特許第6078543号(P6078543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6078543並進多焦点コンタクトレンズの注型成型法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078543
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】並進多焦点コンタクトレンズの注型成型法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20170130BHJP
   B29C 39/26 20060101ALI20170130BHJP
   B29C 39/02 20060101ALI20170130BHJP
   G02C 7/06 20060101ALI20170130BHJP
   B29L 11/00 20060101ALN20170130BHJP
【FI】
   G02C7/04
   B29C39/26
   B29C39/02
   G02C7/06
   B29L11:00
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-528794(P2014-528794)
(86)(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公表番号】特表2014-529772(P2014-529772A)
(43)【公表日】2014年11月13日
(86)【国際出願番号】AU2012000948
(87)【国際公開番号】WO2013033752
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2015年6月23日
(31)【優先権主張番号】2011903685
(32)【優先日】2011年9月9日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】514045658
【氏名又は名称】エゼキエル ノミニーズ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高
(74)【代理人】
【識別番号】100178445
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 淳二
(74)【代理人】
【識別番号】100133639
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 卓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173923
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 隆章
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】エゼキエル,ドナルド フレデリック
【審査官】 藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−527260(JP,A)
【文献】 特表2003−517640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
B29C 39/26
B29C 39/02
G02C 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部表面のある第1金型を形成するために用いられる表面を有する第1金型インサート、および、外部表面のある第2金型を形成するために用いられる表面を有する第2金型インサートを製作することにより行う、柔軟な素材から成る変更視力多焦点コンタクトレンズの注型成型法であって、前記第1金型はコンタクトレンズ前面の形状を表し、前記第2金型はコンタクトレンズ後面の形状を表し、前記第1および第2金型は、組み合わされて、前記第2金型の外部表面と前記第1金型の内部表面とが、それらの間で容積部が規定されるように並置され、前記並置された第1および第2金型の間の容積部には、コンタクトレンズ素材が充填され、前記容積部内の前記コンタクトレンズ素材を硬化させて多焦点コンタクトレンズが形成される前記コンタクトレンズの注型成型法であって、前記第1および第2金型により規定される容積部が、下方切落端部のある下方端、および、前記下方端における前方突出部を有する多焦点コンタクトレンズを旋盤にかけることなく形成するように構成され、これにより、前記切落端部および前記前方突出部が使用者の下まぶたに係合して、レンズとまぶたとの間の相互作用が容易となることで、レンズの並進移動を起こさせるようになっており、前記第1金型インサートが、2焦点レンズ強度、前記前方突出部および前記下方切落端部を包含する前記前面の形状を規定する手段を備えることを特徴とする、前記コンタクトレンズの注型成型法。
【請求項2】
前記形成されたコンタクトレンズが上方遠方視力領域および下方近距離視力領域のある前面を有することを特徴とする請求項に記載のコンタクトレンズの注型成型法。
【請求項3】
前記コンタクトレンズ素材が、前記第1金型の前記内部表面上、および/または、第2金型の前記外部表面上に塗布され、引き続き、前記第1および第2金型が並置されて、コンタクトレンズを形成するための、コンタクトレンズ素材で充填された容積部が規定されることを特徴とする請求項1または2に記載のコンタクトレンズの注型成型法。
【請求項4】
前記第1金型インサートが、2つの部分で構成され、第1部分が、2焦点レンズ強度および前記前方突出部を包含する前記前面の形状を規定し、第2部分が前記コンタクトレンズの前記下方切落端部を規定することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のコンタクトレンズの注型成型法。
【請求項5】
前記第1部分が、前記第2部分の突起に係合する切欠部を包含することを特徴とする請求項4に記載のコンタクトレンズの注型成型法。
【請求項6】
前記第1金型インサートが、2焦点レンズ強度、前記前方突出部、および、前記コンタクトレンズの下方切落端部を包含する前記前面の形状を規定する、単一の部材で形成されることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のコンタクトレンズの注型成型法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注型成型法による並進多焦点コンタクトレンズの製法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、請求項に係る多焦点コンタクトレンズが記載されており、前記コンタクトレンズは、柔らかい素材から成り、眼球上を並進移動するようになっている。
【0003】
特許文献1全体に開示されている事項が、参照事項として、本発明の説明に包含される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】オーストラリア特許第769719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特許文献1に記載されている型式のレンズを製造する手段を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に依れば、内部表面のある第1金型を形成するために用いられる表面を有する第1金型インサート、および、外部表面のある第2金型を形成するために用いられる表面を有する第2金型インサートの製作を伴う、多焦点並進コンタクトレンズの注型成型法であって、前記第1金型はコンタクトレンズ前面の形状を表し、前記第2金型はコンタクトレンズ後面の形状を表し、前記第1および第2金型は、組み合わされて、前記第2金型の外部表面と前記第1金型の内部表面とが、それらの間で容積部が規定されるように並置され、前記並置された第1および第2金型の間の容積部には、コンタクトレンズ素材が充填され、前記容積部内の前記コンタクトレンズ素材が硬化して注型成型によるコンタクトレンズが形成され、ここにおいて、前記第1および第2金型により規定される容積部が、下方切落端部のあるコンタクトレンズを形成するように構成されている、前記コンタクトレンズの注型成型法が、提供される。
【0007】
好ましくは、前記並置される第1および第2金型により規定される容積部は、また、これの有する内部形状により、前記注型成型によるコンタクトレンズの下方端において前方突出部が形成される。
【0008】
さらに好ましくは、前記第1金型の前記内部表面が、遠方および近距離視力領域のある前記注型成型法によるコンタクトレンズの前面を形成する。結果として得られる注型成型法によるコンタクトレンズは、好ましくは、上方遠方視力領域および下方近距離視力領域のある前面を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
ここで、本発明を以下の添付図面を参照しつつ説明する。
図1】本発明の方法に用いられる第1成型部材の模式図である。
図2図1の成型部材の側面図である。
図3図1の成型部材の平面図である
図4】本発明の方法に用いられる第2成型部材の斜視図である。
図5図4の成型部材の側面図である。
図6図4の成型部材の平面図である。
図7図6の7−7線に沿った図4の成型部材の垂直断面図である。
図8図1図4の成型部材から形成された、コンタクトレンズ前面を形成するための金型インサートの立面斜視図である。
図9】コンタクトレンズ後面を形成するための金型インサートの側面図である。
図10図9の金型インサートの底面図である。
図11図10の11−11線に沿った垂直断面図である。
図12図8の金型インサートから形成された金型の斜視図である。
図13図9の金型インサートから形成された金型の斜視図である。
図14図12の金型内部の平面図である。
図15】本発明の方法により形成されたコンタクトレンズの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図4〜7に示した第1成型部材10は、図にあるような上方開口端14のある内凹部13を有する円筒本体12を有する。前記上方端14は、屹立突起18が設けられた縁部16を有する。図7で見ることができるように、前記突起18は、平滑中心内部表面19を有する。
【0011】
添付図1〜3に示したのは、前記凹部13に係合するようになっている棒状体21を有する第2成型部材20である。前記棒状体21には、上方拡大円筒部22が設けられ、当該拡大円筒部は、前記凹部13の上方端と好適に適合するようになっており(図7参照)、これにより、前記成型部材20は、使用中に、当該部材が前記成型部材10と係合して成る、安定した1個の金型インサートにおける継ぎ目のない部分となるようになっている。
【0012】
前記部材20には、また、頭頂部24が設けられており、当該頭頂部は、一般的には、図3に示したように、平面図において円形を呈する。前記頭頂部24は、図2において最適に示されているように、外部ドーム端表面26を有し、当該表面は、境界線33で仕切られた遠方視力レンズ31および近距離視力レンズ32用の表面曲面を包含している。さらに頭頂部24は、図示したように、その一側面に切欠部28を有する。前記表面26上の前記遠方視力領域31および前記近距離視力領域32の位置決めは、必要とされる前記領域31と領域32の面積に依って変化する。
【0013】
前記成型部材10および12は、図8にあるように、前記円筒部22が前記凹部13の上方端に係合し、また、前記頭頂部24が前記縁部16に係合するまで、前記棒状体21を前記凹部13に挿入することにより、合体される。この位置で、前記切欠部28と、前記屹立突起18の前記内部表面19とは、互いに一致するようにして隣接している。
【0014】
図8には、結果として得られる2部構成金型インサート30を示す。前記成型部材10の前記円筒部12の前記上方端部14が、前記金型インサート30の第1構成部分で、前記屹立突起18のある前記縁部16を有する。前記成型部材20の前記頭頂部24が、前記金型インサート30の第2構成部分である。
【0015】
前記金型インサート30は、これにより、これまでに参照してきた特許文献1に開示されている型式のコンタクトレンズ前面用の金型を形成するようになっている。この金型形成は、射出成型のような従来法のいずれを用いても実施することができる。
【0016】
特に、前記縁部16上の前記屹立突起18は、成型されたレンズに下方切落端部を形成するように設計されている。さらに、前記切欠部28は、成型されたレンズの下部に前方へ突出す突出部を形成するようになっている。図8にあるように、前記金型インサート30において、前記切欠部28が、先にも説明したとおり、前記突起18に係合する。前記ドーム表面26は、前記上方遠方視力領域31を表す第1曲面と前記下方読書視力領域32を表す第2曲面とを有する。
【0017】
第1特許文献に記載されているように、前記切落端部および前方突出部は、並進移動を容易にするために、使用者の下まぶたに係合するようになっている。
【0018】
成型されたレンズの後面を形成するのには、単に、標準的な曲率を有する金型インサートを形成すればよい。これは、レンズの基本曲面を包含し、当該曲面は、眼球に適合する必要があり、球面、ドーナツ面、非球面、あるいは、これら曲面の組合せからなる形状とすることができる。前記後面には、また、その周辺部に既存の方法で設計変更(図示せず)を加えて、これにより、視線を落とした際に前記突出部が下まぶたに係合したときに、並進移動が容易となるようにしてもよい。前記後面用の代表的な金型インサート54を図9〜11に示す。前記金型インサート54は、射出成型機に取付けるための棒状体56を有する。さらに、一般的に円形を呈する成型部材58を有する。前記部材58は、結果として得られるコンタクトレンズ後面の所望の曲率に一致する曲面59のある内部構造を有する。
【0019】
前記金型インサート30および54は、従来の方法のいずれを用いて製造しても良いが、成型器具形成用のコンピュータ精密制御工作旋盤を用いるのが好ましい。この装置は、所定の曲率を有する前記レンズの前方および後方表面において再現される成型表面を形成するよう、必要な精密仕様に、前記金型インサート30および54を旋盤切削するために用いられる。さらに、前記金型インサート30は、前記切落端部、前方突出部を同時に形成するように構成されている。
【0020】
前記金型インサートは、上述したように、2部構成となるのが好ましいが、その方が望ましければ、1部構成としても良い。しかしながら、2部構成とする方が、前記前面の度数曲率を有する前記ドーム表面26が別途形成されるので、異なる要求度数に合うように曲率を特化する際に、各々の成形部材10にある切落端部の形成に配慮する必要がないという点で有利である。
【0021】
前面コンタクトレンズ金型は、本発明の前記金型インサート30を用いて製造することができる。この時、前記インサート30を使用して射出成型等の既存の方法により、図12にあるレンズ前面用プラスチック製又はガラス製金型40等が形成される。
【0022】
同様に、図13にあるレンズ後面用コンタクトレンズ金型50は、図9〜11にある後面成型器具を用いて射出成型等の既存の方法により、成型用素材から形成することができる。
【0023】
図14に、これまで説明した、前記金型インサート30から形成された前記金型40の内部表面42を示す。前記内部表面には、下方読書視力領域44と遠方視力領域45とを分ける境界43がある。さらに、前記内部表面42は、前記突出部用の特設部46、また、前記切落端部用の特設部47を有する。
【0024】
本発明の方法により注型成型された典型的なコンタクトレンズ60が示されている図15には、後面61と前面62が示されている。ここには、また、下方切落端部63、前方突出部64、ならびに、前記近距離および遠方視力領域66、68も各々示されている。前記突出部64が、前記レンズ60の下方端を嵩だかくして、まぶたが良好に前記コンタクトレンズ60に作用することができるとともに、前記切落端部63により、下まぶたの上で安定するように比較的広い表面が確保されることが分かる。さらに、前記後面61の上方端には、前記レンズ60の眼球上での並進移動を容易にするために、周辺波うち構造70が設けられている。
【0025】
これまで参照してきた特許文献1に記載されているように設計された本発明に依るコンタクトレンズを注型成型するには、図14にあるように、レンズ素材を射出等により1個の金型40または50の表面上に塗布すればよく、ついで、もう一方の金型40又は50の対向する表面を最初述べた表面の上に設置すればよい。重ねあわされた前記2つの表面の間に生ずる容積部により、レンズに要求されるすべてのレンズ特性要因のなかでも、その設計形状及び厚みが定まる。例えば、素材を前記金型40の内部表面42の上に載せることができ、ついで、前記金型50の外部表面52を前記金型40の内部表面42と係合させることができる。
【0026】
前記素材は、ついで、既知の方法により硬化させて重合反応を行わせる。
【0027】
さらに、下方読書視力および上方遠方視力部分に加えて、レンズの前面には中間視力部分又は漸進的近距離視力部分を設けても良い。また、結果として得られるレンズには、嵩高さを抑えるために既存の方法により周辺に波打ち部を設けても良い。
【0028】
当業者にとって明白であるような改変および変更は、本願発明の範囲に属するものとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15