(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078487
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】流量制御弁リーク診断装置
(51)【国際特許分類】
G01M 3/28 20060101AFI20170130BHJP
F16K 37/00 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
G01M3/28 C
F16K37/00 G
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-28346(P2014-28346)
(22)【出願日】2014年2月18日
(65)【公開番号】特開2015-152512(P2015-152512A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】新谷 知紀
【審査官】
福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−160969(JP,A)
【文献】
特開2007−285416(JP,A)
【文献】
特開平02−136795(JP,A)
【文献】
特開2009−138776(JP,A)
【文献】
特開2004−095425(JP,A)
【文献】
特開2012−207694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/28
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側の接続管路に第1の仕切弁が下流側の接続管路に第2の仕切弁が設置されている流量制御弁を診断対象とし、この流量制御弁の全閉時における流体の漏洩を診断する流量制御弁リーク診断装置において、
前記流量制御弁の上流側の圧力を1次側圧力として測定する1次側圧力センサと、
前記流量制御弁の下流側の圧力を2次側圧力として測定する2次側圧力センサと、
前記流量制御弁、前記第1の仕切弁および前記第2の仕切弁が全閉とされている時の前記1次側圧力センサからの1次側圧力および前記2次側圧力センサからの2次側圧力を取り込み、この取り込んだ1次側圧力および2次側圧力の変化に基づいて前記流量制御弁のシートリークおよびグランドリークの発生の有無を判定するリーク判定部を備え、
前記流量制御弁、前記第1の仕切弁および前記第2の仕切弁は、
前記第1の仕切弁と前記流量制御弁との間の管路内の圧力を前記第2の仕切弁と前記流量制御弁との間の管路内の圧力よりも高くした状態を初期状態として全閉とされている
ことを特徴とする流量制御弁リーク診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載された流量制御弁リーク診断装置において、
前記リーク判定部は、
前記1次側圧力および前記2次側圧力が初期状態の圧力のまま変化しない場合に前記流量制御弁にはシートリークおよびグランドリークのどちらも発生していないと判定する
ことを特徴とする流量制御弁リーク診断装置。
【請求項3】
請求項1に記載された流量制御弁リーク診断装置において、
前記リーク判定部は、
前記2次側圧力が初期状態の圧力に対して上昇して行く場合に、前記流量制御弁にシートリークのみが発生していると判定する
ことを特徴とする流量制御弁リーク診断装置。
【請求項4】
請求項1に記載された流量制御弁リーク診断装置において、
前記リーク判定部は、
前記1次側圧力が初期状態の圧力のまま変化せず、前記2次側圧力が初期状態の圧力に対して低下して行く場合に、前記流量制御弁にグランドリークのみが発生していると判定する
ことを特徴とする流量制御弁リーク診断装置。
【請求項5】
請求項1に記載された流量制御弁リーク診断装置において、
前記リーク判定部は、
前記2次側圧力が初期状態の圧力よりも上昇せず、前記1次側圧力が初期状態の圧力に対して低下して行く場合に、前記流量制御弁にシートリークおよびグランドリークが同時に発生していると判定する
ことを特徴とする流量制御弁リーク診断装置。
【請求項6】
請求項1に記載された流量制御弁リーク診断装置において、
前記リーク判定部は、
前記2次側圧力が初期状態の圧力のまま変化せず、前記1次側圧力が初期状態の圧力に対して低下して行く場合に、前記流量制御弁にシートリークおよびグランドリークが同時に発生しており、かつシートリーク量とグランドリーク量とが等しいと判定する
ことを特徴とする流量制御弁リーク診断装置。
【請求項7】
請求項1に記載された流量制御弁リーク診断装置において、
前記リーク判定部は、
前記1次側圧力および前記2次側圧力がともに初期状態の圧力に対して低下して行く場合に、前記流量制御弁にシートリークおよびグランドリークが同時に発生しており、かつグランドリーク量がシートリーク量を上回っていると判定する
ことを特徴とする流量制御弁リーク診断装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載された流量制御弁リーク診断装置において、
前記流量制御弁、前記第1の仕切弁および前記第2の仕切弁は、
ポンプが稼働している状態で先ず前記流量制御弁が全閉とされ、次に前記第1の仕切弁と前記第2の仕切弁とが全閉とされることによって、前記第1の仕切弁と前記流量制御弁との間の管路内の圧力を前記第2の仕切弁と前記流量制御弁との間の管路内の圧力よりも高くした状態を初期状態として全閉とされている
ことを特徴とする流量制御弁リーク診断装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載された流量制御弁リーク診断装置において、
前記1次側圧力センサおよび前記2次側圧力センサは、
前記流量制御弁における流量計測用として備え付けられているものである
ことを特徴とする流量制御弁リーク診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流量制御弁の全閉時における流体の漏洩を診断する流量制御弁リーク診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、空調制御システムなどでは、流体の流量を制御する流量制御弁が用いられている。このような流量制御弁では、製作時のばらつきや経年変化、異物の噛み込みなどによって、全閉時でも気密性が保てずに流体が下流側に漏洩することがある。これをシートリークという。また、パッキンの劣化などによって、弁軸部分から内部流体が外部に漏洩することがある。これをグランドリークという。
【0003】
流量制御弁にとって、シートリークは、バルブの流体遮断性能が低下している状態を示すが、外観から判断することができないため、診断には特別な機器が必要である。また、グランドリークは、流体を外部に漏洩させてしまうことにより、保全性の面でも問題である。
【0004】
このために、例えば特許文献1では、直列に接続された複数の弁を開閉させたときの圧力から複数の弁のシートリークを検出するようにしている。また、特許文献2では、グランドパッキンの上部に設けられたグランドリーク管からリークする潤滑水の量をセンサで検出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−160969号公報
【特許文献2】特開平10−159784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来において、シートリークとグランドリークの両方を同時に診断するようにしたものはなく、特許文献1に示された技術と特許文献2に示された技術とを組み合わせたとしても構成が複雑となり、実用化は難しい。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、簡単な構成で、配管から流量制御弁を取り外すことなく、シートリークとグランドリークの両方を同時に診断することが可能な流量制御弁リーク診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために本発明は、上流側の接続管路に第1の仕切弁が下流側の接続管路に第2の仕切弁が設置されている流量制御弁を診断対象とし、この流量制御弁の全閉時における流体の漏洩を診断する流量制御弁リーク診断装置において、流量制御弁の上流側の圧力を1次側圧力として測定する1次側圧力センサと、流量制御弁の下流側の圧力を2次側圧力として測定する2次側圧力センサと、流量制御弁、第1の仕切弁および第2の仕切弁が全閉とされている時の1次側圧力センサからの1次側圧力および2次側圧力センサからの2次側圧力を取り込み、この取り込んだ1次側圧力および2次側圧力の変化に基づいて流量制御弁のシートリークおよびグランドリークの発生の有無を判定するリーク判定部を備え、流量制御弁、第1の仕切弁および第2の仕切弁は、第1の仕切弁と流量制御弁との間の管路内の圧力を第2の仕切弁と流量制御弁との間の管路内の圧力よりも高くした状態を初期状態として全閉とされていることを特徴とする。
【0009】
例えば、本発明では、1次側圧力および2次側圧力が初期状態の圧力のまま変化しない場合に流量制御弁にはシートリークおよびグランドリークのどちらも発生していないと判定し、2次側圧力が初期状態の圧力に対して上昇して行く場合に、流量制御弁にシートリークのみが発生していると判定し、1次側圧力が初期状態の圧力のまま変化せず、2次側圧力が初期状態の圧力に対して低下して行く場合に、流量制御弁にグランドリークのみが発生していると判定し、2次側圧力が初期状態の圧力よりも上昇せず、1次側圧力が初期状態の圧力に対して低下して行く場合に、流量制御弁にシートリークおよびグランドリークが同時に発生していると判定する。
【0010】
本発明において、2次側圧力が初期状態の圧力よりも上昇せず、1次側圧力が初期状態の圧力に対して低下して行く場合に、流量制御弁にシートリークおよびグランドリークが同時に発生していると判定する場合、例えば、2次側圧力が初期状態の圧力のまま変化せず、1次側圧力が初期状態の圧力に対して低下して行く場合に、流量制御弁にシートリークおよびグランドリークが同時に発生しており、かつシートリーク量とグランドリーク量とが等しいと判定したり、1次側圧力および2次側圧力がともに初期状態の圧力に対して低下して行く場合に、流量制御弁にシートリークおよびグランドリークが同時に発生しており、かつグランドリーク量がシートリーク量を上回っていると判定したりする。
【0011】
本発明では、第1の仕切弁と流量制御弁との間の管路内の圧力を第2の仕切弁と流量制御弁との間の管路内の圧力よりも高くした状態を初期状態として、流量制御弁、第1の仕切弁および第2の仕切弁を全閉とする。この場合、例えば、ポンプが稼働している状態で先ず流量制御弁を全閉とし、次に第1の仕切弁と第2の仕切弁とを全閉とすることによって、第1の仕切弁と流量制御弁との間の管路内の圧力を第2の仕切弁と流量制御弁との間の管路内の圧力よりも高くした状態(初期状態)を得るようにする。
【0012】
また、本発明では、1次側圧力センサおよび2次側圧力センサを必要とするが、流量制御弁における流量計測用として備え付けられている場合には、その流量制御弁に備え付けられている1次側圧力センサおよび2次側圧力センサを流用するようにするとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の仕切弁と流量制御弁との間の管路内の圧力を第2の仕切弁と流量制御弁との間の管路内の圧力よりも高くした状態を初期状態として流量制御弁、第1の仕切弁および第2の仕切弁を全閉とし、流量制御弁、第1の仕切弁および第2の仕切弁が全閉とされている時の1次側圧力センサからの1次側圧力および2次側圧力センサからの2次側圧力を取り込み、この取り込んだ1次側圧力および2次側圧力の変化に基づいて流量制御弁のシートリークおよびグランドリークの発生の有無を判定するようにしたので、1次側圧力センサと2次側圧力センサを用いるだけの簡単な構成で、配管から流量制御弁を取り外すことなく、シートリークとグランドリークの両方を同時に診断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る流量制御弁リーク診断装置の一実施の形態を用いたシステムの要部を示す図である。
【
図3】診断対象の流量制御弁を弁軸側から見た斜視図である。
【
図4】診断対象の流量制御弁の流路中心断面図である。
【
図5】判定動作(診断動作)に入る前の準備(診断準備)を説明するためのフローチャートである。
【
図6】流量制御弁リーク診断装置のリーク判定部での判定動作(診断動作)を説明するためのフローチャートである。
【
図7】リーク判定部におけるシートリークおよびグランドリークの判定結果のマトリクスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る流量制御弁リーク診断装置の一実施の形態を用いたシステムの要部を示す図である。
【0016】
図1において、1は診断対象の流量制御弁、2は流量制御弁1の上流側の接続管路L1に設置されている第1の仕切弁(上流側仕切弁)、3は流量制御弁1の下流側の接続管路L2に設置されている第2の仕切弁(下流側仕切弁)、4は流量制御弁1を通して上流側から下流側に向けて流体を流すポンプ、5は本発明に係る流量制御弁リーク診断装置である。以下、接続管路L1,L2は単に管路と呼ぶ。
【0017】
このシステムにおいて、流量制御弁1は、流量計測用の圧力センサとして、流量制御弁1の上流側の圧力を1次側圧力P1として測定する1次側圧力センサS1と、流量制御弁1の下流側の圧力を2次側圧力P2として測定する2次側圧力センサS2とを備えている。この流量制御弁1に備え付けられている1次側圧力センサS1および2次側圧力センサS2を流量制御弁リーク診断装置5の1次側圧力センサおよび2次側圧力センサとして流用する。また、空調制御システムなどにおいて、流量制御弁を設置する際には前後に仕切弁を設置するので、この前後の仕切弁を上流側仕切弁および下流側仕切弁として利用する。
【0018】
参考として、
図2に流量制御弁1の正面図を、
図3に流量制御弁1を弁軸11側から見た斜視図を、
図4に流量制御弁1の流路中心断面図を示す。なお、
図2において、12は弁軸11を駆動するモータであり、
図3はこのモータ12などの駆動機構を取り外した状態を示している。また、
図4において、13は弁体であり、弁軸11の回転によって流路を開いたり、閉じたりして、流量制御弁1を流れる流体の流量を調節する。
図4には示していないが、この弁体13の上流側の圧力を1次側圧力P1として1次側圧力センサS1が測定し、下流側の圧力を2次側圧力P2として2次側圧力センサS2が測定する。
【0019】
流量制御弁リーク診断装置5は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、流量制御弁1のシートリークおよびグランドリークの発生の有無を判定するリーク判定部51と、このリーク判定部51における判定結果(診断結果)を表示する診断結果表示部52とを備えている。
【0020】
リーク判定部51は、流量制御弁1、上流側仕切弁2および下流側仕切弁3が全閉とされている時の1次側圧力センサS1からの1次側圧力P1および2次側圧力センサS2からの2次側圧力P2を取り込み、この取り込んだ1次側圧力P1および2次側圧力P2の変化に基づいて流量制御弁1のシートリークおよびグランドリークの発生の有無を判定する。
【0021】
以下、
図6に示すフローチャートに従って、流量制御弁リーク診断装置5におけるリーク判定部51での判定動作(診断動作)について具体的に説明する。
【0022】
なお、この判定動作に入る前の準備(診断準備)として、流量制御弁1、上流側仕切弁2および下流側仕切弁3を全閉とする。この場合、上流側仕切弁2と流量制御弁1との間の管路L1内の圧力を下流側仕切弁3と流量制御弁1との間の管路L2内の圧力よりも高くした状態を初期状態として、流量制御弁1、上流側仕切弁2および下流側仕切弁3を全閉とする。
【0023】
具体的には、
図5に示すように、ポンプ4を稼働している状態で先ず流量制御弁1を全閉とし(ステップS101)、次に上流側仕切弁2と下流側仕切弁3とを全閉とする(ステップS102)。これにより、流量制御弁1の上流側の管路L1内の圧力が高圧(上流側高圧)となり、流量制御弁1の下流側の管路L2内の圧力が低圧(下流側低圧)となる(ステップS103)。
【0024】
この流量制御弁1、上流側仕切弁2および下流側仕切弁3を全閉とし、上流側の管路L1内の圧力を高圧、下流側の管路L2内の圧力を低圧とした状態を初期状態(診断初期状態)として、リーク判定部51での判定動作に入る。
【0025】
なお、この判定動作に入る前の準備は、流量制御弁リーク診断装置5からの指令によって自動的に行われるようにしてもよく、手動で行うようにしてもよい。例えば、上流側仕切弁2および下流側仕切弁3が手動タイプであるような場合には、手動で行うようにする。
【0026】
〔判定動作(診断動作)〕
リーク判定部51は、診断準備が整うと、1次側圧力センサS1からの1次側圧力P1および2次側圧力センサS2からの2次側圧力P2を取り込み、この取り込んだ1次側圧力P1および2次側圧力P2の変化をそれぞれ初期状態の圧力を基準として監視する。
【0027】
この場合、リーク判定部51は、1次側圧力P1および2次側圧力P2が初期状態の圧力のまま変化しない場合(ステップS201,S205,S207のNO)、流量制御弁1にはシートリークおよびグランドリークのどちらも発生していないと判定する(ステップS209)。すなわち、流量制御弁1には流体の漏洩が発生しておらず、正常であると判定する。
【0028】
また、リーク判定部51は、2次側圧力P1が初期状態の圧力に対して上昇して行く場合(ステップS201のNO、ステップS205のYES)、流量制御弁1にシートリークのみが発生していると判定する(ステップS206)。
【0029】
また、リーク判定部51は、1次側圧力P1が初期状態の圧力のまま変化せず、2次側圧力P2が初期状態の圧力に対して低下して行く場合(ステップS201のYES、ステップS202のNO)、流量制御弁1にグランドリークのみが発生していると判定する(ステップS204)。
【0030】
また、リーク判定部51は、2次側圧力P2が初期状態の圧力のまま変化せず、1次側圧力P1が初期状態の圧力に対して低下して行く場合(ステップS201,205のNO、ステップS207のYES)、流量制御弁1にシートリークおよびグランドリークが同時に発生しており、かつシートリーク量とグランドリーク量とがバランスしている(シートリーク量とグランドリーク量とが等しい)と判定する(ステップS208)。
【0031】
また、リーク判定部51は、1次側圧力P1および2次側圧力P2がともに初期状態の圧力に対して低下して行く場合(ステップS201,S202のYES)、流量制御弁1にシートリークおよびグランドリークが同時に発生しており、かつグランドリーク量がシートリーク量より大(グランドリーク量がシートリーク量を上回っている)と判定する(ステップS203)。
【0032】
図7にリーク判定部51におけるシートリークおよびグランドリークの判定結果のマトリクスを示す。なお、この判定結果のマトリクスでは、1次側圧力P1が低下して行き、2次側圧力P2が上昇して行く場合に、流量制御弁1にシートリークのみが発生しているという判定結果が得られるようになっているが、2次側圧力P2が上昇する場合、必ず1次側圧力P1は低下するので、
図6に示すフローチャートでは、2次側圧力P2の上昇だけを見てシートリークの発生と判断するようにしている。勿論、2次側圧力P2の上昇と1次側圧力P1の低下を見て、シートリークと判断するようにしてもよい。
【0033】
このように、本実施の形態によれば、上流側仕切弁2と流量制御弁1との間の管路L1内の圧力を下流側仕切弁3と流量制御弁1との間の管路L2内の圧力よりも高くした状態を初期状態として流量制御弁1、上流側仕切弁2および下流側仕切弁3を全閉とし、流量制御弁1、上流側仕切弁2および下流側仕切弁3が全閉とされている時の1次側圧力センサS1からの1次側圧力P1および2次側圧力センサS2からの2次側圧力P2を取り込み、この取り込んだ1次側圧力P1および2次側圧力P2の変化に基づいて流量制御弁1のシートリークおよびグランドリークの発生の有無を判定するようにしているので、1次側圧力センサS1と2次側圧力センサS2を用いるだけの簡単な構成で、配管から流量制御弁1を取り外すことなく、シートリークとグランドリークの両方を同時に診断することができるようになる。
【0034】
なお、上述した実施の形態では、流量制御弁1に備え付けられている1次側圧力センサS1および2次側圧力センサS2を流量制御弁リーク診断装置5の1次側圧力センサおよび2次側圧力センサとして流用するようにしたが、流量制御弁1が1次側圧力センサおよび2次側圧力センサを備えていない場合には、専用の1次側圧力センサS1および2次側圧力センサS2を用いるようにする。
【0035】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1…流量制御弁、2…第1の仕切弁(上流側仕切弁)、3…第2の仕切弁(下流側仕切弁)、4…ポンプ、5…流量制御弁リーク診断装置、51…リーク判定部、52…診断結果表示部、L1,L2…接続管路(管路)、S1…1次側圧力センサ、S2…2次側圧力センサ。