【実施例】
【0038】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下において「%」は特に断りのない限り「質量%」である。
【0039】
以下の例において用いたゲル化剤、増粘剤および乳化剤は以下の通りである。
[ゲル化剤]
・寒天:低強度寒天、伊那食品社製、商品名:ウルトラ寒天、日寒式によるゼリー強度300g/cm
2、凝固点45℃、ゲルの融点85℃。
・ゼラチン:新田ゼラチン社製、商品名:ゼラチンGB250、JIS K6503によるゼリー強度250ブルーム、ゲル化点20℃、ゲルの融点25℃。
【0040】
[増粘剤類]
・増粘剤A:グアーガム、太陽化学社製、商品名:ネオソフト。
・増粘剤B:タマリンド種子多糖類、三栄源FFI社製、商品名:ビストップ。
・増粘剤C:ローカストビーンガム、三栄源FFI社製、商品名:ビストップ。
・増粘剤D:キサンタンガム、三栄源FFI社製、商品名:ビストップ。
【0041】
[乳化剤]
・乳化剤A:グリセリンモノ脂肪酸エステル、リケンビタミン社製、商品名:ポエム。
・乳化剤B:ポリグリセリン脂肪酸エステル、リケンビタミン社製、商品名:ポエム。
・乳化剤C:ショ糖脂肪酸エステル、三菱化学社製、商品名:リョートーシュガーエステル。
・乳化剤D:コハク酸モノグリセリド、花王社製、商品名:ステップ。
【0042】
<試験例1>
本例では、第1の組成物中のゼラチン含有量および寒天含有量をそれぞれ表3に示す通りに変化させてゲル状食品を製造した。
表1に第1の組成物の配合を示す。第1の組成物中における寒天の配合量(m)およびゼラチンの配合量(n)はそれぞれ表3に示す値(単位:質量%)とし、第1の組成物の全体が100質量%となるように溶解水の配合量で調整した。
なお表1、2には、各組成物を100質量%とするときの配合のほかに、第1の組成物と第2の組成物との混合物の全体を100質量%とするときの、該混合物中の各成分の含有量(単位:質量%)を合わせて示す。
【0043】
まず、表1に示す原料を混合し、125℃、15秒の条件で加熱殺菌を行った(工程a)後、タンクに連通する管内を流量4000L/時間で流動させながら20℃まで冷却し、10℃に保温設定されたタンクに一旦貯蔵した(工程b)。タンクから供給される第1の組成物を、45℃まで加熱した後(工程c)、25℃に冷却した(工程d)。工程aの加熱殺菌は、インフュージョン式加熱殺菌装置を用いて行った。
一方、表2に示す配合で第2の組成物を調製した。すなわち、表2に示す原料を混合して起泡性組成物を調製し、130℃、2秒の条件で加熱殺菌を行った後、冷却して5℃に設定された保温タンクに一旦貯蔵した。タンクから供給される起泡性組成物(5℃)をホイップして、オーバーラン200%の第2の組成物を得た。起泡性組成物の加熱殺菌は、プレート式加熱殺菌装置を用いて行った。起泡性組成物のホイップは、連続式ホイッパーを用いて行った。
【0044】
こうして得られた5℃の第2の組成物と、上記工程dで得た25℃の第1の組成物とを混合した(混合工程)。これらの混合比は第1の組成物:第2の組成物の質量比で70:30とした。混合後のオーバーランは55%であった。得られた混合物(第3の組成物)を市販のプリンカップに67gずつ充填した後、5℃に冷却してゲル化させプリン風味の気泡含有ゲル状物を得た(ゲル化工程)。さらに該気泡含有ゲル状物の上に、10℃のカラメルソースを20g充填した。その後、蓋をしてシールし、プリン風味の気泡含有ゲル状物とカラメルソースが容器に収容されたゲル状食品を得た。
【0045】
[評価方法]
下記の方法で充填性の評価と硬さの官能評価を行った。結果を表3に示す。表には充填性の評価(○、△、×)とゲル物の硬さの官能評価(1〜5)の結果を‐(ハイフン)を用いて併記する。
(充填性)第2の組成物と第1の組成物の混合物の物性について以下の基準で評価した。
○:充填した後に、表面が平らになる。
△:充填した後に、表面が平らにならず、充填した際の形が残ってしまう。
×:混合物の粘度が高すぎて充填が困難である。
(ゲル状物の硬さの官能評価)冷却してゲル化させた後の、気泡含有ゲル状物の性状について以下の基準で評価した。
0:全く固まっていない。カラメルソースが貫通する。
1:固まるが、ほとんど食感が残らない。カラメルソースが貫通する。
2:食べたときに硬さが感じられる程度に固まる。気泡含有ゲル状物の上にカラメルソース乗る。
3:食べたときに、ほどよい硬さが感じられる。気泡含有ゲル状物の上にカラメルソース乗る。
4:食べたときに、しっかりとした硬さが残る。気泡含有ゲル状物の上にカラメルソース乗る。
5:食感が硬すぎる。気泡含有ゲル状物の上にカラメルソース乗る。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
表3の結果に示されるように、第1の組成物中のゼラチンの含有量が0.35〜2質量%であり、かつ寒天の含有量が0.07〜0.7質量%である範囲で、充填性が良好であり、かつ気泡含有ゲル状物の硬さ(官能評価)が2〜4の良好な性状が得られた。
【0050】
<試験例2>
本例では、工程bにおける冷却条件を変化させてゲル状食品を製造した。
すなわち、試験例1において、第1の組成物中における寒天の配合量(m)を0.3質量%、ゼラチンの配合量(n)を1.5質量%とした。工程bにおいて、殺菌機からタンクまでの間の管内で、第1の組成物を流動させながら冷却する際の、流量および管の出口における第1の組成物の温度(出口温度)を表4に示すとおりに変化させた。その他は試験例1と同様にしてプリン風味のゲル状食品を製造した。
【0051】
[評価方法]
タンク内に貯蔵された第1の組成物の100mLを採取して目視で観察し、該第1の組成物の性状を以下の基準で評価した。結果を表4に示す。
×:第1の組成物中にゲル状のダマ物が存在する。
○:第1の組成物中にゲル状のダマは観察されず、均一な液体である。
【0052】
【表4】
【0053】
表4の結果に示されるように、工程bにおいて、第1の組成物を2000L/時間以上の流量で流動させながら、出口温度が40℃以下となるように冷却することにより、ゲル状のダマが存在しない均一な第1の組成物が得られた。
表4の結果において、評価が×であった第1の組成物を用い、試験例1と同様にしてプリン風味の気泡含有ゲル状物を製造したところ、食感においてゲル状のダマが残っている感じであった。
【0054】
<試験例3>
本例では、工程cにおける加熱条件を変化させてゲル状食品を製造した。
すなわち、試験例1において、第1の組成物中における寒天の配合量(m)を0.3質量%、ゼラチンの配合量(n)を1.5質量%とした。工程cにおいて、タンクから供給される第1の組成物を、表5に示す加熱温度まで温度上昇させた後(工程c)、20℃に冷却した(工程d)。その他は試験例1と同様にしてプリン風味のゲル状食品を製造した。
【0055】
[評価方法]
混合工程において、第2の組成物と第1の組成物とを混合したときに、(1)均一な混合物が得られるかどうかを下記の基準で評価した。また混合工程において均一な混合物が得られた場合には、さらに(2)該混合物をプリンカップに充填する際の物性について以下の基準で評価した。結果を表5に示す。
(混合物の均一性)
○:第2の組成物と第1の組成物とが均一に混ざる。
×:第2の組成物と第1の組成物とが均一に混ざらず、ゲル状のダマができる。
(充填性)
××:混合工程では均一に混ざるが、混ざった後にすぐに増粘して固まってしまう。
×:混合工程では均一に混ざるが、充填するまでに増粘して固まってしまう。
○:混合工程では均一に混ざり、かつ充填までゆるいクリーム状の物性を保つ。
【0056】
【表5】
【0057】
表5の結果に示されるように、工程cにおいて第1の組成物を30〜55℃に加熱することによって、混合工程後の混合物の均一性が良好になるとともに、混合工程後の増粘がゆるやかになり、良好な充填性が得られた。
また、加熱温度が20℃であると、混合工程において均一な混合物とならず、ゲル状のダマができた。これを充填後に冷却しても固まらなかった。
【0058】
<試験例4>
本例では、工程dにおける冷却条件を変化させてゲル状食品を製造した。
すなわち、試験例1において、第1の組成物中における寒天の配合量(m)を0.3質量%、ゼラチンの配合量(n)を1.5質量%とした。工程cにおいて、タンクから供給される第1の組成物を、45℃まで加熱した後(工程c)、表6に示す冷却温度まで温度を降下させた(工程d)。その他は試験例1と同様にしてプリン風味のゲル状食品を製造した。
【0059】
[評価方法]
混合工程において、第2の組成物と第1の組成物とを混合したときに、(1)均一な混合物が得られるかどうかを下記の基準で評価した。また混合工程において均一な混合物が得られた場合には、さらに(2)該混合物をプリンカップに充填する際の物性について以下の基準で評価した。結果を表6に示す。
(1)混合物の均一性
○:第2の組成物と第1の組成物とが均一に混ざる。
×:第2の組成物と第1の組成物とが均一に混ざらない。
(2)充填性
×:混合工程では均一に混ざるが、充填するまでに増粘して固まってしまう。
△:混合工程では均一に混ざるが、充填時に泡噛みを生じ、不均一な気泡となる。
○:混合工程では均一に混ざり、かつ充填までゆるいクリーム状の物性を保つ。
【0060】
【表6】
【0061】
表6の結果に示されるように、工程dにおいて第1の組成物を20〜25℃に冷却することによって、混合工程後の混合物の均一性が良好になるとともに、混合工程後の増粘がゆるやかになり、良好な充填性が得られた。また充填時の泡噛みが防止され均一な気泡含有ゲル状物が得られた。
第1の組成物を15℃に冷却した場合は、混合前に第1の組成物がゲル化してしまった。
【0062】
<実施例1>
まず、表1に示す配合で第1の組成物を調製した。第1の組成物中における寒天の配合量(m)は0.35質量%、ゼラチンの配合量(n)は1.05質量%とした。次に、該第1の組成物を125℃、15秒の条件で加熱殺菌を行った後(工程a)、タンクに連通する管内を流量4000L/時間で流動させながら20℃まで冷却し、10℃に保温設定されたタンクに一旦貯蔵した(工程b)。タンクから供給される第1の組成物を45℃まで加熱した後(工程c)、25℃に冷却した(工程d)。工程aの加熱殺菌は、インフュージョン式加熱殺菌装置を用いて行った。
【0063】
一方、表2に示す配合で第2の組成物を調製した。すなわち、表2に示す原料を混合し、130℃、2秒の条件で加熱殺菌を行った後、冷却して5℃に設定された保温タンクに一旦貯蔵した。タンクから供給される液を、オーバーラン200%にホイップして第2の組成物を得た。加熱殺菌は、プレート式加熱殺菌装置を用いて行った。ホイップは、連続式ホイッパーを用いて行った。
【0064】
こうして得られた5℃の第2の組成物と、上記工程dで得た25℃の第1の組成物とを混合した(混合工程)。これらの混合比は第1の組成物:第2の組成物の質量比で70:30とし、混合後のオーバーランは54%であった。得られた混合物を市販のプリンカップに充填した後、5℃に冷却してゲル化させて気泡含有ゲル状物とした(ゲル化工程)。得られたプリン風味の気泡含有ゲル状物の上に、10℃のカラメルソースを充填して、プリン風味のゲル状食品を得た。
得られた気泡含有ゲル状物は、焼プリンのような硬い食感を有しながら、良好な口溶け感を有する。
【0065】
実施例1で得られた、カラメルソースを充填する前の気泡含有ゲル状物をサンプルとして、レオメーターにより動的貯蔵弾性率(G’)、動的損失粘弾率(G’’)を測定し、tanδ(=G’’/G’)を求めた。レオメーターとしては、ARES−2KFRT(製品名、TA Instruments社製)を用い、周波数1Hzで測定した。これらの結果を
図2に示す。また20℃、30℃、および40℃の各温度におけるtanδの値を表7に示す。表にはサンプルのオーバーラン値も合わせて示す。サンプルのオーバーラン値は第2の組成物と第1の組成物の混合物のオーバーラン値と同じである。
また、サンプルの10℃における硬さを測定した。測定装置はレオメーター(サン科学社製、製品名:RHEO METER、COMPAC−100 II)を用いた。結果を表7に示す。
【0066】
<比較例1>
実施例1において寒天の配合を0%、ゼラチンの配合を0.3%にそれぞれ変更した。また、第1の組成物と第2の組成物の混合比を、第1の組成物:第2の組成物=50:50とした。そのほかは実施例1と同様にして、オーバーランが100%である、プリン風味の気泡含有ゲル状物を製造した。カラメルソースの充填は行わなかった。
得られた気泡含有ゲル状物は、ムース状で、実施例1のゲル状物よりも明らかに軟らかい食感であった。
実施例1と同様にして、動的貯蔵弾性率(G’)、動的損失粘弾率(G’’)、tanδ(=G’’/G’)を測定した。これらの結果を
図3に示す。また実施例1と同様にして各物性値を測定した。結果を表7に示す。
【0067】
<比較例2>
実施例1において寒天およびゼラチンの配合をともに0%に変更した。また、第1の組成物と第2の組成物の混合比を、第1の組成物:第2の組成物=20:80とした。さらに、第2の組成物のオーバーランを320%に設定した。そのほかは実施例1と同様にして、オーバーランが250%である、プリン風味の気泡含有組成物を製造した。カラメルソースの充填は行わなかった。
得られた気泡含有組成物は、ホイップクリーム状で非常に軟らかい。
実施例1と同様にして、動的貯蔵弾性率(G’)、動的損失粘弾率(G’’)、tanδ(=G’’/G’)を測定した。これらの結果を
図4に示す。また実施例1と同様にして各物性値を測定した。結果を表7に示す。
【0068】
<参考例1>
参考例として、市販の焼プリン(森永乳業社製、商品名:森永の焼プリン)について、実施例1と同様にして各物性値を測定した。結果を表7に示す。
<参考例2>
参考例として、ゲル化剤を用いた市販のゲルプリン(森永乳業社製、商品名:森永プリン)。について、実施例1と同様にして各物性値を測定した。結果を表7に示す。
【0069】
【表7】
【0070】
図2〜4において、横軸はサンプルの温度、左縦軸はG’、G’’(単位:Pa)、右縦軸はtanδである。
実施例1は温度が40℃まで上昇してもtanδの値は1より小さい。比較例1、2では、温度の上昇に伴ってtanδが上昇し、40℃では1に近い値となっている。
【0071】
表7の結果に示されるように、参考例1のtanδは温度依存性が見られず、常に低い値であった。これは温度が上昇しても溶けず、口溶け感が得られないことを意味する。また参考例1のオーバーラン値はゼロであり、気泡を含んでいないことを意味する。
参考例2のtanδは参考例1より少し高く、やや温度依存性が見られる。参考例2のオーバーラン値はゼロであり、気泡を含んでいないことを意味する。硬さの測定値は参考例1より低い。
実施例1のサンプルは、オーバーラン値が54%であり、硬さの測定値は参考例1と同等であり、tanδは参考例2と、比較例1、2との中間程度の値となっている。
すなわち、実施例1のサンプルは、焼プリン(参考例1)と同等の硬さを有しながら、口の中で温度が上昇するときの食感の変化は焼プリンともゲルプリンとも異なっており、比較例1のムース状や比較例2のホイップクリーム状と、ゲルプリンとの中間程度の口溶け感を有することがわかる。
【0072】
<実施例2:気泡を含むチョコプリンの製造>
まず、表8に示す配合で原料を混合し第1の組成物を調製した。次に、該第1の組成物を125℃、15秒の条件で加熱殺菌を行った後(工程a)、タンクに連通する管内を流量4000L/時間で流動させながら20℃まで冷却し、10℃に保温設定されたタンクに一旦貯蔵した(工程b)。タンクから供給される第1の組成物を45℃まで加熱した後(工程c)、25℃に冷却した(工程d)。工程aの加熱殺菌は、インフュージョン式加熱殺菌装置を用いて行った。
【0073】
【表8】
【0074】
一方、表9に示す配合で第2の組成物を調製した。すなわち、表9に示す原料を混合し、130℃、2秒の条件で加熱殺菌を行った後、冷却して5℃に設定された保温タンクに一旦貯蔵した。タンクから供給される液を、オーバーラン200%にホイップして第2の組成物を得た。加熱殺菌は、プレート式加熱殺菌装置を用いて行った。ホイップは、連続式ホイッパーを用いて行った。
得られた5℃の第2の組成物と、上記工程dで得た25℃の第1の組成物とを混合した(混合工程)。これらの混合比は第1の組成物:第2の組成物の質量比で70:30とし、混合後のオーバーランは55%であった。得られた混合物を市販のプリンカップに充填した後、5℃に冷却してゲル化させてチョコレート風味の気泡含有ゲル状物を得た(ゲル化工程)。
【0075】
【表9】
【0076】
これとは別に、表10に示す配合で原料を混合し、130℃、2秒の条件で加熱殺菌してチョコレートソースを得た。上記で得た気泡含有ゲル状物の上に、チョコソース(10℃)を充填して、チョコレート風味のゲル状食品を得た。
得られた気泡含有ゲル状物は、焼プリンのような硬い食感を有しながら、良好な口溶け感を有するものであった。
【0077】
【表10】
【0078】
<実施例3:気泡を含むミルクプリンの製造>
まず、表11に示す配合で原料を混合し第1の組成物を調製した。次に、該第1の組成物を125℃、15秒の条件で加熱殺菌を行った後(工程a)、タンクに連通する管内を流量4000L/時間で流動させながら20℃まで冷却し、10℃に保温設定されたタンクに一旦貯蔵した(工程b)。タンクから供給される第1の組成物を45℃まで加熱した後(工程c)、25℃に冷却した(工程d)。加熱殺菌は、インフュージョン式加熱殺菌装置を用いて行った。
【0079】
【表11】
【0080】
一方、表12に示す配合で第2の組成物を調製した。すなわち、表12に示す原料を混合し、130℃、2秒の条件で加熱殺菌を行った後、冷却して5℃に設定された保温タンクに一旦貯蔵した。タンクから供給される液を、オーバーラン200%にホイップして第2の組成物を得た。加熱殺菌は、プレート式加熱殺菌装置を用いて行った。ホイップは、連続式ホイッパーを用いて行った。
得られた5℃の第2の組成物と、上記工程dで得た25℃の第1の組成物とを混合した(混合工程)。これらの混合比は第1の組成物:第2の組成物の質量比で70:30とし、混合後のオーバーランは55%であった。得られた混合物を市販のプリンカップに充填した後、5℃に冷却してゲル化させてミルク風味の気泡含有ゲル状物を得た(ゲル化工程)。
【0081】
【表12】
【0082】
これとは別に、表13に示す配合で原料を混合し、130℃、2秒の条件で加熱殺菌して練乳ソースを得た。上記で得た気泡含有ゲル状物の上に、練乳ソース(10℃)を充填して、ミルク風味のゲル状食品を得た。
得られた気泡含有ゲル状物は、焼プリンのような硬い食感を有しながら、良好な口溶け感を有するものであった。
【0083】
【表13】
【0084】
<試験例5:凍結耐性>
下記(i)〜(v)の5種の食品を−20℃の冷凍庫にて12時間凍結し、凍結状態の食品と、解凍後の食品のそれぞれについて評価した。凍結状態の評価は、凍結状態の食品を試食して評価した。解凍後の評価は、12時間の凍結後、5℃の冷蔵庫にて12時間解凍したものを試食して官能評価した。
(i)実施例1で得られたゲル状食品。
(ii)参考例1の焼プリン。
(iii)参考例2のゲルプリン。
(iv)市販のゼリー(森永乳業社製、商品名:フルーツゼリー)。
(v)市販のホイップクリーム(森永乳業社製、商品名:森永ホイップ)をオーバーラン170%までホイップさせたもの。
【0085】
[凍結状態の評価]
凍結状態の食品を試食して評価した。
(i)硬いアイスクリームのような性状で、スプーンですくって食べることができる。美味しい。
(ii)シャーベットのような性状。美味しくない。
(iii)シャーベットのような性状。美味しくない。
(iv)シャーベットのような性状。適度に解凍させれば美味しい。
(v)組織が硬く、ボソボソした食感。
【0086】
[解凍後の評価]
12時間の凍結後、5℃の冷蔵庫にて12時間解凍したものを試食して官能評価した。
(i)凍結前と同じ食感、風味が得られる。
(ii)離水が多く生じた。組織はボソボソした食感。
(iii)離水が多く生じた。組織が崩れた。
(iv)離水が大量に生じた。
(v)ひび割れした。組織が硬く、ボソボソした食感。
【0087】
以上の評価結果から、本発明のゲル状食品は、凍結後、解凍することによって凍結前と同じ風味、食感が得られ、凍結耐性に優れることがわかる。また、凍結状態でも硬いアイスクリーム様の性状を有し、美味しく食べることができる。