(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078571
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】製品を処理する装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
H05H1/46 M
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-45390(P2015-45390)
(22)【出願日】2015年3月9日
(62)【分割の表示】特願2009-121573(P2009-121573)の分割
【原出願日】2009年5月20日
(65)【公開番号】特開2015-146317(P2015-146317A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2015年3月12日
(31)【優先権主張番号】12/123,954
(32)【優先日】2008年5月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴィ. ボールデン ザ セカンド
(72)【発明者】
【氏名】ルイス フィエロ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ディー. ゲテイ
【審査官】
鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−283343(JP,A)
【文献】
特開平08−148295(JP,A)
【文献】
特表2007−514275(JP,A)
【文献】
特表2002−531695(JP,A)
【文献】
特開昭63−247373(JP,A)
【文献】
特許第5713542(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00−1/54
C23C 16/00−16/56
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
源ガスから発生したプラズマで製品を処理する装置であって、その装置は、
排気可能空間と、その排気可能空間と連通するポンプポートと、を具備する真空チャンバと、
排気可能空間内に設けられた複数の電極であって、その複数の電極は複数の隣接する対をなす並列配置を有し、前記電極の前記複数の隣接する対の各々は、ギャップによって隔てられて複数の処理チャンバの各々を形成し、前記複数の電極の各々は外周を具備する前記複数の電極と、
前記真空チャンバの内側に設けられた複数のガス分配管であって、前記複数のガス分配管の各々は、前記複数の電極の各々の外周の内部に配置される注入ポートであって、前記複数の処理チャンバの各々の中に源ガスを注入するように構成されている前記注入ポートを具備する前記ガス分配管と、
前記複数の電極と電気的に接続されるプラズマ励起源であって、前記複数の処理チャンバの各々内において、該源ガスからプラズマを発生させるために電力を供給するようになっている前記プラズマ励起源と、
複数の流れ制限部材であって、前記複数の流れ制限部材の各々は、前記複数の電極の隣接する対の各々の間にある前記ギャップに位置し、前記複数の流れ制限部材の各々は、前記処理チャンバの各々から前記ポンプポートへ出る源ガスの流れを制限するように動作する流れ制限部材と、を備え、
前記製品のうちの少なくとも一つの製品は、前記複数の電極のうちの一の電極と前記複数の電極のうちの他の電極との間に位置し、前記少なくとも一つの製品の一の表面と前記少なくとも一つの製品の他の表面とがプラズマ処理されるように、配置される装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記装置はさらに、
処理チャンバ内に製品を保持するように構成された複数の製品ホルダを有するラックを備え、
前記複数の製品ホルダの各々は、少なくとも一の製品を保持するように構成され、前記流れ制限部材の各々は、それぞれ1つの前記製品ホルダと物理的に結合されている装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記ラックは、前記製品ホルダと前記ポンプポートとの間に前記処理チャンバに対して配置される底部板を有し、源ガスは、前記底部板の前記外周のまわりのそれぞれの前記処理チャンバから前記ポンプポートへ達するように流れ出るように制限される装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、
それぞれの前記流れ制限部材は、前記ギャップの部分に配置されたバーを具備し、前記バーは前記ギャップよりも僅かに狭い幅を有している装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記製品ホルダの各々は複数の十字部材を具備して少なくとも一の製品を支持するように構成され、前記バーは、少なくとも一の前記十字部材と前記隣接する対のそれぞれにおける前記電極の前記外周との間に配置されている装置。
【請求項6】
請求項2に記載の装置であって、
前記流れ制限部材の各々は、前記ギャップに配置されたバーと、前記バーを底部板に結合する複数の結合部材とを具備し、前記バーは前記隣接する対の各々において、前記電極の前記外周の内側に配置されている装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記装置は、さらに、
前記真空チャンバの内側のガス分配マニホールドであって、前記ガス分配管と流体的に連通するように結合されている前記ガス分配マニホールドを備えている装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記装置において、前記ガス分配マニホールドは、通路を具備し、前記ガス分配管の各々は前記通路と連通して結合され、
前記装置は、さらに、前記ガス分配マニホールドの前記通路に送られる源ガスの質量流量を調整するように構成された質量流量制御装置を備えている装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、
前記電極は一連の平行平面に配置され、前記ガス分配マニホールドの前記通路は前記一連の平行平面に対してほぼ垂直になっている装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、
前記ガス分配管の各々は、互いに斜めになっている複数の管状部分を具備する装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、
前記電極の各々は前記外周の内側に幾何学的中心を有し、前記ガス分配管の前記注入ポートは、前記電極の各々における前記幾何学的中心から1/2インチ内にある装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、
前記複数の電極の各々は、前記電極内に前記外周から延在する通路と、その通路内に電気的絶縁材を具備する管状スリーブと、を有し、前記装置は、
それぞれが前記複数の電極の各々の前記通路に配置される複数の導電部材であって、前記複数の導電部材の各々は前記外周の内側の或る位置にて前記電極の各々に電気的に接続され、前記電極を前記プラズマ励起源と電気的に接続し、前記複数の導電部材の各々は前記複数の電極の一と前記外周の内側の前記或る位置にて電気的な接触をするように前記管状スリーブから突出している先端を有する前記複数の導電部材と、を備えている装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、
前記電極の各々は幾何学的中心を前記外周の内側に有し、前記導電部材の各々に対する前記或る位置は前記電極の各々の前記幾何学的中心から1/2インチ内にある装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、プラズマ処理に関し、特に、均一性を強めて基板を処理するためのプラズマ処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理は、広範囲の用途において、使用される基板の表面特性を改変するためにしばしば使用され、それらには、限定はしないが、集積回路、電子パッケージ、及びプリント配線基板が含まれる。特に、プラズマ処理は、電子部品をパッケージするのに使用され、例えば、樹脂をエッチングし、ドリルスミアを除去し、表面活性を高め及び/又は表面清浄性を高め、膜の剥離や接着不良を解消し、ワイヤボンドの強度を高め、プリント配線基板に取り付けられるチップの下面の空洞を無くし、表面から酸化物を除去し、ダイの取り付けを高め、及び、チップ封入の接着を改善する。
【0003】
従来のプラズマ処理システムにおいては、真空チャンバの内側に複数の基板が配置され、真空チャンバは、排気されてから、源ガスの分圧で充填され、部分的に電離した源ガスからなるプラズマが真空チャンバの内部に発生し、それぞれの基板の表面は、プラズマの核種に曝される。最も外側の表面層の原子は、物理的スパッタリング、化学的補助スパッタリング、及びプラズマによる化学的反応促進によって、それぞれの基板から除去される。物理的又は化学的な作用は、表面を調質するのに使用され、付着などの特性を改善させ、選択的に異質な表面層を除去し、又は、基板の表面から不都合な汚染物を清掃する。
【0004】
多電極のプラズマ処理システムにおいては、材料の複数のパネルの両側が、バッチ処理にて、同時にプラズマ処理される。基板ホルダは、それぞれのパネルを、平坦な垂直電極の対の間に、垂直な向きに保持し、電極は、処理システムの処理チャンバ内に存在する適当な雰囲気で活性化されて、プラズマを発生する。それぞれの平坦な垂直電極とパネルにおける隣接する表面との間の環境は、ローカル処理チャンバに供給し、その中には、部分的に電離した源ガスが存在する。
【0005】
プラズマ処理は、プリント配線基板の製造中に使用され、様々な製造段階中にパネルを処理する。1つの用途においては、プラズマはドリル工程で生じるスミア(ドリルスミア)を除去するのに使用され、ドリルスミアは、残留高分子樹脂の形態を有し、機械的ドリル開け工程によって、スルーホール及びヴァイアの壁に沿って広がっている。これを緩和せずに残すと、ドリルスミアは、電極の銅メッキなどメッキ処理と干渉し、メッキ処理は、プリント配線基板の電気的接続を確立する金属化を形成するのに使用される。また、プラズマは、プリント配線基板に使用される高分子の表面を活性化するためにも使用され、スルーホール及びヴァイアの壁に適用されるメッキによる金属化の湿潤性及び層状化を改善する。また、プラズマは、微細なピッチの金属化ラインをプリント配線基板上にパターニングするとき、また、金属化のためにポリイミドなどの可撓性材料の内部層を準備するために、フォトレジストの残留物を除去するのにも使用される。また、プラズマは、プリント配線基板が、めくら穴のヴァイアを形成するためにレーザドリルされるときには、炭素残留物を除去するのに使用される。
【0006】
多電極のプラズマ処理システムを用いて、プラズマ処理されるパネルはかなり大型なこともある。例えば、パネルは矩形の外周を有し、約26インチの幅と、約32インチの長さとによって特徴付けられる。従来技術の処理システムによって達成されていた、それぞれのボードの全面領域に応じたプロセスの均一性は、それらの意図する目的には充分であっても、技術の進歩によってプリント配線基板上の相互結合の密度が増加すると不十分になる。別の難点は、それぞれの異なる処理チャンバにおいて、パネルを均一に処理することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のプラズマ処理システムは、それらの意図する目的には適切であったけれども、それぞれのプリント配線基板、及び任意の単一のボードのロットで処理された複数のプリント配線基板の全面領域にわたって処理の均一性を改善できる、プラズマ処理システムを求めるニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態においては、装置は、源ガスから発生したプラズマを用いて、製品を処理する。装置は、排気可能空間を備えた真空チャンバと、排気可能空間と連通するポンプポートと、源ガスを排気可能空間に導入するように構成された少なくとも1つのガスポートとを具備している。複数の電極は、排気可能空間の中に配置される。電極は、並列配置を有し、排気可能空間に複数の処理チャンバを形成する。それぞれの電極は、外周を具備している。プラズマ励起源は、電極を駆動するように構成され、それぞれの処理チャンバの中で、源ガスからプラズマを発生させる。装置はさらに、複数の導電部材を具備している。それぞれの導電部材は、それぞれ1つの電極を、プラズマ励起源に電気的に接続させる。それぞれの導電部材は、外周の内側の位置にて、それぞれ1つの電極に電気的に接続されている。
【0009】
別の実施形態においては、装置は、源ガスから発生したプラズマを用いて、製品を処理する。装置は、排気可能空間を備えた真空チャンバと、排気可能空間と連通するポンプポートとを具備している。複数の電極は、複数の隣接する対において、排気可能空間の中に並列配置にて位置し、排気可能空間の中に複数の処理チャンバを形成している。それぞれの電極の隣接する対は、ギャップによって隔てられ、それぞれ1つの処理チャンバを形成している。それぞれの電極は、外周を具備している。真空チャンバの内側には、複数のガス分配管が配置される。それぞれのガス分配管は、注入ポートを具備し、電極の外周の内側にてそれぞれ1つの処理チャンバの中に源ガスを注入するように構成されている。プラズマ励起源は、電極に電気的に接続される。プラズマ励起源は、電極を駆動するように構成され、それぞれの処理チャンバの中で、源ガスからプラズマを発生させる。装置はさらに、複数の流れ制限部材を具備している。それぞれの流れ制限部材は、それぞれ1つの隣接する電極の対の間のギャップに配置されている。それぞれの流れ制限部材はギャップを減少させるように動作して、それぞれの処理チャンバからポンプポートへ出る源ガスの流れを抑制する。
【0010】
別の実施形態においては、装置はさらに、ガス分配管及び流れ制限部材に加えて、複数の導電部材を具備している。それぞれの導電部材は、それぞれ1つの電極を、プラズマ励起源に電気的に接続する。それぞれの導電部材は、外周の内側の位置にて、それぞれ1つの電極と電気的に接続されている。
【0011】
添付図面は、本願に組み込まれてその一部を構成し、本発明の実施形態を例示し、上述した本発明の一般的な説明と、以下の本発明の詳細な説明とを合わせて、本発明の原理を説明するために役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態による、多電極のプラズマ処理システムを示した前面斜視図である。
【
図2】
図1のプラズマ処理システムの真空チャンバを示した背面斜視図である。
【
図3A】
図2の真空チャンバを示した側面図であって、隣接する電極の対における一方の電極と、電極に取り付けられたガス分配管とを示している。
【
図3B】
図3Aと同様な側面図であって、隣接する電極の対における他方の電極と、電極に取り付けられたガス分配管とを示している。
【
図4】
図3Aの一部分の拡大図であって、多電極のプラズマ処理システムにおいて、異なる電極と関連したガス分配管に処理ガスを分配するのに使用される、ガス分配マニホールドを示している。
【
図5】多電極のプラズマ処理システムにおける電極と製品ホルダとを示した端面図であって、製品ホルダによって保持される製品は、図面の明瞭化のために省略して示している。
【
図5A】
図5の一部分を示した拡大図であって、製品が、隣接する対をなす電極の間に見えており、隣接する対をなす電極の間の製品ホルダによって保持されている。
【
図6】製品ホルダのラックを示した斜視図であって、多電極のプラズマ処理システムの内側の処理チャンバの中の処理位置に、製品を保持するのに使用される。
【
図7A】
図1の多電極のプラズマ処理システムの部分的断面図であって、隣接する電極の対における電極を駆動するのに使用される導電部材を示している。
【
図7B】
図7Aに類似した部分的断面図であって、隣接する電極の対における他の電極を駆動するのに使用される導電部材を示している。
【
図8】
図7Aの一部分を示した拡大図であって、電極の内側の導電部材と、導電部材のチップを電極に電気的及び物理的に結合させた詳細を示している。
【
図9】
図7Aの別の部分を示した拡大図であって、接合ブロックの箇所の導電部材の結合の詳細を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1、
図2、
図3A、
図3B、及び
図5を参照すると、同様な特徴には対応する参照符号を付しており、プラズマ処理システム10は、キャビネット又はエンクロージャ12と、真空チャンバ14と、真空チャンバ14の側壁13によって取り囲まれた排気可能空間16とを具備している。排気可能空間16には、真空チャンバ14のアクセス開口部18を通してアクセスする。チャンバドア15を開くと、アクセス開口部18が現れ、これを通して、排気可能空間16にアクセスし、ドアを閉じると、気密シールが提供され、排気可能空間16を周囲の周辺環境から隔離する。チャンバドア15は、真空チャンバ14の1つの側部縁部に沿って配置された蝶番によって、アクセス開口部18に隣接して取り付けられ、ラッチ20を支持し、チャンバドア15が閉じた位置にあるとき、真空チャンバ14の別の部分に係合する。ラッチ20は、真空チャンバ14の残りとシールされた係合において、チャンバドア15を固定するために使用される。密封部材22は、チャンバドア15の外周を取り囲み、密封された係合の媒介となる。真空チャンバ14は、高真空用途に適した導電材料、例えば、アルミニウム合金又はステンレス鋼から形成され、電気的に接地される。
【0014】
真空チャンバ14の内側に形成された排気可能空間16は、真空ポンプシステム26によって、真空チャンバ14の底壁を通して貫通するポンプポート23を通して排気される。真空ポンプシステム26は、エンクロージャ12の内側に配置され、又は、エンクロージャ12に隣接した床上に配置され、真空配管27によって、ポンプポート23に結合され、ポンプポート23と真空配管27との間の直径の相違を調整するための円錐形のリデューサ29を具備している。真空ポンプシステム26は、1又は複数の真空ポンプを備え、真空技術の当業者によって認識されるような、構造及び動作を有している。例えば、真空ポンプシステム26は、回転翼ポンプと、ルーツ送風機とを具備し、これらが協働して、真空チャンバ14の内部の真空圧を低いミリトール範囲に確立及び維持する。処理中には、真空チャンバ14は、例えば、約200ミリトールから約300ミリトールの範囲の真空圧に排気される。真空ポンプシステム26を使用して、パネル交換のために、空間16が通気される毎に、排気可能空間16から周辺ガスを排気する。
【0015】
プラズマ処理システム10は、公称的に同一である複数の電極28を具備し、真空チャンバ14と、代表的には高周波(RF)発生器30の形態であるプラズマ励起源との内側に配置される。電極28は、後述するように、RF発生器30と並列に電気的に接続され、真空チャンバ14は、駆動されない接地された対電極として働く。RF発生器30は、インピーダンスマッチング装置を具備し、RF電力供給源は、例えば、約40キロヘルツの周波数にて動作するが、ただし、kHzからMHzの範囲の他の動作周波数を使用することも可能である。電極28に供給される電力は、40kHzの場合には、約4,000ワットから約8,000ワットの範囲である。しかしながら、当業者が認識するように、システム10は、異なるバイアス電力の分配を許容するように変更され、又は、代わりに、直流(DC)電力供給を利用することも可能である。
【0016】
電極28は、真空チャンバ14の1つの側壁13から吊下され、電極28の並列配置された対25の間に均一な間隔を有している。個別化された処理チャンバ又はセル52(
図5)は、並列配置された電極28におけるそれぞれの隣接する対25の間の空間によって形成されている。周囲の最も外側の電極28を除いた、それぞれの電極28は、最も近い隣接する電極28と共に、隣接する対25を形成する。それぞれの周囲の最も外側の電極28は、隣接する対25の1つを形成するだけである。
【0017】
電極28は、中実の金属板で代表される形態を有し、例えば、厚みは約0.5インチ(約1.3センチメートル)であり、長さLと幅Wとで特徴付けられる矩形の幾何学的形状になっている。電極28を形成している金属、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金は、比較的高い電気導電性と、効率的な熱伝達を促進する比較的高い熱伝導性とによって特徴付けられる。電極28は、側面の関係において配置され、それぞれの隣接する対25における隣接する電極28は、ほぼ平行な平面に向けられている。
【0018】
図5及び
図6に最も良く示されているように、プラズマ処理システム10は、複数の製品ホルダ38を備えたラック36を具備し、製品ホルダは公称的に同一であり、真空チャンバ14の内側に、代表的にはパネル40の形態である製品を支持するように構成されている。それぞれのパネル40は、ラック36における1つの製品ホルダ38に挿入可能になっている。ラック36は、真空チャンバ14の外部にあるときには、移動が容易なように、カート(図示せず)に載せて運搬される。ラック36が1回のロット又はバッチのパネル40で満たされた後、チャンバドア15が開かれて、ラック36は、カートから、真空チャンバ14の内側の軌道46に移送される。移送に続いて、ラック36は、真空チャンバ14の内側に配置され、チャンバドア15が閉められて、密封された環境を提供し、真空ポンプシステム26による排気の準備が出来たことになる。ラック36は、カート上に支持されている間、可動である。ラック36のパネル40がプラズマ処理システム10で処理されている間に、ラック36と同様な別のラック(図示せず)に、別のバッチのパネル40が装填され、ラック36が処理後に取り出された後、直ちに、真空チャンバ14に装填されて、より多くのパネル40が処理される。
【0019】
装填後には、それぞれの処理セル52の中に1つのパネル40が配置され、プラズマ処理システム10が動作しているとき、それぞれのパネル40の両面48,50はプラズマ処理される。真空チャンバ14の内側において、ラック36の製品ホルダ38によって支持されている間には、パネル40は、電極28を含むそれぞれの平面に対して略平行な、それぞれの平面に向けられる。パネル40の一方の平面48は、それぞれの隣接する対25において並列配置された電極28の一方の表面49と対峙する。パネル40の他方の表面50は、それぞれの隣接する対25において並列配置された別の電極28の表面51と対峙する。それぞれの電極28は外側縁部又は外周24を有し、パネル40の外側縁部は、電極28の隣接する対25の外周の内側に配置される。パネル40は、電極28に対して、及び、真空チャンバ14に対して、電気的に浮いた状態にある。
【0020】
図3A、
図3B、
図4、及び
図5を参照すると、同様な特徴には対応する参照符号を付しており、プラズマ処理システム10は、源ガス分配システムを具備し、源ガスを処理セル52におけるそれぞれの隣接する並列配置された電極28の対25の間に届けるように構成されている。源ガス分配システムは、源ガス供給源56、質量流量制御装置58、真空チャンバ14の内側のガス分配マニホールド60と、同じく真空チャンバ14の内側に配置された複数のガス分配管62とを具備している。源ガス供給源56と質量流量制御装置58とは、分配配管64によって、単一のガス入口65に結合され、
図4に最も良く示されるように、ガス分配マニホールド60の内側のキャビティによって形成された通路66として働く。ガス分配マニホールド60及び通路66は、真空チャンバ14の幅に沿って延在し、それぞれのガス分配管62の片端61の開口部(図示せず)は、取付具68によって、対応するオリフィス70に結合され、ガス分配マニホールド60の壁を通して貫通し、通路66と連通している。
【0021】
質量流量制御装置58は、質量流量を確立するために使用され、ガス分配マニホールド60の通路66に届けられる源ガスを計量する。質量流量制御装置58は、当業者が理解する構造を有し、フィードバックループ制御を備え、管状導管に届けられる供給管の中を流れる源ガス又はガス混合物について、選択された圧力設定を維持する。源ガス供給源56からの質量流量制御装置58で計量された源ガスの流れは、単一の入口にて、ガス分配マニホールド60に届けられ、次に、通路66から異なるガス分配管62へ、ガス分配マニホールド60によって分配される。この構成によれば、単一の質量流量制御装置58によって、計量されるべきすべての処理セル52に、源ガスが分配される。
【0022】
質量流量制御装置58によって提供されたガスの流量と、真空ポンプシステム26のポンプ流量とは、調整されて、それぞれの処理セル52の中に真空圧を提供し、これはプラズマ発生に適し、その次にはプラズマ処理が持続される。真空チャンバ14は、源ガスの導入と同時に排気され、新鮮なガスが真空チャンバ14の内部で絶えず交換される。
【0023】
変形例の実施形態においては、複数のガス供給源(図示せず)が、入口からガス分配マニホールド60に結合されている。それぞれの追加的な源ガス供給源によって、ガス分配マニホールド60に届けられる源ガスの質量流量は、専用の質量流量制御装置(図示せず)によって調整される。1つの特定の実施形態においては、プラズマ処理システム10は、最大5台の質量流量制御装置と、5つの独立したガス供給源とを具備している。異なる源ガス供給源は、異なるプロセス手法に用いるために、ガス混合物において様々なガス比率を発生させるために使用される。
【0024】
引き続き、
図3A、
図3B、
図4、及び
図5を参照すると、ガス分配管62は、公称的に同一であって、源ガスをそれぞれの処理セル52に届けるように構成され、電極28の外周24の略内側の位置にて、それぞれの隣接する電極28の対25の間の表面49,51の間に源ガスを届ける。それぞれのガス分配管62は、取付具68によってガス分配マニホールド60のオリフィス70の1つに結合された開口部を有する端部61と、別の開口部63aの端部63との間に延在している。それぞれの開口部63aは、注入ポートを形成し、1つの処理セル52に入る。それぞれのガス分配管62は、端部61の開口部にて終端する、第1の管状部分72と、端部63の開口部63aにて終端する、第2の管状部分74と、第1及び第2の管状部分72,74を接続する、第3の管状部分76とを具備している。それぞれのガス分配管62は、屈曲しており、管状部分72,76の交差部にて、概略直角の屈曲部を形成し、管状部分74,76の交差部にて、別の概略直角の屈曲部を形成している。その結果、管状部分72,74,76は、互いに対して斜めになっている。
【0025】
ガス分配管62の1つは、一組のブラケット78によって、それぞれの電極28の表面49に、物理的に取り付けられている。別のガス分配管62は、別の組のブラケット78によって、それぞれの電極28の表面51に、物理的に取り付けられている。その結果、ガス分配管62の1つは、ブラケット78によって、それぞれの電極28の両面49,51に取り付けられ、2つの異なる電極28に取り付けられた2つのガス分配管62は、源ガスをそれぞれの処理セル52へ届ける。1枚のパネル40が、電極28の1つの隣接する対25の間に配置されたとき、隣接する対25の一方の電極28上の1つのガス分配管62は、一方の表面48,50を処理するのに使用されるプラズマのための源ガスを届け、隣接する対25の他方の電極28上の1つのガス分配管62は、他方の表面48,50を処理するのに使用されるプラズマのための源ガスを届ける。もちろん、1つだけのガス分配管62を、平行板の電極アレイにおける、周辺の最も外側の電極28に取り付けてもよい。
【0026】
それぞれのガス分配管62の端部63における開口部63aは、電極28の外周24の内側に境界をなす平面において、空間的座標(x,y)に物理的に配置されている。x座標は、電極28の対向する横方向の縁部42,44の間の位置として特定され、y座標は、電極28の上部と底部の縁部41,43の間の位置として特定される。1つの実施形態においては、それぞれのガス分配管62の端部63の開口部63aは、それが取り付けられる表面49,51の、幾何学的中心に概略配置される。特定の実施形態においては、それぞれのガス分配管62の端部63の開口部63aは、それが取り付けられる表面49,51の幾何学的中心のおよそ0.5インチの箇所に配置される。代表的な矩形の幾何学形状においては、それぞれのガス分配管62の端部63の開口部63aは、それぞれ1つの表面49,51の長さLの半分と幅Wの半分との位置に概略配置される。
【0027】
それぞれのガス分配管62の全長は、管状部分72,74,76の個別の長さと、屈曲の傾斜とを調整することで、計画的に仕立てられ、これは、プラズマ処理システム10におけるそれぞれの処理セル52へ適切な流量のガスを確立する要因であると信じられている。別の要因は、それぞれのガス分配管62を形成するように屈曲された導管の内径と共に、ガス分配マニホールド60のオリフィス70の直径であると信じられている。1つの実施形態においては、それぞれのガス分配管62の全長は、約21インチ(約53センチメートル)であり、それぞれのガス分配管62の内径は、約0.15インチ(約0.38センチメートル)である。ガス分配管62には、その長さに沿った孔は無く、ガス注入箇所は、端部63の開口部63aだけになっている。別の実施形態においては、ガス分配管62は、その長さに沿った異なる位置に、複数のガス注入箇所を具備している。
【0028】
図5、
図5A、及び
図6を参照すると、同様な特徴には対応する参照符号を付しており、プラズマ処理システム10は、処理セル52からプラズマの部分的に電離した源ガスの逃げを遅らせる特徴を具備している。ラック36におけるそれぞれの製品ホルダ38は、水平上部バー80と、代表的な形態における後部ロッド84の垂直部材と、代表的な形態における一対の前部ロッド86,88の垂直部材とによってフレームが形成されている。ラック36はさらに、底部板82を具備し、製品ホルダ38とポンプポート23との間に配置されている。後部ロッド84は、ラック36が排気可能空間16に配置されたとき、真空チャンバ14の後部側壁13の近くに配置され、上部バー80の一端を底部板82に結合する。前部ロッド86,88は、ラック36が排気可能空間16の中に配置され、チャンバドア15が閉じられたとき、真空チャンバ14のチャンバドア15の近くに配置され、上部バー80の反対側の端部を底部板82に結合させる。
【0029】
それぞれの製品ホルダ38における上側及び下側の十字部材89,90は、ロッド84,86,88に機械的に結合され、協働して、1つのパネル40を支持する。少なくとも1つの十字部材89,90は、ロッド84,86,88に沿って垂直に可動になっており、ロッド84,86,88及び十字部材89,90によって形成された開口部の領域を調整し、それにより、異なるサイズのパネル40を収容する。
【0030】
それぞれの上部バー80と、それぞれの組のロッド84,86,88と、底部板82と、それぞれの隣接する対25の電極28とは、集合的に、1つの処理セル52の境界をなし又は取り囲み、それにより、協働して、プラズマの部分的に電離した源ガスを、それぞれの処理セル52の中に閉じ込める。それぞれの上部バー80と、それぞれの組のロッド84,86,88と、底部板82と、それぞれの隣接する対の電極28とは、部分的に電離した源ガスが、処理セル52の1つから逃げる能力を遅らせる。電極28の外周24の内側の注入箇所に、それぞれのガス分配管62から源ガスを注入することで、異なる処理セル52に閉じ込めることを促進する。電極28の固体の性質は、異なる処理セル52の間に源ガス及びプラズマがクロスフローするのを禁止し、また、源ガス及びプラズマを閉じ込め、処理セル52から源ガス及びプラズマをゆっくりと逃がすように動作する。底部板82は、同じく固体の物体であり、流れ偏向器として動作し、処理セル52からポンプ送出された源ガスが、ポンプポート23に移行して外周83のまわりに流れるのを抑制する。逃げ速度を減少させると、従来の処理システムによって達成される結果に比べて、それぞれのパネル40の全面領域にわたって、プラズマ処理の均一性が高められると信じられている。
【0031】
上部バー80、ロッド84、及びロッド86,88は、それぞれの製品ホルダ38に関連し、障害物として動作して、それぞれの隣接する電極28の対25の間のギャップGのそれぞれの部分を効果的に幅狭にする。1つの実施形態においては、それぞれの上部バー80は、約1.75インチ(約4.4センチメートル)の幅を有し、それぞれの隣接する電極28の対の表面49,51の間に、約2インチ(約5.1センチメートル)の分離を有しており、上部バー80の両側のギャップは、約0.125インチ(約0.32センチメートル)になっている。
【0032】
図5Aに最良に示されているように、それぞれの上部バーの上面81は、それぞれの隣接する対25をなす電極28のそれぞれの上面又は縁部92,93に比べて、距離dだけ低く配置されている。上部縁部92,93は、それぞれの隣接する電極28の対25における周囲24の部分を形成し、それぞれの電極28の両面49,51を結合する。1つの実施形態においては、上部バー80の上面81は、隣接する電極28の対25のそれぞれの上部縁部92,93から、少なくとも0.375インチ(少なくとも0.95センチメートル)又はこれより低く配置され、これは、処理セル52の内部にガスを閉じ込めることを高めると信じられている。後部ロッド84は、隣接する電極28の対25の側縁と概略同一平面上にある。同様に、前部ロッド86,88は、隣接する電極28の対25の側縁と、概略同一平面にある。後部ロッド84は、前部ロッド86,88に比べて、大きな直径を有する。
【0033】
図7A、
図7B、及び
図8を参照すると、同様な特徴には対応する参照符号を付しており、プラズマ処理システム10は、RF発生器30からそれぞれの固体電極28の内部に電力を送るように動作する特徴を具備している。電力は、RF発生器30から、一対の高電圧電気フィードスルー100,102に届けられ、真空チャンバ14の1つの側壁13を貫通している。高電圧電気フィードスルー100,102は、真空気密方法において、RF信号を側壁13に通す。ガードボックス101,103(
図2)は、真空チャンバ14の外部に取り付けられ、RF発生器30と、高電圧電気フィードスルー100,102との間の外部結合をシールドするように動作する。代表的な実施形態においては、RF発生器30におけるRF電源は、二重出力電源である。交互電極28は、一緒に母線で結ばれ、同じく母線で結ばれた他方の交互電極28に対して、180度位相がずれた電力を供給される。その結果、公称エッチング速度は、それぞれの隣接する電極28の対25の間に配置された、パネル40の両側において同様である。
【0034】
真空チャンバ14の内側にある母線バー104は、フィードスルー100と電気的に結合されている。真空チャンバ14の内側にある他の母線バー106は、フィードスルー102と電気的に結合されている。母線バー104,106は、電極28の上方にて、真空チャンバ14の幅を横切って延びており、交互電極28のそれぞれの組との電気的接続の確立を容易にする。それぞれの隣接する対25における1つの電極28は、導電部材108,110によって、母線バー104に接続されている。導電部材112,114は、それぞれの隣接する対25における他方の電極28を母線バー106に接続している。
【0035】
電力母線通路115は、それぞれの隣接する対25における一方の電極28に形成されている。同様に、電力母線通路116は、それぞれの隣接する対25における他方の電極28に形成されている。通路115,116は、ガンドリルで開けられためくら穴の通路である。電力母線通路115,116は、それぞれの電極28の表面49,51の間に配置され、それぞれの外周24を遮断している。導電部材110は、それぞれの隣接する対25における一方の電極28の電力母線通路115の内側に配置されている。同様に、導電部材114は、それぞれの隣接する対25における他方の電極28の電力母線通路116に配置されている。導電部材110,116と、電力母線通路115,116とは、協働して、それぞれの隣接する対25における電極28の内部母線を許容する。
【0036】
導電部材110の1つの周辺端部は、チップ111を具備し、例えば、溶接によって、電力母線通路116の領域に物理的に結合され、導電部材110が電極28に電気的に接続される箇所を確立する。この箇所は、電極28の外周24によって区画される平面において、座標(x,y)を有する。チップ111は、電極28の幾何学的中心に概略配置される。代表的な矩形の幾何学形状の電極28においては、チップ111は、表面49,51のそれぞれ1つの、およそ長さLの半分及び幅Wの半分に配置(すなわち、終端)する。1つの実施形態においては、幾何学的中心の0.5インチ以内の位置において、電極28に結合される。同様に、導電部材114の1つの周縁は、チップ111と同様なチップ113を具備し、電力母線通路116の領域に物理的に結合され、導電部材114をそれぞれの電極28に電気的に接続する。変形例の実施形態においては、チップ111,113は、それぞれの電極28に、ねじ結合を用いて、又はセットねじを用いた結合で、結合される。
【0037】
導電部材110は、比較的高い導電性をもったロッド形状の導電体から形成された円筒形コア98(
図8)と、比較的低い電気導電性によって特徴付けられる絶縁体から形成された管状スリーブ118とを具備している。管状スリーブ118は、電気導電コア98の外面96(
図8)を取り囲んでいる。管状スリーブ118は、導電部材110の電気導体を、電力母線通路115の側壁を取り囲む、電極28の電気導体材料から絶縁する。チップ111は、管状スリーブ118によって覆いを取られる。その結果、導電部材110のチップ111だけが、電極28との電気的接続を有している。導電部材114は、導電部材110と同様であり、導電体から形成されたコア(図示せず)を具備し、また、管状スリーブ118と同様な管状スリーブ120をコアの外面に具備している。
【0038】
導電部材110は、電極28に対して横方向に延在し、外周24に向かい、電力母線通路115を通して、チップ111とは反対側の周縁122に延びている。導電部材110の外面96は、チップ111と周縁122との間に長手方向に配置されている。周縁122は、電極28の外周24を越えて外方へ突出し、管状スリーブ118によって被覆されていない。接合箱126は、導電部材110の露出した周縁122を、導電部材108に結合し、母線バー104から導電部材110への導電経路を提供している。別の接合箱128は、電力母線通路116から突出した、導電部材114の周縁(図示せず)を、導電部材112に結合し、母線バー106から導電部材114への導電経路を供給する。
【0039】
管状スリーブ118,120を構成する電気絶縁材料は、任意の適当な絶縁材料から構成される。例えば、管状スリーブ118,120は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの高分子フルオロカーボン材料からなり、これは、TEFLON(登録商標)の商品名にて商業的に入手可能な、テトラフルオロエチレンのホモポリマーである。変形例としては、管状スリーブ118,120は、MYLAR(登録商標)の商品名にて商業的に入手可能な、ポリエチレンテレフタレートエステル(PETE)から構成される。1つの実施形態においては、それぞれの電力母線通路115,116は、約0.25インチ(約0.64センチメートル)の直径を有し、導電部材108,110,112,114は、アルミニウム又はアルミニウム合金から構成され、管状スリーブ118,120は、PTFEの管から構成されて、導電部材110,114に摺動させてかぶせられる。
【0040】
プラズマ処理システム10は、制御装置132を具備し、これは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、又は他のマイクロプロセッサベースの装置であって、中央演算装置がメモリに格納されたソフトウェアを実行することができ、本願で説明されるような、当業者が理解する機能を実行できるものである。制御装置132は、エンクロージャ12の内側に配置され、プラズマ処理システム10の様々な構成要素に接続され、プラズマ処理の制御を容易にしている。ヒューマンマシンインターフェース(HMI)は、公知の方法で、制御装置132に機能的に接続されている。HMI134は、出力装置、例えば、英数字表示装置、タッチスクリーン、及びその他の視覚的インジケータを具備すると共に、入力装置及び制御手段、例えば、タッチスクリーンインターフェース、英数字キーボード、ポインティングデバイス、キーパッド、押しボタン、制御ノブなどを具備し、オペレータによる命令又は入力を受け付けて、入力された値を制御装置132の中央演算装置へ伝達する。制御装置132は、標準的な通信バスを備え、プラズマ処理システム10と共に、生産ラインにおいて使用されるその他の自動化機器と互換性を有している。
【0041】
それぞれの電極28は、通路136のネットワークを具備し、プラズマを発生させるとき加熱される中実金属板の温度を調整するために使用される。蒸留水又は別の適当な熱交換流体が、通路136のネットワークに通してポンプ送出され、通路は、ガンドリルで中実金属板で形成される。通路136の一方は、入口配管138に結合され、通路136の他方は、出口配管140に結合され、真空チャンバ14の壁を貫通する関連する流体フィードスルー141,143を有している。流体フィードスルー141,143は、熱交換流体に連通し、大気圧の環境から、排気可能空間16にシールされた方法で入る。入口及び出口の配管138,140は、機械的な支持を提供し、真空チャンバ14の中に電極28を吊下する。入口分配管142と出口分配管144とは、真空チャンバ14の外部において、それぞれ蛇口を有し、一定長さの配管で、電極28のそれぞれの内側の通路136として働く、入口及び出口の管138,140に接続されている。
【0042】
電極28の温度は、それぞれの通路136を通る熱交換流体の循環によって調整される。このため、熱交換流体は、熱交換器(図示せず)から供給され、入口分配管142の入口ポートに至り、それぞれの入口管138に分配される。熱交換器は、熱交換流体の流量及び温度を調整し、所望の効果に応じて、電極28を加熱又は冷却する。動作中には、電極28とパネル40との間にて熱が伝達することから、電極28の温度調整は、プラズマ処理中にパネル40の温度を有益に調整するために使用される。
【0043】
使用に際しては、
図1乃至
図8を参照すると、ラック36の製品ホルダ38は、真空チャンバ14の外部の位置にてパネル40を装填され、真空チャンバ14は大気圧に通気して、チャンバドア15を開いてアクセス開口部18を露出させ、アクセス開口部18を通して、ラック36を真空チャンバ14内に搬送する。アクセス開口部18は、チャンバドア15を閉めて、ラッチ20を係合させることでシールされる。それぞれのパネル40は、1つの製品ホルダ38によって、隣接する対25の1つの電極28の間に支持される。
【0044】
真空チャンバ14の内側の排気可能空間16に存在する大気のガスは、真空ポンプシステム26を用いて排気される。源ガスの流れは、源ガス供給源56からガス分配マニホールド60に供給され、質量流量は、質量流量制御装置58によって計量され、一方、真空ポンプシステム26を用いて真空チャンバ14は能動的に排気される。源ガスは、それぞれの隣接する電極28の対25に働く、それぞれのガス分配管62の端部63の開口部63aから、それぞれの処理セル52に注入される。それぞれの源ガス注入箇所は、電極28の周囲24の内側にあり、1つの実施形態においては、1つの電極28のそれぞれ1つの表面49,51の幾何学的中心又は中心箇所に概略配置されている。その結果、一方のガス注入箇所は、それぞれのパネル40の表面48と、それぞれの隣接する対25における一方の並列配置された電極28の表面49との間に設けられ、他方のガス注入箇所は、それぞれのパネル40の表面50と、それぞれの隣接する対25における他方の並列配置された電極28の表面51との間に設けられる。
【0045】
いったん、所望の処理圧力に達し、真空チャンバ14の内側が安定化すると、RF発生器30が活性化されて、電極28に電力を供給する。電力は、導電部材110,114によって、それぞれの周囲24の内部にある、隣接する対25におけるそれぞれの中実の電極28の内側の位置に届けられ、1つの実施形態においては、概略それぞれの電極28の幾何学的中心又は中心箇所にある。それぞれの隣接する電極28の対25の間に存在する源ガスは、印加されたRFエネルギーによって部分的に電離して、それぞれの処理セル52の中で局所的に、プラズマを発生する。それぞれの処理セル52の内側にあるプラズマは、イオン、電子、遊離ラジカル、及び中性化学種からなる、部分的に電離した源ガスを代表する。それぞれの上部バー80と、それぞれの組のロッド84,86,88と、底部板82と、それぞれの隣接する電極28の対25とは、1つの処理セル52を取り囲み、協働して、プラズマの部分的に電離した源ガスを、それぞれの処理セル52の内部に閉じ込めて、そのために、それぞれの処理セル52から部分的に電離した源ガスが逃げる速度を減少させる。
【0046】
パネル40は、充分な時間、処理セル52の中でプラズマにさらされ、パネル40の露出した両面48,50が処理される。プラズマを構成する電離ガス混合物は、高い反応性を示し、パネル40と反応するプラズマの能力を促進し、定められたプラズマ処理を実行する。プラズマ発生活性化核種は、イオン衝突による物理的処理と共に、ラジカル/副産物の化学的反応による化学的処理を実行する。特定の源ガス又は源ガスの組合せを条件として、パネル表面48,50には、異なる反応が生じ得る。プロセス手法は、プラズマ処理の性質に応じて変更される。プリント配線基板の用途においては、パネル40の表面48,50における化学的反応が用いられて、ドリルスミア及びレジスト屑を除去し、薄層及び説明の付着のための濡れ性を向上させる。処理が完了した後には、チャンバドア15は開かれて、アクセス開口部18を露出させ、処理済みのパネル40を支持しているラック36は、真空チャンバ14から取り出され、処理済みのパネル40は、ラック36から除荷され、別の処理段階に行く。
【0047】
“垂直”、“水平”などの用語の参照は、例示的であって、限定的ではなく、参照の枠組みを確立するためのものである。本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、様々なその他の参照の枠組みも使用できることを理解されたい。電極28は垂直に配置されると説明したけれども、当業者が認識するように、電極28は垂直以外の方位でもよい。
【0048】
本発明について、様々な実施形態の説明によって例示し、それらの実施形態は詳細であると考えられるけれども、特許請求の範囲の範囲をそうした詳細に制限し限定する意図はない。追加的な利点及び変更は、当業者にとって明らかである。本発明は、従って、その広い観点においては、特定の詳細、代表的な装置及び方法、及び図示して説明した例に限定されない。従って、本出願人の一般的な発明の概念の精神及び範囲から逸脱せずに、そのような詳細から逸脱することができる。本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定められるべきである。