特許第6078545号(P6078545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6078545-飲料を調製するためのカプセル 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078545
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】飲料を調製するためのカプセル
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20170130BHJP
   A47J 31/40 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   A47J31/06 320
   A47J31/40 107
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-530367(P2014-530367)
(86)(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公表番号】特表2014-531235(P2014-531235A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】IB2012054821
(87)【国際公開番号】WO2013038382
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2015年7月30日
(31)【優先権主張番号】BO2011A000523
(32)【優先日】2011年9月14日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】513220355
【氏名又は名称】マキャヴェッリ ソシエタ.レスポンサビリタ.リミタ−タ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ロンデリ,ラファエレ
【審査官】 田中 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−535050(JP,A)
【文献】 国際公開第03/073896(WO,A1)
【文献】 特開2003−160156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
A47J 31/36
A47J 31/40
B65D 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側を蓋で閉じられているカップ形本体を含む型の、飲料を調製するためのカプセルであって、
当該カプセルは、各々が水流の入口領域を有し、各々が浸出液の出口領域を有する複数の浸出チャンバを内部に備え、
前記浸出チャンバは互いに同心であり、互いに対して液密に密封されており、
前記カップ形本体は、円筒形状の側壁と、底部壁と、少なくとも1つの中間壁とを有し、前記中間壁は前記カップ形本体の内部を前記浸出チャンバに分割し、前記中間壁は前記カップ形本体の内部に存在し、前記中間壁は前記底部壁とともに単一の部品として形成され、前記中間壁は前記底部壁から前記側壁に平行に延び、
前記底部壁は複数の第1の貫通孔を有し、
前記底部壁の外表面から始まり下方に延びる複数の環状の突起は、前記浸出チャンバの各々に対して1つずつ設けられている浸出液の複数の出口領域を画定するように、前記第1の貫通孔のいくつかを他の前記第1の貫通孔から隔て、
前記蓋は複数の第2の貫通孔を有し、
前記蓋は、前記浸出チャンバの各々に対して1つずつ設けられている水流の複数の入口領域を画定するように、前記第2の貫通孔のいくつかを他の前記第2の貫通孔から隔てる複数の環状壁厚部を有し、
前記環状壁厚部のうちの第1の環状壁厚部は前記蓋の周辺端部に沿って形成され、前記環状壁厚部のうちの第1の環状壁厚部は、前記蓋が当該カプセルの内部に取り付けられると、前記側壁の内表面の上端近傍に得られた環状の突起に当接し、
前記環状壁厚部のうちの第2の環状壁厚部は前記第1の環状壁厚部と同心であり、前記蓋が当該カプセルの内部に取り付けられると、前記中間壁の上端近傍で終端し、前記環状壁厚部のうちの前記第2の環状壁厚部は、前記蓋が当該カプセルの内部に取り付けられると、前記浸出チャンバの間の流体密な封止を定めるよう、前記中間壁に当接する
カプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸出型の飲料を調製するためのカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、少なくとも2種の製品を混合して形成される浸出によって飲料を調製したい場合(例えば、コーヒーとミルクの泡とからなることで有名なカプチーノを調製したい場合)は、製品が既に混合されているカプセルすなわちチャンバ、又は各製品用の、重なっている2つのチャンバが画定されたカプセルが使用される。使用される2のチャンバを有するカプセルに、第1の製品による第1の浸出液を作るために、上部チャンバには加圧された湯が通され、次に、第1の浸出液は、第2の製品と混合して飲料となるように、開口を通じて第2のチャンバへ向けて通される。もしコーヒーとミルクが製品として使用されたならば、カプセルから出てくる飲料は本物のカプチーノではなく、むしろ普通のミルク入りコーヒーであることは明らかであると思われる。事実、本物のカプチーノは、コーヒーとミルクの泡を別々に用意して、それらをその後に必ず別々にカップに注ぐことを必要とする。
【0003】
欧州特許出願公開第1,704,803号明細書(A1)(トゥットエスプレッソ)は、カートリッジと、カートリッジから飲料容器に飲料を分配する飲料収集ユニットとを含む飲料分配装置から飲料を分配する方法を開示している。この方法によれば、飲料は、カートリッジから飲料を分配する少なくとも2つの別箇の分配デバイスを通ってカートリッジから容器に分配される。
【0004】
国際公開第2007/093355号パンフレット(A1)は、飲料を作るための1つ以上の香り高いエッセンスの粉末が入ったカプセルであって互いに水圧を分けた少なくとも第1及び第2の分配路を有する分配装置に関係付けられることができるカプセルと、カプセルと分配装置との間に位置する位置合わせ手段とを備える、香りの高い飲料を調製する装置を開示している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、上記の欠点を持たない飲料を調製するためのカプセルを提供することにある。
【0006】
本発明によれば、上側を蓋で閉じられているカップ形本体を含む型の、飲料を調製するためのカプセルであって、前記カプセルは、各々が水流の入口領域を有し、各々が浸出液の出口領域を有する複数の浸出チャンバを内部に備え、前記浸出チャンバは互いに同心で、互いに対して液密に密封されており、前記カップ形本体は、円筒形状の側壁と、底部壁と、少なくとも1つの中間壁とを有し、前記中間壁は前記カップ形本体の内部を前記浸出チャンバに分割し、前記中間壁は前記カップ形本体の内部に存在し、前記中間壁は前記底部壁とともに単一の部品として形成され、前記中間壁は前記底部壁から前記側壁に平行に延び、前記底部壁は複数の第1の貫通孔を有し、前記底部壁の外表面から始まり下方に延びる複数の環状の突起は、前記浸出チャンバの各々に対して1つずつ設けられている浸出液の複数の出口領域を画定するように、前記第1の貫通孔のいくつかを他の前記第1の貫通孔から隔て、前記蓋は複数の第2の貫通孔を有し、前記蓋は、前記浸出液チャンバの各々に対して1つずつ設けられている水流の複数の入口領域を画定するように、前記第2の貫通孔のいくつかを他の前記第2の貫通孔から隔てる複数の壁厚部を有し、前記壁厚部のうちの第1の壁厚部は前記蓋の周辺端部に沿って形成され、前記蓋が前記カプセルの内部に取り付けられると、前記側壁の内表面の上端近傍に得られた環状の突起に当接し、前記壁厚部のうちの第2の壁厚部は前記第1の壁厚部と同心で、前記蓋がカプセルの内部に取り付けられると、前記中間壁の上端近傍で終わる、カプセルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明のより良い理解のために、限定ではなく純粋に例示の目的で、一実施形態が添付の図面を用いて本明細書において説明される。
図1】上方から見たカプセルの斜視図である。
図2】下方から見たカプセルの斜視図である。
図3】濾過チャンバに挿入されたカプセルの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1乃至図3に示されるように、上側をディスク状の蓋3で閉じられているカップ形本体2を含むカプセルが符号1で全体として指示されている。カップ形本体2は、円筒形状の側壁4と、底部壁5とを有する。カップ形本体2の内部を2つの浸出チャンバ7、8に分割する1つの中間壁6がカップ形本体2内部に存在し、中間壁6は底部壁5と一体であり、底部壁5から側壁4に平行に延びる。浸出チャンバ7は底部壁5の中央部11によって底部を画定され、中間壁6の内表面によって側部を画定される。浸出チャンバ8は浸出チャンバ7と同心で、底部壁5の環状部12によって底部を画定され、中間壁6の外表面と側壁4の内表面とによって側部を画定される。底部壁5の中央部11には、第1の出口領域が設けられる。第1の出口領域は、本実施形態によれば、複数の円周に沿うように設けられた複数の貫通孔13によって画定される。底部壁5の環状部12には、第2の出口領域が設けられる。第2の出口領域は、本実施形態によれば、円周に沿うように設けられた複数の貫通孔14によって画定される。2つの環状の突起15、16が底部壁5の外表面から始まり下方に延びる。環状の突起15は中間壁6に隣接し、上記の第1の 出口領域を画定する。環状の突起16は実質的に側壁4の下端の延長であり、環状の突起15とともに上記の第2の出口領域を画定する。側壁4 はその上端に環状端部17を有し、環状端部の厚さは側壁4の残りの部分の厚さより大きい。環状端部17は側壁4の外表面から延びる。
【0009】
蓋3は、2つの部分 22、23を蓋3内に画定する2つの環状の壁厚部18、21を有する。壁厚部18は蓋3の周辺端部に沿って形成され、蓋3が取り付けられると、側壁4の内表面の上端近傍に得られた環状の突起 24に当接する。壁厚部21は壁厚部18と同心で、蓋3が取り付けられると、中間壁6の上端近傍で終わる。中心に位置し壁厚部21によって画定される部分22に、第1の入口領域が画定される。環状で2つの壁厚部22、23によって画定される部分23に、第2の入口領域が画定される。第1の入口領域は均一に分布する複数の貫通孔25を有し、第2の入口領域は部分23に沿って均一に分布する複数の貫通孔26を有する。
【0010】
図に示すように、蓋がカプセル1の内部に取り付けられると、互いから仕切られ、互いに対して実質的に液密に密封された2つの浸出チャンバ7、8が画定される。浸出チャンバ7、8はそれぞれ所定の量の浸出液を収容する。浸出チャンバ7は底部壁5の部分11によって底部を画定され、中間壁6の内表面によって側部を画定され、蓋3の部分22によって頂部を画定される。蓋3の組み立ての後、壁厚部21近傍の部分22の周辺端部は中間壁6の上端に当接し、これにより浸出チャンバ7と浸出チャンバ8との間の液密な実質的な密封が得られることが強調されるべきである。
【0011】
浸出チャンバ8は、底部壁5の部分15によって底部を画定され、中間壁6の外表面と側壁4の内表面とによって側部を画定され、蓋3の部分 23によって頂部を画定される。側壁4の内表面はわずかに上方に向かって広がっており、蓋3の直径は、組み立て後、浸出チャンバ8が液密に密封されるように、蓋3の周辺端部が側壁4の内表面に力で押し付けられるようになっていることが強調されるべきである。
【0012】
要するに、カプセル1は互いに対して液密に密封された2つの独立した浸出チャンバ7、8を有し、浸出チャンバ7、8はそれぞれ液体の入口領域と、液体の出口領域とを有する。
【0013】
図3を参照すると、カプセル1は、底部壁32と、円筒形状の側壁33とを有する下部カップ形本体31を含む濾過要素30に挿入されている。濾過要素30はまた、側壁33の上縁部を覆うプレート34を含む。濾過要素30は、このようにして、底部壁32の内表面によって底部を画定され、側壁33の内表面によって側部を画定され、プレート34の内表面によって頂部を画定される濾過チャンバ35を画定する。図3に示すように、カプセル1が濾過チャンバ35に挿入されると、プレート34は、壁厚部18、21に押し付けられ、カプセル1の蓋3に形成される2つの入口領域の間が密封される。プレート34はまた、側壁33の上縁部と、カプセル1の環状端部17とに対しても押し付けられる。このようにして、濾過チャンバ35から外部に対して密封が得られる。最後に、図3から分かるが、環状の突起15、16は、下部カップ形本体31の底部壁32の内表面に当接し、上記したカプセル1の2つの出口領域の間の液密な密封と、カプセル1の外表面と濾過チャンバ35との間に画定される空間に対する2つの出口領域の密封とが得られる。
【0014】
プレート34内に2つの貫通孔36、37が設けられる。貫通孔36、37のうち、貫通孔36はダクト8の一端が挿入される上端と、蓋3の部分22に対応し、よって、カプセル1の上記の第1の入口領域に対応する下端とを有する。特に、貫通孔36は、濾過チャンバ35の縦軸と一直線になるように得られ、よって、カプセル1の縦軸と一直線になるように設けられる。貫通孔37は、蓋3の部分23に対応し、よって、カプセル1の上記の第2の入口領域に対応する下端とを有する。下部カップ形本体31の底部壁32もまた、2つの貫通孔38、41を有する。貫通孔38、41のうち、貫通孔38はカプセル1の上記の第1の出口領域に対応する上端と、濾過チャンバ35の外部へ通じる下端とを有する。特に、貫通孔38は貫通孔36と一直線になるように設けられる。貫通孔41はカプセル1の上記の第2の出口領域に対応する上端と、濾過チャンバ35の外部へ通じる下端とを有する。特に、貫通孔41は貫通孔37と一直線になるように実現される。
【0015】
もし貫通孔36、37にそれぞれ別の水流が供給されるならば、カプセル1へ注入される浸出液ごとに2つの別箇の流路を画定することが可能である。第1の流路は、貫通孔36、浸出チャンバ7及び貫通孔38を提供する。第2の流路は、貫通孔37、浸出チャンバ8及び貫通孔41を提供する。この流路の分割は、2つの流路に同時に水を供給する可能性を含み、2つの水流はそれぞれに対応する浸出液に合流すると、混ざり合って濾過要素30の下に置かれた容器の中に流れ込む。あるいは流路の分割によって、第1の水流は第1の流路に沿って流れ、その後に第2の水流が第2の流路に沿って流れ、その結果、第2の浸出液を通る第2の水流が、第1の浸出液を通った第1の水流が既に入っている容器の中に落ちることになるかもしれない。最終的に、2つの浸出液は、上記の容器の中か、この容器の中へ送られる間か、又はその後に混ざり合うことができる。
【0016】
カプセル1の内部により多くの数のチャンバを設けることが可能であり、これによって複数の浸出液(各チャンバ毎に1の浸出液)を使用するだけでなく、同じカプセル1を用いて浸出液のどの混合物が飲料を構成するかを決定できることが明らかである。実際、どの流路に、どの流量で、どの水温で、対応する水流が供給されるべきかが選択されることが予想できる。
【0017】
本発明の主要な特徴は、カプセル1からの2つの別箇の出口領域を各浸出液毎に1つずつ提供することではあるが、さらなる変形例においては、蓋3の壁厚部21を設けないことも可能である。その結果、カプセル1の入口領域への水流は、貫通孔36と貫通孔37との間の単一の貫通孔を提供することが可能である。
【0018】
最後に、各出口領域の浸出チャンバのいくつか又はすべてに、浸出液の漏れを防止するフィルタを取り付けることが可能である。
【0019】
上記の説明から、本発明の実施形態により達成される多数の利点が明らかである。
【0020】
特に、いくつかのチャンバ(各チャンバ毎に1つの浸出液が収容される)を有し、各チャンバへ水流を送ることを可能にするカプセルが用意される。例えば、もし第1の浸出液がコーヒーパウダーによって定義され、第2の浸出液がミルクパウダー又は液体のミルクによって定義されるならば、得られる飲料は、普通のミルク入りコーヒーではなく本物のカプチーノであることは明らかであると思われる。各流路毎に水流の流量が選択可能であることが強調されるべきである。流量は、蓋3に設けられる貫通孔25、26の数と大きさによって決まる。環状に展開した浸出チャンバを用いれば、予め決められた取付説明書がなくてもカプセルを濾過要素に取り付けることが可能であることも明らかであると思われる。最後に、2つ以上のチャンバを有するカプセルの場合には、水流がどのチャンバを通るかを選択できる。
図1
図2
図3