a)に示すように、直線状を呈する部位であり、その一方の端部53pが山部51の接続部75に接続し、他方の端部53qが谷部52の接続部85に接続することで、山部51と谷部52とを連結する。
そして、ダストカバー50は、
図4(a)に示した断面形状が周方向に全周に亘って形成されている。
【0017】
山部51の凹部70は、
図4(b)に示すように、中心線50aに平行な平面で切断した場合の断面形状がU字状であり、このU字の2つの側辺の先端部である縁部71と、このU字の底部72と、縁部71と底部72との間にある側部73と、を有している。接続部75は、
図4(b)に示すように、凹部70の外側と連結部53とを接続する。
縁部71は、
図4(b)に示すように、略半円状を呈する部位である。底部72は、中心角が略180度の円弧状を呈する部位である。言い換えれば、底部72は、半円周状を呈する部位である。側部73は、縁部71と底部72の一方の端部とを接続する略直線状の部位である。
接続部75は、縁部71、底部72および側部73における外側の部位と、連結部53とを接続する略直線状の部位である。なお、頂51aから、接続部75と連結部53との接続部、言い換えれば連結部53の一方の端部53pまでの長さは後述するLm0に設定されている。この接続部75と連結部53との接続部が、山部51と連結部53との境界である。
【0018】
谷部52の凸部80は、
図4(c)に示すように、中心線50aに平行な平面で切断した場合の断面形状が山形状(逆U字状)であり、この山形状の裾である裾部81と、この山形状の頂部82と、裾部81と頂部82との間にある側部83と、を有している。接続部85は、
図4(c)に示すように、凸部80の外側と連結部53とを接続する。
裾部81は、
図4(c)に示すように、略半円状を呈する部位である。頂部82は、中心角が略180度の円弧状を呈する部位である。言い換えれば、頂部82は、半円周状を呈する部位である。側部83は、裾部81と頂部82の一方の端部とを接続する略直線状の部位である。
接続部85は、裾部81、頂部82および側部83における外側の部位と、連結部53とを接続する略直線状の部位である。なお、底52aから、接続部85と連結部53との接続部、言い換えれば連結部53の他方の端部53qまでの長さは後述するLb0に設定されている。この接続部85と連結部53との接続部が、谷部52と連結部53との境界である。
【0019】
ダストカバー50の材料は、例えば、ゴムや布、弾性変形する合成樹脂(TPE)、ポリプロピレン(PP)とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とからなる合成樹脂であることを例示することができる。また、ダストカバー50を成形する手法としては、ブロー成形、インジェクション成形であることを例示することができる。
【0020】
図5は、本実施の形態に係るダストカバー50が最も縮んだ状態の部分断面図である。
本実施の形態に係るダストカバー50は、シリンダ10およびピストンロッド20の外周を覆うと共に、複数の山部51と、複数の谷部52と、当該山部51と当該谷部52とを連結する連結部53とを有し、当該複数の山部51および当該複数の谷部52の並び方向に伸縮自在なカバー部材であって、当該山部51は、当該山部51の頂51aからシリンダ10およびピストンロッド20側に凹んだ凹部70を有し、当該谷部52は、当該谷部52の底52aからシリンダ10およびピストンロッド20側とは反対側に突出した凸部80を有し、当該並び方向に縮んだ場合に、山部51の凹部70の開口部が拡がるように変形すると共に、谷部52の凸部80の裾が拡がるように変形する。
【0021】
そして、山部51の凹部70は、円弧状の底部72を有し、並び方向に縮んだ場合に、凹部70の底部72の曲率が小さくなるように変形する。また、谷部52の凸部80は、円弧状の頂部82を有し、並び方向に縮んだ場合に、凸部80の頂部82の曲率が小さくなるように変形する。そして、並び方向に縮む前には、山部51の両側の連結部53は、山部51側の部位同士の間隔が谷部52側の部位同士の間隔よりも小さく、並び方向に縮んだ場合には、山部51側の部位同士の間隔が谷部52側の部位同士の間隔よりも大きくなる。そして、並び方向に縮む前の状態および並び方向に縮んだ後の状態で、連結部53は直線状である。
【0022】
すなわち、ダストカバー50は、中心線50aの方向に圧縮されると、
図5に示すように、山部51の凹部70の底部72の曲率が小さくなるように変形し、縁部71同士の間隔が拡がるように変形する。そして、山部51の両側にある連結部53の他方の端部53q同士が近づくように変形する。つまり、ダストカバー50が中心線50aの方向に圧縮されると、山部51の凹部70の底部72の任意の部位には、
図5に示す力Foが作用する。そして、力Foを、中心線50aの方向の分力Foxと中心線50aの方向に直交する方向の分力Foyに分けると、山部51全体(全周)で見た場合には、中心線50aの方向の分力Foxは縁部71同士の間隔を拡げるように底部72に作用する。
【0023】
また、ダストカバー50は、中心線50aの方向に圧縮されると、
図5に示すように、谷部52の凸部80の頂部82の曲率が小さくなるように変形し、裾部81同士の間隔が拡がるように変形する。そして、谷部52の両側にある連結部53の一方の端部53p同士が近づくように変形する。つまり、ダストカバー50が中心線50aの方向に圧縮されると、谷部52の凸部80の頂部82の任意の部位には、
図5に示す力Fiが作用する。そして、力Fiを、中心線50aの方向の分力Fixと中心線50aの方向に直交する方向の分力Fiyに分けると、谷部52全体(全周)で見た場合には、中心線50aの方向の分力Fixは裾部81同士の間隔を拡げるように頂部82に作用する。
【0024】
すなわち、ダストカバー50は、複数の山部51および複数の谷部52の並び方向に縮んだ場合、山部51は、凹部70の一部を支点として、凹部70の形状に対して垂直方向の力を発生し、凹部70の開口部を拡げ、且つ、谷部52は、凸部80の一部を支点として、凸部80の形状に対して垂直方向の力を発生し、凸部80の裾を拡げる。
そして、並び方向(中心線50aの方向)に縮んだ場合に、山部51における並び方向の幅と、谷部52における並び方向の幅とが略同じになる。
【0025】
ダストカバー50が縮んで山部51の凹部70の底部72の曲率が小さくなるように変形した場合には、ダストカバー50には、底部72が元の曲率に戻ろうとする方向に力が作用する。つまり、山部51の両側にある連結部53の他方の端部53q同士が離れようとする方向に力が作用する。また、ダストカバー50が縮んで谷部52の凸部80の頂部82の曲率が小さくなるように変形した場合には、ダストカバー50には、頂部82が元の曲率に戻ろうとする方向に力が作用する。つまり、谷部52の両側にある連結部53の一方の端部53p同士が離れようとする方向に力が作用する。言い換えれば、山部51の両側にある連結部53の他方の端部53q同士が離れようとする方向に力が作用する。
【0026】
次に、第1、第2の比較例と比較しつつ、本実施形態に係るダストカバー50の利点について更に言及する。
まず、簡単に述べると、本実施形態に係るダストカバー50は、(A)半径方向大きさの低減に伴う剛性の向上(第1の比較例との比較)、(B)ダストカバーの山部、谷部の数の低減によるダストカバーの伸縮時の伸縮方向長さの低減(第2の比較例との比較)による、ダストカバーの胴曲がり防止の効果を有する。以下で、各々の効果について詳述する。
【0027】
(A)ダストカバー50の半径方向大きさの低減に伴う胴曲がり防止について
図6(a)は、第1の比較例に係るダストカバー150の拡大断面図である。
図6(b)は、本実施の形態に係るダストカバー50の拡大断面図である。
図7は、第1の比較例に係るダストカバー150が最も縮んだ状態を示す図である。
第1の比較例に係るダストカバー150は、(本実施の形態に係るダストカバー50と同様に、)複数の山部151、谷部152、連結部153を有している。しかし、第1の比較例に係るダストカバー150は、本実施の形態に係るダストカバー50と異なり、山部151において、頂151aから内側に凹んだ部位が形成されておらず、谷部152において、底152aから外側に突出した部位が形成されていない。
【0028】
なお、第1の比較例に係るダストカバー150は、本実施の形態に係るダストカバー50と、中心線150a,50aから頂151a,51aまでの距離Ro1,Ro0、中心線150a,50aから底152a,52aまでの距離Ri1,Ri0、連結部153,53の長さLr1,Lr0、頂151a,51aから山部151,51の端部までの距離Lm1,Lm0、および底152a,52aから谷部152,52の端部までの距離Lb1,Lb0を同じに設定している。
また、第1の比較例に係るダストカバー150は、本実施の形態に係るダストカバー50と、隣接する山部151間,山部51間の距離(頂151a間,頂51a間の距離Lo1,Lo0)、隣接する谷部152間,谷部52間の距離(底152a間,底52a間の距離Li1,Li0)、中心線150aに対する連結部153の傾きθr1,中心線50aに対する連結部53の傾きθr0を同じに設定している。
【0029】
本実施の形態に係るダストカバー50は、山部51,谷部52に、頂51aから内側に凹んだ凹部70,底52aから外側に突出した凸部80が形成されている。そのため、
図6に示すように、中心線50aから、本実施の形態に係るダストカバー50の最も外側の部位である山部51の縁部71の先端までの距離Rmax0は、中心線150aから、第1の比較例に係るダストカバー150の最も外側の部位である山部151の先端までの距離Rmax1よりも小さい。また、最も内側の部位である谷部52の裾部81の先端までの距離Rmin0は、最も内側の部位である谷部152の先端までの距離Rmin1よりも大きい。
【0030】
以上のことから、本実施の形態に係るダストカバー50は第1の比較例に係るダストカバー150よりも剛性が高い。したがって、本実施の形態に係るダストカバー50は、中心線50aの方向に、第1の比較例に係るダストカバー150と同じ圧縮荷重を受けたとしても、変形し難い。このため、例えば、ダストカバー50の半径方向寸法を大きくした場合であったり、中心線50a、150aの方向に大きな力が作用したりしても、本実施の形態に係るダストカバー50は、第1の比較例に係るダストカバー150よりも胴曲りが生じにくい。
【0031】
なお、本実施の形態に係るダストカバー50において薄肉となる連結部53、接続部75および接続部85の合計の長さは、第1の比較例に係るダストカバー150において薄肉となる部位である山部151の先端から谷部152の先端までの長さよりも短い。また、本実施の形態に係るダストカバー50は、(山部51の)凹部70と接続部75とが交わる部位、及び、(谷部52の)凸部80と接続部85とが交わる部位は、ともに連結部53の肉厚よりも厚くなっている。
これにより、薄肉である連結部53等の短縮化、及び山部51、谷部52の厚肉化は、ダストカバー50の(ブロー成形時における)肉厚のばらつき低減をすることができ、結果として、ダストカバー50の胴曲りを防止することができる。
【0032】
また、本実施の形態に係るダストカバー50は、ダストカバー50の外側及び内側に配置される部材(例えばシリンダ10)とのクリアランスを大きくすることができる。その結果、ダストカバー50は、ダストカバー50の外側及び内側に配置される部材と接触することを抑制することができる。
換言すれば、ダストカバー50の外形が小さく、且つ内形が大きいため、ダストカバー50の外側に配置される部材もしくはダストカバー50の内側に配置される部材の大きさを大きくできるなど、設計の自由度を高めることができる。
【0033】
(B)ダストカバーの伸縮時の伸縮方向長さの低減に伴う胴曲がり防止について
図8は、第2の比較例に係るダストカバー350の断面図である。
第2の比較例に係るダストカバー350は、第1の比較例に係るダストカバー150に対して、以下の点が異なる。
本実施の形態に係るダストカバー50における隣接する山部51間の距離(より具体的には、隣接する頂51a間の距離)Lo0は、第2の比較例に係るダストカバー350の隣接する山部351間の距離、つまり隣接する頂351a間の距離Lo3よりも大きい。
同様に、本実施の形態に係るダストカバー50における隣接する谷部52間の距離、つまり隣接する底52a間の距離Li0は、第2の比較例に係るダストカバー350の隣接する谷部352間の距離、つまり隣接する底352a間の距離Li3よりも大きい。
【0034】
それゆえ、本実施の形態に係るダストカバー50の全長L0(
図3参照)と第2の比較例に係るダストカバー350の全長(不図示)とが同じであるとした場合、本実施の形態に係るダストカバー50の山部51および谷部52の数を、第2の比較例に係るダストカバー350の山部351および谷部352の数よりも少なくすることができる。
要するに、ダストカバー50の山部51、谷部52の数を少なくした分、ダストカバー50が最も縮んだ時、ダストカバー50の伸縮方向の長さが低減される。
その結果、本実施の形態に係るダストカバー50によれば、最も縮んだ状態での全長L0の長さが、第2の比較例に係るダストカバー350の最も縮んだ状態での全長の長さよりも短くなる。
【0035】
以上、説明したように、本実施の形態に係るダストカバー50は、第2の比較例に係るダストカバー350よりも中心線50aの方向に変形し難く、第2の比較例に係るダストカバー350よりも胴曲がりが生じ難い。
【0036】
図9(a)および
図9(b)、
図10(a)および
図10(b)は、他の実施例に係るダストカバー50の断面図である。
本実施の形態に係るダストカバー50における山部51および谷部52(より具体的には、それぞれ、凹部70、凸部80)の位置、大きさ、角度等は特に限定されない。例えば、
図9(a)に示すように、山部51の凹部70の深さを深くしてもよいし、谷部52の凸部80の高さを高くしてもよい。また、
図9(b)に示すように、山部51の頂51aから内側に凹んだ凹部70を複数形成してもよいし、谷部52の底52aから外側に突出した凸部80を複数形成してもよい。
また、本実施の形態に係るダストカバー50における連結部53の形状は直線状に限定されない。例えば、
図10(a)に示すように、連結部53に凹凸を設けてもよい。あるいは、
図10(b)に示すように、連結部53に、外側に突出する凸部を設けてもよいし、連結部53に、内側に凹んだ凹部を設けてもよい。
【0037】
また、上述した実施の形態においては、山部51と谷部52とが連続する蛇腹状のカバーの山部51に凹部70を谷部52に凸部80を形成することについて説明したが、特に懸架装置100のダストカバー50に限定して適用されるものではない。本発明に係るカバー部材は、懸架装置100のダストカバー50に適用するに限らず、例えば、自動車(2輪、4輪等)、自転車、建設機械等、油圧機械等において、ダストの侵入を防止する箇所に適用することができる。また、懸架装置についても、
図1、
図2に示すダストカバーの外周にスプリング30が配置された懸架装置に限らず、(スプリング30を減衰装置と並列に配置し、)ダストカバーの外周にスプリング30が配置されていない懸架装置に本発明を用いてもよい。
なお、上記いずれの実施形態においても、ダストカバー50は、(ダストカバー50の)内径、外径の大きさ(山部、谷部の半径方向の位置)を同一としているが、部分的に異なるようにしてもよい。